特開2018-205548(P2018-205548A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-205548(P2018-205548A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】波長変換体
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20181130BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20181130BHJP
【FI】
   G02B5/20
   H01L33/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-111177(P2017-111177)
(22)【出願日】2017年6月5日
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 雄大
【テーマコード(参考)】
2H148
5F142
【Fターム(参考)】
2H148AA01
5F142AA12
5F142AA23
5F142AA42
5F142DA02
5F142DA15
5F142DA61
5F142DA73
5F142DA80
5F142FA24
5F142FA28
5F142GA29
(57)【要約】
【課題】波長変換体において、放熱用の透光性部材を装備しつつ、リング状の出射光を抑制する。
【解決手段】波長変換体3は、光入射面Fiと光出射面Foとの間に蛍光体粒子を含む波長変換部材10と、光入射面Fiに接合され、波長変換部材10からの伝導熱を伝導する第1透光性部材11と、第1透光性部材11の光入射側に接合される第2透光性部材12とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長変換物質を含み、該波長変換物質により通過光の波長変換を行う波長変換部材と、
前記波長変換部材の光入射側に接合され、前記波長変換部材からの伝導熱を伝導する第1透光性部材と、
前記第1透光性部材の光入射側に接合される第2透光性部材とを備えることを特徴とする波長変換体。
【請求項2】
請求項1記載の波長変換体において、
前記波長変換体への入射光が、前記波長変換部材の光入射面で前記波長変換体の光入射側に反射し、反射により生成された反射光が、前記第1透光性部材と前記第2透光性部材との接合面、又は前記第2透光性部材の光入射側の面で前記波長変換部材の前記光入射面側に全反射し、全反射により生成された全反射光が、前記波長変換部材と前記第1透光性部材との接合面に到達したときに、到達位置が前記波長変換部材の前記光入射面の面方向に該光入射面の外側になるように、前記第1透光性部材及び前記第2透光性部材の厚み及び屈折率が設定されていることを特徴とする波長変換体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の波長変換体において、
前記第1透光性部材及び前記第2透光性部材のそれぞれの屈折率n1,n2がn1>n2である場合に、
前記波長変換部材の光出射面上で該光出射面の中心点と該中心点から最遠方点との間の距離をd、前記第1透光性部材及び前記第2透光性部材の厚みをそれぞれw1,w2、前記第1透光性部材から空気中への光の臨界角をθ1、前記第2透光性部材から空気中への光の臨界角をθ2、及び前記第1透光性部材から前記第2透光性部材への光の臨界角θ3とするとき、
2・{w1・tanθ1+w2・tanθ2}≧dで、かつ2・w1・tanθ3≧dに設定することを特徴とする波長変換体。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の波長変換体において、
前記第1透光性部材及び前記第2透光性部材のそれぞれの屈折率n1,n2がn1<n2である場合に、
前記波長変換部材の光出射面上で該光出射面の中心点と該中心点から最遠方点との間の距離をd、前記第1透光性部材及び前記第2透光性部材のそれぞれの厚みをw1,w2、前記第1透光性部材から空気中への光の臨界角をθ1、及び前記第2透光性部材から空気中への光の臨界角をθ2とするとき、
2・{w1・tanθ1+w2・tanθ2}≧dに設定することを特徴とする波長変換体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの通過光の波長を変換する波長変換体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光源としてLD(Laser Diode)等を備える照明装置が知られている。車両用前照灯のような照明装置等では、光色が白色と決められているため、LDの光の色を白色に変換するために、蛍光体粒子のような波長変換物質を含む波長変換体が使用される(例:特許文献1,2)。
【0003】
波長変換体内の波長変換物質は、通過光としての励起光の波長変換に伴い、発熱する。波長変換物質の温度が高くなると、消光が起きる。このため、一般的な構造の波長変換体では、波長変換部材の光入射側に放熱用の透光性部材が接合される。該透光性部材は、波長変換部材からの伝導熱を伝導して、周囲に放散する(例:特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-149394号公報
【特許文献2】特開2015-38884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
透光性部材付きの波長変換体において、光源からの光は、透光性部材を通って、波長変換部材に進入する際、一部の光が光源側としての透光性部材の光入射側に反射する。次に、反射光の一部は、透光性部材の光入射側の面で波長変換部材側に全反射して、波長変換部材に再入射する。波長変換部材への再入射位置は、最初に反射した時の入射位置とは別の入射位置となる。
【0006】
こうして、波長変換体から、光源からの入射光のうち、波長変換部材と透光性部材との接合面で反射することなく波長変換部材に直接入射した入射光による出射光と、全反射の入射光による出射光とが出射されることがある。後者の出射光は、前者の出射光の周りを包囲するリング状の出射光となる。リング状の出射光は、配光パターンや画像等に影響与えるので、除去する必要がある。
【0007】
特許文献1,2の波長変換体は、放熱用の透光性部材の存在に起因するリング状の出射光を除去したり抑制したりする構造を備えていない。
【0008】
本発明の目的は、放熱用の透光性部材を装備しつつ、リング状の出射光を抑制又は除去することができる波長変換体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の波長変換体は、
波長変換物質を含み、該波長変換物質により通過光の波長変換を行う波長変換部材と、
前記波長変換部材の光入射側に接合され、前記波長変換部材からの伝導熱を伝導する第1透光性部材と、
前記第1透光性部材の光入射側に接合される第2透光性部材とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、第1透光性部材が、放熱用の透光性部材として、波長変換部材の光入射面に接合されて、波長変換部材からの伝導熱を伝導する。また、第2透光性部材が第1透光性部材の光入射側に接合されることにより、透光性部材全体の厚み(接合方向寸法)は十分に増大する。透光性部材全体の厚みは大きいほど、第2透光性部材の光入射側の面で全反射して波長変換部材の入射側に再入射する全反射光の再入射位置は、波長変換部材の光入射面の面方向に、波長変換部材の入射側に最初に入射した入射位置から遠ざかる。すなわち、リング状の出射光は、そのリング半径が増大して、単位面積当たりの強度が低下する。こうして、リング状の出射光は、波長変換部材の光入射面に入射しても、目立たなくなるか、波長変換部材の光入射面の面方向に全反射光の入射位置は光入射面の外側になる。これにより、リング状の出射光を抑性又は除去することができる。
【0011】
本発明の波長変換体において、前記波長変換体への入射光が、前記波長変換部材の光入射面で前記波長変換体の光入射側に反射し、反射により生成された反射光が、前記第1透光性部材と前記第2透光性部材との接合面、又は前記第2透光性部材の光入射側の面で前記波長変換部材の前記光入射面側に全反射し、全反射により生成された全反射光が、前記波長変換部材と前記第1透光性部材との接合面に到達したときに、到達位置が前記波長変換部材の前記光入射面の面方向に該光入射面の外側になるように、前記第1透光性部材及び前記第2透光性部材の厚み及び屈折率が設定されていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、波長変換部材の光入射面で波長変換体の光入射側に反射して、その後、波長変換部材と第1透光性部材との接合面側に全反射して、該接合面に戻って来る全反射光を波長変換部材の光入射面の外にすることができる。これにより、波長変換部材の光出射面からのリング状の出射光を除去することができる。
【0013】
本発明の波長変換体において、
前記第1透光性部材及び前記第2透光性部材のそれぞれの屈折率n1,n2がn1>n2である場合に、
前記波長変換部材の光出射面上で該光出射面の中心点と該中心点から最遠方点との間の距離をd、前記第1透光性部材及び前記第2透光性部材の厚みをそれぞれw1,w2、前記第1透光性部材から空気中への光の臨界角をθ1、前記第2透光性部材から空気中への光の臨界角をθ2、及び前記第1透光性部材から前記第2透光性部材への光の臨界角θ3とするとき、
2・{w1・tanθ1+w2・tanθ2}≧dで、かつ2・w1・tanθ3≧dに設定することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、n1>n2である場合に、第1透光性部材と第2透光性部材との接合面、及び第2透光性部材の光入試側の面で全反射して、波長変換部材の方に戻って来る全反射光は、波長変換部材の光入射面には入射しない。これにより、波長変換部材の光出射面からのリング状の出射光を除去することができる。
【0015】
本発明の波長変換体において、
前記第1透光性部材及び前記第2透光性部材のそれぞれの屈折率n1,n2がn1<n2である場合に、
前記波長変換部材の光出射面上で該光出射面の中心点と該中心点から最遠方点との間の距離をd、前記第1透光性部材及び前記第2透光性部材のそれぞれの厚みをw1,w2、前記第1透光性部材から空気中への光の臨界角をθ1、及び前記第2透光性部材から空気中への光の臨界角をθ2とするとき、
2・{w1・tanθ1+w2・tanθ2}≧dに設定することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、n1<n2である場合に、第2透光性部材の光入試側の面で全反射して、波長変換部材の方に戻って来る全反射光は、波長変換部材の光入射面には入射しない。これにより、波長変換部材の光出射面からのリング状の出射光を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】発光装置の模式図。
図2】波長変換体の斜視図。
図3図2のIII−III線に沿う断面図。
図4】第1透光性部材の屈折率>第2透光性部材の屈折率である場合の所定の全反射の説明図。
図5】第1透光性部材の屈折率<第2透光性部材の屈折率である場合の所定の全反射の説明図。
図6】波長変換体の光出射面に生成されるリング状発光の説明に関し、図6Aは波長変換体の光出射面にリング状発光が生成されている状態を示す図、図6Bは波長変換体の光出射面からリング状発光が除去されている状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(発光装置の構成)
図1は発光装置1の模式図である。発光装置1は、中心軸線を揃えて配設された光源装置2及び波長変換体3を備える。なお、光源装置2及び波長変換体3の中心軸線は光源装置2及び波長変換体3の光軸でもある。
【0019】
光源装置2は、基板5と、基板5に取り付けられたLD(Laser Diode)6とを備える。LD6が出射したレーザ光は、波長変換体3に入射光Laとして入射する。波長変換体3は、入射光Laの一部を青色から例えば黄色の波長に変換して、青色の光と黄色の光とが混合して白色となった出射光Lbを出射する。
【0020】
(波長変換体の構成)
図2は波長変換体3の斜視図である。波長変換体3は、波長変換部材10、第1透光性部材11、第2透光性部材12及び放熱枠17とを備える。
【0021】
図2において、Foは波長変換部材10の光出射面を示す。光出射面Foは矩形である。Oは、光出射面Foの中心点を示し、2本の対角線の交点に位置する。Pcは、波長変換体3の中心軸線であり、中心点Oを通る。図1の入射光La及び出射光Lbは、中心軸線Pcに沿って進む。dは、光出射面Fo上で中心点Oと中心点Oから最遠方点との間の距離を示す。光出射面Foは矩形であるので、最遠方点は、光出射面Foの頂点になり、4つ存在する。dは、中心点Oと頂点との距離でもあり、対角線の長さの1/2となる。
【0022】
波長変換部材10、第1透光性部材11及び第2透光性部材12は、その順番で波長変換体3の光出射側から光入射側に配置された積層構造を構成する。第1透光性部材11及び第2透光性部材12は、波長変換部材10の基板としての役目を果たす。積層構造において、中心軸線Pcの延在方向に隣り同士の層は相互に接合されている。中心軸線Pcの延在方向は、波長変換体3の光軸方向でもあり、積層構造体の各層の厚み方向(厚みの方向)でもある。
【0023】
波長変換部材10、第1透光性部材11及び第2透光性部材12は、厚み方向視で矩形になっている。第1透光性部材11及び第2透光性部材12の矩形は、大きさが相互に等しく、かつ波長変換部材10の矩形より一回り大きくなっている。波長変換部材10、第1透光性部材11及び第2透光性部材12は、それらの中心軸線を共通の中心軸線Pcにしているので、厚み方向視で、第1透光性部材11及び第2透光性部材12の周縁は波長変換部材10の周縁より所定の寸法、外側にはみ出ている。
【0024】
図3図2のIII−III線に沿う断面図である。波長変換部材10は、層状に形成され、層の両面側に光出射面Foと光入射面Fiとを有している。放熱枠17は、波長変換部材10を包囲するように波長変換部材10の周縁部に取り付けられている。光出射面Foは、波長変換部材10の光出射側の面のうち放熱枠17から露出している面部分のみから構成される。光入射面Fiは、波長変換部材10と第1透光性部材11との接合面のうち、その周縁部を除き、光出射面Foに対峙している面部分のみから構成される。したがって、光入射面Fiは、光出射面Foと同一の寸法及び形状を有する。
【0025】
放熱枠17は、熱伝導率の高い材料としてアルミニウム等の所定の金属から成る。放熱枠17は、第1透光性部材11の周縁部と面接触で接合し、第1透光性部材11から接合面を介して熱を伝導される。波長変換部材10の中心部の発熱は、第1透光性部材11の中心部に伝導熱として伝導され、次に、第1透光性部材11の中心部から周縁部に伝導され、さらに、第1透光性部材11の周縁部から放熱枠17に伝導されて、放熱枠17から放散される。
【0026】
第2透光性部材12は、厚み方向の両面を接合面Fb及び露出面Feとしている。接合面Fbは、第1透光性部材11と第2透光性部材12とが相互に接合している面である。露出面Feは、波長変換体3の光入射面でもある。接合面Fb及び露出面Feは、それぞれ第2透光性部材12の光出射側の面及び光入射側の面でもある。露出面Feは、波長変換体3の光入射面でもある。
【0027】
波長変換部材10は、波長変換部材10の通過光を波長変換する波長変換物質としての蛍光体粒子を内部に含んでいる。蛍光体粒子は、例えば、青色のレーザ光を黄色に変換する波長変換物質として、酸化物蛍光体、窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体、硫化物蛍光体又はフッ化物蛍光体等の材料から成る。
【0028】
波長変換部材10の厚み(層厚)は、例えば10〜50μmである。厚みが10μm未満である場合、層厚を均一にすることが難しくなる。厚みが50μmを超える場合、波長変換部材10内の導光により色分離が起きる。粒径は例えば100nm〜50μmが望ましい。粒径が小さいと、蛍光体粒子の発光効率が低下し、大き過ぎると、波長変換部材10の色むらが増大する。
【0029】
波長変換部材10は、蛍光体粒子が入射光Laのレーザ光を励起光として、レーザ光より長い波長の蛍光を生成する際、すなわち波長変換する際に発熱する。波長変換部材10の発熱は消光の原因になるので、波長変換部材10は冷却する必要がある。波長変換部材10を冷却する役目を第1透光性部材11と放熱枠17とが担っている。
【0030】
第1透光性部材11は、消光を回避するために、熱伝導度の高いものでなければならない。これに対し、第2透光性部材12は、波長変換部材10を冷却する役目を有していないので、十分な熱伝導度を有していなくてもよい。第2透光性部材12は、光入射面Fiと露出面Feとの間の厚み方向の寸法を増大するために、備えられている。したがって、第2透光性部材12は、第1透光性部材11に比して、熱伝導度は劣るものの安価か加工性が良いかの少なくともどちらかを満たす材料が選択される。
【0031】
第1透光性部材11は、例えば、サファイア、単結晶GaN又は単結晶YAG等の単結晶材料や、多結晶Al、多結晶MgO、多結晶ZrO等の多結晶材料から成る。
【0032】
第2透光性部材12は、例えば、ガラスや多結晶セラミックから成る。第1透光性部材11と第2透光性部材12との接合方法には、例えば、オプチカルコンタクト法、フュージョンボンディング法、ホットプレス法又は熱間等方加圧法(HIP法)がある。
【0033】
波長変換部材10と第1透光性部材11との接合方法として例えば2つある。第1の接合方法は、波長変換部材10を成形体として製造し、該成形体を基板としての第1透光性部材11に接合又は接着するものである。第2の接合の方法は、基板としての第1透光性部材11に波長変換部材10の層を成膜するものである。
【0034】
第1の接合方法に使用される波長変換部材10は、例えば、単結晶蛍光体、蛍光体セラミック、蛍光体分散ガラス、又は蛍光体分散樹脂シート等から成る。この場合は、波長変換部材10と第1透光性部材11の間には、拡散接合等の接合層が存在しない。したがって、波長変換部材10と第1透光性部材11を相互に接合するために、例えば接着剤が使用される。このような接着剤として、有機接着剤又は無機接着剤等の透明接着剤がある。
【0035】
第2の接合方法は拡散接合等を使用する。このため、波長変換部材10として、例えば、蛍光体+セラミックバインダー、蛍光体+ガラスバインダー、又は蛍光体+樹脂バインダーが使用される。拡散接合の工法としては、例えば、ディスペンス、回転塗布法、印刷法、又はスプレー法が使用される。
【0036】
(リング状発光の防止構造)
図4及び図5は、波長変換体3内で起きる全反射の説明図である。図4は第1透光性部材11の屈折率n1>第2透光性部材12の屈折率n2である場合の所定の全反射の説明図である。図5は第1透光性部材11の屈折率n1<第2透光性部材12の屈折率n2である場合の所定の全反射の説明図である。
【0037】
図4及び図5に共通の事項について説明する。図4及び図5共に、波長変換体3を矩形の光出射面Foの対角線に沿って切ったときの中心軸線Pcより右側の半部のみの断面図となっている。波長変換体3内の全反射は、中心軸線Pcに対して左右対称である。
【0038】
図4及び図5では、説明の便宜上、中心軸線Pcとは別に、中心軸線Pcに対して平行な補助線P1〜P4を記載している。補助線P1〜P4の定義は次のとおりである。
P1:後述の全反射光Lrwと接合面Fbとの2つの交点のうち中点O側の交点を通る補助線
P2:矩形の光出射面Fo上の中心点Oと頂点との中点を通る補助線
P3:後述の全反射光Lrwと接合面Fbとの2つの交点のうち頂点側の交点を通る補助線
P4:頂点を通る補助線
なお、波長変換部材10の厚みは、非常に薄いので、矩形の光出射面Fo上で定義した中心点O及び頂点は、矩形の光入射面Fi上の中心点及び頂点とみなすことができる。
【0039】
図4及び図5において、Lru,Lrwの定義は次のとおりである。
Lru(図4のみ):接合面Fbと補助線P3との交点で全反射する全反射光
Lrw:露出面Feと補助線P3との交点で全反射する全反射光
なお、光入射面Fiで露出面Fe側に反射した入射光Laのうち、露出面Feで反射(全反射を含む)しながった光は、露出面Feから波長変換体3の外へ出射し、光入射面Fi側に戻ることはない。
【0040】
各符号のうち、厚み及び角度についての定義は次のとおりである。
w1:第1透光性部材11の厚み
w2:第2透光性部材12の厚み
θ1:光が第1透光性部材11から空気中へ進むときの臨界角
θ2:光が第2透光性部材12から空気中へ進むときの臨界角
θ3:屈折率n1>屈折率n2のときに光が第1透光性部材11から第2透光性部材12へ進むときの臨界角
なお、臨界角は、全反射が生じるときの入射角に等しい。
【0041】
θ1は、厳密には、光が第1透光性部材11から波長変換部材10に進入するときの臨界角として定義されなければならない。しかしながら、波長変換部材10は極めて薄いので、光が第1透光性部材11から波長変換部材10に進入するときの臨界角は、θ1とみなすことができる。
【0042】
空気の屈折率nを屈折率naと定義すると、θ1〜θ3を光の屈折率nで表わせば、次のようになる。
θ1=arcsin(na/n1)
θ2=arcsin(na/n2)
θ3=arcsin(n1/n2)
なお、「arcsin」は逆正弦関数を意味する。
【0043】
図4及び図5について詳細に説明する前に、図4及び図5において所定の全反射光Lru,Lrwを説明する理由を図6で説明する。
【0044】
波長変換部材10の光入射面Fiには、入射光Laのように、直接入射する光(以下、「一次入射光」という。)の他に、入射光Laの一部が露出面Fe側に反射して、さらに、接合面Fb又は露出面Feで全反射してから再度光入射面Fiに入射する光(以下、「二次入射光」という。)がある。
【0045】
図6は波長変換体3の光出射面Foに生成されるリング状発光25に関する。図6Aは波長変換体3の光出射面Foにリング状発光25が生成されている状態を示している。図6Bは波長変換体3の光出射面Foからリング状発光25が除去されている状態を示している。
【0046】
二次入射光には、接合面Fbで全反射した第1全反射光と、露出面Feで全反射した第2全反射光とがある。二次反射光のうち全反射光のみを問題にする理由は、通常反射の反射光は、反射光としての強度が全反射光に比して著しく小さいからである。すなわち、通常反射の反射光も、後述のリング状発光25を生成するものの、強度が小さく、問題にならない。
【0047】
第1及び第2全反射光が、光入射面Fiの面方向に光入射面Fiの周輪郭の内側に入射するときに、大きい強度のリング状発光25が光出射面Foに出現する(図6A)。中心発光23は、一次入射光に起因する出射光であり、中心点Oに出現する。これに対し、リング状発光25は、中心発光23を包囲するように、出現する。sは、中心点Oを中心とするリング状発光25の内周円の半径を示している。
【0048】
リング状発光25の強度は、内周縁が最大となり、外側に向かうに連れて徐々に低下する。リング状発光25は、出射光Lbによる配光パターンや画像等を生成するときに、それらの品質を低下させる。光出射面Foには、中心発光23のみを残して、リング状発光25は除去するか抑制することが望まれる。
【0049】
図6Bはリング状発光25の内周の半径sが距離d以上であることを示している(s≧d)。s≧dとは、波長変換部材10と第1透光性部材11との接合面(該接合面は光入射面Fiより1回り大きい。)に到達したときに、到達位置が光入射面Fiの面方向に光入射面Fiの頂点上か、該頂点より外側になることを意味する。
【0050】
このことから、図6Bに示すように、s≧dとなるように、波長変換体3の各因子の値、具体的には厚み及び屈折率の値を設定すれば、光出射面Foからリング状発光25を除去することが理解できる。
【0051】
図4及び図5は、全反射に起因する二次入射光としての全反射光Lru(第1全反射光)及び全反射光Lrw(第2全反射光)が、波長変換部材10と第1透光性部材11との接合面に戻って来た戻り位置が光入射面Fi上で中心点Oから最遠方点としての矩形の頂点(光入射面Fiと補助線F4との交点)であるときを示している。全反射光Lru,Lrwの戻り位置が補助線F4上か補助線F4より右であれば、全反射光Lru,Lrwは光入射面Fiから波長変換部材10に進入しない。このことは、図6Bの状態を意味する。
【0052】
図4のように、n1>n2の場合には、二次入射光による全反射光は、全反射光Lru(第1全反射光)及び全反射光Lrw(第2全反射光)の2つになる。したがって、光出射面Foにリング状発光25を生成させない条件式は、全反射光Lru及び全反射光Lrwの入射位置が光入射面Fiの面方向に光入射面Fiの頂点より外側になるように、設定され、具体的には、次の(式1)及び(式2)となる。
2・{w1・tanθ1+w2・tanθ2}≧d・・・(式1)
2・w1・tanθ3≧d・・・(式2)
上記(式1)及び(式2)において、左辺がsに対応している。
【0053】
また、図5のように、n1<n2の場合には、二次入射光による全反射光は、全反射光Lrw(第2全反射光)のみとなる。したがって、光出射面Foにリング状発光25を生成させない条件式は、全反射光Lrwの入射位置が光入射面Fiの面方向に光入射面Fiの頂点より外側になるように、設定され、具体的には、次の(式3)となる。
2・{w1・tanθ1+w2・tanθ2}≧d・・・(式3)
上記(式3)において、左辺がsに対応している。
【0054】
(変形例)
波長変換部材10と第1透光性部材11との間に波長選択性を有する膜を形成することができる。該膜は、波長変換部材10と第1透光性部材11との接合面において、第1透光性部材11から波長変換部材10への一方向の通過のみを許容し、逆方向への通過を阻止又は抑制する。この結果、波長変換部材10で波長変換されて生成された蛍光のうち、第1透光性部材11の方へ戻ろうとする蛍光は、該膜により阻止されて、波長変換部材10から第1透光性部材11の方へ進入することができない。これにより、波長変換部材10から第1透光性部材11の方へ進入した蛍光が、反射光(全反射光を含む。)となって、リング状発光25の生成原因になることが防止される。
【0055】
露出面Feに反射防止膜を形成することができる。該反射防止膜は、入射光Laとは逆方向に波長変換部材10から第2透光性部材12へ進行して来る蛍光及び後方散乱励起光について、全反射角以下で第2透光性部材12側から入射する光が光入射面Fi側に反射することを抑制する。この結果、迷光を抑制して、出射光Lbの品質を上げることができる。
【0056】
本実施形態では、第1透光性部材11の厚みw1及び第2透光性部材12の厚みw2について、第1透光性部材及び第2透光性部材の全体で所定の厚みを確保できるのであれば、w1≧w2であってもよい。
【0057】
本実施形態では、光出射面Fo及び光入射面Fiは、矩形になっている。しかしながら、本発明では、光出射面Fo及び光入射面Fiは、円形やその他の形状にすることもできる。光出射面Fo及び光入射面Fiが円形である場合には、光出射面Fo上で中心点0から最遠方点は、光出射面Foの円周上の各位置となる。したがって、光出射面Fo上で光出射面Foの中心点Oと最遠方点との間の距離dは、光出射面Foの半径となる。
【0058】
本実施形態では、波長変換部材10の波長変換物質は、青色の波長を黄色の波長に変更するものなっている。しかしながら、本発明の波長変換部材の波長変換物質は、その他の波長を変換するものであってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1・・・発光装置、3・・・波長変換体、10・・・波長変換部材、11・・・第1透光性部材、12・・・第2透光性部材、Lru・・・全反射光(第1全反射光)、Lrw・・・全反射光(第2全反射光)、Fi・・・光入射面、Fb・・・接合面、Fe・・・入射側露出面、O・・・中心点、d・・・距離。
図1
図2
図3
図4
図5
図6