【課題】医薬品取引の安全性、取引相手の信頼性に優れた医薬品不動在庫仲介システムを提供する。特に、譲受・譲渡を対面で行う必要のある種別の医薬品を適切に表示する医薬品不動在庫仲介システムを提供する。
【解決手段】医薬品不動在庫仲介システムは、サーバ装置に、取引相手位置情報と医薬品種別情報とが紐づけられた販売医薬品情報を管理する販売医薬品情報管理手段と、取引相手位置情報とユーザ位置情報とを用いて、ユーザと取引相手の距離に関する仲介距離情報を算出する仲介距離情報算出手段と、医薬品種別情報及びその医薬品種別情報に対応して設定された距離の情報が紐づけられた取引可能距離情報と仲介距離情報とを用いて、ユーザ端末に表示する表示医薬品情報を医薬品販売情報から選定する表示医薬品情報選定手段と、を備える。
前記表示医薬品情報選定手段が、仲介距離情報に紐づけられた距離より前記取引可能距離情報に紐づけられた距離の方が小さい医薬品を医薬品販売情報から排除することにより、ユーザ端末に表示する表示医薬品情報を選定することを特徴とする、請求項1に記載の医薬品不動在庫仲介システム。
前記取引可能距離情報に紐づけられた医薬品種別情報が、貯法、規制区分、剤形、医薬品形態に関する情報に含まれる1又は2以上の種別であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の医薬品不動在庫仲介システム。
前記評価手段が、使用期限、保存状態、現金問屋取引の有無から選ばれる1又は2以上の指標を用いて評価することを特徴とする、請求項6に記載の医薬品不動在庫仲介システム。
【背景技術】
【0002】
調剤薬局、ドラッグストア、病院等の各種医療機関では、卸売業者や製薬企業から医薬品を購入し、患者への医薬品の提供(販売)を行う。ここで、各種医療機関は、第一に患者へ提供する医薬品の欠品を避ける必要があるため、必要最小限よりも多い量の医薬品を仕入れる必要がある。
【0003】
購入した医薬品のうち、患者へ提供(販売)できる見込みがなくなった医薬品は、不動在庫として各医療機関内に保管され、該医薬品の使用期限の経過後廃棄される。この不動在庫の廃棄は医療機関の利益の損失、医薬品の無駄使い等の理由から問題視されていた。
【0004】
このような不動在庫の廃棄問題を解消する手段として、不動在庫となった医薬品を買取り、医薬品貯蔵庫に一時保管し、再度販売するサービスが提供されている。
【0005】
しかし、このようなサービスには、医薬品の出所が不鮮明であることや、医薬品の安全面の理由から売買不可の医薬品(液薬、注射薬等)を設定する必要があることが課題としてあった。
【0006】
また、不動在庫の廃棄問題を解消する手段として医薬品の直接取引を仲介するシステムが知られている。
【0007】
例えば、特許文献1には、調剤薬局等で生じる不動在庫を取引によって処分することを目的とし、取引対象に関する在庫情報の登録を会員ごとに受けつけるシステムが開示されている。
【0008】
また、特許文献2には、医薬品の直接取引を仲介するシステムとして、医薬品を販売価格の低いものから順にソートして表示する医薬品販売仲介システムが開示されている。
【0009】
ところで、近年、薬局間における医療用医薬品の譲受・譲渡に関するガイドラインが発表され、医薬品の種別によっては医薬品の譲受・譲渡を対面で行うことが遵守事項として定められた(非特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述の医薬品の直接取引を仲介するシステムは、全国で自由に医薬品の取引が可能であったため、郵送時の医薬品の品質管理、取引相手の信頼性の面で課題があった。
また、前述の医薬品の直接取引を仲介するシステムは、医薬品の譲受・譲渡を対面で行うことについての観点を逸したものであった。
【0013】
上記事情に鑑みなされた本発明は、医薬品取引における医薬品取引の安全性、取引相手の信頼性に優れた医薬品不動在庫仲介システムを提供することを課題とする。また本発明は、譲受・譲渡を対面で行う必要のある種別の医薬品を適切に表示する医薬品不動在庫仲介システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決する本発明の医薬品不動在庫仲介システムは、
ユーザの位置に関するユーザ位置情報を含むユーザ情報を登録するユーザ情報登録手段と、
取引相手位置情報と医薬品種別情報とが紐づけられた販売医薬品情報を管理する販売医薬品情報管理手段と、
前記取引相手位置情報と前記ユーザ位置情報とを用いて、ユーザと取引相手の距離に関する仲介距離情報を算出する仲介距離情報算出手段と、
医薬品種別情報及びその医薬品種別情報に対応して設定された距離の情報が紐づけられた取引可能距離情報と前記仲介距離情報とを用いて、ユーザ端末に表示する表示医薬品情報を選定する表示医薬品情報選定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の医薬品不動在庫仲介システムによれば、医薬品の種別と、取引者間の距離との関係で表示する医薬品を選定することができるため、医薬品取引の安全性、取引相手の信頼性に優れる。
【0016】
また、本発明の好ましい形態では、表示医薬品情報選定手段が、仲介距離情報に紐づけられた距離より前記取引可能距離情報に紐づけられた距離の方が小さい医薬品を医薬品販売情報から排除することにより、ユーザ端末に表示する表示医薬品情報を選定することを特徴とする。
このような構成を有する本発明の医薬品不動在庫仲介システムによれば、取引者間の距離との関係で、表示することの望ましくない種別の医薬品をユーザ端末に表示させないことができるため、医薬品取引の安全性、取引相手の信頼性に優れる。
【0017】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記取引可能距離情報に紐づけられた医薬品種別情報が、貯法、規制区分、剤形、医薬品形態に関する情報に含まれる1又は2以上の種別であることを特徴とする。
このような構成を有する本発明の医薬品不動在庫仲介システムによれば、取引者間の距離との関係で、取扱いに特別な注意を要する種別の医薬品をユーザ端末に表示させないことができるため、医薬品取引の安全性、取引相手の信頼性に優れる。
【0018】
また、本発明の好ましい形態では、前記取引可能距離情報で設定された距離が車で配送可能な距離であることを特徴とする。
このような構成を有する本発明の医薬品不動在庫仲介システムによれば、取引者間の距離との関係で、安全に譲受・譲渡できない医薬品をユーザ端末に表示させないことができるため、医薬品取引の安全性に優れる。また、このような構成を有する本発明の医薬品不動在庫仲介システムによれば、譲受・譲渡を対面で行うことが困難な医薬品をユーザ端末に表示させないことができるため、医薬品取引の安全性に特に優れる。
【0019】
また、本発明の好ましい形態では、前記取引可能距離情報で設定された距離が7〜15kmであることを特徴とする。
このような構成を有する本発明の医薬品不動在庫仲介システムによれば、取引者間の距離との関係で、より確実に譲受・譲渡を対面で行うことが可能な医薬品をユーザ端末に表示させることができるため、医薬品取引の安全性、取引相手の信頼性に特に優れる。
【0020】
また、本発明の好ましい形態では、前記医薬品不動在庫仲介システムが、さらに、
医薬品の価値を評価する評価手段と、
前記評価手段による評価に基づきユーザ端末に表示する表示医薬品情報の表示順位を決定する表示医薬品並び替え手段と、
を備えることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の好ましい形態では、前記評価手段が、使用期限、保存状態、現金問屋取引の有無から選ばれる1又は2以上の指標を用いて評価することを特徴とする。
このような構成を有する本発明の医薬品不動在庫仲介システムによれば、医薬品の価値を客観的に順位付けすることができるため、粗悪品の少ない健全な医薬品取引の仲介が可能となる。
【0022】
また、本発明は、医薬品不動在庫仲介サーバであって、
ユーザの位置に関するユーザ位置情報を含むユーザ情報を登録するユーザ情報登録手段と、
取引相手位置情報と医薬品種別情報とが紐づけられた販売医薬品情報を管理する販売医薬品情報管理手段と、
前記取引相手位置情報と前記ユーザ位置情報とを用いて、ユーザと取引相手の距離に関する仲介距離情報を算出する仲介距離情報算出手段と、
医薬品種別情報及びその医薬品種別情報に対応して設定された距離の情報が紐づけられた取引可能距離情報と前記仲介距離情報とを用いて、ユーザ端末に表示する表示医薬品情報を前記医薬品販売情報から選定する表示医薬品情報選定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、
譲渡者譲受者間の医薬品不動在庫の直接取引を仲介する、医薬品不動在庫仲介プログラムであって、
コンピュータを、ユーザの位置に関するユーザ位置情報を含むユーザ情報を登録するユーザ情報登録手段と、
取引相手位置情報と医薬品種別情報とが紐づけられた販売医薬品情報を管理する販売医薬品情報管理手段と、
前記取引相手位置情報と前記ユーザ位置情報とを用いて、ユーザと取引相手の距離に関する仲介距離情報を算出する仲介距離情報算出手段と、
医薬品種別情報及びその医薬品種別情報に対応して設定された距離の情報が紐づけられた取引可能距離情報と前記仲介距離情報とを用いて、ユーザ端末に表示する表示医薬品情報を前記医薬品販売情報から選定する表示医薬品情報選定手段と、
として機能させることを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、システムが、
ユーザ情報登録手段により、ユーザの位置に関するユーザ位置情報を含むユーザ情報を登録するステップと、
販売医薬品情報管理手段により、取引相手位置情報と医薬品種別情報とが紐づけられた販売医薬品情報の登録を受けつけるステップと、
仲介距離情報算出手段により、前記取引相手位置情報と前記ユーザ位置情報とを用いて、ユーザと取引相手の距離に関する仲介距離情報を算出するステップと、
表示医薬品情報選定手段により、医薬品種別情報とその医薬品種別情報に対応して設定された距離の情報が紐づけられた取引可能距離情報と前記仲介距離情報を用いて、ユーザ端末に表示する表示医薬品情報を前記医薬品販売情報から選定するステップと、
を備えることを特徴とする、医薬品不動在庫仲介方法でもある。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、医薬品取引の安全性、取引相手の信頼性に優れた医薬品不動在庫仲介システムを提供することができる。また、本発明の好ましい形態によれば、譲受・譲渡を対面で行う必要のある種別の医薬品を適切に表示する医薬品不動在庫仲介システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について詳細に説明する。医薬品不動在庫仲介システムを介して、譲受者及び譲渡者が、医薬品の取引を行う。ここで、譲受者とは医薬品を購入するユーザを指し、譲渡者とは医薬品を販売する取引相手を示す。また、本実施形態では、譲渡者・譲受者として、医薬品を販売するユーザ(取引相手)及び購入するユーザを区別して説明するが、必ずしもシステム上で譲渡者と譲受者が区別される必要はない。譲受者は、譲渡者として医薬品の譲渡を行ってもよく、また、譲渡者は、譲受者として医薬品の譲受を受けても構わない。
【0028】
なお、譲渡者・譲受者は、チェーン薬局及び/又はその従業者であってもよい。従来社内店舗間転送により不動在庫処理を行っていたチェーン薬局及び/又はその従業者である場合にも、本発明の医薬品不動在庫仲介システムは医薬品取引の安全性、取引相手の信頼性により優れるため、本発明の医薬品不動在庫仲介システムを好適に用いることができる。
【0029】
図1の構成図のように、本実施形態に係る医薬品不動在庫仲介システムは、医薬品不動在庫仲介サーバ装置1と、譲渡者が使用する取引相手端末2と、譲受者が使用するユーザ端末3とが、ネットワークNを介して接続可能に構成されている。
【0030】
医薬品不動在庫仲介サーバ装置1は、演算装置、主記憶装置、補助記憶装置、各種の出力手段等を備えた、コンピュータ装置によって構成される。そして、医薬品不動在庫仲介サーバ装置1は、取引相手端末2又はユーザ端末3に記録された本実施形態に係る医薬品不動在庫仲介システムの利用のための専用アプリケーション、あるいはウェブブラウザソフトウェアからの要求に基づき、医薬品不動在庫の仲介管理のための情報の提供等を行う。
【0031】
取引相手端末2は、演算装置、主記憶装置、補助記憶装置、各種の出力手段等を備えた、一般的なパーソナルコンピュータや、タブレット端末、スマートフォン端末、ゲーム機など、任意のコンピュータ装置によって構成される。そして、取引相手端末2に備えられた、本実施形態に係る医薬品不動在庫仲介システムの利用のための専用アプリケーション、あるいはウェブブラウザソフトウェアを介して表示された医薬品不動在庫仲介サービス向けのウェブページなどにより、取引相手位置情報を含む取引相手情報の登録、販売医薬品情報の登録、該医薬品情報の医薬品種別情報の設定、ユーザによる注文の受付、及びユーザへの各種情報の提示、等を行うための情報の入出力を行う。
【0032】
ユーザ端末3も、演算装置、主記憶装置、補助記憶装置、各種の出力手段等を備えた、一般的なパーソナルコンピュータや、タブレット端末、スマートフォン端末、ゲーム機など、任意のコンピュータ装置によって構成される。そして、ユーザ端末3に備えられた、本実施形態に係る医薬品不動在庫仲介システムの利用のための専用アプリケーション、あるいはウェブブラウザソフトウェアを介して表示された医薬品不動在庫仲介サービス向けのウェブページなどにより、ユーザの位置に関するユーザ位置情報を含むユーザ情報の登録、表示医薬品情報の開示、及び取引相手への医薬品の注文を含む各種情報の提示、等を行うための情報の入出力を行う。
【0033】
図2に示すように、医薬品不動在庫仲介サーバ装置1は、ユーザ情報管理部14と、取引相手情報管理部15と、表示情報処理部16と、注文情報処理部17を備える。
【0034】
なお、本実施形態においては、医薬品不動在庫仲介サーバ装置1が、ユーザ情報管理部14と、取引相手情報管理部15と、表示情報処理部16と、注文情報処理部17を備える構成としているが、そのそれぞれを個々のサーバ装置によって実現する、さらに、各手段と各記憶部とを異なるサーバ装置によって実現するなど、医薬品不動在庫仲介サーバ装置1の機能構成を、任意の構成のサーバ装置群によって実現してもよい。
【0035】
ユーザ情報管理部14は、譲受者に関する情報の管理を行う。ユーザ情報管理部14は、ユーザの位置に関するユーザ位置情報を含むユーザ情報を登録するユーザ情報登録手段141と、ユーザ情報登録手段141を介して登録されたユーザ情報を保持するユーザ情報記憶部142と、を備える。
【0036】
ここで、ユーザ情報登録手段141は、ユーザ端末3からユーザ情報の登録を受けつける手段である。
なお、ユーザ情報とはユーザに関する情報を指す。例えば、ユーザ情報は、ユーザの氏名、メールアドレス、電話番号、ユーザの位置に関するユーザ位置情報、ユーザの所属する薬局名、薬局の連絡先、薬局開設許可番号などのユーザに関する情報を有する。
中でも、ユーザ位置情報は、ユーザの所属する薬局の住所であることが好ましい。
【0037】
ユーザ情報記憶部142は、ユーザ情報登録手段141が受けつけたユーザ情報を保持する。
【0038】
また、取引相手情報管理部15は、取引相手位置情報を含む取引相手の情報を登録する取引相手情報管理手段151と、それを保持する取引相手情報記憶部152と、医薬品種別情報が紐づけられた販売医薬品情報を登録する販売医薬品情報登録手段153と、それを保持する販売医薬品情報記憶部154と、を有する。
【0039】
ここで、取引相手情報管理手段151は、取引相手端末2から取引相手情報を受けとり、受けとった取引相手情報を取引相手情報記憶部152に送る等の取引相手情報の管理を行う手段である。
なお、取引相手情報とは取引相手に関する情報を指す。例えば、取引相手情報として、取引相手の氏名、メールアドレス、電話番号、取引相手の位置に関する取引相手位置情報、取引相手の所属する薬局名、薬局の連絡先、薬局開設許可番号、等の情報を挙げることができる。
ここで、取引相手位置情報は、取引相手の所属する薬局の住所であることが好ましい。
【0040】
販売医薬品情報登録手段153は、取引相手端末2から取引相手が販売を希望する医薬品に関する販売医薬品情報を受けつける。ここで、販売医薬品情報は、例えば、医薬品名、薬効、医薬品の製造販売業者、数量、製造番号・記号、そして、医薬品種別情報、医薬品価値情報等の医薬品に関する情報を含む形態とすることができる。
【0041】
ここで、医薬品種別情報とは、医薬品の種別に関する情報であって、例えば、貯法、規制区分、剤形に関する情報を挙げることができる。
【0042】
ここで、貯法とは、医薬品の貯蔵手段である。貯法に含まれる種別としては、例えば、室温、冷所、遮光といった貯蔵方法を挙げることができる。
規制区分とは、医薬品の取扱いに特別な規制を要する区分を指す。規制区分に含まれる種別としては、毒薬、劇薬、向精神薬などが挙げられる。
また、剤形に含まれる種別としては、例えば、散剤、細粒剤、錠剤、カプセル剤、液剤、チュアブル剤、シロップ剤、注射薬等を挙げることができる。
【0043】
また、医薬品種別情報には、販売する医薬品の形態(医薬品形態)に関する情報を含む形態とすることができる。医薬品形態に含まれる種別としては、例えば、販売する医薬品の開封の有無、包装形態(バラ等)を挙げることができる。
【0044】
なお、医薬品種別情報は、貯法、規制区分、剤形、医薬品形態に関する情報のうち1又は2以上の情報を有することが好ましい。
このような構成とすることで、取引者間の距離との関係で、取扱いに特別な注意を要する種別の医薬品をユーザ端末3に表示させないことができるため、医薬品取引の安全性、取引相手の信頼性に優れる。
【0045】
また、医薬品種別情報は、毒薬、劇薬、向精神薬、注射薬から選ばれる1又は2以上の情報を有することがより好ましい。
このような構成とすることで、取引者間の距離との関係で、薬局従事者にとって取扱いに特別な注意を要する種別の医薬品をユーザ端末3に表示させないことができるため、医薬品取引の安全性、取引相手の信頼性により優れる。
【0046】
また、医薬品価値情報とは、医薬品の状態に関する情報であって、例えば、使用期限、保存状態、現金問屋取引の有無等の情報を挙げることができる。
ここで医薬品価値情報は、使用期限、保存状態、現金問屋取引の有無、の情報のうち1又は2以上の情報を有することが好ましい。
このような構成とすることで、医薬品の価値を客観的に順位付けすることができるため、粗悪品の少ない健全な医薬品取引の仲介が可能となる。
【0047】
販売医薬品情報記憶部154は、ユーザ情報記憶部142に保持された取引相手位置情報及び販売医薬品情報登録手段153で受けつけた医薬品種別情報が紐づけられた医薬品販売情報を保持する。
【0048】
なお、医薬品販売情報には、前述した医薬品種別情報のうち、販売を希望する医薬品に該当する全ての医薬品種別情報が紐づけられている必要はなく、例えば、特記すべき一つの医薬品種別情報が販売医薬品情報に紐づけられている形態であってもよい。
【0049】
また、表示情報処理部16は、取引相手情報記憶部152に保持された取引相手位置情報と、ユーザ情報記憶部142に保持されたユーザ位置情報とを用いて、ユーザと取引相手の距離に関する仲介距離情報の算出を行う仲介距離情報算出手段161と、医薬品種別情報及びその医薬品種別情報に対応して設定された距離の情報が紐づけられた取引可能距離情報(
図3 参照)を保持する取引可能距離情報記憶部162と、ユーザ端末3に表示する表示医薬品情報を医薬品販売情報から選定する表示医薬品情報選定手段163と、医薬品評価に関する医薬品評価情報を保持する評価基準情報記憶部164と、医薬品の価値を評価する評価手段165と、評価に基づきユーザ端末3に表示する表示医薬品情報の表示順位を決定する表示医薬品並び替え手段166と、を有する。
【0050】
ここで、仲介距離情報算出手段161は、取引相手情報記憶部152に保持された取引相手位置情報と、ユーザ情報記憶部142に保持されたユーザ位置情報とを用いて、ユーザと取引相手の距離に関する仲介距離情報の算出を行う。
【0051】
また、取引可能距離情報記憶部162は、医薬品種別情報及びその医薬品種別情報に対応して設定された距離の情報が紐づけられた取引可能距離情報を保持する(
図3 参照)。
ここで、医薬品種別情報に対応して設定された距離は、個々の医薬品種別情報に対応して個別に設定された距離であってもよく、全ての医薬品種別情報に一律に設定された距離であってもよい。中でも、取引可能距離情報は、医薬品種別情報に一律の距離の情報を紐づけたものであることが好ましい。
【0052】
なお、医薬品種別情報及びその医薬品種別情報に対応して設定された距離は、任意の値を設定することができる。中でも、医薬品種別情報及びその医薬品種別情報に対応して設定された距離は車で配送可能な距離であることが好ましい。
このような構成とすることで、取引者間の距離との関係で、安全に譲受・譲渡できない医薬品をユーザ端末3に表示させないことができる。また、このような構成とすることで、譲受・譲渡を対面で行うことが困難な医薬品をユーザ端末3に表示させないことができる。
【0053】
また、車で配送可能な距離として、1〜40km、より好ましくは5〜30km、さらに好ましくは7〜15kmの距離を設定することができる。中でも、車で配送可能な距離として10kmを設定することが特に好ましい。
このような構成とすることで、より確実に譲受・譲渡を対面で行うことが可能な医薬品をユーザ端末3に表示させることができる。
【0054】
表示医薬品情報選定手段163は、取引可能距離情報記憶部162が保持する取引可能距離情報と、仲介距離情報算出手段161が算出した仲介距離情報とを用いて、ユーザ端末3に表示する表示医薬品情報を医薬品販売情報から選定する。
【0055】
ここで、表示医薬品情報選定手段163は、仲介距離情報に紐づけられた距離より取引可能距離情報に紐づけられた距離の方が小さい医薬品をユーザに提示しないように除外することにより、表示医薬品情報を選定する形態であることが好ましい(
図4 参照)。
このような構成とすることで、取引者間の距離との関係で、表示することの望ましくない種別の医薬品をユーザ端末3に表示させないことができる。
【0056】
評価手段165は、評価基準情報記憶部164が保持する医薬品評価の基準となる医薬品評価情報と販売医薬品情報に含まれる医薬品価値情報とを用いて、表示医薬品情報の評価を行う。
ここで、医薬品評価情報は、使用期限、保存状態、現金問屋取引の有無から選ばれる1又は2以上の基準による評価であることが好ましい。
【0057】
使用期限を基準として医薬品の価値を評価する場合には、例えば、使用期限が遠いほど、医薬品の価値が高いと評価する形態とすることができる。中でも、医薬品の使用期限が残り1年以上である場合に1.0、医薬品の使用期限が残り6ヶ月〜1年未満である場合に0.75、医薬品の使用期限が残り6ヶ月未満である場合に0.5と評価値を設定し、数値が高いほど医薬品の価値が高いと評価する形態とすることがより好ましい。
これは、医薬品の使用期限が遠いほど、医薬品の価値が高いと判断されるためである。
【0058】
また、保存状態を基準として医薬品の価値を評価する場合には、例えば、箱の開封の有無を指標として、箱未開封の場合には1、箱開封済の場合には0.5と評価値を設定し、数値が高いほど医薬品の価値が高いと評価する形態とすることができる。
これは、医薬品の種別によっては、気温、湿度、遮光により医薬品の安定性が低下することが知られているためである。
【0059】
また、現金問屋取引の有無を基準として医薬品の価値を評価する場合には、例えば、現金問屋取引有の場合には1、現金問屋取引無の場合には0.5と評価値を設定し、数値が高いほど医薬品の価値が高いと評価する形態とすることができる。
これは、薬品卸正規ルートを使用していない薬局の医薬品には、信頼性がないものと判断できるためである。
【0060】
医薬品の価値は以下の式により算出した値を用いることがより好ましい。
(式1)
価値=使用期限×保存状態×現金問屋取引の有無
使用期限:1年以上=1.0 6ヶ月〜1年未満=0.75 6ヶ月未満=0.5
保存状態:未開封=1.0 開封=0.5
現金問屋取引の有無:無=1.0 有=0.5
【0061】
また、上記式1により算出した値を、例えば、下記評価基準1のような段階的に定めた評価指標にあてはめ、段階的評価とすることがさらに好ましい。
(評価基準1)
A:1.0
B:0.75
C:0.5
D:0.375〜0.25
E:0.187〜0.125
【0062】
ここで、前記段階的評価は、後述する表示医薬品情報出力手段171によりユーザ端末3へ出力される形態とすることができる。
【0063】
表示医薬品並び替え手段166は、ユーザ端末3に表示する表示医薬品情報の表示順位を決定する。本実施形態では、例えば、前述の表示医薬品情報の評価に基づき、ユーザ端末3に表示する表示医薬品情報の表示順位を決定する。
表示医薬品並び替え手段166による表示順位の決定は、評価手段165による評価を基に、評価の高い医薬品から降順に表示順位を決定する形態とすることが好ましい。表示医薬品並び替え手段166による表示順位の決定は、表示医薬品情報の評価指標及び/又はその他の指標に基づいて決定されても構わない。例えば、譲渡者の過去の取引等に応じて設定される譲渡者の評価や、医薬品の値段、譲渡者の距離、等に基づいて、表示順位が決定されてもよい。ユーザ端末3から入力される並び替え要求に基づいて、どのような指標で表示順位を決定するかが指定され、表示医薬品並び替え手段166は、指定された指標にて表示順位を決定する。
このような構成とすることで、医薬品の価値を客観的に順位付けすることができる。
【0064】
また、注文情報処理部17は、注文情報を管理する。注文情報とは、例えば、ユーザが購買を希望する医薬品、医薬品の数量、支払方法、配送手段、配送希望日時等に関する情報である。注文情報処理部17は、表示医薬品情報を出力する表示医薬品情報出力手段171と、注文情報を管理する注文情報管理手段172と、それを保持する注文情報記憶部173と、を有する。
【0065】
ここで、表示医薬品情報出力手段171は、表示医薬品情報と、表示医薬品並び替え手段166で決定されたこれら表示医薬品情報の表示順位と、をユーザ端末3へ出力する。
図6は、出力された表示医薬品情報をユーザ端末3に表示した際の一覧画面の画面表示例である。
以下、本実施形態における、表示医薬品情報出力手段171による表示医薬品情報の出力形態について、例示する。
(1) 表示医薬品並び替え手段166による並び替え後の表示医薬品情報をユーザ端末3へ出力する形態。
(2) 表示医薬品並び替え手段166による並び替え後の表示医薬品情報に対して医薬品名等による抽出を行い、抽出した抽出後表示医薬品情報をユーザ端末3へ出力する形態。
(3) 表示医薬品並び替え手段166による並び替え後の表示医薬品情報に対して薬効による抽出を行い、抽出した抽出後表示医薬品情報をユーザ端末3へ出力する形態。
上記(1)〜(3)の少なくともいずれかの形態であることが好ましい。
【0066】
注文情報管理手段172は、ユーザの注文を受け付け、それを注文情報記憶部173へ送る。
図7は、一覧画面から選択された医薬品を注文する際の注文画面の画面表示例である。
【0067】
次いで、本実施形態における医薬品不動在庫仲介システムにおける各種の処理の流れについて、
図5に示すフローチャートを参照して説明する。
【0068】
まず、ステップS1において、ユーザ情報登録手段141はユーザ端末3を介してユーザ情報の登録を受けつける。ここで、ユーザ情報には、ユーザ位置情報が紐づけられている。
【0069】
ステップS2において、仲介距離情報算出手段161はステップS1で受けつけたユーザ位置情報と、販売医薬品情報記憶部154に保持された販売医薬品情報に紐づけられている取引相手位置情報とを用いて、ユーザと取引相手の距離に関する仲介距離情報を算出する。
【0070】
そして、ステップS3で、表示医薬品情報選定手段163はステップS2で算出した仲介距離情報及び、取引可能距離情報記憶部162に保持された医薬品種別情報とその医薬品種別情報に対応して設定された距離の情報が紐づけられた取引可能距離情報とを用いて、ユーザ端末3に表示する表示医薬品情報を医薬品販売情報から選定する。
【0071】
ステップS4で、評価手段165はステップS3で選定された表示医薬品情報の評価を評価基準情報記憶部164に保持された医薬品評価情報に基づき行う。
【0072】
そして、ステップS5では、表示医薬品並び替え手段166は、ステップS4で評価された医薬品をその評価値に従ってユーザ端末3に表示する表示医薬品情報の表示順位を決定する。
【0073】
ステップS6では、表示医薬品情報出力手段171は、表示順位が決定された表示医薬品情報を、ユーザ端末3へ出力する。ユーザ端末3は、受けとった表示医薬品情報に基づいて、画面への一覧表示を行う(
図6 参照)。
【0074】
図6は、出力された表示医薬品情報をユーザ端末3に表示した際の一覧画面の一例を示すものである。ここでは、表示医薬品並び替え手段166により並び替えられた表示医薬品情報が、ユーザ端末3に表示される。ここから、ユーザは購買を希望する医薬品の選択を行うことができる。
【0075】
そして、ステップS7では、注文情報管理手段172は、ユーザからの注文を受けつける(
図7 参照)。
図7は、医薬品を注文する際の注文画面の一例を示すものである。ここでは、選択された医薬品に関し、医薬品の数量(図示例における「必要個数」)、支払方法(図示例における「振込」「現金」)、配送手段(図示例における「郵送」「訪問」)、配送希望日時等の注文情報の選択画面が、ユーザ端末3に表示される。ここから、ユーザは医薬品の注文情報についての決定を行うことができる。