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特開2018-205943冷凍サイクルシステムの設計支援装置及び設計支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-205943(P2018-205943A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】冷凍サイクルシステムの設計支援装置及び設計支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/50 20060101AFI20181130BHJP
【FI】
   G06F17/50 680Z
   G06F17/50 604A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-108957(P2017-108957)
(22)【出願日】2017年6月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 篤
【テーマコード(参考)】
5B046
【Fターム(参考)】
5B046AA04
5B046AA07
5B046GA01
5B046GA02
5B046JA04
5B046JA09
(57)【要約】
【課題】冷凍サイクルシステムの設計支援装置,方法に関し、冷凍サイクルシステムの設計効率をさらに向上させる。
【解決手段】コンデンサー1,エバポレーター2の複数の熱交換特性と、コンプレッサー3の性能特性とが定義された冷凍サイクルシステム7の基準モデルを記憶部21に記憶させる。基準モデルに対し、コンデンサー1の熱交換量または圧損に第一係数K1が乗算された特性を有し、エバポレーター2の熱交換量または圧損に第二係数K2が乗算された特性を有し、コンプレッサー3の運転効率に第三係数K3が乗算された特性を有する計算モデルを設定部22で設定する。冷凍サイクルシステム7で満足させたい性能の値を目的関数とし、第一係数K1と第二係数K2と第三係数K3とを設計変数とした最適化計算を実施し、性能を満たす第一係数K1と第二係数K2と第三係数K3との組み合わせを最適化計算部23で算出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒の循環経路上にコンデンサーとエバポレーターとコンプレッサーとが介装された冷凍サイクルシステムの設計を支援する設計支援装置であって、
前記コンデンサー及び前記エバポレーターの複数の熱交換特性と、前記コンプレッサーの性能特性とが定義された前記冷凍サイクルシステムの基準モデルを記憶する記憶部と、
前記基準モデルに基づき、前記コンデンサーの複数の前記熱交換特性のうちいずれか一つの特性における熱交換量または圧損に第一係数が乗算された特性を有し、前記エバポレーターの複数の前記熱交換特性のうちいずれか一つの特性における熱交換量または圧損に第二係数が乗算された特性を有し、前記コンプレッサーの運転効率に第三係数が乗算された特性を有する計算モデルを設定する設定部と、
設計しようとしている前記冷凍サイクルシステムにおいて満足させたい性能の値を前記計算モデルの目的関数とし、前記第一係数と前記第二係数と前記第三係数とを設計変数とした最適化計算を実施することで、前記性能を満たす前記第一係数と前記第二係数と前記第三係数との組み合わせを算出する最適化計算部とを備え、
前記第一係数及び前記第二係数が乗算される特性の種類は、前記目的関数に係る前記性能に対応するように決定される
ことを特徴とする、冷凍サイクルシステムの設計支援装置。
【請求項2】
前記冷凍サイクルシステムは、車両に搭載される冷凍サイクルシステムであり、
前記基準モデルは、設計しようとしている前記冷凍サイクルシステムが搭載される前記車両と同程度の大きさの既存の車両の冷凍サイクルシステムに定義される
ことを特徴とする、請求項1に記載の冷凍サイクルシステムの設計支援装置。
【請求項3】
前記基準モデルは、設計しようとしている前記冷凍サイクルシステムが搭載される前記車両と同車格の既存の車両の冷凍サイクルシステムに定義される
ことを特徴とする、請求項2に記載の冷凍サイクルシステムの設計支援装置。
【請求項4】
冷媒の循環経路上にコンデンサーとエバポレーターとコンプレッサーとが介装された冷凍サイクルシステムの設計を支援する、コンピューターによる設計支援方法であって、
前記コンデンサー及び前記エバポレーターの複数の熱交換特性と、前記コンプレッサーの性能特性とが定義された前記冷凍サイクルシステムの基準モデルを作成し、
前記基準モデルに対し、前記コンデンサーの複数の前記熱交換特性のうちいずれか一つの特性における熱交換量または圧損に第一係数が乗算された特性を有し、前記エバポレーターの複数の前記熱交換特性のうちいずれか一つの特性における熱交換量または圧損に第二係数が乗算された特性を有し、前記コンプレッサーの運転効率に第三係数が乗算された特性を有する計算モデルを設定し、
設計しようとしている前記冷凍サイクルシステムにおいて満足させたい性能の値を前記計算モデルの目的関数とし、前記第一係数と前記第二係数と前記第三係数とを設計変数とした最適化計算を実施することで、前記性能を満たす前記第一係数と前記第二係数と前記第三係数との組み合わせを算出するとともに
前記第一係数及び前記第二係数が乗算される特性の種類を、前記目的関数に係る前記性能に対応するように決定する
手順をコンピューターが実行する、冷凍サイクルシステムの設計支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクルシステムの設計を支援する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍サイクルシステムの設計段階において、コンピューターによる最適化計算を通じて設計変数を決定する手法が知られている。すなわち、冷凍サイクルシステムに含まれる各種部品の仕様や特性が定義された計算モデルをコンピューター上に作成し、最適な設計変数の組み合わせが得られるまで、設計変数や計算モデル内の部品を変更しながら計算を繰り返す手法である。このような最適化計算では、設計変数や部品数が増加するにつれて計算量が幾何級数的に増大し、計算時間が膨大となる。そこで、最適化計算の効率を高めるための各種手法が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-164393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、冷凍サイクルシステムを新規に設計するのではなく、既存のシステムを改善,改良したシステムを設計するような場合には、既存の計算モデルを流用することで計算量を大幅に削減できる可能性があり、設計効率が向上しうる。特に、車両に搭載されるエアコン装置用の冷凍サイクルシステムの設計にあっては、要求される冷却能力,消費電力,コストなどの条件を車格や車室サイズ,エンジンルーム内のレイアウトなどで分類することができる場合があり、設計効率の面で改善の余地がある。
【0005】
本件の目的の一つは、上記のような知見に基づいて創案されたものであり、冷凍サイクルシステムの設計効率をさらに向上させることである。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用効果であって、従来の技術では得られない作用効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)開示の冷凍サイクルシステムの設計支援装置は、冷媒の循環経路上にコンデンサーとエバポレーターとコンプレッサーとが介装された冷凍サイクルシステムの設計を支援する設計支援装置である。本装置は、前記コンデンサー及び前記エバポレーターの複数の熱交換特性と、前記コンプレッサーの性能特性とが定義された前記冷凍サイクルシステムの基準モデルを記憶する記憶部を備える。また、前記基準モデルに基づき、前記コンデンサーの複数の前記熱交換特性のうちいずれか一つの特性における熱交換量または圧損に第一係数が乗算された特性を有し、前記エバポレーターの複数の前記熱交換特性のうちいずれか一つの特性における熱交換量または圧損に第二係数が乗算された特性を有し、前記コンプレッサーの運転効率に第三係数が乗算された特性を有する計算モデルを設定する設定部を備える。また、設計しようとしている前記冷凍サイクルシステムにおいて満足させたい性能の値を前記計算モデルの目的関数とし、前記第一係数と前記第二係数と前記第三係数とを設計変数とした最適化計算を実施することで、前記性能を満たす前記第一係数と前記第二係数と前記第三係数との組み合わせを算出する最適化計算部を備える。ここで、前記第一係数及び前記第二係数が乗算される特性の種類は、前記目的関数に係る前記性能に対応するように決定される。
【0007】
なお、上記の「設計しようとしている前記冷凍サイクルシステムにおいて満足させたい性能」の具体例としては、前記エバポレーターで冷却された空気の温度(吹出温度)や圧損などが挙げられる。前記吹出温度を前記計算モデルの目的関数とする場合、前記第一係数や前記第二係数が乗算される対象を「熱交換量(例えば、風速及び熱交換量の関係における熱交換量,冷媒流量及び熱交換量の関係における熱交換量)」とすればよい。一方、前記圧損を前記計算モデルの目的関数とする場合、前記第一係数や前記第二係数が乗算される対象を「空気圧損(風速及び空気圧損の関係における空気圧損)」や「冷媒圧損(冷媒流量及び冷媒圧損の関係における冷媒圧損)」とすればよい。
【0008】
(2)前記冷凍サイクルシステムは、車両に搭載される冷凍サイクルシステムであることが好ましい。前記基準モデルは、設計しようとしている前記冷凍サイクルシステムが搭載される前記車両と同程度の大きさの既存の車両の冷凍サイクルシステムに定義されることが好ましい。
(3)前記基準モデルは、設計しようとしている前記冷凍サイクルシステムが搭載される前記車両と同車格の既存の車両の冷凍サイクルシステムに定義されることが好ましい。
【0009】
(4)開示の冷凍サイクルシステムの設計支援方法は、冷媒の循環経路上にコンデンサーとエバポレーターとコンプレッサーとが介装された冷凍サイクルシステムの設計を支援する、コンピューターによる設計支援方法である。この方法では、以下の手順がコンピューターで実行される。
・前記コンデンサー及び前記エバポレーターの複数の熱交換特性と、前記コンプレッサーの性能特性とが定義された前記冷凍サイクルシステムの基準モデルを作成する。
・前記基準モデルに対し、前記コンデンサーの複数の前記熱交換特性のうちいずれか一つの特性における熱交換量または圧損に第一係数が乗算された特性を有し、前記エバポレーターの複数の前記熱交換特性のうちいずれか一つの特性における熱交換量または圧損に第二係数が乗算された特性を有し、前記コンプレッサーの運転効率に第三係数が乗算された特性を有する計算モデルを設定する。
・設計しようとしている前記冷凍サイクルシステムにおいて満足させたい性能の値を前記計算モデルの目的関数とし、前記第一係数と前記第二係数と前記第三係数とを設計変数とした最適化計算を実施することで、前記性能を満たす前記第一係数と前記第二係数と前記第三係数との組み合わせを算出する。
・前記第一係数及び前記第二係数が乗算される特性の種類を、前記目的関数に係る前記性能に対応するように決定する。
【0010】
なお、前記第一係数は、以下のいずれかであることが好ましい。
・前記コンデンサーにおける風速または冷媒流量に対する前記熱交換量の特性において前記熱交換量に乗算される係数
・前記風速に対する空気圧損の特性において前記空気圧損に乗算される係数
・前記冷媒流量に対する冷媒圧損の特性において前記冷媒圧損に乗算される係数
【0011】
前記第二係数は、以下のいずれかであることが好ましい。
・前記エバポレーターにおける風速または冷媒流量に対する前記熱交換量の特性において前記熱交換量に乗算される係数
・前記風速に対する空気圧損の特性において前記空気圧損に乗算される係数
・前記冷媒流量に対する冷媒圧損の特性において前記冷媒圧損に乗算される係数
前記第三係数は、前記コンプレッサーの回転数及び圧力比に対する運転効率の特性において前記運転効率に乗算される係数であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
コンデンサー,エバポレーター,コンプレッサーのそれぞれの能力を第一係数,第二係数,第三係数で表現し、これらを設計変数とした最適化計算を実施することで、演算量を削減することができ、設計効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】冷凍サイクルシステムのモデル図である。
図2】冷凍サイクルシステムの設計支援装置を示す模式図である。
図3】(A)〜(D)は第一係数を説明するためのグラフである。
図4】(A)〜(D)は第二係数を説明するためのグラフである。
図5】第三係数を説明するためのグラフである。
図6】係数の組み合わせを説明するためのグラフである。
図7】冷凍サイクルシステムの設計支援方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して実施形態としての冷凍サイクルシステムの設計支援装置について説明する。この実施形態では、車両に搭載されるエアコン装置用の冷凍サイクルシステムが設計される。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0015】
[1.解析モデル]
図1は、設計支援装置の解析対象となる冷凍サイクルシステム7のモデル図である。冷凍サイクルシステム7は、例えば一次元モデルや三次元モデルなどの物理モデルとして作成され、冷媒経路6に沿った冷媒の運動や伝熱状態などが規定される。冷媒経路6には、コンデンサー1(凝縮器),エバポレーター2(気化器),コンプレッサー3(圧縮器),膨張弁4が介装される。コンデンサー1は高温・高圧・気体の冷媒を空気との間で熱交換させ、冷媒から空気へと放熱させる機能を持つ。コンデンサー1の内部を通過した冷媒は、温度低下により液化する。また、コンデンサー1の外部表面を通過した空気は暖められる。
【0016】
エバポレーター2は低温・低圧・液体の冷媒を空気との間で熱交換させ、空気から冷媒に吸熱させる機能を持つ。エバポレーター2の内部を通過した冷媒は、温度上昇により気化する。また、エバポレーター2の外部表面を通過した空気は冷却される。ここで冷却された空気は、冷房用の空調風としてブロアファン5で車室内に送給される。コンプレッサー3は低圧の冷媒を高圧に圧縮して圧送する機能を持ち、膨張弁4は、高圧の冷媒を減圧する機能を持つ。
【0017】
[2.装置構成]
図2は、冷凍サイクルシステム7の設計支援装置10の構成を示す模式図である。設計支援装置10は、コンピュータープログラム20を実行可能な汎用のコンピューターである。設計支援装置10には、中央処理装置11(CPU),主記憶装置12(メモリ),補助記憶装置13,入力装置14,出力装置15,記録装置16が設けられ、これらが内部バス17を介して互いに通信可能に接続される。
【0018】
中央処理装置11は、制御ユニット(制御回路)や演算ユニット(演算回路),キャッシュメモリ(レジスタ群)等を内蔵する処理装置(プロセッサ)である。主記憶装置12は、プログラムや作業中のデータが格納されるメモリ装置であり、例えばROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)がこれに含まれる。一方、補助記憶装置13は、主記憶装置12よりも長期的に保持されるデータやプログラムが格納されるメモリ装置であり、例えばフラッシュメモリやEEPROM(Electrically Erasable Program-mable Read-Only Memory),SSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリやハードディスクドライブがこれに含まれる。
【0019】
入力装置14は、コンピューターへの入力操作及び入力情報を司るものであり、例えばキーボードやマウス,ストレージリーダ等がこれに含まれる。本設計支援装置の解析対象となる冷凍サイクルシステム7のモデルは、入力装置14を介してコンピューターに入力可能であり、補助記憶装置13に記録,保存可能である。また、出力装置15は、コンピューターからの出力情報を司るものであり、例えばディスプレイ,プリンタ,ストレージライタ等がこれに含まれる。この出力装置15には、解析過程や解析結果が出力,表示される。記録装置16は、光ディスクや半導体メモリなどの記録媒体18(リムーバブルメディア)に記録,保存された情報を読み取る機能と書き込む機能とを併せ持つ装置である。
【0020】
設計支援装置10で実行されるコンピュータープログラム20は、主記憶装置12内に記録,保存されることとしてもよいし、補助記憶装置13の内部に記録,保存されることとしてもよい。あるいは、記録媒体18上にプログラムが記録,保存され、その記録媒体18に書き込まれているプログラムが記録装置16を介して中央処理装置11に読み込まれて実行されることとしてもよい。コンピュータープログラム20は、主記憶装置12上のメモリ空間内に適宜展開され、中央処理装置11に読み込まれて実行される。
【0021】
[3.制御構成]
本実施形態の設計支援装置10には、汎用の設計最適化計算ソフトウェアがインストールされる。最適化手法としては、数理計画法や品質工学手法,ヒューリスティクス系の手法(遺伝的アルゴリズム,焼きなまし法)などが採用される。また、コンピュータープログラム20には、記憶部21,設定部22,最適化計算部23が設けられる。これらの各要素は、コンピュータープログラム20の機能を便宜的に分類して示したものであり、個々の要素を独立したプログラムとして記述してもよいし、これらの機能を兼ね備えた複合プログラムとして記述してもよい。
【0022】
記憶部21は、冷凍サイクルシステムの基準モデルを記憶するものである。基準モデルとは、基準となる特性を持ったシステムのモデルである。既存のシステムを改良した新システムを設計する場合には、既存のシステムをモデル化したものが基準モデルとなる。例えば、設計しようとしている冷凍サイクルシステムが搭載される車両と同程度の大きさの既存の車両における冷凍サイクルシステムが、基準モデルとして定義される。あるいは、設計しようとしている冷凍サイクルシステムが搭載される車両と同車格の既存の車両における冷凍サイクルシステムが、基準モデルとして定義される。
【0023】
本実施形態では、図1に示すような冷凍サイクルシステム7のモデルが基準モデルとされる。基準モデルには、冷凍サイクルシステムに含まれる各種装置の特性や寸法,冷媒の特性などが定義される。例えば、コンデンサー1の熱交換特性や寸法,エバポレーター2の熱交換特性や寸法,コンプレッサー3の性能特性や寸法,膨張弁4の性能特性,ブロアファン5の性能特性,冷媒経路6の配管形状や配管経路及び配管材の寸法,冷媒の物性データなどが定義される。
【0024】
コンデンサー1の熱交換特性の具体例としては、冷媒流量と熱交換量との関係,風速と熱交換量との関係,冷媒流量と冷媒圧損との関係,風速と空気圧損との関係などのほか、コンデンサー1の素材の違いによる上記の各特性などが挙げられる。また、コンデンサー1の寸法の具体例としては、コンデンサー1のサイズ,冷媒の流路断面積,フィンのピッチなどが挙げられる。エバポレーター2の熱交換特性や寸法についても同様である。また、コンプレッサー3の性能特性の具体例としては、回転数と冷媒流量との関係,回転数と圧力比(冷媒の吸入圧に対する吐出圧の比)と運転効率との関係,回転数と冷媒の温度上昇量と圧力比との関係などが挙げられる。コンプレッサー3の寸法の具体例としては、冷媒圧縮部(固定羽根や可動羽根)の形状,冷媒の流路断面積,冷媒圧縮部から吐出ポートまでの流路の曲がり具合などが挙げられる。
【0025】
膨張弁4の性能特性の具体例としては、冷媒温度と冷媒圧力との関係,膨張弁4のリフト量と冷媒圧力との関係,膨張弁4のリフト量と冷媒流量との関係,冷媒流量と冷媒温度との関係などが挙げられる。ブロアファン5の性能特性の具体例としては、回転数と気温と風量との関係,風量と圧力比との関係,風速と空気圧損との関係などが挙げられる。冷媒経路6の特性の具体例としては、管路断面形状,断面積,管路圧,配管材質(熱伝導率)などが挙げられる。冷媒の物性データの具体例としては、冷媒温度と比熱との関係,冷媒温度と粘度との関係などが挙げられる。
【0026】
設定部22は、基準モデルに基づいて計算モデルを設定するものである。ここでは、基準モデルと計算モデルとの特性上の相違点が、冷媒経路6に介装される装置毎に最大で一つのパラメーターで表現されるものとする。つまり、計算モデルが基準モデルと異なるのは、装置毎に一つの特性のみである。図1に示す冷凍サイクルシステム7の場合、コンデンサー1,エバポレーター2,コンプレッサー3,膨張弁4の四種類の装置が冷媒経路6に介装されているため、最大で四つのパラメーターで基準モデルと計算モデルとの特性上の相違点が表現されるものとする。
【0027】
本実施形態の計算モデルは、同一車格の車両を対象とした設計で使用される基準モデルに基づくものとする。つまり、基準モデル及び計算モデルは、車室サイズやエンジンルーム内のレイアウトが同一な車両に搭載される冷凍サイクルシステムのモデルとする。また本実施形態では、コンデンサー1,エバポレーター2,コンプレッサー3の三つの装置について設計変更を行うものとする。すなわち、基準モデルと計算モデルとの特性上の相違点が三個の係数(変数)で表現されるものとする。以下、これらの係数を第一係数K1,第二係数K2,第三係数K3と呼ぶ。ここで設定された計算モデルは、基準モデルとは別個に記憶部21で記憶される。
【0028】
第一係数K1は、以下のいずれかである。
・コンデンサー1における風速または冷媒流量に対する熱交換量の特性において、熱交換量に乗算される係数〔図3(A),(B)参照〕
・コンデンサー1の外側を通過する空気の、風速に対する空気圧損の特性において、空気圧損に乗算される係数〔図3(C)参照〕
・コンデンサー1の内部を通る冷媒の、冷媒流量に対する冷媒圧損の特性において、冷媒圧損に乗算される係数〔図3(D)参照〕
【0029】
図3(A)〜(D)中の実線は基準モデルで定義された特性グラフであり、破線は計算モデルでの特性グラフに相当する。第一係数K1の値によって、グラフ形状は上下方向に変形する。計算モデル上のコンデンサー1の熱交換特性は、上記第一係数K1が乗算された熱交換量(若しくは空気圧損や冷媒圧損)を含む特性1つと、基準モデルと同じ複数の特性とを持つ。例えば、第一係数K1がコンデンサー1における風速に対する熱交換量に乗算された場合、計算モデル上のコンデンサー1の熱交換特性は、図3(A)の破線グラフと、図3(B)〜(D)の実線グラフとで定義される特性となる。また、計算モデル上のコンデンサー1の寸法は、基準モデル上のコンデンサー1と同じ寸法である。つまり、計算モデルのコンデンサー1の特性は、複数の熱交換特性のうち1つの特性の熱交換量または圧損に第一係数K1が乗算された特性を有するという点以外は基準モデルのコンデンサー1と同一であるとみなされる。
【0030】
第一係数K1の乗算先は、設計モデル上で満足させたい冷凍サイクルシステムの性能にあわせて変更することができる。例えば、冷凍サイクルシステムのエバポレーター2で冷却された空気の温度(吹出温度)を所定値以下に抑えたい場合には、コンデンサー1の風速に対する熱交換量の関係において熱交換量の値に第一係数K1を乗算すればよい。あるいは、冷凍サイクルシステムの圧損を所定値以下に抑えたい場合には、コンデンサー1の冷媒流量に対する冷媒圧損の関係において冷媒圧損の値に第一係数K1を乗算すればよい。このように、第一係数K1が乗算される特性の種類(熱交換量,空気圧損,冷媒圧損)は、設計しようとしている冷凍サイクルシステムにおいて満足させたい性能(温度,圧損)に対応するように決定される。
【0031】
第二係数K2は、以下のいずれかである。
・エバポレーター2における風速または冷媒流量に対する熱交換量の特性において、熱交換量に乗算される係数〔図4(A),(B)参照〕
・エバポレーター2の外側を通過する空気の、風速に対する空気圧損の特性において、空気圧損に乗算される係数〔図4(C)参照〕
・エバポレーター2の内部を通る冷媒の、冷媒流量に対する冷媒圧損の特性において、冷媒圧損に乗算される係数〔図4(D)参照〕
【0032】
図4(A)〜(D)中の実線は基準モデルで定義された特性グラフであり、破線は計算モデルでの特性グラフに相当する。第二係数K2の値によって、グラフ形状は上下方向に変形する。つまり、計算モデルのエバポレーター2の特性は、熱交換量または圧損に第二係数K2が乗算された特性を有するという点以外は基準モデルのエバポレーター2と同一であるとみなされる。なお、第二係数K2の乗算先は、第一係数K1と同様に、設計モデル上で満足させたい冷凍サイクルシステムの性能にあわせて変更可能である。すなわち、第二係数K2が乗算される特性の種類(熱交換量,空気圧損,冷媒圧損)に関しても、設計しようとしている冷凍サイクルシステムにおいて満足させたい性能(温度,圧損)に対応するように決定すればよい。
【0033】
第三係数K3は、コンプレッサー3の回転数及び圧力比に対する運転効率の特性において、運転効率に乗算される係数である(図5参照)。図5中の実線は基準モデルで定義された特性グラフであり、破線は計算モデルでの特性グラフに相当する。第三係数K3の値によって、グラフ形状は上下方向に変形する。計算モデル上のコンプレッサー3の寸法は、基準モデル上のコンプレッサー3と同じである。つまり、計算モデルのコンプレッサー3の特性は、運転効率に第三係数K3が乗算された特性を有するという点以外は基準モデルのコンプレッサー3と同一であるとみなされる。
【0034】
最適化計算部23は、計算モデルにおいて、冷凍サイクルシステムの性能の目標値を満足するようなパラメーターを算出するものである。例えば、冷房性能を重視する場合には、エバポレーター2で冷却された空気の温度(吹出温度)が所定温度以下となるようなパラメーターを算出する。つまり、吹出温度を目的関数とし、上記のパラメーター(第一係数K1,第二係数K2,第三係数K3)を設計変数とした最適化計算が実施されて、上記のパラメーターの組み合わせが多数算出される。また、冷媒の循環性能や動作の安定性を重視する場合には、冷凍サイクルシステム全体の圧損が所定値以下となるようなパラメーターを算出する。例えば、圧損の合計値や平均値を目的関数とした最適化計算が実施される。最適化の計算は、汎用の設計最適化計算ソフトウェアを用いて、実車相当の試験条件で実行される。
【0035】
図6は、上記のパラメーター(第一係数K1,第二係数K2,第三係数K3)及び吹出温度の組み合わせを折れ線で接続したグラフである。最適なパラメーターは、例えば吹出温度が目標温度以下の範囲内にあり、かつ、各パラメーターが所定範囲内(例えば、上限値KMAX以下であって下限値KMIN以上の範囲)にあることとされる。なお、最適化計算では吹出温度が目標温度を超えるような組み合わせが算出される場合があるが、このような組み合わせはあらかじめ削除してしまってもよい。所定範囲の位置や幅は、個々のパラメーターに応じて個別に設定してもよい。また、パラメーターの値が1.0に近いほど、既存のシステムとの差が小さいことを意味する。したがって、所定範囲に1.0を含ませることで、既存のシステムから大きく乖離しない適度な仕様変更を与えるパラメーターの値が取得可能となる。
【0036】
[4.フローチャート]
図7は、上記のコンピュータープログラム20による制御の手順を説明するためのフローチャートの例である。このフローチャートは、エバポレーター2で冷却された空気の温度(吹出温度)が所定温度以下となるようなパラメーターを算出する場合の手順を示すものである。
ステップA1では基準モデルを作成し、記憶部21に記憶させる(基準モデル作成ステップ)。基準モデルの作成は、既存の車両設計用シミュレーションソフトウェアや設計最適化計算ソフトウェア,熱流動解析ソフトウェアなどのデータを流用してもよいし、設計者がマニュアル入力で作成してもよい。なお、計算モデルと同車格,同サイズであることを条件として、実車に適用されている既存の冷凍サイクルシステムのモデルを作成することが好ましい。
【0037】
ステップA2では、基準モデルのうち、コンデンサー1の熱交換特性とエバポレーター2の熱交換特性とコンプレッサー3の性能特性とが異なる計算モデルを設定する(計算モデル設定ステップ)。すなわち、コンデンサー1に関しては、複数の熱交換特性のうち、風速に対する熱交換量のみに第一係数K1が乗算され、エバポレーター2に関しては、複数の熱交換特性のうち、風速に対する熱交換量のみに第二係数Kが乗算され、コンプレッサー3に関しては、回転数及び圧力比に対する運転効率の特性に第三係数K3が乗算される。コンデンサー1,エバポレーター2の残りの熱交換特性や、コンデンサー1,エバポレーター2,コンプレッサー3の寸法に関しては、基準モデルに対して変化しない。これにより、基準モデルに対する計算モデルの相違点は、第一係数K1,第二係数K2,第三係数K3の三パラメーターのみで定義される。また、各係数の上限値KMAX及び下限値KMINが設定される。これらの上限値KMAX,下限値KMINは、エンジンルーム内のレイアウトや装置の物理的なサイズ,コスト要件などに応じて設定される。
【0038】
ステップA3では、吹出温度を目的関数とし、第一係数K1,第二係数K2,第三係数K3を設計変数とした最適化計算が実施される(最適化計算ステップ)。ここでは例えば、吹出温度を10℃以下にする場合には、10℃の吹出温度を生成しうる各係数K1,K2,K3の組み合わせや、8℃の吹出温度を生成しうる各係数K1,K2,K3の組み合わせ、6℃の吹出温度を生成しうる各係数K1,K2,K3の組み合わせなどが算出される。最適化計算を実施することで、図6に示すようなパラメーター及び吹出温度の組み合わせが取得される。これらの組み合わせは、出力装置15に表示される。
【0039】
ステップA4では、複数の組み合わせの中から各係数K1,K2,K3の最適な組み合わせが抽出される(抽出ステップ)。ここでは、吹出温度の条件と上限値KMAX及び下限値KMINの条件とをともに満足する組み合わせが抽出される。この抽出作業は、出力装置15に表示されたグラフを参照しながら設計者自らが実施してもよいし、コンピュータープログラム20が自動的に選別するような仕組みにしてもよい。
【0040】
ステップA5では、抽出された各係数K1,K2,K3を乗算することにより、コンデンサー1,エバポレーター2の風速に対する熱交換量の特性と、コンプレッサー3の回転数及び圧力比に対する運転効率の特性が特定されるとともに、これらの特性を満足するコンデンサー1,エバポレーター2の寸法,他の熱交換特性,コンプレッサー3の寸法などが計算される。なお、ステップA4で得られた各係数K1,K2,K3は、それらの係数K1,K2,K3によって変更される特性以外は基準モデルと同一の冷凍サイクルシステムを前提とした最適化計算に基づくものに過ぎない。ステップA5は、各係数K1,K2,K3によって変更された特性が実際に得られるように、机上計算や実験などを通じて他の特性や寸法を算出するステップである。
【0041】
ステップA6では、ステップA5で算出されたコンデンサー1,エバポレーター2の寸法や熱交換特性,コンプレッサー3の寸法,性能特性などが、吹出温度の条件を満たすか否かが確認される(確認ステップ)。吹出温度の条件が満たされていれば、各係数K1,K2,K3が代入された計算モデルが、求めるべき冷凍サイクルシステム7のモデルとなる。一方、吹出温度の条件が満たされていなければ、ステップA4で抽出されたものとは別の組み合わせを抽出し、再びステップA5〜A6を実施する。あるいは、ステップA3の最適化計算をさらに継続して、他の組み合わせを取得するところから繰り返してもよい。
【0042】
[5.効果]
(1)上記の設計支援装置,設計支援方法では、設計モデルにおけるコンデンサー1,エバポレーター2,コンプレッサー3の各能力が第一係数K1,第二係数K2,第三係数K3でシンプルに表現される。これらの係数K1〜K3を設計変数とした最適化計算を実施することで演算量を削減することができ、最適化にかかる時間を著しく短縮することができる。一方、既存の車両に搭載される冷凍サイクルシステムを基準モデルとすれば、たとえコンデンサー1,エバポレーター2,コンプレッサー3の能力をそれぞれ一つの変数で表現したとしても、システム全体のシミュレーション精度を維持することができる。したがって、冷凍サイクルシステムの設計効率を向上させることができる。
【0043】
また、上記の設計支援装置,設計支援方法では、第一係数K1,第二係数K2の乗算対象となる特性の種類(熱交換量,空気圧損,冷媒圧損)が、設計しようとしている冷凍サイクルシステムにおいて満足させたい性能(温度,圧損)に対応するように決定される。これにより、たとえ基準モデルの一部のみを変更した計算モデルを用いて最適化計算を実施したとしても、良好な計算精度を確保することができ、システム全体のシミュレーション精度を維持することができる。したがって、冷凍サイクルシステムの設計効率を向上させることができる。
【0044】
なお、冷凍サイクルシステムのコンデンサー1やエバポレーター2の内部では、冷媒が状態変化(相転移)を起こすことから、図3図4に示すような各種特性の相関性を予測することが困難である。一方、冷凍サイクルシステムの構成部品毎の設計変数をただ一つに固定することで、システム全体の設計変数の数を少なくしつつ、実際には起こり得ない結果が導出されることを防ぐことができる。したがって、冷凍サイクルシステムの設計効率を向上させることができる。
【0045】
(2)上記の設計支援装置,設計支援方法では、設計しようとしている冷凍サイクルシステムが搭載される車両と同程度の大きさ(例えば同車種)の既存の車両における冷凍サイクルシステムが、基準モデルとして定義されうる。冷凍サイクルシステムが適用される車両の大きさが同程度であれば、コンデンサー1,エバポレーター2,コンプレッサー3のサイズが大きく変更されることがないので、特性データも大きく変動しない。このことから、計算モデルの一部のデータとして基準モデルのデータを利用したとしても、計算精度が維持される。したがって、システム全体のシミュレーション精度を維持することができ、冷凍サイクルシステムの設計効率を向上させることができる。
【0046】
(3)また、上記の設計支援装置,設計支援方法では、設計しようとしている冷凍サイクルシステムが搭載される車両と同車格の既存の車両における冷凍サイクルシステムが、基準モデルとして定義されうる。この場合、冷凍サイクルシステムに求められる性能や製造コストが大きく変更されることがないので、特性データも大きく変動しない。ゆえに、計算モデルの一部のデータとして基準モデルのデータを利用したとしても、計算精度をより確実に維持しやすくなる。したがって、システム全体のシミュレーション精度を維持することができ、冷凍サイクルシステムの設計効率を向上させることができる。
【0047】
(4)第一係数K1は、例えば図3(A)〜(B)に示すように、風速または冷媒流量に対する熱交換量の特性において、熱交換量に乗算される係数として設定される。または、図3(C)に示すように、風速に対する空気圧損の特性において、空気圧損に乗算される係数として設定される。あるいは、図3(D)に示すように、冷媒流量に対する冷媒圧損の特性において、冷媒圧損に乗算される係数として設定される。このように、計算モデルに含まれるコンデンサー1の能力を熱交換量または圧損に代表させることで、コンデンサー1に設計上要求される能力の傾向(グラフ形状)を大きく変化させることなく、シミュレーション精度を維持したまま演算量を削減することができる。したがって、冷凍サイクルシステムの設計効率を向上させることができる。
【0048】
(5)同様に第二係数K2は、例えば図4(A)〜(D)に示すように、風速または冷媒流量に対する熱交換量の特性において、熱交換量に乗算される係数として設定される。または、図4(C)に示すように、風速に対する空気圧損の特性において、空気圧損に乗算される係数として設定される。あるいは、図4(D)に示すように、冷媒流量に対する冷媒圧損の特性において、冷媒圧損に乗算される係数として設定される。これにより、設計上のエバポレーター2における熱交換能力の傾向(グラフ形状)を大きく変化させることなく、シミュレーション精度を維持したまま演算量を削減することができ、冷凍サイクルシステムの設計効率を向上させることができる。
【0049】
(6)第三係数K3は、例えば図5に示すように、コンプレッサー3の回転数及び圧力比に対する運転効率の特性において、運転効率に乗算される係数として設定される。これにより、設計上のコンプレッサー3における冷媒圧送能力の傾向(グラフ形状)を大きく変化させることなく、シミュレーション精度を維持したまま演算量を削減することができ、冷凍サイクルシステムの設計効率を向上させることができる。
【0050】
[6.変形例]
上述の実施形態では、計算モデルに三つの係数K1,K2,K3が設定されたものを例示したが、係数の個数は最小で一つにすることができる。例えば、基準モデルに対してコンデンサー1のみを仕様変更したいような場合には、第一係数K1のみを設定し、第一係数K1のみで基準モデルと計算モデルとの相違点が表現されるものとしてもよい。また、基準モデルに対してコンプレッサー3のみを仕様変更したいような場合には、第三係数K3のみを設定すればよい。なお、第三係数K3のみを設定することは、第一係数K1及び第二係数K2を1とみなすこと(K1=K2=1)と同義である。したがって、最適化計算を実施する際に第一係数K1及び第二係数K2の上限値KMAX,下限値KMINを1に設定することで、第三係数K3のみを設定した場合と実質的に同一の制御を実現することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 コンデンサー
2 エバポレーター
3 コンプレッサー
4 膨張弁
5 ブロアファン
6 冷媒経路
7 冷凍サイクルシステム
10 設計支援装置
11 中央処理装置
12 主記憶装置
13 補助記憶装置
14 入力装置
15 出力装置
16 記録装置
17 内部バス
18 記録媒体
20 プログラム
21 記憶部
22 設定部
23 最適化計算部
K1 第一係数
K2 第二係数
K3 第三係数
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7