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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-206052(P2018-206052A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】マウス
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0354 20130101AFI20181130BHJP
【FI】
   G06F3/0354 441
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-110595(P2017-110595)
(22)【出願日】2017年6月5日
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加納 英和
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087AA04
5B087AA09
5B087AB02
5B087BB00
(57)【要約】
【課題】ユーザの手のサイズ又は形状に関係なく使用でき、かつ耐久性に優れたマウスを提供する。
【解決手段】弾性変形するシート状の板部材11と、圧電フィルム21,22を備え、板部材11に設けられ、かつ板部材11の変形に応じた電位を出力するセンサ31,32と、センサ31,32からの出力を受付ける回路部13と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性変形するシート状の板部材と、
圧電フィルムを備え、前記板部材に設けられ、かつ前記板部材の変形に応じた電位を出力するセンサと、
前記センサからの出力を受付ける回路部と、
を備えるマウス。
【請求項2】
前記板部材は、該板部材の第一主面又は第二主面のいずれかが内側になるように弾性変形する請求項1に記載のマウス。
【請求項3】
前記板部材は、複数の領域に区分されている請求項1又は2に記載のマウス。
【請求項4】
前記センサは、前記複数の領域毎に設けられている請求項3に記載のマウス。
【請求項5】
前記板部材は、厚みが均一ではない請求項3又は4に記載のマウス。
【請求項6】
前記圧電フィルムは一軸方向に延伸されたポリ乳酸を含み、
前記一軸方向は前記板部材のねじれ変形の方向に対して略±45°である請求項1から5のいずれか1項に記載のマウス。
【請求項7】
前記圧電フィルムは一軸方向に延伸されたポリ乳酸を含み、
前記一軸方向は、前記複数の領域毎に、前記板部材のねじれ変形又は曲げ変形の方向に対して略±45°である請求項4又は5に記載のマウス。
【請求項8】
前記圧電フィルムは、
ユーザから押圧操作を受付ける第一区域と、
前記第一区域と少なくとも一部が隣接し、前記ユーザから前記押圧操作を受付ける第二区域と、をさらに備え、
前記センサは、前記第一区域で前記押圧操作を受付けたときと、前記第二区域で前記押圧操作を受付けたときとで、其々逆の極性の電位を出力する請求項1から7のいずれか1項に記載のマウス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルに変形可能なマウスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1本体部及び第2本体部と、これら第1及び第2本体部を折り畳み可能に接続するヒンジと、ヒンジに備えられた挟み込み防止コンポーネントと、を備える折り畳み式マウスが開示されている。特許文献1に記載の折り畳み式マウスにおいては、挟み込み防止コンポーネントが、実質的に、第1及び第2本体部間においてヒンジに沿った挟み込みを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2012−501497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のマウスにおいては、折りたたむことができるが、ヒンジにより折り曲げているため、所定の位置でしか折り曲げることができない。このため、ユーザの手の大きさによってマウスを握った時のフィット感が異なる。さらに、ヒンジが壊れる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、ユーザの手のサイズ又は形状に関係なく使用でき、かつ耐久性に優れたマウスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るマウスは、弾性変形するシート状の板部材と、圧電フィルムを備え、前記板部材に設けられ、かつ前記板部材の変形に応じた電位を出力するセンサと、前記センサからの出力を受付ける回路部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この構成では、使用時にユーザがシート状の板部材を握りこむように把持すると、板部材は、弾性変形する。このとき、ユーザの手の形状に合わせて板部材は変形する。これにより、ユーザの手のサイズ又は形状がどのようなものであっても、板部材はユーザの手にフィットするように変形することができる。また、折れ曲がる箇所にヒンジ等の機械的な構造を設ける必要がない。このため、ヒンジ等の破損が防止されるため、マウスの耐久性を向上することができる。
【0008】
ユーザが板部材にねじれ又は曲げなどの変形を与えると、板部材と共に圧電フィルムが変形する。センサは圧電フィルムの変形により出力された電位を回路部へ出力する。これにより、ユーザが板部材に与えるねじれ又は曲げなどの変形に応じた電位を得ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザの手のサイズ又は形状に関係なく使用でき、かつ耐久性に優れるマウスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第一実施形態に係るマウスの底面図である。
図2図2は、第一実施形態に係るマウスのブロック図である。
図3図3(A)は、第一実施形態に係るマウスの使用状況を説明するための斜視図である。図3(B)は、第一実施形態に係るマウスの使用状況を説明するための平面図である。
図4図4(A)は、第一実施形態に係るセンサの分解斜視図、図4(B)はその断面概略図である。
図5図5は第一実施形態に係る圧電フィルムを説明するための図である。
図6図6(A)及び図6(B)は、第一実施形態に係る板部材の変形例を説明するための図である。
図7図7は、第一実施形態の変形例に係るマウスを説明するための平面図である。
図8図8は、第一実施形態の変形例に係るマウスを説明するための平面図である。
図9図9(A)及び図9(B)は、第二実施形態に係るマウスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、第一実施形態に係るマウス10の底面図である。図2は、第一実施形態に係るマウスのブロック図である。なお、図1に示すマウス10はあくまで一例であり、これに限るものではなく仕様態様に応じて形状や素材等を適宜変更することができる。以下では、マウス10の幅方向(横方向)をX方向とし、長さ方向(縦方向)をY方向とし、厚み方向をZ方向として説明する。
【0012】
図1に示すように、マウス10は、板部材11、センサ部12、及び回路部13を備える。センサ部12は、ねじれを検出するねじれ用圧電フィルム21、及び曲げを検出する曲げ用圧電フィルム22を備える。センサ部12は、板部材11の底面側である第一主面に設けられている。なお、センサ部12は、板部材11の少なくともいずれか一方の主面に設けられている。言い換えると、板部材11の第一主面又は第二主面のいずれか一方に設けられていればよい。
【0013】
マウス10は、第一主面又は第二主面のいずれか一方が内側になるように弾性変形する。これにより、マウス10は、第一主面が内側になる形、又は逆に第二主面が内側になる形で使用することができる。したがって、裏表の両方で使用することができるため、左右を逆にすることができる。これにより、右利きユーザは第一主面が内側になる形で、逆に左利きユーザは第二主面が内側になる形で使用するように使い分けることができる。また、マウス10を変形させたときの出力信号の極性によって、ユーザが右手でマウス10を把持しているか、又は左手でマウス10を把持しているかを判別することができる。
【0014】
図2に示すように、センサ部12は、ねじれを検出するねじれ用圧電フィルム21、及び曲げを検出する曲げ用圧電フィルム22を備える。回路部13は、ねじれ用検出回路23、曲げ用検出回路24、制御部25、通信部26、及び電源27を備える。ねじれ用検出回路23は、ねじれ用圧電フィルム21と接続され、ねじれ用圧電フィルム21から出力される電荷を検出する。曲げ用検出回路24は、曲げ用圧電フィルム22と接続され、曲げ用圧電フィルム22から出力される電荷を検出する。ねじれ用圧電フィルム21及びねじれ用検出回路23は、ねじれ用センサ31を構成する。曲げ用圧電フィルム22及び曲げ用検出回路24は、曲げ用センサ32を構成する。ねじれ用センサ31及び曲げ用センサ32は、本発明におけるセンサにそれぞれ相当する。
【0015】
制御部25は、ねじれ用検出回路23、曲げ用検出回路24、通信部26、及び電源27とそれぞれ接続されている。制御部25は、不図示のROMなどのメモリに格納されたプログラム等を読み出して様々な制御処理を実行する。電源27がONにされることにより、制御部25は起動される。制御部25には、ねじれ用検出回路23又は曲げ用検出回路24で検出された電荷の出力信号がそれぞれ入力される。制御部25は入力された出力信号に基づき、通信部26を介して外部へ指示を送信する。通信部26は、例えばWi−Fi(登録商標)規格、Bluetooth(登録商標)規格等の無線信号を入出力する。この通信部26により、マウス10は不図示のパーソナルコンピュータとの通信が可能となる。なお、通信部26はマウス10がワイヤレスマウスの場合に必要であり、マウス10が有線接続される場合は不要とすることができる。
【0016】
板部材11は、マウス10において二つの領域に区分されている。板部材11は、ねじれ用センサ31又は曲げ用センサ32が備えられた領域に区分することができる。板部材11は、区分されたそれぞれの領域において、ねじれ又は曲げを検出するセンサが備えられている。
【0017】
図3(A)は、マウス10の使用状況を説明するための斜視図である。図3(B)は、マウス10の使用状況を説明するための平面図である。図3(B)において、ユーザの手は破線で示している。また、実際には底面側であるため視認されないセンサ部12を説明の便宜上実線で示している。
【0018】
板部材11は、弾性変形するシート状の部材からなる。板部材11の材料としては、例えば、天然ゴムやブタジエンゴム、イソプレンゴム、又はシリコーンゴムなどの合成ゴム等が挙げられる。センサ部12も板部材11の変形にしたがって変形する部材から成る。このため、不使用時に板部材11には力が加えられないため、板部材11は平らなシート状に戻り、マウス10は平面状の平板となる。したがって、マウス10は嵩張らない形状を維持することができるため、持ち運びが容易となる。例えば、パーソナルコンピュータ本体に貼り付けても嵩張らず、スムーズに移動できる。また、パーソナルコンピュータ本体にマウス10を収納するスロット又はホルダを設けてもよい。マウス10は嵩張らないため、該スロット又は該ホルダに要する空間も少ないため、薄型のパーソナルコンピュータにも適用できる。
【0019】
図3(A)及び図3(B)に示すように、使用時にマウス10は、ユーザによって把持されることにより、ユーザの手の形状に合わせて変形する。このため、マウス10の形状を、ユーザの手にフィットさせることができる。したがって、マウス10は、ユーザの手の形状やサイズに関係なく使用することができる。また、折れ曲がる箇所にヒンジ等の機械的な構造がないため、破損が防止される。さらに、マウス10の変形を検知することにより、マウス10にマウス10の電源をON/OFFさせる機能を持たせることができる。これにより、スイッチを設ける必要がなく、簡単な構成で実現できる。また、スイッチの切り忘れによる余分な電力の消費を抑制することができる。
【0020】
図4(A)は、第一実施形態に係るねじれ用センサ31の分解斜視図、図4(B)はその断面概略図である。図4(B)は、マウス10を図1(A)に示すA-Aで切断した断面の概略図である。図4(A)及び図4(B)において、ねじれ用センサ31のうち、ねじれ用検出回路23は省略されて表示されている。また、図4(A)及び図4(B)において、ねじれ用センサ31に対応する箇所の板部材11を表示している。なお、曲げ用センサ32の構造については、ねじれ用センサ31の構造と同様であるため説明を省略する。
【0021】
図4(A)及び図4(B)に示すように、ねじれ用センサ31は、シグナル電極41、グランド電極42、及びねじれ用圧電フィルム21を備える。なお、図4(A)及び図4(B)では、ねじれ用センサ31は、シグナル電極41、グランド電極42、及びねじれ用圧電フィルム21以外の配線等の図示は省略している。
【0022】
ねじれ用センサ31においては、シグナル電極41、ねじれ用圧電フィルム21、及びグランド電極42は、ねじれ用圧電フィルム21を挟んだ形で積層され相互に貼り付けられている。ねじれ用センサ31を平面視した時、グランド電極42又はシグナル電極41の少なくとも一方は、上面視でねじれ用圧電フィルム21と完全に重なるか、ねじれ用圧電フィルム21より面方向内側に位置していると良い。例えば、グランド電極42及びねじれ用圧電フィルム21は概ね同様の形状に形成されていることが好ましい。これにより、電極の端部における短絡を抑制できる。
【0023】
グランド電極42は、ねじれ用圧電フィルム21が貼り付けされていない面が板部材11に貼り付けられている。これにより、板部材11の変形にしたがってねじれ用センサ31が変形する。なお、ねじれ用センサ31は、シグナル電極41側で板部材11に貼り付けられていてもよい。
【0024】
図5は、第一実施形態に係るねじれ用圧電フィルム21及び曲げ用圧電フィルム22を説明するための図である。図5は、ねじれ用圧電フィルム21及び曲げ用圧電フィルム22を平面視した図である。なお、図3(B)と同様に、紙面上側から見て上側に積層されて存在する板部材11については、透過させた形で表している。また、ねじれ用圧電フィルム21及び曲げ用圧電フィルム22以外の構成については、省略している。
【0025】
図5に示すように、ねじれ用圧電フィルム21は、左クリック部211、及び右クリック部212を備える。曲げ用圧電フィルム22は、左押圧部221、右押圧部222、中央手前押圧部223、及び中央押圧部224を備える。
【0026】
ねじれ用圧電フィルム21はキラル高分子から形成されるフィルムであってもよい。キラル高分子として、第一実施形態では、ポリ乳酸(PLA)、特にL型ポリ乳酸(PLLA)を用いている。キラル高分子からなるPLLAは、主鎖が螺旋構造を有する。PLLAは、一軸延伸されて分子が配向すると圧電性を有する。そして、一軸方向へ一軸延伸されたPLLAは、ねじれ用圧電フィルム21の平板面が押圧されることにより、電圧を発生する。この際、発生する電圧量は、押圧量により平板面が当該平板面に直交する方向へ変位する変位量に依存する。
【0027】
第一実施形態では、ねじれ用圧電フィルム21(PLLA)の一軸延伸方向は、図5の矢印901に示すように、Y方向に平行な方向としている。この方向には、例えば±10度程度を含む角度を含む。これにより、ねじれ用圧電フィルム21が押圧されることにより電圧が発生する。
【0028】
例えば、ユーザが左クリック操作を行うと、左クリック部211に矢印900に示すようなX方向及びY方向に対して45°傾く方向に押圧操作が加えられる。これにより、矢印900に示すような方向に垂直な方向に左クリック部211がねじれ、圧電フィルム21から電圧が発生する。したがって、左クリック部211が押圧操作を受けたことを検出することができる。また、逆にユーザが、右クリック操作を行うと、右クリック部212に矢印903に示すようなX方向及びY方向に対して45°傾く方向に押圧操作が加えられる。これにより、矢印903に示すような方向に垂直な方向に右クリック部212がねじれ、圧電フィルム21から電圧が発生する。したがって、右クリック部212が押圧操作を受けたことを検出することができる。なお、従来の光の反射により位置などを検知するマウスと比較すると、光を反射させる机等の反射板が不要となる。
【0029】
第一実施形態では、曲げ用圧電フィルム22(PLLA)の一軸延伸方向は、図5の矢印902に示すように、X方向及びY方向に対して45°傾く方向としている。この方向には、例えば±10度程度を含む角度を含む。これにより、曲げ用圧電フィルム22が押圧されることにより電圧が発生する。
【0030】
ユーザがマウス10をY方向へ押す動作を行うとき、ユーザは手のひらでマウス10を押す。このとき、例えば、マウス10を把持する指の先端がテーブルに接した状態で、且つ手のひらがテーブルから離れた状態とすることにより、マウス10の操作性を向上させることができる。
【0031】
ユーザは中央手前押圧部223を矢印904に示すような方向に押圧操作を加える。この操作により、中央手前押圧部223が矢印904に示すような方向に曲がる。この曲げ変形により、圧電フィルム22から電圧が発生する。したがって、中央手前押圧部223が押圧操作を受けたことを検出することにより、ユーザがマウス10をY方向へ押す動作を検知することができる。
【0032】
逆に、ユーザがマウス10を−Y方向へ引く動作を行うとき、ユーザは中央押圧部224を矢印907に示すような方向に押圧操作を加える。この操作により、中央押圧部224が矢印907に示すような方向に曲がる。この曲げ変形により、圧電フィルム22から電圧が発生する。ここで、中央押圧部224に加えられた曲げ変形は、中央手前押圧部223に加えられた曲げ変形と逆の向きである。これにより、圧電フィルム22は、中央手前押圧部223が押圧操作を受けた時と逆の極性の電荷を発生する。したがって、中央押圧部224が押圧操作を受けたことを検出することにより、ユーザがマウス10を−Y方向へ引く動作を検知することができる。
【0033】
PLLAは、延伸等による分子の配向処理で圧電性を生じ、PVDF等の他のポリマーや圧電セラミックスのように、ポーリング処理を行う必要がない。すなわち、強誘電体に属さないPLLAの圧電性は、PVDF又はPZT等の強誘電体のようにイオンの分極によって発現するものではなく、分子の特徴的な構造である螺旋構造に由来するものである。このため、PLLAには、他の強誘電性の圧電体で生じる焦電性がない。焦電性がないため、ユーザの指の温度や摩擦熱による影響が生じないため、マウス10を薄く形成することができる。さらに、PVDF等は経時的に圧電定数の変動が見られ、場合によっては圧電定数が著しく低下する場合があるが、PLLAの圧電定数は経時的に極めて安定している。したがって、周囲環境に影響されることなく、押圧による変位を高感度に検出することができる。なお、PVDFを使用する場合であっても温度補償回路を形成し、温度による影響を補償させてもよい。
【0034】
なお、ねじれ用圧電フィルム21は、PLLAに限られず、PDLAであってもよい。
【0035】
ねじれ用圧電フィルム21の両主面に形成されているシグナル電極41又はグランド電極42は、アルミニウムや銅等の金属系の電極を用いるのが好適である。このようなシグナル電極41又はグランド電極42を設けることで、ねじれ用圧電フィルム21が発生する電荷を電圧として取得でき、押圧量に応じた電圧値の押圧量検出信号を外部へ出力することができる。
【0036】
図6(A)及び図6(B)は、第一実施形態に係るマウス10の変形例を説明するための図である。図6(A)は、変形例に係るマウス60を示したものである。図6(B)は、マウス60を図6(A)に示すB-Bで切断した断面図である。板部材11の厚みが均一であったのに対して、板部材61は厚みが均一ではない点のみ異なる。このため、板部材11について板部材61と異なる点について説明する。
【0037】
図6(A)に示すように、マウス60は板部材61を備える。図6(B)に示すように、板部材61は、中央手前押圧部223及び中央押圧部224に対応する部分の厚みが他の部分に比べて厚い。これにより掌に接触する部分の硬度が高くなる。なお、中央手前押圧部223及び中央押圧部224に対応する部分の材料を他の硬度が高くなる材料で形成することにより、硬度を高めることも可能である。これにより、マウス60を把持し易くすることができる。また、中央手前押圧部223及び中央押圧部224に対応する部分と他の部分との硬度が異なるため、これらの境で板部材61が折れ曲がり易くなるため、マウス60の立体形状が整い易くなる。なお、中央手前押圧部223及び中央押圧部224に対応する部分と他の部分との境に溝やスリットを設けることにより、板部材61を折れ曲がり易くすることもできる。
【0038】
図7は、第一実施形態の変形例に係るマウス70を説明するための平面図である。マウス10においてセンサ部12がねじれ用圧電フィルム21及び曲げ用圧電フィルム22を備えるのに対して、マウス70ではセンサ部72が圧電フィルム73及び圧電フィルム74を備える点のみ異なる。このため、板圧電フィルム73及び圧電フィルム74についてねじれ用圧電フィルム21及び曲げ用圧電フィルム22と異なる点について説明する。
【0039】
図7に示すように、センサ部72は、圧電フィルム73及び圧電フィルム74を備える。圧電フィルム73の左クリック部211(PLLA)の一軸延伸方向は、図7の矢印901に示すように、Y方向に平行な方向としている。これに対して、圧電フィルム73の右クリック部212(PLLA)の一軸延伸方向は、図5の矢印902に示すように、X方向及びY方向に対して45°傾く方向としている。このように、圧電フィルム73において左右の領域におけるPLLAの一軸延伸方向を異なる方向とすることにより、それぞれで異なったユーザの動きを検知することができる。
【0040】
圧電フィルム74の左押圧部221(PLLA)及び右押圧部222(PLLA)の一軸延伸方向は、図7の矢印901に示すように、Y方向に平行な方向としている。これに対して、圧電フィルム74の中央手前押圧部223及び中央押圧部224(PLLA)の一軸延伸方向は、図5の矢印902に示すように、X方向及びY方向に対して45°傾く方向としている。このように、圧電フィルム74において左右の領域と中央部とでPLLAの一軸延伸方向を異なる方向とすることにより、それぞれで異なったユーザの動きを検知することができる。
【0041】
なお、使用態様に応じてそれぞれの圧電フィルムごとに延伸方向をさらに細かく複数の領域に区分したPLLAを使用することも可能である。また、逆にセンサ部72全体を一枚のねじれ用圧電フィルムで、すなわち圧電フィルム全体のPLLAの一軸延伸方向が、図7の矢印902に示すように、X方向及びY方向に対して45°傾く方向とすることもできる。このように、一枚の圧電フィルムとすることにより、製造が容易となる。
【0042】
図8は、第一実施形態の変形例に係るマウス80を説明するための平面図である。マウス80はマウス10の構成に加えて、さらにこすり操作を受付ける部分を有する点のみ異なる。このため、マウス80についてこすり操作を受付ける部分についてのみ説明する。
【0043】
図8に示すように、マウス80はセンサ部12にさらに第一区域81と第二区域82とを備える。第二区域82は、第一区域81と少なくとも一部が隣接している。例えば、第二区域82は、第一区域81に対してY方向にならんで形成されている。なお、第二区域82は、第一区域81の配置は、これに限られず、使用態様に応じて適宜変更可能である。
【0044】
第一区域81及び第二区域82はユーザから押圧操作を受付け可能に配置されている。第一区域81は第二区域82が押圧操作を受付けた時と其々逆の極性の電位を出力する。例えば、第一区域81が押圧操作を受付けた時にプラスの電位を発生する場合は、第二区域82が押圧操作を受付けた時にマイナス電位を発生する。これにより、ユーザが第一区域81及び第二区域82を連続してこする、すなわちそれぞれの領域に押圧操作を加えると、押圧操作を加えた順にプラスからマイナス又はマイナスからプラスの電位が発生する。これにより、ユーザがいずれの方向へ第一区域81及び第二区域82をこすったかが判別できる。したがって、マウス80に、いわゆるスクロールの機能を持たせることができる。
【0045】
図9(A)及び(B)は、第二実施形態に係るマウス90のブロック図である。マウス90は、マウス10の構成に加えてスイッチ91を備える点が異なる。また、マウス90は制御部25に信号処理回路92及び駆動部93を備える。マウス90については、スイッチ91の切り替えについて重点的に説明する。なお、圧電フィルムとして、ねじれ用圧電フィルム21のみを挙げているが、曲げ用圧電フィルム22についても同様の説明であるため省略する。
【0046】
図9(A)に示すように、第二実施形態に係るマウス90は、スイッチ91及び不図示の振動板を備えている。振動板は、長さ方向の端部において、ねじれ用圧電フィルム21に接続されている。これにより、ねじれ用圧電フィルム21で発生する伸縮を振動板に伝えることができる。スイッチ91は、ねじれ用圧電フィルム21、ねじれ用検出回路23、及び駆動部93に接続されている。スイッチ91は、ねじれ用圧電フィルム21に設けられた電極と、ねじれ用検出回路23又は駆動部93と、を選択的に接続する。
【0047】
図9(A)に示すように、ねじれ用検出回路23において、利用者の押し込み操作によるねじれを検出する場合には、スイッチ91をオフ状態として、駆動部93と、ねじれ用圧電フィルム21及びねじれ用検出回路23と、を電気的に遮断する。
【0048】
ねじれ用検出回路23において、利用者の押し込み操作によるねじれを検出すると、図9(B)に示すように、スイッチ91をオン状態として、駆動部93と、ねじれ用圧電フィルム21を電気的に接続する。信号処理回路92は、ねじれ用検出回路23で押し込み操作を検出した場合に、駆動部93に対して、ねじれ用圧電フィルム21に駆動振動を印加して、振動板を振動させる。これにより、利用者は、押し込むという操作によって、メカニカルスイッチに似た触感を得ることができる。
【0049】
なお、実施形態において板部材11として特に透光性には触れなかったが、板部材は透光性のある素材とすることも可能である。この場合、LEDなどを使用することにより、板部材11をライトアップさせることができる。例えば、ユーザが板部材11に力を必要以上加えたときに、光を点滅させることができる。これにより、マウス10に必要以上の力が加えられて破損されることを防止することができる。また、ワイヤレスマウスの場合、電池の消耗具合によって光の輝度が変わる態様にしておくことにより、ユーザは電池の取り換え時期を知ることができる。また、板部材11は、有機ELのようなフレキシブルディスプレイであってもよい。
【0050】
なお、実施形態においてマウス10として図1に示す形状のものを挙げたが、マウス10の形状はこれに限らない。マウス10の形状として、例えば、板部材11が円板状、又は多角形状等の他の形状が挙げられる。
【符号の説明】
【0051】
10…マウス
11…板部材
13…回路部
21…ねじれ用圧電フィルム(圧電フィルム)
22…曲げ用圧電フィルム(圧電フィルム)
31…ねじれ用センサ(センサ)
32…曲げ用センサ(センサ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9