(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-206152(P2018-206152A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】コイン型ICタグ
(51)【国際特許分類】
G06K 19/02 20060101AFI20181130BHJP
B32B 7/02 20060101ALI20181130BHJP
G06K 19/04 20060101ALI20181130BHJP
G06K 19/073 20060101ALI20181130BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20181130BHJP
B42D 25/26 20140101ALI20181130BHJP
B42D 25/305 20140101ALI20181130BHJP
【FI】
G06K19/02
B32B7/02 104
G06K19/04 070
G06K19/073 027
G06K19/077 144
B42D15/10 260
B42D15/10 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-112037(P2017-112037)
(22)【出願日】2017年6月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【弁理士】
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【弁理士】
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100164987
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】松井 遼太郎
【テーマコード(参考)】
2C005
4F100
【Fターム(参考)】
2C005HA02
2C005HB06
2C005MA03
2C005MB09
2C005NA08
2C005NB03
4F100AA23C
4F100AA23D
4F100AK42A
4F100AK52C
4F100AK52D
4F100AN00C
4F100AN00D
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100CA20C
4F100DE03C
4F100JA13C
4F100JA13D
4F100JD08
4F100JK12A
(57)【要約】
【課題】所定の重量を有しスキミング防止機能を備えたコイン型ICタグを提案する。
【解決手段】コイン型ICタグ1は,ICチップ110とこれに接続するアンテナ111を実装したインレットシート11の片面に保護シート10を積層し,インレットシート11のもう一方の面に,高比重で磁性材料の機能を有する高比重磁性材料層12を少なくとも積層させ,ホットメルト接着剤やアクリル系の粘着剤を用いてこれらを一体化させた構成になっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップとこれに接続するアンテナを実装したインレットシートの片面に保護シートを積層し,前記インレットシートのもう一方の面に,高比重かつ磁性材料の機能を有する高比重磁性材料層を少なくとも積層させたことを特徴とするコイン型ICタグ。
【請求項2】
磁石により前記高比重磁性材料層を構成したことを特徴とする,請求項1に記載したコイン型ICタグ。
【請求項3】
磁性材料を用いた磁性材料層と,前記磁性材料層に用いる磁性材料よりも比重の重い高比重材料を用いた高比重材料層の2層により前記高比重磁性材料層を構成したことを特徴とする,請求項1に記載したコイン型ICタグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,コイン型の形状をなしたICタグであるコイン型ICタグに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコやパチスロなどの遊技機の遊戯に係る前払い金額の残高や遊戯媒体の貯数の記録に使用する記憶媒体の一つとして,近年,コイン型ICタグが提案されている。コイン型ICタグは,ICチップとこれに接続したアンテナを内蔵し,前払い金額の残高や遊戯媒体の貯数はこのICチップに記憶される。
【0003】
コイン型ICタグは,遊戯機の脇に設置される台間機(通称「サンド」)に投入して利用される。コイン型ICタグをプラスチックのみで形成すると,コイン型ICタグの重量が小さすぎて,台間機に投入されたコイン型ICタグが安定して落下しないため,遊技機用のコイン型ICタグには,ある程度の重量が必要になる。特許文献1では,所定の重量を得るために,円板状の高比重樹脂材料を用いるコイン型ICタグが提案されている。また,特許文献2では,円板状の磁性材料を巻き芯として用いるコイン型ICタグが提案されている。
【0004】
一方で,遊技機用のコイン型ICタグには,前払い金額の残高や遊戯媒体の貯数などの金銭情報が記憶されるため,所定の重量に加えて,不正使用を防止するセキュリティ機能も必要になり,特許文献3のように,コイン型ICタグの不正使用防止に暗証番号を用いることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−77140号公報
【特許文献2】特開2002−7989号公報
【特許文献3】特開2002−245421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら,特許文献3では,遊技者が離席の際に,遊戯媒体が台間機から抜き取られて不正使用されるのを防止することに着目しており,コイン型ICタグに記憶された情報を不正に読み出すスキミング行為に対しては着目していない。
【0007】
このことを鑑みて,本発明は,所定の重量を有しスキミング防止機能を備えたコイン型ICタグを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決する本発明は,ICチップとこれに接続するアンテナを実装したインレットシートの片面に保護シートを積層し,前記インレットシートのもう一方の面に,高比重かつ磁性材料の機能を有する高比重磁性材料層を少なくとも積層させたことを特徴とするコイン型ICタグである。本発明において,前記高比重磁性材料層は,磁石で構成することもできるが,磁性材料を用いた磁性材料層と,前記磁性材料層に用いる磁性材料よりも比重の重い高比重材料を用いた高比重材料層の2層で構成することもできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るコイン型ICタグでは,コイン型ICタグの重量が所定の重量になるように,高比重磁性材料層の比重を決定すれば,コイン型ICタグの重量を所定の重量に決定できる。また,本発明に係るコイン型ICタグには,磁性材料の機能を有する高比重磁性材料層が積層されているため,高比重磁性材料層が積層されている側からの電磁波は高比重磁性材料層によって遮蔽されるため,高比重磁性材料層が積層されている側からのスキミングを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係るコイン型ICタグを説明する図。
【
図2】本実施形態に係るコイン型ICタグの効果を説明する図。
【
図3】複層(2層)で実現した高比重磁性材料層を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここから,本発明に係る実施形態を記載する。なお,以下の記載は本発明の技術的範囲を束縛するものでなく,理解を助けるために記述するものである。
【0012】
図1は,本実施形態に係るコイン型ICタグ1を説明する図である。本実施形態に係るコイン型ICタグ1の形状は,コイン形状,すなわち,厚さの薄い円柱形状で,コイン型ICタグ1は,ICチップ110とこれに接続するアンテナ111を実装したインレットシート11の片面に保護シート10を積層し,インレットシート11のもう一方の面に,高比重で磁性材料の機能を有する高比重磁性材料層12を少なくとも積層させ,ホットメルト接着剤やアクリル系の粘着剤を用いてこれらを一体化させた構成になっている。
【0013】
コイン型ICタグ1に積層させる保護シート10は,インレットシート11の片面を保護するためのシートで,保護シート10の表面には任意の絵柄を印刷できる。保護シート10には,ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレン,ポリプロピレン等,厚みが50μmから200μm程度の一般的なプラスチックフィルムを用いることができるが,これ以外の基材であってもよい。
【0014】
コイン型ICタグ1に積層させるインレットシート11は,ICチップ110とこれに接続したアンテナ111を実装したシートである。インレットシート11の基材としては,保護シート10と同様に汎用のプラスチックフィルムを用いることができる。インレットシート11の基材には,金属箔や導電性インキなどを用いて所定形状のアンテナが形成され,前払い金額の残高や遊戯媒体の貯数などの情報を記憶させるためのメモリを有するICチップ110がアンテナ111に実装される。なお,アンテナ111を形成する手法としては,印刷,箔押し,エッチングなどがあるが,アンテナ111を形成する手法いずれの手法であってもよい。
【0015】
コイン型ICタグ1に積層させる高比重磁性材料層12は,コイン型ICタグ1の重量を補い,更に,スキミングによる被害を防止するための部材で,これらのことを実現するために,高比重かつ磁性材料の機能を有している。コイン型ICタグ1の真贋に係る造型(例えば,コイン型ICタグ1の使用が許可されている店舗名)が必要な場合には,コイン型ICタグ1の高比重磁性材料層12に所定の造型を施すことができる。
【0016】
図1では,コイン型ICタグ1に積層させる高比重な高比重磁性材料層12を単層である。コイン型ICタグ1の高比重磁性材料層12を単層で実現する場合,フェライト磁石などの磁石を高比重磁性材料層12に用いることができる。フェライト磁石の比重は4.9g/cm
3であるため,コイン型ICタグ1の直径が500円硬貨と同じ(26.5mm)で,高比重磁性材料層12の厚みを1.8mmとすれば,コイン型ICタグ1全体の重量を約5gにすることができる。
【0017】
図2は,本実施形態に係るコイン型ICタグ1の効果を説明する図である。
図2(a)は,コイン型ICタグ1の保護シート10側がリーダライタ2にかざれたときの図である。
図1を用いて説明したコイン型ICタグ1の保護シート10側がリーダライタ2にかざれた場合,リーダライタ2とインレットシート11の間に高比重磁性材料層12はないため,リーダライタ2が発する電磁波は遮蔽されることなくコイン型ICタグ1のインレットシート11に届き,インレットシート11に実装されたICチップ110は動作する。
【0018】
図2(b)は,コイン型ICタグ1の高比重磁性材料層12側がリーダライタ2にかざれたときの図である。
図1を用いて説明したコイン型ICタグ1の高比重磁性材料層12側がリーダライタ2にかざれた場合,リーダライタ2とインレットシート11の間に高比重磁性材料層12があるため,リーダライタ2が発する電磁波は,高比重磁性材料層12が有する磁性材料の機能によって集束されてしまいコイン型ICタグ1のインレットシート11に届かず,インレットシート11に実装されたICチップ110は動作しない。
【0019】
このように,コイン型ICタグ1は,高比重磁性材料層12が積層されている方向からの電磁波がインレットシート11に届かないように構成されているため,高比重磁性材料層12の側を外側に向けてコイン型ICタグ1を持ち運べば,スキミングによる被害を防止できる。
【0020】
なお,
図1では,コイン型ICタグ1の高比重磁性材料層12を単層として図示しているが,コイン型ICタグ1の高比重磁性材料層12を複層にすることで,コイン型ICタグ1の重量をより重くできる。
【0021】
図3は,複層(2層)で実現した高比重磁性材料層12を説明する図である。
図3で図示したコイン型ICタグ1の高比重磁性材料層12は,磁性材料を用いた磁性材料層120と,磁性材料層120に用いる磁性材料よりも比重の重い高比重材料を用いた高比重材料層121の2層により構成されている。磁性材料層120には,フェライトなど高透磁率の磁性材料を粉末状にして樹脂(ゴムやシリコンなど)に練り込んだ磁性シートを利用できる。高比重材料層121には,タングステン,銅,鉄など高比重の無機フィラーを樹脂に混練させた高比重樹脂材料やタングステン,銅,鉄などの金属板を利用できる。
【0022】
コイン型ICタグ1の高比重磁性材料層12を2層で構成した場合であっても,高比重磁性材料層12が積層されている方向からの電磁波はインレットシート11には届かない。例えば,高比重磁性材料層12の高比重材料層121を金属板で構成した場合,高比重磁性材料層12が積層されている方向からの電磁波は金属板で遮蔽される。また,高比重材料層121が高比重樹脂材料の場合,高比重磁性材料層12が積層されている方向からの電磁波は,高比重樹脂材料に含まれる無機フィラーや磁性材料層120で遮蔽される。
【0023】
コイン型ICタグ1の高比重磁性材料層12を2層にし,高比重材料層121により高比重な材料を用いることで,コイン型ICタグ1の重量をより重くできる。例えば,高比重磁性材料層12の高比重材料層121に,フェライト磁石よりも比重の重い銅(約8.9g/cm
3)を用いれば,フェライト磁石のみで高比重磁性材料層12を構成したときよりも,コイン型ICタグ1の重量を重くできる。例えば,コイン型ICタグ1のサイズが500円硬貨と同じ(26.5mm)で,高比重磁性材料層12の磁性材料層120に用いる磁性シートの厚みを0.2mm,高比重磁性材料層12の高比重材料層121に用いる銅板の厚みを1.6mmすれば,コイン型ICタグ1全体の重量を約8gにすることができる。
【符号の説明】
【0024】
1 コイン型ICタグ
10 保護シート
11 インレットシート
110 ICチップ
111 アンテナ
12 高比重磁性材料層
120 磁性材料層
121 高比重材料層