特開2018-206236(P2018-206236A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-206236(P2018-206236A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20181130BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   G08G1/09 S
   G08G1/09 F
   G08G1/16 D
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-113352(P2017-113352)
(22)【出願日】2017年6月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】木下 佳紀
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB02
5H181BB04
5H181FF04
5H181FF05
5H181FF13
5H181LL14
(57)【要約】
【課題】支援対象領域を適切に設定することができる運転支援装置を提供する。
【解決手段】支援対象領域80を、信号機16a(道路設備)および信号機16b(道路設備)の設置位置Pa、Pbの情報だけでなく、信号機16aの設置位置Paから信号機16bの設置位置Pbまでの道程距離Labの情報に基づいて設定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の位置を計測する測位部と、
前記車両の外部から送信される運転支援の情報を受信する受信部と、
前記情報に基づいて支援対象領域を設定する領域設定部と、
前記車両の位置が前記支援対象領域の内部か外部かを判定する位置判定部と、
前記車両が前記支援対象領域の内部に位置する場合に前記情報に基づいて運転支援を行う運転支援部と、を備える運転支援装置であって、
前記情報は、前記車両の直進方向に設置される第1道路設備および第2道路設備の設置位置情報と、前記第1道路設備の設置位置から前記第2道路設備の設置位置までの道程の距離情報と、を含み、
前記領域設定部は、
前記第1道路設備の設置位置と前記第2道路設備の設置位置とを端部とする線分を含む領域を前記支援対象領域として設定し、且つ、
前記設置位置情報および前記距離情報に基づいて前記支援対象領域の内外の境界を設定する
ことを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転支援装置において、
前記領域設定部は、
前記支援対象領域として矩形領域を設定し、
前記矩形領域を、前記線分を含む直線と平行し且つ前記線分からその直交方向に第1距離だけ離れる2つの第1境界と、前記直線と直交し且つ前記線分からその延長方向に第2距離だけ離れる2つの第2境界と、により設定し、
前記第1距離を、底辺の長さが前記線分の距離であり、2つの等辺の合計の長さが前記道程の距離である二等辺三角形の高さに相当する距離により設定する
ことを特徴とする運転支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載の運転支援装置において、
前記領域設定部は、
前記第2距離を、前記線分の距離と前記道程の距離との差の1/2に相当する距離により設定する
ことを特徴とする運転支援装置。
【請求項4】
請求項1に記載の運転支援装置において、
前記領域設定部は、
前記支援対象領域として矩形領域を設定し、
前記矩形領域を、前記線分を含む直線と平行し且つ前記線分からその直交方向に離れる2つの第1境界と、前記直線と直交し且つ前記線分からその延長方向に離れる2つの第2境界と、により設定し、
2つの前記第1境界の間の距離を、前記第1道路設備の設置位置からの離隔距離と前記第2道路設備の設置位置からの離隔距離との和が前記道程の距離と等しくなる点の集合からなる楕円の短軸の長さに相当する距離により設定し、
2つの前記第2境界の間の距離を、前記楕円の長軸の長さに相当する距離により設定する
ことを特徴とする運転支援装置。
【請求項5】
請求項1に記載の運転支援装置において、
前記領域設定部は、
前記支援対象領域として、前記第1道路設備の設置位置から離隔する距離と前記第2道路設備の設置位置から離隔する距離との和が前記道程の距離と等しくなる点の集合からなる楕円の領域を設定する
ことを特徴とする運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が運転支援の対象領域の内部に位置する場合に、車両の外部から送信される情報に基づいて運転支援を行う運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、路側ビーコンが送信する走行環境情報(車両の直進方向に設置される複数の信号機の設置位置情報および信号機の色変化情報等)を受信し、車両を信号機で停止させないようにするために、最適な走行速度を演算して車内に表示する運転支援装置が示される。この運転支援装置は、車両が運転支援の対象道路を走行しているか否かを判定するために支援対象領域を設定し、車両がその支援対象領域内に位置する場合に最適な走行速度を表示するようにしている。
【0003】
この運転支援装置は、信号機の設置位置情報に基づいて矩形の支援対象領域を設定する。その際に、互いに隣接する信号機の設置位置を両端とする線分を想定し、矩形の一辺を、その線分を含む直線と平行し且つ線分からその直交方向に第1の余裕代(所定値)だけ離れた位置に設定する。また、矩形の他辺を、その線分を含む直線と直交し且つ線分からその延長方向に第2の余裕代(所定値)だけ離れた位置に設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−200935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で示される走行支援装置のように、信号機間の道路形状に関係なく一律に第1、第2の余裕代(所定値)を使用して矩形の支援対象領域を設定すると、車両の走行位置がその支援対象領域の内部か外部かを正確に把握することができない場合がある。例えば、曲率が大きいカーブを含む道路では、道路の一部が支援対象領域の外部にはみ出ることがあり得る。車両は、走行位置が支援対象領域から逸脱したことを検知する場合に、運転支援の対象道路を走行していたとしても運転支援を停止する(表示を停止する)。運転支援を有効に行うために、支援対象領域を道路形状に応じて適切に設定することが望まれる。
【0006】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、支援対象領域を適切に設定することができる運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
車両の位置を計測する測位部と、
前記車両の外部から送信される運転支援の情報を受信する受信部と、
前記情報に基づいて支援対象領域を設定する領域設定部と、
前記車両の位置が前記支援対象領域の内部か外部かを判定する位置判定部と、
前記車両が前記支援対象領域の内部に位置する場合に前記情報に基づいて運転支援を行う運転支援部と、を備える運転支援装置であって、
前記情報は、前記車両の直進方向に設置される第1道路設備および第2道路設備の設置位置情報と、前記第1道路設備の設置位置から前記第2道路設備の設置位置までの道程の距離情報と、を含み、
前記領域設定部は、
前記第1道路設備の設置位置と前記第2道路設備の設置位置とを端部とする線分を含む領域を前記支援対象領域として設定し、且つ、
前記設置位置情報および前記距離情報に基づいて前記支援対象領域の内外の境界を設定する
ことを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、支援対象領域は、第1道路設備および第2道路設備の設置位置情報だけでなく、第1道路設備の設置位置から第2道路設備の設置位置までの道程の距離情報に基づいて設定される。このため、支援対象領域の大きさを道路形状に応じて変化させることができる。その結果、位置判定部による誤判定、すなわち車両が運転支援の対象道路を走行しているにも関わらず運転支援の対象道路から逸脱したという判定を防止することができる。
【0009】
本発明において、
前記領域設定部は、
前記支援対象領域として矩形領域を設定し、
前記矩形領域を、前記線分を含む直線と平行し且つ前記線分からその直交方向に第1距離だけ離れる2つの第1境界と、前記直線と直交し且つ前記線分からその延長方向に第2距離だけ離れる2つの第2境界と、により設定し、
前記第1距離を、底辺の長さが前記線分の距離であり、2つの等辺の合計の長さが前記道程の距離である二等辺三角形の高さに相当する距離により設定するようにしてもよい。
【0010】
第1道路設備と第2道路設備との直線距離が短く道程距離が長い場合、道路が大きくカーブしている可能性がある。このような道路で運転支援が行われる場合は、支援対象領域を大きくすることが好ましい。例えば、第1道路設備の設置位置と第2道路設備の設置位置とを端部とする線分を中心にして、その両側の幅が広い支援対象領域を設定することが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、第1距離を道程距離に応じて変化させることができる。具体的には、道程距離が長くなるほど第1距離を長くする。その結果、支援対象領域が道程距離に応じた大きさになる。このため、位置判定部による誤判定、すなわち車両が運転支援の対象道路を走行しているにも関わらず運転支援の対象道路から逸脱したという判定を防止することができる。
【0012】
本発明において、
前記領域設定部は、
前記第2距離を、前記線分の距離と前記道程の距離との差の1/2に相当する距離により設定するようにしてもよい。
【0013】
上記構成によれば、第2距離を道程距離に応じて変化させることができる。具体的には、道程距離が長くなるほど第2距離を長くする。その結果、支援対象領域が道程距離に応じた大きさになる。このため、位置判定部による誤判定、すなわち車両が運転支援の対象道路を走行しているにも関わらず運転支援の対象道路から逸脱したという判定を防止することができる。
【0014】
本発明において、
前記領域設定部は、
前記支援対象領域として矩形領域を設定し、
前記矩形領域を、前記線分を含む直線と平行し且つ前記線分からその直交方向に離れる2つの第1境界と、前記直線と直交し且つ前記線分からその延長方向に離れる2つの第2境界と、により設定し、
2つの前記第1境界の間の距離を、前記第1道路設備の設置位置からの離隔距離と前記第2道路設備の設置位置からの離隔距離との和が前記道程の距離と等しくなる点の集合からなる楕円の短軸の長さに相当する距離により設定し、
2つの前記第2境界の間の距離を、前記楕円の長軸の長さに相当する距離により設定するようにしてもよい。
【0015】
上記構成によれば、2つの第1境界の間および2つの第2境界の間の距離を道程距離に応じて変化させることができる。具体的には、道程距離が長くなるほど第1境界間の距離および第2境界間の距離を長くする。その結果、支援対象領域が道程距離に応じた大きさになる。このため、位置判定部による誤判定、すなわち車両が運転支援の対象道路を走行しているにも関わらず運転支援の対象道路から逸脱したという判定を防止することができる。
【0016】
本発明において、
前記領域設定部は、
前記支援対象領域として、前記第1道路設備の設置位置から離隔する距離と前記第2道路設備の設置位置から離隔する距離との和が前記道程の距離と等しくなる点の集合からなる楕円の領域を設定するようにしてもよい。
【0017】
上記構成によれば、支援対象領域を楕円により設定する際に、楕円の長軸および短軸を道程距離に応じて変化させることができる。具体的には、道程距離が長くなるほど楕円の長軸および短軸を長くする。その結果、支援対象領域が道程距離に応じた大きさになる。このため、位置判定部による誤判定、すなわち車両が運転支援の対象道路を走行しているにも関わらず運転支援の対象道路から逸脱したという判定を防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、支援対象領域の大きさを道路形状に応じて変化させることができる。その結果、位置判定部による誤判定、すなわち車両が運転支援の対象道路を走行しているにも関わらず運転支援の対象道路から逸脱したという判定を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は運転支援システムの構成図である。
図2図2は車両に設けられる運転支援装置のブロック図である。
図3図3は走行環境情報の説明に供する構成図である。
図4図4は運転支援装置の動作説明に供するフローチャートである。
図5図5は第1および第2の設定方法において設定される支援対象領域の模式図である。
図6図6Aは第1の設定方法における第1距離の説明に供する説明図であり、図6Bは第1の設定方法における第2距離の説明に供する説明図である。
図7図7は第2の設定方法における第1境界間の距離および第2境界間の距離の説明に供する説明図である。
図8図8は第3の設定方法において設定される支援対象領域の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る運転支援装置について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
[1 運転支援システム10の構成]
図1を用いて運転支援装置26を含む運転支援システム10の構成に関する説明をする。本実施形態において、運転支援システム10としては上述の特許文献1で開示される車両運転支援システムと同じ構成および動作を適宜使用可能である。運転支援システム10は、路側装置12と車両14とで構成される。
【0022】
路側装置12は、道路100に設置される道路設備としての信号機16a〜16d(以下、まとめて信号機16という。)およびビーコン18と、信号機16a〜16dの動作を制御する信号制御機20a〜20d(以下、まとめて信号制御機20という。)と、ビーコン18の動作を制御するビーコン制御機22と、信号制御機20から信号情報60(図3)を収集してビーコン制御機22に送信する情報中継装置24と、を有する。
【0023】
ビーコン18、信号機16a、信号機16b、信号機16c、信号機16dは、この順で車両14の直進方向(道なり方向)に設置される。ビーコン18は、運転支援の情報に相当する走行環境情報50(図3)を含む信号(電波信号または光信号)Sを道路100の所定範囲に向けて送信する。信号Sは下記[3]にて説明する走行環境情報50を含む。
【0024】
情報中継装置24の代わりに、信号機16の信号情報60を一括管理する情報管理装置(不図示)が設けられてもよい。この場合、情報管理装置が信号制御機20に動作指示を出力すると共にビーコン制御機22に信号情報60を送信する。
【0025】
[2 運転支援装置26の構成]
図2を用いて運転支援装置26の構成に関する説明をする。車両14は運転支援装置26を有する。運転支援装置26は、車両14の最新の位置を計測する測位装置28と、ビーコン18から送信される信号Sを受信するビーコン受信機30と、各種演算を行う運転支援ECU32と、各種情報を車両14の乗員に報知するHMI34と、を有する。
【0026】
測位装置28は、GPS装置とジャイロや加速度センサのような自律航法を行うためのセンサとを有し、測位情報を運転支援ECU32に出力する。ビーコン受信機30は、道路100の所定範囲でビーコン18から送信される信号Sを受信し、運転支援ECU32に出力する。運転支援ECU32は、CPU等のプロセッサ(不図示)がメモリ(不図示)に格納されるプログラムを読み出し実行することで、領域設定部36と位置判定部38と運転支援部40として機能する。領域設定部36は、ビーコン受信機30で受信される信号(走行環境情報50)に基づいて支援対象領域80(図5図8)を設定する。位置判定部38は、測位装置28から出力される各種情報に基づいて車両14の走行位置を判定すると共に、車両14の位置が支援対象領域80の内部か外部かを判定する。運転支援部40は、車両14が支援対象領域80の内部に位置する場合に走行環境情報50に基づいて運転支援を行う。本実施形態では、運転支援として、車両14を直進方向の信号機16で停止させないようにするために、最適な走行速度の報知を行う。運転支援ECU32は、報知指示をHMI34に出力する。HMI34は、乗員に対して最適な走行速度等の情報を映像にて出力する表示装置や、最適な走行速度等の情報を音にて出力する音響装置を有する。
【0027】
[3 走行環境情報50]
図3を用いてビーコン18から車両14に送信される走行環境情報50に関する説明をする。走行環境情報50は、ビーコン情報52と信号機情報58と道程情報64を含む。
【0028】
ビーコン情報52は、識別情報54と道路情報56とを含む。識別情報54は、ビーコン18毎に割り振られるIDを示す情報である。道路情報56は、ビーコン18の設置位置P0{ビーコン18が設置される位置の座標(緯度、経度)}を示す情報である。
【0029】
信号機情報58は、信号機16(16a〜16d)に対応する信号情報60と道路情報62とを含む。ここでは信号機16aの信号機情報58を代表して説明する。信号情報60は、信号機16aが示す交通信号の遷移、具体的には灯色の遷移を示す情報と、各灯色の残秒数の情報と、を含む。灯色の遷移を示す情報というのは、灯色の点灯順のこといい、図3の例では現在の灯色(第1灯色)、次の灯色(第2灯色)、その次の灯色(第3灯色)という順番のことをいう。各灯色の残秒数の情報というのは、点灯時間のことをいう。第1灯色の残秒数は、信号機16aが信号情報60を送信した時点から第1灯色が消灯するまでの点灯時間を示し、第2、第3灯色の残秒数は、予定点灯時間を示す。なお、信号情報60が第4灯色以降の情報を含むことも可能である。道路情報62は、信号機16aの設置位置Pa{信号機16aが設置される交差点の位置の座標(緯度、経度)}を示す情報と、ビーコン18の設置位置P0から交差点の停止線までの道程距離Xaを示す情報と、を含む。信号機16b〜16dの信号機情報58も同じ構成である。
【0030】
道程情報64は、互いに隣接する信号機16の間の道程の距離Lを示す情報である。図1に示される運転支援システム10の場合、道程情報64には、信号機16aの設置位置Paから信号機16bの設置位置Pbまでの道程の距離Labと、信号機16bの設置位置Pbから信号機16cの設置位置Pcまでの道程の距離Lbcと、信号機16cの設置位置Pcから信号機16dの設置位置Pdまでの道程の距離Lcdと、が含まれる。
【0031】
時間の経過に伴い変化する情報、ここでは信号情報60は、信号制御機20から情報中継装置24を介してビーコン制御機22に送信される。一方、一定の情報、ここでは信号情報60を除く走行環境情報50の各情報は、ビーコン制御機22の記憶装置(不図示)に予め記憶される。なお、上述したように、情報中継装置24の代わりに情報管理装置が設けられる場合は、情報管理装置の内部の演算装置が信号情報60を生成し、また内部の記憶装置が信号情報60を除く走行環境情報50の各情報を記憶する。そして、情報管理装置で走行環境情報50が生成されてビーコン制御機22に送信される。
【0032】
[4 運転支援装置26の動作]
図4を用いて運転支援装置26の動作に関する説明をする。以下で説明する一連の処理は所定時間毎に繰り返し実行される。但し、ステップS5〜ステップS7の処理が繰り返し行われる場合(運転支援中)はこの限りではない。
【0033】
ステップS1において、位置判定部38は測位装置28の測位結果に基づいて車両14の位置を判定する。なお、位置判定部38はステップS1以外のタイミングでも車両14の位置を判定する。例えば、一定時間毎に車両14の位置を判定する。
【0034】
ステップS2において、ビーコン受信機30により信号Sが受信されたか否かが判定される。ビーコン18は、走行環境情報50を含む信号Sを道路100の所定範囲に向けて定期的に送信する。車両14がその所定範囲に進入すると、ビーコン受信機30は信号Sを受信する。信号Sが受信される場合(ステップS2:YES)、処理はステップS4に移行する。一方、信号Sが受信されない場合(ステップS2:NO)、処理はステップS3に移行する。
【0035】
ステップS2からステップS3に移行した場合、つまり車両14の位置がビーコン18の近傍でなく、ビーコン受信機30が信号Sを受信しない場合、運転支援部40は運転支援を行わない。そして、一連の処理は一旦終了し、次の処理(ステップS1)まで待機状態となる。
【0036】
ステップS2からステップS4に移行した場合、つまり車両14の位置がビーコン18の近傍であり、ビーコン受信機30が信号Sを受信する場合、領域設定部36は信号Sに含まれる走行環境情報50に基づいて支援対象領域80を設定する。このとき、領域設定部36は、走行環境情報50に含まれる道程情報64毎に支援対象領域80を設定する。支援対象領域80の設定方法については下記[5]にて説明する。
【0037】
ステップS5において、位置判定部38は車両14の位置が支援対象領域80の内部か外部かを判定する。内部である場合(ステップS5:YES)、処理はステップS6に移行する。一方、外部である場合(ステップS5:NO)、処理はステップS7に移行する。
【0038】
ステップS5からステップS6に移行した場合、運転支援部40は運転支援を行う。運転支援部40は、次の信号機16で停止しないような最適な走行速度を算出し、その走行速度をHMI34で報知させる。このとき、運転支援部40は、その時点で最も近い信号機16、その信号機16の現在の灯色、その灯色の残秒数、車両14の位置からその信号機16までの道程の距離等を、信号Sを受信してからの経過時間および走行距離と、に基づいて推定し、その推定結果に基づいて最適な走行速度を算出する。ステップS6の処理は、車両14の位置が支援対象領域80の外部になるまで(ステップS5:NO)、繰り返し行われる。一方、ステップS5からステップS7に移行した場合、運転支援部40はそれまで行っていた運転支援を中止する。そして、一連の処理は一旦終了し、次の処理(ステップS1)まで待機状態となる。
【0039】
[5 支援対象領域80の設定方法]
図4に示されるステップS4において領域設定部36が行う支援対象領域80の設定方法について、具体的に3つの方法を例示して説明する。領域設定部36は、互いに隣接する2つの信号機16の設置位置Pを端部とする線分70を含む領域を支援対象領域80(図5図8)として設定する。以下では、互いに隣接する2つの信号機16が信号機16aと信号機16bであるものとして説明する。
【0040】
領域設定部36は、走行環境情報50から、信号機16aの設置位置Paの情報と、信号機16bの設置位置Pbの情報と、信号機16aの設置位置Paから信号機16bの設置位置Pbまでの道程距離Labの情報と、を取得する。更に、領域設定部36は、設置位置Paの情報および設置位置Pbの情報に基づいて線分70の長さDabを算出する。なお、線分70の長さDabの情報が走行環境情報50に含まれていてもよい。領域設定部36は、これらの情報に基づいて支援対象領域80の境界を設定する。
【0041】
[5.1 第1の設定方法]
図5図6Aおよび図6Bを用いて第1の設定方法に関する説明をする。第1の設定方法において、領域設定部36は、支援対象領域80として矩形領域を設定する。より具体的には、矩形領域を、線分70を含む直線72と平行し且つ線分70からその直交方向に第1距離Wだけ離れる2つの第1境界82と、線分70を含む直線72と直交し且つ線分70からその延長方向に第2距離ΔLだけ離れる2つの第2境界84と、により設定する。第1境界82および第2境界84というのは、支援対象領域80の内部と外部との境界線である。2つの第1境界82は、直線72と平行し、直線72を中心として互いに線対象となる。2つの第2境界84のうちの一方は、線分70の一方の端部(設置位置Pa)からの延長線と直交し、他方は線分70の他方の端部(設置位置Pb)からの延長線と直交する。
【0042】
図6Aに示されるように、領域設定部36は、第1距離Wを、底辺の長さが線分70の距離D(=Dab)であり、2つの等辺の合計の長さが道程距離L(=Lab)である二等辺三角形の高さに相当する距離により設定する。すなわち、第1距離Wは下記(1)式により表される。
W=√{(L/2)2−(D/2)2} ・・・(1)
【0043】
図6Bに示されるように、領域設定部36は、第2距離ΔLを、線分70の距離D(=Dab)と道程距離L(=Lab)との差の1/2に相当する距離により設定する。すなわち、第2距離ΔLは下記(2)式により表される。
ΔL=(L−D)/2 ・・・(2)
【0044】
[5.2 第2の設定方法]
図5および図7を用いて第2の設定方法に関する説明をする。第1の設定方法と同様に、第2の設定方法において、領域設定部36は、支援対象領域80として矩形領域を設定する。但し、第1境界82および第2境界84の設定方法が異なる。ここでは互いに対向する2つの第1境界82の間の距離Xと、互いに対向する2つの第2境界84の間の距離Yとを算出し、その離隔距離X、Yに基づいて第1距離Wと第2距離ΔLとを算出する。
【0045】
図7に示されるように、領域設定部36は、2つの第1境界82の間の距離Xを、信号機16aの設置位置Paからの離隔距離と信号機16bの設置位置Pbからの離隔距離との和が道程距離L(Lab)と等しくなる点の集合からなる楕円の短軸の長さに相当する距離により設定する。そして、第1距離Wを距離Xの1/2として設定する。すなわち、第1距離Wは下記(3)式により表される。
W=X/2 ・・・(3)
【0046】
図7に示されるように、領域設定部36は、2つの第2境界84の間の距離Yを、信号機16aの設置位置Paからの離隔距離と信号機16bの設置位置Pbからの離隔距離との和が道程距離L(Lab)と等しくなる点の集合からなる楕円の長軸の長さに相当する距離により設定する。そして、第2距離ΔLを、線分70の距離D(=Dab)と距離Yとの差の1/2に相当する距離により設定する。すなわち、第2距離ΔLは下記(4)式により表される。
ΔL=(Y−D)/2 ・・・(4)
なお、楕円の長軸は道程距離Lに相当するため、下記(4)式は上記(2)式と実質的に同じである。
【0047】
[5.3 第3の設定方法]
図8を用いて第3の設定方法に関する説明をする。第3の設定方法では、第2の設定方法において第1距離Wと第2距離ΔLとを算出するために想定する楕円(図7)を支援対象領域80とする。すなわち、第3の設定方法において、領域設定部36は、支援対象領域80として、信号機16aの設置位置Paから離隔する距離と信号機16bの設置位置Pbから離隔する距離との和が道程距離L(=Lab)と等しくなる点の集合からなる楕円の領域を設定する。
【0048】
[5.4 第1〜第3の設定方法の変形例]
第1〜第3の設定方法において、道路100の形状に応じて支援対象領域80の範囲を狭めてもよい。例えば、図5に示される実施形態で、支援対象領域80は直線72の直交方向の一方(紙面上方向)と他方(紙面下方向)に設定されるが、道路100は実質的に支援対象領域80の一方(紙面上方向)に存在する。このような場合、支援対象領域80を、道路100が存在する方向にのみ設定してもよい。その一例として、領域設定部36は、道路100の形状をビーコン18や車両間通信により取得できる。そして、直線72に対する道路100の位置を判定し、道路100が直線72を跨がないと判定する場合に道路100が存在する方向にのみ支援対象領域80を設定する。
【0049】
上記実施形態では、互いに隣接する信号機16aと信号機16bとを含む支援対象領域80を設定する。これに代わり、互いに隣接するビーコン18と信号機16aとを含む支援対象領域80を設定してもよい。この場合、ビーコン18の設置位置P0から信号機16aの設置位置Paまでの道程を示す道程情報としては、道路情報62に含まれる道程距離Xa、すなわちビーコン18の設置位置P0から信号機16aが設置される交差点の停止線までの道程距離Xaが使用される。
【0050】
[6 本実施形態のまとめ]
運転支援装置26は、車両14の位置を計測する測位装置28(測位部)と、車両14の外部から送信される走行環境情報50を受信するビーコン受信機30(受信部)と、走行環境情報50に基づいて支援対象領域80を設定する領域設定部36と、車両14の位置が支援対象領域80の内部か外部かを判定する位置判定部38と、車両14が支援対象領域80の内部に位置する場合に走行環境情報50に基づいて運転支援を行う運転支援部40と、を備える。走行環境情報50は、車両14の直進方向に設置される信号機16a(第1道路設備)および信号機16b(第2道路設備)の設置位置Pa、Pbの情報と、信号機16aの設置位置Paから信号機16bの設置位置Pbまでの道程距離Labの情報と、を含む。領域設定部36は、信号機16aの設置位置Paと信号機16bの設置位置Pbとを端部とする線分70を含む領域を支援対象領域80として設定し、且つ、設置位置Pa、Pbの情報および道程距離Labの情報に基づいて支援対象領域80の内外の境界を設定する。
【0051】
上記構成によれば、支援対象領域80は、信号機16aおよび信号機16bの設置位置Pa、Pbの情報だけでなく、信号機16aの設置位置Paから信号機16bの設置位置Pbまでの道程距離Labの情報に基づいて設定される。このため、支援対象領域80の大きさを道路100の形状に応じて変化させることができる。その結果、位置判定部38による誤判定、すなわち車両14が運転支援の対象道路を走行しているにも関わらず運転支援の対象道路から逸脱したという判定を防止することができる。
【0052】
上述する第1の設定方法によれば、領域設定部36は、図5に示されるように、支援対象領域80として矩形領域を設定する。具体的には、矩形領域を、線分70を含む直線72と平行し且つ線分70からその直交方向に第1距離Wだけ離れる2つの第1境界82と、直線72と直交し且つ線分70からその延長方向に第2距離ΔLだけ離れる2つの第2境界84と、により設定する。この際、図6Aに示されるように、第1距離Wを、底辺の長さが線分70の距離D(=Dab)であり、2つの等辺の合計の長さが道程距離L(=Lab)である二等辺三角形の高さに相当する距離により設定する。
【0053】
上記構成によれば、第1距離Wを道程距離Lに応じて変化させることができる。具体的には、道程距離Lが長くなるほど第1距離Wを長くする。その結果、支援対象領域80が道程距離Lに応じた大きさになる。このため、位置判定部38による誤判定、すなわち車両14が運転支援の対象道路を走行しているにも関わらず運転支援の対象道路から逸脱したという判定を防止することができる。
【0054】
更に上述する第1の設定方法によれば、領域設定部36は、図6Bに示されるように、第2距離ΔLを、線分70の距離Dと道程距離Lとの差の1/2に相当する距離により設定する。
【0055】
上記構成によれば、第2距離ΔLを道程距離Lに応じて変化させることができる。具体的には、道程距離Lが長くなるほど第2距離ΔLを長くする。その結果、支援対象領域80が道程距離Lに応じた大きさになる。このため、位置判定部38による誤判定、すなわち車両14が運転支援の対象道路を走行しているにも関わらず運転支援の対象道路から逸脱したという判定を防止することができる。
【0056】
上述する第2の設定方法によれば、領域設定部36は、図5に示されるように、支援対象領域80として矩形領域を設定する。具体的には、矩形領域を、線分70を含む直線72と平行し且つ線分70からその直交方向に離れる2つの第1境界82と、直線72と直交し且つ線分70からその延長方向に離れる2つの第2境界84と、により設定する。この際、2つの第1境界82の間の距離を、図7に示されるように、信号機16aの設置位置Paからの離隔距離と信号機16bの設置位置Pbからの離隔距離との和が道程距離Lと等しくなる点の集合からなる楕円の短軸の長さに相当する距離Xにより設定する。また、2つの第2境界84の間の距離を、楕円の長軸の長さに相当する距離Yにより設定する。
【0057】
上記構成によれば、2つの第1境界82の間および2つの第2境界84の間の距離を道程距離Lに応じて変化させることができる。具体的には、道程距離Lが長くなるほど第1境界82間の距離および第2境界84間の距離を長くする。その結果、支援対象領域80が道程距離Lに応じた大きさになる。このため、位置判定部38による誤判定、すなわち車両14が運転支援の対象道路を走行しているにも関わらず運転支援の対象道路から逸脱したという判定を防止することができる。
【0058】
上述する第3の設定方法によれば、領域設定部36は、図8に示されるように、支援対象領域80として、信号機16aの設置位置Paから離隔する距離と信号機16bの設置位置Pbから離隔する距離との和が道程距離Lと等しくなる点の集合からなる楕円の領域を設定する。
【0059】
上記構成によれば、支援対象領域80を楕円により設定する際に、楕円の長軸および短軸を道程距離Lに応じて変化させることができる。具体的には、道程距離Lが長くなるほど楕円の長軸および短軸を長くする。その結果、支援対象領域80が道程距離Lに応じた大きさになる。このため、位置判定部38による誤判定、すなわち車両14が運転支援の対象道路を走行しているにも関わらず運転支援の対象道路から逸脱したという判定を防止することができる。
【0060】
なお、本発明に係る運転支援装置は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0061】
14…車両 16、16a〜16d…信号機
26…運転支援装置 28…測位装置(測位部)
30…ビーコン受信機(受信部) 36…領域設定部
38…位置判定部 40…運転支援部
50…走行環境情報 70…線分
72…直線 80…支援対象領域
82…第1境界 84…第2境界
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8