特開2018-206490(P2018-206490A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社村田製作所の特許一覧
<>
  • 特開2018206490-二次電池およびその製造方法 図000003
  • 特開2018206490-二次電池およびその製造方法 図000004
  • 特開2018206490-二次電池およびその製造方法 図000005
  • 特開2018206490-二次電池およびその製造方法 図000006
  • 特開2018206490-二次電池およびその製造方法 図000007
  • 特開2018206490-二次電池およびその製造方法 図000008
  • 特開2018206490-二次電池およびその製造方法 図000009
  • 特開2018206490-二次電池およびその製造方法 図000010
  • 特開2018206490-二次電池およびその製造方法 図000011
  • 特開2018206490-二次電池およびその製造方法 図000012
  • 特開2018206490-二次電池およびその製造方法 図000013
  • 特開2018206490-二次電池およびその製造方法 図000014
  • 特開2018206490-二次電池およびその製造方法 図000015
  • 特開2018206490-二次電池およびその製造方法 図000016
  • 特開2018206490-二次電池およびその製造方法 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-206490(P2018-206490A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】二次電池およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/058 20100101AFI20181130BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20181130BHJP
   H01M 2/26 20060101ALI20181130BHJP
   H01M 2/16 20060101ALI20181130BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20181130BHJP
【FI】
   H01M10/058
   H01M10/04 Z
   H01M2/26 A
   H01M2/16 L
   H01M4/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-107008(P2017-107008)
(22)【出願日】2017年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】柴田 英高
【テーマコード(参考)】
5H021
5H028
5H029
5H043
5H050
【Fターム(参考)】
5H021AA06
5H021BB17
5H021CC04
5H021EE32
5H021HH10
5H028AA08
5H028BB04
5H028CC02
5H028CC05
5H028CC07
5H028CC08
5H028CC10
5H028CC15
5H028CC21
5H029AJ11
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL12
5H029AM03
5H029BJ04
5H029BJ15
5H029CJ03
5H029DJ04
5H029DJ05
5H029DJ07
5H029HJ12
5H043AA19
5H043BA11
5H043BA19
5H043CA08
5H043CA14
5H043EA02
5H043EA07
5H043EA22
5H043EA35
5H043EA36
5H043EA60
5H043JA06E
5H043LA21E
5H043LA22E
5H050AA19
5H050BA08
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB12
5H050DA04
5H050DA19
5H050DA20
5H050FA06
5H050FA12
5H050HA12
(57)【要約】
【課題】電極材層が断面視にて集電体の一方の主面に供される最外層電極の反り応力の発生を好適に抑制可能な電極組立体を備えた二次電池を提供すること。
【解決手段】本発明の一実施形態では、平面積層構造の電極組立体および電極組立体を収納する外装体を有して成る二次電池であって、電極組立体は、部分電極組立体と、部分電極組立体の断面輪郭に沿って部分電極組立体を取り囲む屈曲形態の長尺電極とを有して成り、長尺電極が、集電体と、集電体の一方の主面に全面的に設けられた電極材層と、集電体の他方の主面の両端領域に局所的に設けられた電極材部とを備えている、二次電池が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面積層構造の電極組立体および該電極組立体を収納する外装体を有して成る二次電池であって、
前記電極組立体は、部分電極組立体と、該部分電極組立体の断面輪郭に沿って該部分電極組立体を取り囲む屈曲形態の長尺電極とを有して成り、
前記長尺電極が、集電体と、該集電体の一方の主面に全面的に設けられた電極材層と、該集電体の他方の主面の両端領域に局所的に設けられた電極材部とを備えている、二次電池。
【請求項2】
前記電極組立体が、積層方向に沿って相互に離隔した2つの前記部分電極組立体を有して成り、
連続する単一の前記長尺電極が、前記電極組立体の外周面に前記電極材部が非存在となるように前記2つの前記部分電極組立体のそれぞれを取り囲む、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記長尺電極の一方の前記電極材部と他方の前記電極材部とが、積層方向に沿って相互に対向している、請求項2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記一方の前記電極材部と前記他方の前記電極材部との間に、極性の異なる反対電極が設けられている、請求項2又は3に記載の二次電池。
【請求項5】
前記一方の前記電極材部と前記他方の前記電極材部との間に、少なくとも1つの前記部分電極組立体が更に設けられている、請求項2〜4のいずれかに記載の二次電池。
【請求項6】
断面視にて前記長尺電極と前記部分電極組立体との間に、該最外層電極と該部分電極組立体とに接する接着剤層付きのセパレータが位置付けられている、請求項1〜5のいずれかに記載の二次電池。
【請求項7】
前記長尺電極が、前記集電体の前記他方の主面の前記両端領域の間に局所的に設けられた前記電極材部を更に有して成る、請求項1〜6のいずれかに記載の二次電池。
【請求項8】
前記部分電極組立体は、断面視にて、集電体の両主面に電極材層が全面的に設けられた電極を有して成り、かつ前記長尺電極以外の部分を成す、請求項1〜7のいずれかに記載の二次電池。
【請求項9】
前記長尺電極の前記集電体が、平面視にて前記部分電極組立体の前記電極に供されたタブよりも内側に位置付けられている、請求項1〜8のいずれかに記載の二次電池。
【請求項10】
前記長尺電極がタブを有して成り、該長尺電極の該タブのみが平面視にて前記部分電極組立体の前記タブと局所的に重なるように位置付けられている、請求項1〜8のいずれかに記載の二次電池。
【請求項11】
前記長尺電極および前記部分電極組立体の前記電極がリチウムイオンを吸蔵放出可能な層を有する、請求項1〜10のいずれかに記載の二次電池。
【請求項12】
平面積層構造の電極組立体および該電極組立体を収納する外装体を有して成る二次電池の製造方法であって、
部分電極組立体を形成する工程と、
前記部分電極組立体の断面輪郭に沿って長尺電極によって該部分電極組立体を取り囲む工程と
を含み、
前記長尺電極を、集電体の一方の主面に電極材層を全面的に設け、該集電体の他方の主面の両端領域に電極材部を局所的に設けることで形成する、製造方法。
【請求項13】
前記長尺電極の前記集電体の前記一方の前記主面に接着剤層付きのセパレータを設け、
前記部分電極組立体を取り囲む前に、前記接着剤層付きの前記セパレータを介して、前記長尺電極の一方の端部領域に前記部分電極組立体を固定する、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
2つの前記部分電極組立体を用い、
前記電極材部が外周面に非存在となり、かつ一方の前記部分電極組立体と他方の前記部分電極組立体とが積層方向に沿って相互に離隔するように、連続する単一の前記長尺電極を屈曲させて、該長尺電極によって該部分電極組立体を取り囲む、請求項12又は13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記長尺電極の一方の前記電極材部と他方の前記電極材部とを、積層方向に沿って相互に対向させる、請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記一方の前記電極材部と前記他方の前記電極材部との間に、極性の異なる反対電極を設ける、請求項14又は15に記載の製造方法。
【請求項17】
前記一方の前記電極材部と前記他方の前記電極材部との間に、少なくとも1つの前記部分電極組立体を更に設ける、請求項14又は15に記載の製造方法。
【請求項18】
前記長尺電極として、前記集電体の前記他方の主面の前記両端領域の間に前記電極材部が局所的に更に設けられたものを用いる、請求項12〜17のいずれかに記載の製造方法。
【請求項19】
前記長尺電極の前記集電体を、平面視にて前記部分電極組立体の電極に供されたタブよりも内側に位置付ける、請求項12〜18のいずれかに記載の製造方法。
【請求項20】
前記長尺電極がタブを有して成り、該長尺電極の該タブのみを平面視にて前記部分電極組立体の前記タブと局所的に重なるように位置付ける、請求項12〜18のいずれかに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より充放電が繰り返し可能な二次電池が様々な用途に用いられている。例えば、二次電池は、スマートフォン、ノートパソコン等の電子機器の電源として用いられている。
【0003】
近年、当該電子機器の薄型化および小型化の要求が一層高まっていることに伴い、薄型化・小型化かつ高容量の二次電池が要求されている。かかる要求に応えるため、特許文献1には、二次電池の構成要素である電極組立体が、断面視にて正極、負極およびセパレータを含む電極構成層が複数積層された平面積層構造を有する旨が開示されている。当該電極組立体の正極および負極、すなわち電極組立体の電極は、断面視にて集電体および集電体の主面に活物質が塗工された電極材層を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−120456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、積層方向に沿って設けられた複数の電極のうちの最外層電極は、集電体の一方の主面にのみ電極材層が供される場合がある。具体的には、最外層電極の電極材層は、最外層電極の集電体の一方の主面とセパレータとの間にのみ供され得る。換言すれば、最外層電極の電極材層は、最外層電極の集電体の他方の主面には供されない。この事は、集電体の他方の主面に電極材層が供される場合、リチウムイオンが反対電極の電極材層へと移動しにくいため、当該集電体の他方の主面に供される電極材層が二次電池の構成要素として好適に機能しにくいことに起因する。
【0006】
本願発明者は、最外層電極において、電極材層が断面視にて集電体の一方の主面にのみ供される場合、以下の問題が生じ得ることを見出した。
【0007】
図10に示すように、平面積層構造の電極組立体100’(例えば、平面視で矩形形状の電極組立体100X’等)は、積層方向に沿ってセパレータ50’を挟んで正極10A’と負極10B’とを交互に配置した後、層間相互の接続を行うために熱加圧(ホットプレスともいう)を行うことによって得られる。積層方向に沿って設けられる複数の電極10’の各々は、集電体11’の少なくとも一方の主面に電極材層12’を塗布および乾燥後、所望の密度を得るための加圧処理を行うことで得られる。具体的には、電極組立体100’の内側領域に位置する電極10’は、集電体11’の両主面に電極材層12’を塗布および乾燥した後、所望の密度を得るための加圧処理を行うことで得られる。一方、電極組立体100’の最外層領域に位置する電極10’は、集電体11’の一方の主面にのみ電極材層12’を塗布および乾燥した後、所望の密度を得るための加圧処理を行うことで得られる。また、集電体11’は主として金属箔、すなわち金属部材から構成される一方、電極材層12’は、主として活物質およびバインダー(高分子系化合物)を含む。つまり、集電体11’と電極材層12’とでは、その構成材料の種類が相互に異なっている。
【0008】
かかる集電体11’と電極材層12’との材料の種類の違いは、所望の密度を有する各電極10’を得るための加圧処理を施す際において、集電体11’と電極材層12’の伸張度の違いにつながり得る。具体的には、その伸張度の違いに起因して、最外層に位置付ける電極10’(片面電極に相当)を得るための加圧処理時に電極材層12’は集電体11’よりも相対的に大きく伸張する傾向にある。特に、最外層に位置付ける電極10’(片面電極に相当)では電極材層12’が集電体11’の主面の一方の側にのみ設けられるため、当該伸張度の違いに起因して、最外層に位置付ける電極10’(片面電極に相当)には反り応力が生じ易い。かかる反り応力の発生は、最外層に位置付ける電極10’(片面電極に相当)の反りにつながり得る(図10の左下部参照)。
【0009】
最外層に位置付ける電極10’(片面電極に相当)の反りは、電極組立体100’の構成時に、内側領域の電極10’(両面電極に相当)との間に位置付けるセパレータ50’に最外層に位置付ける電極10’を全体として好適に接着できないことになり得る。そのため、最外層の電極10’が電極組立体100’の構成要素として好適に機能しない虞がある。その結果、全体として当該電極組立体100’を含む二次電池は、所望の電池特性を好適に発揮できない虞がある。
【0010】
本発明は、かかる事情に鑑みて案出されたものである。具体的には、本発明は、電極材層が断面視にて集電体の一方の主面に供される最外層電極の反り応力の発生を好適に抑制可能な電極組立体を備えた二次電池およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態では、
平面積層構造の電極組立体および電極組立体を収納する外装体を有して成る二次電池であって、
電極組立体は、部分電極組立体と、部分電極組立体の断面輪郭に沿って部分電極組立体を取り囲む屈曲形態の長尺電極とを有して成り、
長尺電極が、集電体と、集電体の一方の主面に全面的に設けられた電極材層と、該集電体の他方の主面の両端領域に局所的に設けられた電極材部とを備えている、二次電池が提供される。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態では、
平面積層構造の電極組立体および電極組立体を収納する外装体を有して成る二次電池の製造方法であって、
部分電極組立体を形成する工程と、
部分電極組立体の断面輪郭に沿って長尺電極によって部分電極組立体を取り囲む工程と
を含み、
長尺電極を、集電体の一方の主面に電極材層を全面的に設け、集電体の他方の主面の両端領域に電極材部を局所的に設けることで形成する、二次電池の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態によれば、電極材層が断面視にて集電体の一方の主面に供される最外層電極の反り応力の発生を抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る二次電池の電極組立体の模式断面図である。
図2図2は、本発明の別の実施形態に係る二次電池の電極組立体の模式断面図である。
図3図3は、本発明の更に別の実施形態に係る二次電池の電極組立体の模式断面図である。
図4図4は、本発明の更に別の実施形態に係る二次電池の電極組立体の模式図である。
図5図5は、本発明の更に別の実施形態に係る二次電池の電極組立体の模式図である。
図6図6は、本発明の一実施形態に係る二次電池の電極組立体の製造方法の模式断面図である。
図7A図7Aは、本発明の一実施形態に係る二次電池の電極組立体の製造方法の工程の模式断面図である。
図7B図7Bは、本発明の一実施形態に係る二次電池の電極組立体の製造方法の工程の模式断面図である。
図7C図7Cは、本発明の一実施形態に係る二次電池の電極組立体の製造方法の工程の模式断面図である。
図7D図7Dは、本発明の一実施形態に係る二次電池の電極組立体の製造方法の工程の模式断面図である。
図7E図7Eは、本発明の一実施形態に係る二次電池の電極組立体の製造方法の工程の模式断面図である。
図7F図7Fは、本発明の一実施形態に係る二次電池の電極組立体の製造方法の工程の模式断面図である。
図8図8は、本発明の別の実施形態に係る二次電池の電極組立体の製造方法の工程の模式断面図である。
図9図9は、電極構成層の基本的構成を模式的に示した断面図である。
図10図10は、本願発明者が見出した技術的課題を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係る二次電池の製造方法について説明する前に、二次電池の基本的構成について説明しておく。なお、本明細書でいう「二次電池」という用語は充電・放電の繰り返しが可能な電池のことを指す。「二次電池」は、その名称に過度に拘泥されるものではなく、例えば、「蓄電デバイス」なども包含し得る。本明細書でいう「平面視」とは、二次電池を構成する電極材の積層方向に基づく厚み方向に沿って対象物を上側または下側からみたときの状態のことである。又、本明細書でいう「断面視」とは、二次電池を構成する電極材の積層方向に基づく厚み方向に対して略垂直な方向からみたときの状態のことである。
【0016】
[二次電池の基本的構成]
本発明では二次電池が提供される。本明細書でいう「二次電池」とは、充電・放電の繰り返しが可能な電池のことを指している。従って、本発明の二次電池は、その名称に過度
に拘泥されるものでなく、例えば“蓄電デバイス”なども本発明の対象に含まれ得る。二次電池は、外装体の内部に電極組立体と電解質とが収容および封入された構造を有して成る。本発明では、電極組立体は、正極、負極およびセパレータを含む電極構成層が複数積層された平面積層構造を有することを前提とする。また、外装体は、導電性ハードケース又はフレキシブルケース(パウチ等)の形態を採ってよい。外装体の形態がフレキシブルケース(パウチ等)である場合、複数の正極の各々は、正極用集電リードを介して、正極用外部端子に連結されている。正極用外部端子はシール部により外装体に固定され、当該シール部は電解質の液漏れを防止する。同様に、複数の負極の各々は、負極用集電リードを介して負極用外部端子に連結されている。負極用外部端子はシール部により外装体に固定され、シール部が電解質の液漏れを防止する。なお、これに限定されず、複数の正極の各々と接続される正極用集電リードは正極用外部端子の機能を備えていてよく、また、複数の負極の各々と接続される負極用集電リードは負極用外部端子の機能を備えていてよい。外装体の形態が導電性ハードケースの場合、複数の正極の各々は、正極用集電リードを介して、正極用外部端子に連結されている。正極用外部端子はシール部により外装体に固定され、当該シール部は電解質の液漏れを防止する。
【0017】
正極10Aは、少なくとも正極集電体11Aおよび正極材層12Aから構成されており(図9参照)、正極集電体11Aの少なくとも片面に正極材層12Aが設けられている。当該正極集電体11Aのうち正極材層12Aが設けられていない箇所、すなわち正極集電体11Aの端部には正極側引出しタブが位置付けられている。正極材層12Aには電極活物質として正極活物質が含まれている。負極10Bは少なくとも負極集電体11Bおよび負極材層12Bから構成されており(図9参照)、負極集電体11Bの少なくとも片面に負極材層12Bが設けられている。当該負極集電体11Bのうち負極材層12Bが設けられていない箇所、すなわち負極集電体11Bの端部には負極側引出しタブが位置付けられている。負極材層12Bには電極活物質として負極活物質が含まれている。
【0018】
正極材層12Aに含まれる正極活物質および負極材層12Bに含まれる負極活物質は、二次電池において電子の受け渡しに直接関与する物質であり、充放電、すなわち電池反応を担う正負極の主物質である。より具体的には、「正極材層12Aに含まれる正極活物質」および「負極材層12Bに含まれる負極活物質」に起因して電解質にイオンがもたらされ、かかるイオンが正極10Aと負極10Bとの間で移動して電子の受け渡しが行われて充放電がなされる。正極材層12Aおよび負極材層12Bは特にリチウムイオンを吸蔵放出可能な層であることが好ましい。つまり、電解質を介してリチウムイオンが正極10Aと負極10Bとの間で移動して電池の充放電が行われる二次電池が好ましい。充放電にリチウムイオンが関与する場合、二次電池は、いわゆる“リチウムイオン電池”に相当する。
【0019】
正極材層12Aの正極活物質は例えば粒状体から成るところ、粒子同士の十分な接触と形状保持のためにバインダー(“結着材”とも称される)が正極材層12Aに含まれていることが好ましい。更には、電池反応を推進する電子の伝達を円滑にするために導電助剤が正極材層12Aに含まれていてよい。同様に、負極材層12Bの負極活物質は例えば粒状体から成るところ、粒子同士の十分な接触と形状保持のためにバインダーが含まれることが好ましく、電池反応を推進する電子の伝達を円滑にするために導電助剤が負極材層12Bに含まれていてよい。このように、複数の成分が含有されて成る形態ゆえ、正極材層12Aおよび負極材層12Bはそれぞれ“正極合材層”および“負極合材層”などと称すこともできる。
【0020】
正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵放出に資する物質であることが好ましい。かかる観点でいえば、正極活物質は例えばリチウム含有複合酸化物であることが好ましい。より具体的には、正極活物質は、リチウムと、コバルト、ニッケル、マンガンおよび鉄から成る群から選択される少なくとも1種の遷移金属とを含むリチウム遷移金属複合酸化物であることが好ましい。つまり、二次電池の正極材層12Aにおいては、そのようなリチウム遷移金属複合酸化物が正極活物質として好ましくは含まれている。例えば、正極活物質はコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム、または、それらの遷移金属の一部を別の金属で置き換えたものであってよい。このような正極活物質は、単独種として含まれてよいものの、二種以上が組み合わされて含まれていてもよい。より好適な態様では正極材層12Aに含まれる正極活物質がコバルト酸リチウムとなっている。
【0021】
正極材層12Aに含まれる得るバインダーとしては、特に制限されるわけではないが、ポリフッ化ビリニデン、ビリニデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビリニデンフルオライド−テトラフルオロチレン共重合体およびポリテトラフルオロチレンなどから成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。正極材層12Aに含まれ得る導電助剤としては、特に制限されるわけではないが、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラックおよびアセチレンブラック等のカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブおよび気相成長炭素繊維等の炭素繊維、銅、ニッケル、アルミニウムおよび銀等の金属粉末、ならびに、ポリフェニレン誘導体などから選択される少なくとも1種を挙げることができる。より好適な態様では正極材層12Aのバインダーはポリフッ化ビニリデンであり、また、別のより好適な態様では正極材層12Aの導電助剤はカーボンブラックである。さらに好適な態様では、正極材層12Aのバインダーおよび導電助剤が、ポリフッ化ビニリデンとカーボンブラックとの組合せとなっている。
【0022】
負極活物質は、リチウムイオンの吸蔵放出に資する物質であることが好ましい。かかる観点でいえば、負極活物質は例えば各種の炭素材料、酸化物、または、リチウム合金などであることが好ましい。
【0023】
負極活物質の各種の炭素材料としては、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、ソフトカーボン、ハードカーボン、ダイヤモンド状炭素などを挙げることができる。特に、黒鉛は電子伝導性が高く、負極集電体11Bとの接着性が優れる点などで好ましい。負極活物質の酸化物としては、酸化シリコン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛および酸化リチウムなどから成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。負極活物質のリチウム合金は、リチウムと合金形成され得る金属であればよく、例えば、Al、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、Laなどの金属とリチウムとの2元、3元またはそれ以上の合金であってよい。このような酸化物は、その構造形態としてアモルファスとなっていることが好ましい。結晶粒界または欠陥といった不均一性に起因する劣化が引き起こされにくくなるからである。より好適な態様では負極材層12Bの負極活物質が人造黒鉛となっている。
【0024】
負極材層12Bに含まれ得るバインダーとしては、特に制限されるわけではないが、スチレンブタジエンゴム、ポリアクリル酸、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド系樹脂およびポリアミドイミド系樹脂から成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。より好適な実施態様では負極材層12Bに含まれるバインダーはスチレンブタジエンゴムとなっている。負極材層12Bに含まれる得る導電助剤としては、特に制限されるわけではないが、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラックおよびアセチレンブラック等のカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブおよび気相成長炭素繊維等の炭素繊維、銅、ニッケル、アルミニウムおよび銀等の金属粉末、ならびに、ポリフェニレン誘導体などから選択される少なくとも1種を挙げることができる。なお、負極材層12Bには、電池製造時に使用された増粘剤成分(例えばカルボキシルメチルセルロース)に起因する成分が含まれていてもよい。
【0025】
さらに好適な態様では、負極材層12Bにおける負極活物質およびバインダーが人造黒鉛とスチレンブタジエンゴムとの組合せとなっている。
【0026】
正極10Aおよび負極10Bに用いられる正極集電体11Aおよび負極集電体11Bは電池反応に起因して活物質で発生した電子を集めたり供給したりするのに資する部材である。このような集電体は、シート状の金属部材であってよく、多孔または穿孔の形態を有していてよい。例えば、集電体は金属箔、パンチングメタル、網またはエキスパンドメタル等であってよい。正極10Aに用いられる正極集電体11Aは、アルミニウム、ステンレスおよびニッケル等から成る群から選択される少なくとも1種を含んだ金属箔から成るものが好ましく、例えばアルミニウム箔であってよい。一方、負極10Bに用いられる負極集電体11Bは、銅、ステンレスおよびニッケル等から成る群から選択される少なくとも1種を含んだ金属箔から成るものが好ましく、例えば銅箔であってよい。
【0027】
セパレータ50は、正負極の接触による短絡防止および電解質保持などの観点から設けられる部材である。換言すれば、セパレータ50は、正極10Aと負極10Bとの間の電子的接触を防止しつつイオンを通過させる部材であるといえる。好ましくは、セパレータ50は多孔性または微多孔性の絶縁性部材であり、その小さい厚みに起因して膜形態を有している。あくまでも例示にすぎないが、ポリオレフィン製の微多孔膜がセパレータとして用いられてよい。この点、セパレータ50として用いられる微多孔膜は、例えば、ポリオレフィンとしてポリエチレン(PE)のみ又はポリプロピレン(PP)のみを含んだものであってよい。更にいえば、セパレータ50は、“PE製の微多孔膜”と“PP製の微多孔膜”とから構成される積層体であってもよい。セパレータの表面は無機粒子コート層および/または接着層等により覆われていてもよい。セパレータの表面は接着性を有していてもよい。
【0028】
なお、電極の取扱いの更なる向上の観点から、セパレータ50と電極(正極10A/負極10B)は接着されていることが好ましい。セパレータ50と電極との接着は、セパレータ50として接着性セパレータを用いること、電極材層(正極材層12A/負極材層12B)の上に接着性バインダーを塗布および/または熱圧着すること等によって為され得る。セパレータ50または電極材層に接着性を供する接着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、アクリル系接着剤等が挙げられる。
【0029】
電解質は電極(正極10A・負極10B)から放出された金属イオンの移動を助力する。電解質は有機電解質および有機溶媒などの“非水系”の溶媒と、溶質とを含む電解質であっても、または水を含む“水系”の電解質であってもよい。二次電池は、電解質として“非水系”の電解質が用いられた非水電解質二次電池が好ましい。電解質は液体状またはゲル状などの形態を有し得る(なお、本明細書において“液体状”の非水電解質は「非水電解質液」とも称される)。
【0030】
具体的な非水電解質の溶媒としては、少なくともカーボネートを含んで成るものが好ましい。かかるカーボネートは、環状カーボネート類および/または鎖状カーボネート類であってもよい。特に制限されるわけではないが、環状カーボネート類としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)およびビニレンカーボネート(VC)から成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。鎖状カーボネート類としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジプロピルカーボネート(DPC)から成る群から選択される少なくも1種を挙げることができる。好適な態様では、非水電解質として環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との組合せが用いられ、例えばエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合物が用いられる。また、具体的な非水電解質の溶質としては、好ましくは例えばLiPF、LiBF等のLi塩が用いられる。また、具体的な非水電解質の溶質としては、好ましくは例えばLiPF、LiBF等のLi塩が用いられる。
【0031】
正極用集電リードおよび負極用集電リードとしては、二次電池の分野で使用されているあらゆる集電リードが使用可能である。そのような集電リードは、電子の移動が達成され得る材料から構成されればよく、例えばアルミニウム、ニッケル、鉄、銅、ステンレスなどの導電性材料から構成される。正極用集電リードはアルミニウムから構成されることが好ましく、負極用集電リードはニッケルから構成されることが好ましい。正極用集電リードおよび負極用集電リードの形態は特に限定されず、例えば、線又はプレート状であってよい。
【0032】
外部端子としては、二次電池の分野で使用されているあらゆる外部端子が使用可能である。そのような外部端子は、電子の移動が達成され得る材料から構成されればよく、通常はアルミニウム、ニッケル、鉄、銅、ステンレスなどの導電性材料から構成される。外部端子5は、基板と電気的かつ直接的に接続されてもよいし、または他のデバイスを介して基板と電気的かつ間接的に接続されてもよい。なお、これに限定されず、複数の正極の各々と接続される正極用集電リードが正極用外部端子の機能を備えていてよく、また、複数の負極の各々と接続される負極用集電リードは負極用外部端子の機能を備えていてよい。
【0033】
外装体は、上述のように導電性ハードケース又はフレキシブルケース(パウチ等)の形態を有していてよい。
【0034】
導電性ハードケースは、本体部および蓋部からなっている。本体部は当該外装体の底面を構成する底部および側面部から成る。本体部と蓋部とは、電極組立体、電解質、集電リードおよび外部端子の収容後に密封される。密封方法としては、特に限定されるものではなく、例えばレーザー照射法等が挙げられる。本体部および蓋部を構成する材料としては、二次電池の分野でハードケース型外装体を構成し得るあらゆる材料が使用可能である。そのような材料は電子の移動が達成され得る材料であればよく、例えばアルミニウム、ニッケル、鉄、銅、ステンレスなどの導電性材料が挙げられる。本体部および蓋部の寸法は、主として電極組立体の寸法に応じて決定され、例えば電極組立体を収容したとき、外装体内での電極組立体の移動(ズレ)が防止される程度の寸法を有することが好ましい。電極組立体の移動を防止することにより、電極組立体の破壊が防止され、二次電池の安全性が向上する。
【0035】
フレキシブルケースは、軟質シートから構成される。軟質シートは、シール部の折り曲げを達成できる程度の軟質性を有していればよく、好ましくは可塑性シートである。可塑性シートは、外力を付与した後、除去したとき、外力による変形が維持される特性を有するシートのことであり、例えば、いわゆるラミネートフィルムが使用できる。ラミネートフィルムからなるフレキシブルパウチは例えば、2枚のラミネートフィルムを重ね合わせ、その周縁部をヒートシールすることにより製造できる。ラミネートフィルムとしては、金属箔とポリマーフィルムを積層したフィルムが一般的であり、具体的には、外層ポリマーフィルム/金属箔/内層ポリマーフィルムから成る3層構成のものが例示される。外層ポリマーフィルムは水分等の透過および接触等による金属箔の損傷を防止するためのものであり、ポリアミドおよびポリエステル等のポリマーが好適に使用できる。金属箔は水分およびガスの透過を防止するためのものであり、銅、アルミニウム、ステンレス等の箔が好適に使用できる。内層ポリマーフィルムは、内部に収納する電解質から金属箔を保護するとともに、ヒートシール時に溶融封口させるためのものであり、ポリオレフィンまたは酸変性ポリオレフィンが好適に使用できる。
【0036】
[本発明の二次電池]
本発明の一実施形態に係る二次電池の基本的構成を考慮した上で、以下、本発明の一実施形態に係る二次電池の特徴部分について説明する。
【0037】
本願発明者は、電極材層が断面視にて集電体の一方の主面に供されている最外層の電極の反り応力を抑制するための対応策について鋭意検討した。その結果、本発明を案出するに至った。
【0038】
以下、本発明の特徴部分を説明するに先立って、本明細書で用いる用語の定義付けを行う。本明細書でいう「部分電極組立体」とは、広義には、最外層電極を設けて最終的に電極組立体(完成物)を得る前段階のものであって電極組立体の前駆体に相当するものを指す。本明細書でいう「部分電極組立体」とは、狭義には、断面視にて、集電体の両主面に電極材層が全面的に設けられた電極を有して成り、かつ長尺電極以外の部分を成す。本明細書でいう「部分電極組立体の断面輪郭」とは、断面視における部分電極組立体の輪郭形状を指す。本明細書でいう「電極材部」とは、電極材を含む部材が集電体の主面に局所的に(又は限定的に又は部分的)設けられたものを指す。本明細書でいう「電極材層」とは、電極材を含む部材が集電体の主面に層状に設けられたものを指す。
【0039】
本発明は、これまでの電極間にセパレータが配置された電極構成層が複数積層された平面積層構造の電極組立体とは異なる視点から案出されている。具体的には、本発明は、長尺電極10(片面電極)を部分電極組立体90に巻き付けるという技術的思想に基づき案出されている。かかる技術的思想を実現するために、本発明は、下記の第1の特徴と第2の特徴の両方を兼ね備えている。具体的には、本発明は、第1に、電極組立体100が、部分電極組立体90と、部分電極組立体90の断面輪郭に沿って部分電極組立体90を取り囲む屈曲形態の長尺電極10とを有して成ることを特徴とする(図1参照)。これに加え、本発明は、第2に、長尺電極10が、集電体11と、集電体11の一方の主面11Xに全面的に設けられた電極材層11Xと、集電体11の他方の主面11Yの両端領域11Y,11Yに局所的に設けられた電極材部13とを備えていることを特徴とする(図1参照)。当該電極材部13の材料組成は、集電体11の一方の主面11Xに供される電極材層12の材料組成と実質的に同一である。本発明のかかる特徴は、平面積層構造型の電極組立体100にて平面状の最外層電極を積層するというこれまでの当業者の技術的常識の延長線上にはない点で構造的に顕著な差異を有する。
【0040】
上述の本発明の第1の特徴によれば、屈曲形態の長尺電極10が、部分電極組立体90の断面輪郭に沿って部分電極組立体90を取り囲むこととなる。すなわち、屈曲形態の長尺電極10は、部分電極組立体90の断面輪郭に沿って部分電極組立体90に巻き付かれた状態となる。この状態では、部分電極組立体90の断面輪郭に沿った長尺電極10の巻き付けに起因して、当該長尺電極10に引張応力が供され易くなる。つまり、当該長尺電極10に所定の張力を供することが可能となる。かかる張力により、長尺電極10に生じ得る反り応力を抑制することが可能である。つまり、かかる張力は、長尺電極10の屈曲形態の保持につながり得る。特に、長尺電極10に生じ得る反り応力よりも相対的に大きい張力が長尺電極10に供されると、長尺電極10に生じ得る反り応力をより好適に抑制することが可能である。
【0041】
上述の本発明の第2の特徴によれば、電極材層11Xが設けられる集電体11の一方の主面11Xとは反対側の他方の主面11Yの両端領域11Y,11Yに、電極材部13が局所的に設けられている。つまり、断面視にて集電体11を挟んで一方の主面11Xに供された電極材層12と他方の主面11Yに供された電極材部13とが相互に対向することとなる。かかる相互に対向する部分では、長尺電極10の製造時(具体的には加圧処理時)に、電極材部13の材料組成が集電体11の一方の主面11Xに供される電極材層12の材料組成と実質的に同一であることに起因して、電極材層12と電極材部13とは略同一の伸張度を有し得る。そのため、かかる相互に対向する部分では、長尺電極10の加圧処理時にて、集電体11の一方の主面11Xに供される電極材層12と、集電体の他方の主面11Yに供される電極材部13とは同じ程度で伸張し得る。
【0042】
詳細には、加圧処理時における電極材層12の伸張度は加圧処理時における集電体11の伸張度よりも相対的に大きいことに起因して、電極材層12および集電体11の積層体が、電極材層12が外側湾曲面となりかつ集電体11が内側湾曲面となるような反り応力が生じ得る。一方、当該加圧処理時における電極材部13の伸張度は当該加圧処理時における集電体11の伸張度よりも相対的に大きいことに起因して、電極材部13および集電体11の積層体が、電極材部13が外側湾曲面となりかつ集電体11が内側湾曲面となるような反り応力が生じ得る。つまり、本発明の一実施形態では、電極材層12と電極材部13とが対向する部分にて、「集電体11の一方の主面11Xに供される電極材層12および集電体11の積層体の反り応力が生じ得る向き」と「集電体11の他方の主面11Yに供される電極材部13および集電体11の積層体の反り応力が生じ得る向き」とを相互に反対の関係にし得る。
【0043】
これにつき、図10に示すように、従来の最外層電極10’(片面電極)では、加圧処理時における集電体11’と電極材層12’の伸張度の違いに起因して、最外層電極10’の両端領域が中央領域よりも反りの程度が大きくなる傾向にあり得る。かかる傾向も考慮し、本発明では、電極材部13が集電体の他方の主面11Yの両端領域11Y,11Yに局所的に設けられている。つまり、電極材層12と電極材部13とが相互に対向する部分が長尺電極10の両端領域に形成されている。これにより、長尺電極10の両端領域にて、上述の「電極材層12および集電体11の積層体の反り応力が生じ得る向き」と「電極材部13および集電体11の積層体の反り応力が生じ得る向き」とを反対の関係にすることが可能となる。
【0044】
そのため、電極材層12と電極材部13とが相互に対向する部分では、反り応力の向きが相互に反対であることに起因して「電極材層12および集電体11の積層体の反り応力」が「電極材部13および集電体11の積層体の反り応力」によって実質的に相殺され得る。かかる相殺により、加圧処理時に長尺電極10に生じ得る反り応力、特に長尺電極10の両端領域に生じ得る反り応力を抑制することができる。
【0045】
特に、本発明は、上述のように上記第1の特徴と第2の特徴の両方を兼ね備えており、かつ本発明の第1の特徴および第2の特徴のいずれもが長尺電極10の反り応力の抑制という技術的効果を奏し得る。以上の事から、本発明の一実施形態では、上記第1の特徴と第2の特徴の両方を兼ね備えていることに起因して、長尺電極10の反り応力を好適に抑制することが可能である。つまり、電極材層12が集電体11の一方の主面のみに設けられる場合と比べて、長尺電極10の反りを全体として好適に抑制可能となる。
【0046】
かかる反りの抑制は、それに起因して図1に示すように電極組立体100の構成時に部分電極組立体90との間に位置付けるセパレータ50に屈曲形態を成す長尺電極10を好適に接着可能となることにつながる。そのため、屈曲形態を成す長尺電極10を電極組立体100の構成要素として好適に機能させることができる。その結果、全体として当該電極組立体100を含む二次電池は、所望の電池特性を好適に発揮することが可能である。
【0047】
又、上記により長尺電極10に生じ得る反り応力を抑制可能であるため、これまで当業者の技術常識となっている下記の反り応力の抑制措置を施す必要がない。
【0048】
具体的には、反り応力は最外層電極10’の形成時における所望の密度を得るための加圧処理により生じ得るため、これまでの当業者の技術常識に従えば反り応力を抑制するために、電極組立体100’の内側領域(部分電極組立体に相当)に供される両面電極の集電体11’の厚みと比べて、最外層電極10’の集電体11’の厚みを相対的に大きくする必要があり得る(図10参照)。そのため、最外層電極10’の集電体11’の厚み増大に起因して電池のエネルギー密度が低下し得る。
【0049】
これにつき、本発明の一実施形態では、上述のように別の手段にて長尺電極10に生じ得る反り応力を抑制可能であるため、部分電極組立体90に供され得る両面電極と比べて、長尺電極10の集電体11の厚みを相対的に大きくすることを要しない。そのため、長尺電極10の集電体11の厚みを他の両面電極の集電体の厚みとの違いを小さくする、つまり実質的に同一にすることができる。
【0050】
又、これまでの当業者の技術常識に従えば反り応力を抑制するために、最外層電極10’に対して加圧する力(加圧力)を相対的に小さくする必要がある。そのため、最外層電極10’に対する加圧力が相対的に小さいことに起因して電池のエネルギー密度が低下し得る(図10参照)。
【0051】
これにつき、本発明の一実施形態では上述のように別の手段にて長尺電極10に生じ得る反り応力を抑制可能であるため、部分電極組立体90に供される両面電極の形成時における加圧力と比べて、長尺電極10(片面電極)の形成時における加圧力を相対的に小さくする必要がない。つまり、部分電極組立体90に供される両面電極の形成時における加圧力と、長尺電極10(片面電極)の形成時における加圧力との違いを小さくすることが可能である。従って、加圧処理により得られる部分電極組立体90に供される両面電極の密度と、長尺電極10の密度との違いを小さくする、つまり実質的に同一にすることが可能である。以上の事から、本発明の一実施形態は、長尺電極10の集電体11の厚みの増大および/または長尺電極10に対する加圧力の低減を要しないため、これに起因して電池のエネルギー密度の低下を抑制することが可能である点でも有利である。
【0052】
本発明の一実施形態に係る二次電池は、下記態様を採ることが好ましい。
【0053】
一態様では、電極組立体100αが、積層方向に沿って相互に離隔した2つの部分電極組立体90を有して成り、連続する単一の長尺電極10が、電極組立体100の外周面100Pに電極材部13が非存在となるように2つの部分電極組立体90のそれぞれを取り囲むことが好ましい(図2参照)。
【0054】
図2に示す態様は、図1と比べて以下の特徴を有する。第1に、図2に示す態様は、図1と比べて積層方向に沿って相互に離隔した2つの部分電極組立体90が用いられ、屈曲形態の長尺電極10が当該2つの部分電極組立体90を各部分電極組立体90の断面輪郭に沿ってそれぞれ取り囲むという特徴を有する。第2に、図2に示す態様は、図1と比べて屈曲形態を成す長尺電極10の電極材部13が電極組立体100の外周面100Pにて存在しないという特徴を有する。
【0055】
第1の特徴によれば、屈曲形態の長尺電極10が2つの部分電極組立体90を各部分電極組立体90の断面輪郭に沿ってそれぞれ取り囲む。そのため、長尺電極10が、図1に示す態様と比べて、断面視で各断面輪郭に沿って2つの部分電極組立体90に巻き付かれた状態となる。そのため、2つの部分電極組立体90への巻き付けに起因して形成される長尺電極10の屈曲部の数が、断面視で図1に示す態様と比べて増大する。具体的には、図1に示す態様では、断面視で長尺電極10の屈曲部の数が3つであったのに対し、図2に示す態様では、断面視で長尺電極10の屈曲部の数が6つとなる。かかる屈曲部の数の増大により、長尺電極10に引張応力がより供され易くなる。つまり、図1に示す態様と比べて、当該長尺電極10に相対的に大きな張力を供することが可能となる。かかる相対的に大きな張力により、長尺電極10に生じ得る反り応力をより好適に抑制することが可能である。
【0056】
第2の特徴によれば、屈曲形態を成す長尺電極10の電極材部13が電極組立体100の外周面100Pにて存在しない。これにつき、当該電極材部13が電極組立体100の外周面100Pに存在し得る場合、リチウムイオンが電解液を介して反対電極の電極材層へと移動しにくく、それにより外周面100Pに存在し得る電極材部13が電極組立体100、すなわち二次電池の構成要素として好適に機能しにくいといった問題が生じ得る。しかしながら、本態様の第2の特徴によれば、電極材部13が電極組立体100の外周面100Pに存在しないため、かかる問題の発生を好適に回避することが可能である。従って、かかる問題の発生の回避に起因して、二次電池のエネルギー密度の低下を回避することができる。
【0057】
一態様では、長尺電極10の一方の電極材部13aと他方の電極材部13bとが、積層方向に沿って相互に対向していることが好ましい(図2参照)。
【0058】
図2に示す態様は、上記態様に加え長尺電極10の一方の電極材部13aと他方の電極材部13bとが、積層方向に沿って相互に対向していることを特徴とする。屈曲形態を成す長尺電極10の電極材部13が電極組立体100の外周面100Pに存在しない場合、当該電極材部13は電極組立体100の内側領域に存在することとなり得る。特に長尺電極10の一方の電極材部13aと他方の電極材部13bとが、積層方向に沿って相互に対向するように電極組立体100の内側領域に存在すると、以下の効果が奏され得る。具体的には、両方の電極材部13a、13bとの間にこれら電極材部とは極性が異なる電極材層を備えた反対電極10αが存在すると、これら電極材部からリチウムイオンを反対電極の電極材層へと好適に移動させることが可能となる。そのため、これら電極材部13を電極組立体100、すなわち二次電池の構成要素として好適に機能させることが可能となる。その結果、かかる電極材部13の好適な機能により、二次電池のエネルギー密度の低下を好適に回避することができる。
【0059】
なお、これに限定されることなく、両方の電極材部13a、13bとの間に、少なくとも1つの部分電極組立体90が更に設けられてもよい(図3参照)。この場合、セパレータを介して両方の電極材部13a、13bの各々と隣り合う電極材層(更なる部分電極組立体90の構成要素)は、これら電極材部13a、13bとは極性の異なる反対電極の構成要素であることを要することに留意する。
【0060】
一態様では、断面視にて長尺電極10と部分電極組立体90との間に、長尺電極10と部分電極組立体90とに接する接着剤層付きのセパレータ50が位置付けられていることが好ましい(図1および図2参照)。
【0061】
本態様は、断面視にて長尺電極10と部分電極組立体90との間に接着剤層付きのセパレータ50が位置付けられていることを特徴とする。当該セパレータ50は、正負極の接触による短絡防止の観点から電極10と部分電極組立体90との間に位置付けられている。詳細には、当該セパレータ50は最外層電極10と部分電極組立体90の両方に接するように供され、当該セパレータ50には、その両主面に接着機能を有する接着剤層が供されている(図示せず)。つまり、当該セパレータ50は「接着剤層付きセパレータ50」となっている。具体的には、セパレータ50の一方の主面に供される接着材層は長尺電極10の電極材層12に接着している。一方、セパレータ50の他方の主面に供される接着材層は部分電極組立体90に接着している。以上により、「接着剤層付きセパレータ50」を介して長尺電極10と部分電極組立体90とを好適に一体化させることが可能となる。
【0062】
一態様では、長尺電極が、集電体の他方の主面の両端領域の間に局所的に設けられた電極材部を更に有して成っていることが好ましい(図示せず)。
【0063】
上述のように、従来の最外層電極(片面電極)では、その両端領域が中央領域よりも反りの程度が大きくなる傾向にあり得る。かかる傾向も考慮し、電極材部13が集電体の他方の主面11Yの両端領域11Y,11Yに局所的に設けられている(図1参照)。つまり、電極材層12と電極材部13とが相互に対向する部分が長尺電極10の両端領域に形成されている。これにより、長尺電極10の両端領域にて、「電極材層12および集電体11の積層体の反り応力が生じ得る向き」と「電極材部13および集電体11の積層体の反り応力が生じ得る向き」とを反対の関係にすることが可能となる。これにより、上述のように、特に長尺電極の両端領域に生じ得る反り応力を抑制することができる。本態様では、これに加え、集電体の他方の主面の両端領域のみならず、当該両端領域間に電極材部が更に局所的に供される。電極材部は長尺電極に生じ得る反り応力を抑制する機能を有しているため、当該電極材部の数を増加させることで、それに伴い長尺電極に生じ得る反り応力をより好適に抑制することが可能となり得る。
【0064】
一態様では、長尺電極10の集電体11が、平面視にて部分電極組立体90の両面電極に供されたタブ20(正極タブ20A、負極タブ20B)よりも内側に位置付けられていることが好ましい(図4参照)。
【0065】
本態様では、長尺電極10の集電体11が平面視にて部分電極組立体90に供されたタブ20よりも内側に位置付けられている。具体的には、長尺電極10の集電体11の端部11αが平面視にて部分電極組立体90に供された引出しタブ20の端部20αよりも内側に位置付けられている。かかる長尺電極10の集電体11の内側配置により、これに起因して当該集電体11の端部が平面視にて部分電極組立体90に供された引出しタブ20の端部と略同一面上にある場合と比べて、部分電極組立体90に供された引出しタブ20をより露出し易くすることができる。そのため、当該引出しタブ20に長尺電極10の端部に露出した集電体11の一部を好適に溶着することができる。具体的には、当該引出しタブ20に長尺電極10の端部に露出した集電体11の一部を溶着し易くすることができる。かかる好適な溶着は、最終的にリードを介した引出し部(溶着部)と外部端子との好適な電気的接続に貢献し得る。なお、長尺電極10として負極を用いる場合を例にとると、平面視で負極集電体の一部と正極タブとが対向することに起因する短絡防止の観点から部分電極組立体90の正極タブ20Aをテープで保護することが好ましい。
【0066】
一態様では、長尺電極10がタブを有して成り、長尺電極10のタブのみが平面視にて部分電極組立体90のタブと局所的に重なるように位置付けられていることが好ましい(図5参照)。
【0067】
長尺電極として負極を用いる場合を例にとると、部分電極組立体90への長尺電極10の巻回状態において、平面視で部分電極組立体90の正極タブ20Aと負極側集電体の一部とが相互に対向することに起因して短絡が生じ得る。そこで、本態様では、長尺電極として負極を用いる場合を例にとると、当該短絡防止の観点から、長尺電極10に負極タブ20Bを設け、当該負極タブ20Bのみが平面視にて部分電極組立体90の負極タブ20Bと局所的に重なるように位置付けられることが好ましい。これにより、巻回後において、平面視で部分電極組立体90の正極タブ20Aと負極側集電体の一部とが相互に対向することを回避することができる。かかる相互対向の回避により、平面視で部分電極組立体90の正極タブ20Aと負極側集電体の一部とが相互に対向することに起因する短絡発生を回避することができる。従って、かかる短絡発生の回避の結果、電池の安全性を向上させることができる。
【0068】
一態様では、部分電極組立体90の側面90βに対向する部分の長尺電極10は断面視にて片面電極の構造を有し、当該長尺電極10が負極であることが好ましい(図1参照)。
【0069】
本態様では、部分電極組立体90の側面90βに対向する部分の長尺電極10が断面視にて片面電極の構造を有するため、部分電極組立体90の側面90βに対向する部分にも電極材層11が位置付けられることとなる。長尺電極10として負極が用いられる場合、具体的には電極材層11として負極材層が用いられる場合、当該負極材層がリチウムイオンを受容可能な層として機能し得るため、部分電極組立体90の側面領域にて移動し得るリチウムイオンを好適に受容することができる。従って、リチウムイオン移動に起因した部分電極組立体90の負極端部へのリチウムの析出を好適に抑制することができる。従って、かかるリチウム析出抑制の結果、電池の安全性を向上させることができる。
【0070】
なお、これに限定されることなく、一態様では、部分電極組立体の側面に対向する部分の長尺電極は、断面視にて集電体のみを有していてよい(図示せず)。
【0071】
この場合、部分電極組立体の側面に対向する部分の長尺電極には、電極材層が存在しない。そのため、長尺電極が電極材層を有して成る場合と比べて、かかる電極材層の非存在に起因して最終的に得られる電極組立体の幅寸法を相対的に減じることができる。それ故、電極組立体を有して成る二次電池の寸法を相対的に減じることができる。
【0072】
なお、長尺電極が正極として用いる場合、正極材層はリチウムイオンを受容可能な層として実質的に機能しないため、部分電極組立体の側面領域にて移動し得るリチウムイオンに起因して部分電極組立体の負極端部へのリチウムの析出を抑制しにくい。そのため、長尺電極が正極として用いる場合、部分電極組立体の側面に対向する部分の長尺電極は、断面視にて集電体のみを有することが好ましい。
【0073】
一態様では、長尺電極10の集電体11の一部が露出しており、露出した集電体11の一部は平面視でセパレータ50および電極材層12よりも外側に位置付けられていることが好ましい(図1参照)。
【0074】
本発明は長尺電極10が断面視で部分電極組立体90を取り囲むことを特徴とする(図1参照)が、当該長尺電極10および当該部分電極組立体90のいずれも電極組立体100の構成要素である。そのため、電極組立体100を全体として好適に機能させるためには、部分電極組立体90内の両面電極のタブと、長尺電極10の集電体11の一部とを電気的に接続可能な状態にする必要がある。つまり、部分電極組立体90内の両面電極のタブと長尺電極10の集電体11の一部とを、平面視で相互に対向する配置にする必要がある。そのため、長尺電極10の集電体11の一部を平面視で露出させる必要がある。この点を鑑み、本態様では、露出した集電体11の一部は平面視でセパレータ50および電極材層12よりも外側に位置付けられることが好ましい。これにより、平面視で集電体11の一部を、部分電極組立体90内の両面電極のタブと好適に相互に対向させることが可能となる。従って、部分電極組立体90内の両面電極のタブと、長尺電極10の露出した集電体11の一部とを電気的に好適に接続可能となり、その結果として電極組立体100を全体として好適に機能させることが可能となる。
【0075】
[本発明の二次電池の製造方法]
以下、本発明の一実施形態に係る二次電池の製造方法について説明する。
【0076】
本発明の製造方法は、電極間にセパレータを配置して得られる電極構成層を複数積層することによって平面積層構造の電極組立体を形成するという従来の方法とは異なる視点から案出されている。具体的には、本発明は、部分電極組立体を形成する工程と、部分電極組立体の断面輪郭に沿って長尺電極によって部分電極組立体を取り囲む工程とを含み、長尺電極を、集電体の一方の主面に電極材層を全面的に設け、集電体の他方の主面の両端領域に電極材部を局所的に設けることで形成することを特徴とする。つまり、本発明の製造方法の特徴は、最外層電極を含む各電極を積層して電極組立体を得るというこれまでの当業者の技術的常識の延長線上にはない点で異なる。
【0077】
本発明の製造方法では、上述のように長尺電極10を、集電体11の一方の主面11Xに電極材層12を全面的に設け、集電体11の他方の主面11Yの両端領域11Y,11Yに電極材部13を局所的に設けることで形成する。つまり、電極材層12と電極材部13とが相互に対向する部分を長尺電極10の両端領域に形成している。これにより、長尺電極10の両端領域にて、「電極材層12および集電体11の積層体の反り応力が生じ得る向き」と「電極材部13および集電体11の積層体の反り応力が生じ得る向き」とを反対の関係にすることが可能となる。
【0078】
そのため、電極材層12と電極材部13とが相互に対向する部分では、反り応力の向きが相互に反対であることに起因して「電極材層12および集電体11の積層体の反り応力」が「電極材部13および集電体11の積層体の反り応力」によって実質的に相殺され得る。かかる相殺により、加圧処理時に長尺電極10に生じ得る反り応力、特に長尺電極10の両端領域に生じ得る反り応力を抑制することができる。
【0079】
又、本発明の製造方法では、かかる長尺電極10を用いて、部分電極組立体90の断面輪郭に沿って部分電極組立体90を取り囲む。すなわち、部分電極組立体90の断面輪郭に沿って部分電極組立体90に長尺電極10を巻き付ける。かかる巻き付けにより、長尺電極10が断面視で屈曲形態を成すため、それにより当該長尺電極10に引張応力が供され易くなる。つまり、当該長尺電極10に所定の張力を供することが可能となる。かかる張力により、長尺電極10に生じ得る反り応力を抑制することが可能である。
【0080】
本発明の製造方法では、上述のように長尺電極10の形成時および当該長尺電極10の部分電極組立体90への巻き付け時の両方にて長尺電極10に生じ得る反り応力を抑制することが可能である。そのため、本発明の一実施形態では、電極材層12が集電体11の一方の主面のみに設けられる従前の態様と比べて、長尺電極10の反りを全体として好適に抑制可能となる。かかる反りの抑制は、それに起因して図6に示すように電極組立体100の構成時に部分電極組立体90との間に位置付けるセパレータ50に屈曲形態を成す長尺電極10を好適に接着可能となることにつながる。そのため、屈曲形態を成す長尺電極10を電極組立体100の構成要素として好適に機能させることができる。その結果、全体として当該電極組立体100を含む二次電池は、所望の電池特性を好適に発揮することが可能である。
【0081】
なお、本発明の製造方法は以下態様を採ることが好ましい。
【0082】
一態様では、長尺電極10の集電体11の一方の主面11Xに接着剤層付きのセパレータ50を設け、部分電極組立体90を取り囲む前に、接着剤層付きのセパレータ50を介して、長尺電極10の一方の端部領域に部分電極組立体90を固定することが好ましい(図6参照)。
【0083】
本態様は、上記の長尺電極10を形成し、当該長尺電極10を部分電極組立体90に巻き付ける前の態様に特徴を有する。具体的には、セパレータ50に供された接着剤層の接着性に起因して当該セパレータ50を介して長尺電極10に部分電極組立体90を固定することが可能と成る。特に、部分電極組立体90の長尺電極10の一方の端部領域への固定は、固定された部分以外の長尺電極10を有効活用できる点、および長尺電極10の部分電極組立体90への巻き付けを確実に行うことができる点で有益である。又、かかるセパレータ50に供された接着剤層の接着性に起因して、当該セパレータ50を介して長尺電極10の部分電極組立体90への巻き付け後に、セパレータ50の一方の側に供される接着材層が長尺電極10の電極材層12に接着する。一方、セパレータ50の他方の側に供される接着材層は部分電極組立体90に接着する。以上により、「接着剤層付きセパレータ50」を介して長尺電極10と部分電極組立体90とを好適に一体化させることが可能となる。
【0084】
一態様では、2つの部分電極組立体90を用い、電極材部13が外周面に非存在となり、かつ一方の部分電極組立体90と他方の部分電極組立体90とが積層方向に沿って相互に離隔するように、連続する単一の長尺電極13を屈曲させて、長尺電極13によって部分電極組立体を取り囲むことが好ましい(図7A図7F参照)。
【0085】
図7A図7Fを用いて具体的に説明する。
【0086】
まず、図7Aに示すように、長尺電極10を、集電体11の一方の主面11Xに電極材層12を全面的に設け、集電体11の他方の主面11Yの両端領域11Y,11Yに電極材部13を局所的に設け、次いで加圧処理を施すことで形成する。次いで、電極材層12の主面の全体にわたって接着剤層付きセパレータ50を供する。詳細には、当該接着剤層についてはセパレータ50の両主面に供する。
【0087】
次いで、図7Bに示すように、断面視で電極材部13と略同一の幅寸法を有する部分電極組立体90を、一方の電極材部13と他方の電極材部13にそれぞれ対向するように接着剤層付セパレータ50上に位置付ける。
【0088】
次いで、図7Cおよび図7Dに示すように、断面視で両方の電極材部13が上方向に向くように、図7Bに示す態様の積層体を内側へと屈曲させる。
【0089】
次いで、図7Eおよび図7Fに示すように、断面視で両方の電極材部13が相互に対向し、かつ2つの部分電極組立体90が積層方向に沿って相互に離隔配置となるように図7Dに示す態様の積層体を更に内側へと屈曲させる。
【0090】
次いで、図7Fに示すに示すように、一方の電極材部13と他方の電極材部13との間に形成された空間領域に極性の異なる反対電極を設けて、長尺電極10と部分電極組立体90とを一体化させた電極組立体の前駆体を形成する。
【0091】
次いで、当該電極組立体の前駆体に熱加圧を施す。一体化して得られる電極組立体の前駆体に熱加圧を施すと層間相互の接続性(密着性)を向上し得るため、当該熱加圧により長尺電極10と部分電極組立体90とのより好適な一体化を行うことが可能と成る。
【0092】
以上により、所望の電極組立体(100)を得ることができる。
【0093】
以上の事からも、本態様では、屈曲形態の長尺電極10によって、2つの部分電極組立体90を各部分電極組立体90の断面輪郭に沿ってそれぞれ取り囲む。そのため、長尺電極10が断面視で各断面輪郭に沿って2つの部分電極組立体90に巻き付かれた状態となる。そのため、2つの部分電極組立体90への巻き付けに起因して形成される長尺電極10の屈曲部の数が、断面視で図6に示す態様と比べて増大する。具体的には、図6に示す態様では、断面視で長尺電極10の屈曲部の数が3つであったのに対し、図7Fに示す態様では、断面視で長尺電極10の屈曲部の数が6つとなる。かかる屈曲部の数の増大により、長尺電極10に引張応力がより供され易くなる。つまり、図6に示す態様と比べて、当該長尺電極10に相対的に大きな張力を供することが可能となる。かかる相対的に大きな張力により、長尺電極10に生じ得る反り応力をより好適に抑制することが可能である。
【0094】
本態様では、屈曲形態を成す長尺電極10の電極材部13を電極組立体100の外周面100Pにて位置付けない。電極材部13が電極組立体100の外周面100Pに位置付ける場合、リチウムイオンが電解液を介して反対電極の電極材層へと移動しにくく、それにより外周面100Pに位置付ける電極材部13が電極組立体100として好適に機能しにくいといった問題の発生を好適に回避することが可能である。従って、かかる問題の発生の回避に起因して、二次電池のエネルギー密度の低下を回避することができる。
【0095】
長尺電極10の一方の電極材部13aと他方の電極材部13bとを積層方向に沿って相互に対向させるため、図7Fに示すように両方の電極材部13a、13bとの間にこれら電極材部とは極性が異なる電極材層を備えた反対電極10αを設けると、これら電極材部からリチウムイオンを反対電極の電極材層へと好適に移動させることが可能となる。そのため、これら電極材部13を電極組立体100として好適に機能させることが可能となる。その結果、かかる電極材部13の好適な機能により、二次電池のエネルギー密度の低下を好適に回避することができる。
【0096】
又、上述のように、当該電極組立体の前駆体に熱加圧を施すと、それに起因して電極10に供される所定の張力による長尺電極10の所定形態(形状)の保持を「継続」又は「連続」させることが可能となる。かかる「継続」した又は「連続」した長尺電極10の形態保持により、長尺電極10にて電極材層12の主面が外側湾曲面となり集電体11の主面が内側湾曲面となり得る反り応力が生ずることをより好適に抑制することが可能となる。
【0097】
なお、一態様では、両方の電極材部13a、13bとの間に、少なくとも1つの部分電極組立体90を更に設けてもよい(図8参照)。
【0098】
この場合、上述と同様に、まず、長尺電極10を、集電体11の一方の主面11Xに電極材層12を全面的に設け、集電体11の他方の主面11Yの両端領域11Y,11Yに電極材部13を局所的に設けることで形成する。次いで、電極材層12の主面の全体にわたって接着剤層付きセパレータ50を供する。次いで、断面視で電極材部13と略同一の幅寸法を有する部分電極組立体90を、一方の電極材部13と他方の電極材部13にそれぞれ対向するように接着剤層付セパレータ50上に位置付ける。
【0099】
ここで、特に限定されるものではないが、本態様では、一方の電極材部13上に、両主面に接着剤層付きセパレータ50が供された部分電極組立体90を設ける。
【0100】
次いで、最終的に、断面視で両方の電極材部13が相互に対向し、かつ3つの部分電極組立体90が積層方向に沿って相互に配置されるように図8の上部に示す積層体を所定回数内側へと屈曲させる。なお、これに限定されず、一方の電極材部13と他方の電極材部13との間に空間領域が形成されるように積層体を屈曲させた後に、両主面に接着剤層付きセパレータ50が供された少なくとも1つの部分電極組立体90を設けてもよい。この場合、図8の上部に示す態様と比べて、一方の電極材部13上に、両主面に接着剤層付きセパレータ50が供された部分電極組立体90を設ける工程は除かれることに留意する。
【0101】
以上により、所望の電極組立体100を得ることができる。
【0102】
両主面に接着剤層付きセパレータ50が供された少なくとも1つの部分電極組立体90を更に設ける場合、当該更なる部分電極組立体90が、両方の電極材部13a、13bに隣接して対向する箇所にこれら電極材部とは極性が異なる電極材層を備えた反対電極が存在すると、これら電極材部からリチウムイオンを反対電極の電極材層へと好適に移動させることが可能となる。そのため、これら電極材部13を電極組立体100の構成要素として好適に機能させることが可能となる。その結果、かかる電極材部13の好適な機能により、二次電池のエネルギー密度の低下を好適に回避することができる。
【0103】
一態様では、長尺電極として、集電体の他方の主面の両端領域の間に局所的に設けられた電極材部を更に有して成るものを用いることが好ましい(図示せず)。
【0104】
上述のように、従来の最外層電極(片面電極)では、その両端領域が中央領域よりも反りの程度が大きくなる傾向にあり得るため、集電体の他方の主面11Yの両端領域11Y,11Yに電極材部13を局所的に設ける(図6参照)。これにより、長尺電極10の両端領域にて、「電極材層12および集電体11の積層体の反り応力が生じ得る向き」と「電極材部13および集電体11の積層体の反り応力が生じ得る向き」とを反対の関係にすることが可能となる。これにより、上述のように、特に長尺電極の両端領域に生じ得る反り応力を抑制することができる。本態様では、これに加え、集電体の他方の主面の両端領域のみならず、当該両端領域間に電極材部を更に局所的に供する。電極材部は長尺電極に生じ得る反り応力を抑制する機能を有するため、当該電極材部の数を増加させることで、それに伴い長尺電極に生じ得る反り応力をより好適に抑制することが可能となり得る。
【0105】
一態様では、長尺電極10の集電体11を、平面視にて部分電極組立体90の両面電極に供するタブよりも内側に位置付けることが好ましい(図4参照)。
【0106】
本態様では、長尺電極10の集電体11を平面視にて部分電極組立体90に供するタブ20よりも内側に位置付ける。当該長尺電極10の集電体11の内側配置により、これに起因して当該集電体11の端部が平面視にて部分電極組立体90に供される引出しタブ20の端部と略同一面上にある場合と比べて、長尺電極組立体90に供される引出しタブ20をより露出し易くすることができる。そのため、当該引出しタブ20に長尺電極10の端部に露出する集電体11の一部を溶着し易くすることができる。
【0107】
一態様では、長尺電極10に供するタブのみを平面視にて部分電極組立体90のタブと局所的に重ねることが好ましい(図5参照)。
【0108】
本態様では、長尺電極として負極を用いる場合を例に挙げれば、当該短絡防止の観点から、長尺電極10に負極タブを設け、当該負極タブのみを平面視にて部分電極組立体90の負極タブと局所的に重ねることが好ましい。これにより、巻回後において、平面視で部分電極組立体90の正極タブと負極側集電体の一部とが相互に対向することを回避することができる。以上の事からも、かかる相互対向の回避により、平面視で部分電極組立体90の正極タブと負極側集電体の一部とが相互に対向することに起因する短絡発生を回避することができる。従って、電池の安全性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の一実施形態に係る二次電池は、蓄電が想定される様々な分野に利用することができる。あくまでも例示にすぎないが、本発明の一実施形態に係る二次電池、特に非水電解質二次電池は、モバイル機器などが使用される電気・情報・通信分野(例えば、携帯電話、スマートフォン、ノートパソコンおよびデジタルカメラなどのモバイル機器分野)、家庭・小型産業用途(例えば、電動工具、ゴルフカート、家庭用・介護用・産業用ロボットの分野)、大型産業用途(例えば、フォークリフト、エレベーター、湾港クレーンの分野)、交通システム分野(例えば、ハイブリッド車、電気自動車、バス、電車、電動アシスト自転車、電動二輪車などの分野)、電力系統用途(例えば、各種発電、ロードコンディショナー、スマートグリッド、一般家庭設置型蓄電システムなどの分野)、ならびに、宇宙・深海用途(例えば、宇宙探査機、潜水調査船などの分野)に利用することができる。
【符号の説明】
【0110】
10 長尺電極
11 集電体
11X 集電体の一方の主面
11Y 集電体の他方の主面
11Y,11Y 集電体の他方の主面の両端領域
12 電極材層
13 電極材部
20 タブ
20A 正極タブ
20B 負極タブ
50 セパレータ
90 部分電極組立体
90β 部分電極組立体の側面
100 電極組立体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8
図9
図10