【解決手段】ハウジングと、ハウジングに取り付けられる略板状体を含む電源端子と、を備える。略板状体は、相手ハウジングとハウジングの接続時に、厚み方向における対向面にて相手ハウジングに設けた相手端子と接触するように構成されている。略板状体は、幅方向における端部領域のうち、幅方向に延びる帯領域に含まれる少なくともいずれかの部分においてハウジングによって支持されており、帯領域は、略板状体と相手端子との接触部分と、接触方向に沿う方向において同じ位置に配置され、且つ、接触方向に沿う方向において接触部分と同じ長さを有する。
前記少なくともいずれかの部分は、少なくとも、前記略板状体の前記厚み方向に沿う板厚面において前記ハウジングによって支持されている、請求項1に記載の電気コネクタ。
前記少なくともいずれかの部分と、前記ハウジングによって支持される他の被支持部は、前記接触方向に沿う方向と前記幅方向の双方に関して対向して位置付けられている、請求項1又は2に記載の電気コネクタ。
前記他の被支持部は、前記少なくともいずれかの部分に対して、前記相手端子との接触側とは前記接触方向に沿う方向において反対側に位置する、請求項4に記載の電気コネクタ。
前記略板状体は、前記少なくともいずれかの部分よりも前記接触方向に沿う方向において前記相手端子との接触側に更に延びる部分を有する、請求項3乃至5のいずれかに記載の電気コネクタ。
前記略板状体は、板と板の間に空間を形成しつつ金属板を折り重ねることにより、前記厚み方向において多重構造とされている、請求項1乃至6のいずれかに記載の電気コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
明らかなように、相手側の端子金具との接続時には、プラグタブ部、換言すれば、相手側の端子金具と接続される部分に大きな力が加わることになるが、特に、このような部分が、厚み方向における対向面にて相手側の相手端子と接触し得る場合、更に言えば、端子の片側がハウジング等によって支持されていない場合には、端子金具が座屈してしまう危険が大きいといった問題がある。この問題を軽減するには、当該接続される部分により近い位置で、プラグタブ部をハウジングによって固定するのが好ましい。
【0005】
しかしながら、上記の特許文献の構成では、プラグタブ部は、相手側の端子金具との接触方向においては、プラグタブ部と何ら重複しない部分においてのみ、ハウジングによって固定される構造となっている。
【0006】
本願発明はこのような従来技術における問題点を解決するためになされたものであり、相手側の端子金具との接触部分を、当該部分により近い位置で支持することができる電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様による電気コネクタは、相手コネクタの相手ハウジングと接続されるハウジングと、前記ハウジングに取り付けられる略板状体を含む電源端子と、を備え、前記略板状体は、厚み方向と、前記厚み方向と直交する幅方向と、前記厚み方向と前記幅方向の双方と直交する、前記相手端子との接触方向に沿う方向を有し、前記略板状体は、前記相手ハウジングと前記ハウジングの接続時に、前記厚み方向における対向面にて前記相手ハウジングに設けた相手端子と接触するように構成されており、前記略板状体は、前記幅方向における端部のうち、前記幅方向に延びる帯領域に含まれる少なくともいずれかの部分において前記ハウジングによって支持されており、前記帯領域は、前記略板状体と前記相手端子との接触部分と、前記接触方向に沿う方向において同じ位置に配置され、且つ、前記接触方向に沿う方向において前記接触部分と同じ長さを有することを特徴として有する。
この態様の電気コネクタによれば、相手端子と接触する部分である略板状体の幅方向における端部領域のうち、略板状体と相手端子との接触部分、即ち、略板状体と相手端子との接触時に大きな力を加わる部分を、当該部分に近い位置で支持することができるため、接触方向においてずれた位置で当該部分を支持する従来の構成に比べて、より安定した状態で、略板状体をハウジングによって支持することができる。更に、この構成を、特に、電源端子に応用することにより、幅方向にもある程度の大きさを有する略板状体を通じて放熱効果を高めることができ、また、相手端子との接触領域を大きくして、過熱の問題を軽減することもできる。
【0008】
上記態様の電気コネクタにおいて、前記少なくともいずれかの部分は、少なくとも、前記略板状体の前記厚み方向に沿う板厚面において前記ハウジングによって支持されているのが好ましい。
この態様の電気コネクタによれば、板圧面を支持することにより、例えば、厚み方向における対向面だけを支持する場合に比べて、特に接触方向における固定及び位置決めをより確実に行うことができる。
【0009】
また、上記態様の電気コネクタにおいて、前記少なくともいずれかの部分と、前記ハウジングによって支持される他の被支持部は、前記接触方向に沿う方向と前記幅方向の双方に関して対向して位置付けられているのが好ましい。
この態様の電気コネクタによれば、対角部分で略板状体を支持することにより、より安定した状態で、略板状体をハウジングによって固定し且つ位置決めすることができる。
【0010】
更にまた、上記態様の電気コネクタにおいて、前記他の被支持部は、少なくとも前記幅方向において弾性変位可能とされた弾性支持部によって支持されているのが好ましい。
この態様の電気コネクタによれば、弾性支持することにより、ハウジングとの間のガタを減らし、略板状体をハウジングの所定位置により確実に位置決めすることができる。
【0011】
また、上記態様の電気コネクタにおいて、前記他の被支持部は、前記少なくともいずれかの部分に対して、前記相手端子との接触側とは前記接触方向に沿う方向において反対側に位置するのが好ましい。
この態様の電気コネクタによれば、この構成によれば、略板状体と弾性支持部との衝突を通じて弾性支持部を幅方向に変位させることができるため、略板状体を接触方向に移動させるだけで、略板状体をハウジングに容易に取り付けることができる。
【0012】
また、上記態様の電気コネクタにおいて、前記略板状体は、前記少なくともいずれかの部分よりも前記接触方向に沿う方向において前記相手端子との接触側に更に延びる部分を有するのが好ましい。
この態様の電気コネクタによれば、相手端子との有効嵌合長をより長く設定することができる。
【0013】
更にまた、上記態様の電気コネクタにおいて、前記略板状体は、板と板の間に空間を形成しつつ金属板を折り重ねることにより、前記厚み方向において多重構造とされているのが好ましい。
この態様の電気コネクタによれば、多重構造とすることにより、略板状体の強度を確保し、また、相手端子との接触幅を調整することができることから相手端子との接触をより確実に行うことができる。更に、金属板を折り重ねる際に板と板の間に空間を形成することにより、放熱効果を大幅に高めることができ、略板状体における過熱の問題を効果的に軽減することができる。
また、上記態様の電気コネクタにおいて、前記相手コネクタと上記いずれかに記載の電気コネクタとを組み合わせてコネクタ装置としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本願発明によれば、相手側の端子金具との接触部分を、当該部分により近い位置で支持することができる電気コネクタが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照しつつ、本発明の好適な一つの実施形態によるケーブルコネクタとケーブルコネクタ装置について説明する。尚、ケーブルタイプの電気コネクタを例に挙げて説明するが、本発明は、電気コネクタ以外の様々なタイプのケーブルコネクタ装置に適用され得る。
【0017】
図1に、本発明のケーブルコネクタ装置1の斜視図を示す。このケーブルコネクタ装置1は、レセプタクルコネクタ2とプラグコネクタ6から成る。
【0018】
レセプタクルコネクタ2は、電気ケーブル3の一端に接続され得る、ケーブルコネクタとして使用される。一方、プラグコネクタ6は、螺子92その他を利用してモータその他の装置の筐体(図示されていない)の表面に設置され得る、基板コネクタとして使用される。両者は、嵌合方向(図示矢印「α」方向)に接近させることによって互いに嵌合させることができる。
図1は、レセプタクルコネクタ2とプラグコネクタ6の嵌合前の状態を示したものである。尚、ケーブルを2本用いるタイプを示しているが、ケーブルを1本としてもよいし、3本以上としてもよい。
【0019】
レセプタクルコネクタ2とプラグコネクタ6を嵌合させたときに、それらの嵌合状態を維持するため、レセプタクルコネクタ2をプラグコネクタ6に係止させることができる。係止を可能とするため、レセプタクルコネクタ2のハウジング20にアーム部28が、プラグコネクタ6のハウジング60に係止部材64が、それぞれ設けられている。
【0020】
アーム部28は、貫通穴28cを利用して、ハウジング20の側面中央付近に設けた回転軸22によって軸支されている。アーム部28は、この回転軸22を中心に、図示矢印「Y」方向に略0°〜90°の範囲で回動可能である。
図1に示すように略0°の位置にアーム部28が存在するとき、アーム部28に設けた溝28dに、プラグコネクタ6の係止部材64に設けた張出部64aが引っ掛かり、この結果、レセプタクルコネクタ2のアーム部28は、プラグコネクタ6のハウジング60に固定され、レセプタクルコネクタ2はプラグコネクタ6に対して係止される。
【0021】
図2に、レセプタクルコネクタ2の分解斜視図を示し、更に、
図3に、
図1のIII−III線断面図を示す。レセプタクルコネクタ2は、略左右対称形状を成しており、主として、アーム部28を設けたハウジング20と、ハウジング20の後側に螺子35等を利用して固定される閉塞部材30と、閉塞部材30の後側に電気ケーブルを固定することができるように取り付けられるクランプ34及びクランプ部材32と、ハウジング20の底側、即ち、レセプタクルコネクタ2とプラグコネクタ6の嵌合側に設けられる端子構造体39を含む。
図4は、ハウジング20の後方斜視図を、周辺部材である蓋部材27とともに示したものである。
【0022】
ハウジング20は、導電性材料で形成されている。導電性材料で形成することにより、シールド効果を付加することができる。導電材材料としては、金属板であってもよいし、樹脂材料に金属メッキを施してもよい。
【0023】
ハウジング20は、全体として略箱形状の本体21を有する。本体21には、ケーブルの軸線方向「β」に沿って延びる長さ部分21Bと、長さ部分21Bの前側においてケーブルの断面方向に延びる前壁部分21Aと、長さ部分21Bの後側において幅方向「γ」に広がる拡径部分21Cが含まれ、側面視略L字状に形成されている。垂直部分21Aと長さ部分21Bの間を滑らかな曲面で繋いでいるのは、操作レバー40の回転を考慮したものである。
【0024】
本体21は、筒状に形成されている。更に言えば、L字の一方の端部23A(
図3参照)、更に言えば、拡径部分21Cの後側と、L字の他方の端部23B(
図3参照)、更に言えば、前壁部分21Aの底側との間に、ケーブル3(
図1参照)を貫通させることができる貫通孔が形成されている。貫通孔の一方の端部23Aは、挿通口25を通じてプラグコネクタ6側に開放され、貫通孔の他方の端部23Bは、開口29(
図3参照)によってケーブル3側に開放されている。他方の端部23B側には、端子構造体39が配置される。筒状としたことにより、容易に密閉構造とすることができ、防水機能を付加することができる。
【0025】
本体ハウジング20の前壁部分21Aに、本体ハウジング20に対するアーム部28の自由な回動を規制する引っ掛け部24が設けられている。アーム部28が、
図1に示す略0°の位置に存在するとき、アーム部28の一部(被係止部28b)が引っ掛け部24に引っ掛かり、本体ハウジング20に対するアーム部28の不要な回動を防止することができる。
【0026】
本体21の拡径部分21Cの後側に、ケーブル3の長さ方向「β」に沿って挿通口25と連続させた状態で、ハウジング20の外部に延びるケーブル支持部26が設けられている。ケーブル支持部26を設けたことにより、ケーブル支持部26によって案内しつつ、本体21の内部へと、ケーブル3を容易に取り込むことができる。ケーブル支持部26の断面は略半円状とされており、その内周面26bは、ケーブルの外周面に合わせて弧状とされている。これにより、ケーブルとの接触面積を増やして、ケーブルをより確実に且つ安定した状態で支持することができる。
【0027】
ケーブル支持部26は挿通口25から連続した状態で外部に延びていれば足りるが、更に、ケーブル支持部26の一部26aを、挿通口25を通じて本体21の内部と連続状態で設けられているのが好ましい。ケーブル支持部26を、挿通口25の外側だけでなく、本体21の内部から連続した状態で設けることにより、ケーブルの支持をよりスムーズに行うことができる。
【0028】
ケーブル支持部26の内径は、ケーブルに合わせて略一定とされているが、一方、その外径は、前方から後方に向かって小さくなるように設定されている。このような径の差を利用してテーパーを形成することにより、ケーブル支持部26は、閉塞部材30等と協働して、ケーブルに対する圧接部材としても機能し得る。
【0029】
ケーブル支持部26は、本体ハウジング20と一体成形されてもよい。一体成形することにより、製造が容易となり、製造コストを削減することができる。但し、必ずしも一体成形する必要はなく、本体ハウジング20とは別体として、本体ハウジング20に対して取り付け、取り外し可能な構造としてもよい。
【0030】
ケーブル支持部26は、ケーブルの断面方向「α−γ」、例えば、その上側にて、ケーブルがケーブル支持部26に容易にアクセスすることができるように開放されている。この構成によれば、ケーブル支持部26の開放側を通じてケーブルをケーブル支持部26に容易にアクセスさせることができる。
【0031】
ケーブル支持部26の開放側は、蓋部材27を利用して閉じることができる。
図5に、ケーブル支持部26に蓋部材27を取り付けて開放側を閉じた組立工程の一例を斜視図で示す。蓋部材27を設けることにより、レセプタクルコネクタ2への、水、粉塵、その他の汚染物の侵入を効果的に防ぐことができる。また、ケーブル支持部26の強度を高めることができる。
【0032】
蓋部材27は、鍔部27aと、鍔部27a同士を繋ぐ連結部27bを含む。鍔部27aは、それぞれが略半円状の断面形状を有し、ケーブル支持部26の内周面26bと同様に、ケーブルの形状に適合するよう、鍔部27aの内周面は、ケーブルの外周面に合わせて弧状とされている。
【0033】
ケーブル支持部26と蓋部材27は、ハウジング20と同様に、導電性材料で形成するのが好ましい。導電性材料で形成することにより、シールド効果を付加することができる。
【0034】
図3の断面図に示されるように、ケーブル支持部26の開放側を蓋部材27で閉じたとき、鍔部27a及び連結部27bの前面27hは、ハウジング20の拡径部分21Cに設けた環状突出部21fの上側端面21hに突き当てられる。これらケーブル支持部26と蓋部材27を内包させた状態で、ハウジング20に閉塞部材30を取り付ける。閉塞部材30は、矩形の本体30aと、矩形本体30aから後方に延びる2本の筒部30bを含む。矩形本体30aは、その前面30gにて、ハウジング20の拡径部分21Cの後面21eに突き合わされる。矩形本体30aの前面30gには、拡径部分21Cの後面21eとの間にパッキン36を配置する隙間を形成するためのテーパー30hが設けられている。また、筒部30bの先端には、クランプ部材32の所定部分(32c)と適合する切欠30dを有した縁30cが設けられている。
【0035】
閉塞部材30は、その前面30gにおいて、ハウジング20の後面21eに密着状態で固定され、ケーブルの取出部分を残して、ハウジング20の挿通口25を閉じる。ハウジング20に対しては、矩形本体30aの四隅に設けた螺子穴30d等を利用して固定することができる。矩形本体30aの中央には、ケーブルを挿通させるための貫通穴30eが設けられている。ケーブルは、この貫通穴30eと、閉塞部材30の筒部30bを通じて、外部に取り出される。筒部30bの外周には、クランプ34と螺合させるために螺子が切られている。
【0036】
防水機能を高めるため、閉塞部材30とハウジング20の間に、パッキン36を設けるのが好ましい。パッキン36は、ハウジング20の拡径部分21Cの後面21eに設けた略楕円状の環状突出部21fに取り付ける。環状突出部21fは、後面21eから後方に向かって周状に突出しており、その外周面に、パッキン36を位置決めする溝21gを有する。環状突出部21fの、特に、下側の一部は、ケーブル支持部26の外周面を形成する部分にもなっている。
【0037】
図6は、
図5に示す構成に、ガスケット31及びクランプ部材32、更に、クランプ34を取り付けた状態を一部破断斜視図として示したものである。
図6や
図3によく示されるように、クランプ34は筒状の部材であって、その内周には、閉塞部材30の筒部30bに対応して螺子が切られている。クランプ部材32は、環状の本体32aと、本体32aの後側に突出した複数、ここでは4個のクランプ片32bと、本体32aから前側に突出した複数、ここでは2個の弧状の縁32cを含む。
【0038】
ケーブル3は、その先端3bを蓋部材27の弧状の内部フランジ27dに付き当てられた状態で、且つ、その先端から外部に露出させた編組3aをケーブル3のケーブル3の外被に軸線方向「β」に沿って沿わせた状態で、ケーブル支持部26に配置される。
【0039】
ガスケット31は、ケーブル3の外周に密着させた状態で、且つ、ケーブル支持部26の後端面26cと蓋部材27の後端面27cの双方にケーブル3の軸線方向「β」に沿って突き当てられた状態で、閉塞部材30の筒部30bとクランプ34とによって圧縮状態で内包される。
【0040】
クランプ部材32は、前側に突出した弧状の縁32cの内部にガスケット31の一部を収容させた状態で、前側に突出させた縁32cを、閉塞部材30の筒部30bに設けた切欠30dと嵌め合わせ、且つ、ケーブル3の軸線方向「β」に沿ってガスケット31に対して突き当てられた状態で、クランプ34に内包される。
【0041】
クランプ34を閉塞部材30の筒部30bに螺子込んだとき、クランプ部材34のクランプ片32bの外周面32dと、クランプ34の内周面34aとの接触を通じて、クランプ片32bは、ケーブル3の外被に圧接され、クランプ34は、ケーブル3に対して固定される。クランプ片32bが螺子込みに伴ってケーブル3に対して圧接されるように、クランプ片32bの外周面32dとクランプ34の内周面34aの径は調整され、テーパー状の断面が形成されている。
【0042】
また、クランプ34は、閉塞部材30とともに、ケーブル支持部26と蓋部材27を断面方「α−γ」において互いに圧接させる圧接部材として機能する。クランプ34を閉塞部材30に螺子込んだとき、蓋部材27の鍔部27aの外周面27gと、閉塞部材30の筒部30bの内周面30fとの接触を通じて、鍔部27aは、ハウジング20のケーブル支持部26に向かって押し付けられる、換言すれば、クランプ34と閉塞部材30とを利用して、ケーブル支持部26と蓋部材27は互いに圧接される。この結果、ケーブル3をハウジング20により強固に固定することができる。螺子込みに伴って圧接されるように、鍔部27aの外周面27g及びケーブル支持部26の外周面26fと筒部30bの内周面30fの径は調整され、テーパー状の断面が形成されている。鍔部27aの後端側の内周面の一部27eは、ケーブルに対する接触をより強固にするために中心側に突出している。
【0043】
再び
図2を参照して、端子構造体39の構成を説明する。端子構造体39は、主に、電源端子50及び信号端子59と、電源端子50を位置決めし且つ固定する電源ハウジングユニット40Aと、信号端子59を位置決めし且つ固定する信号ハウジングユニット40Bと、電源ハウジングユニット40Aと信号ハウジングユニット40Bを並列に支持する枠体44と、電源端子50と信号端子59との間を遮蔽するシールド板42と、更に、シールド板42と枠体44を電気的に接続するアース部材43を含む。
【0044】
電源ハウジングユニット40Aと信号ハウジングユニット40Bは、樹脂等の絶縁材から形成されており、枠体44は、シールド板42やアース部材43と同様に、導電性材料で形成されている。
【0045】
電源端子50と信号端子59は、ケーブル3の先端に取り付けた状態で使用する。取り付けは、ケーブル3を本体21に貫通させた状態で行う。ケーブル3に各端子50、59を取り付けるため、本体21を貫通させたケーブル3を、本体21に設けた開口29(
図4参照)から若干飛出し気味にしておき、各端子50、59を、電源ハウジングユニット40Aの端子孔41A、及び、信号ハウジングユニット40Bの端子孔41Bにそれぞれ取り付け、後述するシールド金具42が装着された枠体44に取り付けた後にケーブル3を再びハウジング20に戻して、固定する。このように、例えば、ケーブル3を本体21に貫通させた状態でケーブル3の先端側に端子50、59を設ける必要がある場合であっても、ケーブル支持部26を利用してケーブル3を本体21から出し入れすることにより、端子50、59や電源ハウジング40Aと信号ハウジング40Bの絶縁ハウジング等の端子構造体39をケーブル3に容易に取り付け、本体21に収容することができる。
【0046】
枠体44は、平面視略矩形状である。枠体44の開口44bには、電源ハウジング40A及び信号ハウジング40Bが挿入され、設置される。
【0047】
シールド板42は、金属板を打ち抜き、折り曲げることによって形成されている。シールド板42は、枠体44に設置された電源ハウジング40Aと信号ハウジング40Bの間に配置される。シールド板42は、電源ハウジング40Aと信号ハウジング40Bの上部を跨いで配置されるアース部材43と接続され、更に、シールド板42の側面に設けた舌片42aは、スリット27fに挿入固定されて電気的に接続される。アース部材43を介して枠体44に電気的に接続される。シールド板32の前板42bに設けた舌片42cは、枠体44の前側内壁44aと接続され、枠体44と導通する。また、シールド板42を設けることにより、ハウジング20の本体21の内部において、電源端子50に接続されたケーブルと、信号端子59に接続されたケーブルとを、電気的に遮蔽することができる。
【0048】
図7を参照して、プラグコネクタ6の構造を説明する。
図7は、プラグコネクタ6の分解斜視図である。プラグコネクタ6は、アーム部28が係止される係止部材64を設けたハウジング60と、ハウジング60に挿入され設置される各種ハウジング、即ち、電源ハウジング70A及び信号ハウジング70Bと、電源ハウジング70Aに固定される2種類の端子、即ち、アース端子91及び電源端子80と、信号ハウジング70Bに固定される信号端子90を含む。
【0049】
ハウジング60は、レセプタクルコネクタ2のハウジング20ハウジング20と同様に、導電性材料で形成されている。プラグコネクタ6のハウジング60とレセプタクルコネクタ2のハウジング20が嵌合した際、ハウジング60とハウジング20は導通される。導電材材料としては、金属板であってもよいし、樹脂材料に金属メッキを施してもよい。
【0050】
ハウジング60は、主に、装置の筐体等にパッキン99Bを介して固定される本体61と、係止部材64とともに本体61から垂直方向に延びる枠体65から成る。
【0051】
枠体65は、螺子穴61aを利用して筐体等に固定することが可能である。枠体65には、プラグコネクタ6とレセプタクルコネクタ2との嵌合側から電源ハウジング70Aが挿入され、設置される開口62と、信号ハウジング70Bが挿入され、設置される開口63とが、相隣り合って配置されている。枠体65の内壁には電源ハウジング70Aが開口62に挿入されたときに、電源ハウジング70Aの弾性係止片73Aが係止される被係止片62aが設けられている。枠体65には、パッキン99Aを嵌める環状の窪み65aを設けてもよい。パッキン99Aは、プラグコネクタ6のハウジング60とレセプタクルコネクタ2のハウジング20が嵌合したときに、ハウジング60の枠体65と、ハウジング20の開口29(
図4参照)との間に生じ得る隙間を埋める。
【0052】
電源ハウジング70Aと信号ハウジング70Bは、樹脂等の絶縁材から形成されており、枠体44は、シールド板42やアース部材43と同様に、導電性材料で形成されている。
【0053】
電源ハウジング70Aには、アース端子91が固定される端子孔71Aと、電源端子80が固定される端子孔72Aが設けられている。アース端子91は、プラグコネクタ6とレセプタクルコネクタ2との嵌合側から、一方、電源端子80は、プラグコネクタ6とレセプタクルコネクタ2との嵌合側とは反対側から、それぞれの孔に固定される。
信号ハウジング70Bには、信号端子90が固定される端子孔71Bが設けられている。信号端子90は、電源端子80と同様に、プラグコネクタ6とレセプタクルコネクタ2との嵌合側とは反対側から、それぞれの孔に固定される。
【0054】
図8に、レセプタクルコネクタ2の電源端子50の斜視図を示す。電源端子50は、金属板を打ち抜き、折り曲げることによって形成される。電源端子50は、丸みを帯びた小径の本体部51と、本体部51に対してプラグコネクタ6とレセプタクルコネクタ2との嵌合側に形成された接触部53と、更に、本体部51に対して接触部53とは反対側、即ち、プラグコネクタ6とレセプタクルコネクタ2との嵌合側とは反対側に形成された大径部52を含む。図面からは明らかでないが、本体部51は、ケーブルの芯線と接続される部分、一方、大径部52は、ケーブルの外被に圧着させる部分として、それぞれ使用される。
【0055】
接触部53は、相手端子である電源端子80との接触方向「α1」に沿う方向(プラグコネクタ6とレセプタクルコネクタ2の嵌合方向「α」に対応)と直交する幅方向「β」(ケーブル3の軸線方向「β」に対応)に延びる、2本の接触片53b1、53b2を有する。これらの接触片53b1、53b2の自由端側は、内側に折り曲げられて対向折曲部53e1、53e2を形成している。接触片53b1と接触片53b2の間に形成される空間53dは、相手端子である電源端子80が挿入される挿入空間として使用される。接触片53b1、53b2には、それぞれ、電源端子80との接点53a1、53a2が形成されている。これらの接点53a1、53a2は、プラグコネクタ6の電源端子80との接触をより確実にするため、電源端子80との接触側に向かって多少折り曲げられている。
【0056】
図9に、プラグコネクタ6の電源端子80の斜視図を示す。電源端子80は、金属板を打ち抜き、折り曲げることによって形成される。電源端子80は、丸みを帯びた小径の本体部81と、本体部81に対して、プラグコネクタ6とレセプタクルコネクタ2との嵌合側に形成された接触部83と、更に、本体部81に対して接触部83とは反対側、即ち、プラグコネクタ6とレセプタクルコネクタ2との嵌合側とは反対側に形成された大径部82を含む。図面からは明らかでないが、本体部81は、ケーブルの芯線と接続される部分、一方、大径部82は、ケーブルの外被に圧着させる部分として、それぞれ使用される。
【0057】
接触部83は、略板状体として形成されている。略板状体83は、厚み方向「γ」(ハウジング20の幅方向「γ」に対応)と、厚み方向「γ」と直交する幅方向「β」(ケーブル3の軸線方向「β」に対応)と、厚み方向「γ」と幅方向「β」の双方と直交する、相手端子である電源端子50との接触方向「α2」に沿う方向(プラグコネクタ6とレセプタクルコネクタ2の嵌合方向「α」に対応)を有する。このように電源端子80の接触部83を略板状体として形成することにより、幅方向「β」を大きくして放熱効果を高めることができ、また、相手端子との接触領域を大きくして、過熱の問題を軽減することもできる。
【0058】
略板状体83は、金属板を折り重ねることによって、厚み方向「γ」において多重構造とされているのが好ましい。多重構造とすることにより、略板状体83の強度を確保し、また、相手端子である電源端子50との接触幅を調整することができることから相手端子との接触をより確実に行うことができる。更に、金属板を折り重ねる際に板と板の間に空間を形成することによって放熱効果を大幅に高めることができ、略板状体における過熱の問題を効果的に軽減することができる。
【0059】
図8、9から明らかなように、プラグコネクタ6とレセプタクルコネクタ2の嵌合時、換言すれば、プラグコネクタ6のハウジング60とレセプタクルコネクタ2のハウジング20の接続時に、略板状体83は、厚み方向「γ」における対向面83A、83Bの双方にて、電源端子50、特に、その接触片53b1、53b2とそれぞれ接触し得る。
【0060】
図10の(a)に、プラグコネクタ6の平面図を、(b)に、その正面図を、更に、
図11に、
図10の(a)におけるXI−XI線断面図を、
図12に、
図10の(b)におけるXII−XII線の概略断面斜視図とその一部部分拡大図を、更に、
図13に、
図10の(b)における13−13断面図を、それぞれ示す。
図11は、特に、電源ハウジング70Aに対する電源端子80の取り付け状態を示し、
図12は、特に、プラグコネクタ6のハウジング60と、ハウジング60に固定される電源ハウジング70Aと、更に、電源ハウジング70Aに固定される電源端子80の関係を示す。
【0061】
電源ハウジング70Aは、その前壁に設けた弾性係止片73Aを、ハウジング60の係止突部62に係止することによって、ハウジング60の所定位置に係止される。
【0062】
図12に示すように、プラグコネクタ6とレセプタクルコネクタ2の嵌合時に、プラグコネクタ6のハウジング60に設けた電源端子80の略板状体83は、当該略板状体83の幅方向「β」における端部、即ち、「d1」、「d2」で示す領域(
図12、
図9において、点線で囲まれた領域)に含まれる端部のうち、幅方向「β」に延びる帯領域「X」(一点鎖線で囲まれた帯状の領域)に含まれる少なくともいずれかの部分、例えば、図示の例では、段部83aにおいて、ハウジング60によって支持される。ここで、帯領域「X」は、プラグコネクタ6のハウジング60とレセプタクルコネクタ2のハウジング20との接続時における、略板状体83と電源端子50との接触部分「y」(
図12、
図9において、二点鎖線で囲まれた部分)と、接触方向「α2」に沿う方向「α」において同じ位置に配置され、且つ、接触方向「α2」に沿う方向「α」において接触部分「y」と同じ長さを有する。この構成によれば、略板状態83のうち、略板状体83と電源端子50との接触時に大きな力を加わる部分を、接触方向「α2」においてずれた位置で支持する例えば特許文献1の従来構成に比して、当該部分「y」に近い位置で支持することができ、より安定した状態で略板状体83をハウジング60によって支持することができる。
【0063】
略板状体83は、段部83aに加え、角部83cにおいても支持される。角部83cは、本実施形態では、帯領域「X」に含まれていないが、段部83aと同様に帯領域「X」に含まれる位置にこれを配置してもよい。他の被支持部である角部83cをこのような位置に配置することにより、略板状体83を、更に安定した状態で支持することができる。
【0064】
他の被支持部、例えば、角部83cは、本実施形態に示すように、段部83aに対して、接触方向「α2」に沿う方向「α」と幅方向「β2」の双方に関して対向して位置付けられているのが好ましい。角部83cと段部83aを、対角位置で支持することにより、より安定した状態で、略板状体83をハウジング60によって固定し且つ位置決めすることができる。
【0065】
また、これら段部83aと角部83cは、略板状体83の厚み方向「γ2」に沿う板厚面85において、ハウジング60によって支持されるのが好ましい。板厚面85を支持することにより、例えば、略板状体83の厚み方向「γ2」における対向面83A、83Bだけを支持する場合に比べて、接触方向「α2」に沿う方向「α」における固定及び位置決めをより確実に行うことができる。但し、板厚面85ではなく、対向面83A、83Bだけを支持するものであってもよい。
【0066】
対角に位置する段部83aと角部83cのうち、例えば、接触方向「α2」に沿う方向「α」において電源端子50との接触側と位置する、段部83aは、ハウジング60の中央部75Aかによって支持された突部76Aと噛み合うことによって固定される。
一方、例えば、電源端子50との接触側とは接触方向「α2」に沿う方向「α」において反対側に位置する角部83cは、ハウジング60に設けた弾性支持部74Aによって支持されてもよい。
【0067】
弾性支持部74Aは、電源ハウジング70Aの本体に接続された支持部74aと、支持部74aから片持ち梁状に延びる弾性片74bと、片持ち梁の先端に設けた掴み部74cを含む。掴み部74cは、略板状体83Aの対向面83A、83Bの角部83c付近を、接触方向「α2」に沿う方向「α」と幅方向「β2」の双方において支持するとともに(
図11、13等参照)、角部83cを、略板状体83Aの厚み方向「γ2」において支持する(
図11等参照)。
【0068】
弾性支持部74Aを利用することにより、ハウジング60との間のガタを減らし、略板状体83をハウジング60の所定位置により確実に位置決めすることができる。また、角部83cのように、電源端子50との接触側とは接触方向「α2」において反対側に位置する部分を、弾性支持部74Aによって支持することにより、略板状体83と弾性支持部74Aとの衝突を通じて弾性支持部74Aを幅方向「β2」に変位させることができるため、略板状体83を接触方向「α2」に移動させるだけで、略板状体83をハウジング60に容易に取り付けることができる。
【0069】
図12に示した接触部分「y」の、接触方向「α2」に沿う方向「α」における長さは、電源端子80と電源端子50の有効嵌合長に対応する。略板状体83に、段部83aや角部83cよりも接触方向「α2」に沿う方向「α」において電源端子50との接触側に更に延びる部分83bを設けることにより、電源端子50との有効嵌合長をより長く設定してもよい。これにより、電源端子50との接触をより確実にすることができる。
【0070】
また、任意であるが、延部83bと段部83aとの間に、追加の段部83dを設けるのが好ましい。
図12の一部部分拡大図によく示されるように、このような段部83dを設けることにより、相手側のコネクタ2との接触時に、相手側の端子50の対向折曲部53e1、53e2との衝突を効果的に防ぐことができる。