特開2018-206547(P2018-206547A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧
<>
  • 特開2018206547-ワイヤーハーネス 図000003
  • 特開2018206547-ワイヤーハーネス 図000004
  • 特開2018206547-ワイヤーハーネス 図000005
  • 特開2018206547-ワイヤーハーネス 図000006
  • 特開2018206547-ワイヤーハーネス 図000007
  • 特開2018206547-ワイヤーハーネス 図000008
  • 特開2018206547-ワイヤーハーネス 図000009
  • 特開2018206547-ワイヤーハーネス 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-206547(P2018-206547A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】ワイヤーハーネス
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/00 20060101AFI20181130BHJP
   H01B 7/40 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   H01B7/00 301
   H01B7/40 307Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-109045(P2017-109045)
(22)【出願日】2017年6月1日
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】水野 芳正
(72)【発明者】
【氏名】平井 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】東小薗 誠
(72)【発明者】
【氏名】石田 英敏
(72)【発明者】
【氏名】大森 康雄
【テーマコード(参考)】
5G309
【Fターム(参考)】
5G309AA01
5G309AA09
5G309GA04
(57)【要約】
【課題】電線がシート材に固定されたワイヤーハーネスにおいて、シート材の強度が弱い場合でも、電線に過度の引張荷重がかかることを抑制できる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】ワイヤーハーネス10は、シート材付電線12と、張力負担部40と、を備える。シート材付電線12は、シート材20と、前記シート材20に固定された電線30と、を含む。張力負担部40は、前記シート材20に設けられ、前記シート材付電線12に張力がかけられた際に前記電線30にかかる前記張力の一部を負担する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材と、前記シート材に固定された電線と、を含むシート材付電線と、
前記シート材に設けられ、前記シート材付電線に張力がかけられた際に前記電線にかかる前記張力の一部を負担する張力負担部と、
を備える、ワイヤーハーネス。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤーハーネスであって、
前記張力負担部は、前記シート材付電線とは別部材として設けられた補強部材を含む、ワイヤーハーネス。
【請求項3】
請求項2に記載のワイヤーハーネスであって、
前記補強部材は、前記シート材に縫い付けられた糸を含む、ワイヤーハーネス。
【請求項4】
請求項3に記載のワイヤーハーネスであって、
前記糸は、前記シート材に対して直線縫いされている、ワイヤーハーネス。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のワイヤーハーネスであって、
前記補強部材は、前記電線に併設されてシート材に固定されたダミー電線を含む、ワイヤーハーネス。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のワイヤーハーネスであって、
前記補強部材は、前記電線よりも伸びにくい材料によって形成されている難伸性部材を含む、ワイヤーハーネス。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のワイヤーハーネスであって、
前記張力負担部は、前記シート材の一部が折り重ねられた折重ね部を含む、ワイヤーハーネス。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のワイヤーハーネスであって、
前記電線は、縫付又は溶着によって前記シート材に固定されている、ワイヤーハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワイヤーハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、両面粘着テープによってシート材が電線に固定されたワイヤーハーネスを開示している。
【0003】
ここで、電線にシート材を簡易に取付ける技術として、本願出願人は、電線が糸によってシート材に縫い付けられたワイヤーハーネスおよび電線がシート材に溶着されたワイヤーハーネスを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−72798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらのワイヤーハーネスのようにシート材が電線に固定されている場合、シート材が引張りに強い部材であると、電線にかかる引張荷重が大きくなることを抑制することができる。しかしながら、シート材が引張りに弱い部材であると、電線に過度の引張荷重がかかる恐れがある。
【0006】
そこで本発明は、電線がシート材に固定されたワイヤーハーネスにおいて、シート材が引張りに弱い部材である場合でも、電線に過度の引張荷重がかかることを抑制できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、第1の態様に係るワイヤーハーネスは、シート材と、前記シート材に固定された電線と、を含むシート材付電線と、前記シート材に設けられ、前記シート材付電線に張力がかけられた際に前記電線にかかる前記張力の一部を負担する張力負担部と、を備える。
【0008】
第2の態様に係るワイヤーハーネスは、第1の態様に係るワイヤーハーネスであって、前記張力負担部は、前記シート材付電線とは別部材として設けられた補強部材を含む。
【0009】
第3の態様に係るワイヤーハーネスは、第2の態様に係るワイヤーハーネスであって、前記補強部材は、前記シート材に縫い付けられた糸を含む。
【0010】
第4の態様に係るワイヤーハーネスは、第3の態様に係るワイヤーハーネスであって、前記糸は、前記シート材に対して直線縫いされている。
【0011】
第5の態様に係るワイヤーハーネスは、第2から第4のいずれか1つの態様に係るワイヤーハーネスであって、前記補強部材は、前記電線に併設されてシート材に固定されたダミー電線を含む。
【0012】
第6の態様に係るワイヤーハーネスは、第2から第5のいずれか1つの態様に係るワイヤーハーネスであって、前記補強部材は、前記電線よりも伸びにくい材料によって形成されている難伸性部材を含む。
【0013】
第7の態様に係るワイヤーハーネスは、第1から第5のいずれか1つの態様に係るワイヤーハーネスであって、前記張力負担部は、前記シート材の一部が折り重ねられた折重ね部を含む。
【0014】
第8の態様に係るワイヤーハーネスは、第1から第7のいずれか1つの態様に係るワイヤーハーネスであって、前記電線は、縫付又は溶着によって前記シート材に固定されている。
【発明の効果】
【0015】
第1から第8の態様によると、張力負担部が設けられることによって電線にかかる張力を緩和することができる。このため、電線がシート材に固定されたワイヤーハーネスにおいて、シート材が引張りに弱い部材である場合でも、電線に過度の引張荷重がかかることを抑制できる。
【0016】
特に、第2の態様によると、シート材付電線にかかる張力に応じた張力負担部を簡易に設けることができる。
【0017】
特に、第3の態様によると、例えば、電線がシート材に縫い付けられて固定される際に、同じ設備を用いて補強部材としての糸をシート材に縫い付けることができる。
【0018】
特に、第4の態様によると、糸の余長が小さくなり、シート材付電線にかかる張力を負担しやすくなる。
【0019】
特に、第5の態様によると、シート材に電線を固定する際に、同じ固定方法によって、シート材にダミー電線を簡易に固定することができる。
【0020】
特に、第6の態様によると、シート材付電線にかかる張力のうちより多くの割合を負担することができる。
【0021】
特に、第7の態様によると、シート材を用いて簡易に張力負担部を設けることができる。
【0022】
特に、第8の態様によると、簡易に電線をシート材に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態に係るワイヤーハーネスを示す斜視図である。
図2】実施形態に係るワイヤーハーネスを示す部分概略断面図である。
図3】張力負担部としての糸の変形例を示す部分概略断面図である。
図4】第1変形例に係るワイヤーハーネスを示す斜視図である。
図5】第2変形例に係るワイヤーハーネスを示す斜視図である。
図6】第3変形例に係るワイヤーハーネスを示す斜視図である。
図7】第4変形例に係るワイヤーハーネスを示す斜視図である。
図8】第5変形例に係るワイヤーハーネスを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
{実施形態}
以下、実施形態に係るワイヤーハーネスについて説明する。図1は、実施形態に係るワイヤーハーネス10を示す斜視図である。図2は、実施形態に係るワイヤーハーネス10を示す部分概略断面図である。
【0025】
ワイヤーハーネス10は、シート材付電線12と、張力負担部40と、を備える。
【0026】
シート材付電線12は、シート材20と、シート材20に固定された電線30と、を含む。
【0027】
シート材20は、電線30を固定できるもの、ここでは電線30を縫い付け可能なものであればよく、素材、厚み等は、特に限定されるものではない。しかしながら、本発明にかかるワイヤーハーネス10は、シート材20が電線30よりも伸びやすい場合(ここでは、引っ張った際に電線30よりも小さな力で伸びる場合)に好適であるため、以下では、シート材20が電線30よりも伸びやすいものとして説明する。ここで、通常、引っ張った際の伸びやすさには、引張りに係る弾性率及び断面積等が関与する。
【0028】
係るシート材20としては、例えば、不織布、織布、押出成形シート等であることが考えられる。シート材20の材料としては、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PVC(ポリ塩化ビニル)等の合成樹脂のほか、天然素材を用いることもあり得る。また、シート材20は、異なる種類の基材が積層されて形成されている場合もあり得る。
【0029】
シート材20の用途としては、電線30の保護、防音、防水等のほか、電線30を車両における取付対象(例えば、リンフォースメント、パネル、トリム等)に取付けるための部材として用いることなども考えられる。また、シート材20に金属箔等が積層されるなどして、シート材20を放熱のために用いることもあり得る。なお、シート材20の用途は、1つに限られるものではなく、複数の用途に使用する場合もあり得る。
【0030】
電線30は、芯線と、芯線を覆う被覆とを備える。芯線は、金属によって形成された線状の導体であり、ここでは、複数の素線が撚り合わされることによって芯線が形成されている。被覆は、樹脂等の絶縁材料によって形成されている。被覆は、例えば、芯線の周りに軟化した樹脂を押出被覆等することによって形成される。もっとも電線30は、被覆を備えていない、いわゆる裸線である場合もあり得る。電線30の端部は、例えば、端子を介してコネクタ34に接続される。
【0031】
ここでは電線30は、縫付によってシート材20に固定されている。ここでは、電線はミシン糸36によってシート材20に縫い付けられている。特にここでは電線30は、ミシン糸36の上糸及び下糸とは別に設けられ、上糸及び下糸によってシート材20に縫い付けられている。もっとも、電線30がミシン糸36の上糸又は下糸をなしてシート材20に縫い付けられている場合もあり得る。
【0032】
図1に示す例では、電線30はシート材20に対して直線状に配線されている。もっとも、電線30は、シート材20に対して曲がりつつ配線されている場合もあり得る。また、電線30は、シート上において途中で分岐する場合もあり得る。
【0033】
ここでは、電線30の両端に設けられるコネクタ34のうち少なくとも一方がシート材20に固定されているものとして説明するが、コネクタ34はシート材20に固定されていなくてもよい。
【0034】
張力負担部40は、シート材20に設けられている。張力負担部40は、シート材付電線12に張力がかけられた際に電線30にかかる張力の一部を負担する。張力負担部40は、電線30が固定される領域において、電線30の延在方向に沿って設けられるとよい。例えば、図1に示す例では、電線30が1方向に延在しているため、張力負担部40も1方向に延在している。電線30が途中で曲がって2方向以上に延在する場合には、張力負担部40も、2方向以上に延在するとよい。
【0035】
張力負担部40の材質、形状等は、シート材付電線12にかかる張力および電線30の特性等に合わせて設定される。より詳細には、張力負担部40が設けられていない場合、シート材付電線12に加わる張力は、シート材20及び電線30に分担される。このとき電線30に分担される張力が電線30の許容値を超えると、電線30が破断等する恐れがある。これに対してここでは張力負担部40が設けられているため、張力負担部40がシート材付電線12にかかる張力を一部負担することによって、電線30に分担される張力を許容値よりも小さくすることができる。ここで、シート材20が伸びやすいものであると、電線30に分担される張力が大きくなる。このような場合でも、張力負担部40が設けられることによって、簡易に電線30にかかる張力を許容値よりも小さくすることができる。
【0036】
張力負担部40は、シート材20において電線30が固定される部分よりも伸びにくく形成されていることが好ましい。これにより、張力負担部40がシート材20よりも大きい張力を負担でき、もって電線30にかかる張力を許容値よりも小さくしやすくなる。もっとも、張力負担部40は、電線30にかかる張力を許容値よりも小さくできるものであればよく、シート材20よりも伸びやすく形成されている場合もあり得る。
【0037】
また、張力負担部40は、電線30よりも伸びにくく形成されていることが好ましい。これにより、電線30よりも大きい張力を負担でき、もって電線30にかかる張力を許容値よりも小さくしやすくなる。もっとも、張力負担部40は、電線30にかかる張力を許容値よりも小さくできるものであればよく、電線30よりも伸びやすく形成されている場合もあり得る。
【0038】
ここで、張力負担部40は、シート材20、電線30と同じかそれよりも伸びやすい材料(弾性率の低い材料)で形成されている場合と、シート材20、電線30よりも伸びにくい材料(弾性率の高い材料)で形成されている場合とが考えられる。前者の場合、張力負担部40の断面積をシート材20、電線30の断面積よりも大きくすることによって、張力負担部40をシート材20、電線30よりも伸びにくく形成することができる。後者の場合には、張力負担部40をシート材20、電線30よりも伸びにくく形成しつつ、張力負担部40の断面積をシート材20、電線30の断面積よりも小さくすることができる。なお、後者の場合であっても、張力負担部40の断面積をシート材20、電線30の断面積と同じかそれよりも大きくする場合があり得ることは言うまでもない。
【0039】
具体的には、ここでは、張力負担部40は、シート材付電線12とは別部材として設けられた補強部材42を含む。
【0040】
張力負担部40としてシート材20とは別に補強部材42を設ける場合、係る補強部材42としては、シート材20の材料よりも伸びにくい材料で形成されていることが好ましい。これにより、補強部材42の断面積を小さく抑えることができる。例えば、シート材20の材料が上記したような合成樹脂である場合に、シート材20よりも伸びにくい材料としては、金属のほかに、炭素繊維、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維、アラミド繊維、高強度ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、ガラス繊維等の高弾性率を有する繊維などが考えられる。
【0041】
特に、補強部材42としては、電線30よりも伸びにくい材料で形成されている難伸性部材を含むことが好ましい。例えば、電線30の芯線が銅、銅合金を材料として形成される場合、補強部材42の材料としては、鋼である場合、又は炭素繊維、PBO繊維、アラミド繊維、高強度ポリエチレン繊維等である場合などが考えられる。また例えば、電線30の芯線がアルミニウム、アルミニウム合金の場合、補強部材42の材料としては、芯線が銅、銅合金を材料としている場合の上記例に加えて、銅、銅合金を用いることも考えられる。
【0042】
また、張力負担部40は、係る張力によって破断しない引張強度を有していることが好ましい。これにより、繰り返しの引張りに耐えることができる。
【0043】
ここでは補強部材42として、糸44がシート材20に縫い付けられている。糸44は、シート材20に対して電線30の延在方向に沿って直線縫いされている。図1に示す例では、糸44はシート材20の幅方向に沿った両端においてそれぞれシート材20の延在方向に延びる態様で縫い付けられている。両端の糸44は、同じ材料で形成されていてもよいし、異なる材料で形成されていてもよい。両端の糸44のうち少なくとも一方の糸44は、上記難伸性部材であるとよい。
【0044】
この際、補強部材42としての糸44は、ミシン糸として用いられてシート材20に直接縫い付けられている。図2に示す例では、補強部材42としての糸44がミシン糸の上糸44a及び下糸44bを構成している。なお、上糸44aおよび下糸44bの材料は同じであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0045】
ミシン縫いにおける糸調子を変更することによって、上糸44a及び下糸44bは、どちらか一方がシート材20の表面に沿って延在する場合もあり得る。図3に示す例では、上糸44aがシート材20の表面に沿って延在しているが、下糸44bがシート材20の表面に沿って延在するものであってもよい。上糸44a及び下糸44bの材料が異なり、且つ、一方がシート材20の表面に沿う場合、シート材20の表面に沿う糸44(図3に示す例では、上糸44a)が、弾性率の高い糸であること好ましい。シート材20の表面に沿う糸44の方が、他方の糸44よりも余長が短くなり、張力を負担しやすいからである。なお、シート材20の表面に沿う糸44は、シート材20のうち電線30が配設される側の表面に沿うものであってもよいし、電線30が配設される側とは反対側の表面に沿うものであってもよい。
【0046】
もっとも、ミシン糸の上糸及び下糸よりも高弾性率を有する糸が、ミシン糸の上糸及び下糸とは別に設けられ、上糸及び下糸によってシート材20に縫い付けられている場合もあり得る。この場合、ミシン糸36の上糸及び下糸とは別に設けられる糸44は、ミシン糸36の上糸及び下糸によって電線30と同様に縫い付けられる。
【0047】
上記態様によると、張力負担部40が設けられることによって電線30にかかる張力を緩和することができる。より詳細には、シート材付電線12に張力がかけられると、シート材20と電線30と張力負担部40とで張力を分担できる。これにより、張力負担部40がない場合に比べて、電線30に分担される張力を小さくすることができる。
【0048】
また、張力負担部40は、シート材付電線12とは別部材として設けられた補強部材42を含むため、シート材付電線12にかかる張力に応じた張力負担部40を簡易に設けることができる。また、補強部材42を、シート材20、電線30を構成する材料よりも高弾性率を有する材料で構成することもできる。
【0049】
また、補強部材42は、シート材20に縫い付けられた糸44を含むため、例えば、電線30がシート材20に縫い付けられて固定される際に、同じ設備を用いて補強部材42としての糸44をシート材20に縫い付けることができる。
【0050】
また、糸44は、シート材20に対して直線縫いされているため、糸44の余長が小さくなり、シート材付電線12にかかる張力を負担しやすくなる。
【0051】
また、補強部材42は、電線30よりも伸びにくい材料によって形成されている難伸性部材を含むため、シート材付電線12にかかる張力のうちより多くの割合を負担することができる。
【0052】
また、電線30がシート材20に縫い付けられて固定されているため、簡易に電線30をシート材20に固定できる。
【0053】
また、コネクタ34がシート材20に固定されている、又はシート材20が別部材に固定されていることなどによって、シート材付電線12が引っ張られた際に電線30端部にかかる力をシート材20が受けることができ、もってコネクタ34から電線30端部の端子が抜けにくくなる。また、同様に端子から電線30端部が外れにくくなる。これにより、コネクタ34のハウジング、端子等の形状を大きく変更せずともコネクタ34における端子保持力、および電線30端部における端子保持力を確保しやすくすることができる。
【0054】
{変形例}
補強部材42としては、電線30に併設されてシート材20に固定されたダミー電線30を含む場合も考えられる。例えば、図1に示す例において、3本の電線30のうち1本又は2本が回路を構成する電線30であり、残りの1本又は2本がダミー電線30として用いられることが考えられる。この場合、ダミー電線30は電線30よりも伸びにくく形成されていることが好ましい。例えば、ダミー電線30と電線30とが同じ材料である場合において、ダミー電線30を電線30よりも太くすることが考えられる。また例えば、ダミー電線30をよりも伸びにくい材料で形成することも考えられる。
【0055】
このような態様によると、シート材20に電線30を固定する際に、同じ固定方法によって、シート材20にダミー電線30を固定することができる。また例えば、コネクタ34の空キャビティにダミー電線30を挿入することによって、1本の電線30の端部にかかる張力を簡易に緩和できる。
【0056】
図4は、第1変形例に係るワイヤーハーネス10Aを示す斜視図である。
【0057】
実施形態において電線30が縫付によってシート材20に固定されているものとして説明したが、電線30とシート材20との固定方法は上記したものに限られない。例えば、電線30は接着剤等によってシート材20に固定されていてもよい。
【0058】
本変形例にかかるワイヤーハーネス10Aにおいては、電線30は、溶着によってシート材20Aに固定されて、シート材付電線12Aをなしている。この場合でも、電線30とシート材20Aとを簡易に固定できる。
【0059】
本変形例におけるシート材20Aは電線30を溶着可能なものであればよい。この場合、電線30において芯線を覆う絶縁被覆とシート材20Aとが溶着可能であることが好ましく、絶縁被覆とシート材20Aとが同種の合成樹脂を材料として形成されていることが特に好ましい。係る溶着方法としては、超音波溶着が好ましいが、レーザー溶着等であってもよい。
【0060】
なお、電線30とシート材20との溶着箇所は、電線30の延在方向に沿って断続的であってもよいし、連続するものであってもよい。
【0061】
電線30が溶着によってシート材20Aに固定されている場合、張力負担部40も溶着によって形成されることも考えられる。
【0062】
図5は、第2変形例に係るワイヤーハーネス10Bを示す斜視図である。
【0063】
本変形例にかかるワイヤーハーネス10Bにおいて、張力負担部40Bの位置、補強部材42Bの数が異なる。
【0064】
これまで張力負担部40がシート材20の両端に設けられるものとして説明してきたが、このことは必須な構成ではない。図5に示すように、張力負担部40Bがシート材20の一端側のみに設けられ、他端側には設けられていない場合もあり得る。また、図示は省略するが、電線30の間に張力負担部が設けられる場合もあり得る。
【0065】
また、これまで一方の端部に補強部材42としての糸44が1筋縫い付けられるものとして説明してきたが、このことは必須な構成ではない。一端側において補強部材42Bとしての糸44が2筋以上(図5に示す例では、2筋)縫い付けられている場合もあり得る。
【0066】
図6は、第3変形例に係るワイヤーハーネス10Cを示す斜視図である。
【0067】
これまで、補強部材42としてシート材20に縫い付けられた糸44が用いられるものとして説明してきたが、補強部材42の形状としては、糸44に限られるものではない。
【0068】
本変形例にかかるワイヤーハーネス10Cにおいて、補強部材42Cの形状が異なっている。ここでは、補強部材42Cとして、板材46がシート材20に固定されている。板材46の材料としては、上記糸44の材料と同様の材料を用いることができるし、上記糸44の材料よりも伸びやすい材料を用いることもできる。特に板材46とすることによって、糸44の場合よりも断面積を大きくしやすいため、上記糸44の材料よりも伸びやすい材料を用いた場合でも、大きい張力を負担させることができる。
【0069】
かかる板材46は、シート材20に留められている。板材46は、例えば、接着剤または両面粘着テープなどの留部材によってシート材20に留められる。また、板材46は、留部材を用いずに溶着等によってシート材20に留められることも考えられる。
【0070】
このように、補強部材42としては糸44に限らず、多様な形状を採用することができる。特に板材46とすることによって、糸44とする場合よりも簡易に断面積を大きくできる。また、シート材20との接触面積を大きくできるため、簡易にシート材20に留めることができる。
【0071】
図7は、第4変形例に係るワイヤーハーネス10Dを示す斜視図である。
【0072】
これまで張力負担部40は、シート材付電線12とは別部材として設けられた補強部材42を含むものとして説明してきたが、このことは必須ではない。張力負担部40は、シート材20の一部によって形成される場合もあり得る。ここでは、張力負担部40Dは、シート材20の一部が折り重ねられた折重ね部48を含む。
【0073】
図7に示す例では、折重ね部48は、シート材20の端部が2回折り返されて、3重にされている。もっとも、折重ね部48は2重であってもよいし、4重以上であってもよい。
【0074】
折重ね部48は、折り重ねられた状態で留められている。折重ね部48を折り重ねた状態で留めるに当たり、接着剤または両面粘着テープなどの留部材を用いることが考えられる。また、留部材として、折り重ねられた部分を縫い付ける糸も考えられる。また、留部材を用いずに溶着等によって留めることも考えられる。
【0075】
折重ね部48は圧縮等されることも考えられる。この場合、折重ね部48は、シート材20の他の部分よりも弾性率が大きくなる。また、圧縮されることによって断面積が小さくなる。
【0076】
上記態様によると、シート材20に折重ね部48を設けることによってシート材20を用いて簡易に張力負担部40Dを設けることができる。
【0077】
図8は、第5変形例に係るワイヤーハーネス10Eを示す斜視図である。
【0078】
またこれまで、電線30がシート材20上における所定の配設経路に対して最短経路で延びるように設けられるものとして説明してきたが、このことは必須の構成ではない。シート材20に配設された電線30の一部が撓んでいる、蛇行しているなどして、最短経路で延びておらず余長が形成されている構成も考えられる。なお、所定の配設経路が真っ直ぐではなく、曲がった経路である場合もあり得る。
【0079】
例えば、電線30が長手方向に沿って不連続にシート材20に固定される場合、電線30はシート材20に固定される部分の間の部分で撓んでいたり、蛇行していたりして余長が生じているとよい。図8に示す例では、電線30Eのうちミシン糸36によってシート材20に縫い付けられる部分の間の部分が撓んでおり、最短経路で延びる場合(図8における仮想線で示される場合)と比べて余長が生じている。これにより、ワイヤーハーネス10Eに電線30Eの延在方向に沿った引張力がかけられても、係る引張力が先にシート材20にかかりやすくなる。この結果、電線30Eに過度の引張力がかかることを抑制可能となる。実際に過度の引張力がかかる場合としてはコネクタ34を引掛けるなど、コネクタ34を介して電線30Eに引張力がかかる場合が多いことから、コネクタ34近傍にこのような余長部を設けると効果的である。
【0080】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。例えば、張力負担部40として、糸44と折重ね部48との両方を採用するなど、張力負担部40として複数の構成を組み合わせることも考えられる。この場合、シート材20における1つの位置に複数の構成を適用してもよいし、シート材20における異なる位置に複数の構成をそれぞれ適用してもよい。
【0081】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0082】
10 ワイヤーハーネス
12 シート材付電線
20 シート材
30 電線
34 コネクタ
36 ミシン糸
40 張力負担部
42 補強部材
44 糸
46 板材
48 折重ね部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8