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特開2018-206613発熱体用部材、発熱体、加熱装置及びボイラー装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-206613(P2018-206613A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】発熱体用部材、発熱体、加熱装置及びボイラー装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/12 20060101AFI20181130BHJP
   H05B 3/02 20060101ALI20181130BHJP
   F24H 1/10 20060101ALI20181130BHJP
   F24H 1/14 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   H05B3/12 Z
   H05B3/02 A
   F24H1/10 C
   F24H1/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-111099(P2017-111099)
(22)【出願日】2017年6月5日
(71)【出願人】
【識別番号】517198470
【氏名又は名称】合同会社AAA
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(72)【発明者】
【氏名】岡村 功
【テーマコード(参考)】
3K092
3L034
【Fターム(参考)】
3K092PP20
3K092QB08
3K092QC18
3K092QC37
3L034BA34
3L034BB03
(57)【要約】
【課題】通電により急激に温度上昇させることが可能な発熱体用部材、発熱体、加熱装置及びボイラー装置を提供する。
【解決手段】発熱体用部材は、導電性の植物性繊維の炭化物から形成されている。ラマン分光法により測定されるGバンド強度が870cm-1から1160cm-1、Dバンド強度が1060cm-1から1395cm-1、ラマン強度比が1.17から1.22である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の植物性繊維の炭化物から形成された発熱体用部材であって、
前記炭化物の532nmにおけるラマン分光法により温度20度のときに測定されるGバンド強度が870cm-1から1164cm-1、Dバンド強度が1061cm-1から1396cm-1、ラマン強度比が1.17から1.22である発熱体用部材。
【請求項2】
前記植物性繊維の炭化物の粉体と導電性粉体とがバインダーにより結合した請求項1記載の発熱体用部材。
【請求項3】
前記導電性粉体は、SiCである請求項2記載の発熱体用部材。
【請求項4】
前記バインダーは、塩化マグネシウムである請求項2又は3記載の発熱体用部材。
【請求項5】
前記塩化マグネシウムは、粗製海水マグネシウムである請求項4記載の発熱体用部材。
【請求項6】
前記請求項1から5のいずれかの項に記載の発熱体用部材と、前記発熱体用部材が充填された筐体と、前記筐体に充填された前記発熱体用部材に接触する一対の端子部とを備えた発熱体。
【請求項7】
前記請求項6記載の発熱体を熱源として加熱された熱媒体と被加熱管に流れる被加熱体との間で熱交換する熱交換器と、前記発熱体に電源を供給する電源装置とを備えた加熱装置。
【請求項8】
前記請求項7記載の加熱装置と、前記加熱装置の前記被加熱管に温水を流入させるボイラーとを備えたボイラー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、効率よく発熱させることができる発熱体用部材、発熱体用部材を用いた発熱体、発熱体を用いた加熱装置、及び加熱装置を用いたボイラー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通電によるジュール熱で加熱するものとして、電熱器などに使用され、ニッケルとクロムの合金であるニクロム線が知られている。また、発熱体としてカーボンナノチューブを用いたものが特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1では、カーボンナノチューブ及び導電性微粒子を溶媒に分散した分散液を、多孔質絶縁基材に塗布・含浸した後、乾燥して発熱体を得るということが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−4761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に、カーボンナノチューブを含有する発熱体は通電から短時間で発熱すると記載されているように、発熱体は加熱温度が短時間で上昇するものが望まれている。
【0006】
そこで本発明は、通電により急激に温度上昇させることが可能な発熱体用部材、発熱体、加熱装置及びボイラー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発熱体用部材は、導電性の植物性繊維の炭化物から形成された発熱体用部材であって、前記炭化物の532nmにおけるラマン分光法により温度20度のときに測定されるGバンド強度が870cm-1から1164cm-1、Dバンド強度が1061cm-1から1396cm-1、ラマン強度比が1.17から1.22であることを特徴とする。
【0008】
本発明の発熱体用部材によれば、ラマン分光法により温度20度のときに測定されるGバンド強度が870cm-1から1164cm-1、Dバンド強度が1061cm-1から1396cm-1、ラマン強度比が1.17から1.22である植物性繊維の炭化物とすることにより、高いラマン強度比とすることができる。従って、本発明の発熱体用部材は、欠陥量が少なく高品質な炭化物とすることができる。
【0009】
前記植物性繊維の炭化物の粉体と導電性粉体とをバインダーにより結合させることが望ましい。植物性繊維の炭化物の粉体を容器に充填するときに粉体が飛散して充填し難いが、導電性粉体をバインダーにより結合させることで、粉体同士が結合して大きくなるため、容易に充填することができる。
【0010】
前記導電性粉体を、SiCとすることができる。また、前記バインダーは、塩化マグネシウムとすることができる。
【0011】
前記塩化マグネシウムは、粗製海水マグネシウムとすることができる。粗製海水マグネシウムとすることで、植物性繊維の炭化物の粉体と導電性粉体とを結合するバインダーを容易に調達することができる。
【0012】
本発明の発熱体は、本発明の発熱体用部材と、前記発熱体用部材が充填された筐体と、前記筐体に充填された前記発熱体用部材に接触する一対の端子部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の発熱体によれば、一対の端子部に電圧が印加されることで、筐体に充填された本発明の発熱体用部材に電流が流れるため、本発明の発熱体用部材を発熱させることができる。従って、本発明の発熱体用部材の発熱効果を発揮させることができる。
【0014】
本発明の加熱装置は、本発明の発熱体を熱源として熱媒体を加熱して、被加熱体が流れる被加熱管に熱交換する熱交換器と、前記発熱体に電源を供給する電源装置とを備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の加熱装置によれば、本発明の発熱体に電源装置から電源が供給されることで、本発明の発熱体が発熱して、熱交換器の被加熱管に流れる被加熱体が加熱される。従って被加熱管に流れる被加熱体を急激に加熱することができる。
【0016】
本発明のボイラー装置は、本発明の加熱装置と、前記加熱装置の前記被加熱管に温水を流入させるボイラーとを備えたことを特徴とする。
【0017】
本発明のボイラー装置によれば、ボイラーからの温水を、加熱装置の前記被加熱管に流入させることで、ボイラーだけで所定温度まで上昇させるより、ボイラーからの温水を、本発明の加熱装置により更に加熱することで、ボイラーで燃焼させる燃料を節約することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、欠陥量が少なく高品質な炭化物とすることができるため、発熱により温度が上昇すると、抵抗値が急激に上昇するので、通電により急激に温度上昇させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態の発熱体を示す図であり、(A)は発熱体の外観を示す斜視図、(B)は発熱体の分解斜視図である。
図2図1に示す発熱体に用いられる発熱体用部材の等価回路の図である。
図3図1に示す発熱体を用いた加熱装置を備えたボイラー装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態に係る発熱体用部材を用いた発熱体を図面に基づいて説明する。
図1(A)及び同図(B)に示すように、発熱体1は、円筒状の容器である絶縁性または高抵抗の筐体2と、筐体2の両端部に設けられた一対の端子部3と、筐体2に封入された粉末状の発熱体用部材4とを備えている。
【0021】
筐体2は、両端部に開口が形成され、内部の収容部2aに充填された発熱体用部材4により発熱する金属製容器である。筐体2は、例えば、表面が陽極酸化処理されたアルミニウムにより形成することができる。筐体2は、耐熱性が高く、熱伝導率が高いものが望ましい。
一対の端子部3は、筐体2の両端部から、収容部2aに充填された発熱体用部材4を挟んで両側に、挿入され、配置される。端子部3は、通電部31と、外筒部32と、ナット部33とを備えている。
通電部31は、収容部2aの発熱体用部材4と接触する、六角形状の頭部311と、頭部311から筐体2の外側に延びる軸部312とにより形成されたボルトである。
外筒部32は、筒部321と、鍔部322(第1鍔部322a〜第3鍔部322c)とが一体的に形成された樹脂製部材である。
【0022】
第1鍔部322a及び第2鍔部322bは、外径が筐体2の内径とほぼ同じに形成されているため、外筒部32が筐体2に挿入されると、第1鍔部322a及び第2鍔部322bの外周面は、筐体2の内周面と密着した状態となる。第3鍔部322cは、筐体2の直径より大きく形成され、端子部3を筐体2へ圧入する際のストッパーとして機能する。
【0023】
ナット部33は、筐体2の両端の端面に、第3鍔部322cを押さえつける第1ナット331と、頭部311が形成された端部とは反対側となる軸部312の端部に配置された第2ナット332とを備えている。
【0024】
発熱体用部材4は、導電性の植物性繊維の炭化物の粉体をより細かくした微粉末(以下、単に、炭化物の微粉末と称す。)と、導電性粉体の一例であるSiCによる粉体をより細かくした微粉末とを混合したものである。炭化物の微粉末は、直流に対して抵抗を示すが、交流に対しては0Ωを示す。また、発熱体用部材4は、発熱により温度が上昇すると、急激に抵抗値が上昇する抵抗温度係数を有している。
【0025】
ここで、発熱体用部材4の製造方法について説明する。
まず、植物性繊維の炭化物を製造する。植物性繊維は、例えば、綿や竹などが使用できる。この植物性繊維を鉄、セルロースを混合させて加熱炉に投入する。この混合物を、加熱炉により1200℃〜2000℃にて焼成して炭化させる。
そして、炭化させた植物性繊維に、チタン酸ストロンチウムを使用してチタンを蒸着させる。
【0026】
セルロースは、炭化させる際に酸素を吸着するため、炭化物に酸化膜などが生成されることが防止できる。
炭化物にチタンを蒸着させることにより、チタンが分子クラックの隙間を埋めるため、炭化物を低抵抗とすることができる。
【0027】
炭化した混合物を自然冷却した後に、タールを除去するために水に投入し、沈殿物を回収する。沈殿物を一次粉砕して粉末化し、固液分離機により水分を強制的に除去した後に、自然乾燥させる。
そして、粉末化した炭化物を二次粉砕することにより微粉末化し、篩機により篩をかけることで、所定粒径未満の微粉末を選別する。
所定粒径未満の炭化物の微粉末に、SiCをバインダーと共に混合する。そうすることで、炭化物の微粉末とSiCの微粉末同士が結合して粒径を増加させる。このようにして、発熱体用部材4が完成する。バインダーとしては塩化マグネシウムが溶解した水溶液が使用できる。
【0028】
次に、このようにして製造される発熱体用部材4を用いた発熱体1の製造方法を説明する。
まず、筐体2の一方の端部に端子部3を挿入し、固定するために、端子部3の外筒部32の周囲面に接着材を塗布する。この接着材は、耐熱性が高いセラミック系接着材が使用できる。
【0029】
筒部321の周囲面に接着材が塗布されることで、第1鍔部322aと第2鍔部322bとの間、及び第2鍔部322bと第3鍔部322cの間の筒部321の領域321sに、充分な量の接着材を付着させることができる。
接着材が塗布された端子部3を筐体2の一方の端部に挿入して、放置することで、接着材を硬化させる。
これにより、第1鍔部322aと第2鍔部322bとが筐体2の内周面に密着するだけでなく、接着材により、しっかりと、端子部3を筐体2に固定することができる。
【0030】
筐体2の一方の端部の開口が塞がれば、筐体2に取り付けられた端子部3を下にして、上になった筐体2の他方の端部の開口から、所定量の発熱体用部材4を入れる。発熱体用部材4を筐体2に充填するときには、発熱体用部材4を少しずつ入れては棒状器具により押し付け圧縮する。
【0031】
炭化物の微粉末だけでも、加熱性能を発揮させることができるが、筐体2に充填するときに炭化物の微粉末のみとした場合、筐体2に充填した炭化物の微粉末を棒状器具により押し込んでも、棒状器具と筐体2との隙間から飛散して詰め込み難い。
発熱体用部材4が、炭化物の微粉末とSiCの微粉末とを塩化マグネシウムによるバインダーにより結合させることで、粉体の大きさが大きくなる。そのため、発熱体用部材4を筐体2に充填しながら、棒状器具により押し付けることで、しっかりと詰め込むことができる。
【0032】
そして、筐体2の一方の端部に端子部3を固定したときと同様に、筐体2の他方の端部に、接着材を塗布した端子部3を挿入して固定することで、粉末状の発熱体用部材4を筐体2内に圧縮された状態で封入することができる。
筐体2の他方の端部に端子部3を取り付けることで、発熱体1が形成される。
【0033】
発熱体1が形成されると、通電してエージングを行う。発熱体1に通電すると、発熱体用部材4が発熱する。この発熱体用部材4の発熱より、発熱体用部材4が変性して、直流に対して抵抗を示すが、交流に対して0Ωとなる、インピーダンスの変化が発現する。これは、エージングにより、図2に示す等価回路のように、直列接続された抵抗成分R及びコイル成分Lに、容量成分Cが並列接続された回路構成に、発熱体用部材4が変性したものと推定される。
【0034】
エージングが完了すれば、発熱体1の検査を行う。発熱体1の検査方法について説明する。抵抗測定器、例えば、テスターの測定端子を、一対の端子部3に接触させ、発熱体1の抵抗を測定する。抵抗値が所定値より低ければ良品として判定する。このようにして、発熱体1を良品と不良品とに選別することができる。
【0035】
次に、発熱体1を用いた加熱装置10及び加熱装置10を用いたボイラー装置20について説明する。
図3に示すボイラー装置20は、温水を使用する施設に設置される。
ボイラー装置20は、燃料を燃焼させて、温水を供給するボイラー21と、ボイラー21からの配管25に接続され、ボイラー21による温水を再加熱する加熱装置10と、配管25に接続され、ボイラー21又は加熱装置10からの温水を貯留して温水を消費場所に供給する消費用貯槽22と、加熱装置10への入湯管26及び加熱装置10からの出湯管27との間の配管25に設置されたバルブ23と、出湯管27に設置されたポンプ24とを備えている。
【0036】
加熱装置10は、発熱体1を熱源として加熱された熱媒体と被加熱管11bに流れる被加熱体との間で熱交換する熱交換器11と、発熱体1に電源を供給する電源装置12と、熱媒体用貯槽13と、熱媒体用貯槽13からの熱媒体を熱交換器11へ送水するポンプ14とを備えている。
【0037】
熱交換器11は、並列接続された発熱体1と、発熱体1が加熱する熱媒体、例えば、水が貯留される本体部11aとを備えている。
電源装置12は、電圧制限値が設定可能な定電流源である。
【0038】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係るボイラー装置20の動作及び使用状態について、図面に基づいて説明する。
加熱装置10を使用しないときは、ボイラー21から消費用貯槽22への配管25に設置されたバルブ23を通水状態とする。バルブ23を通水状態とすることにより、ボイラー21からの温水は、熱交換器11へは流れず、配管25を通って消費用貯槽22へ流れる。従って、消費用貯槽22に流れ込む全ての温水は、ボイラー21により加熱されたものとなる。
【0039】
しかし、ポンプ14を稼働させることにより、熱媒体である水を、熱媒体用貯槽13と熱交換器11の本体部11aとの間で熱媒体を循環させ、バルブ23を閉鎖状態とすることにより、ボイラー21からの温水が、配管25の一部を通り、入湯管26から熱交換器11の本体部11aへ流入する。
電源装置12から電源が供給されることで、図1に示す発熱体1の端子部3に電圧が印加される。端子部3に電圧が印加されることで、発熱体用部材4に定電流が流れる。
【0040】
発熱体用部材4は発熱により温度上昇することで抵抗値が増加する。発熱体用部材4の抵抗値が上昇しても発熱体用部材4には定電流が流れるため、抵抗値の上昇に応じた温度上昇が得られる。
従って、定電流が流れる発熱体1が、熱媒体である温水を介して被加熱管11bを加熱することで、ボイラー21から本体部11aに流入された被加熱体である温水は、更に加熱される。
発熱体1により再加熱された温水は、ポンプ24により出湯管27を流れ、配管25を介して、消費用貯槽22に流入して貯留される。消費用貯槽22に貯留された温水は、浴槽や厨房、洗面台などで消費される。
【0041】
このようにボイラー21からの温水を加熱効率の高い加熱装置10により再加熱することにより、ボイラー21用の燃料を燃焼させ、消費場所に提供される温水を所定温度まで上昇させるための燃料を節約することができる。
【0042】
バルブ23は通水状態と閉鎖状態と切り替えるものとしたが、通水量を調整できるようにしてもよい。通水量が調整できるバルブ23とすることで、消費用貯槽22への温水について、ボイラー21により加熱と、加熱装置10により加熱との割合を調整することができる。
【実施例】
【0043】
(実施例1)
実施例1では、図1に示す発熱体用部材4を作製した。
まず、発熱体用部材4の原料となる植物性繊維として、綿ロール12本(1本当たり幅300mm、直径400mm、513.6g)を使用した。この綿ロールに、チタン酸ストロンチウムを20g、鉄として釘を150g、セルロースとして銀杏からの抽出物を100g混ぜ混合物とした。
【0044】
次に、この混合物を加熱炉として真空溶融炉を使用して炭化物を焼成した。
焼成温度及び焼成時間は、1200℃まで上昇させて20時間、更に、1600℃まで上昇させて18時間である。その後、36時間の自然冷却を行った。
【0045】
次に、炭化物を水に投入しタール分が除去された沈殿物を回収し、一次粉砕した後に、固液分離機により1800Gを1時間掛け、水分を除去した。
次に、水分を除去した炭化物を二次粉砕して微粉末化し、篩機により所定粒径未満の粉体を選別した。
次に、炭化物の微粉末と、SiCの微粉末とを1:2.5の容量の割合で混ぜ、バインダーとして、にがりと称される粗製海水マグネシウムを混合して結合させた。そして、自然乾燥により水分を除去することで、1280gの発熱体用部材4を得た。
バインダーとして粗製海水マグネシウムを使用することにより、バインダーとしての粗製海水マグネシウムを容易に調達することができる。
【0046】
(実施例2)
実施例2では、実施例1にて作製した発熱体用部材4を用いて発熱体1を作製した。
発熱体1の筐体2として、直径1.2cm、長さ12cmの酸化皮膜が形成されたアルミニウム(アルマイト)を使用した。この筐体2に充填される発熱体用部材4は、1.1gである。この発熱体用部材4を筐体2に充填して端子部3を筐体2の両端部に取り付けた。そして、エージングとして、端子部3間に、交流100Vを72時間印加した。
【0047】
この発熱体1に定電流源を接続して0.2Aを通電し、10秒ごとに温度と抵抗値とを測定した。表1からも判るように、測定当初60Ωであったが、温度が上昇すると共に、急激に抵抗値が上昇していることが判る。ジュール熱Qは、Q=RI2tにより算出できる。ここで、Rは抵抗値、Iは電流値、tは時間である。
【0048】
【表1】
【0049】
ジュール熱Qは抵抗値Rと比例するため、表1から、発熱体1の温度が上昇する共に、抵抗値が60Ωから1.2MΩ、更に、7.9MΩまで上昇することで、発熱体1は抵抗値に応じて20℃から80℃、そして280℃まで温度上昇していることが判る。
【0050】
発熱体用部材が、常温で高抵抗である場合では、所定の電流を流すためには高電圧を印加する必要がある。また、高温になっても低抵抗である場合には高い温度上昇が望めない。発熱体用部材4では、常温では低い抵抗値を示すため、低い電圧で所定電流を流すことができる。また、発熱体用部材4は、温度上昇すると共に、急激に抵抗が上昇するため、短時間で高温とすることができる。
【0051】
なお、比較のためにニクロム線での加熱を測定した。ニクロム線では、電流を0.2Aから2Aまで増加させても、230℃までしか上昇させることができなかった。
【0052】
【表2】
【0053】
このように、発熱体1の発熱体用部材4は、通電すると急激に温度上昇させることが可能であることが判った。
【0054】
(実施例3)
実施例3では、実施例1にて作製した発熱体用部材4をラマン分光法によりGバンド強度及びDバンド強度を測定し、ラマン強度比を算出した。
Gバンド強度及びDバンド強度は、レーザラマン分光光度計NRS−3100により以下の条件にて測定した。
(1)レーザ波長532nm
(2)サンプル上でのレーザ光強度10mW
(3)測定温度20度
(4)露光時間は30秒
(4)積算回数は2回
(5)測定回数は測定箇所を変えて5回測定した。
【0055】
発熱体用部材4のGバンド強度及びDバンド強度を測定し、ラマン強度比を算出した結果を表3に示す。また、表3では、比較のため天然黒鉛のGバンド強度、Dバンド強度及びラマン強度比を示す。
【0056】
【表3】
【0057】
表3からも判るように、発熱体用部材4は、Gバンド強度が870cm-1から1164cm-1、Dバンド強度が1061cm-1から1396cm-1であった。これらから、ラマン強度比が1.17から1.22であることが算出できる。
天然黒鉛のGバンド強度が535cm-1、Dバンド強度が56cm-1であり、ラマン強度比が0.1であることから、発熱体用部材4は、高いラマン強度比であるため、欠陥量が少なく高品質な炭化物であることが判る。
また、単層カーボンナノチューブでは、Gバンド強度が1590cm-1、Dバンド強度が1350cm-1となることから、発熱体用部材4はカーボンナノチューブとは異なるものであることが判る。
【0058】
このようにラマン分光法により特定される発熱体用部材4は、発熱により温度が上昇すると、抵抗値が急激に上昇するので、通電により急激に温度上昇させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の発熱体は、熱媒体(被加熱物)として液体、気体、固体を効率よく、急激に加熱することができるため、被加熱物が油である揚げ機(電気フライヤー)、気体である送風暖房機、固体である岩盤浴の岩石などに適用できる。また、本発明のボイラー装置は、ボイラーが設置される施設であれば使用でき、例えば、ホテルや旅館などの宿泊施設、学校などの教育施設、会社が入居するビジネスビルなどに好適である。
【符号の説明】
【0060】
1 発熱体
2 筐体
2a 収容部
3 端子部
31 通電部
311 頭部
312 軸部
32 外筒部
321 筒部
321s 領域
322 鍔部
322a 第1鍔部
322b 第2鍔部
322c 第3鍔部
33 ナット部
331 第1ナット
332 第2ナット
4 発熱体用部材
10 加熱装置
11 熱交換器
11a 本体部
11b 被加熱管
12 電源装置
13 熱媒体用貯槽
14 ポンプ
20 ボイラー装置
21 ボイラー
22 消費用貯槽
23 バルブ
24 ポンプ
25 配管
26 入湯管
27 出湯管
図1
図2
図3