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特開2018-206763液中プラズマ発生装置および液体処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-206763(P2018-206763A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】液中プラズマ発生装置および液体処理装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/24 20060101AFI20181130BHJP
   C02F 1/48 20060101ALI20181130BHJP
   C02F 1/68 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   H05H1/24
   C02F1/48 B
   C02F1/68 510A
   C02F1/68 520B
   C02F1/68 530A
   C02F1/68 540E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-97043(P2018-97043)
(22)【出願日】2018年5月21日
(31)【優先権主張番号】特願2017-108021(P2017-108021)
(32)【優先日】2017年5月31日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】堀越 章
(72)【発明者】
【氏名】中村 昭平
(72)【発明者】
【氏名】高辻 茂
(72)【発明者】
【氏名】河野 元宏
【テーマコード(参考)】
2G084
4D061
【Fターム(参考)】
2G084AA17
2G084BB02
2G084BB05
2G084BB36
2G084CC03
2G084CC19
2G084CC35
2G084DD02
2G084DD12
2G084DD17
2G084DD22
2G084FF01
2G084FF14
2G084FF39
2G084GG03
2G084GG07
4D061DA01
4D061DB09
4D061EA15
4D061EB09
4D061EB16
4D061EB19
4D061EB33
(57)【要約】
【課題】液体中に供給された気体にプラズマを発生させる液中プラズマ発生装置において、高効率で安定したプラズマを発生させる。
【解決手段】液中プラズマ発生装置3は、内部空間に液体を保持する筐体と、内部空間内に開口を有し該開口から液体中に気体を吐出する気体供給管と、気体供給管内から開口を介して内部空間に突出し、該突出部位は導体部が誘電体により被覆された構造を有する第1電極と、第1電極の突出部位を取り囲んで設けられ、誘電体によって液体から隔離された導体部を有する第2電極と、第1電極と第2電極との間に電圧を印加する電圧印加部とを備え、突出部位と第2電極との間の空間が、開口から吐出された気体が流通する流路となっている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間に液体を保持する筐体と、
前記内部空間内に開口を有し該開口から前記液体中に気体を吐出する気体供給管と、
前記気体供給管内から前記開口を介して前記内部空間に突出し、該突出部位は導体部が誘電体により被覆された構造を有する第1電極と、
前記第1電極の前記突出部位を取り囲んで設けられ、誘電体によって前記液体から隔離された導体部を有する第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加する電圧印加部と
を備え、
前記突出部位と前記第2電極との間の空間が、前記開口から吐出された前記気体が流通する流路である液中プラズマ発生装置。
【請求項2】
前記開口が上向きに開口し、前記突出部位が前記開口から上向きに突出し、前記第2電極の前記導体部が前記突出部位を側方から取り囲む請求項1に記載の液中プラズマ発生装置。
【請求項3】
平面視において、前記突出部位が前記開口の内部にあり、前記第2電極が前記開口の周囲を取り囲んでいる請求項2に記載の液中プラズマ発生装置。
【請求項4】
側面視において、前記突出部位と前記第2電極とが少なくとも一部で互いに重なる請求項1ないし3のいずれかに記載の液中プラズマ発生装置。
【請求項5】
前記第1電極は、前記気体供給管の管軸に沿って延設された棒状体であり、該棒状体の側面と前記気体供給管の内側面との間の空間が前記気体の流路となっている請求項1ないし4のいずれかに記載の液中プラズマ発生装置。
【請求項6】
前記筐体は誘電体により形成された筒状体を有し、前記気体供給管が前記筒状体の内部で前記筒状体と同軸に設けられて、前記筒状体の内側面と前記気体供給管との間の空間に前記液体が保持される請求項1ないし5のいずれかに記載の液中プラズマ発生装置。
【請求項7】
前記筐体は誘電体により形成された筒状体を有し、前記第2電極は前記筒状体の外周面に設けられた請求項1ないし5のいずれかに記載の液中プラズマ発生装置。
【請求項8】
前記第2電極の前記導体部は、前記筒状体の外周面を取り巻く環状の導体である請求項6または7に記載の液中プラズマ発生装置。
【請求項9】
前記第1電極、前記気体供給管、前記筒状体および前記第2電極が鉛直軸に対し同軸に設けられた請求項1ないし8のいずれかに記載の液中プラズマ発生装置。
【請求項10】
前記筐体には、前記突出部位よりも下方で前記内部空間に前記液体を導入する導入口と、前記突出部位よりも上方で前記液体を外部へ送出する送出口とが設けられている請求項1ないし9のいずれかに記載の液中プラズマ発生装置。
【請求項11】
活性種を含有する処理液を生成する液体処理装置であって、
請求項10に記載の液中プラズマ発生装置と、
前記導入口に前記液体を供給する液体供給部と、
前記送出口から送出される前記液体を前記処理液として貯留する貯留部と
を備える液体処理装置。
【請求項12】
前記液体供給部は、前記貯留部に貯留された前記液体を前記導入口に供給する請求項11に記載の液体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体中に供給される気体に電界を与えて当該液体中でプラズマを発生させる液中プラズマ発生装置およびこれを用いる液体処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
反応生成物の生成手段や有害物質・細菌類の無害化手段として、化学的に活性な活性種を含有する液体を生成するための技術が数多く提案されている。例えば特許文献1に記載の技術では、誘電体管を流れる被処理水に気泡を発生させ、液中に配置された電極間に高電圧を印加することで、気泡内で放電させてプラズマを発生させる。また、特許文献2に記載の技術では、気体が混合された液体を流通させる誘電体管の外部に一方電極が、管内に他方電極がそれぞれ設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−116561号公報
【特許文献2】特開2013−206767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、少なくとも一方の電極が液中にあり、その電極の周囲で放電が生じるため、発生したプラズマに曝された電極の成分が液中に溶出することがある。また、電極の周囲を取り巻く気泡を含む液体の状態が刻々と変化するため、発生するプラズマの密度や量が不安定となりやすい。このため、投入される気体やエネルギーに対するプラズマ発生効率およびプラズマ発生の安定性を高める上で、上記従来技術は改良の余地を残している。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、液体中に供給された気体にプラズマを発生させる液中プラズマ発生装置において、高効率で安定したプラズマの発生を可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る液中プラズマ発生装置の一の態様は、内部空間に液体を保持する筐体と、前記内部空間内に開口を有し該開口から前記液体中に気体を吐出する気体供給管と、前記気体供給管内から前記開口を介して前記内部空間に突出し、該突出部位は導体部が誘電体により被覆された構造を有する第1電極と、前記第1電極の前記突出部位を取り囲んで設けられ、誘電体によって前記液体から隔離された導体部を有する第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加する電圧印加部とを備え、前記突出部位と前記第2電極との間の空間が、前記開口から吐出された前記気体が流通する流路となっている。
【0007】
このように構成された発明では、液体中に気体を供給する気体供給管の開口から第1電極の突出部位が突設されているので、開口から吐出される気体は突出部位の周囲を取り囲むように流通して液中に導入される。そして、第1電極の突出部位と、これを取り囲んで設けられる第2電極との間の空間が、開口から吐出される気体の流路であるとともに、電極間への電圧印加によりプラズマ発生電界が形成されるプラズマ発生場となっている。このため、液中に導入される気体は極めて高い確率でプラズマ発生場を通過することとなる。
【0008】
そして、第1電極および第2電極の導体部は、いずれも誘電体によって液体から隔離されている。特に第1電極の突出部位の周囲においては、開口から吐出された気体が突出部位を包み込む気泡を形成することで、第1電極の導体部と気体との間には導体部を被覆する誘電体の層が介在することになり、電圧印加により生じる放電は誘電体バリア放電となる。このため、電極を液体に接するように設けた場合よりも広い領域で安定した放電を生じさせることが可能である。また、導体部が被覆されているので、プラズマに曝されることによる導体部の材料(例えば金属)が液中に溶出することも防止される。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明では、液体中に開口する気体供給管の開口から吐出される気体が第1電極の突出部位を包み込むように流れて液体中に導入され、しかも突出部位の周囲にプラズマ発生場が形成されるので、気体中に高効率かつ安定したプラズマを発生させることができる。また、こうしてプラズマ化された気体が液体中に供給されるようにすることで、プラズマ化により生成された活性種を豊富に含む液体を効率よく生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る液中プラズマ発生装置の一実施形態を装備した液体処理装置の構成例を示す図である。
図2】プラズマ発生部の外観を示す図である。
図3】プラズマ発生部の内部構造を示す断面図である。
図4】突出部位の周辺の構造をより詳しく示す拡大図である。
図5】プラズマ発生部の水平断面図である。
図6】この実施形態におけるプラズマ発生の原理を説明する図である。
図7】プラズマ発生部によりプラズマを発生させたときの写真を示す図である。
図8】プラズマ活性種の量を比較するための実験結果の一例を示す図である。
図9】第2電極の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明に係る液中プラズマ発生装置の一実施形態を装備した液体処理装置の構成例を示す図である。この液体処理装置1は、貯留槽2に貯留されている水に活性種を溶解させた処理液を生成する装置であり、活性種を生成するためにプラズマ発生部3において水中プラズマ(本発明の「液中プラズマ」の一例に相当)を発生させている。このように本実施形態では、水が本発明の「液体」の一例に相当している。以下の各図において、鉛直方向上向きは(+Z)方向、下向きは(−Z)方向として表される。
【0012】
液体処理装置1は、貯留槽2への液体の供給および貯留槽2からの液体の送出を含む装置内での液体の流通を担う配管系5と、配管系5により形成される液体の流路中に介挿されたプラズマ発生部3およびポンプ6とを備えている。具体的には、配管系5に含まれる配管51の一方端が、貯留槽2の側面のうち内部の液体Lの液面よりも下方位置に接続され、配管51の他方端がプラズマ発生部3の下部に設けられた後述の液体導入口に接続される。配管51にはポンプ6が介挿されており、装置全体を制御する制御部7からの動作指令に応じてポンプ6が作動することで、貯留槽2に貯留されている液体が配管51を介してプラズマ発生部3に供給される。
【0013】
詳しくは後述するが、プラズマ発生部3は液中プラズマ処理によって液体中に活性種を含有させる装置である。具体的には、プラズマ発生部3は、ポンプ6により配管51を介して送り込まれる液体に気体導入部8からの気体を混合させ、交流電源4からの高電圧により該気体中でプラズマを発生させて、生じた活性種を液体に溶け込ませる機能を有する。このように、プラズマ発生部3は、外部から供給される液体を被処理液として受け入れ、該被処理液にプラズマ発生により生じた活性種を溶け込ませた液体を処理済み液として出力する。
【0014】
プラズマ発生部3の上部には配管53の一方端が接続され、配管53の他方端は貯留槽2に接続されている。したがって、プラズマ発生部3から出力される液体、つまりプラズマ発生部3で液中プラズマ処理を受けた液体を貯留槽2に戻すことが可能となっている。液体処理装置1では、破線矢印で示すように貯留槽2に貯留された液体は配管51、53を経由して循環しており、当該循環を行いながらプラズマ発生部3で液中プラズマを発生させることで液体に含まれる活性種の濃度を高めることができる。
【0015】
こうして活性種を含有する液体、つまり処理液が生成されると、当該処理液を適当なタイミングで貯留槽2から外部に送出する必要がある。このために、貯留槽2の下方側面に配管54が接続されている。この配管54には、開閉弁55が介挿されており、制御部7からの開指令に応じて開閉弁55が開くと、貯留槽2に貯留されている処理液(=液体+活性種)を外部に取り出し可能となる。また、貯留槽2の上方側面に配管56が接続されており、当該配管56によって貯留槽2は液体供給源(図示省略)と接続されている。この配管56には、開閉弁57が介挿されており、制御部7からの開指令に応じて開閉弁57が開くと、処理前の液体、つまり活性種を含有しない液体が貯留槽2に補充される。さらに、貯留槽2の天井面に配管58が接続されており、当該配管58によって貯留槽2の内部空間が液体処理装置1の周辺雰囲気と接続されている。この配管58には、開閉弁59が介挿されており、制御部7からの開指令に応じて開閉弁59が開くと、貯留槽2の内部空間を液体処理装置1の周辺雰囲気と連通させて貯留槽2の内部を大気圧に戻すことができ、開閉弁59はいわゆるリーク弁として機能する。
【0016】
プラズマ発生部3には気体導入部8の配管83が接続されている。気体導入部8は、上記配管83を介して気体を供給する気体供給源81と、配管83に介挿された開閉弁82とを有している。開閉弁82は制御部7からの開閉指令に応じて開閉することで、プラズマ発生部3に供給される気体の導入量を時間的に変化させる。すなわち、制御部7からの開指令に応じて開閉弁82が開くと、開成されている間、気体供給源81から気体が開閉弁82および配管83を介して圧送され、プラズマ発生部3へ供給される。
【0017】
図2はプラズマ発生部の外観を示す図である。また、図3はプラズマ発生部の内部構造を示す断面図である。図2に示すように、プラズマ発生部3は、鉛直方向に延びる筒状の筐体31を主要な構成とするものであり、図3は筐体31の管軸AXを含む鉛直面における断面を示している。
【0018】
筐体31は例えば石英ガラスにより形成され内部が中空となった筒状の管であり、管壁が比較的薄く形成された薄肉部31bの両端に、より管壁の厚い厚肉部31a、31cが接続された構造を有している。例えば、薄肉の管の両端に、これと同じ内径で厚肉の管を溶接により接合することで、筐体31を製作することができる。または、厚肉の管の一部側壁面を切削し、研磨し、または引き延ばすことで薄肉化したものでもよい。
【0019】
図示を省略しているが、厚肉部31aの上端は配管53に接続される。また、下側の厚肉部31cの側面には、貯留槽2から供給される液体を被処理液として受け入れるための液体導入管31dが接合されており、該液体導入管31dに配管51が接続される。したがって、筐体31の内部空間SPにおいては、下部から被処理液として導入される液体が上方へ流通し、上端部から処理済み液として送出される。
【0020】
筐体31の内部空間SPには、鉛直方向に延びる内管32が挿通されている。内管32は、筐体31の内径よりも小さな外径を有する例えば石英ガラス製の管であり、例えばシリコンゴム等の弾性材料で形成されたシール栓33により、筐体31の管軸AXと略同軸に支持されている。シール栓33は内部空間SPと外部空間とを離隔し液体の流出を防止するシールとしての機能も有する。筐体31の内部空間SPにおいて、内管32は液体導入管31dにより液体が導入される位置よりも上方まで延びており、その上端32aは例えば筐体31の薄肉部31bの鉛直方向における略中央部に位置している。内管32の上端32aは筐体31の内部空間SPに連通している。すなわち、内管32の上端32aは上向きの開口32bを有している。
【0021】
一方、内管32の下端はシール栓33を介して筐体31の外部へ下向きに突出しており、その側面には気体導入管32cが接続されている。図示を省略しているが、気体導入管32bは気体導入部8の配管83に接続される。気体導入部8から供給される気体は、気体導入管32cおよび内管32の内部を経由して開口32bから、筐体31の内部空間SPを上向きに流通する液体中に導入される。したがって、導入された気体は液体中の気泡となって内部空間SP内を上方へ向かって移動する。
【0022】
内管32の内部には、鉛直方向に延びる第1電極34が挿通されている。第1電極34は、断面が略円形の棒状の導体部341の表面を誘電体、例えば石英ガラスによる表面層342で被覆した構造を有している。表面層342は、導体部341の表面を誘電体材料でコーティングするものであってもよく、また上端部が封止され内部に導体部341が挿通された誘電体材料製の管であってもよい。第1電極34は、例えばシリコンゴム等の弾性材料で形成されたシール栓35により、内管32と略同軸に支持されている。第1電極34の下端においては、導体部341が部分的に表面層342に覆われず露出しており、この部分に交流電源4が電気的に接続される。
【0023】
第1電極34の上端34aは、内管32の上端32aよりも上方まで延びている。したがって、第1電極34の先端部は内管32の開口32bから上方に突出した状態となっている。以下、第1電極34のうちこのように内管32の上端32aよりも上方に突出した部位を「突出部位」と称し符号34bを付すこととする。
【0024】
図4は突出部位の周辺の構造をより詳しく示す拡大図である。図3および図4に示すように、第1電極34の突出部位34bを側方(水平方向)から取り囲むように、第2電極36が設けられる。具体的には、筐体31の薄肉部31bのうち、鉛直方向において突出部位34bと対応する位置を取り巻くように、環状の金属板による第2電極36が配置されている。第2電極36の鉛直方向位置は、側面視において少なくとも一部が突出部位34bと重なるように設定される。第2電極36は、薄肉部31bの管壁を形成する誘電体である石英ガラスの層によって、内部空間SP内の液体から隔離されている。
【0025】
図5はプラズマ発生部の水平断面、具体的には図3のA−A線断面を示す図である。図5に示すように、突出部位34bの近傍では、第1電極34の導体部341、表面層342、内管32、筐体31の薄肉部31bおよび第2電極36が互いに略同軸に配置されている。
【0026】
第1電極34の外径は内管32の内径よりも小さい。このため平面視においては、第1電極34は内管32の開口32bの内部に含まれる。したがって、第1電極34の外側面と内管32の内側面との間の空間が気体の流路となる。この流路を流通する気体は、第1電極34の周囲を通って開口32bから筐体31の内部空間SPに流入する。また、内管32の外径は筐体31の内径よりも小さい。このため、内管32の外側面と筐体31の内側面との間の空間が液体の流路となる。
【0027】
第1電極34と第2電極36との間に交流電源4から交流高電圧が印加されることにより、第1電極34の周囲の空間に強い交流電界が形成される。第1電極34の棒状の導体部341を取り囲むように環状の第2電極36が配置されることにより、両者の間には、周方向において略均一で、かつ第1電極34の近傍で特に強い電界が形成されることになる。すなわち、このプラズマ発生部3では、第1電極34の突出部位34bの周囲に電界を集中させて、局所的な強いプラズマ発生場を形成することができる。
【0028】
また、図3に示されるように、第2電極36の鉛直方向長さを突出部位34bの長さよりも大きくし、第2電極36の上端部が突出部位34bの上端部よりも上方側まで、第2電極36の下端部を突出部位34bの下端部よりも下方側まで延びるような配置とする。こうすることで、突出部位34bの周辺では高さ方向においても略均一な電界を形成することができる。
【0029】
図6はこの実施形態におけるプラズマ発生の原理を説明する図である。筐体31内部の処理空間SPは貯留槽2から供給された液体Lで満たされている。破線矢印で示すように、液体Lは、筐体31の内壁と内管32の外壁との間の空間を上向きに流通する。一方、気体導入部8から供給され内管32の内部を流通する気体Gは、点線矢印で示すように第1電極34の周囲を上向きに流通し、開口32bから気泡となって液中に導入される。このとき、気体Gの流量を適切に設定すれば、液体Lの表面張力の作用により、第1電極34の突出部位34bを包み込むような気泡B1を形成させることが可能である。
【0030】
前記したように、突出部位34bの周囲には特に強い電界が形成されるため、気泡B1内で放電によるプラズマが発生する。第1電極34の導体部341は誘電体表面層342で被覆されているため、このときの放電は誘電体バリア放電である。また、突出部位34bの周囲では軸方向および径方向において略均一な電界が形成される。これらのことから、突出部位34bを取り囲む気泡B1内の広い領域で均一なプラズマを安定的に発生させることが可能である。
【0031】
内管32を介してさらに気体Gが供給されることで、気泡B1は突出部位34bから液中に遊離する。遊離した気泡B2中にはプラズマにより生成された高濃度の活性種が包含されており、これが液中に溶け込むことにより、液体Lは活性種を含むものとなる。活性種を含んだ液体Lが配管53を介して貯留槽2に還流されることで、貯留槽2内の液体における活性種の濃度が上昇する。配管系5により液体が循環されることで、液中の活性種の濃度をさらに高めることができる。
【0032】
第1電極34および第2電極36の導体部はいずれも液体Lに接していない。これにより、発生する放電のモードを誘電体バリア放電とすることができ、広い領域で安定したプラズマを発生させることが可能となる。また、導体部がプラズマに曝されることで導体材料が液体に溶出することも防止される。このように、本実施形態の液体処理装置1は、活性種を豊富に含み不純物の混入のない液体を処理液として生成することが可能である。
【0033】
図7はプラズマ発生部によりプラズマを発生させたときの写真を示す図である。写真において上下方向に延びる明るい部分が筐体31であり、その中央部に現れた暗い部分が第2電極36である。筐体31内部のうち第2電極36で囲まれた部分が特に明るく光っており、この部分で高濃度のプラズマが発生していることがわかる。
【0034】
次に、筐体31を厚肉部31a,31cと薄肉部31bとを接続した構成とした理由について説明する。まず、筐体31全体の強度および製造の容易さを考えれば、全体が厚肉の管で構成されることが望ましい。特に、外部の配管53が接続される部分である上端部と、液体導入管31dが接合される部分については十分な厚さが必要である。一方、第1電極34の突出部位34bの周囲で高い電界強度を得るという観点からは、誘電体である管壁の石英ガラスはできるだけ薄い方がよい。そこで、この実施形態の筐体31では、両端を厚肉部31a,31cとして、プラズマ発生場を生起させる中央部分を薄肉部31bとすることにより、上記要求を満たしている。
【0035】
電極間に介在する誘電体の層を薄くするという要求は、第1電極34についても同様である。すなわち、第1電極34の誘電体表面層342については、機械的強度が損なわれない程度においてできるだけ薄い方が好ましい。
【0036】
このことは、気体Gがプラズマを発生しにくいガス種である場合に特に重要である。本願発明者は、液体Lとして水(純水)を、筐体31として外径10mm程度の石英管を使用して各種の実験を行った。その結果によれば、管壁が1mmのときには、気体Gがアルゴンであれば比較的簡単にプラズマが発生したが、気体Gとして空気を用いた場合にはプラズマが発生しなかった。空気を用いた場合、管壁を0.5mm以下にしないとプラズマは発生しなかった。第1電極34の表面層342についても同様である。そこで、筐体31の薄肉部31bにおける管壁の厚さを0.4mm、第1電極31の表面層342の厚さを0.3mmとした。このようにすると、気体Gとして空気を用いた場合でも、高濃度のプラズマを安定して発生させることができた。
【0037】
殺菌や植物の成長促進等、活性種を含んだ処理液が大気中で利用される形態においては、プラズマ発生のための気体として空気(大気)を使用可能であることは大きなメリットを有している。すなわち、装置の作動環境に存在する事実上無尽蔵の大気を用いて処理液を生成することができるので、特別な気体供給源を必要としない。液体処理装置1の気体供給源81としては、例えば周辺の大気を取り込んで加圧し送出するコンプレッサーがあればよいこととなる。このことは、装置構成を簡素にして装置の小型化を図る上で有利であり、もちろん処理コストも低減することができる。
【0038】
気体Gとしてヘリウムやアルゴンなど、比較的プラズマが発生しやすいガス種を用いる場合であっても、管壁の薄肉化の効果は大きい。すなわち、管壁の薄肉化により電界強度が高くなることでプラズマ密度が上昇するので、導入される気体の利用効率が高くなり、同じ気体使用量であればより多くの活性種を発生させることができ、殺菌等の効果の高い処理液を生成することができる。また、同じプラズマ密度を得るために必要な気体使用量を抑えることができるので、処理コストの低減を図ることができる。また、必要な濃度の活性種を含む処理液を生成するのに要する時間や消費エネルギーを削減することが可能となる。
【0039】
図8はプラズマ活性種の量を比較するための実験結果の一例を示す図である。本願発明者は、インディゴカルミンを添加した水をプラズマ発生部3に注入し、処理時間とともに液色がどのように変化するかを調べる実験を行った。インディゴカルミンは活性種と反応することで脱色するため、液色については吸光度によって評価した。曲線Aは筐体31の管壁の厚さを1mm、第1電極34の表面層342の厚さを0.7mmとした場合の結果である。一方、曲線Bは、筐体31に管壁が0.4mmの薄肉部31bを設け、第1電極34の表面層342の厚さを0.3mmとした場合の結果である。図から明らかなように、管壁を薄くすることによってより短時間で吸光度の低下が進行しており、処理液中により多くの活性種が生成されていることがわかる。
【0040】
以上説明したように、上記実施形態においては、プラズマ発生部3が本発明の「液中プラズマ発生装置」として機能しており、筐体31、第1電極34および第2電極36が、それぞれ本発明の「筐体」、「第1電極」および「第2電極」に相当している。そして、内管32が本発明の「気体供給管」として機能し、交流電源4が本発明の「電圧印加部」として機能している。
【0041】
また、筐体31においては、配管51が接続される液体供給管31の開口部が本発明の「導入口」に相当しており、配管53が接続される筐体31上端部の開口が本発明の「送出口」に相当している。また、上記実施形態の液体処理装置1においては、貯留槽2が本発明の「貯留部」として、またポンプ6が本発明の「液体供給部」として機能している。
【0042】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態の説明では、第1電極34の突出部位34bが気泡B1によって完全に包まれる場合を想定しているが、これに限定されない。例えば突出部位34bの周囲を取り囲むように多くの細かい気泡が発生するような条件であっても、高い電界が形成される突出部位34bの周囲に多くの気泡が存在することにより、各気泡内でのプラズマ発生確率を高くして効率よくプラズマを発生させることが可能である。
【0043】
また、上記実施形態では、筐体31の薄肉部31bの外周面を環状に覆う第2電極36が設けられているが、第2電極としては上記以外に、例えば次のような構造とすることも可能である。
【0044】
図9は第2電極の変形例を示す図である。図9(a)に示す第2電極37は、周方向において複数に分割された電極片371により構成されている。このような構造によっても、第1電極34の突出部位34bの周囲に、周方向において略均一な電界を生じさせることが可能である。
【0045】
また、図9(b)に示す第2電極38は、導体部381を誘電体(例えば石英ガラス)の表面層382で被覆した構造となっており、筐体31内の内部空間SPに配置されている。このような構造によっても、突出部位34bの周囲に周方向に略均一な電界を生じさせることが可能である。また、筐体外に第2電極を設ける場合に比べ、電極間距離を小さくすることができるので、電界強度を高め、あるいは印加電圧を低くすることが可能となる。この他、例えば第2電極が筐体に埋め込まれた構造であってもよい。
【0046】
また、上記実施形態における筐体31および第1電極34の表面層342は石英ガラス製であるが、これは誘電体の一例として使用したものであり、使用される液体やプラズマに対する耐性があり、また液体に不純物を溶出させることがないものであれば、これ以外の誘電体材料であっても構わない。例えば、実用上は管壁が透明であることは必須ではなく、不透明な材料も使用可能である。
【0047】
また、筐体31の厚肉部と薄肉部とが異なる材料であってもよく、また管全体を薄肉として他の機械的手段で補強した構造であってもよい。また、第1電極の突出部位の周囲でプラズマを発生させるのに十分な電界強度が得られる限り、管壁の全体が肉厚のものであってもよい。
【0048】
また、上記実施形態の第1電極34においては、筐体31内の導体部341はその全体が表面層342により被覆されている。しかしながら、第2電極36との距離が放電を生じない程度に離れており、かつ内管32内で液体に触れるおそれのない部分については、必ずしも被覆を必要としない。
【0049】
また、上記実施形態では、筐体31、内管32および第1電極34が互いに同軸に配置されているが、これらは厳密に同軸構造である必要はない。すなわち、内管32を流通する気体が第1電極34の周囲を包むようにして液体中に導入されれば足りる。このためには、例えば平面視において第1電極34の突出部位34bが内管32の開口32bの内部に含まれていればよい。この限りにおいて、内管32と第1電極34とは必ずしも同軸でなくてもよい。すなわち、第1電極34が厳密に内管32の中心に配置されている必要はない。また、筐体31および内管32についても、両者間の空間を液体がスムーズに流通する限りにおいて、これらは必ずしも同軸でなくてもよい。また、これらの配管の断面形状が円形または互いに相似な形状である必要は必ずしもなく、適宜改変可能である。
【0050】
また、上記実施形態では、筐体31への内管32の取り付けおよび内管32への第1電極34の取り付けに際して弾性材料によるシール栓が使用されているため、プラズマ発生部3の分解が容易である。しかしながら、これに代えて、部材間が例えば接着や溶接によって恒久的に固着されていてもよい。
【0051】
また、上記実施形態のプラズマ発生部3は、筐体31が液体を流通させる配管の一部としての機能も有するものである。しかしながら、本発明における「筐体」は、このような構成に限定されず、例えば内部空間に液体を貯留する容器としての機能を有するものであってもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、プラズマ発生部3が略鉛直方向の管軸AXを有する管状を有しているが、これに限定されない。例えば、図2の構造を有するプラズマ発生部3を管軸AXが水平になるように配置した場合でも、良好にプラズマを発生させることができる。プラズマ発生部中の液体および気体が圧送されている場合、内管の開口から吐出された気体が形成する気泡は、主としてその吐出方向および周囲の液体の圧送方向に沿った方向に延びる。したがって、気泡の延びる方向と第1電極の突出部位の延設方向とが概ね同じであれば上記と同様の効果が得られる。
【0053】
上記実施形態では、内管32の延設方向を上下方向とし、その上端32aに設けられた上向きの開口32bから気体を吐出し、さらに第1電極34を開口32bから上向きに突出させる構造としている。このため、突出部位34bの延設方向が、液体Lおよび気体Gの流通方向のみならず液体L中で気体Gに作用する浮力の方向とも一致することとなり、気泡が突出部位34bの周囲を取り囲むように発生する確率をより高めることができる。これにより、液中でのプラズマ発生領域を広くして、より効率の良いプラズマ発生が可能となっている。
【0054】
また、上記実施形態は、本発明に係る「液中プラズマ発生装置」であるプラズマ発生部3を循環する液体の流路上に設けた「液体処理装置」であるが、本発明の液中プラズマ発生装置は、それ自身が液中に活性種を溶け込ませて処理液を生成する機能を有するものであり、その適用範囲はこのような循環経路を有するものに限定されるものではない。例えば、プラズマ発生部3の上部から出力される処理済みの液体が直接外部に取り出されて処理液として使用に供される態様でもよい。また、使用される液体および気体についても上記に限定されず任意である。
【0055】
以上、具体的な実施形態を例示して説明してきたように、本発明に係る液中プラズマ発生装置は、開口が上向きに開口し、突出部位が開口から上向きに突出し、第2電極の導体部が突出部位を側方から取り囲む構成であってよい。このような構成によれば、開口から吐出された気体が液体中で上向きに流れるため、上向きに延びる突出部位の周囲に多くの気体を通過させてプラズマ発生の確率を高くすることができる。
【0056】
また例えば、平面視において突出部位が開口の内部にあり、第2電極が開口の周囲を取り囲む構成であってよい。また、側面視において、突出部位と第2電極とが少なくとも一部で互いに重なる構造であってよい。このような構成によれば、開口から吐出される気体の多くが、プラズマ発生場が周囲に形成される突出部位の周囲を通過して液中に導入されることとなるため、プラズマ発生効率を高めることができる。
【0057】
また、第1電極は、気体供給管の管軸に沿って延設された棒状体であり、該棒状体の側面と気体供給管の内側面との間の空間が気体の流路となった構成であってよい。このような構成によれば、断面が環状の流路を通って気体がスムーズに流れ、第1電極はこの流路に取り囲まれた構造となるため、突出部位の周囲に安定的に気泡を形成することができる。
【0058】
また、筐体は誘電体により形成された筒状体を有し、気体供給管が筒状体の内部で筒状体と同軸に設けられて、筒状体の内側面と気体供給管との間の空間に液体が保持される構成であってよい。このような構成によれば、気体供給管から供給される気体が全て周囲の液体に触れることとなるので、気体中でのプラズマ発生により生成される活性種を効率よく液体中に溶け込ませることができる。
【0059】
また、筐体は誘電体により形成された筒状体を有し、第2電極は筒状体の外周面に設けられた構成であってよい。このような構成によれば、筐体の壁面によって第2電極を筐体内の液体から隔離することができ、第2電極が液体に接することを回避することができる。
【0060】
また、第2電極の導体部は、筒状体の外周面を取り巻く環状の導体であってよい。このような構成によれば、第1電極の周囲に、平面視において周方向に略均一な電界を発生させることができ、第1電極の周囲で均一なプラズマを発生させることができる。
【0061】
また、第1電極、気体供給管、筒状体および第2電極は、鉛直軸に対し同軸に設けられた構成であってよい。このような構成によれば、第1電極と気体供給管との間の気体の流路および気体供給管と筒状体との間の液体の流路が鉛直方向において一定の断面形状を有することとなり、気体および液体をそれぞれの流路においてスムーズに流通させることが可能となる。これにより第1電極の突出部位の周囲における液体および気体の流れが安定し、この領域におけるプラズマ発生を安定化させることができる。また、第1電極と第2電極とが同軸配置されることで、第1電極の周囲に形成される電界を均一にすることができる。
【0062】
また、筐体に、突出部位よりも下方で内部空間に液体を導入する導入口と、突出部位よりも上方で液体を外部へ送出する送出口とが設けられた構成であってよい。このような構成によれば、筐体内で液体は上向きに流れ、プラズマ活性種を含んで液中を上昇する気泡と液体とが長い時間接することとなるので、活性種を効率よく液中に取り込むことができる。
【0063】
また、本発明に係る液体処理装置においては、例えば、液体供給部は、貯留部に貯留された液体を導入口に供給する構成であってよい。このような構成によれば、液中プラズマ発生装置を通過する液体が循環することで、液中の活性種の濃度を高めることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
この発明は、液中プラズマ発生技術ならびに当該技術を用いて活性種を含有する処理液を生成する技術全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 液体処理装置
2 貯留槽(貯留部)
3 プラズマ発生部(液中プラズマ発生装置)
4 交流電源(電圧印加部)
6 ポンプ(液体供給部)
31 筐体
32 内管(気体供給管)
32b 開口
34 第1電極
34b 突出部位
36 第2電極
341 導体部
342 表面層
G 気体
L 液体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9