【解決手段】実施形態のプリント配線板1は、貫通孔71を備える第1基板3と、キャビティ72形成用の貫通した開口部4aを備える第2基板4と、を有している。キャビティ72は、開口部4aの内壁および開口部4a内に露出する第1基板3の第1面3Bにより形成されており、電子部品実装用パッド221は、キャビティ72の底面における貫通孔71の開口の周囲に露出しており、貫通孔71の内壁面に樹脂または無光沢めっき膜からなる内壁保護被膜70が形成されている。実施形態のプリント配線板の製造方法では、第1基板3の第1面3Bに第2基板4を接合することにより、貫通孔71と連通するキャビティ72が形成され、貫通孔71の内壁面に樹脂または無光沢めっき膜からなる内壁保護被膜70が形成される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態のプリント配線板およびその製造方法が図面を参照しながら説明される。
【0010】
図1および
図2には、一実施形態のプリント配線板1の断面図および平面図がそれぞれ示されている。
図1は、
図2のI−I線での断面図である。本実施形態のプリント配線板1は、プリント配線板1内に形成される凹部からなるキャビティ72を備えるキャビティ付き配線板である。キャビティ72内には、プリント配線板1の使用時に外部の電子部品81が配置される。
【0011】
図1に示されるように、プリント配線板1は、樹脂絶縁層11、21、31と導体層12(121、122)、22、32とが交互に積層された第1基板3と、キャビティ72の形成用の貫通した開口部4aを備える第2基板4とを有している。キャビティ72は、第1基板3の一面である第1面3B(第2導体層22側の表面)を底面として、第2基板4の第1基板3側の表面である一面4Fと反対側の表面である他面4Bに開口部を有する。また、プリント配線板1は、第1基板3の第2面3Fに開口し、キャビティ72に連通する貫通孔71を有している。そして、貫通孔71の内壁面に内壁保護被膜70が形成されている。
図1には、第1基板3の第2面3F側の貫通孔71の周囲に取り付けられているレンズなどの板状部材85が二点鎖線で示されている。板状部材85は、例えば後述の第3導体層32の図示されない一部で形成される取付部などを介して取り付けられていてもよい。また、板状部材85は、例えば板状部材85を嵌め込むように後述のソルダーレジスト層52に形成される、図示されない凹部などに取り付けられてもよい。板状部材85は、必須ではなく、貫通孔71は開口状態でも構わない。しかし、電子部品81の機能に応じて、その機能を高める板状部材85があることにより、電子部品81の特性が向上すると考えられる。例えばイメージセンサチップなどの電子部品81で光を受光する場合には、レンズなどにより集光することが好ましい。また、塵などの電子部品81への付着防止の観点から、何らかの遮蔽物が設けられることが好ましいと考えられる。
【0012】
図1では、このプリント配線板に取り付けられる、例えばイメージセンサチップのような電子部品81が二点鎖線で示されている。キャビティ72は、搭載されるこの電子部品81の大きさに応じて形成され得る。また、貫通孔71は、搭載される電子部品81の機能面における受光や外部への光の放射を可能にするため形成されている。
図1に示されるように、キャビティ72は、貫通孔71と比較して、横幅が大きく、深さは貫通孔71の高さより小さい。すなわち、部品収容用のキャビティ72は、貫通孔71よりも低アスペクト比に形成されている。
【0013】
図1の例では、第2基板4は、第1基板3の第1面3Bに接着層5を介して接合されている。第2基板4の貫通した開口部4aの内壁および開口部4a内に露出する第1基板3の第1面3Bによりキャビティ72が形成されている。第1基板3は、第1面3Bに外部の電子部品81との接続に用いられる電子部品実装用パッド221を有している。電子部品実装用パッド221は、第2導体層22に形成されており、キャビティ72の底面に露出している。すなわち、電子部品実装用パッド221は、キャビティ72の底面における貫通孔71の開口の周囲に露出している。
【0014】
接着層5は、第1基板3と第2基板4とを容易に剥離し得ない強度で接合可能な任意の接着性材料により形成されている。例えば、ポリイミド系の接着剤が、接着層5の材料として例示される。キャビティ72への電子部品の実装時の高温雰囲気にも耐え得る耐熱性を有していると考えられる。しかし、接着層5の材料はポリイミド系の接着剤に限定されず、シリコーン系樹脂や耐熱性エポキシ樹脂などからなる接着剤など、任意の接着剤が用いられ得る。
【0015】
第1基板3の樹脂絶縁層(第1樹脂絶縁層11、第2樹脂絶縁層21、第3樹脂絶縁層31)は、その両面に導体層(第1導体層12(121、122)、第2導体層22、第3導体層32)を有する絶縁層である。樹脂絶縁層11、21、31は、例えばガラス繊維のような芯材(補強材)にフィラーを含む樹脂組成物を含浸させたものでもよく、フィラーを含む樹脂組成物だけで形成されたものでもよい。また、1層であっても、複数の絶縁層から形成されていてもよい。樹脂としては、エポキシ樹脂等が例示される。樹脂絶縁層11、21、31の厚さとしては、25〜100μmが例示される。いずれかの樹脂絶縁層(例えば第1樹脂絶縁層11)がコア基板として用いられている場合、その樹脂絶縁層の厚さとしては、100μmを上回る厚さが好ましいこともある。
【0016】
導体層12、22、32は、特に限定されないが、金属箔、無電解めっきもしくは真空蒸着などにより形成されるシード層と電解めっき膜、またはこれらの複合膜で形成され得る。導体層12、22、32を構成する材料は、銅が例示される。銅は、電解めっきが容易であり、電気抵抗も小さい。しかし、各導体層の材料は銅には限定されない。この導体層12、22、32の厚さは、3〜20μm程度が例示される。
【0017】
図1に示される実施形態では、第1基板3は、コア基板10と第1ビルドアップ層20と第2ビルドアップ層30との積層構造で形成されている。このビルドアップ層20、30はコア基板10の両面に1層ずつとは限らず、それぞれ複数層で形成されていてもよい。コア基板10には、第1樹脂絶縁層11の両面の第1導体層12同士を接続するスルーホール導体13が形成されている。また、第1樹脂絶縁層11の両面に第1導体層12のパターン(第1基板3の第2面3F側の第1パターン121と第1面3B側の第2パターン122)が形成されている。その両面に形成されている第1導体層12の第1および第2のパターン121、122が前述のスルーホール導体13により接続されている。このコア基板10は、製造方法の一例が後述されるように、例えばプリプレグの両面に銅箔などの金属箔を積層し、加圧しながら加熱し、両面に第1導体層12を形成することにより形成される。
【0018】
スルーホール導体13は、第1樹脂絶縁層11に形成された貫通孔内に、例えば無電解めっきによるシード層が形成され、電解めっきにより貫通孔内を埋め込むことにより形成される。しかし、この方法には限定されない。ペースト状の導電材が埋め込まれて焼成されてもよい。この貫通孔は、例えばレーザー光の照射により第1樹脂絶縁層11の樹脂の一部を昇華させることにより形成される。
図1に示される例では、貫通孔が第1樹脂絶縁層11の両面側から半分ずつで形成されている。そのため、貫通孔は、両表面側で幅が広く、中心部側で幅の狭い鼓形に形成されている。
【0019】
第1樹脂絶縁層11の両面に形成される第1導体層12(一面側の第1パターン121と他面側の第2パターン122)は、形成される回路に応じたパターンを有するように形成される。この第1導体層12もスルーホール導体13の形成と同時に電解めっきなどの方法により形成され得る。なお、パターンの形成は、アディティブ法またはサブトラクティブ法などにより形成され得る。
【0020】
第1ビルドアップ層20は、コア基板10の他面、すなわち第1基板3の第1面3B側に形成されている。コア基板10の第2パターン122の面上に、例えば樹脂絶縁材料からなるフィルムと銅箔とを重ねて加熱および加圧することにより第2樹脂絶縁層21が形成される。そして、例えば、銅箔上に銅めっき膜を形成することにより、第2導体層22が形成される。この第2導体層22には、電子部品81が搭載され得る電子部品実装用パッド221を含む任意の導体パターンが形成されている。すなわち、本実施形態において、キャビティ72内に配置される電子部品は、キャビティ72の底面に形成される導体パターンに直接接続され得る。キャビティ72内の電子部品81と、キャビティ72の底面側に形成される導体層(第2導体層22)とが短い経路で接続され得る。良好な電気的特性が得られると考えられる。第1導体層12と第2導体層22との接続部分には、ビア導体23が形成される。このビア導体23および第2導体層22は、前述のコア基板10のスルーホール導体13および第1導体層12の形成と同様の方法で形成され得る。この第1ビルドアップ層20は2層以上の導体層を含んでいてもよい。
【0021】
第2ビルドアップ層30は、コア基板の一面側、すなわち第1基板3の第2面3F側に形成されている。第2ビルドアップ層30は、第1ビルドアップ層20と同様に形成され、第3樹脂絶縁層31、第3導体層32、ビア導体33とで構成されている。この第2ビルドアップ層30も2層以上の導体層を含んでいてもよい。第3導体層32には、コンデンサなどの他の電子部品を接続するパッド321が形成され得る。第3導体層32のパターニングも前述の第1導体層12のパターニングと同様に形成され得る。
【0022】
第1および第2のビルドアップ層20、30ならびにコア基板10には、貫通孔71が形成され、形成された貫通孔71の内壁面である露出面には、内壁保護被膜70が形成されている。例えば、内壁保護被膜70は、エポキシ樹脂などが塗布されたり、スプレーなどにより吹き付けられたりする方法により形成され得る。内壁保護被膜70の材料としては、シリコーン系やアクリル系などの樹脂材料が使用され得る。この内壁保護被膜70は、第1および第2のビルドアップ層20、30ならびにコア基板10に貫通孔71が形成される際のドリルなどによる研削面の荒れにより、樹脂絶縁層11、21、31の材料が塵として落下するのを防止するために形成されている。すなわち、第1、第2および第3の樹脂絶縁層11、21、31の一部が削り取られて表面が粗面になっていると、その一部が剥れやすくなり、落下しやすくなる。このような問題の防止のために、粗面となった加工面を覆うように、内壁保護被膜70が形成されている。とりわけ、貫通孔71は、キャビティ72内に配置されるイメージセンサなどの電子部品の受光面への光の入射路を構成し得るため、内壁保護被膜70の形成によって発塵による問題を防止することは重要であると考えられる。内壁保護被膜70の厚さは、特に限定されないが、例えば、3μm以上の厚さで形成され得る。貫通孔71の壁面が多少凹凸を有していても、確実に発塵が防止されると考えられる。なお、内壁保護被膜70は、このような樹脂材料からなる樹脂被膜でなく、導電性被膜であってもよい。外部またはこのプリント配線板に組み込まれる部品からの電磁波を遮断し得る場合がある。導電性被膜である内壁保護被膜70は、例えば、無電解めっきによるめっき膜の形成や、真空蒸着、スパッタリングなどによる蒸着膜の形成、または銀ペーストなどの導電性ペーストの塗布によって形成されてもよい。
【0023】
第2導体層22および第3導体層32の露出部には、開口51a、52aを有するソルダーレジスト層51、52がそれぞれ形成されている。ソルダーレジスト層51、52は、例えばエポキシ樹脂などからなり、例えばスクリーン印刷、スプレーコーティング、ロールコーティング、またはフィルムラミネートなどにより全面に形成した後にパターニングすることにより形成され得る。また、図示されていないが、キャビティ72を構成していない第2基板4の他面4Bにソルダーレジスト層が形成されていてもよい。
【0024】
各導体層22、32で、電子部品等と接続のために露出している導体層22、32の表面には、例えばNi/Au、Ni/Pd/Au、またはSnなどのめっき膜による表面保護膜77が形成されている。この表面保護膜77は、液状の保護材料内への浸漬などにより形成されるOSPでもよい。そして、キャビティ72内にイメージセンサチップ81などのセンサ素子が、第1基板3の第2面3F側に図示しないコンデンサなどの電子部品が、それぞれ、はんだバンプなどを介して、フリップチップ方式などにより搭載される。
【0025】
図1に示されるプリント配線板1では、キャビティ72の底面上、キャビティ72の内壁面に沿ってソルダーレジスト層51とキャビティ72の内壁面との間に凹部8が形成されている。本実施形態では、この凹部8は、
図2に示されるように、キャビティ72の内壁面に沿って枠状に形成されている。すなわち、本実施形態では、ソルダーレジスト層51は、キャビティ72の内壁面の内周側であって電子部品実装用パッド221の形成領域よりも外側のキャビティ72の底面を枠状に覆っている側部7を備えている。側部7は、好ましくは、キャビティ72の全体形状の全内周にわたって、キャビティ72の内壁面に沿って連続的な枠状に構成される。しかし、全体として枠状の形状に形成される側部7は不連続部分を有していてもよい。なお、
図2では、
図1のプリント配線板1の構成要素と同一の構成要素については、適宜符号が省略されている。
【0026】
前述のように、一実施形態のプリント配線板1では、キャビティ72の形成のために、第1基板3と第2基板4とが接着層5を介して接合されている。接着層5は、前述のように、任意の接着剤などにより形成され得る。任意の接着剤の中には、プリント配線板1の製造工程において流動性を有し得るものがある。また、任意の接着剤の中には、完全に硬化せずに流動性を維持し続けるものや、使用環境(周囲温度など)に応じて低粘度化して流動可能な状態となるものも存在し得る。流動可能な状態の接着剤は、第1基板3と第2基板4との界面からキャビティ72内に流れ出して、電子部品実装用パッド221へ付着する恐れがある。本実施形態のプリント配線板1では、接着層5の形成の際の接着剤がキャビティ72内に流れ出しても、ソルダーレジスト層51の側部7が、流出した接着剤を堰き止めるためのダムとして機能し得る。すなわち、凹部8が、流動する接着剤の滞留部として機能し得る。接着剤が側部7を乗り越え難いと考えられる。ソルダーレジスト層51の側部7は、使用される接着剤の種類や接着層の厚さなどに応じて所望の高さで形成される。より高い高さの側部7が好ましい場合、例えば、複数層からなるソルダーレジスト層51が第2導体層22上に形成されてもよい。
【0027】
キャビティ72の開口サイズおよび形状は、第2基板4に形成される貫通した開口部4aの開口サイズおよび形状により定められる。キャビティ72の開口サイズ、形状および深さは、例えば、キャビティ72内に配置される外部の電子部品に応じて任意に選択される。キャビティ72の深さは、ほぼ第2基板4の厚さに相当する。
【0028】
第2基板4は、好ましくは、エポキシ樹脂などの樹脂材料で形成される。例えば、第2基板4は、ガラス繊維などの芯材に含浸されたエポキシ樹脂からなるプリプレグの本硬化後の樹脂基板である。第2基板4の材料はエポキシ樹脂に限定されず、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)、フェノール樹脂などであってもよい。
【0029】
第2基板4が樹脂により構成される場合、貫通した開口部4aは、例えば、後述のようにレーザー光の照射やルータ加工、またはドリル加工などにより形成され得る。第2基板4の被加工面が開口部4aの内壁を構成する。前述の貫通孔71の形成時と同様に、被加工面からは、樹脂粉やガラス繊維片などによる塵が生じることがある。このような塵は、キャビティ72内に配置される電子部品上への落下などにより電子部品の機能を阻害することがある。プリント配線板1には図示されていないが、実施形態のプリント配線板には、そのような発塵防止のために、キャビティ72の内壁面にも、貫通孔71の内壁面と同様に、キャビティ72の内壁面を覆う図示されない被覆層が形成されていてもよい。被覆層は、例えば、エポキシ樹脂などの塗布やめっき膜などにより形成され得る。めっき膜としては、無光沢めっき膜が好ましい場合がある。キャビティ72内に光学系の電子部品が配置される場合に、被覆層での反射光の影響による電子部品の誤動作が抑制されると考えられる。また、めっき膜は、導体層22、32の表面に形成される前述の表面保護膜77と同じめっき膜であってもよい。
【0030】
図1の例と異なり、第2基板4は、両面に導体層を有する両面積層板、または一方の面に導体層を有する樹脂基板であってもよい。また、第1基板3の第2導体層22に形成される導体パターンが、電子部品実装用パッド221とは別の接続用導体パッド222を含んでいてもよい。このようなプリント配線板の例が
図3〜6に示されている。なお、図
3〜6のプリント配線板1a、1b、1c、1dに関して、
図1のプリント配線板1と同様の構成についての説明は適宜省略されている。
【0031】
図3には、接続用導体パッド222を有する第1基板302と両面積層板である第2基板403とからなる一実施形態のプリント配線板1aの例が示されている。接続用導体パッド222は、第1基板302の第2導体層22に形成される。すなわち、
図3の例では、接続用導体パッド222は、第2導体層22の導体パターンに含まれている。接続用導体パッド222は、ビア導体23で第1導体層12と接続されている。すなわち、
図3の例では、電子部品実装用パッド221は、部品収容用キャビティ72の外側に形成されている第2導体層22の導体パターンと、第1導体層12の他面側の第2パターン122を介して接続されている。
【0032】
図3に示される実施形態では、第2基板403は、樹脂絶縁層41と樹脂絶縁層41の両面に形成される導体層(第4導体層421、第5導体層部422)とから形成されている。しかしながら、第2基板403は、複数の樹脂絶縁層と導体層とが交互に積層された積層体、例えば第4および/または第5の導体層421、422上にビルドアップ層が積層されているような積層構造で形成されていてもよい。第2基板403の最表面に形成される導体層同士は、それらの間に介在する樹脂絶縁層を貫通するビア導体や導体層を介して導通されている。
図3の例では、第2基板403の第1基板3側の表面である一面4F側の第4導体層421は、一面4Fと反対側の表面である他面4B側の第5導体層422と、樹脂絶縁層41内に形成されているスルーホール導体43で接続されている。樹脂絶縁層41や導体層421、422は、第1基板3の樹脂絶縁層11、21、31や導体層12、22、32と同様の材料により形成され得る。
【0033】
第4導体層421および第5導体層422には、それぞれ第1パッド421aおよび第2パッド422aが形成されている。キャビティ72の形成のため、第1パッド421aが第1基板302の接続用導体パッド222に接続されるように、第1基板302と第2基板403とが接合される。第2基板403の他面4B側に露出する第2パッド422aを介して、将来的に電子部品や回路基板などをプリント配線板1aに実装することができる。
図3に示されるように、第2パッド422aには、開口53aを有するソルダーレジスト層53が形成されていてもよい。
図3に示されている例では、さらに、電子部品等と接続のために露出している第2パッド422aの表面に、表面保護膜77が形成されている。
【0034】
図3に示される一実施形態のプリント配線板1aでは、第1パッド421aおよび接続用導体パッド222が溶着されている。これにより、第1基板302と第2基板403とが、抵抗値の大きな接続部材等を使用することなく、第1パッド421aおよび接続用導体パッド222を介して電気的に接続される。接続部での発熱が抑制されると考えられる。第1パッド421aと接続用導体パッド222とを溶着させるための溶接としては、抵抗溶接が好ましい。抵抗溶接は、第1パッド421aと接続用導体パッド222とを直接当接させて行われ得る。例えば、前述のように、第1パッド421aが形成されている第4導体層421および接続用導体パッド222が形成されている第2導体層22の両方が銅で形成されている場合、強固な接合が得られると考えられる。しかしながら、例えば第1パッド421a上に、銅よりも大きな固有抵抗を有するスズ、ニッケルまたは金などの金属からなる被膜が形成されて、この被膜を接着層として抵抗溶接が行われてもよい。抵抗溶接がより容易に行われ得ると考えられる。なお、このような被膜の厚みとしては、0.3μm以上、5μm以下が好ましい。しかしながら、第1パッド421aと接続用導体パッド222とは、はんだなどの導電性接合材で電気的かつ機械的に接合されていてもよい。
【0035】
第1基板302および第2基板403が溶接により接合される場合、接合部に防錆処理を施すことが好ましい場合がある。
図3に示される例では、接合された第1パッド421aおよび接続用導体パッド222の側面に保護被膜91が形成されている。保護被膜91は、センサ素子などの電子部品81がプリント配線板1aへ実装されるまで電子部品実装用パッド221の表面を保護する防錆被膜としても作用し得る。保護被膜91は、例えばOSPなどの表面処理剤を塗布することなどによって形成される。
【0036】
図3に示されるプリント配線板1aにおいても、ソルダーレジスト層51は、キャビティ72の内壁面の内周に沿った枠状の側部7を備えている。したがって、接合された第1パッド421aおよび接続用導体パッド222の側面に塗布された保護被膜91の材料がキャビティ72内に流れ出した場合であっても、側部7がダムとして機能し得る。
図3には、この例が示されている。
【0037】
図4には、接続用導体パッド222上にポスト22cが形成されている第1基板303と、第1基板303と接続される側にパッド425aを含む導体層を有する樹脂基板である第2基板402とが接合されて形成されている一実施形態のプリント配線板1bの例が示されている。
図4の例では、第2基板402は、樹脂絶縁層41と、樹脂絶縁層41の第1基板303側の表面上に形成される導体層425と、樹脂絶縁層41の第1基板303側の表面と反対側の表面上に形成されるソルダーレジスト層54とで形成されている。
【0038】
図4に示される一実施形態のプリント配線板1bでは、第1基板303のポスト22cが、はんだからなる接合材92により、第2基板402の第1基板303側の表面の導体層425に形成されているパッド425aに接続されている。例えば、はんだペースト92aが第2基板402のパッド425a上に供給され、リフロー炉や高温槽などで加熱されることにより、パッド425aと第1基板303のポスト22cとが対向するように接合される。接続用導体パッド222上のポスト22cとパッド425aとの接合を介して、第2基板402が第1基板303と接続されている。接合材92としては、はんだの代わりに導電性ペーストなどが使用されてもよい。
【0039】
図5および
図6には、接続用導体パッド222上にポスト22cが形成されている第1基板303と、両面積層板である第2基板403とが接合されて形成されるプリント配線板1c、1dの例がそれぞれ示されている。
図5に示される一実施形態のプリント配線板1cでは、第1基板303のポスト22cと第2基板403の第1パッド421aとが、
図4に示される例と同様にはんだリフローなどにより接合材92を介して電気的および機械的に接続されている。また、
図6に示される一実施形態のプリント配線板1dでは、第1基板303のポスト22cと第2基板403の第1パッド421aとが、導電性の接着剤93により電気的および機械的に接続されている。例えば、導電性の接着剤93が第1パッド421a上に供給された後、第1パッド421aとポスト22cとが対向するように第2基板403および第1基板303が重ねられて、ポスト22cが第1パッド421aに当接するまで加圧される。その後、導電性の接着剤93が硬化されることにより、第1基板303および第2基板403が接合される。加圧によって、第1パッド421aとポスト22cとの界面に存在していた導電性の接着剤93は押し出される。押し出された接着剤93は、キャビティ72内に向かって流れ出す場合がある。しかしながら、プリント配線板1dには、プリント配線板1と同様に、ソルダーレジスト層51は、ダムとして機能し得る、キャビティ72の内壁面の内周に沿った枠状の側部7を備えている。このため、このような場合でも、
図6に示されているように、接着剤93は、凹部8に滞留する。接着剤93が電子部品実装用パッド221に付着してしまう恐れはないと考えられる。
【0040】
図5および
図6に示されているような、接続用導体パッド222上にポスト22cが形成されている第1基板303と両面積層板である第2基板403とが接合されるプリント配線板の実施形態においても、第1基板303のポスト22cと第2基板403の第1パッド421aとが溶着されていてもよい。前述の
図3に示されるプリント配線板1aのように第2基板403の第1パッド421aと第1基板302の接続用導体パッド222の端面同士が溶接される場合と比較して、接触部分の面積はより小さくなる。したがって、溶着時に、接触部分の材料の溶解に十分なジュール熱を小さい溶接電流で発生させることができる場合がある。
【0041】
図1に示されるプリント配線板1の製造方法が
図7A〜7Mを参照しつつ説明される。まず、樹脂絶縁層11の一面およびその反対側の他面の両面に第1導体層12(第1パターン121、第2パターン122)を有するコア基板が形成される。まず、
図7Aに示されるように、第1樹脂絶縁層11と、第1樹脂絶縁層11の両面にそれぞれ貼り付けられた銅箔12aとからなる両面銅張積層板が用意される。第1樹脂絶縁層11の材料は、適度な剛性と電気絶縁性を有するものであれば、特に限定されない。例えば、第1樹脂絶縁層11は、エポキシなどの樹脂材料をガラス繊維などの補強材に含浸させ、さらに硬化させてなるガラスエポキシ材からなる。エポキシなどの樹脂材料は、シリカなどの無機フィラーを適度な含有量で含んでいてもよい。なお、第1樹脂絶縁層11として、銅箔などと接合されていない絶縁材料からなる基板が用意されてもよい。
【0042】
そして、
図7Bに示されるように、第1樹脂絶縁層11の両面に形成される第1導体層12(樹脂絶縁層11の一面側の第1パターン121と他面側の第2パターン122、
図1参照)を接続する部分の第1樹脂絶縁層11に貫通孔11aが形成される。貫通孔11aは、例えばレーザー光の照射などにより形成される。
図7Bに示される例では、第1樹脂絶縁層11の両面からレーザー光が照射され、第1樹脂絶縁層11のほぼ半分ずつ両面から開口されて、貫通孔11aが形成されている。そのため、この貫通孔11aは、第1樹脂絶縁層11の両面側で広く、中心部で狭い鼓型の形状になっている。レーザー光の種類としては、炭酸ガスレーザー、YAGレーザーなどが例示されるが、これらに限定されない。
【0043】
次に、
図7Cに示されるように、コア基板10の一面である第1基板3の第2面3F(
図1参照)側に第1導体層12の第1パターン121が形成される。また、コア基板10の他面側に第2パターン122が形成される。第1パターン121は第1樹脂絶縁層11に形成されたスルーホール導体13を介して第2パターン122に接続されている。この第1パターン121、第2パターン122およびスルーホール導体13用の導体は、例えばセミアディティブ法による電解めっきにより形成される。
【0044】
具体的には、第1および第2のパターン121、122ならびにスルーホール導体13の導体は、例えば無電解めっきなどによる銅被膜の形成、めっきレジスト膜の形成、および、銅被膜をシード層とする電解めっきによる電解めっき膜の形成により形成される。その後に、図示しないめっきレジスト膜が除去され、さらにめっきレジスト膜の形成部分の銅箔12aおよび無電解めっきにより形成された銅被膜がエッチングにより除去されることにより、第1導体層12のパターン121、122が形成される。その結果、
図7Cに示されるように、貫通孔11a内に銅めっき膜が埋め込まれてスルーホール導体13が形成されると共に、第1樹脂絶縁層11の両面に第1導体層12の第1パターン121と第2パターン122が形成される。この第1導体層12やスルーホール導体13の形成法は、このようなセミアディティブ法でなくても、サブトラクティブ法やフルアディティブ法で形成されてもよい。
【0045】
コア基板10の両面にビルドアップ層20、30が形成され、第1基板3が形成される。具体的には、まず、
図7Dに示されるように、コア基板10の一面側に第3樹脂絶縁層31および他面側に第2樹脂絶縁層21の樹脂材料であるプリプレグが、銅箔32a、22aと共に積層され、加圧および加熱される。プリプレグの硬化により第1導体層12上に第2樹脂絶縁層21、第3樹脂絶縁層31がそれぞれ形成され、その表面に銅箔22a、32aが接合される。第2および第3の樹脂絶縁層21、31の材料も前述のコア基板10の第1樹脂絶縁層11と同様である。その結果、第2樹脂絶縁層21はコア基板10の第2パターン122と第1樹脂絶縁層11の露出面上に積層される。第3樹脂絶縁層31は、コア基板10の第1パターン121および第1樹脂絶縁層11の露出面上に形成される。銅箔22a、32aは、第1樹脂絶縁層11の両面に形成された銅箔と同様で、数μm程度の厚さのものが用いられる。銅箔以外の金属箔が用いられてもよい。また、プリプレグおよび銅箔22a、32aに代えて、ガラス繊維などを含む、または含まない樹脂付き銅箔が用いられてもよい。
【0046】
この第2樹脂絶縁層21および第3樹脂絶縁層31の表面に配線やパッドのパターンを形成して、これらを第1導体層12のそれぞれの導体パターンと接続するため、
図7Eに示されるように、第1導体層12と接続する部分の第2樹脂絶縁層21および第3樹脂絶縁層31に開口21a、31aがそれぞれ形成される。銅箔22a、32aそれぞれの表面からレーザー光を照射することにより、第1導体層12が露出するまで、銅箔22a、32aおよび第2および第3樹脂絶縁層21、31を昇華させる。その結果、表面側が幅広で、第1導体層12側で幅狭の開口21a、31aが形成される。
【0047】
その後、
図7Fに示されるように、第2導体層22および第3導体層32が形成される。その結果、コア基板10の第2パターン122側に第1ビルドアップ層20が、第1パターン121側に第2ビルドアップ層30がそれぞれ形成される。具体的には、前述の第1導体層12の形成と同様に、例えば銅の無電解めっきなどにより、開口21a、31a内に銅被膜を形成し、セミアディティブ法により配線やパッドのパターンが形成される。その結果、開口21a、31a内に銅めっき膜が埋め込まれてビア導体23、33がそれぞれ形成されると共に、第2および第3の樹脂絶縁層21、31の表面に電子部品実装用パッド221を含む第2導体層22、パッド321を含む第3導体層32がそれぞれ形成される。この第2樹脂絶縁層21と第2導体層22により第1ビルドアップ層20が形成されている。第3樹脂絶縁層31と第3導体層32により第2ビルドアップ層30が形成されている。コア基板10の両面にそれぞれ第1ビルドアップ層20および第2ビルドアップ層30が積層されている。この積層体の第2ビルドアップ層30側の表面(第3導体層32の表面側)が第2面3Fとされ、第1ビルドアップ層20側の表面(第2導体層22の表面側)が第1面3Bとされる。
【0048】
図7Gに示されるように、第2導体層22の電子部品実装用パッド221および第3導体層32のパッド321の所定の部分に開口51a、52aを有するソルダーレジスト層51、52がそれぞれ形成される。ソルダーレジスト層51、52は、例えば、それぞれ第2導体層22および第3導体層32の全面上への、ソルダーレジスト層の材料膜の塗布、またはフィルムの貼り付けにより形成され、その後にパターニングして不必要な部分を除去することにより、電子部品実装用パッド221やパッド321の周縁部に形成される。一実施形態のプリント配線板の製造方法では、ソルダーレジスト層51は、開口51aの形成と同時に、枠状の側部7が形成されるように、枠状の側部7となる部分の外側のソルダーレジスト層51の材料膜の部分がパターニングにより枠状に除去される。ソルダーレジスト層51は、電子部品実装用パッド221の周縁であって後述の第1基板3と第2基板4との接合によるキャビティ72の形成(
図7M参照)後にキャビティ72の底面となる部分をキャビティ72の内壁面に沿って枠状に覆う側部7を備えるように形成される。キャビティ72の形成によって、キャビティ72の内壁面とソルダーレジスト層51の側部7との間に、キャビティ72の内壁面に沿った枠状の凹部8(
図2参照)が形成される。ソルダーレジスト層51、52の開口51a、52aには、将来的には電子部品や回路基板などが電気的に接続される。ソルダーレジスト層51は、キャビティ72内に向かって流れ出した接着剤や表面処理剤が電子部品実装用パッド221に付着することを防止し得る。
【0049】
次に、
図7Hに示されるように、貫通孔71が、第1および第2のビルドアップ層20、30ならびにコア基板10を貫通して形成される。貫通孔71は、例えばルータまたはドリルにより中抜き加工がされることにより形成される。図示されていないが、第3樹脂絶縁層31の第2面3F側の貫通孔71の外周側に、レンズなどの板状部材85(
図1参照)搭載用の取付部が、第3導体層32の導体パターンやソルダーレジスト層52により形成されていてもよい。
【0050】
そして、
図7Iに示されるように、第2導体層22、第3導体層32のソルダーレジスト層51、52により被覆されないで露出する部分、すなわち、各パッド221、321上のソルダーレジスト層51、52の各開口51a、52a内に表面保護膜77が形成される。表面保護膜77は、前述のように、例えばNi/Au、Ni/Pd/Au、またはSnなどからなる表面保護膜がめっきにより形成され得る。液状の保護材料内への浸漬などによりOSPが形成されてもよい。
【0051】
図7Jに示されるように、貫通孔71の内壁面に樹脂をコートすることにより内壁保護被膜70が形成される。この内壁保護被膜70の形成は、前述のように、表面が滑らかになるように吹きつけ、塗布、またはその他の被膜形成の方法により行われる。以上の工程を経ることにより、第1面3Bに電子部品実装用パッド221を有し、第2面3Fにパッド321を有する第1基板3が用意される。なお、第1基板3の各導体層は、それぞれ金属箔12a、22a、32aを用いずに形成されてもよい。第1基板3の各導体層は、サブトラクティブ法やフルアディティブ法により形成されてもよい。また、
図7A〜7Gに示される例と異なり、ビルドアップ工法により第1基板3の全層が形成されてもよく、パターニング済みの両面配線板の積層により第1基板3が形成されてもよい。
【0052】
つぎに、
図7K〜7Mを参照して、第2基板4の準備からプリント配線板1の完成までの工程が説明される。
【0053】
図7Kに示されるように、好ましくはエポキシ樹脂などの樹脂材料からなる樹脂基板40が準備される。
図7Kの例では、樹脂基板40に貫通した開口部4aが形成され、貫通した開口部4aを有する第2基板4が用意される。貫通した開口部4aは、例えば、開口部4aの形成領域の縁部へのレーザー光の照射により形成される。樹脂基板40がプリプレグの硬化により準備される場合は、プリプレグの状態で、開口部4aの形成領域がプレスにより型抜きされてもよい。その後のプリプレグの加熱により、貫通した開口部4aを備えた第2基板4が用意され得る。
【0054】
一実施形態のプリント配線板の製造方法では、つぎに、
図7Lに示されるように、第2基板4の一方の表面に接着層5(
図1参照)が設けられる。
図7Lの例では、第2基板4の貫通した開口部4aに応じた開口5bを有する接着フィルム5aが第2基板4に貼り合わされる。接着フィルム5aは、好ましくは、光学的手段などによる位置合わせ手段を用いて第2基板4に貼り合わされる。開口5bは、例えばポリイミドなどからなる接着フィルム5aの成型と同時に、または、その前もしくは後に型抜きなどにより形成され得る。
【0055】
図7Mに示されるように、接着フィルム5aなどの接着剤で形成される接着層5を介して第1基板3と第2基板4とが接合される。第2基板4には、好ましくは、所定の位置への特定の形状の凹凸や金属膜の形成などにより図示されない認識マークが設けられ得る。この認識マークを用いて第1基板3と第2基板4との位置合わせが行われてもよい。接合のため、接着剤の特性に応じて、加熱などの硬化プロセスが行われる。接合時の加熱などにより接着層5を構成する接着剤が電子部品実装用パッド221側に向けて流動しても、電子部品実装用パッド221の周囲に形成されたソルダーレジスト層51の側部7により電子部品実装用パッド221への接着剤の付着が防止される。第1基板3と第2基板4との接合により、第2基板4の貫通した開口部4aの内壁からなる内壁面、および、第1基板3の第1面3Bの電子部品実装用パッド221を含む部分により構成される底面を有する部品収容用キャビティ72(
図1参照)が形成される。以上の工程を経ることにより
図1に示されるプリント配線板1が完成する。
【0056】
前述のように、キャビティ72の内壁面に、キャビティ72の内壁面を覆う図示されない被覆層が形成される場合は、例えば、第2基板4の貫通した開口部4aの形成の後に、開口部4aの内壁に被覆層が形成され得る。このような被覆層は、例えば、開口部4aの内壁面へのエポキシ樹脂などの適切な樹脂材料の印刷、吹き付けもしくは適切なツールによる樹脂材料の転写など、または、樹脂材料中への第2基板4の浸漬などにより形成され得る。塗布された樹脂材料は、加熱、紫外線照射、自然乾燥などにより硬化され得る。被覆層はまた、無電解めっきやスパッタリングなどにより形成されていてもよい。被覆層の形成時には、第2基板4の露出面のうちのキャビティ72の内壁面となる露出面以外が適宜マスキングされ得る。また、第2基板4の貫通した開口部4aは、
図7Kおよび
図7Lに示される例とは異なり、開口部5bを有さない接着フィルム5aと樹脂基板40との貼り合せの後に、接着層5と樹脂基板40とに同時に設けられてもよい。
【0057】
つぎに、
図8A〜8Dを参照して、第1基板の他の実施形態の一例である、
図3に示されるプリント配線板1aの第1基板302の製造方法が説明される。なお、
図8A〜8Dおよび後述される
図9A〜9Bにおいて、プリント配線板1と同じ構成要素には
図1の符号と同じ符号が付され、それら同様の構成要素の形成方法についての説明は適宜省略されている。
【0058】
第1基板302は、第1基板3の形成と同様に、コア基板10の両面側にビルドアップ層20、30が形成されることによって製造される。すなわち、コア基板10の一面側に第3樹脂絶縁層31および銅箔32aが、そして、他面側に第2樹脂絶縁層21および銅箔22aが積層された後(
図7D参照)、
図8Aに示されるように、ビア導体23、33形成用の開口21a、31aが、
図7Eに示される例と同様に形成される。本実施形態では、第1基板302の第2樹脂絶縁層21の表面には、
図3に示されるように、電子部品実装用パッド221と共に接続用導体パッド222を含む第2導体層22が形成されている。したがって、
図8Aでは、接続用導体パッド222と第1導体層12との接続部分にも、ビア導体23形成用の開口21aが形成されている。
【0059】
次いで、
図8Bに示されるように、ビア導体23、33、第2導体層22、および第3導体層32が、
図7Fに示される方法と同様に形成される。第2導体層22には電子部品実装用パッド221と共に接続用導体パッド222が形成される。この接続用導体パッド222は、第1基板302と接続される側に導体パッドを含む導体層を有するような第2基板(
図3の例では、表裏が導通されている第2基板403)を接続するために使用されるパッドである。
【0060】
その後、
図7Gに示される例と同様に、第2導体層22の電子部品実装用パッド221および第3導体層32のパッド321の所定の部分に開口51a、52aを有するソルダーレジスト層51、52がそれぞれ形成される(
図8C参照)。ソルダーレジスト層51は、枠状の側部7を備えるように形成されている。接続用導体パッド222上には、ソルダーレジスト層は形成されない。続いて、
図7H〜7Jで説明された工程と同様の工程を経ることにより、貫通孔71が設けられ、各開口51a、52a内に表面保護膜77が形成され、貫通孔71の内壁面に内壁保護被膜70が形成される(
図8D参照)。第1面3Bに電子部品実装用パッド221および接続用導体パッド222を有し、および第2面3Fにパッド321を有する第1基板302が用意される。
【0061】
第1基板3の他の実施形態の別の例である第1基板303(
図4参照)が製造される場合には、第1基板302の接続用導体パッド222上にポスト22cが形成される。
図9Aおよび
図9Bには、この第1基板303の製造例が示されている。例えば、前述の
図7Fおよび
図8Bを参照して説明された製造方法による、電解めっきによるビア導体23、33、電子部品実装用パッド221および接続用導体パッド222を含む導体パターン、ならびに、パッド321を含む導体パターンの形成に続いて、本実施形態では、接続用導体パッド222上のポスト22cの形成部分のみに開口を有するめっきレジスト層(図示せず)が、第1面3B側の表面に形成される。この開口内への電解めっき膜の充填によりポスト22cが形成される。その後、図示しないめっきレジスト層が除去される。その後、
図7Fで参照される工程の後の工程が同様に行われる。第1面3B側に、ポスト22cが形成されている接続用導体パッド222を含む第2導体層22が形成され、第2面3F側に第3導体層32が形成される。ポスト22cの高さは、好ましくは、50μm以上、150μm以下である。また、ポスト22cの径は、接続用導体パッド222の径より小さく、例えば、50μm以上、100μm以下であることが好ましい。なお、便宜上「径」という用語が用いられているが、各パッドやポストの平面形状は円形や楕円形に限定されない。これらは任意の平面形状を有し得る。したがって、ポスト22cなどの「径」は、ポスト22cの外周に属する2点間の距離の内、最大の値を意味している。
【0062】
その後、前述の
図8Cおよび
図8Dに示される工程が同様に行われる。
図9Bに示される接続用導体パッド222上にポスト22cが形成されている第1基板303が用意される。
【0063】
一方、第2基板の他の実施形態である、第1基板と接続される側に導体パッドを含む導体層を有する第2基板の一例である第2基板403(
図3、5、6参照)は、
図10A〜10Dに示される工程により製造される。第2基板403は、前述のように、表裏が導通されている両面基板である。
【0064】
図10Aに示されるように、第2基板4と同様の樹脂材料からなる第4樹脂絶縁層41と、第4樹脂絶縁層41の一面とその反対側の他面とにそれぞれ貼り付けられた銅箔423a、423bとからなる両面銅張積層板が用意される。次いで、
図10Bに示されるように、スルーホール導体43(
図3参照)形成用の貫通孔43aが、CO
2ガスレーザー光の照射などにより第4樹脂絶縁層41および銅箔423a、423bの所望の位置に形成される。そして、金属箔423a、423b上、および貫通孔43aの内壁に無電解めっきなどにより銅などからなる導電膜(シード層、図示せず)が形成される。その後、第4および第5の導体層421、422(
図3参照)形成用のめっきレジスト424が、貫通孔43aの配置パターン、ならびに形成される第4および第5の導体層421、422の導体パターンに応じたパターンで形成される。その後、めっきレジスト424の開口424a内に、電解めっきにより銅などのめっき膜が形成される。同時に、電解めっきにより貫通孔43a内が埋め込まれる。その後、めっきレジスト424が除去される。さらに、めっきレジスト424の除去により露出するシード層および銅箔423a、423bがエッチングにより除去される。
【0065】
図10Cに示されるように、所定のパターンを有する第4および第5の導体層421、422ならびにスルーホール導体43が形成される。第4の導体層421には、第1パッド421aが形成されている。第1パッド421aは、第1基板と接続するためのパッドである。また、第5の導体層422には、第2パッド422aが形成されている。第2パッド422aは、他の電子部品や回路基板などを搭載するためのパッドである。なお、スルーホール導体43の形成は、電解めっきによる方法に限定されず、例えばペースト状の導電材が埋め込まれて焼成されてもよい。スルーホール導体43により、第4樹脂絶縁層41の一面側の第4導体層421と第4樹脂絶縁層41の他面側の第5導体層422とが接続されている。
【0066】
その後、
図10Dに示されるように、
図7Gに示される工程と同様に、第2パッド422aに、開口53aを有するソルダーレジスト層53が形成される。そして、開口53aから露出している第2パッド422aの表面には、表面保護膜77が形成される。続いて、
図7Kに示される工程と同様に、貫通した開口部4aが形成される。他面4B側(第4樹脂絶縁層41の他面側)に第5導体層422を有し、他面4Bと反対側の表面である一面4F側(第4樹脂絶縁層41の一面側)に第4導体層421を有するとともに、中心部に貫通した開口部4aを有する第2基板403が用意される。
【0067】
製造された第2基板403は、
図3に示されるように、例えば第1基板302と溶着されることによりプリント配線板1aを形成する。すなわち、
図10Eに示されるように、第2基板403の第1パッド421aに第1基板302の接続用導体パッド222が抵抗溶接によって接合される。例えば、抵抗溶接は、溶接電源に接続された正負一対の溶接電極から、第1基板302の第3導体層32のパッド321および第2基板403の第5導体層422の第2パッド422aに電圧を印加することによって行われ得る。あるいは、接続用導体パッド222と導通するように第3導体層32または第5導体層422に設けられた図示されないパッドのいずれかと第2パッド422aとに電圧が印加されてもよい。溶接電流が第1基板302の接続用導体パッド222と第2基板403の第1パッド421aとの接触部を通って流れる。その結果、接続用導体パッド222と第1パッド421aとが溶接部位に発生するジュール熱によって溶融し、互いに接着される。抵抗溶接は、例えば、銅−タングステン系の溶接電極を用いて行われ、溶接電極のパッド321や第2パッド422aなどのパッドとの接触部の直径が500μm以上、2000μm以下である場合、溶接電流Iは、1kA以上、3kA以下、加圧力は10N以上、50N以下、および溶接時間は、1mS以上、3mS以下である。この接合により、部品収容用キャビティ72が形成される。その後、接合された第1パッド421aおよび接続用導体パッド222の側面に、OSPなどの表面処理剤が塗布され、乾燥される。接合されたパッドを覆う防錆用の保護被膜91が形成されて、
図3に示されるプリント配線板1aが完成する。
【0068】
製造された第2基板403は、接続用導体パッド222上にポスト22cが形成されている第1基板303と接合されてもよい。第2基板403の第1パッド421aに第1基板303のポスト22cが抵抗溶接によって接合され得る。この例では、接続用導体パッド222と比較して第1パッド421aに接する端面の小さいポスト22cが、第1パッド421aに溶接されるため、溶接電流は、断面の小さい経路に集中して流れることとなり、大きな温度上昇を得ることができる。溶接部分が十分に溶融されて強固な接合が得られることがある。
【0069】
製造された第2基板403はまた、第1基板303と、はんだや導電性の接着剤により接合されてもよい。
図11には、第2基板403の第1パッド421a上にはんだペースト92aが供給されている例が示されている。そして、第1基板303のポスト22cが第2基板403の第1パッド421aと対向するように、第1基板303と第2基板403とが重ねられる。その後、リフローによって第1パッド421aとポスト22cとがはんだ付けされる。第1基板303と第2基板403とが接合される。
図5に示されるプリント配線板1cが完成する。
【0070】
図12には、製造された第2基板403が、第1基板303と、導電性の接着剤93により接合される例が示されている。第2基板403の第1パッド421a上に導電性の接着剤93が塗布または貼り付けられる。そして、第1基板303のポスト22cが、第2基板403の第1パッド421aと対向するように、第1基板303と第2基板403とが重ねられ、ポスト22cが第1パッド421aに当接するまで加圧される。第1パッド421aとポスト22cとの界面に存在していた導電性の接着剤93は、第2基板403と第1基板303との接合によって形成されるキャビティ72の底面を電子部品実装用パッド221に向かって流れ得る。しかしながら、第1基板303の第1面3Bには、ソルダーレジスト層51の枠状の側部7が設けられているため、流れ出た導電性の接着剤93は凹部8に滞留する。電子部品実装用パッド221への接着剤93の付着が防止され得る。その後、導電性の接着剤93の特性に応じて、導電性の接着剤93の硬化プロセスが行われる。第1基板303と第2基板403とが接合される。
図6に示されるプリント配線板1dが完成する。
【0071】
なお、第1基板と接続される側のみに導体層425を有する第2基板402(
図4参照)は、前述の
図10A〜10Dを参照して説明された第2基板403の製造方法と同様の方法で製造され得る。例えば、
図10Aに示される工程において、第4樹脂絶縁層41の一面にのみ銅箔が貼り付けられた積層板が用意されて、例えば第1導体層12と同様の方法で、一面上だけに導体層425が形成される。また、第2基板402は、
図10Aに示されているような両面銅張積層板の一面上に導体層425を形成すると共に、両面銅張積層板の一面の反対側の他面上の銅箔や導体層をエッチングにより全て除去することにより形成されてもよい。そして、
図7Kに示される工程と同様に開口部4aが形成されることによって第2基板402が用意され得る。
【0072】
用意された第2基板402は、例えば
図4に示されるように、第1基板303と接合されることによりプリント配線板1bを形成する。前述のように、例えば、第2基板402のパッド425a上にはんだペースト92aが供給される(
図13参照)。第1基板303の接続用導体パッド222上のポスト22cが第2基板402のパッド425aと対向するように、第1基板303が第2基板402に重ねられる。リフローによりパッド425aとポスト22cとがはんだ付けされ、第1基板303と第2基板402とが接合される。
図4に示されるプリント配線板1bが完成する。
【0073】
なお、実施形態のキャビティ付きのプリント配線板の製造方法は、各図面を参照して説明された方法に限定されない。実施形態のキャビティ付きのプリント配線板の製造方法には、前述の各工程以外に任意の工程が追加されてもよく、前述の説明で説明された工程のうちの一部が省略されてもよい。