【解決手段】実施形態のリジッドフレキシブル配線板1aは、フレキシブル基板50と、フレキシブル基板50に接合されるリジッド基板10と、を含んでいる。リジッド基板10は、第1導体層11を含む少なくとも2つの導体層11、12、13a〜13cと、各導体層の間に介在する絶縁層21〜24と、各絶縁層それぞれを貫通するビア導体31〜34と、を含み、かつ、少なくとも2つの導体層11、12、13a〜13cのうちの1つとして他の導体層よりも厚い、厚い導体層1Xを有しており、フレキシブル基板50は、第1導体層11に溶着されている少なくとも2つの導体ピン52を備え、少なくとも2つの導体ピン52が厚い導体層1Xを介して電気的に接続されている。また、厚い導体層1Xが、第1導体層11と導体ピン52との抵抗溶接の通電経路として用いられる。
可撓性絶縁部材からなるベース層を備えるフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板に接合される第1面および前記第1面と反対側の第2面を有しているリジッド基板と、を含むリジッドフレキシブル配線板であって、
前記リジッド基板は、
前記第1面に形成されている第1導体層および前記第2面に形成されている第2導体層を含む少なくとも2つの導体層と、
前記少なくとも2つの導体層それぞれの間に介在する1つまたは複数の絶縁層と、
前記1つまたは複数の絶縁層それぞれを貫通するビア導体と、を含み、かつ、
前記少なくとも2つの導体層のうちの1つとして他の導体層よりも厚い、厚い導体層を有しており、
前記フレキシブル基板は、前記ベース層を貫通し、前記第1導体層に溶着されている少なくとも2つの導体ピンを備え、
前記少なくとも2つの導体ピンが前記厚い導体層を介して電気的に接続されている。
請求項1記載のリジッドフレキシブル配線板であって、前記第1導体層における前記少なくとも2つの導体ピンとの接合部に、前記フレキシブル基板側に突出する突起が設けられている。
請求項1記載のリジッドフレキシブル配線板であって、前記少なくとも2つの導体ピンにおける前記リジッド基板側の端面に、前記リジッド基板側に突出する突起が設けられている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1実施形態のリジッドフレキシブル配線板が図面を参照して説明される。
図1には、第1実施形態のリジッドフレキシブル配線板1aが示されている。
図1に示されるように、リジッドフレキシブル配線板1aは、可撓性絶縁部材からなるベース層51を備えるフレキシブル基板50と、フレキシブル基板50に接合されるリジッド基板10とを含んでいる。リジッド基板10は、厚さ方向の一方の表面である第1面10Fおよび第1面10Fと反対側の第2面10Sを有している。第1面10Fには第1導体層11が形成されており、第2面10Sには第2導体層12が形成されている。リジッド基板10は、第1導体層11および第2導体層12を含む少なくとも2つの導体層(
図1の例では、第1および第2の導体層11、12に加えて内層の導体層13a〜13c)を含んでいる。リジッド基板10は、さらに、少なくとも2つの導体層それぞれの間に介在する1つまたは複数の絶縁層(
図1の例では第1〜第4の絶縁層21〜24)と、1つまたは複数の絶縁層それぞれを貫通するビア導体31〜34と、を含んでいる。そして、リジッド基板10は、少なくとも2つの導体層(第1および第2の導体層11、12ならびに内層の導体層13a〜13c)のうちの1つとして、他の導体層よりも厚い、厚い導体層1Xを有している。
図1の例では、厚い導体層1Xは、第1面10Fに形成されている第1導体層11である。
【0010】
このように、本実施形態のリジッドフレキシブル配線板1aは、リジッド基板10内に厚い導体層1X(第1導体層11)を有している。厚い導体層1Xによって、リジッドフレキシブル配線板1aの熱容量が増加する。また、厚い導体層1X内では効率的に熱が伝導する。従って、たとえば、リジッド基板10に搭載される電子部品Lなどが発熱しても、その温度が上昇し難いと考えられる。特に、
図1のリジッドフレキシブル配線板1aでは、厚い導体層1Xは、リジッド基板10の第1面10F、すなわちリジッド基板10の一方の表面に形成されている第1導体層11である。従って、厚く形成されることによって広い表面積を有する第1導体層11から、対流や輻射による伝熱によって多くの熱(熱量)が周囲の空気などに伝えられる。リジッドフレキシブル配線板1aの放熱性がさらに高まると推察される。
【0011】
リジッド基板10の第2導体層12には、1つまたは複数の電子部品搭載パッド(
図1の例では電子部品搭載パッド121〜124)が備えられ、各電子部品搭載パッドはビア導体31〜34を介して厚い導体層1Xに接続されている。電子部品搭載パッド121〜124には、リジッドフレキシブル配線板1aの使用時に、たとえば、発光素子やマイコンなどの任意の電子部品が搭載され得る。
図1には、電子部品搭載パッド121、122に搭載される電子部品Lが二点鎖線で例示されている。電子部品Lで生じた熱は、ビア導体31〜34によって速やかに厚い導体層1Xに伝えられる。電子部品Lの温度上昇が抑制され、電子部品Lの熱による破損や、その特性の変動もしくは低下が防止されると考えられる。なお、電子部品Lは、はんだなどの任意の接合材Sを用いて電子部品搭載パッド121、122に接続されている。
【0012】
フレキシブル基板50は、ベース層51を貫通し、リジッド基板10の第1導体層11に溶着されている少なくとも2つの導体ピン52(
図1の例では2つの導体ピン)を備えている。そして、少なくとも2つの導体ピン52と厚い導体層1Xとが電気的に接続されている。
図1の例では、導体ピン52は、ベース層51を貫通し、両側の端面をベース層51から露出させている。そして、導体ピン52の一方の端面と第1導体層11とが接触している。その結果、第1導体層11として形成されている厚い導体層1Xと、少なくとも2つの導体ピン52とが電気的に接続されている。また、導体ピン52のその端面と第1導体層11とが溶着されている。
【0013】
本実施形態では、フレキシブル基板50単体の状態では、少なくとも2つの導体ピン52のそれぞれは、互いに対して絶縁されている。しかし、リジッドフレキシブル配線板1aを得るべくフレキシブル基板50とリジッド基板10とを組み合わせることによって、少なくとも2つの導体ピン52のそれぞれが、厚い導体層1Xを介して互いに電気的に接続される。すなわち、第1導体層11と少なくとも2つの導体ピン52とを接触させることによって、各導体ピン52同士が電気的に接続される。
【0014】
従って、本実施形態のリジッドフレキシブル配線板1aの製造においては、後述のように、たとえば抵抗溶接によって、リジッド基板10とフレキシブル基板50とを接合することができる。具体的には、少なくとも2つの導体ピン52のうちの1つまたは複数の導体ピンから少なくとも2つの導体ピン52の他の導体ピンに、リジッド基板10を介して電流を流すことができる。そうすることによって、第1導体層11および少なくとも2つの導体ピン52を、両者の接触部付近においてジュール熱によって溶融させ、そして溶着することができる。従って、特許文献1のようにめっき膜で接続される場合と異なり、リジッド基板10およびフレキシブル基板50の配線同士が強固に接続されたリジッドフレキシブル配線板1aを得ることができる。なお、
図1には示されていないが、フレキシブル基板50のベース層51の表面には、少なくとも2つの導体ピン52に接触するように配線層が設けられ得る。
【0015】
また、少なくとも2つの導体ピン52のそれぞれは、厚い導体層1X(
図1の例では第1導体層11)を介して電気的に接続される。従って、第1導体層11と少なくとも2つの導体ピン52とが溶着されるときに流れる溶接電流は、厚い導体層1X内を流れ得る。厚い導体層1Xのシート抵抗はリジッド基板10内の他の導体層よりも小さいので、溶接電流によって生じる熱は小さいと考えられる。従って、より大きな電流を溶接電流として流すことができる。第1導体層11と少なくとも2つの導体ピン52との接触部を十分に溶融させて、大きく、かつ、良質な溶融凝固部(ナゲット)を形成することができると考えられる。従って、第1導体層11と少なくとも2つの導体ピン52とをいっそう強固に溶着することができると考えられる。なお、少なくとも2つの導体ピン52のそれぞれ同士が、厚い導体層1Xに加えて、リジッド基板10の他の導体層(たとえば
図1において第2導体層12や内層の導体層13a〜13c)を介して電気的に接続されていてもよい。電流(溶接電流)は、電気抵抗の低い経路に多く流れるため、本実施形態では、溶接電流は主に厚い導体層1X内を流れると考えられるからである。
【0016】
厚い導体層1X(
図1の例では第1導体層11)の厚さT1は、たとえば、80μm以上、250μm以下であり、好ましくは、100μm以上、200μm以下である。厚い導体層1Xがこのような厚さを有することにより、前述の放熱性向上効果および許容溶接電流値の増大効果を享受しながら、リジッドフレキシブル配線板に求められる薄型化の要求にも対応し得ると考えられる。一方、厚い導体層1X以外の各導体層(第2導体層12および内層の導体層13a〜13c)の厚さは、たとえば、10μm以上、30μm以下である。
【0017】
第1および第2の導体層11、12は、任意の導電性の材料で形成され得る。たとえば、銅やニッケルなどの金属が、第1および第2の導体層11、12の材料として例示され、好ましくは、銅が用いられる。
図1の例では、第1導体層11は、第1絶縁層21の表面上(
図1においては第1絶縁層21の下方)に形成されている金属箔層11a、および金属箔層11a上(
図1においては金属箔層11aの下方)に形成されているめっき膜層11bを含んでいる。金属箔層11aの厚さは、たとえば、3μm以上、35μm以下である。一方、第2導体層12は、
図1の例では金属箔だけで構成されている。
【0018】
第1導体層11および第2導体層12は、任意のランドパターンや、このランドパターン同士を接続する配線パターンなど、任意の導体パターンを含み得る。
図1の例では、第1導体層11は放熱部材搭載パッド111、112を備えている。各放熱部材搭載パッドには、リジッドフレキシブル配線板1aの使用時に、放熱フィンやヒートシンクまたは放熱ブロックなどの任意の放熱部材Cが搭載される。放熱部材Cを搭載することによって、リジッド基板10の放熱性をさらに高めることができる。
図1の例では、放熱部材搭載パッド112と連結して、フレキシブル基板50との接合に用いられる接合パッド113が設けられている。接合パッド113には、フレキシブル基板50の少なくとも2つの導体ピン52が溶着されている。放熱部材搭載パッド112と連結されている接合パッド113は放熱性の向上にも寄与し得ると考えられる。しかし、接合パッド113と各放熱部材搭載パッド111、112とは必ずしも連結されていなくてもよい。第1および第2の導体層11、12は、さらに任意の部材の搭載用の導体パッドを備えていてもよい。
【0019】
電子部品搭載パッド121〜124に搭載される電子部品としては、発光ダイオードなどの発熱を伴う表示素子、発熱を伴う電力系の半導体素子などが例示される。厚い導体層1Xを有するリジッド基板10では、これらの電子部品が発熱しても、その温度上昇が抑制され得る。しかし、第2導体層12に搭載される電子部品は、これら発熱を伴う電子部品に限定されない。
【0020】
リジッド基板10では、電子部品搭載パッド121、122と放熱部材搭載パッド111、112とが、第1〜第4の絶縁層21〜24のそれぞれを個々に貫通するビア導体31〜34によって接続されている。
図1の例では、電子部品搭載パッド121、122と放熱部材搭載パッド111、112とは、平面視で互いに重なる位置に積層されている複数のビア導体31〜34によって接続されている。ビア導体31〜34によって所謂スタックビアが構成されている。ビア導体31〜34は、後述のように、銅やニッケルなどの熱伝導性の高い金属で形成される。従って、電子部品Lから、放熱部材Cさらにはその周囲の外気に至るまでの熱抵抗は小さく、たとえ電子部品Lが発熱しても、その温度上昇は小さいと考えられる。なお、放熱部材Cと放熱部材搭載パッド111、112とは、たとえば、溶接やはんだ付けまたは導電性接着剤などの任意の接合手段によって接合され得る。なお「平面視」は、リジッドフレキシブル配線板1aを外部から見るときの見方に関し、リジッドフレキシブル配線板1aの厚さ方向と平行な視線で見ることを意味している。
【0021】
リジッド基板10は、第1導体層11および第2導体層12の間に、第1絶縁層21および第4絶縁層24を介して、内層の導体層13a〜13cを含んでいる。内層の導体層13a〜13cのそれぞれは、互いの間に第2絶縁層22または第3絶縁層23を介して積層されている。内層の導体層13a〜13cは、第1および第2の導体層11、12と同様に、銅やニッケルなどからなる金属箔および/またはめっき膜によって形成され、任意の導体パターンを含み得る。
【0022】
ビア導体31〜34は、任意の導電性材料で形成されている。たとえば、ビア導体31〜34は、銅やニッケルなどのめっき膜によって形成され、好ましくは、第1および第2の導体層11、12ならびに内層の各導体層と同じ材料で形成される。各絶縁層それぞれに形成されるビア導体31〜34のうち、特に、電子部品搭載パッド121、122と放熱部材搭載パッド111、112とを接続するビア導体は熱伝導路を構成し、所謂サーマルビアとして機能する。従って、ビア導体31〜34は、好ましくは銅のような熱伝導率の高い材料で形成される。また、各絶縁層において、好ましくは、各電子部品搭載パッドおよび各放熱部材搭載パッドと平面視で重なる領域には、ビア導体31〜34がそれぞれ複数個形成される。
【0023】
図1の例では、ビア導体31〜34は、全て、
図1に示されるリジッド基板10の厚さ方向に沿った断面において第2導体層12に向って縮径するテーパー形状を有している。換言すると、ビア導体31〜34それぞれにおける水平断面(各ビア導体の軸方向と直交する断面)は、第1導体層11側に向かうほど大きくなる。第2導体層12側から伝導する熱が、各ビア導体を通る間に各ビア導体の軸方向と直交する方向に広く拡散し、より大きな面積で、第1導体層11側の各導体層に伝わると考えられる。いっそう良好な放熱性が得られると考えられる。なお、便宜上、「縮径」という文言が用いられているが、ビア導体31〜34の開口形状は、必ずしも円形に限定されない。「縮径」は、水平断面における各ビア導体の外周上の最長の2点間の距離が小さくなることを意味している。
【0024】
第1〜第4の絶縁層21〜24は、たとえば樹脂からなる任意の絶縁性材料により形成される。好ましくは、第1〜第4の絶縁層21〜24は、プリプレグのようにガラス繊維などの補強材を含む、または、含まないエポキシ樹脂により形成される。ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)、フェノール樹脂などが、第1〜第4の絶縁層21〜24の材料として用いられてもよい。各絶縁層を形成する樹脂は、シリカなどの無機フィラーを含んでいてもよい。第1〜第4の絶縁層21〜24それぞれの厚さは、たとえば、10μm以上、100μm以下であり、好ましくは30μmである。
【0025】
なお、リジッド基板10は、
図1の例と同じ層数の導体層および絶縁層を必ずしも含んでいなくてもよい。たとえば、第1導体層11と第2導体層12との間には、絶縁層が少なくとも1つ設けられていればよく、従って、この少なくとも1つの絶縁層を貫通するビア導体だけが設けられていてもよい。この場合、内層の導体層は設けられなくてもよい。また、リジッド基板10は、
図1の例のように、第1および第2の導体層11、12と内層の導体層とを含む少なくとも3つの導体層、ならびに、その少なくとも3つの導体層それぞれの間に介在する少なくとも2つの絶縁層を含む多層基板であってもよい。より複雑な電気回路が、リジッド基板10の内部に構成され得る。
【0026】
図1の例では、リジッド基板10は、さらに、第1面10Fに第1ソルダーレジスト層41を備え、第2面10Sに第2ソルダーレジスト層42を備えている。第1および第2のソルダーレジスト層41、42は、それぞれ、放熱部材搭載パッド111、112、接合パッド113、および、電子部品搭載パッド121〜124などが内部に露出する開口部を備えている。また、放熱部材搭載パッド111、112は、第1ソルダーレジスト層41に設けられているソルダーレジストパターン411によって、放熱部材Cが接続される領域とその他の領域とを分離されている。同様に、電子部品搭載パッド121、122は、ソルダーレジストパターン421によって、電子部品Lが接続される領域とその他の領域とを分離されている。第1および第2のソルダーレジスト層41、42は、感光性のエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などによって形成され得る。なお、リジッド基板10は、各ソルダーレジスト層を含んでいなくてもよい。また、図示されていないが、各放熱部材搭載パッドおよび各電子部品搭載パッドなどの露出面には、Ni/Pd/Au、Ni/Au、または、はんだもしくはOSPなどによって表面保護膜が形成されていてもよい。
【0027】
フレキシブル基板50のベース層51は、任意の可撓性絶縁材料で形成される。たとえば、ベース層51は、10〜50μm程度の厚さのポリイミドフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルムからなる。ベース層51は、リジッド基板50と、たとえば外部の図示されないプリント配線板などとを接続する。ベース層51は、リジッドフレキシブル配線板1aの用途に応じて所望の平面形状に形成されている。
【0028】
フレキシブル基板50の少なくとも2つの導体ピン52は、ベース層51を貫通し、両端面をベース層51の表面に露出している。導体ピン52は、前述のように、たとえば抵抗溶接でリジッド基板10の第1導体層11に溶着される。従って、導体ピン52は、好ましくは、第1導体層11と同じ材料で形成され、たとえば銅が導体ピン52の材料として用いられる。また、導体ピン52の材料としては、導電性を有し、かつ、通電によって溶着箇所において十分なジュール熱が生じるように適度な抵抗率を有する材料が好ましい。この点からは、ニッケルやスズおよび金などが例示される。しかし、導体ピン52の材料は特にこれらに限定されない。導体ピン52は、たとえば、銅板などの金属板から金型加工によって打ち抜かれることによって、または、金属線を切断することなどによって形成され、ベース層51に設けられた貫通孔に嵌入されている。リジッド基板10とフレキシブル基板50との接続箇所の数に応じて、2つ以上の任意の数の導体ピン52が設けられ得る。
【0029】
図示されていないが、フレキシブル基板50は、ベース層51の表面上に、所望の配線パターンを備える配線層を有し得る。図示されない配線層と導体ピン52とは、たとえば、配線層の形成時に接続され得る。従って、前述のように導体ピン52と第1導体層11とが溶着されることによって、フレキシブル基板50の図示されない配線層と、リジッド基板10内の配線層とが電気的に接続され得る。
【0030】
図2Aおよび
図2Bには、リジッド基板10の第1導体層11とフレキシブル基板50の少なくとも2つの導体ピン52との接合部(
図1において一点鎖線IIで囲まれた部分)の他の例が、それぞれ拡大して示されている。
図2Aの例では、第1導体層11における、フレキシブル基板50の導体ピン52との接合部に、フレキシブル基板50側に突出する、柱状もしく錐台状の突起(ポスト)114が設けられている。突起114によって、第1導体層11と導体ピン52との溶着時の両者の界面における通電経路の断面が縮小される。そのため、溶接電流は、断面の小さい経路に集中して流れることとなり、大きな温度上昇を得ることができる。その結果、溶接部分の材料を十分に溶融させて強固に溶着することができると考えられる。第1導体層11には、このように溶接部における溶接電流の通電経路の断面を縮小する突起が設けられてもよい。
図2Aの例では、第1導体層11と導体ピン52のとの溶着部分に、抵抗溶接によって生じた溶融凝固部15が形成されている。なお、溶融凝固部15は、リジッド基板10とフレキシブル基板50との接合部に突起が設けられていない
図1のリジッドフレキシブル配線板1aにおいても形成され得る。
【0031】
第1導体層11と導体ピン52との接合部において溶接電流の通電経路の断面を縮小するための突起は、
図2Bの例のように、導体ピン52側に設けられていてもよい。
図2Bの例では、フレキシブル基板50の少なくとも2つの導体ピン52におけるリジッド基板10側の端面に、リジッド基板10側に突出する突起524が設けられている。このように溶接電流の通電経路を縮小する突起は、フレキシブル基板50側の導体ピン52に設けられてもよく、その場合も、前述の温度上昇増大効果が得られると考えられる。
【0032】
図3には、第1実施形態のリジッドフレキシブル配線板の他の例であるリジッドフレキシブル配線板1bが示されている。
図3に示されるように、リジッドフレキシブル配線板1bでは、第1導体層11は、
図1のリジッドフレキシブル配線板1aと異なり、金属箔のみからなる単層構造を有している。また、第2導体層12は、
図1のリジッドフレキシブル配線板1aと異なり、金属箔層12aおよびめっき膜層12bを含む2層構造を有している。
【0033】
また、リジッドフレキシブル配線板1bでは、ビア導体31〜34は、
図1のリジッドフレキシブル配線板1aと異なり、第1導体層11に向って縮径するテーパー形状を有している。従って、電子部品Lの発熱によって温度が上昇し得る第2導体層12側における各ビア導体と各導体層との接触面積は、第1導体層11側よりも大きい。そのため、第2導体層12側の各導体層と各ビア導体との界面が高温に晒されても剥離などが生じ難いと考えられる。
【0034】
第1および第2の導体層11、12の層構成、ならびに各ビア導体31〜34におけるテーパー方向の違いを除いて、
図3に示されるリジッドフレキシブル配線板1bは、
図1のリジッドフレキシブル配線板1aと同様の構造を有している。
図1のリジッドフレキシブル配線板1aと同様の構成については、
図3に同じ符号が付され、その更なる説明は省略される。なお、後述のように、
図1に示されるリジッドフレキシブル配線板1aおよび
図3に示されるリジッドフレキシブル配線板1bは、部分的に異なる製造方法によって、それぞれ製造され得る。
【0035】
つぎに、
図1のリジッドフレキシブル配線板1aを例に、第1実施形態のリジッドフレキシブル配線板の製造方法が説明される。まず、リジッド基板10の製造方法が、
図4A〜4Gを参照して以下に説明される。
【0036】
リジッド基板10は、少なくとも2つの導体層を絶縁層を介して積層することによって形成される。まず、
図4Aに示されるように、支持板90が用意される。
図4Aの例では、支持板90は、ベース板92およびベース板92の表裏両面に設けられた、たとえば銅などからなるベース金属箔91によって構成されている。少なくとも2つの導体層はこの支持板90上で積層される。
図4Aに示されるように、金属箔12cがベース金属箔91上に積層され、たとえば、熱可塑性接着剤などの分離可能な接着剤で接着される。金属箔12cとベース金属箔91とは、外周付近の余白部分だけで接着されてもよい。また、銅などからなるキャリア金属箔を一面に備えた金属箔12cがキャリア金属箔側をベース板92に向けてベース板92の表面に熱圧着されてもよい。金属箔12cは、リジッド基板10の完成時に第2導体層12(
図1参照)を構成する。従って、好ましくは、3μm以上、35μm以下の厚さの銅箔やニッケル箔などの任意の金属製の箔状部材が、金属箔12cとして用いられる。
【0037】
図4Aの例では、支持板90の表裏両面に金属箔12cが積層されているが、金属箔12cは、必ずしも支持板90の両面に積層されなくてもよい。
図4B〜4Eおよび以下の説明では、各図面上、支持板90の上側で形成されるリジッド基板に関する符号や説明は適宜省略される。また、
図4B〜4Eが参照される以下の説明では、上下方向に関して、支持板90側が「下(側)」と称され、支持板90と反対側が「上(側)」と称される。
【0038】
図1に示されるリジッド基板10が形成される場合は、4組の絶縁層および導体層が、金属箔12c上にさらに積層される。まず、
図4Bに示されるように、金属箔12c上に、第4絶縁層24となる絶縁材、および、内層の導体層13c(
図1参照)の一部を構成する金属箔13c1が積層される。そして、熱圧着などによって絶縁材と金属箔12cおよび金属箔13c1とが接合されると共に、第4絶縁層24が形成される。第4絶縁層24となる絶縁材は、たとえば、フィルム状に成型されたエポキシ樹脂またはプリプレグである。金属箔13c1は、銅箔やニッケル箔などの任意の金属箔である。なお、金属箔13c1は必ずしも積層されなくてもよい。
【0039】
図4Cに示されるように、アディティブ法やサブトラクティブ法によって、所定の導体パターンを備える内層の導体層13c、および、第4絶縁層24を貫通し、内層の導体層13cと金属箔12cとを接続するビア導体34が形成される。すなわち、レーザー光の照射などによるビア導体34用の貫通孔の形成、無電解めっきなどによる電流供給層の形成、この電流供給層を用いた電解めっきによるめっき膜の形成、さらには、エッチングによるめっき膜などの部分的な除去などが行われる。なお、内層の導体層13cは、前述の金属箔13c1などを含む多層構造を有し得るが、
図4Cでは、省略して1層で示されている。
【0040】
図4Dに示されるように、第4絶縁層24、内層の導体層13cおよびビア導体34の形成方法と同様の方法によって、第3および第2の絶縁層23、22、内層の導体層13b、13a、ならびに第3および第2の絶縁層23、22を貫通するビア導体33、32が形成される。さらに、
図4Bに示される方法と同様の方法で、第1絶縁層21が形成されると共に、第1導体層11(
図1参照)の金属箔層11aとなる金属箔が積層される。そして、第1絶縁層21を貫通するビア導体31と共に、めっき膜層11bが電解めっきによって形成され、金属箔層11aおよびめっき膜層11bを含む第1導体層11が形成される。
【0041】
図4Eに示されるように、支持板90が除去される。支持板90は、ベース金属箔91と第2導体層12を構成する金属箔12cとを分離することによって、製造工程中のリジッド基板から除去される。たとえば、金属箔12cとベース金属箔91とを接着している熱可塑性接着剤を加熱することによって、金属箔12cとベース金属箔91とが引き離される。金属箔12cとベース金属箔91とが外周部分だけで接着されている場合は、その接着部分よりも内周側で金属箔12cおよびベース金属箔91それぞれが切断されてもよい。その結果、第1面10Fおよび第1面10Fの反対側である第2面10Sを有するリジッド基板10が形成される。リジッド基板10は、第1面10F上の第1導体層11を含む少なくとも2つの導体層(
図4Eの例では、第1および第2の導体層11、12ならびに内層の導体層13a〜13c)を有している。
【0042】
リジッド基板10の形成では、少なくとも2つの導体層(第1および第2の導体層11、12ならびに内層の導体層13a〜13c)のうちの1つとして他の導体層よりも厚い、厚い導体層1Xが形成される。
図4Eの例では、第1導体層11が、他の第2導体層12および内層の各導体層13a〜13cよりも厚いめっき膜(めっき膜層11bを構成するめっき膜)の形成によって厚い導体層1Xとして形成されている。なお、他の導体層よりも厚い金属箔の積層によって金属箔層11aが形成され、その結果、厚い導体層1X(第1導体層11)が形成されもよい。
【0043】
図1に示されるリジッド基板10と異なり、4層以外の層数の絶縁層を有するリジッド基板が形成される場合は、各絶縁層、内層の各導体層および各ビア導体の形成が適宜省略されるか、さらに繰り返される。
【0044】
つぎに、
図4Fに示されるように、第1導体層11および第2導体層12が、所望の導体パターンを備えるようにパターニングされる。たとえば、所望の導体パターンの形成領域を覆うエッチングマスク(図示せず)が第1および第2の導体層11、12それぞれの上に設けられ、エッチングマスクに覆われずに露出している部分がエッチングによって除去される。
図1のリジッド基板10が形成される場合は、第1導体層11をパターニングすることによって放熱部材搭載パッド111、112および接合パッド113が形成される。また、第2導体層12をパターニングすることによって電子部品搭載パッド121〜124が形成される。
【0045】
図1に示されるリジッド基板10が製造される場合は、
図4Gに示されるように、第1ソルダーレジスト層41および第2ソルダーレジスト層42が形成される。たとえば、感光性のエポキシ樹脂などが第1面10Fおよび第2面10Sのほぼ全面に印刷や吹き付けなどにより塗布される。そして、フォトリソグラフィ技術を用いて開口部412、422が形成される。以上の工程を経ることによって、
図1に示されるリジッド基板10が完成する。
【0046】
なお、前述の
図2Aに示される突起114が第1導体層11に形成される場合は、たとえば、前述の
図4Dに示される第1導体層11の形成の後に、
図5に示されるように、めっきレジスト931が第1導体層11の表面上に設けられる。めっきレジスト931には、フレキシブル基板50(
図1参照)との溶接部に対応する部分に、露光及び現像などによって開口部93aが形成される。そして、たとえば第1導体層11を電流供給層とする電解めっき、または無電解めっきによって開口部93a内にめっき膜が形成される。その結果、第1導体層11におけるフレキシブル基板50の少なくとも2つの導体ピン52(
図1参照)との溶接部に、第1面10F上に突出する突起114(
図2A参照)が形成される。なお、突起114は、スパッタリングや真空蒸着によって形成されてもよい。また、第1導体層11の表面を、突起114となる部分をマスキングした状態でエッチングにより除去することによって、突起114が形成されてもよい。突起114は、第1導体層11の形成後、任意の工程で形成され得る。
【0047】
つぎに、フレキシブル基板50の製造方法が
図6A〜6Cを参照して説明される。まず、
図6Aに示されるように、フレキシブル基板50のベース層51が用意される。たとえば、ポリイミドやポリエチレンテレフタレートなどの任意の絶縁性材料により形成されていて可撓性を有するフィルム状の部材が、ベース層51として用意される。
図6Aに示されるように、ベース層51の所定の位置に貫通孔52aが形成される。貫通孔52aは、少なくとも2つの導体ピン52(
図1参照)が配置される位置に、導体ピン52の断面の形状および大きさに応じた形状および大きさで形成される。従って、貫通孔52aは、少なくとも2箇所に形成される。貫通孔52aは、たとえば、
図6Aに示されるように、貫通孔52aの形成位置に雄型(パンチ)を有する金型941を用いたプレス加工の他、ドリル加工、レーザー光の照射またはエッチングなどの任意の方法で形成される。
【0048】
つぎに、貫通孔52aを導電体で埋めることによって貫通孔52a内に導体ピン52が設けられる。たとえば、
図6Bに示されるように、ベース層51に、金属などの導電性材料からなる板材521が積層される。板材521は、たとえば、ニッケルや銅などからなる。ベース層51の厚さとほぼ同じ、または、ベース層51よりも少し厚いもしくは少し薄い程度の厚さの板材521が、ベース層51に積層される。そして、板材521が、貫通孔52aに対応する位置に貫通孔52aの開口に応じた雄型を有する金型942を用いてベース層51と反対側からプレスされる。その結果、板材521において雄型に押された部分がピン状に打ち抜かれ、それにより導体ピン52が形成されると共に、導体ピン52が貫通孔52a内に挿入される。金型942として、
図6Aに示されるベース層51への貫通孔52aの加工用の金型941が共用されてもよい。また、導体ピン52は、好ましくは、締り嵌めによって貫通孔52a内に固定される。従って、導体ピン52は、好ましくは、貫通孔52aの開口よりもやや大きな断面(貫通孔52aの軸方向と直交する断面)を有するように板材521から打ち抜かれ、貫通孔52aを少し押し広げながら貫通孔52a内に嵌入される。
【0049】
その結果、
図6Cに示されるように、可撓性絶縁部材からなるベース層51およびベース層51を貫通する少なくとも2つの導体ピン52を有するフレキシブル基板50が用意される。なお、
図6Cには、導体ピン52の両端面とベース層51の両表面とが面一であるように描かれているが、導体ピン52の一方または両方の端面が、ベース層51の両面から突出していてもよく、または凹んでいてもよい。フレキシブル基板50には、さらに、その表裏両面または一方の面へのめっき膜(図示せず)の形成、およびエッチングなどによるパターニングによって、所望の導体パターンを有する配線層(図示せず)が形成されてもよい。
【0050】
なお、前述の
図2Bに示される突起524が導体ピン52に形成される場合は、たとえば、
図7に示されるように、めっきレジスト932がベース層51の表面上に設けられる。めっきレジスト932は、ベース層51における、フレキシブル基板50とリジッド基板10(
図1参照)との接合時にリジッド基板10側に向けられる表面上に設けられる。めっきレジスト932には、各導体ピン52の端面上に、露光及び現像などによって開口部93aが形成される。そして、導体ピン52への通電による電解めっき、または無電解めっきによって、開口部93a内に露出する導体ピン52の一方の端面52bに端面52bから突出する突起524(
図2B参照)が形成される。なお、突起524は、スパッタリングや真空蒸着によって形成されてもよい。また、突起524となる部分をマスキングした状態でエッチングを行うことによって、突起524が形成されてもよい。
【0051】
つぎに、フレキシブル基板50と、前述の
図4Gに示される工程を経て形成されたリジッド基板10とが接合される。具体的には、少なくとも2つの導体ピン52と第1導体層11とを溶接することによってフレキシブル基板50とリジッド基板10とが接合される。
図8に示されるように、導体ピン52それぞれの端面と、第1導体層11の接合パッド113とが接するように、フレキシブル基板50とリジッド基板10とが積層される。なお、少なくとも2つの導体ピン52として、3つ以上の導体ピンが設けられている場合は、そのうちの少なくとも2つが第1導体層11と接するように、フレキシブル基板50とリジッド基板10とが積層される。
【0052】
溶接電源Vに接続された正負一対の溶接電極95から、少なくとも2つの導体ピン52それぞれに電圧を印加することによって抵抗溶接が行われる。たとえば、
図8に示されるように、各導体ピン52における第1導体層11に接している端面と反対側の端面に電圧が印加される。溶接電流Iは導体ピン52と第1導体層11との接触部を通って流れる。その結果、その接触部において各導体ピン52と第1導体層11とが溶接される。たとえば、銅−タングステン系の溶接電極95が用いられ、溶接電極95の導体ピン52との接触部の直径が500μm以上、2000μm以下である場合、溶接電流Iは、1kA以上、3kA以下、加圧力は10N以上、50N以下、および溶接時間は、1mS以上、3mS以下である。
【0053】
図8に示されるように、溶接電流Iは、少なくとも2つの導体ピン52のうちの一方から他方へと第1導体層11を通って流される。すなわち、第1導体層11が、第1面10Fに沿う方向において溶接電流Iの通電経路として用いられている。第1導体層11は、前述のように、厚い導体層1Xとして形成されており、換言すると、厚い導体層1Xが抵抗溶接の通電経路として用いられている。このように、本実施形態のリジッドフレキシブル配線板の製造方法では、放熱性の向上に寄与すべく設けられる厚い導体層1Xを溶接電流の通電経路として用いてリジッド基板10とフレキシブル基板10とが接合される。溶接電流の通電経路における発熱や電流容量などに制限されることなく十分大きな溶接電流Iで、リジッド基板10とフレキシブル基板10とを接合することができる。両者の接続部における信頼性の高いリジッドフレキシブル配線板1aが得られると考えられる。以上の工程を経ることによって、
図1に示されるリジッドフレキシブル配線板1aが完成する。
【0054】
なお、前述の
図5に示される方法などを用いて第1導体層11に突起114(
図2A参照)が形成される場合は、フレキシブル基板50とリジッド基板10との接合において、突起114と、少なくとも2つの導体ピン52とが溶接される。また、前述の
図7に示される方法などを用いて導体ピン52に突起524(
図2B参照)が形成される場合は、フレキシブル基板50とリジッド基板10との接合において、突起524と第1導体層11とが溶接される。前述のように、溶接電流Iの通電経路の断面積が縮小されるため、効率良く温度を上昇させることができる。
【0055】
前述の
図3の例のリジッドフレキシブル配線板1bが製造される場合は、前述の
図4Aに示される工程で、第1導体層11を構成する金属箔11cがベース金属箔91上に積層される(
図9A参照)。金属箔11cは、前述のように、リジッド基板10(
図3参照)内の他の導体層よりも厚い第1導体層11を単独で構成する。従って、リジッド基板10に形成される他の導体層よりも厚い金属箔が、金属箔11cとして用いられる。
【0056】
その後、第1絶縁層21〜第4絶縁層24の順に各絶縁層が形成され、各絶縁層にビア導体31〜34が形成されると共に、内層の導体層13a〜13c、第2導体層12の順に各導体層が順次形成される。その結果、
図9Bに示されるように、リジッド基板10が形成される。第2導体層12は、金属箔層12a上にめっき膜層12bを形成することによって2層構造を有するように形成される。ビア導体31〜34は、第1導体層11に向って縮径するテーパー形状を有するように形成される。そして、前述の
図4E〜4G、6A〜6Cおよび
図8に示される工程を経ることによって、
図3に示されるリジッドフレキシブル配線板1bが完成する。
【0057】
図10には、第2実施形態のリジッドフレキシブル配線板の一例であるリジッドフレキシブル配線板2aが示されている。リジッドフレキシブル配線板2aと、第1実施形態のリジッドフレキシブル配線板1aとの相違点は、主に次の二点である。第1の相違点は、第2導体層12が厚い導体層1Xである点である。第2の相違点は、少なくとも2つの導体ピン52のそれぞれ同士が第1導体層11内では短絡されずに第2導体層12を介して電気的に接続されている点である。
【0058】
すなわち、リジッドフレキシブル配線板2aでは、第2導体層12が、リジッド基板10のうちの他の導体層(第1導体層11および内層の導体層13a〜13c)よりも厚く形成されている。また、第1導体層11には、少なくとも2つの導体ピン52とそれぞれ溶接される接合パッド113が設けられている。接合パッド113は、たとえば、少なくとも2つの導体ピン52の数に応じて複数個(
図10の例では2個)設けられる。複数の接合パッド113は、第1導体層11内において互いに短絡されずに形成されている。各接合パッド113はビア導体31〜34を介して厚い導体層1X(第2導体層12)に接続されている。そして、少なくとも2つの導体ピン52のそれぞれは、別個に、複数個設けられる接合パッド113に溶着されている。従って、少なくとも2つの導体ピン52のそれぞれ同士は、第1導体層11では短絡されずに、ビア導体31〜34および第2導体層12(厚い導体層1X)を介して電気的に接続されている。
【0059】
図10のリジッドフレキシブル配線板2aに関して、
図1のリジッドフレキシブル配線板1aとの間の前述の2つの主な相違点以外の同様の事項についての説明は省略される。後述の
図11、13および14においても、既に説明されたいずれかの実施形態と同様の構成要素については、各図面に同じ符号が付され、その詳細な説明は省略される。
【0060】
図10に示されるリジッドフレキシブル配線板2aのリジッド基板10は、前述の
図4A〜4Gを参照して説明された製造方法において、第1導体層11および内層の導体層13a〜13cよりも厚い金属箔12c(
図4A参照)を用いることによって形成され得る。また、
図4Dに示される工程で、第2導体層12(金属箔12c)よりも薄い第1導体層11が形成される。そして、
図4Fに示される工程において、適切なマスクパターンを有するエッチングマスクを用いることによって、フレキシブル基板50の少なくとも2つの導体ピン52との接合パッド113が第1導体層11に複数個形成される。複数の接合パッド113は、ビア導体31〜34を介して厚い導体層1X(第2導体層12)に電気的に接続されるように、たとえば、ビア導体31を覆うように形成される。
【0061】
図11には、第2実施形態のリジッドフレキシブル配線板の他の例であるリジッドフレキシブル配線板2bが示されている。リジッドフレキシブル配線板2bにおいても、第2導体層12が厚い導体層1Xとして形成され、導体ピン52同士は第2導体層12を介して電気的に接続されている。
図11の例のリジッドフレキシブル配線板2bと
図10に示されるリジッドフレキシブル配線板2aとの違いは、第1実施形態のリジッドフレキシブル配線板1b(
図3参照)とリジッドフレキシブル配線板1a(
図1参照)との違いと同様である。すなわち、リジッドフレキシブル配線板2bでは、第1導体層11は金属箔11cからなる単層構造を有し、第2導体層12は金属箔層12aおよびめっき膜層12bを含む2層構造を有し、ビア導体31〜34は第1導体層11に向って縮径している。リジッドフレキシブル配線板2bのリジッド基板10は、前述のリジッドフレキシブル配線板1bと同様に、支持板90(
図9A参照)上に、第1導体層11側から第2導体層12側に、順次、各導体層および各絶縁層ならびに各ビア導体を形成することによって形成され得る。その際に、第1導体層11は、第2導体層12よりも薄く形成され、第2導体層12は、リジッド基板10の他の導体層のいずれよりも厚く形成される。
【0062】
このように、実施形態のリジッドフレキシブル配線板では、フレキシブル基板50の導体ピン52と接続される第1導体層11が必ずしも厚い導体層1Xでなくてもよい。たとえば本実施形態のように、リジッド基板10においてフレキシブル基板50側と反対側の最表層の導体層(第2導体層12)が厚い導体層1Xであってもよい。電子部品搭載パッド121〜124に搭載される電子部品Lで発生する熱を厚い第2導体層12によって速やかに放散させることができる。
【0063】
第2実施形態のリジッドフレキシブル配線板2a、2bが製造される場合は、
図12に示されるように、リジッド基板10とフレキシブル基板50との接合時の溶接電流Iは、第2導体層12(厚い導体層1X)を通って流される(
図12にはリジッドフレキシブル配線板2bが例示されている)。すなわち、複数個形成される接合パッド113のそれぞれと、ビア導体31〜34と、厚い導体層1Xとが、溶接電流Iの通電経路として用いられる。大きな溶接電流Iで確実に第1導体層11と導体ピン52とを溶着することができると考えられる。
【0064】
図13には、第3実施形態のリジッドフレキシブル配線板の一例であるリジッドフレキシブル配線板3aが示されている。リジッドフレキシブル配線板3aでは、内層の導体層13bが厚い導体層1Xとして形成され、少なくとも2つの導体ピン52のそれぞれ同士が内層の導体層13bを介して電気的に接続されている。これらの点を除いて、リジッドフレキシブル配線板3aは、前述の
図11に示されるリジッドフレキシブル配線板2bと同様の構造を有している。フレキシブル配線板10の少なくとも2つの導体ピン52と厚い導体層1Xとは、
図11のリジッドフレキシブル配線板2bと同様に、ビア導体31〜34を介して電気的に接続されている。このように、厚い導体層1Xは、リジッド基板10の内層に形成されていてもよい。
【0065】
図13に示されるリジッドフレキシブル配線板3aは、前述のリジッドフレキシブル配線板1bの製造方法と同様の方法で形成され得る。その製造におけるリジッド基板10の形成では、第1導体層11を含む少なくとも3つの導体層(リジッドフレキシブル配線板3aでは5つの導体層)を絶縁層を介して積層することによって内層の導体層(リジッドフレキシブル配線板3aでは内層の導体層13a〜13c)が設けられる。内層の導体層のいずれか(リジッドフレキシブル配線板3aの例では内層の導体層13b)が、厚い導体層1Xとして、リジッド基板10の他の導体層のいずれよりも厚く形成される。すなわち、厚い導体層1Xがリジッド基板10の内層に形成される。
【0066】
図14には、第3実施形態のリジッドフレキシブル配線板の他の例であるリジッドフレキシブル配線板3bが示されている。リジッドフレキシブル配線板3bにおいても、内層の導体層13bが厚い導体層1Xとして形成され、導体ピン52同士は内層の導体層3bを介して電気的に接続されている。
図14の例のリジッドフレキシブル配線板3bでは、前述の
図10に例示されるリジッドフレキシブル配線板2aと同様に、第1導体層11は2層構造を有し、第2導体層12は単層構造を有し、ビア導体31〜34は第2導体層12に向って縮径している。
【0067】
また、リジッドフレキシブル配線板3bのリジッド基板10には、第1面10Fに開口部を有するキャビティ101が形成されている。キャビティ101内には厚い導体層1Xとして形成されている内層の導体層3bが露出しており、キャビティ101内に放熱部材搭載パッド131が設けられている。放熱部材搭載パッド131は、厚い導体層1Xにおけるキャビティ101内への露出部分によって構成されている。放熱部材搭載パッド131には、
図14に示されるように、放熱部材C1が搭載され得る。キャビティ101を設けることによって、放熱部材C1を含めたリジッドフレキシブル基板3bの厚さを薄くできることがある。また、厚い導体層1Xに放熱部材搭載パッド131を設けることによって、厚い導体層1X内を伝導する多くの熱が放熱部材C1から放散され得る。
【0068】
キャビティ101が形成される場合、リジッド基板10は、好ましくは、少なくとも3つの導体層それぞれの間に介在する少なくとも2つの絶縁層を含む多層基板である。そして、その少なくとも2つの絶縁層のうちの少なくとも1つにキャビティ101が設けられる。
図14の例では、キャビティ101は、第1絶縁層21および第2絶縁層22の一部が除去されることによって、第1および第2絶縁層21、22内に形成されている。キャビティ101は、任意の絶縁層および導体層がキャビティ101の底面に露出するように形成されてもよい。キャビティ101は、たとえば、少なくとも1層の絶縁層および少なくとも1層の内層の導体層がキャビティ101の底面とリジッド基板10の第2面10Sとの間に残存するように形成される。
【0069】
図14に示されるリジッドフレキシブル配線板3bは、前述のリジッドフレキシブル配線板1aの製造方法と同様の方法で形成され得る。その際のリジッド基板10の形成において、好ましくは、第1導体層11を含む少なくとも3つの導体層と少なくとも2つの絶縁層とが交互に積層される。リジッドフレキシブル配線板3bが製造される場合は、リジッド基板10に形成される各導体層のうち内層の導体層13bが、厚い導体層1Xとして他の導体層のいずれよりも厚く形成される。
【0070】
さらに、前述の
図4A〜4Gを参照して説明されたリジッド基板10の形成工程において、たとえば、第1絶縁層21の形成後の任意の工程で、リジッド基板10にキャビティ101が形成される。たとえば、リジッド基板10の第1面10F側からのドリル加工によって、リジッド基板10内の少なくとも2つの絶縁層のうちの少なくとも1つが部分的に除去される。その結果、第1面10Fに開口部を有するキャビティ101が形成される。
図14の例のリジッドフレキシブル配線板3bの製造においては、キャビティ101の形成領域における第1および第2の絶縁層21、22が除去される。キャビティ101は、内層の導体層13bをストッパとして用いる第1面10F側からのレーザー光の照射によって形成されてもよい。また、第1および第2の絶縁層21、22の形成において、キャビティ101に対応する領域が除去されたプリプレグまたは樹脂フィルムを積層することによってキャビティ101が形成されてもよい。キャビティ101は、これらに限定されず、任意の方法で形成され得る。
【0071】
第3実施形態のリジッドフレキシブル配線板3a、3bが製造される場合は、
図15に示されるように、内層の導体層13b(厚い導体層1X)が、リジッド基板10とフレキシブル基板50との接合時の溶接電流の通電経路として用いられる(
図15にはリジッドフレキシブル配線板3aが例示されている)。本実施形態においても、大きな溶接電流Iによって確実に第1導体層11と導体ピン52とを溶着することができる。
【0072】
第1〜第3の実施形態に示されるように、実施形態のリジッドフレキシブル配線板においては、リジッド基板10に形成される導体層のうちのいずれが厚い導体層1Xとして形成されてもよい。すなわち、リジッド基板10の第1および第2の面10F、10Sそれぞれに形成される外層の導体層のいずれか、または、任意の層数で形成される内層の導体層のうちのいずれかが、他の導体層よりも厚く形成される。その結果、リジッド基板10に厚い導体層1Xが備えられる。
【0073】
なお、第1および第2の実施形態においてリジッド基板10の第1面10F側または第2面10S側の最表層に形成される厚い導体層1Xは、前述の
図4Fに示されるパターニングにおいて、厚さ方向のエッチングの進行に伴って露出する側面からサイドエッチングされ得る。そのため、厚い導体層1Xに形成される放熱部材搭載パッド111、112または電子部品搭載パッド121、122がサイドエッチングされ、これら各搭載パッドの断面形状が台形状の形状になる場合がある。
【0074】
図示されていないが、実施形態の各リジッドフレキシブル配線板は、リジッド基板10の他に、フレキシブル基板50を挟んでリジッド基板10と対向して配置される、第2のリジッド基板を含んでいてもよい。その場合、第2のリジッド基板に設けられる少なくとも2つの電極用導体パッド(図示せず)と、フレキシブル基板50の少なくとも2つの導体ピン52とが電気的に接続されていてもよい。そして、少なくとも2つの電極用導体パッドへの電圧の印加によって、リジッド基板10、フレキシブル基板50、および図示されない第2のリジッド基板が、抵抗溶接によって溶着されていてもよい。
【0075】
なお、各実施形態のビア導体31〜34は、リジッド基板10の厚さ方向に沿った断面において、必ずしもテーパー形状を有していなくてもよい。また、内層の導体層13a〜13cはフルアディティブ法で形成されてもよい。実施形態のリジッドフレキシブル配線板の製造方法は、各図面を参照して説明された方法に限定されない。実施形態のリジッドフレキシブル配線板の製造方法には、前述の各工程以外に任意の工程が追加されてもよく、前述の説明で説明された工程のうちの一部が省略されてもよい。