【解決手段】実施形態のプリント配線板1は、第1面10Bおよび第1面10Bと反対側の第2面10Fを有する絶縁層と、絶縁層の第2面10F側に積層されている第2導体層21と、絶縁層の第1面10B側に積層されている、第2導体層21よりも厚い第1導体層11と、を含む。そして、第1導体層11が放熱フィン11fを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態のプリント配線板の断面図。
【
図2A】本発明の一実施形態のプリント配線板の一方の表面の一例を示す平面図。
【
図2B】本発明の一実施形態のプリント配線板の一方の表面の他の例を示す平面図。
【
図3】本発明の一実施形態のプリント配線板の放熱フィンの一例を示す拡大図。
【
図4A】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法の一例を示す図。
【
図4B】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法の一例を示す図。
【
図4C】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法の一例を示す図。
【
図4D】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法の一例を示す図。
【
図4E】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法の一例を示す図。
【
図4F】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法の一例を示す図。
【
図4G】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法の一例を示す図。
【
図4H】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法の一例を示す図。
【
図4I】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法の一例を示す図。
【
図5A】本発明の他の実施形態のプリント配線板の製造方法の一例を示す図。
【
図5B】本発明の他の実施形態のプリント配線板の製造方法の一例を示す図。
【
図5C】本発明の他の実施形態のプリント配線板の製造方法の一例を示す図。
【
図5D】本発明の他の実施形態のプリント配線板の製造方法の一例を示す図。
【
図5E】本発明の他の実施形態のプリント配線板の製造方法の一例を示す図。
【
図5F】本発明の他の実施形態のプリント配線板の製造方法の一例を示す図。
【
図5G】本発明の他の実施形態のプリント配線板の製造方法の一例を示す図。
【
図5H】本発明の他の実施形態のプリント配線板の製造方法の一例を示す図。
【
図6A】本発明の他の実施形態のプリント配線板の製造方法の他の例を示す図。
【
図6B】本発明の他の実施形態のプリント配線板の製造方法の他の例を示す図。
【
図6C】本発明の他の実施形態のプリント配線板の製造方法の他の例を示す図。
【
図6D】本発明の他の実施形態のプリント配線板の製造方法の他の例を示す図。
【
図6E】本発明の他の実施形態のプリント配線板の製造方法の他の例を示す図。
【
図6F】本発明の他の実施形態のプリント配線板の製造方法の他の例を示す図。
【
図6G】本発明の他の実施形態のプリント配線板の製造方法の他の例を示す図。
【
図6H】本発明の他の実施形態のプリント配線板の製造方法の他の例を示す図。
【
図6I】本発明の他の実施形態のプリント配線板の製造方法の他の例を示す図。
【
図7】本発明のさらに他の実施形態のプリント配線板の製造方法により製造されたプリント配線板の一例の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態のプリント配線板1が図面を参照しながら説明される。
図1、2Aおよび2Bには、一実施形態のプリント配線板1の一例の断面図および平面図がそれぞれ示されている。
図1は、
図2Aおよび
図2Bに線I−Iで示されている位置での断面図である。プリント配線板1は、第1絶縁層10と、第1絶縁層10の一面である第1面10Bおよび第1面10Bと反対側の第2面10Fにそれぞれ積層される第1導体層11および第2導体層21と、を有している。第1導体層11は、第2導体層21と比較して厚く形成されている。そして、厚い第1導体層11によって放熱フィン11fが形成されている。優れた放熱効果が得られると考えられる。
【0010】
第1導体層11は、放熱フィン11fに対するベース部分となるベース部11bと、ベース部11bの第1絶縁層10と反対側の面から、
図1上、下方に突出していて相互に隣接する複数のフィンから構成される放熱フィン11fと、を含んでいる。
図1に示されるように、一実施形態のプリント配線板1では、第1導体層11は、第1絶縁層10の第1面10B上に形成されている第1金属箔12と、第1金属箔12上に形成されて第1金属箔12と共にベース部11bを形成するめっき膜13と、放熱フィン11fを形成する導体層15と、から形成されている。第1金属箔12とめっき膜13とは、直接接合されている。めっき膜13と導体層15とは、直接接合されている。すなわち、第1絶縁層10の第1面10B側において、第1導体層11を構成する各層は、接着層などを介することなく、互いに接合している。本実施形態によれば、放熱フィンを基板に取り付けるための熱伝導率の低い接着層や接合材などは第1導体層11内に含まれない。したがって、本実施形態によれば、プリント配線板上に実装された電子、電気部品から発生する熱は、熱伝導率の低い接着層などを介することなく放熱フィンに伝導し、外部に放出される。高放熱性の配線板が得られると考えられる。
【0011】
さらに、めっき膜13と導体層15との形成には、熱伝導性に優れた同一の金属材料が用いられてもよい。ベース部11bと放熱フィン11fとが継ぎ目なく形成され得る。また、第1金属箔12が、めっき膜13および導体層15の材料と同じ材料で形成されていてもよい。
図1にはこの例が示されている。すなわち、
図1の例において、第1導体層を形成する金属箔、めっき膜および放熱フィンは全て同じ材料で形成されている。放熱フィンを含む第1導体層11がシームレスに形成され得る。放熱性に優れた配線板が得られると考えられる。
【0012】
本実施形態では、電子部品を実装する基板から放熱フィンまでが界面に接着剤や樹脂材料などの異種材料を介在させることなしに形成されている。このため、プリント配線板1の製造工程や使用中に応力が生じても、第1金属箔12とめっき膜13との界面や、めっき膜13と導体層15との界面に剥離や破断が生じ難いと考えられる。製造された基板に放熱フィンを取り付ける場合に生じ得る取り付けの不具合や放熱フィンの脱落などの問題は起こらない。また、それぞれの界面部分に生じる熱応力も少ないと考えられる。放熱フィンを備える信頼性の高いプリント配線板1が得られると考えられる。
【0013】
第1導体層11の第1金属箔12、めっき膜13および導体層15は、例えば、銅で形成され得る。しかし、第1金属箔12、めっき膜13および導体層15の材料は、銅に限定されず、ニッケルなどの他の金属であってもよい。第1金属箔12、めっき膜13および導体層15の材料は、熱伝導率が大きい金属材料であればよい。
【0014】
実施形態のプリント配線板1では、導体層15は、後述されるように、例えば電解めっきなどによりめっき膜13上に形成される。めっき膜13と導体層15とは継ぎ目なく形成され得る。第1金属箔12およびめっき膜13からなるベース部11bの厚さは、例えば、12μm以上であって、50μm以下である。
【0015】
導体層15の厚さは、放熱フィン11fの高さH、すなわち放熱フィン11fの第1面10B側への突出部分の長さであり、例えば、80μm以上であって、1000μm以下である。好ましくは、放熱フィン11fの高さHは、200μm以上であって、1000μm以下である。一実施形態において、放熱フィン11fは電解めっきによって形成される。放熱フィンの厚みや間隔、面積などを使用条件等にあわせて適切に設計および形成することが容易である。例えば、後述されるように、放熱フィン11fを構成する導体層15は、複数回の電解めっきにより段階的に形成され得る。さらに、放熱フィンの形成におけるファインピッチな加工も可能である。放熱フィン11fは、好ましくは、放熱フィン11fの各フィンの間のフィン間隔Sを小さくかつフィン高さHを大きく形成される。各フィンの表面積が大きくなり、放熱フィン11fの放熱面積が拡大される。放熱性能の高い放熱フィン11fが得られる。例えば、一実施形態の放熱フィン11fの、隣接する各フィン間の間隔Sに対する放熱フィン11fの高さHの比(トング比)は、0.4以上とすることができる。例えば、各フィン間の間隔Sは、100μm以上であって、500μm以下である。放熱フィン11fの各フィンの厚さDは、例えば200μm以上であって、500μm以下で形成される。各フィン間の間隔Sおよびフィンの厚さDは、放熱フィン11fの放熱量やフィン効率が最適となるよう選択され得る。
【0016】
導体層15により形成される放熱フィン11fは、各フィンが第1絶縁層10の第1面10B側の外方に突き出すように、例えば、ピン型やくし型などに形成されている。
図2Aおよび2Bにそれぞれ、ピン型フィンおよびくし型フィンの例が示されている。
図2Aには、各フィンの平面形状が円形であるピン型フィンが示されているが、フィンの平面形状はこれに限定されるものではなく、任意の形状が選択され得る。例えば、フィンの平面形状は、三角形でも、矩形もしくは菱形でも、六角形などのそれ以上の多角形でも、十字形でも、また、楕円形でも構わない。また、
図2Aでは、全てのフィンが格子状の規則的な形に配置されている例が示されている。しかし、ピン型フィンは、隣接する2つのパターンの列でそれぞれ1/2ピッチずれたいわゆる千鳥状に配列されてもよい。このような配列により、放熱フィンで乱流が発生して、放熱効果が高まる場合がある。
図2Aに示される例において、各フィンの厚さDは、ピン型フィンの径D1に相当し、フィンの径D1は、例えば200μm以上であって、500μm以下である。フィン間の間隔Sは、例えば100μm以上であって、500μm以下である。なお、便宜上「径」という用語が用いられているが、これは、フィンの外周に属する2点間の距離の内、最大の値を意味している。ピン型フィンとすることによって、フィンの表面積が大きくなり放熱フィンの放熱性能がより高まることがある。
【0017】
図2Bは、導体層15によって、
図2B上、左右方向に等間隔をおいて並列状に配置された複数のブレードフィンが形成されているくし型フィンの例である。
図2Bの例では、ストレート形状のブレードからなるくし型フィンが示されている。このようなフィンの場合、各フィンの厚さDは、ブレードフィンの厚さD2に相当し、ブレードフィンの厚さD2は、例えば、200μm以上、500μm以下である。ブレードフィン間の間隔Sは、例えば100μm以上であって、500μm以下である。ピン型フィンの代わりにくし型フィンの形状とすることで、放熱フィンに直線流路が形成されて高い放熱性能が得られることがある。また、フィンを波状にうねらせるウェービングフィンや、フィンを長手方向に分割して横方向にオフセットを付けて配列されるオフセットフィンが形成されていてもよい。放熱性能が向上する可能性がある。
【0018】
前述のように、放熱フィン11fを形成する導体層15は、例えば、電解めっきによって形成されるめっき膜である。したがって、実施形態の放熱フィンは、通常の配線板の回路形成プロセスを用いて製造され得る。また、薄肉かつ狭ピッチのブレードフィンや極細のピン型フィンなどの形成が容易であると考えられる。
【0019】
図3に、例えば80μm以上の高さHを有するフィンの例の断面図が拡大図で示されている。この例では、ピン型フィンを形成する導体層15が三回の電解めっきで形成されている。一度の電解めっきでは形成できない高さの高いフィンを形成することができる。
図3に示される例では、ピン型フィンの径が一回の電解めっき毎に小さくなるように、電解めっきが行われている。このため、ピン型フィンは、先端に向かうに従って段階的に先細りする形状を有している。すなわち、ピン型フィンのめっき膜13とは反対側の端面の径D3は、めっき膜13側の径D1より小さく形成されている。そして、ピン型フィンの一回の電解めっきによって形成されるそれぞれの部分は、めっき膜13に対して略垂直な側面を有している。このようにピン型フィンが複数回の電解めっきによって形成されても、それぞれのめっき層は、互いに直接接合されているため、例え放熱フィン11fにストレスが働いても、めっき層同士の接合部分にクラック等の不具合は発生し難いと考えられる。さらに、本実施形態では、より太い径を有するフィン上に細い径のフィンをめっきにて形成していくため、めっきを行うためのアライメントが容易であると考えられる。また、先細りする形状をピン型フィンが有することにより、フィンピッチの小さい放熱フィンにおいても、フィン先端付近におけるフィン間の空気の移動が容易となる可能性がある。
【0020】
実施形態のプリント配線板の放熱フィンは、
図3の例に限定されず、所望の回数の電解めっきを繰り返すことによって所望の高さのフィンに形成され得る。また、各フィンの側面は、
図3に示される例のように階段状に先細りする形状で形成される必要はなく、例えば、一定のテーパー角度をもつように形成されていてもよい。また、先細りの形状の代わりに、各フィンのめっき膜13と対向する端面の径D1とめっき膜13とは反対側の端面の径とが等しい形状を有するフィンが、複数回の電解めっきによって形成されてもよい。なお、このような複数回の電解めっきによって形成されるフィンは、ピン型フィンに限らず、ブレードフィンであってもよい。
【0021】
プリント配線板1は、前述のように、第1導体層11と第2導体層21との間の第1絶縁層10を含んでいる。この第1絶縁層10は、1層とは限らず、導体層を介して積層された複数層を有する絶縁層でもよい。すなわち、第1絶縁層10は、1または2以上の絶縁層と導体層とが交互に積層されている積層体を有する絶縁層でもよい。第1絶縁層10となる絶縁材は、例えば、フィルム状に形成されたエポキシ樹脂や、ガラス繊維などの補強材にエポキシ樹脂を含浸してなるプリプレグでもよい。第1絶縁層11の厚さは、例えば、10μm以上であって、100μm以下である。
【0022】
また、第1絶縁層10には、第1導体層11と第2導体層21とを接続する複数のビア導体が形成されている。複数のビア導体のうち、第1ビア導体31は、第1導体層11と第2導体層21との間を、高い熱伝導性を備えて熱的に接続する、所謂サーマルビアとして機能し得る。したがって、第1ビア導体31は、少なくとも熱に関して良好な伝導性を備えていることが好ましい。一方で、第1ビア導体31は第1導体層11と第2導体層21との間をそれぞれ電気的にも接続するので、電気的にも良好な伝導体であることが好ましい。
【0023】
図1に示されるように、第1絶縁層10の第2面10F側には、第2導体層21が設けられている。そして、第2導体層21には、部品実装用のランド部を含む任意の導体パターンが形成されている。ランド部と第1導体層11との間は、サーマルビアの機能を有する第1ビア導体31で接続されている。ランド部には、外部の電子部品E1が、はんだなどの接合材E2によりフリップチップ方式などで実装される。すなわち、プリント配線板1では、第2面10F側が部品実装面である。電子部品E1としては、例えば、半導体装置のような能動部品や、抵抗やインダクタなどの受動部品等が挙げられる。
【0024】
実施形態のプリント配線板1では、電子部品により発生した熱は、ランド部で外方に広がり表面からの輻射により放熱されるとともに、第1ビア導体31を介して効率的に第1導体層11へと伝導により放熱される。プリント配線板1は、第1導体層11として放熱性に優れた放熱フィン11fを第1絶縁層10の第1面10B側の外層に備えているため、第1ビア導体31を介して第1導体層11に伝導した熱は、放熱フィン11fから効率よく放熱される。したがって、プリント配線板1は、動作時に発熱を伴う電子部品、例えば、電力系半導体、電力系抵抗器、および、発光ダイオードなどがプリント配線板に実装される場合に特に適していると考えられる。例えば、プリント配線板1は発熱量の大きいLED実装用の向上した放熱性を有する基板として良好に使用され得る。このようなプリント配線板1では、部品実装用のランド部は、LEDなどの発光素子を実装するための発光素子搭載パッドである。
【0025】
サーマルビアとして機能する第1ビア導体31は、後述のように、銅などの熱伝導率の高い金属で形成され得る。第1絶縁層10の第2面10F側の部品実装用のランド部から第1ビア導体31を介して第1導体層11の放熱フィン11fに効率よく熱が伝導し得ると考えられる。例えば、第1ビア導体31は、銅のめっき膜により形成されている。
【0026】
第2導体層21は、前述のように、部品実装用のランド部以外に、所定の導体パターンを含み得る。第2導体層21は、例えば、金属箔およびめっき膜などにより形成されている。
図1の例では、第2導体層21は、金属箔22およびめっき膜23から形成されている。第2導体層21の導体パターンは、サブトラクティブ法やアディティブ法など任意の方法で形成され得る。第2導体層21の材料としては、銅やニッケルなどが例示される。しかし、第2導体層21の材料はこれらに限定されない。第2導体層21の厚さは、例えば、10μm以上であって、70μm以下である。
【0027】
図1の例では、プリント配線板1は、第2導体層22上に形成されているカバーレイ51をさらに含んでいる。カバーレイ51は、第2導体層22の部品実装用のランド部を露出させる開口を有している。カバーレイ51は、絶縁性を有する保護膜として機能し得る。カバーレイ51の材料としては、高い耐熱性をもつものが好ましい。また、可視光領域における反射率の高い、導体回路保護用カバーレイフィルムが好ましいことがある。また、カバーレイ51を形成することによって、プリント配線板1の耐マイグレーション特性も向上され得る。カバーレイ51を形成することにより、例えば1つまたはそれ以上の複数のLED等の発光素子を実装させたプリント配線板における導体回路の絶縁や保護が好適に行われると考えられる。
【0028】
実施形態のプリント配線板1では、放熱フィン11fが、第1絶縁層10および第1絶縁層10の第2面10F側の導体層と、一体物として形成されている。そして、第2導体層21の部品実装用のランド部と第1導体層11の放熱フィン11fは、互いを接続するビア導体と直接接合されている。したがって、熱伝導経路の単純化が可能になり、半導体装置の薄型化を促進することもできると考えられる。
【0029】
次に、
図1に示されるプリント配線板1を例に、一実施形態のプリント配線板の製造方法の一例が、
図4A〜4Iを参照して説明される。なお、
図4A〜4Iにおいて、各構成要素の厚さの正確な比率を示すことは意図されていない。
【0030】
図4Aに示されるように、第1面10Bおよび第1面10Bと反対側の第2面10Fを有する第1絶縁層10が用意される。第1絶縁層10の第1面10Bおよび第2面10Fの両方に、それぞれ、金属箔12、22が設けられている。第1絶縁層10を構成する絶縁部材としては、例えばエポキシ樹脂などの絶縁性の樹脂が用いられる。好ましくは、第1絶縁層10を構成する絶縁部材には、ガラス繊維などの補強材にエポキシ樹脂を含浸してなる、所謂プリプレグが用いられる。第1絶縁層10の材料は、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)、フェノール樹脂などであってもよい。また、第1絶縁層10の材料には、シリカ(SiO
2)などの無機フィラーが含まれていてもよい。第1絶縁層10としては、
図4Aに示されているような1層の絶縁層ではなく、第1絶縁層10の第2面10F側に1または2以上の導体層と絶縁層とが交互に積層されて形成される、複数層からなる絶縁層が用いられてもよい。この場合、複数層からなる絶縁層の第1絶縁層10上に金属箔12が設けられ、複数層からなる絶縁層の第1絶縁層10と反対側の表面を形成する絶縁層上に金属箔22が設けられ得る。
【0031】
金属箔12、22としては、例えば、3μm以上であって、12μm以下の厚さの銅箔が用いられる。しかしながら、金属箔12、22の材料は、これに限定されない。金属箔12、22は、例えば、他の金属からなる膜状体または箔状体であってもよい。
【0032】
第1絶縁層10を構成する絶縁部材がプリプレグなどである場合、第1絶縁層10と、金属箔12、22のそれぞれとが互いに向かって加圧され、さらに加熱される。その結果、プリプレグが本硬化すると共に、第1絶縁層10と金属箔12、22のそれぞれとが接合される。
【0033】
次に、
図4Bに示されるように、第1絶縁層10を貫通する導通用孔31aが形成される。導通用孔31aは、第1絶縁層10の第1ビア導体31(
図4C参照)の形成場所に、金属箔12側の表面からレーザー光を金属箔22が露出するまで照射することにより形成される。金属箔12側の表面からレーザー光が照射されると、金属箔12側が幅広で、金属箔22側で幅狭の導通用孔31aが形成される。レーザー光の種類としては、炭酸ガスレーザー、YAGレーザーなどが例示されるが、これらに限定されない。
【0034】
続いて、例えば銅の無電解めっきなどにより、導通用孔31a内に銅被膜(図示せず)が形成される。この被膜は、スパッタリングや真空蒸着などにより形成されてもよい。被膜の材料としては、銅が好ましいが、銅に限定されるものではない。例えば銅被膜の厚さは、0.05μm以上であって、1.0μm以下程度である。
【0035】
続いて、銅被膜をシード層とする電解めっきにより電解めっき膜が形成される。
図4Cに示されるように、導通用孔31a内に電解めっき膜が埋め込まれる。導通用孔31a内の銅被膜および電解めっき膜からなるめっき膜によって第1ビア導体31が形成される。また、第1ビア導体31の形成と共に、第1絶縁層10の第1面10B側の金属箔12上に銅被膜および電解めっき膜からなるめっき膜13が形成され、第2面10F側の金属箔22上に銅被膜および電解めっき膜からなるめっき膜23が形成される。金属箔12およびめっき膜13は、放熱フィンに対するベース部11b(
図1参照)を構成する。
【0036】
図4Dに示されるように、金属箔22およびめっき膜23がパターニングされて第2導体層21が形成される。例えば、エッチングレジスト膜(図示せず)がめっき膜23上に形成され、第2導体層21の導体パターンに応じて形成されているマスクを通して露光され、その後現像される。第2導体層21の導体パターンとなる金属箔22およびめっき膜23の部分がエッチングレジストに覆われている状態でエッチングが行われる。エッチングレジストから露出しているめっき膜23の部分、次いで金属箔22の部分が順に除去されることにより、所定の導体パターンを有する金属箔22およびめっき膜23からなる第2導体層21が形成される。第2導体層21には、部品実装用のランド部が形成されている。
【0037】
図4Eに示されるように、部品実装用のランド部上に開口を有するカバーレイ51が第2導体層21上に形成される。例えば、カバーレイフィルムにおいて部品を実装する箇所が窓抜き加工される。加工されたカバーレイフィルムが第2導体層21上に積層される。なお、窓抜き加工する方法としては、特に制限されるものではなく、ビク型を用いる方法や、レーザー加工する方法等が用いられ得る。カバーレイフィルムとしては、例えばポリイミド樹脂等の耐熱性の高い樹脂フィルムが使用され得る。樹脂フィルムは、例えば、接着剤により第2導体層21に貼り付けられる。
【0038】
続いて、めっき膜13上に放熱フィン11f(
図1参照)が形成される。
図4Fに示されるように、めっき膜13上に、放熱フィン形成用のめっきレジスト41が形成される。第1絶縁層10の第2面10F側、すなわちカバーレイ51上およびカバーレイ51から露出されている部品実装用のランド部を構成する第2導体層21上にも、めっきレジスト42は形成される。めっき膜13上のめっきレジスト41の厚さは、放熱フィン11fの高さH(
図1参照)と略同程度か、それより若干厚くされ得る。次いで、
図4Gに示されるように、めっき膜13上のめっきレジスト41に、例えばフォトリソグラフィ技術により、開口41aが、放熱フィン11fの形成位置に設けられる。開口41aの底面には、めっき膜13が露出されている。
【0039】
続いて、
図4Hに示されるように、めっき膜13をシード層とする電解めっきにより開口41a内に、放熱フィン11fとなる厚い導体層15が形成される。導体層15は、好ましくはめっき膜13と同じ材料で形成され、好ましくは銅で形成される。開口41a内への導体層15の形成は、電解めっき法ではなく、導電性ペーストの充填により行われてもよい。導電性ペーストとしては、銀、銅、金、ニッケルなどから選ばれる1または2以上の金属粒子を含む導電性ペーストが使用され得る。金属粒子としては、銅が好ましい。導電性ペーストの充填後、導電性ペーストは加熱され硬化される。すなわち、導電性ペーストの固化物で開口41a内が充填される。開口41a内に導体層15が形成される。
【0040】
導体層15は、めっきレジスト41の表面41Sよりも低い高さに形成されるか、または、表面41Sと略同じ高さに形成され得る。したがって、導体層15から形成される各フィンのめっき膜13と反対側の端面15Sは、めっきレジスト41の表面41Sより凹むか、略面一とされ得る。
【0041】
各フィンの端面15Sは、その後、研磨され得る。各フィンの高さHが略均一な放熱フィン11fが形成される。また、研磨は各フィンの高さHが所望の値となるまで行われてもよい。前述のように、好ましい放熱フィン11fの高さHは、例えば、200μm以上、1000μm以下である。
【0042】
導体層15の形成のための電解めっきは、放熱フィン11fの高さHや厚さDに応じた適切なめっき時間をかけて行われる。電解めっき工程は、めっき液の特性やめっき条件などに応じて複数回にわたって行われてもよい。その結果、前述のように、例えば
図3に示される段階的に先細りする形状を有するフィンが形成されてもよい。複数回のめっきにより、例えば、フィンの厚さDが200μm程度であって、高さHが600μm程度のフィンが形成され得る。より放熱性能の向上した放熱フィンが得られる可能性がある。
【0043】
その後、めっきレジスト41、42が除去される。
図4Iに示されるように、ベース部11bを金属箔12と共に構成するめっき膜13上に導体層15からなる放熱フィン11fが形成される。第1導体層11に放熱フィン11fを備えた
図1に示されるプリント配線板1が完成する。
【0044】
前述の説明では、
図1に示されるプリント配線板1を例に、厚い導体層15の形成による放熱フィン11fの形成工程が説明された。しかし、第1導体層11に設けられる放熱フィンは、
図1に示される構造に限定されない。例えば、本実施形態の配線板の製造方法において、めっき膜13上への放熱フィン11fとなる厚い導体層15の形成は必須ではない。例えば、厚い導体層15の形成の代わりに、
図1の例の導体層15の厚みより厚くめっき膜13が形成されて、このめっき膜13がエッチンングされることによって、放熱フィン11fが形成されてもよい。このような厚いめっき膜13を用いる一実施形態の配線板の製造方法の他の例が、
図5A〜5Hを参照して以下に説明される。なお、
図5A〜5Hにおいて、プリント配線板1と同じ構成要素には
図1の符号と同じ符号が付され、それら同様の構成要素の形成方法についての説明は適宜省略されている。
【0045】
まず、前述の
図4Aと同様に、第1面10B上に金属箔12を、第1面10Bと反対側の第2面10F上に金属箔22を有する第1絶縁層10が準備される。そして、
図4Bに示される工程と同様の工程を経ることにより、
図5Aに示されるように、第1絶縁層10を貫通する導通用孔31aが形成される。導通用孔31aは、
図4Bに示される例と同様に、金属箔12側が幅広で金属箔22側が幅狭である形状を有している。その後、導通用孔31a内に図示されない銅被膜が形成される。
【0046】
図5Bに示されるように、銅被膜をシード層とする電解めっきにより、第1絶縁層10の第1面10B側に厚いめっき膜130が形成される。すなわち、導通用孔31a内に電解めっき膜が埋め込まれて導通用孔31a内の銅被膜および電解めっき膜からなるめっき膜で形成される第1ビア導体31が形成される。また、第1ビア導体31の形成と共に、第1絶縁層10の第1面10B側の金属箔12上に銅被膜および厚い電解めっき膜からなる厚いめっき膜130が形成される。この例では、第1導体層11は、金属箔12と厚いめっき膜130とで構成される。本実施形態では、金属箔12の厚さおよびめっき膜130の厚さの合計が、ベース部11b(
図1参照)の厚さに放熱フィン11f(
図1参照)の高さを加えた大きさに略等しい。すなわち、めっき膜130は、放熱フィンの高さより厚い厚さで形成され得る。この例では、
図4Cの例と異なり、第1絶縁層10の第2面10F側にはめっき膜は形成されない。例えば、めっき膜130の形成中、第2面10Fを覆うめっきレジスト(図示せず)が形成される。
【0047】
図5Cに示されるように、
図4Dの工程と同様のパターニングが金属箔22に行われる。第2導体層210が形成される。
図4Dの例と同様に、第2導体層210には、部品実装用のランド部が設けられている。続いて、
図5Dに示されるように、
図4Eの工程と同様のカバーレイ51が、部品実装用のランド部を露出するように第2導体層210上に形成される。
【0048】
図5Eに示されるように、めっき膜130上に、レジスト層45が形成される。
図4Fの例と同様に、第1絶縁層10の第2面10F側、すなわちカバーレイ51上およびカバーレイ51から露出されている部品実装用のランド部を構成する第2導体層210上にも、レジスト層46が形成される。次いで、
図5Fに示されるように、放熱フィンを形成する部分がレジスト層45に覆われ、その他の部分がレジスト層45から露出するように、例えばフォトリソグラフィ技術により、レジスト層45に開口45aが設けられる。
【0049】
図5Gに示されるように、レジスト層45に覆われずに露出しているめっき膜130が所定の深さまで除去される。しかし、めっき膜130のレジスト層45に覆われている部分は、除去されない。このめっき膜130のレジスト層45に覆われていて除去されない部分により放熱フィン11fが形成される。めっき膜130の除去には、例えばエッチング、サンドブラストなどによる研削などによる方法が用いられる。本実施形態では、めっき膜130の一部が放熱フィン11fの高さHと略等しい深さまで除去される必要がある。したがって、除去にエッチングが使用される場合、例えば、エッチングのための薬液を強い勢いで噴出させて製造途中のプリント配線板のめっき膜130の所定の位置に吹きかけるなどの方法が用いられ得る。除去により、各フィンが高さHを有している放熱フィン11fと、金属箔12および金属箔12側のめっき膜130の一部から形成されるベース部11bとが形成される。この例においても、放熱フィン11fの各フィンの側面が金属箔12に対して略垂直でなくても、また、各フィンが先細りの形状を有していたり、段階的に細くなっていく径を有していたりしてもよい。
【0050】
続いて、レジスト層45、46が除去される。
図5Hに示されるように、金属箔12およびめっき膜130の一部からなるベース部11bと、めっき膜130の残りの部分からなる放熱フィン11fと、を含む第1導体層11を有するプリント配線板100が完成する。
【0051】
図5A〜5Hに示されるような厚いめっき膜130が形成される代わりに、第1面10B上に厚い金属箔が設けられた第1絶縁層10が用いられてもよい。このような一実施形態の配線板の製造方法のさらに他の例が、
図6A〜6Iを参照して以下に説明される。なお、
図6A〜6Iにおいて、プリント配線板1と同じ構成要素には
図1の符号と同じ符号が付され、それら同様の構成要素の形成方法についての説明は適宜省略されている。
【0052】
図6Aに示されるように、第1面10B上に厚い金属箔120が設けられ、第1面10Bと反対側の第2面10F上には
図4Aに示される例と同様の厚さであり、金属箔120と比べて薄い金属箔22が設けられている第1絶縁層10が用意される。
図6Aの例では、厚い金属箔120として、放熱フィンの高さH(
図6H参照)の厚さより厚い金属箔120が、第1絶縁層10に設けられている。厚い金属箔120としては、例えば銅箔が用いられる。金属箔120は他の材料から成る金属箔であってもよい。金属箔120、22と第1絶縁層10との接合は、
図4Aの例と同様に行われ得る。
【0053】
次に、
図6Bに示されるように、第1絶縁層10を貫通する導通用孔32aが形成される。
図4Bおよび
図5Aの例とは異なり、厚い金属箔120が第1面10B上に設けられているこの例では、導通用孔32aは、第1絶縁層10の第1ビア導体32(
図6C参照)の形成場所に、薄い金属箔である金属箔22側の表面からレーザー光を照射することにより形成される。したがって、導通用孔32aは、金属箔22側が幅広で、金属箔120側が幅狭である形状を有している。導通用孔32aの底面には、金属箔120が露出されている。
【0054】
導通用孔32a内に銅被膜(図示せず)が形成された後、
図4C〜4Eに示される工程と同様の工程が行われる。
図6Cに示されるように、導通用孔32a内の銅被膜および電解めっき膜からなるめっき膜で形成される第2ビア導体32が形成される。第2ビア導体32の形成と共に、金属箔120上に銅被膜および電解めっき膜からなるめっき膜13が形成され、金属箔22上に銅被膜および電解めっき膜からなるめっき膜23が形成される。すなわち、この例では、第1導体層11は、厚い金属箔120とめっき膜13とから構成される。次いで、金属箔22およびめっき膜23がパターニングされて、部品実装用のランド部を含む第2導体層21が形成される(
図6D参照)。さらに、第2導体層21上に、部品実装用のランド部上に開口を有するカバーレイ51が形成される(
図6E参照)。
【0055】
続いて、
図5E〜5Hに示される工程と同様の工程が行われて、第1導体層11に放熱フィンが形成される。まず、
図5Eに示される工程と同様の工程で、めっき膜13上にレジスト層45が形成され、カバーレイ51上およびカバーレイ51から露出されている第2導体層21上にレジスト層46が形成される(
図6F参照)。
図5Fに示される工程と同様の工程で、レジスト層45に開口45aが設けられる(
図6G参照)。次に、
図5Gに示される工程と同様に、エッチング等により、レジスト層45に覆われずに露出しているめっき膜13およびレジスト層45が積層されていない金属箔120の部分の一部が除去される(
図6H参照)。この例では、第1導体層11は、表面11Sから順に、めっき膜13および厚い金属箔120が積層されているため、放熱フィン11f形成箇所以外のめっき膜13は除去され、そして、その後厚い金属箔120が、表面11Sからのエッチングの深さがフィンの所望の高さHと略等しくなるまで、除去される。その後、
図5Hに示される例と同様に、レジスト層45、46が除去される。
図6Iに示されるように、めっき膜13および金属箔120の一部からなる放熱フィン11fと、第1絶縁層10側の金属箔120の一部からなるベース部11bと、を含む第1導体層11を有するプリント配線板101が完成する。
【0056】
実施形態のプリント配線板の製造方法は、
図4A〜4I、
図5A〜5Hおよび
図6A〜6Iを参照して説明された方法に限定されない。実施形態のプリント配線板の製造方法には、前述の各工程以外に任意の工程が追加されてもよく、前述の説明で説明された工程のうちの一部が省略されてもよい。例えば、
図4Cで示される、めっき膜13の形成工程の後に、放熱シートがめっき膜13上に積層される工程が追加されていてもよい。
図7にその例が示される。この例では、めっき膜13の形成後に、めっき膜13上に放熱シート61が積層され、その上に金属膜62が積層されて、加熱プレスされる。放熱シート61としては例えば、熱伝導性に優れたシリコーン系やアクリル系などの放熱シートが使用され得る。金属膜62としては例えば銅箔が用いられる。しかしながら、放熱シート61や金属膜62の材料は、これらに限定されない。金属膜62の形成後、
図4D〜4Iで示される工程と同様の工程が行われる。
図7で示されるような放熱シート61が、第1絶縁層10の第1面10B側に挟み込まれたプリント配線板200が形成され得る。