【解決手段】通信環境模擬試験装置10は、通信環境を模擬し被試験車載機1が接続される擬似通信路13と、路側機を模擬し所定の情報を含む情報信号を予め定められた時間間隔で擬似通信路13を介して被試験車載機1に出力する試験用路側機11と、情報信号を検出したことを条件にトリガ信号を出力するトリガ信号出力部15と、トリガ信号出力部15からトリガ信号を入力したことを条件に、情報信号が出力される期間とは異なる車車間通信可能期間に、車車間通信で用いられる少なくとも1つの車車間通信信号を擬似通信路13に出力する信号発生器16と、擬似通信路13を介して被試験車載機1の送信特性及び受信特性の少なくとも一方を試験する送受信特性確認部22と、を備える。
前記路側機模擬手段と前記通信環境模擬手段との間に設けられ、前記路側機模擬手段から前記トリガ信号出力手段に向かう前記情報信号を通過させ、前記通信環境模擬手段から前記トリガ信号出力手段に向かう前記車車間通信信号を遮断する方向性結合器(14)をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通信環境模擬試験装置。
前記車車間通信可能期間ごとに前記車車間通信信号出力手段から出力される前記車車間通信信号の信号レベル、信号数及び信号間隔の少なくとも1つが前記車車間通信可能期間ごとに互いに異なることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の通信環境模擬試験装置。
互いに隣接する前記情報信号の時間的な間隔は、互いに同一又は互いに異なることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の通信環境模擬試験装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、複雑な構成を有するので、被測定車載機を搭載した車両の周辺にある周辺車両を模擬して被測定装置の負荷試験を実施しようとすると、周辺車両を模擬するために煩雑な処理が必要であった。そのため、簡易な構成で周辺車両を模擬することができる試験装置が望まれていた。
【0007】
本発明は、前述のような事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で周辺車両を模擬して被測定車載機の負荷試験を実施することができる通信環境模擬試験装置及び通信環境模擬試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る通信環境模擬試験装置は、路車間通信及び車車間通信が行われる通信環境を模擬し、車両に搭載される被試験装置(1)を試験する通信環境模擬試験装置(10)であって、前記通信環境を模擬し前記被試験装置が接続される通信環境模擬手段(13)と、路側機を模擬し所定の情報を含む情報信号を予め定められた時間間隔で前記通信環境模擬手段を介して前記被試験装置に出力する路側機模擬手段(11)と、前記情報信号を検出したことを条件にトリガ信号を出力するトリガ信号出力手段(15)と、前記トリガ信号出力手段から前記トリガ信号を入力したことを条件に、前記情報信号が出力される期間とは異なる車車間通信可能期間に、前記車車間通信で用いられる少なくとも1つの車車間通信信号を前記通信環境模擬手段に出力する車車間通信信号出力手段(16)と、前記通信環境模擬手段を介して前記被試験装置の送信特性及び受信特性の少なくとも一方を試験する試験手段(22)と、を備えた構成を有している。
【0009】
この構成により、本発明の請求項1に係る通信環境模擬試験装置は、車車間通信信号出力手段は、トリガ信号を入力すると、車車間通信可能期間に車車間通信で用いられる車車間通信信号を通信環境模擬手段に出力し、試験手段は、通信環境模擬手段を介して被試験装置の送信特性及び受信特性の少なくとも一方を試験する。
【0010】
したがって、本発明の請求項1に係る通信環境模擬試験装置は、簡易な構成で周辺車両を模擬して被測定車載機の負荷試験を実施することができる。
【0011】
本発明の請求項2に係る通信環境模擬試験装置は、前記車車間通信信号出力手段として、前記車車間通信信号を発生する信号発生器を備えた構成を有している。
【0012】
この構成により、本発明の請求項2に係る通信環境模擬試験装置は、一般的な信号発生器により周辺車両を模擬して被測定車載機の負荷試験を実施することができる。
【0013】
本発明の請求項3に係る通信環境模擬試験装置は、前記路側機模擬手段と前記通信環境模擬手段との間に設けられ、前記路側機模擬手段から前記トリガ信号出力手段に向かう前記情報信号を通過させ、前記通信環境模擬手段から前記トリガ信号出力手段に向かう前記車車間通信信号を遮断する方向性結合器(14)をさらに備えた構成を有している。
【0014】
この構成により、本発明の請求項3に係る通信環境模擬試験装置は、情報信号を通過させて車車間通信信号を遮断する方向性結合器を備えるので、情報信号のみに基づいてトリガ信号を発生し、車車間通信信号を出力することができる。
【0015】
本発明の請求項4に係る通信環境模擬試験装置は、前記車車間通信可能期間ごとに前記車車間通信信号出力手段から出力される前記車車間通信信号の信号レベル、信号数及び信号間隔の少なくとも1つが前記車車間通信可能期間ごとに互いに異なる構成を有している。
【0016】
この構成により、本発明の請求項4に係る通信環境模擬試験装置は、一般的な信号発生器を用いて、過酷な通信環境を模擬した試験環境で被測定車載機の負荷試験を行うことができる。
【0017】
本発明の請求項5に係る通信環境模擬試験装置は、車両に搭載される車載機を模擬し前記被試験装置と前記車車間通信を行う車載機模擬手段(12)をさらに備え、前記車車間通信信号出力手段は、前記被試験装置と前記車載機模擬手段とが行う車車間通信の期間とは異なる期間に、前記車車間通信信号を前記通信環境模擬手段に出力するものである構成を有している。
【0018】
この構成により、本発明の請求項5に係る通信環境模擬試験装置は、一般的な信号発生器を用いて、より実環境を模した試験環境で被測定車載機の負荷試験を行うことができる。
【0019】
本発明の請求項6に係る通信環境模擬試験装置は、互いに隣接する前記情報信号の時間的な間隔は、互いに同一又は互いに異なる構成を有している。
【0020】
この構成により、本発明の請求項6に係る通信環境模擬試験装置は、一般的な信号発生器を用いて、より実環境を模した試験環境で被測定車載機の負荷試験を行うことができる。
【0021】
本発明の請求項7に係る通信環境模擬試験方法は、路車間通信及び車車間通信が行われる通信環境を模擬し、車両に搭載される被試験装置(1)を試験する通信環境模擬試験方法であって、前記通信環境を模擬し前記被試験装置が接続される通信環境模擬手段(13)を介して、所定の情報を含む情報信号を予め定められた時間間隔で前記被試験装置に出力する情報信号出力ステップ(S11)と、前記情報信号を検出したことを条件にトリガ信号を出力するトリガ信号出力ステップ(S13)と、前記トリガ信号出力ステップにおいて出力された前記トリガ信号を入力したことを条件に、前記情報信号が出力される期間とは異なる期間に、前記車車間通信で用いられる少なくとも1つの車車間通信信号を前記通信環境模擬手段に出力する車車間通信信号出力ステップ(S16)と、前記通信環境模擬手段を介して前記被試験装置の送信特性及び受信特性の少なくとも一方を試験する試験ステップ(S19)と、を含む構成を有している。
【0022】
この構成により、本発明の請求項7に係る通信環境模擬試験方法は、車車間通信信号出力ステップにおいて、トリガ信号を入力すると、車車間通信可能期間に車車間通信で用いられる車車間通信信号を通信環境模擬手段に出力し、試験ステップにおいて、通信環境模擬手段を介して被試験装置の送信特性及び受信特性の少なくとも一方を試験する。
【0023】
したがって、本発明の請求項7に係る通信環境模擬試験装置は、簡易な構成で周辺車両を模擬して被測定車載機の負荷試験を実施することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、簡易な構成で周辺車両を模擬して被測定車載機の負荷試験を実施することができるという効果を有する通信環境模擬試験装置及び通信環境模擬試験方法を提供することができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0027】
まず、本発明に係る一実施形態における構成について説明する。なお、本発明に係る通信環境模擬試験装置及び通信環境模擬試験方法を、ITS(Intelligent Transport System:高度道路交通システム)において使用される被試験装置を試験するものに適用した例を挙げて説明する。このITSでは、路側機からメッセージを含むパケット信号をブロードキャスト送信する路車間通信や、車両に搭載された車載機からメッセージを含むパケット信号をブロードキャスト送信する車車間通信が行われる。
【0028】
図1に示すように、本実施形態における通信環境模擬試験装置10は、試験用路側機11、試験用車載機12、擬似通信路13、方向性結合器14、トリガ信号出力部15、信号発生器16、制御PC(パーソナルコンピュータ)20を備えている。
【0029】
通信環境模擬試験装置10は、ITSにおける路車間通信及び車車間通信が行われる通信環境を模擬し、被試験装置としての被試験車載機1の模擬試験を実施するものである。また、通信環境模擬試験装置10は、例えば、「700MHz帯高度道路交通システム標準規格(ARIB STD-T109)」(以下、単に「ITS標準規格」という)に規定された通信制御を行うものである。
【0030】
なお、被試験車載機1、試験用路側機11及び試験用車載機12において、信号の出力及び入力は、それぞれ、実際の通信環境での送信及び受信に対応する。
【0031】
試験用路側機11は、ITSにおける路車間通信を行うため、ITS標準規格に準拠した路車間通信の情報を含む情報信号(路車間通信フレーム)を送信する路側機を模擬するものである。この試験用路側機11は、制御PC20の制御に従って、情報信号を生成し、方向性結合器14に出力するようになっている。なお、試験用路側機11は、路側機模擬手段の一例である。
【0032】
試験用車載機12は、試験の基準として定められた車載機であって、ITSに備えられた路側機と情報信号による路車間通信や、他の車載機と車車間通信信号(車車間通信フレーム)による車車間通信を実行することが可能な車載機である。模擬試験において、試験用車載機12は、被試験車載機1に対し、制御PC20の制御に従って、ITS標準規格に準拠したメッセージを入出力するようになっている。また、試験用車載機12は、試験用路側機11に対しては、路車間通信が行えるようになっている。なお、試験用車載機12は、車載機模擬手段の一例である。
【0033】
具体的には、試験用車載機12は、メッセージを出力する場合には、ITS標準規格に基づいて、所定のメッセージを生成して暗号化した後に、ベースバンド領域からRF領域にアップコンバートして擬似通信路13に出力するようになっている。一方、試験用車載機12は、メッセージを入力する場合には、擬似通信路13から入力したメッセージをRF領域からベースバンド領域にダウンコンバートした後に復号化するようになっている。
【0034】
なお、被試験車載機1の構成も試験用車載機12の構成と同様であり、試験用車載機12に対し、制御PC20の制御に従って、ITS標準規格に準拠したメッセージを入出力するようになっている。
【0035】
擬似通信路13は、路車間通信及び車車間通信が行われる通信エリアの通信環境を模擬する通信路であって、例えば、アッテネータや分配器等を備えている。この擬似通信路13は、通信環境模擬手段の一例である。
【0036】
方向性結合器14は、試験用路側機11と擬似通信路13との間に設けられ、試験用路側機11からの情報信号を擬似通信路13に通過させ、擬似通信路13からの車車間通信信号を試験用路側機11に通過させるようになっている。また、方向性結合器14は、試験用路側機11からトリガ信号出力部15に向かう情報信号を通過させ、擬似通信路13からトリガ信号出力部15に向かう車車間通信信号を遮断するようになっている。
【0037】
トリガ信号出力部15は、試験用路側機11からの情報信号を検出した場合には、検出した旨を示すトリガ信号を信号発生器16に出力するようになっている。本実施形態では、トリガ信号出力部15は、情報信号の立ち上がりを検出するものとする。なお、トリガ信号出力部15は、トリガ信号出力手段の一例である。
【0038】
信号発生器16は、市販されている一般的な汎用の信号発生器であり、外部トリガ信号を入力する外部トリガ入力端子を有している。この信号発生器16は、トリガ信号出力部15からトリガ信号を入力した場合に、情報信号が出力される期間とは異なる車車間通信可能期間に、車車間通信で用いられる少なくとも1つの予め定められた車車間通信信号を擬似通信路13に出力するようになっている。例えば、信号発生器16は、変調方式がOFDM(QPSK、16QAM等)の車車間通信信号を生成できるものである。なお、信号発生器16は、車車間通信信号出力手段の一例である。
【0039】
制御PC20は、制御部21、送受信特性確認部22を備えている。
【0040】
制御部21は、通信環境模擬試験装置10全体の動作を制御するようになっている。例えば、制御部21は、情報信号を生成させる制御信号を試験用路側機11に出力するようになっている。また、例えば、制御部21は、試験用車載機12と被試験車載機1に対し、ITS標準規格に準拠したメッセージを入出力させるようになっている。
【0041】
送受信特性確認部22は、試験用車載機12及び被試験車載機1が入出力したメッセージを取得するようになっている。また、送受信特性確認部22は、擬似通信路13を介して試験用車載機12と被試験車載機1との間でやり取りされるメッセージに基づいて、被試験車載機1の送信特性及び受信特性の少なくとも一方を試験するようになっている。この送受信特性確認部22は、試験手段の一例である。なお、図示を省略したが、送受信特性確認部22は、取得したメッセージを記憶するメモリや、送信特性及び受信特性の試験結果を表示するディスプレイを有している。
【0042】
具体的には、送受信特性確認部22は、例えば、試験用車載機12が出力したメッセージと、被試験車載機1が受信したメッセージとを比較し、両者が一致した場合には被試験車載機1の受信特性は正常であると判断する。
【0043】
一方、送受信特性確認部22は、例えば、被試験車載機1が出力したメッセージと、試験用車載機12が受信したメッセージとを比較し、両者が一致した場合には被試験車載機1の送信特性は正常であると判断する。
【0044】
次に、本実施形態における通信環境模擬試験装置10の特徴的な機能について
図2を用いて説明する。
図2は、路車間通信及び車車間通信で用いられる信号を擬似通信路13において模擬した一例を示すもので、ある時間的区間の信号波形を模式的に表している。
【0045】
図2において、試験用路側機11によって出力された情報信号31〜33が示されている。情報信号31〜33の各時間幅は、情報量に応じて変化し、模擬試験においては一定の時間幅としてもよいし、それぞれが互いに異なる時間幅としてもよい。
【0046】
情報信号31と32との時間間隔はT1、情報信号32と33との時間間隔はT2であり、本例ではT1>T2としている。なお、各情報信号の時間間隔を同一としてもよい。
【0047】
情報信号31と32との間及び情報信号32と33との間は、それぞれ、車車間通信が可能な車車間通信可能期間である。この2つの車車間通信可能期間には、複数の車車間通信信号を含む車車間通信信号群41及び42が含まれている。この車車間通信信号群41及び42は、試験前に車車間通信可能期間ごとに予め設定されたものであって、信号発生器16から出力される信号である。
【0048】
車車間通信信号群41及び42が含まれる各車車間通信信号は、信号レベル(電力)、信号数及び信号間隔の少なくとも1つが車車間通信可能期間ごとに互いに異なるよう生成されるのが好ましい。この構成により、通信環境模擬試験装置10は、より実環境を模した試験環境で被測定車載機の負荷試験を行うことができる。
【0049】
なお、信号発生器16から出力される車車間通信信号の本数は、実環境ではITS車載機を搭載した車両の台数に相当する。また、信号発生器16から出力される車車間通信信号の電力は、実環境ではITS車載機を搭載した車両の遠近に対応する。
【0050】
車車間通信信号群41及び42において、それぞれ、時間幅t1及びt2で示した期間は、試験用車載機12と被試験車載機1との間で車車間通信が行われる期間として車車間通信可能期間ごとに予め定められている。すなわち、信号発生器16は、試験用車載機12と被試験車載機1とが行う車車間通信の期間とは異なる期間に、車車間通信信号群41及び42を擬似通信路13に出力するものである。なお、試験用車載機12及び被試験車載機1を制御する制御PC20の制御部21は、時間幅t1及びt2の情報を車車間通信可能期間ごとに把握している。
【0051】
トリガ信号出力部15は、情報信号31が入力されると、その立ち上がり時刻に同期したトリガ信号51を生成し、信号発生器16に出力する。
【0052】
信号発生器16は、トリガ信号51を入力すると、トリガ信号51の立ち上がり時刻から予め定められた遅延時間D1だけ経過した時刻に、車車間通信信号群41に含まれる複数の車車間通信信号を順次、擬似通信路13に出力する。
【0053】
同様に、トリガ信号出力部15は、情報信号32が入力されるとトリガ信号52を、情報信号33が入力されるとトリガ信号53を順次、信号発生器16に出力する。
【0054】
信号発生器16は、トリガ信号52を入力すると、トリガ信号52の立ち上がり時刻から予め定められた遅延時間のD2だけ経過した時刻に、車車間通信信号群42に含まれる複数の車車間通信信号を順次、擬似通信路13に出力する。また、信号発生器16は、トリガ信号53を入力すると、トリガ信号53の立ち上がり時刻から予め定められた遅延時間D3だけ経過した時刻に、車車間通信信号群43に含まれる複数の車車間通信信号を順次、擬似通信路13に出力する。なお、遅延時間は、車車間通信可能期間ごとに、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0055】
以上のように、通信環境模擬試験装置10は、信号発生器16が、トリガ信号51〜53に基づいて、車車間通信信号群41〜43をそれぞれ発生するので、一般的な信号発生器16を用いて、過酷な通信環境を模擬した試験環境で被測定車載機の負荷試験を行うことができる。したがって、通信環境模擬試験装置10は、実環境を考慮した負荷試験を一般的な信号発生器16を用いるという簡易な構成で効率的に実施できる効果を有する。
【0056】
次に、本実施形態における通信環境模擬試験装置10の動作について
図3を用いて説明する。まず、通信環境模擬試験装置10が、被試験車載機1の受信特性を試験する動作について説明する。
【0057】
試験用路側機11は、制御PC20の制御部21の制御に従って、ITS標準規格に準拠した路車間通信の情報を含む情報信号を生成し、方向性結合器14に情報信号を出力する(ステップS11)。
【0058】
トリガ信号出力部15は、試験用路側機11から情報信号を検出したか否かを判断する(ステップS12)。
【0059】
ステップS12において、情報信号を検出したと判断されなかった場合には、ステップS12の処理を繰り返し、情報信号を検出したと判断された場合には、トリガ信号出力部15は、トリガ信号を信号発生器16に出力する(ステップS13)。
【0060】
信号発生器16は、トリガ信号出力部15からトリガ信号を入力したか否かを判断する(ステップS14)。
【0061】
ステップS14において、トリガ信号を入力したと判断されなかった場合には、ステップS14の処理を繰り返し、トリガ信号を入力したと判断された場合には、信号発生器16は、所定時間(例えば
図2に示した遅延時間D1)だけ待機する(ステップS15)。
【0062】
信号発生器16は、所定時間待機した後に、予め定められた車車間通信信号(例えば
図2に示した車車間通信信号群41)を擬似通信路13に出力する(ステップS16)。
【0063】
試験用車載機12は、制御PC20の制御部21の制御に従って、ITS標準規格に準拠した所定のメッセージを擬似通信路13に出力する(ステップS17)。なお、制御PC20の送受信特性確認部22は、試験用車載機12が出力したメッセージをメモリに記憶する。記憶されるメッセージは、試験用車載機12によって暗号化される前のベースバンド領域のメッセージである。
【0064】
被試験車載機1は、擬似通信路13を介して、試験用車載機12が出力したメッセージを入力する(ステップS18)。なお、制御PC20の送受信特性確認部22は、被試験車載機1が入力したメッセージをメモリに記憶する。記憶されるメッセージは、被試験車載機1によって復号化されたベースバンド領域のメッセージである。
【0065】
制御PC20の送受信特性確認部22は、試験用車載機12が出力したメッセージと、被試験車載機1が入力したメッセージとを比較することにより受信特性を確認する(ステップS19)。具体的には、送受信特性確認部22は、2つのメッセージが一致すれば被試験車載機1の受信特性は正常であると判断し、2つのメッセージが互いに異なれば被試験車載機1の受信特性は正常ではないと判断する。
【0066】
制御PC20の制御部21は、試験が終了したか否かを判断する(ステップS20)。例えば、制御部21は、予め定められた数の車車間通信信号群を信号発生器16が出力した場合には試験が終了したと判断する。
【0067】
ステップS20において、試験が終了したと判断されなかった場合には、ステップS11の処理に戻る。
【0068】
一方、ステップS20において、試験が終了したと判断された場合には、制御PC20の送受信特性確認部22は、被試験車載機1の受信特性の確認結果をディスプレイに表示する(ステップS21)。
【0069】
次に、通信環境模擬試験装置10が、被試験車載機1の送信特性を試験する動作について
図4を用いて説明する。この動作は、
図3に示したステップS17、S18、S19、S21が異なっているので、相違点についてのみ説明する。
【0070】
被試験車載機1は、制御PC20の制御部21の制御に従って、ITS標準規格に準拠した所定のメッセージを擬似通信路13に出力する(ステップS31)。なお、制御PC20の送受信特性確認部22は、被試験車載機1が出力したメッセージをメモリに記憶する。記憶されるメッセージは、被試験車載機1によって暗号化される前のベースバンド領域のメッセージである。
【0071】
試験用車載機12は、擬似通信路13を介して、被試験車載機1が出力したメッセージを入力する(ステップS32)。なお、制御PC20の送受信特性確認部22は、試験用車載機12が入力したメッセージをメモリに記憶する。記憶されるメッセージは、試験用車載機12によって復号化されたベースバンド領域のメッセージである。
【0072】
制御PC20の送受信特性確認部22は、被試験車載機1が出力したメッセージと、試験用車載機12が入力したメッセージとを比較することにより送信特性を確認する(ステップS33)。具体的には、送受信特性確認部22は、2つのメッセージが一致すれば被試験車載機1の送信特性は正常であると判断し、2つのメッセージが互いに異なれば被試験車載機1の送信特性は正常ではないと判断する。
【0073】
ステップS20において、試験が終了したと判断された場合には、制御PC20の送受信特性確認部22は、被試験車載機1の送信特性の確認結果をディスプレイに表示する(ステップS34)。
【0074】
以上のように、本実施形態における通信環境模擬試験装置10は、市販されている一般的な汎用の信号発生器16が、トリガ信号を入力すると、車車間通信可能期間に車車間通信で用いられる車車間通信信号を擬似通信路13に出力し、送受信特性確認部22は、擬似通信路13を介して被試験車載機1の送信特性及び受信特性の少なくとも一方を試験する構成を有する。
【0075】
したがって、本実施形態における通信環境模擬試験装置10は、一般的な信号発生器16を用いた簡易な構成で周辺車両を模擬して被測定車載機の負荷試験を実施することができる。
【0076】
また、従来の実環境を考慮したITS車載機の品質評価では、試験対象のITS車載機以外のITS車載機を搭載した多くの車両が必要となるが、ITS車載機の試験を目的にその都度多くの車両を準備し配置するとなれば、人、金、物、場所といった面で試験が困難となるという課題があった。
【0077】
前述のように、本実施形態における通信環境模擬試験装置10は、一般的な信号発生器16を用いた簡易な構成で周辺車両を模擬して被測定車載機の負荷試験を実施することができるので、ITS車載機を搭載した多くの車両を必要とせず、被測定車載機の負荷試験を実施することができる。