【解決手段】測定装置10は、DUT1から送信されたフレームを受信する受信部13bと、受信部13bによって受信されたフレームが有する受信MCSインデックスが、予め定められた比較用MCSインデックスと一致するか否かを判断するMCS判断部17aと、MCS判断部17aによって受信MCSインデックスと比較用MCSインデックスとが一致すると判断された場合には通知信号をDUTに送信し、一致しないと判断された場合には通知信号を送信しない送信部13aと、受信MCSインデックスと比較用MCSインデックスとが一致すると判断された当該フレームに含まれる被測定データを測定する測定部14と、を備える。
予め定められた変調方式及び符号化率を用いて生成されたフレームを所定の送信先に送信した後に、前記フレームが前記送信先に受信されたことを示す通知信号を受信しなかった場合に、前記変調方式及び前記符号化率の少なくとも一方を前記送信先への送達確率が高まるよう変更したフレームを再送する被測定装置(1)を測定する測定装置(10)であって、
前記被測定装置から送信された前記フレームを受信するフレーム受信手段(13b)と、
前記フレーム受信手段によって受信された前記フレームの前記変調方式及び前記符号化率の少なくとも一方が予め定められた条件を満たすか否かを判断する判断手段(17a)と、
前記判断手段によって前記条件を満たすと判断された場合には前記通知信号を前記被測定装置に送信し、前記条件を満たさないと判断された場合には前記通知信号を送信しない通知信号処理手段(13a)と、
前記判断手段によって前記条件を満たすと判断された当該フレームに含まれる被測定データを測定する測定手段(14)と、
を備えたことを特徴とする測定装置。
前記被測定装置が送信する前記フレームは、前記変調方式と前記符号化率とが関連付けられた変調符号化方式インデックスの情報を含み、前記被測定装置は、前記通知信号を受信しなかった場合に、前記変調符号化方式インデックスの値をより小さい値に変更したフレームを再送するものであって、
前記判断手段は、前記変調符号化方式インデックスの値が所定値と一致するか否かを判断するものであり、
前記通知信号処理手段は、前記判断手段によって前記変調符号化方式インデックスの値が前記所定値と一致すると判断された場合に前記通知信号を前記被測定装置に送信するものであり、
前記測定手段は、前記判断手段によって前記変調符号化方式インデックスの値が前記所定値と一致すると判断された当該フレームに含まれる被測定データを測定するものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
変調方式と符号化率とが関連付けられた変調符号化方式インデックスの値に基づいて生成されたフレームをフレーム要求信号に応じて所定の送信先に送信した後に、前記フレームが前記送信先に受信されたことを示す通知信号を受信しなかった場合に、前記送信先への送達確率が高まるよう前記変調符号化方式インデックスの値を変更したフレームを再送する被測定装置(2)を測定する測定装置(20)であって、
前記被測定装置から送信された前記フレームを受信するフレーム受信手段(13b)と、
前記フレーム受信手段によって受信された前記フレームの前記変調符号化方式インデックスと所定値とを比較する比較手段(21a)と、
前記比較手段によって前記変調符号化方式インデックスが所定値以下と判断された場合には前記通知信号を前記被測定装置に送信し、前記変調符号化方式インデックスが所定値以下と判断されなかった場合には前記通知信号を送信しない通知信号処理手段(21b)と、
前記比較手段によって前記変調符号化方式インデックスが所定値未満と判断された場合に前記フレーム要求信号を前記被測定装置に送信する要求信号送信手段(13c)と、
前記比較手段によって前記変調符号化方式インデックスの値が前記所定値と一致すると判断された場合に当該フレームに含まれる被測定データを測定する測定手段(14)と、
を備えたことを特徴とする測定装置。
前記フレーム受信手段は、前記フレームとして、IEEE802.11規格に準拠したフレームを受信するものであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の測定装置。
前記被測定装置が送信する前記フレームは、前記変調方式と前記符号化率とが関連付けられた変調符号化方式インデックスの情報を含み、前記被測定装置は、前記通知信号を受信しなかった場合に、前記変調符号化方式インデックスの値をより小さい値に変更したフレームを再送するものであって、
前記判断ステップにおいて、前記変調符号化方式インデックスの値が所定値と一致するか否かを判断し、前記変調符号化方式インデックスの値が前記所定値と一致すると判断された場合に前記通知信号を前記被測定装置に送信し、
前記測定ステップにおいて、前記判断ステップで前記変調符号化方式インデックスの値が前記所定値と一致すると判断された当該フレームに含まれる被測定データを測定する、
ことを特徴とする請求項6に記載の測定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、例えば、特許文献1に記載の端末装置を被測定装置として測定することを想定すると、IEEE802.11nの通信規格に基づいてMCSを設定することにより、ユーザが所望する任意の変調方式や符号化率で被測定装置にデータを生成させて送信させ、そのデータを解析すれば、任意の変調方式や符号化率で被測定装置の特性を測定することが可能となる。
【0008】
しかしながら、例えばIEEE802.11acの通信規格では、MCSに関する規格が変更されたため、任意の変調方式や符号化率で被測定装置の特性を測定することが困難となり、その対応が求められていた。
【0009】
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたものであり、任意の変調方式や符号化率で被測定装置の特性を測定することができる測定装置及び測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係る測定装置は、予め定められた変調方式及び符号化率を用いて生成されたフレームを所定の送信先に送信した後に、前記フレームが前記送信先に受信されたことを示す通知信号を受信しなかった場合に、前記変調方式及び前記符号化率の少なくとも一方を前記送信先への送達確率が高まるよう変更したフレームを再送する被測定装置(1)を測定する測定装置(10)であって、前記被測定装置から送信された前記フレームを受信するフレーム受信手段(13b)と、前記フレーム受信手段によって受信された前記フレームの前記変調方式及び前記符号化率の少なくとも一方が予め定められた条件を満たすか否かを判断する判断手段(17a)と、前記判断手段によって前記条件を満たすと判断された場合には前記通知信号を前記被測定装置に送信し、前記条件を満たさないと判断された場合には前記通知信号を送信しない通知信号処理手段(13a)と、前記判断手段によって前記条件を満たすと判断された当該フレームに含まれる被測定データを測定する測定手段(14)と、を備えた構成を有している。
【0011】
この構成により、本発明の請求項1に係る測定装置は、変調方式及び符号化率の少なくとも一方が予め定められた条件を満たすまで通知信号を被測定装置に送信しないので、被測定装置は、通知信号を受信するまで、変調方式及び符号化率の少なくとも一方を送達確率が高まるよう変更したフレームを再送することとなる。
【0012】
その結果、本発明の請求項1に係る測定装置は、変調方式及び符号化率の少なくとも一方が予め定められた条件を満した場合に、当該フレームを測定対象とすることができる。
【0013】
したがって、本発明の請求項1に係る測定装置は、任意の変調方式や符号化率で被測定装置の特性を測定することができる。
【0014】
本発明の請求項2に係る測定装置は、前記被測定装置が送信する前記フレームは、前記変調方式と前記符号化率とが関連付けられた変調符号化方式インデックスの情報を含み、前記被測定装置は、前記通知信号を受信しなかった場合に、前記変調符号化方式インデックスの値をより小さい値に変更したフレームを再送するものであって、前記判断手段は、前記変調符号化方式インデックスの値が所定値と一致するか否かを判断するものであり、前記通知信号処理手段は、前記判断手段によって前記変調符号化方式インデックスの値が前記所定値と一致すると判断された場合に前記通知信号を前記被測定装置に送信するものであり、前記測定手段は、前記判断手段によって前記変調符号化方式インデックスの値が前記所定値と一致すると判断された当該フレームに含まれる被測定データを測定するものである構成を有している。
【0015】
この構成により、本発明の請求項2に係る測定装置は、変調符号化方式インデックスの値が所定値と一致すると判断された当該フレームに含まれる被測定データを測定するので、任意の変調方式や符号化率で被測定装置の特性を測定することができる。
【0016】
本発明の請求項3に係る測定装置は、変調方式と符号化率とが関連付けられた変調符号化方式インデックスの値に基づいて生成されたフレームをフレーム要求信号に応じて所定の送信先に送信した後に、前記フレームが前記送信先に受信されたことを示す通知信号を受信しなかった場合に、前記送信先への送達確率が高まるよう前記変調符号化方式インデックスの値を変更したフレームを再送する被測定装置(2)を測定する測定装置(20)であって、前記被測定装置から送信された前記フレームを受信するフレーム受信手段(13b)と、前記フレーム受信手段によって受信された前記フレームの前記変調符号化方式インデックスと所定値とを比較する比較手段(21a)と、前記比較手段によって前記変調符号化方式インデックスが所定値以下と判断された場合には前記通知信号を前記被測定装置に送信し、前記変調符号化方式インデックスが所定値以下と判断されなかった場合には前記通知信号を送信しない通知信号処理手段(21b)と、前記比較手段によって前記変調符号化方式インデックスが所定値未満と判断された場合に前記フレーム要求信号を前記被測定装置に送信する要求信号送信手段(13c)と、前記比較手段によって前記変調符号化方式インデックスの値が前記所定値と一致すると判断された場合に当該フレームに含まれる被測定データを測定する測定手段(14)と、を備えた構成を有している。
【0017】
この構成により、本発明の請求項3に係る測定装置は、変調符号化方式インデックスの値が所定値と一致すると判断された場合に当該フレームに含まれる被測定データを測定するので、任意の変調方式や符号化率で被測定装置の特性を測定することができる。
【0018】
本発明の請求項4に係る測定装置は、前記フレーム受信手段は、前記被測定装置がピングコマンドに応じて送信する応答フレームを前記フレームとして受信するものであって、前記測定手段は、前記応答フレームに含まれる被測定データを測定するものである構成を有している。
【0019】
この構成により、本発明の請求項4に係る測定装置は、被測定装置がピングコマンドに応じて送信する応答フレームに含まれる被測定データを測定することができる。
【0020】
本発明の請求項5に係る測定装置は、前記フレーム受信手段は、前記フレームとして、IEEE802.11規格に準拠したフレームを受信するものである構成を有している。
【0021】
この構成により、本発明の請求項5に係る測定装置は、IEEE802.11規格に準拠したフレームに含まれる被測定データを測定することができる。
【0022】
本発明の請求項6に係る測定方法は、請求項1に記載の測定装置(10)を用いて前記被測定装置(1)を測定する測定方法であって、前記被測定装置から送信された前記フレームを受信するフレーム受信ステップ(S13)と、前記フレーム受信ステップにおいて受信した前記フレームの前記変調方式及び前記符号化率の少なくとも一方が予め定められた条件を満たすか否かを判断し、前記条件を満たすと判断された場合には前記通知信号を前記被測定装置に送信し、前記条件を満たさないと判断された場合には前記通知信号を送信しない判断ステップ(S14)と、前記判断ステップにおいて前記条件を満たすと判断された当該フレームの特性を測定する測定ステップ(S17)と、を含む構成を有している。
【0023】
この構成により、本発明の請求項6に係る測定方法は、変調方式及び符号化率の少なくとも一方が予め定められた条件を満たすまで通知信号を被測定装置に送信しないので、被測定装置は、通知信号を受信するまで、変調方式及び符号化率の少なくとも一方を送達確率が高まるよう変更したフレームを再送することとなる。
【0024】
その結果、本発明の請求項6に係る測定方法は、変調方式及び符号化率の少なくとも一方が予め定められた条件を満した場合に、当該フレームを測定対象とすることができる。
【0025】
したがって、本発明の請求項6に係る測定方法は、任意の変調方式や符号化率で被測定装置の特性を測定することができる。
【0026】
本発明の請求項7に係る測定方法は、前記被測定装置が送信する前記フレームは、前記変調方式と前記符号化率とが関連付けられた変調符号化方式インデックスの情報を含み、前記被測定装置は、前記通知信号を受信しなかった場合に、前記変調符号化方式インデックスの値をより小さい値に変更したフレームを再送するものであって、前記判断ステップにおいて、前記変調符号化方式インデックスの値が所定値と一致するか否かを判断し、前記変調符号化方式インデックスの値が前記所定値と一致すると判断された場合に前記通知信号を前記被測定装置に送信し、前記測定ステップにおいて、前記判断ステップで前記変調符号化方式インデックスの値が前記所定値と一致すると判断された当該フレームに含まれる被測定データを測定する構成を有している。
【0027】
この構成により、本発明の請求項7に係る測定方法は、変調符号化方式インデックスの値が所定値と一致すると判断された当該フレームに含まれる被測定データを測定するので、任意の変調方式や符号化率で被測定装置の特性を測定することができる。
【0028】
本発明の請求項8に係る測定方法は、請求項3に記載の測定装置(20)を用いて前記被測定装置(2)を測定する測定方法であって、前記被測定装置から送信された前記フレームを受信するフレーム受信ステップ(S13)と、前記フレーム受信ステップにおいて受信した前記フレームの前記変調符号化方式インデックスと所定値とを比較する比較ステップ(S21)と、前記比較ステップにおいて前記変調符号化方式インデックスが所定値以下と判断された場合には前記通知信号を前記被測定装置に送信する通知信号処理ステップ(S22)と、前記比較ステップにおいて前記変調符号化方式インデックスが所定値未満と判断された場合に前記フレーム要求信号を前記被測定装置に送信する要求信号送信ステップ(S12)と、前記比較ステップにおいて前記変調符号化方式インデックスの値が前記所定値と一致すると判断された場合に当該フレームに含まれる被測定データを測定する測定ステップ(S17)と、を含む構成を有している。
【0029】
この構成により、本発明の請求項8に係る測定方法は、変調符号化方式インデックスの値が所定値と一致すると判断された当該フレームに含まれる被測定データを測定するので、任意の変調方式や符号化率で被測定装置の特性を測定することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、任意の変調方式や符号化率で被測定装置の特性を測定することができるという効果を有する測定装置及び測定方法を提供することができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
まず、本発明の実施形態を説明する前に、MCSについて説明する。この説明において、IEEE802.11nの通信規格を「HT(11n)」、IEEE802.11acの通信規格を「VHT(11ac)」と略記する。
【0033】
図1は、HT(11n)で送受信されるフレームに含まれる「Supported MCS Set field」の構成を示す図である。この「Supported MCS Set field」には、図示のように、B0〜B76の77ビットに「Rx MCS Bitmask」の領域があり、77通りのMCSを設定できる仕様になっている。
【0034】
図2は、HT(11n)で設定可能な77通りのMCSのうち、空間ストリーム数が1のシングルストリームを対象とした8通りのMCSを示している。
図2に示すように、変調方式と符号化率とが組み合わされており、所望の組合せをMCSインデックスで指定できる仕様となっている。図示のように、MCSインデックスの値が低下するほど送達確率が高まる仕様になっている。
【0035】
図2において、例えば、変調方式BPSK、符号化率1/2のMCSインデックス=0(MCS0)を指定する場合には、
図1に示した「Rx MCS Bitmask」領域のB0のビットを立てることにより実現できる。すなわち、HT(11n)では、「Rx MCS Bitmask」の所望のMCSインデックスのみビットを1(Supported)にし、その他のビットを0(Not supported)とすることにより、所望の変調方式と符号化率とが設定できる仕様となっている。
【0036】
図3は、VHT(11ac)で送受信されるフレームに含まれる「Rx VHT-MCS Map Subfield」の構成を示す図である。図示のように、VHT(11ac)では、空間ストリーム数ごとにMCSが設定できる仕様となっている。具体的には、例えばB0〜B1の2ビットは空間ストリーム数が1のシングルストリーム、例えばB14〜B15の2ビットは空間ストリーム数が8のストリーム(MIMO)でのMCSが設定できる仕様となっている。VHT(11ac)では、
図4に示すように、空間ストリーム数ごとに10通りのMCS0〜9が設定できる。図示のように、MCSインデックスの値が低下するほど送達確率が高まる仕様になっている。
【0037】
しかしながら、VHT(11ac)の「Rx VHT-MCS Map Subfield」では、HT(11n)の「Rx MCS Bitmask」のように"Supported"又は"Not supported"形式で所望のMCSインデックスを表現することはできない可能性がある。具体的には、VHT(11ac)では、00B(2進数)の設定でVHT−MCS0〜7が、01Bの設定でVHT−MCS0〜8が、11Bの設定でVHT−MCS0〜9がそれぞれ表現され、これら3種類の表現しかできない仕様になっているからである。
【0038】
したがって、[発明が解決しようとする課題]欄で述べたように、IEEE802.11ac等の次世代の通信規格では、任意の変調方式や符号化率で被測定装置の特性を測定することが困難となっている。
【0039】
そこで、この課題を解決するため、本実施形態における測定装置は、
図5に示す構成を有している。
【0040】
すなわち、
図5に示すように、本実施形態における測定装置10は、被測定装置としてのDUT1と無線通信を行ってDUT1を測定するものである。本実施形態では、測定装置10は無線LAN親機(AP:Access Point)として動作し、DUT1は無線LAN子機(STA:STAtion)として動作するものとするが、これに限定されず、測定装置10が無線LAN子機、DUT1が無線LAN親機として動作するものであってもよい。また、測定装置10は、IEEE802.11acに準拠する通信規格に基づいて、DUT1と通信するものとする。
【0041】
DUT1は、予め定められた変調方式及び符号化率を用いて生成されたフレームを送信先である測定装置10に送信した後に、当該フレームが測定装置10に受信されたことを示す通知信号を受信しなかった場合に、測定装置10への送達確率が高まるようMCSインデックスの値をより低下させたフレームを再送するものである。
【0042】
具体的には、DUT1は、例えば、最初にVHT−MCS9で送信したフレームの通知信号を受信しなかった場合には、MCSインデックスの値をVHT−MCS8に低下させたフレームを再送信し、さらにその通知信号を受信しなかった場合には、MCSインデックスの値をVHT−MCS7に低下させたフレームを再送信する、といった動作を行うものである。
【0043】
測定装置10は、送信データ生成部11、フレーム生成部12、送受信部13、測定部14、表示部15、MCS記憶部16、通知信号処理部17を備えている。この測定装置10は、CPU、ROM、RAM、各種インタフェースが接続される入出力回路等を備えたマイクロコンピュータを含む。測定装置10は、ROMに予め格納された制御プログラムを実行させることにより、マイクロコンピュータを測定装置10の各機能部として機能させるようになっている。
【0044】
送信データ生成部11は、ユーザが設定した送信データを生成し、フレーム生成部12に出力するようになっている。
【0045】
フレーム生成部12は、送信データ生成部11からのデータを含めたフレームを生成(構成)し、送受信部13に出力するようになっている。
【0046】
送受信部13は、送信部13a及び受信部13bを備え、IEEE802.11acに準拠する通信規格に基づいて、DUT1との間で無線通信接続を確立するようになっている。また、送受信部13は、無線通信接続の確立後に、DUT1に対して、測定に関する各種データを送受信するようになっている。
【0047】
送信部13aは、図示を省略したが、符号化処理回路、変調回路、DAC(デジタルアナログコンバータ)、アップコンバータ、送信アンテナ等を備え、フレーム生成部12が生成したフレームに対してディジタル変調やアップコンバート等の処理を行い、アンテナを介してDUT1に送信するようになっている。この送信部13aは、通知信号処理手段の一例である。
【0048】
受信部13bは、図示を省略したが、受信アンテナ、ダウンコンバータ、ADC(アナログデジタルコンバータ)、復調回路、復号化処理回路等を備え、DUT1から受信したフレームのうち、後述するMCS判断部17aによって測定対象と判断されたフレームから測定対象の被測定データを抽出して測定部14に出力するようになっている。この受信部13bは、フレーム受信手段の一例である。
【0049】
本実施形態では、受信部13bがDUT1から測定のために受信するフレームは、送信部13aがDUT1に送信したPing(ピング)リクエストフレームに応答してDUT1が送信するPingリプライフレームとする。このPingリプライフレームは、例えば
図6に示した構成を有している。
【0050】
すなわち、
図6に示すように、DUT1から受信するPingリプライフレームは、物理ヘッダと、データフィールドと、を有する。物理ヘッダは、MCSインデックスの情報を含む。
【0051】
データフィールドは、802.11ヘッダと、802.11データとで構成されている。802.11データは、IP(Internet Protocol)ヘッダと、ICMP(Internet Control Message Protocol)ヘッダと、Pingデータと、FCS(Frame Check Sequence)と、を含む。
【0052】
Pingデータは、ピングコマンドのデータと、送信特性測定用データと、を含む。送信特性測定用データは、例えば、"0000・・・"、"0101・・・"、"1010・・・"等のデータパターンを含むものであって、所定の送信特性を測定するためにユーザによって設定されたデータである。測定装置10は、これらのデータパターンを用いることにより、DUT1の送信特性評価において、エラーの発生しやすいデータパターンを把握することができる。
【0053】
図5に戻り、測定部14は、受信部13bによって測定対象の被測定データが受信された場合にその被測定データを入力し、ユーザが設定した測定条件に基づいてDUT1の送信特性の測定を行い、測定結果を表示部15に出力するようになっている。具体的には、測定部14は、DUT1の送信特性として、例えば、送信パワー、EVM(Error Vector Magnitude)、コンスタレーション等を測定可能である。なお、測定部14は、測定手段の一例である。
【0054】
表示部15は、測定部14によって得られた測定結果を表示するようになっている。
【0055】
MCS記憶部16は、ユーザが操作部(図示省略)を操作することによって入力したMCSインデックスの情報を記憶するようになっている。
【0056】
ユーザによってMCS記憶部16に記憶されるMCSインデックスの情報としては、送受信部13がDUT1との間で無線通信接続を確立する際に用いるMCSインデックス(以下、「接続確立用MCSインデックス」という)の情報と、無線通信接続後にDUT1から受信したフレームに含まれるMCSインデックス(以下、「受信MCSインデックス」という)と比較するための予め定められた比較用MCSインデックスの情報と、がある。接続確立用MCSインデックス及び比較用MCSインデックスの情報は、送受信部13及び通知信号処理部17に提供される。
【0057】
通知信号処理部17は、MCS判断部17a、通知信号送信指示部17bを備えている。
【0058】
MCS判断部17aは、MCS記憶部16に記憶された比較用MCSインデックスと、DUT1から受信したフレームに含まれる受信MCSインデックスとを比較し、両者が一致するか否かを判断するようになっている。そして、MCS判断部17aは、両者が一致すると判断した場合にはその旨を示すMCSインデックス一致信号を、両者が一致すると判断しなかった場合にはその旨を示すMCSインデックス不一致信号を通知信号送信指示部17bに出力するようになっている。このMCS判断部17aは、判断手段の一例である。
【0059】
通知信号送信指示部17bは、DUT1との間で無線通信接続を確立する際には、DUT1から送信されるフレームを受信部13bが受信するごとに通知信号をDUT1に出力するよう送信部13aに指示するようになっている。
【0060】
また、通知信号送信指示部17bは、無線通信接続後にDUT1から受信したフレームを測定する際には、MCS判断部17aからMCSインデックス一致信号を入力した場合に限って通知信号をDUT1に出力するよう送信部13aに指示するようになっている。
【0061】
前述のように、本実施形態におけるDUT1は、あるフレームの送信後に、その通知信号を測定装置10から受信しなかった場合には、送達確率が高まるようMCSインデックスの値を低下させてフレームを再送する構成となっている。
【0062】
したがって、測定装置10は、無線通信接続後にDUT1から受信したフレームに含まれる受信MCSインデックスの値が比較用MCSインデックスの値より大きい場合には通知信号をDUT1に出力せず、受信MCSインデックスの値が比較用MCSインデックスの値と一致したら通知信号をDUT1に出力するので、所望する任意の値のフレームを測定対象として測定することが可能となる。
【0063】
次に、本実施形態における測定装置10の動作について
図7を用いて説明する。以下の動作説明では、DUT1が最初に受信MCSインデックス=7の情報を含むフレームを送信し、それに対する通知信号を受信しない場合には受信MCSインデックスの値を1つずつ低下させていくものとする。また、ユーザの設定によって比較用MCSインデックス=5(予め定められた条件)がMCS記憶部16に記憶されているものとする。
【0064】
送受信部13は、DUT1との間において、IEEE802.11acに準拠する通信規格に基づいて、認証及び呼の接続の確立処理等を含む無線通信接続処理を行う(ステップS11)。この無線通信接続処理において、送受信部13は、MCS記憶部16に記憶された接続確立用MCSインデックスをDUT1に通知して、その接続確立用MCSインデックスに基づいて生成されたフレームをDUT1から受信することができる。なお、接続確立用MCSインデックスの値と比較用MCSインデックスの値とが同じであってもよい。
【0065】
送信部13aは、無線通信接続処理の後に、PingリクエストフレームをDUT1に送信する(ステップS12)。
【0066】
受信部13bは、Pingリクエストフレームに応答したPingリプライフレームを受信したか否かを判断する(ステップS13)。
【0067】
ステップS13において、Pingリプライフレームを受信したと判断されなかった場合には、ステップS13を繰り返す。
【0068】
一方、ステップS13において、Pingリプライフレームを受信したと判断された場合には、MCS判断部17aは、受信MCSインデックスの値が5(比較用MCSインデックスの値)であるか否かを判断する(ステップS14)。すなわち、MCS判断部17aは、受信したPingリプライフレームが測定対象であるか否かを判断する。
【0069】
ステップS14において、受信MCSインデックスの値が5であると判断されなかった場合には、ステップS13の処理に戻る。すなわち、送受信部13は、フレームを受信したことを示す通知信号をDUT1に送信しない。
【0070】
一方、ステップS14において、受信MCSインデックスの値が5であると判断された場合には、送信部13aは、ACKフレーム(通知信号)をDUT1に送信する(ステップS15)。
【0071】
受信部13bは、ステップS14において受信MCSインデックスの値が5であると判断された当該Pingリプライフレームから被測定データを取り出し(ステップS16)、測定部14に出力する。
【0072】
測定部14は、受信部13bから被測定データを入力し、ユーザが指定した送信測定を行う(ステップS17)。
【0073】
表示部15は、測定部14が測定した測定結果を画面に表示する(ステップS18)。
【0074】
次に、前述のステップS12からS15までのフレームの送受信について、
図8を用いて具体的に説明する。
【0075】
測定装置10は、PingリクエストフレームをDUT1に送信する。DUT1は、Pingリクエストフレームを受信すると、それを受信したことを示すACKフレームを測定装置10に送信する。
【0076】
続いて、DUT1は、Pingリクエストフレームに応答するPingリプライフレーム(VHT−MCS7)を測定装置10に送信する。なお、括弧書きは、このPingリプライフレームがVHT−MCS7で生成されていることを示している。
【0077】
測定装置10は、Pingリプライフレーム(VHT−MCS7)を受信するが、その受信MCSインデックスの値は5ではないので、ACKフレームをDUT1に送信しない。
【0078】
続いて、DUT1は、Pingリプライフレーム(VHT−MCS6)を再送し、測定装置10は、そのPingリプライフレーム(VHT−MCS6)を受信するが、その受信MCSインデックスの値は5ではないので、ACKフレームをDUT1に送信しない。
【0079】
さらに、DUT1は、Pingリプライフレーム(VHT−MCS5)を再送する。測定装置10は、Pingリプライフレーム(VHT−MCS5)を受信し、そのフレームの受信MCSインデックスの値は5である(予め定められた条件を満たす)ので、ACKフレームをDUT1に送信し、当該Pingリプライフレーム(VHT−MCS5)を測定対象のフレームとして送信特性を測定する。
【0080】
以上のように、本実施形態における測定装置10は、受信MCSインデックスの値が比較用MCSインデックスの値と一致又は以下になるまで、通知信号をDUT1に送信しないので、DUT1は、通知信号を受信するまで、送達確率が高まるよう受信MCSインデックスの値を低下させつつフレームを再送し続けることとなる。
【0081】
その結果、本実施形態における測定装置10は、受信MCSインデックスの値が比較用MCSインデックスの値と一致又は以下になった場合に、当該フレームを測定対象とすることができる。
【0082】
したがって、本実施形態における測定装置10は、ユーザが所望する任意の変調方式や符号化率でDUT1の特性を測定することができる。
【0083】
なお、前述の実施形態では、変調方式と符号化率とが組み合わされたMCSインデックスに基づいて通知信号をDUT1に送信するか否かを判断する構成としたが、本発明はこれに限定されず、変調方式及び前記符号化率の少なくとも一方が予め定められた条件を満たすか否かに基づいて通知信号をDUT1に送信するか否かを判断する構成としても、前述と同様な効果が得られる。
【0084】
また、前述の実施形態では、測定装置10が、IEEE802.11acに準拠する通信規格に基づいてDUT1と通信するものとしたが、本発明はこれに限定されず、IEEE802.11に準拠する通信規格に基づいてDUT1と通信するものであれば、前述と同様な効果が得られる。
【0085】
(変形例)
前述の実施形態では、送信したフレームの通知信号を受信しなかった場合に、MCSインデックスの値を順次低下させてフレームを再送信するDUT1を例に挙げて説明した。
【0086】
一方、DUTの中には、例えば、MCS6で送信したフレームの通知信号を受信しなかった場合に、MCS4に低下させたフレームを再送信するものもある。また、例えば、MCS4で送信したフレームの通知信号を受信した後に、新たなフレームを要求するフレーム要求信号を受信するとMCS6に上昇させたフレームを再送信するDUTもある。この種のDUTをDUT2とし、DUT2を測定対象とする測定装置20について以下説明する。
【0087】
図9に示すように、本実施形態の変形例における測定装置20は、
図5に示した測定装置10に対して、通知信号処理部17に代えて通知信号処理部21を備え、送受信部13が要求信号送信部13cを備えている点が異なっている。なお、
図5で説明した構成と同様な構成には同一の符号を付して、その説明を省略する場合がある。
【0088】
通知信号処理部21は、MCS比較部21a、通知信号送信指示部21bを備えている。
【0089】
MCS比較部21aは、MCS記憶部16に記憶された比較用MCSインデックスと、DUT2から受信したフレームに含まれる受信MCSインデックスとを比較するようになっている。このMCS比較部21aは、比較手段の一例である。
【0090】
また、MCS比較部21aは、受信MCSインデックスの値が比較用MCSインデックスの値未満と判断した場合にはその旨を示す所定値未満信号を、受信MCSインデックスの値が比較用MCSインデックスの値を超えると判断した場合にはその旨を示す所定値越え信号を通知信号送信指示部21bに出力するようになっている。
【0091】
さらに、MCS比較部21aは、受信MCSインデックスの値と比較用MCSインデックスの値とが一致すると判断した場合にはその旨を示すMCSインデックス一致信号を通知信号送信指示部21bに出力するようになっている。
【0092】
通知信号送信指示部21bは、DUT2との間で無線通信接続を確立する際には、DUT2から送信されるフレームを受信部13bが受信するごとに通知信号をDUT2に出力するよう送信部13aに指示するようになっている。
【0093】
また、通知信号送信指示部21bは、無線通信接続後にDUT2から受信したフレームを測定する際には、MCS比較部21aから所定値未満信号又はMCSインデックス一致信号を入力した場合に限って通知信号をDUT2に出力するよう送信部13aに指示するようになっている。
【0094】
さらに、通知信号送信指示部21bは、MCS比較部21aから所定値未満信号を入力した場合であって、送信部13aが通知信号を送信した後に、フレームを要求するためのフレーム要求信号をDUT2に出力するよう要求信号送信部13cに指示するようになっている。
【0095】
要求信号送信部13cは、フレームを要求するためのフレーム要求信号(本実施形態ではPingリクエストフレームとする)をDUT2に送信するようになっている。この要求信号送信部13cは、要求信号送信手段の一例である。
【0096】
次に、本変形例における測定装置20の動作について
図10を用いて説明する。なお、
図7に示した各ステップと同様な動作には同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0097】
ステップS13において、Pingリプライフレームを受信したと判断された場合には、MCS比較部21aは、受信MCSインデックスの値が5(比較用MCSインデックスの値)以下であるか否かを判断する(ステップS21)。
【0098】
ステップS21において、受信MCSインデックスの値が5以下であると判断されなかった場合には、MCS比較部21aから通知信号送信指示部21bに所定値越え信号が出力され、ステップS13の処理に戻る。すなわち、送受信部13は、フレームを受信したことを示す通知信号をDUT2に送信しない。
【0099】
一方、ステップS21において、受信MCSインデックスの値が5以下であると判断された場合には、MCS比較部21aから通知信号送信指示部21bに所定値未満信号又はMCSインデックス一致信号が出力され、送信部13aは、ACKフレーム(通知信号)をDUT2に送信する(ステップS22)。
【0100】
MCS比較部21aは、受信MCSインデックスの値が5であるか否かを判断する(ステップS23)。すなわち、MCS比較部21aは、受信したPingリプライフレームが測定対象であるか否かを判断する。
【0101】
ステップS23において、受信MCSインデックスの値が5であると判断された場合には、受信部13bは、ステップS23において受信MCSインデックスの値が5であると判断された当該Pingリプライフレームから被測定データを取り出し(ステップS16)、測定部14に出力する。
【0102】
一方、ステップS23において、受信MCSインデックスの値が5であると判断されなかった場合には、ステップS12の処理に戻る。すなわち、測定装置20は、要求信号送信部13cにPingリクエストフレーム(フレーム要求信号)をDUT2に送信させ、受信MCSインデックスの値が5のフレームを待つこととなる。
【0103】
以上のように、測定装置20は、無線通信接続後にDUT2から受信したフレームに含まれる受信MCSインデックスの値が比較用MCSインデックスの値より大きい場合には通知信号をDUT2に出力しない。
【0104】
また、測定装置20は、受信MCSインデックスの値が比較用MCSインデックスの値以下の場合に通知信号を出力し、両者が一致したフレームのみ測定対象とする。
【0105】
したがって、本変形例における測定装置20は、所望する任意の値のフレームを測定対象として測定することが可能となる。