特開2018-207552(P2018-207552A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特開2018207552-車両 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-207552(P2018-207552A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60L 11/18 20060101AFI20181130BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20181130BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20181130BHJP
   F16H 61/22 20060101ALI20181130BHJP
   F16H 61/02 20060101ALI20181130BHJP
   F16H 63/50 20060101ALI20181130BHJP
   B60T 1/06 20060101ALI20181130BHJP
   F16H 61/28 20060101ALI20181130BHJP
   F16H 63/34 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   B60L11/18 C
   B60L15/20 K
   H02J7/00 P
   F16H61/22
   F16H61/02
   F16H63/50
   B60T1/06 G
   F16H61/28
   F16H63/34
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-106300(P2017-106300)
(22)【出願日】2017年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】榊原 尚也
【テーマコード(参考)】
3J067
3J552
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
3J067AA16
3J067AA21
3J067AB21
3J067DB31
3J067FA05
3J067FA57
3J067FB78
3J067GA16
3J552NA01
3J552NB05
3J552PA59
3J552QC09
3J552RB02
3J552SA60
3J552VA63W
3J552VB10W
3J552VB16W
5G503AA01
5G503AA07
5G503BA02
5G503BB02
5G503DA08
5G503EA05
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD03
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC21
5H125BC22
5H125BE05
5H125DD02
5H125EE41
5H125EE48
5H125EE51
(57)【要約】
【課題】余分な電力を消費せずに外部充電を開始できる車両を提供すること。
【解決手段】車両Vは、高圧バッテリ2と、車載充電器54と、インレット51と、車載充電器54を制御する充電ECU60と、駆動輪に駆動力を伝達する変速機81に設けられた回転軸80を回転可能又は回転不能な状態にするパーキングロック機構82と、を備える。充電ECU60は、パーキングロック機構82によるロック状態情報が書き込まれるバックアップRAM60aを備える。充電ECU60は、外部充電器Cの充電コネクタ93をインレット51に接続して高圧バッテリ2を充電する際にはバックアップRAM60aに記憶された情報を用いて車載充電器54を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電器と、車載充電器と、前記蓄電器と前記車載充電器を介して接続されたインレットと、前記車載充電器を制御する充電制御装置と、を備え、外部電力供給源のコネクタを前記インレットに接続し、前記外部電力供給源からの電力を、前記車載充電器を介して前記蓄電器に供給可能な車両であって、
駆動輪に駆動力を伝達する駆動力伝達機構に設けられた回転軸を回転可能又は回転不能な状態にするロック機構を備え、
前記充電制御装置は、前記ロック機構によるロック状態情報が書き込まれる記憶媒体を備え、前記コネクタを前記インレットに接続して前記蓄電器を充電する際には前記記憶媒体に記憶された情報を用いて前記車載充電器を制御することを特徴とする車両。
【請求項2】
前記充電制御装置は、前記記憶媒体に記憶されている前記ロック状態情報により前記回転軸が前記回転不能な状態であることが示されている場合に、前記車載充電器を、前記外部電力供給源から前記蓄電器への通電が可能な状態にすることを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記回転軸を回転可能な状態と回転不能な状態とで切り替える電磁アクチュエータを備え、
前記車両は、運転者による操作部の操作に応じて前記電磁アクチュエータを駆動するロック制御装置をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両。
【請求項4】
前記ロック制御装置は、前記記憶媒体とは別でありかつ前記ロック機構によるロック状態情報が逐次書き込まれる別記憶媒体を備え、
前記記憶媒体には、パワースイッチがオフにされたことに応じて、前記別記憶媒体に記憶されている前記ロック状態情報が書き込まれることを特徴とする請求項3に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。より詳しくは、外部電力供給源からの電力を、車載充電器を介して蓄電器に供給可能な車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両は、バッテリから供給される電力を用いてモータを駆動することによって走行する。また電動車両に搭載されるバッテリは、普通充電設備や急速充電設備等の車両外部の電力供給源に接続された充電ケーブルのコネクタを電動車両に設けられたインレットに接続することによって充電できる。このような外部充電は、車両を傾斜した地面の上に止めた状態で行われる場合もあり得る。しかしながらこの場合、所謂パーキングロック機構を作動させずに外部充電を開始すると、外部充電の途中で車両が移動してしまい、通電中に充電ケーブルが抜けてしまうおそれがある。
【0003】
特許文献1には、車両に搭載されているバッテリと車両外部の電気機器とをケーブルで接続し、バッテリから電気機器へ電力を供給可能な給電システムが示されている。特許文献1の給電システムでは、イグニッションスイッチがオフ状態でありかつシフトレンジがパーキング状態に設定されている場合にのみ、バッテリから電気機器への給電を開始する。したがってこのような技術を利用すれば、通電中にケーブルが抜けてしまう事態を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−233021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで車両には、上記パーキングロック機構を含む駆動系装置の制御に係る駆動系制御モジュールや、車載充電器の制御に係る外部充電制御モジュール等、数多くのコンピュータが搭載されている。またこれら車載のコンピュータは、電力の余分な消費を抑制するため、イグニッションスイッチをオフにするとスリープ状態や休止状態に移行する。
【0006】
一方、バッテリの外部充電は、イグニッションスイッチがオフにされている状態で開始する場合が多い。このため、上記特許文献1の技術を車両の外部充電技術に適用した場合、イグニッションスイッチがオフにされた後に外部充電を開始する際には、パーキングロック機構の作動状態を確認するために駆動系制御モジュールも稼働させる必要がある。このため、駆動系制御モジュールを稼働させるための余分な電力がかかったり、外部充電を開始するまでに時間がかかったりするおそれがある。
【0007】
本発明は、余分な電力を消費せずに外部充電を開始できる車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)車両(例えば、後述の車両V)は、蓄電器(例えば、後述の高圧バッテリ2)と、車載充電器(例えば、後述の車載充電器54)と、前記蓄電器と前記車載充電器を介して接続されたインレット(例えば、後述のインレット51)と、前記車載充電器を制御する充電制御装置(例えば、後述の充電ECU60)と、を備え、外部電力供給源(例えば、後述の外部電源90)のコネクタ(例えば、後述の充電コネクタ93)を前記インレットに接続し、前記外部電力供給源からの電力を、前記車載充電器を介して前記蓄電器に供給可能である。前記車両は、駆動輪に駆動力を伝達する駆動力伝達機構(例えば、後述の変速機81)に設けられた回転軸(例えば、後述の回転軸80)を回転可能又は回転不能な状態にするロック機構(例えば、後述のパーキングロック機構82)を備え、前記充電制御装置は、前記ロック機構によるロック状態情報が書き込まれる記憶媒体(例えば、後述のバックアップRAM60a)を備え、前記コネクタを前記インレットに接続して前記蓄電器を充電する際には前記記憶媒体に記憶された情報を用いて前記車載充電器を制御する。
【0009】
(2)この場合、前記充電制御装置は、前記記憶媒体に記憶されている前記ロック状態情報により前記回転軸が前記回転不能な状態であることが示されている場合に、前記車載充電器を、前記外部電力供給源から前記蓄電器への通電が可能な状態にすることが好ましい。
【0010】
(3)この場合、前記ロック機構は、前記回転軸を回転可能な状態と回転不能な状態とで切り替える電磁アクチュエータ(例えば、後述のパーキングアクチュエータ82b)を備え、前記車両は、運転者による操作部(例えば、後述のシフト操作パネル85)の操作に応じて前記電磁アクチュエータを駆動するロック制御装置(例えば、後述のシフタECU86、及びシフトドライバ84)をさらに備えることが好ましい。
【0011】
(4)この場合、前記ロック制御装置は、前記記憶媒体とは別でありかつ前記ロック機構によるロック状態情報が逐次書き込まれる別記憶媒体を備え、前記記憶媒体には、パワースイッチ(例えば、後述のイグニッションスイッチ89)がオフにされたことに応じて、前記別記憶媒体に記憶されている前記ロック状態情報が書き込まれることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
(1)本発明によれば、充電制御装置が備える記憶媒体には、ロック機構によるロック状態情報が書き込まれる。このため、パワースイッチをオフにした後、外部電力供給源のコネクタを車両のインレットに接続し、蓄電器の外部充電を開始する際には、ロック機構による回転軸のロックの状態を確認するために、ロック状態を検出するためのセンサやこのセンサが接続されている制御装置を稼働させることなく、充電制御装置の記憶媒体に記憶されている情報に基づいてその時のロック状態情報を把握できる。したがって本発明によれば、ロック機構に設けられるセンサやその制御装置等を稼働させるための余分な電力を消費せずに外部充電を開始することができる。
【0013】
(2)本発明の充電制御装置は、記憶媒体に記憶されているロック状態情報により回転軸が回転不能な状態であることが示されている場合に、車載充電器を、外部電力供給源から蓄電器への通電が可能な状態にする。これにより外部充電を実行している間に車両が移動してしまい、コネクタが設けられる充電ケーブルが抜けてしまうのを防止できる。
【0014】
(3)本発明の車両は、運転者による操作部の操作に応じて、ロック機構で回転軸を回転可能な状態と回転不能な状態とで切り替える電磁アクチュエータを駆動するロック制御装置を備える、所謂シフトバイワイヤ方式である。このようなシフトバイワイヤ方式は、操作部とロック機構とを機械的に接続する従来のシフト機構と比べて操作性やコスト等の様々な面で利点があるものの、ロック制御装置を稼働させることなくロック機構によるロック状態を把握することが困難であるため、上述のようなパワースイッチをオフにした後の外部充電時における課題が顕著になる。これに対し本発明では、パワースイッチをオフにした後であっても、ロック制御装置を稼働させることなくロック状態情報を把握できる。すなわち本発明によれば、シフトバイワイヤ方式を採用することによる課題を解消し、利益を享受することができる。
【0015】
(4)本発明によれば、ロック制御装置が備える別記憶媒体にはロック機構によるロック状態情報が逐次書き込まれ、充電制御装置が備える記憶媒体には、パワースイッチがオフにされたことに応じて別記憶媒体に記憶されているロック状態情報が書き込まれる。このため、パワースイッチをオフにした後、外部電力供給源のコネクタを車両のインレットに接続し、蓄電器の外部充電を開始する際には、ロック制御装置を稼働させることなく、充電制御装置の記憶媒体に記憶されている情報に基づいてその時のロック状態情報を把握できる。したがって本発明によれば、ロック制御装置を稼働させるための余分な電力を消費せずに外部充電を開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る車両及びその外部充電器の構成を示す図である。
図2】車両を停止した後、外部充電を行うまでの手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る車両Vと、外部充電器Cと、を組み合わせて構成される充電システムSの構成を示す図である。以下では、車両Vは、駆動輪を駆動する動力発生源として図示しないエンジンと走行モータ70とを備える所謂ハイブリッド車両とした場合について説明するが、本発明はこれに限らない。本発明は、モータのみを動力発生源とする電動車両に適用することもできる。
【0018】
外部充電器Cは、交流(具体的には、例えば、AC200V)を出力する外部電源90と、利用者が操作可能な充電コネクタ93と、外部電源90と充電コネクタ93とを接続する充電ケーブル92と、を備える。利用者は、外部充電器Cを用いて車両Vに搭載されている高圧バッテリ2や低圧バッテリ3の充電(以下、単に「外部充電」ともいう)を行う際には、充電コネクタ93を車両Vに設けられたインレット51に接続する。充電コネクタ93をインレット51に接続すると、充電ケーブル92と後述の第1電力線21p,21nとが電気的に接続される。これにより外部充電器Cの外部電源90から、車両Vに搭載されている後述の車載充電器54へ、ひいてはバッテリ2,3への電力の供給が可能な状態になる。
【0019】
車両Vは、走行するための駆動力を発生する走行モータ70及びエンジン(図示せず)と、この走行モータ70に接続されたインバータ71と、エンジンや走行モータ70で発生した駆動力を図示しない駆動輪に変速して伝達するシフトバイワイヤシステム8(以下、「SBWシステム8」との略称を用いる)と、これら走行モータ70、インバータ71、及びSBWシステム8等の車両Vに搭載される電気機器の電力供給源となる電源システム1と、を備える。
【0020】
走行モータ70は、例えば、三相交流モータである。走行モータ70は、電源装置1の高圧バッテリ2からインバータ71を介して電力が供給されると駆動力を発生する。また走行モータ70は、回生運転を行うことによって電力を生成する。走行モータ70の回生運転によって生成された電力は、インバータ71を介して高圧バッテリ2や低圧バッテリ3に供給され、これを充電する。
【0021】
インバータ71は、後述の第1電力線21p,21nに接続され、これら第1電力線21p,21nを介して高圧バッテリ2から供給される直流を三相の交流に変換し、走行モータ70に供給する。また走行モータ70の回生運転の際には、走行モータ70から供給される交流を直流に変換し、高圧バッテリ2や低圧バッテリ3に供給する。
【0022】
電源システム1は、高圧バッテリ2と、この高圧バッテリ2より低電圧の低圧バッテリ3と、外部充電器Cが接続される外部充電ユニット5と、外部充電ユニット5と高圧バッテリ2とを接続する正極側第1電力線21p及び負極側第1電力線21n(以下、これらをまとめて「第1電力線21p,21n」という)と、これら第1電力線21p,21nと低圧バッテリ3とを接続する正極側第2電力線31p及び負極側第2電力線31n(以下、これらをまとめて「第2電力線31p,31n」という)と、これら第2電力線31p,31nに設けられたDC−DCコンバータ32と、これらを制御する複数の電子制御モジュールである充電ECU60及びバッテリECU62と、を備える。
【0023】
高圧バッテリ2は、化学エネルギを電気エネルギに変換する放電と、及び電気エネルギを化学エネルギに変換する充電との両方が可能な二次電池である。以下では、この高圧バッテリ2として、電極間をリチウムイオンが移動することで充放電を行う所謂リチウムイオン蓄電池を用いた場合について説明するが、本発明はこれに限らない。
【0024】
高圧バッテリ2から外部充電ユニット5へ延びる第1電力線21p,21nのうちインバータ71が接続される部分よりも高圧バッテリ2側には、これら第1電力線21p,21nを断続する正極側メインコンタクタ22p及び負極側メインコンタクタ22n(以下、これらをまとめて「メインコンタクタ22p,22n」という)が設けられている。
【0025】
これらメインコンタクタ22p,22nは、外部からの指令信号が入力されていない状態では開成するノーマルオープン型である。これらメインコンタクタ22p,22nは、バッテリECU62からの指令信号に応じて閉成する。より具体的には、これらメインコンタクタ22p,22nは、例えば、車両Vの走行中に高圧バッテリ2とインバータ71との間で充放電を行う場合、或いは外部充電器Cからの電力を高圧バッテリ2に供給し高圧バッテリ2の外部充電を行う場合等には、バッテリECU62からの指令信号に応じて閉成する。
【0026】
低圧バッテリ3は、上述の高圧バッテリ2と同様に、放電と充電との両方が可能な二次電池である。以下では、この低圧バッテリ3として、電極に鉛を用いた鉛蓄電池を用いた場合について説明するが、本発明はこれに限らない。
【0027】
なお、高圧バッテリ2及び低圧バッテリ3は、互いに異なる特性を有するものが用いられる。より具体的には、高圧バッテリ2には、低圧バッテリ3と比較して、出力電圧及び出力密度が高くかつ電池容量が大きいものが用いられる。
【0028】
DC−DCコンバータ32は、第1電力線21p,21n側又は低圧バッテリ3側の出力電圧を昇圧又は降圧する。
【0029】
外部充電ユニット5は、充電コネクタ93を接続可能なインレット51と、このインレット51を保護する充電リッド52と、充電コネクタ93のインレット51への接続を検出するコネクタセンサ53と、第1電力線21p,21nに設けられた車載充電器54と、を備える。この外部充電ユニット5は、車両Vの側部に設けられる。
【0030】
インレット51には、第1電力線21p,21nの端子が設けられている。充電コネクタ93をインレット51に接続すると、外部充電器C側の充電ケーブル92と車両V側の第1電力線21p,21nとが電気的に接続される。
【0031】
充電リッド52は、板状であり、車両Vの図示しない車体に設けられたヒンジ52aによって開閉可能に軸支されている。充電リッド52を閉じると、この充電リッド52は車両Vのアウタパネルの一部を構成するようになっており、これによりインレット51は保護される。また充電リッド52を開くと、インレット51が外部に露出し、これにより利用者は充電コネクタ93をインレット51に接続することが可能となる。
【0032】
車載充電器54は、外部電源90からの交流電力を直流電力に変換し、この直流電力を第1電力線21p,21nを介して高圧バッテリ2に供給したり、DC−DCコンバータ32を介して低圧バッテリ3に供給したり、図示しないバッテリヒータ等の補機類へ供給する。車載充電器54は、その直流出力を制御する手段として、充電ECU60によって駆動される絶縁型のDC−DCコンバータを備える。このため、充電コネクタ93をインレット51に接続しただけでは外部電源90と高圧バッテリ2や低圧バッテリ3とは通電しないようになっている。従って外部電源90から高圧バッテリ2や低圧バッテリ3への通電は、充電コネクタ93をインレット51に接続し、メインコンタクタ22p,22nを閉成し、さらに充電ECU60によって車載充電器54の駆動を開始して初めて可能となっている。
【0033】
コネクタセンサ53は、充電コネクタ93がインレット51に接続されていない間はオフとなり、充電コネクタ93がインレット51に接続されるとその旨を示す信号を充電ECU60へ送信する。充電コネクタ93のインレット51への接続の有無は、このコネクタセンサ53からの検出信号に基づいて充電ECU60によって判別される。
【0034】
充電ECU60及びバッテリECU62は、それぞれ、各種センサの検出信号をA/D変換するI/Oインターフェース、各種プログラムやデータを記憶するRAMやROM、上記プログラムに従って各種演算処理を実行するCPU、及びCPUの演算処理結果に応じて各種電子機器を駆動する駆動回路を備えるマイクロコンピュータである。これら充電ECU60及びバッテリECU62等の電子制御モジュールは、各種制御情報を授受するバス型ネットワークであるCANバス68を介して相互に接続されており、これらの間で必要な制御情報の送受信が可能となっている。
【0035】
充電ECU60は、主に外部充電器Cを用いた高圧バッテリ2の外部充電制御(後述の図2参照)を担うマイクロコンピュータである。また充電ECU60は、後述のイグニッションスイッチ89が運転者によって操作されたことに応じて、図示しない補機バッテリからの電力の供給が停止し、一旦は休止状態になった後もその記録内容が保持される記憶媒体としてのバックアップRAM60aを備える。充電ECU60は、イグニッションスイッチ89が操作された後に外部充電制御を行う際には、このバックアップRAM60aに記憶された情報を用いる。このバックアップRAM60aに書き込まれる情報の詳細については、後に図2を参照して説明する。
【0036】
バッテリECU62は、メインコンタクタ22p,22nのオン/オフや高圧バッテリ2の状態の監視等に関する制御を担うマイクロコンピュータである。バッテリECU62には、高圧バッテリ2の電圧を検出する電圧センサ、高圧バッテリ2の出力電流又は充電電流を検出する電流センサ、及び高圧バッテリ2の温度を検出するバッテリ温度センサ(何れも図示せず)が接続されており、これらセンサの検出信号を用いることによって、既知のアルゴリズムに基づいて高圧バッテリ2の充電率(バッテリの残容量の満充電容量に対する割合を百分率で表したものであり、以下では「SOC(State Of Charge)ともいう」を推定する。
【0037】
SBWシステム8は、駆動輪(図示せず)にエンジンや走行モータ70で発生した駆動力を伝達する回転軸80と、この回転軸80に設けられた変速機81と、この変速機81を駆動するシフトドライバ84と、運転者が変速操作を行う際に操作可能なシフト操作パネル85と、シフト操作パネル85からの信号に応じてシフトドライバ84へ制御信号を送信するシフタECU86と、メインECU88と、を備える。
【0038】
変速機81は、エンジンや走行モータ70で発生した駆動力を変速して回転軸80に伝達する。変速機81は、回転軸80を回転可能又は回転不能な状態にするパーキングロック機構82と、このパーキングロック機構82の動作状態を検出するパーキングポジションセンサ82aと、を備える。
【0039】
パーキングロック機構82は、例えば、回転軸80に固定されたパーキングギヤと、このパーキングギヤに対し揺動自在に設けられかつこのパーキングギヤと選択的に噛合する爪を有するパーキングポールと、このパーキングポールの爪をパーキングギヤに接近させたり離間させたりするパーキングアクチュエータ82bと、を備える。パーキングアクチュエータ82bは、シフトドライバ84から入力される信号に応じて動作する。すなわち、パーキングアクチュエータ82bを駆動することによってパーキングポールの爪をパーキングギヤに噛合させると、回転軸80は回転不能な状態、すなわちパーキングロック状態となる。またパーキングアクチュエータ82bを駆動することによってパーキングポールの爪をパーキングギヤから離間させると、回転軸80は回転可能な状態、すなわちパーキングロック解除状態となる。
【0040】
パーキングポジションセンサ82aは、パーキングロック機構82の作動状態を検出し、これに応じた検出信号をシフタECU86へ送信する。より具体的には、パーキングポジションセンサ82aは、パーキングロック状態である場合にはこれに応じた信号をシフタECU86及びシフトドライバ84へ送信し、パーキングロック解除状態である場合にはこれに応じた信号をシフタECU86及びシフトドライバ84へ送信する。
【0041】
シフト操作パネル85は、車内のうち運転者が操作可能な位置、例えばセンターコンソールに設けられる。シフト操作パネル85には、運転者が変速操作を行う際に押圧する複数のスイッチ85a,85b,85c,85dが設けられている。パーキングロックスイッチ85aは、パーキングロック状態又はパーキングロック解除状態にする際に運転者によって押圧される。リバーススイッチ85bは、変速機81をリバース状態にする際に運転者によって押圧される。ニュートラルスイッチ85cは、変速機81をニュートラル状態にする際に運転者によって押圧される。またドライブスイッチ85dは、変速機81をドライブ状態にする際に運転者によって押圧される。これらスイッチ85a〜85dは、運転者によって操作されると、これに応じた信号をシフタECU86へ送信する。
【0042】
シフタECU86及びメインECU88は、それぞれ、各種センサの検出信号をA/D変換するI/Oインターフェース、各種プログラムやデータを記憶するRAMやROM、上記プログラムに従って各種演算処理を実行するCPU、及びCPUの演算処理結果に応じて各種電子機器を駆動する駆動回路を備えるマイクロコンピュータである。またこれらシフタECU86、メインECU88、及びシフトドライバ84は、図1に示すようにCANバス68を介して相互に接続されている。このため、上述の充電ECU60、バッテリECU62、シフトドライバ84、シフタECU86、及びメインECU88の間では、必要な制御情報の送受信が可能となっている。
【0043】
シフタECU86は、主に変速機81の制御を担うマイクロコンピュータである。より具体的には、シフタECU86は、シフト操作パネル85を介して検出した運転者による変速操作に応じて、これを実現するように変速機81を駆動するための制御信号をシフトドライバ84へ送信する。またシフタECU86は、パーキングロック機構82の作動状態に関する情報であるロック状態情報を記憶する別記憶媒体としてのRAM86aを備える。シフタECU86は、少なくとも低圧バッテリ3からの電力が供給されている間は、パーキングポジションセンサ82aからロック状態情報を逐次取得し、このロック状態情報(すなわち、パーキングロック状態であるか又はパーキングロック解除状態であるか)をRAM86aに逐次書き込む。
【0044】
メインECU88は、走行モータ70、インバータ71、SBWシステム8、及び電源システム1等の統括的な制御を担うマイクロコンピュータである。メインECU88には、運転者が車両Vを始動/停止させる際にオン/オフ操作をするイグニッションスイッチ89が接続されている。
【0045】
メインECU88は、運転者によってイグニッションスイッチ89がオフからオンにされると、図示しない補機バッテリからの電力を電源システム1やSBWシステム8を構成する各種電気機器に供給し、これらを起動したり、エンジンを始動したりする車両起動制御処理を開始する。またメインECU88は、運転者によってイグニッションスイッチ89がオンからオフにされると、補機バッテリから上記電気機器への電力の供給を停止し、これらを休止状態にしたり、エンジンを停止したりする車両停止制御処理(例えば、以下で説明する図2を参照)を開始する。
【0046】
なお、以上のように構成された車両Vにおいて、充電ECU60、バッテリECU62、シフトドライバ84、シフタECU86、メインECU88、及び車載充電器54等の電子機器は、低圧バッテリ3から供給される電力によって作動し、その機能を発揮する。
【0047】
図2は、車両Vを停止した後、外部充電を行うまでの手順を示すシーケンス図である。
【0048】
先ず、車両Vを運転する利用者(すなわち、運転者)は、車両Vを停止させるため、イグニッションスイッチ89をオンからオフにする。メインECU88は、このイグニッションスイッチ89をオフにする操作を検出したことに応じて、以下で説明する手順に従って車両の停止制御処理を実行する。
【0049】
停止制御処理では、メインECU88は、始めにイグニッションスイッチ89がオフにされた時点でのパーキングロック機構82の状態がパーキングロック状態であるか否かを判別する。メインECU88は、例えば、パーキングロックセンサ82aの検出信号や、充電ECU86のRAM86aに記憶されているロック状態情報を取得することによってパーキングロック状態であるか否かを判別できる。なお図2の例では、パーキングロック機構82の状態はパーキングロック解除状態であった場合を示す。すなわち、図2の例は、運転者がパーキングロックスイッチ85aを押圧せずにイグニッションスイッチ89をオフにした場合を示す。
【0050】
メインECU88は、現時点でのパーキングロック機構82の状態がパーキングロック状態でなかった場合、パーキングロック解除状態からパーキングロック状態への切り換えさせるための信号(以下、「パーキングロック指令信号」という)をシフトドライバ84へ送信する。シフトドライバ84は、このメインECU88からのパーキングロック指令信号に基づいてパーキングロック機構82のパーキングアクチュエータを駆動する。これにより、パーキングロック機構82は、パーキングロック解除状態からパーキングロック状態に切り換わる。またパーキングポジションセンサ82aは、パーキングロック状態であることを示す信号をシフタECU86及びシフトドライバ84へ送信する。またこれに応じてシフトドライバ84は、パーキングアクチュエータの駆動を停止する。
【0051】
シフタECU86は、パーキングポジションセンサ82aからパーキングロック状態であることを示す信号を受信したことに応じて、この最新のロック状態情報をRAM86aに書き込む。またシフタECU86は、RAM86aに記憶されている最新のロック状態情報をメインECU88へ送信する。メインECU88は、シフタECU86から最新のロック状態情報を受信したことに応じて、これを充電ECU60へ送信する。充電ECU60は、メインECU88から最新のロック状態情報を受信したことに応じて、これをバックアップRAM60aに書き込む。以上のように、イグニッションスイッチ89がオフにされると、充電ECU60のバックアップRAM60aには、シフタECU86のRAM86aに記憶されている最新のロック状態情報が書き込まれる。
【0052】
メインECU88は、以上の手順によってバックアップRAM60aに最新のロック状態情報が書き込まれた後、低圧バッテリ3から充電ECU60、シフタECU86、メインECU88、及びシフトドライバ84等への電力の供給を停止し、これらを休止状態にし、停止制御処理を終了する。
【0053】
次に、以上のような停止制御処理を経た車両Vに対し、外部充電を行う手順について、図2の下段を参照して説明する。
【0054】
始めに、車両Vの停止中に、利用者によって外部充電を開始するための予備的な操作(具体的には、例えば利用者が充電リッド52を開き、さらに充電コネクタ93をインレット51に接続する操作)が行われると、これを契機として低圧バッテリ3から充電ECU60及びバッテリECU62への電力の供給が開始され、これにより充電ECU60及びバッテリECU62が休止状態から復帰する。また充電ECU60は、休止状態から復帰すると、以下の手順に従って外部充電制御処理を開始する。
【0055】
外部充電制御処理では、充電ECU60は、バックアップRAM60aに記憶されているロック状態情報を参照し、現在、パーキングロック機構82がパーキングロック状態であるか否かを判別する。この判別の結果、ロック状態情報にパーキングロック状態であることが示されている場合には、充電ECU60は、車載充電器54の駆動を開始し、外部電源90から高圧バッテリ2への通電が可能な状態にし、現在の高圧バッテリ2のSOCに応じた態様で高圧バッテリ2の外部充電を開始する。またこの判別の結果、ロック状態情報にパーキングロック解除状態であることが示されている場合には、充電ECU60は、車両Vが移動するおそれがあると判断し、車載充電器54の駆動を開始せず、外部電源90と高圧バッテリ2との間が絶縁された状態を維持する。なお充電ECU60は、高圧バッテリ2の外部充電を実行している間、適宜、メインECU88へ今回の外部充電に関する情報を送信する。
【0056】
本実施形態に係る車両Vによれば、以下の効果を奏する。
(1)充電ECU60が備えるバックアップRAM60aには、パーキングロック機構82によるロック状態情報が書き込まれる。このため、イグニッションスイッチ89をオフにした後、外部充電器Cの充電コネクタ93を車両Vのインレット51に接続し、高圧バッテリ2の外部充電を開始する際には、パーキングロック機構82による回転軸80のロックの状態を確認するために、ロック状態を検出するためのパーキングポジションセンサ82aやこのセンサ82aが接続されているシフタECU86やシフトドライバ84等を稼働させることなく、充電ECU60のバックアップRAM60aに記憶されている情報に基づいてその時のロック状態情報を把握できる。したがって車両Vによれば、パーキングロック機構82に設けられるセンサ82aやそのシフタECU86やシフトドライバ84等を稼働させるための余分な電力を消費せずに外部充電を開始することができる。
【0057】
(2)充電ECU60は、バックアップRAM60aに記憶されているロック状態情報により回転軸80が回転不能な状態であることが示されている場合に、車載充電器54を、外部充電器Cから高圧バッテリ2や低圧バッテリ3への通電が可能な状態にする。これにより外部充電を実行している間に車両Vが移動してしまい、充電ケーブル92が抜けてしまうのを防止できる。
【0058】
(3)車両Vは、運転者によるシフト操作パネル85の操作に応じて、パーキングロック機構82で回転軸80を回転可能な状態と回転不能な状態とで切り替えるパーキングアクチュエータ82bを駆動するシフタECU86やシフトドライバ84を備える、所謂シフトバイワイヤ方式である。このようなシフトバイワイヤ方式は、シフト操作パネル85とパーキングロック機構82とを機械的に接続する従来のシフト機構と比べて操作性やコスト等の様々な面で利点があるものの、シフタECU86やシフトドライバ84を稼働させることなくパーキングロック機構82によるロック状態を把握することが困難であるため、上述のようなイグニッションスイッチ89をオフにした後の外部充電時における課題が顕著になる。これに対し車両Vでは、イグニッションスイッチ89をオフにした後であっても、シフタECU86やシフトドライバ84等を稼働させることなくロック状態情報を把握できる。すなわち車両Vによれば、シフトバイワイヤ方式を採用することによる課題を解消し、利益を享受することができる。
【0059】
(4)車両Vによれば、シフタECU86が備えるRAM86aにはパーキングロック機構82によるロック状態情報が逐次書き込まれ、充電ECU60が備えるバックアップRAM60aには、イグニッションスイッチ89がオフにされたことに応じてRAM86aに記憶されているロック状態情報が書き込まれる。このため、イグニッションスイッチ89をオフにした後、外部充電器Cの充電コネクタ93を車両Vのインレット51に接続し、高圧バッテリ2や低圧バッテリ3の外部充電を開始する際には、シフタECU86を稼働させることなく、充電ECU60のバックアップRAM60aに記憶されている情報に基づいてその時のロック状態情報を把握できる。したがって車両Vによれば、シフタECU86を稼働させるための余分な電力を消費せずに外部充電を開始することができる。
【0060】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限らない。本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜変更してもよい。
【0061】
例えば、上記実施形態では、イグニッションスイッチ89がオフにされたことに応じて、シフタECU86のRAM86aに記憶されている最新のロック状態情報を充電ECU60のバックアップRAM60aに書き込んだが、バックアップRAM60aにロック状態情報を書き込むタイミングはこれに限らない。例えば、バックアップRAM60aには、イグニッションスイッチ89がオフにされる前からRAM86aに記憶されているロック状態情報を逐次書き込んでもよい。
【符号の説明】
【0062】
S…充電システム
V…電動車両(車両)
1…電源システム
2…高圧バッテリ(蓄電器)
51…インレット51
54…車載充電器
60…充電ECU(充電制御装置)
60a…バックアップRAM(記憶媒体)
8…SBWシステム
80…回転軸
81…変速機(駆動力伝達機構)
82…パーキングロック機構(ロック機構)
82a…パーキングロックセンサ
82b…パーキングアクチュエータ(電磁アクチュエータ)
84…シフトドライバ(ロック制御装置)
85…シフト操作パネル(操作部)
86…シフタECU(ロック制御装置)
86a…RAM(別記憶媒体)
89…イグニッションスイッチ(パワースイッチ)
90…外部電源(外部電力供給源)
93…充電コネクタ(コネクタ)
図1
図2