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特開2018-207562配電用変圧器の制御方法とそれに用いる配電用変圧器制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-207562(P2018-207562A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】配電用変圧器の制御方法とそれに用いる配電用変圧器制御システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20181130BHJP
   H02J 3/12 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   H02J13/00 311R
   H02J13/00 301A
   H02J3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-106765(P2017-106765)
(22)【出願日】2017年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】鶴川 信正
(72)【発明者】
【氏名】河島 昭光
(72)【発明者】
【氏名】杉本 裕
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AC05
5G064AC08
5G064BA02
5G064BA05
5G064CB06
5G064CB10
5G064DA03
5G066AA05
5G066AA06
5G066AA09
5G066AB01
5G066AE07
5G066AE11
5G066AE14
5G066DA01
5G066HA10
5G066LA08
(57)【要約】
【課題】バンクシフト後に行われる常時の系統への復旧時において、停電側変圧器のタップ値をシフト側変圧器のタップ値に合わせる操作を正確に行うことが可能な配電用変圧器の制御方法とそれに用いる配電用変圧器制御システムを提供する。
【解決手段】配電用変圧器制御システム1は、通信部1aと、逆潮流発生監視部1bと、配電用変圧器のタップの上げ下げの回数の演算を行う演算部1cと、それらのタップの上げ動作又は下げ動作を行う処理部1dと、記憶部1eと、配電用変圧器の1次側遮断器と2次側遮断器と母線連絡用遮断器について、その接続状態と遮断状態を切り換える制御部1gと、入力部1fと、表示部1hを備えており、通信装置2とともに電力会社の制御所4に設置されている。配電用変電所5には、1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bの他に、通信網NWを介して通信装置2に相互接続される遠方監視制御装置3が設置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電用変電所に設置された配電用変圧器に対し、その1次側と2次側に設けられている1次側遮断器及び2次側遮断器と母線に設けられている遮断器の動作を制御するとともに、1次側に設けられたタップを遠隔操作によって切り換えるように構成された配電用変圧器制御システムであって、
前記配電用変電所との間で各種のデータや信号の送受信を行うための通信部と、
この通信部を介して前記配電用変電所から受信した前記母線の電圧値及び無効電力値に基づいて前記配電用変圧器の前記タップの上げ動作又は下げ動作の回数を演算する演算部と、
この演算部による演算結果が格納される記憶部と、
前記通信部を介して前記1次側遮断器と前記2次側遮断器と前記母線に設けられた遮断器に接続信号又は遮断信号を送って、その接続状態と遮断状態を切り換える制御部と、
この制御部及び前記演算部に対する指示や前記配電用変圧器の前記タップの前記上げ動作又は前記下げ動作の前記回数の入力に用いられる入力部と、
この入力部から入力され、又は前記演算部の演算によって求められた前記タップの前記上げ動作又は前記下げ動作の前記回数に従って前記配電用変圧器に対し、前記タップの切り換えを行う処理部と、
前記記憶部に格納されたデータを表示する表示部と、を備えていることを特徴とする配電用変圧器制御システム。
【請求項2】
第1の配電用変圧器と第1の送電線の間に1次側遮断器が設置され、
第1の母線と前記第1の配電用変圧器の間に2次側遮断器が設置され、
第2の送電線と第2の母線の間に第2の配電用変圧器が設置されるとともに、
前記第1の母線と前記第2の母線の間に母線連絡用遮断器が介設された電力系統に対し、
前記1次側遮断器及び前記2次側遮断器と前記母線連絡用遮断器の動作を制御するとともに、
1次側に設けられたタップを遠隔操作によって切り換えることにより、
前記第1の配電用変圧器又は前記第2の配電用変圧器の2次側に逆潮流が発生した場合にバンクシフトを行うための配電用変圧器の制御方法であって、
前記第1の母線と前記第2の母線の電圧値が一致するように、前記第1の配電用変圧器と前記第2の配電用変圧器の前記タップを切り換える工程と、
前記母線連絡用遮断器を『入』の状態にして前記第1の母線と前記第2の母線を接続する工程と、
バンクシフト後の前記第1の母線及び前記第2の母線の前記電圧値が予め設定された許容範囲内に収まるように前記第1の母線及び前記第2の母線の前記電圧値と無効電力値に基づいて前記第2の配電用変圧器の前記タップを切り換える工程と、
前記2次側遮断器を『切』の状態にして前記第1の配電用変圧器と前記第2の配電用変圧器の併用状態を解消する工程と、
前記1次側遮断器を『切』の状態にして前記第1の配電用変圧器への前記第1の送電線からの電力の供給を停止する工程と、
前記第2の母線の前記電圧値と前記無効電力値に基づいて前記第2の配電用変圧器の前記タップの上げ動作又は下げ動作の回数を算出して記憶する工程と、
この算出された前記上げ動作又は前記下げ動作の前記回数に従って前記第2の配電用変圧器の前記タップを切り換える工程と、を備えていることを特徴とする配電用変圧器の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自家用発電設備が連系された電力系統に逆潮流が発生してバンクシフトを行う場合に用いられる配電用変圧器の制御方法に係り、特に、バンクシフト後の常時系統への復旧作業において2台の変圧器のタップ値を合わせる操作を短時間で正確に行うことができる配電用変圧器の制御方法とそれに用いる配電用変圧器制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力会社の系統(配電網)に自家用発電設備が接続されている状態(系統連系)で、自家用発電設備によって発電された電力が需要家によって消費される電力を上回ると、その余剰電力は自家用発電設備の側から電力会社の系統に供給される。
この現象は逆潮流と呼ばれるが、配電用変圧器の2次側にバッテリが設置されているなどの逆潮流の対策がなされていない配電用変電所では、逆潮流が発生した場合、バンクシフトという操作が行われる。
【0003】
バンクとは、一般に複数個の同様の装置が組み合わされて、1つの装置として使用されているものを指すが、本明細書では、特に、1台以上の変圧器のまとまりを「バンク」と表現している。すなわち、単相変圧器の場合には、2台若しくは3台を組み合わせた状態が1バンクとなり、3相変圧器の場合には、1台で1バンクとなる。
また、バンクシフトとは、逆潮流が発生した場合に、運転中の複数バンクの変圧器の一部を停止し、この停止した変圧器(以下、停電側変圧器という。)に接続されていた負荷に対して、もう一方の変圧器(以下、シフト側変圧器という。)の側から、逆潮流の元となった余剰の電力を供給するものである。
【0004】
ここで、バンクシフト時と常時系統への復旧時の手順について図4乃至図7を用いて説明する。
図4(a)及び図4(b)と図5(a)及び図5(b)は、2台の配電用変圧器(以下、1号バンク変圧器及び2号バンク変圧器という。)を有する電力系統の一例を示す図である。また、図6及び図7は、それぞれバンクシフト時の手順と常時系統への復旧時の手順を示したフローチャートである。
【0005】
図4及び図5に示すように、1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bは、1次側遮断器(1次側CB)52a,52bを介してそれぞれ送電線55a,55bに接続されるとともに、2次側遮断器(2次側CB)53a,53bを介してそれぞれ母線56a,56bにそれぞれ接続されている。そして、母線56a,56bは母線連絡用遮断器(母連CB)57を介して互いに接続されており、母線56a,56bには複数の負荷54a,54bがそれぞれ接続されている。
【0006】
1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bには、それぞれ負荷時タップ切換装置(Load Regulation:以下、LRという。)が設置されている。LRには、『自動』及び『手動』という2種類の動作モードがあり、動作モードが『自動』に設定されている場合には、母線の電圧値と無効電力値に基づいて変圧器の1次側の巻線に設けられているタップを切り換えるという機能を有している。ただし、LRの動作モードが『手動』に設定されている場合には、1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bは、後述するように制御所から送られるタップ切換信号に従って、タップが切り換えられる構造となっている。
また、後述するように、LRの動作モードの設定と、1次側遮断器52a,52b及び2次側遮断器53a,53bと母線連絡用遮断器57の接続状態の切り換えは、制御所からの遠隔操作が可能となっており、母線56a,56bの電圧値と無効電力値も制御所において確認できるようになっている。
【0007】
図4(a)に示すように、常時の系統では、1次側遮断器52a,52bと2次側遮断器53a,53bがいずれも『入』の状態になっており、母線連絡用遮断器57が『切』の状態になっているため、送電線55a,55bから1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bにそれぞれ供給された電力は、母線56a,56bを介して負荷54a,54bにそれぞれ供給される(矢印X参照)。
【0008】
このような構成の系統において、例えば、図4(b)に矢印Xで示すように2号バンク変圧器51bの2次側に逆潮流が発生した場合、図6に示す手順に従って、以下のようにバンクシフト操作を行う。
まず、図6のステップS1に示すように、LRの動作モードを『手動』に設定した後、母線56a,56bの電圧値と無効電力値を確認する。
【0009】
ステップS2では、母線56a,56bの電圧値が一致するように1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bのタップを制御所からの遠隔操作によって手動で切り換える。
ステップS3では、制御所からの遠隔操作によって母線連絡用遮断器57を『入』の状態にする。これにより、母線56a,56bが接続されるため、1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bは併用状態となる(図5(a)参照)。
【0010】
ステップS4では、母線56a,56bの電圧値と無効電力値を確認した後、制御所からの遠隔操作によって、バンクシフト後の母線56a,56bの電圧値が許容範囲に収まるように2号バンク変圧器51bのタップを手動で切り換える。
ステップS5では、制御所からの遠隔操作によって2次側遮断器53aを『切』の状態にして1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bの併用状態を解消し、さらに、ステップS6において、制御所からの遠隔操作によって1次側遮断器52aを『切』の状態にして1号バンク変圧器51aへの送電線55aからの電力の供給を停止する(図5(b)参照)。
【0011】
そして、母線56a,56bの電圧値と無効電力値を確認した後、ステップS7において、LRの動作モードを『自動』に設定する。これにより、バンクシフトが完了し、図5(b)に矢印Xで示すように、逆潮流の元となった余剰の電力が母線56bから母線56aを経て負荷54aに供給される。
【0012】
次に、バンクシフト後に常時の系統に復旧する手順について図7を用いて説明する。
まず、図7のステップS8に示すように、LRの動作モードを『手動』に設定した後、母線56a,56bの電圧値と無効電力値を確認する。次に、ステップS9において、制御所からの遠隔操作によって1次側遮断器52aを『入』の状態にして1号バンク変圧器51aへ送電線55aから電力を供給する。
ステップS10では、2号バンク変圧器51bの現在のタップ値に1号バンク変圧器51aのタップ値が一致するように1号バンク変圧器51aのタップを制御所からの遠隔操作によって手動で切り換える。
【0013】
ステップS11では、制御所からの遠隔操作によって2次側遮断器53aを『入』の状態にして1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bを併用状態にした後、母線56a,56bの電圧値と無効電力値を確認し、必要に応じて、1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bのタップを制御所からの遠隔操作によって手動で切り換える。
ステップS12では、制御所からの遠隔操作によって母線連絡用遮断器57を『切』の状態にする。これにより、母線56a,56bの接続が遮断されるため、1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bの併用状態が解消される(図4(a)参照)。
【0014】
1号バンク変圧器51aや2号バンク変圧器51bなどの配電用変圧器の2次側にバッテリが設置されていない変電所において、逆潮流対策として、上述のバンクシフトを実施することについては既に公知であり、それに関して、これまでにもいろいろな発明や考案が開示されている。
例えば、特許文献1には、「変圧器逆潮流制御システム」という名称で、配電用変圧器の2次側に逆潮流が発生した場合にバンクシフトを実施するシステムに関する発明が開示されている。
【0015】
特許文献1に開示された発明は、高圧配電系統における逆潮流対策を行うための変圧器逆潮流制御システムであり、監視制御システム及び配電自動化システムとの間で各種のデータや信号の送受信を行うための送受信部と、逆潮流発生監視部と、バンクシフト制御手段と、を備えている。
さらに、逆潮流発生監視部から第2の配電用変圧器の2次側に逆潮流が発生した旨を示す逆潮流発生検出信号が入力されると、バンクシフト制御手段が第2の配電用変圧器よりも定格容量の大きい第1の配電用変圧器をシフト側変圧器とするとともに第2の配電用変圧器を停電側変圧器として、停電側変圧器の1次側および2次側に設置された1次側遮断器と2次側遮断器を遮断し、さらに、シフト側変圧器に接続された第1の母線と停電側変圧器に接続された第2の母線との間に設けられた母線連絡遮断器を投入してバンクシフト操作を実施するように構成されている。
そして、シフト側変圧器に過負荷が生じないか、算出した電圧変化量が許容範囲内であるか、第1および第2の母線電圧値の電圧差の絶対値が所定の電圧値以下となるか等の判定をした上で前述のバンクシフト操作を実施することを特徴としている。
このような構成の「変圧器逆潮流制御システム」によれば、バッテリを使用することなく、逆潮流の対策を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2016−208774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
バンクシフト後に行われる常時の系統への復旧作業では、図7を用いてステップS10として既に説明したように、停電側の1号バンク変圧器51aを母線56aに接続する前に、1号バンク変圧器51aのタップ値が2号バンク変圧器51bの現在のタップ値と一致するように、1号バンク変圧器51aのタップを手動で切り換える必要がある。ただし、2号バンク変圧器51bのタップ値は後述の遠方監視制御装置に送信されていないため、このとき制御所では、そのタップ値を確認することができない。
しかし、制御所の運転員が自身の経験等に基づいて1号バンク変圧器51aのタップ値を予測して、その切換操作を行うと、常時の系統に戻した際に各バンクの送り出し電圧が基準値を大きく逸脱してしまうおそれがある。
【0018】
特許文献1には、バンクシフト後に行われる常時の系統への復旧作業に関し、何ら記載がないことから、特許文献1に開示された発明では、常時の系統への復旧作業における上述の課題を解決することはできない。
【0019】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであって、バンクシフト後に行われる常時の系統への復旧時において、停電側変圧器(1号バンク変圧器51a)のタップ値をシフト側変圧器(2号バンク変圧器51b)のタップ値に合わせる作業を正確に行うことが可能な配電用変圧器の制御方法とそれに用いる配電用変圧器制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するため、第1の発明に係る配電用変圧器制御システムは、配電用変電所に設置された配電用変圧器に対し、その1次側と2次側に設けられている1次側遮断器及び2次側遮断器と母線に設けられている遮断器の動作を制御するとともに、1次側に設けられたタップを遠隔操作によって切り換えるように構成された配電用変圧器制御システムであって、配電用変電所との間で各種のデータや信号の送受信を行うための通信部と、この通信部を介して配電用変電所から受信した母線の電圧値及び無効電力値に基づいて配電用変圧器のタップの上げ動作又は下げ動作の回数を演算する演算部と、この演算部による演算結果が格納される記憶部と、通信部を介して1次側遮断器と2次側遮断器と母線に設けられた遮断器に接続信号又は遮断信号を送って、その接続状態と遮断状態を切り換える制御部と、この制御部及び演算部に対する指示や配電用変圧器のタップの上げ動作又は下げ動作の回数の入力に用いられる入力部と、この入力部から入力され、又は演算部の演算によって求められたタップの上げ動作又は下げ動作の回数に従って配電用変圧器に対し、タップの切り換えを行う処理部と、記憶部に格納されたデータを表示する表示部と、を備えていることを特徴とするものである。
【0021】
このような構造の配電用変圧器制御システムにおいては、処理部が演算部の演算結果に従って配電用変圧器のタップの切り換えを行った場合、タップの上げ動作又は下げ動作の回数が演算部の演算結果として記憶部に格納されるという作用を有する。
【0022】
また、第2の発明は、第1の配電用変圧器と第1の送電線の間に1次側遮断器が設置され、第1の母線と第1の配電用変圧器の間に2次側遮断器が設置され、第2の送電線と第2の母線の間に第2の配電用変圧器が設置されるとともに、第1の母線と第2の母線の間に母線連絡用遮断器が介設された電力系統に対し、1次側遮断器及び2次側遮断器と母線連絡用遮断器の動作を制御するとともに、1次側に設けられたタップを遠隔操作によって切り換えることにより、第1の配電用変圧器又は第2の配電用変圧器の2次側に逆潮流が発生した場合にバンクシフトを行うための配電用変圧器の制御方法であって、第1の母線と第2の母線の電圧値が一致するように、第1の配電用変圧器と第2の配電用変圧器のタップを切り換える工程と、母線連絡用遮断器を『入』の状態にして第1の母線と第2の母線を接続する工程と、バンクシフト後の第1の母線及び第2の母線の電圧値が予め設定された許容範囲内に収まるように第1の母線及び第2の母線の電圧値と無効電力値に基づいて第2の配電用変圧器のタップを切り換える工程と、2次側遮断器を『切』の状態にして第1の配電用変圧器と第2の配電用変圧器の併用状態を解消する工程と、1次側遮断器を『切』の状態にして第1の配電用変圧器への第1の送電線からの電力の供給を停止する工程と、第2の母線の電圧値と無効電力値に基づいて第2の配電用変圧器のタップの上げ動作又は下げ動作の回数を算出して記憶する工程と、この算出された上げ動作又は下げ動作の回数に従って第2の配電用変圧器のタップを切り換える工程と、を備えていることを特徴とする。
【0023】
このような配電用変圧器の制御方法においては、バンクシフト後に第2の母線の電圧値と無効電力値に基づいて第2の配電用変圧器のタップの上げ動作又は下げ動作の回数を算出して記憶する工程と、この算出された上げ動作又は下げ動作の回数に従って第2の配電用変圧器のタップを切り換える工程と、を備えていることから、バンクシフト後から常時の系統に復旧するまでの間に第2の配電用変圧器のタップが切り換えられた履歴の把握が容易であるという作用を有する。
【発明の効果】
【0024】
自家用発電設備が連系された電力系統に逆潮流が発生してバンクシフトを行った場合、シフト側変圧器はLRによってタップが切り換えられて、バンクシフト直後の状態からタップ値が変化しているため、常時の系統に復旧させる際には、停電側変圧器のタップ値をシフト側変圧器のタップ値に合わせる必要がある。前述したように、配電用変圧器のタップ値に関する情報は遠方監視制御装置に送信されていないことが多く、制御所の運転員が自身の経験に基づいて、停電側変圧器のタップ値を予測して、その切換操作を行った場合には、常時の系統に戻した際に各バンクの送り出し電圧が基準値を大きく逸脱してしまうおそれがあった。
【0025】
これに対し、バンクシフト後にLRの代わりに第1の発明を用いた場合、処理部にシフト側変圧器のタップの切り換えを行わせると、タップの上げ動作又は下げ動作の回数が演算部の演算結果として記憶部に格納されることになる。
すなわち、第1の発明によれば、上述のタップの上げ動作又は下げ動作の回数を記憶部から読み出して表示部に表示させることで容易に確認できるため、バンクシフト後に行われる常時の系統への復旧作業において、停電側変圧器のタップ値を正確にシフト側変圧器のタップ値に合わせることが可能である。
【0026】
第2の発明によれば、バンクシフト後から常時の系統に復旧するまでの間に第2の配電用変圧器のタップが切り換えられた履歴の把握が容易であることから、バンクシフト後に行われる常時の系統への復旧作業において、停電側変圧器(第1の配電用変圧器)のタップ値を正確にシフト側変圧器(第2の配電用変圧器)のタップ値に合わせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】(a)及び(b)はそれぞれ本発明の実施の形態に係る配電用変圧器制御システムの設置場所とその構成を示したブロック図である。
図2】本実施の形態に係る配電用変圧器制御システムを用いてバンクシフトを行う際の手順を示したフローチャートである。
図3】本実施の形態に係る配電用変圧器制御システムを用いてバンクシフトを行った後に常時の系統への復旧作業を行う際の手順を示したフローチャートである。
図4】(a)及び(b)は2台の配電用変圧器を有する電力系統の一例を示す図である。
図5】(a)及び(b)は2台の配電用変圧器を有する電力系統の一例を示す図である。
図6】バンクシフト時の手順を示したフローチャートである。
図7】常時系統への復旧時の手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の配電用変圧器の制御方法とそれに用いる配電用変圧器制御システムについて図1乃至図5を用いて説明する。なお、以下の説明では、図4及び図5を用いて既に説明した1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bをそれぞれ停電側変圧器及びシフト側変圧器としている。また、図4及び図5に示した構成要素については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【実施例】
【0029】
図1(a)及び図1(b)はそれぞれ配電用変圧器制御システムの設置場所とその構成の一例を示したブロック図である。また、図2及び図3は、その配電用変圧器制御システムを用いてバンクシフトを行う際の手順とバンクシフト後の常時の系統への復旧作業を行う際の手順をそれぞれ示したフローチャートである。
【0030】
図1(a)に示すように、配電用変圧器制御システム1は、通信装置2とともに電力会社の制御所4に設置されており、1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bが設置された配電用変電所5には、遠方監視制御装置3が設置されている。そして、通信装置2と遠方監視制御装置3は、通信網NWを介して相互接続されている。
【0031】
図1(b)に示すように、配電用変圧器制御システム1は、配電用変電所5との間で各種のデータや信号の送受信を行うために通信装置2に接続されている通信部1aと、この通信部1aを介して配電用変電所5から受信した潮流方向データに基づいて1号バンク変圧器51aや2号バンク変圧器51bの2次側に逆潮流が発生したか否かを監視し、逆潮流が発生したと判断した場合には制御部1gに逆潮流発生信号を送信する逆潮流発生監視部1bと、母線56a,56bの電圧値及び無効電力値に基づいて1号バンク変圧器51aや2号バンク変圧器51bのタップの上げ下げの回数の演算を行う演算部1cと、通信部1aと通信装置2を介して1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bにタップ切換信号を送り、そのタップの上げ動作又は下げ動作を所定の回数行う処理部1dを備えている。
【0032】
さらに、配電用変圧器制御システム1は、演算部1cによる演算結果が格納される記憶部1eと、通信部1aを介して1次側遮断器52a,52bと2次側遮断器53a,53bと母線連絡用遮断器57に接続信号又は遮断信号を送って、その接続状態と遮断状態を切り換える前述の制御部1gと、キーボードやマウス等からなり、この制御部1g及び演算部1cに対する指示や1号バンク変圧器51a及び2号バンク変圧器51bのタップの上げ下げの回数の入力に用いられる入力部1fと、通信部1aを介して配電用変電所5から受信した母線56a,56bの電圧値及び無効電力値などのデータや記憶部1eに格納されたデータを表示する表示部1hを備えている。
【0033】
そして、入力部1fに演算部1cに対して動作モードを設定する指示が入力されると、演算部1cは、その指示に従って、動作モードが『使用』又は『不使用』のいずれかに設定される。なお、演算部1cの動作モードが『使用』に設定されている場合、処理部1dは、上記タップの上げ下げの回数として演算部1cの演算によって求められた値を用い、演算部1cの動作モードが『不使用』に設定されている場合には入力部1fから入力された値を用いるように構成されている。
【0034】
また、制御部1gは逆潮流発生信号を受信した場合又は入力部1fから所定の指示が入力された場合に、1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bのLRに動作切換信号を送る構造となっており、LRはこの動作信号によって、動作モードが『自動』又は『手動』のいずれかに設定される構造となっている。
すなわち、1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bのタップは、LRの動作モードが『自動』に設定されている場合にはLRによって切り換えられ、LRの動作モードが『手動』に設定されている場合には配電用変圧器制御システム1の処理部1dによって切り換えられる。
なお、逆潮流が発生する前の常時の系統においては、LRの動作モードは『自動』に設定されており、配電用変圧器制御システム1の演算部1cの動作モードは『使用』に設定されている。
【0035】
配電用変電所5には1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bの1次側の電流値と2次側の電流値を検出して、1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bの2次側の潮流方向を判定し、その結果を潮流方向データとして遠方監視制御装置3に送信する潮流方向判定装置(図示せず)が設置されている。
【0036】
次に、図2及び図3を参照しながら、配電用変圧器制御システム1aを用いてバンクシフトを行う際の手順について説明する。
図2に示すように、まず、ステップS1において、遠方監視制御装置3から通信装置2を介して通信部1aが受信した潮流方向データDに基づいて、逆潮流発生監視部1bが2号バンク変圧器51bの2次側に逆潮流が発生したと判断すると、逆潮流発生信号を制御部1gに送信する。その結果、制御部1gは通信部1aと通信装置2を介して1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bのLRに動作切換信号Cを送って、LRの動作モードを『手動』に設定する。
【0037】
ステップS2aでは、入力部1fから演算部1cに対する指示を入力して、その動作モードを『不使用』に設定する。
ステップS2bでは、母線56a,56bの電圧値と無効電力値を表示部1hによって確認した後、母線56a,56bの電圧値を一致させるために必要な1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bのタップの上げ下げの回数を計算し、それを入力部1fから入力する。処理部1dは、入力部1fから入力されたタップの上げ下げの回数に従って、通信部1aと通信装置2を介して1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bにタップ切換信号Cを送り、それらのタップの上げ下げを所定の回数だけ行う。
【0038】
ステップS3では、入力部1fから制御部1gに母線連絡用遮断器57を操作させるための指示を入力する。制御部1gは、この入力された指示に従って通信部1aと通信装置2を介して母線連絡用遮断器57に接続信号Cを送る。これにより、母線連絡用遮断器57は『入』の状態になって母線6a,6bが接続され、1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bは併用状態となる。
ステップS4では、母線56a,56bの電圧値と無効電力値を表示部1hによって確認した後、予め設定された許容範囲内にバンクシフト後の母線56a,56bの電圧値を収めるために必要な1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bのタップの上げ下げの回数を計算し、それを入力部1fから入力する。処理部1dは、この入力されたタップの上げ下げの回数に従って、通信部1aと通信装置2を介して1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bにタップ切換信号Cを送り、それらのタップの上げ下げを所定の回数だけ行う。
【0039】
ステップS5では、入力部1fから制御部1gに2次側遮断器53aを操作させるための指示を入力する。この入力された指示に従って制御部1gが通信部1aと通信装置2を介して2次側遮断器53aに遮断信号Cを送る。これにより、2次側遮断器53aは『切』の状態になり、1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bの併用状態が解消される。
ステップS6では、入力部1fから制御部1gに1次側遮断器52aを操作させるための指示を入力する。この入力された指示に従って制御部1gが通信部1aと通信装置2を介して1次側遮断器52aに遮断信号Cを送る。これにより、1次側遮断器52aは『切』の状態になり、1号バンク変圧器51aに対する送電線55aからの電力の供給が中断される。
【0040】
ステップS7では、入力部1fから演算部1cに対する指示を入力して、その動作モードを『使用』に設定する。
ステップS8では、配電用変電所5から通信装置2を介して通信部1aが受信した母線56bの電圧値と無効電力値に基づいて、2号バンク変圧器51bのタップの上げ下げの回数を演算部1cが算出し、その結果を処理部1dに送るとともに、記憶部1eへ読み出し可能に格納する。そして、処理部1dは、演算部1cの演算結果に従って、通信部1aと通信装置2を介して2号バンク変圧器51bにタップ切換信号Cを送り、そのタップの上げ下げを所定の回数だけ行う。
【0041】
次に、バンクシフト後に常時の系統に復旧する手順について図3を用いて説明する。
まず、図3のステップS9に示すように、入力部1fから演算部1cに対する指示を入力して、その動作モードを『不使用』に設定した後、母線56bの電圧値と無効電力値を確認する。
ステップS10では、入力部1fから制御部1gに1次側遮断器52aを操作させるための指示を入力する。この入力された指示に従って制御部1gは通信部1aと通信装置2を介して1次側遮断器52aに接続信号Cを送る。これにより、1次側遮断器52aは『入』の状態になり、1号バンク変圧器51aに送電線55aから電力が供給される。
ステップS11では、記憶部1eから読み出されて表示部1hに表示されたタップの上げ下げの回数を確認し、それを入力部1fから入力する。処理部1dは、入力部1fから入力されたタップの上げ下げの回数に従って、通信部1aと通信装置2を介して1号バンク変圧器51aにタップ切換信号Cを送り、そのタップの上げ下げを所定の回数だけ行う。これにより、2号バンク変圧器51bの現在のタップ値に1号バンク変圧器51aのタップ値が一致する。
【0042】
ステップS12では、入力部1fから制御部1gに2次側遮断器53aを操作させるための指示を入力する。制御部1gは、この入力された指示に従って通信部1aと通信装置2を介して2次側遮断器53aに接続信号Cを送る。これにより、2次側遮断器53aは『入』の状態になり、1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bは併用状態となる。
ステップS13では、表示部1hによって母線56a,56bの電圧値と無効電力値を確認した後、必要に応じて、1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bのタップの上げ下げの回数を計算し、それを入力部1fから入力する。処理部1dは、入力部1fから入力されたタップの上げ下げの回数に従って、通信部1aと通信装置2を介して1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bにタップ切換信号Cを送り、それらのタップの上げ下げを所定の回数だけ行う。
【0043】
ステップS14では、入力部1fから制御部1gに母線連絡用遮断器57を操作させるための指示を入力する。制御部1gは、この入力された指示に従って通信部1aと通信装置2を介して母線連絡用遮断器57に遮断信号Cを送る。これにより、母線連絡用遮断器57は『切』の状態になって母線6a,6bが遮断され、1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bは併用状態が解消される。
ステップS15では、入力部1fから制御部1gに1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bのLRを操作させるための指示を入力する。制御部1gは、この入力された指示に従って通信部1aと通信装置2を介して1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bのLRに動作切換信号Cを送って、その動作モードを『自動』に設定する。
最後に、ステップS16において、入力部1fから演算部1cに対する指示を入力して、その動作モードを『使用』に設定する。
【0044】
既に述べたように、自家用発電設備が連系された電力系統に逆潮流が発生してバンクシフトを行った場合、シフト側変圧器はLRによってタップが切り換えられて、バンクシフト直後の状態からタップ値が変化しているため、常時の系統に復旧させる際には、停電側変圧器のタップ値をシフト側変圧器のタップ値に合わせる必要がある。しかしながら、配電用変圧器のタップ値に関する情報は遠方監視制御装置に送信されていないことが多いため、制御所の運転員が自身の経験に基づいて、停電側変圧器のタップ値を正確に予測することは困難である。
【0045】
これに対し、本発明の配電用変圧器制御システム1においては、演算部1cの動作モードを『使用』にして、処理部1dに2号バンク変圧器51bのタップの切り換えを行わせると、タップの上げ下げの回数が演算部1cの演算結果として記憶部1eに格納されるという作用を有する。
すなわち、2号バンク変圧器51bの2次側に逆潮流が発生した場合、LRの動作モードを『手動』に設定し(図2のステップS1参照)、配電用変圧器制御システム1を用いて1号バンク変圧器51aと2号バンク変圧器51bのタップを手動で切り換え(図2のステップS2b及びステップS4参照)、さらに、バンクシフト後に演算部1cの動作モードを『使用』にして(図2のステップS7参照)、処理部1dに2号バンク変圧器51bのタップの切り換えを行わせることにより(図2のステップS8参照)、バンクシフト後から常時の系統に復旧するまでの間に2号バンク変圧器51bのタップが切り換えられた履歴が、タップの上げ下げの回数として配電用変圧器制御システム1の記憶部1eに格納されるという作用が発揮される。この場合、記憶部1eから読み出して表示部1hに表示させることで、上述のタップの上げ下げの回数をいつでも容易に確認することができる。
したがって、配電用変圧器制御システム1を用いた本発明の配電用変圧器の制御方法によれば、バンクシフト後に行われる常時の系統への復旧作業を行う際に、上述のタップの上げ下げの回数を表示部1hで容易に確認できるため、1号バンク変圧器51aのタップ値を正確に2号バンク変圧器51bのタップ値に合わせて、当該復旧作業を短時間に効率よく行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、配電用変圧器の2次側にバッテリが設置されていない配電用変電所において逆潮流が発生し、制御所からの遠隔操作によってバンクシフトを行う必要が生じた場合などに利用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1…配電用変圧器制御システム 1a…通信部 1b…逆潮流発生監視部 1c…演算部 1d…処理部 1e…記憶部 1f…入力部 1g…制御部 1h…表示部 2…通信装置 3…遠方監視制御装置 4…制御所 5…配電用変電所 51a…1号バンク変圧器 51b…2号バンク変圧器 52a,52b…1次側遮断器 53a,53b…2次側遮断器 54a,54b…負荷 55a,55b…送電線 56a,56b…母線 57…母線連絡用遮断器 NW…通信網
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7