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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-207573(P2018-207573A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】電線の保護ケース
(51)【国際特許分類】
   H02G 11/00 20060101AFI20181130BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20181130BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   H02G11/00
   B60R16/02 623U
   B60R16/02 620A
   H02G3/04 037
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-107140(P2017-107140)
(22)【出願日】2017年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】大川 大輔
【テーマコード(参考)】
5G357
5G371
【Fターム(参考)】
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD01
5G357DD02
5G357DD10
5G357DE01
5G371AA01
5G371BA01
5G371CA01
(57)【要約】
【課題】電線が通されたコルゲートチューブを収容可能な保護ケースにコルゲートチューブを収容する際の作業性に優れた保護ケースを提供すること。
【解決手段】電線の保護ケース1は、電線61が通されたコルゲートチューブ65を収容可能なケース本体10と、コルゲートチューブ65の一の端部65aと連動し且つ一の端部65aから延出する電線61をケース本体10の一の開口部31を通じて外部へ延ばすように保持可能なスライダ50と、を備える。ケース本体10は、スライダ50の移動に伴うケース本体10内におけるコルゲートチューブ65の形態の変化を許容する空洞部22と、コルゲートチューブ65の他の端部65bから延出する電線61をケース本体10の他の開口部11に向けて案内する案内路21aと、空洞部22と案内路21aとの間にて他の端部65bを挟んで保持する一対の壁面を有するコルゲートチューブ保持部21cと、を有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線が通されたコルゲートチューブを内部に収容可能なケース本体と、
前記コルゲートチューブの一の端部と連動するスライダであって、前記ケース本体に沿って移動可能であり、前記一の端部から引き出された前記電線を前記ケース本体の一の開口部を通じて内部から外部へ延ばすように保持可能なスライダと、
を備えた、電線の保護ケースであって、
前記ケース本体は、
前記スライダの移動に伴う該ケース本体の内部における前記コルゲートチューブの形態の変化を許容する空洞部と、前記コルゲートチューブの他の端部から引き出された前記電線を該ケース本体の他の開口部に向けて案内する案内路と、前記空洞部と前記案内路との間において前記他の端部を挟んで保持する一対の壁面を有するコルゲートチューブ保持部と、を有する、
電線の保護ケース。
【請求項2】
請求項1に記載の保護ケースにおいて、
前記ケース本体は、
前記案内路と前記コルゲートチューブ保持部とが接続される箇所における前記案内路の開口面積が、前記コルゲートチューブの前記他の端部が通過不能な大きさである、ように構成された、
電線の保護ケース。
【請求項3】
請求項2に記載の保護ケースにおいて、
前記ケース本体は、
前記案内路と前記コルゲートチューブ保持部とが接続される箇所における前記案内路の開口位置が、前記コルゲートチューブ保持部に保持された前記コルゲートチューブの前記他の端部の開口位置に対してオフセットする、ように構成された、
電線の保護ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の保護ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両用のスライドシートのように所定の範囲内を移動可能な構造体に設けられた電装品に対してワイヤハーネス(具体的には、ワイヤハーネスに含まれる電線)を接続するべく、スライドシートとワイヤハーネスとの様々な接続構造が提案されている。
【0003】
具体的には、従来の接続構造の一つは、車両の車体フロア(床下)に配索されたワイヤハーネスから引き出した電線と、スライドシートに内蔵された電装品に繋がる電線と、を中継するための電線配索ケースを備えている。この電線配索ケースは、電線が通されたコルゲートチューブを内部に収容すると共に、このコルゲートチューブの両端から延びる電線を外部に引き出すようになっている。そして、外部に引き出された電線の一端は、スライダに取り付けられ、スライドシートの移動に合わせてスライダと共に移動するようになっている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5179943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の電線配索ケースは、コルゲートチューブを内部に収容するべく、溝部を有する筐体と、その筐体を覆うカバーと、を有している。そして、電線配索ケースにコルゲートチューブを収容する際、溝部に合わせた形状にコルゲートチューブを湾曲させた状態にて溝部にコルゲートチューブを入れ込んだ後、その溝部を覆うように、カバーを筐体に取り付けるようになっている。
【0006】
しかし、使用するコルゲートチューブの材質および形状などによっては、溝部に配置されたコルゲートチューブの形状が弾性回復することにより、溝部からコルゲートチューブが外れる等の位置ズレが生じる場合がある。このようなコルゲートチューブの位置ズレは、電線配索ケースにコルゲートチューブを収容する際の作業性を低下させる原因となり得る。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電線が通されたコルゲートチューブを収容可能な保護ケースにコルゲートチューブを収容する際の作業性に優れた電線の保護ケース、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電線の保護ケースは、下記(1)〜(3)を特徴としている。
(1)
電線が通されたコルゲートチューブを内部に収容可能なケース本体と、
前記コルゲートチューブの一の端部と連動するスライダであって、前記ケース本体に沿って移動可能であり、前記一の端部から引き出された前記電線を前記ケース本体の一の開口部を通じて内部から外部へ延ばすように保持可能なスライダと、
を備えた、電線の保護ケースであって、
前記ケース本体は、
前記スライダの移動に伴う該ケース本体の内部における前記コルゲートチューブの形態の変化を許容する空洞部と、前記コルゲートチューブの他の端部から引き出された前記電線を該ケース本体の他の開口部に向けて案内する案内路と、前記空洞部と前記案内路との間において前記他の端部を挟んで保持する一対の壁面を有するコルゲートチューブ保持部と、を有する、
電線の保護ケースであること。
(2)
上記(1)に記載の保護ケースにおいて、
前記ケース本体は、
前記案内路と前記コルゲートチューブ保持部とが接続される箇所における前記案内路の開口面積が、前記コルゲートチューブの前記他の端部が通過不能な大きさである、ように構成された、
電線の保護ケースであること。
(3)
上記(2)に記載の保護ケースにおいて、
前記ケース本体は、
前記案内路と前記コルゲートチューブ保持部とが接続される箇所における前記案内路の開口位置が、前記コルゲートチューブ保持部に保持された前記コルゲートチューブの前記他の端部の開口位置に対してオフセットする、ように構成された、
電線の保護ケースであること。
【0009】
上記(1)の構成の電線の保護ケースによれば、コルゲートチューブが配置される空洞部と、コルゲートチューブから引き出された電線が案内される案内路と、の間に、コルゲートチューブの端部を保持するコルゲートチューブ保持部が設けられている。よって、ケース本体にコルゲートチューブを収容する際、このコルゲートチューブ保持部にコルゲートチューブの端部を保持させれば、コルゲートチューブの弾性回復などによるコルゲートチューブの位置ズレを抑制できる。更に、コルゲートチューブ保持部が一対の壁面によってコルゲートチューブの端部を挟むように構成されているため、コルゲートチューブの端部をケース本体で完全に覆うように保持する場合などに比べ、端部を保持する作業が容易になる。
【0010】
したがって、本構成の保護ケースは、電線が通されたコルゲートチューブを収容可能な保護ケースにコルゲートチューブを収容する際の作業性に優れる。
【0011】
更に、本構成の保護ケースは、別の効果も有する。具体的には、スライダの移動に伴ってコルゲートチューブの形態が変化する際、コルゲートチューブから引き出された電線に過度な外力が及ばないように、コルゲートチューブの端部はケース本体に固定されることが好ましい。本構成によれば、コルゲートチューブ保持部によってコルゲートチューブの端部が保持されているため、別の固定具などを用いなくても、コルゲートチューブの端部を固定し得る。また、別の固定具などを用いる場合であっても、コルゲートチューブ保持部によってコルゲートチューブの端部が保持されている分だけ、その固定具の大きさ及び構造などを簡素化し得る。よって、本構成の保護ケースは、固定具などを省略し得る又は簡素化し得る点において、上記構成を有さない場合に比べて小型化し得る。
【0012】
上記(2)の構成の電線の保護ケースによれば、案内路の開口面積の大きさが、コルゲートチューブの端部が通過不能な大きさとなっている。よって、保護ケースにコルゲートチューブを収容する際および収容後にスライダを移動させた際などに、コルゲートチューブの端部が案内路に近付く向きの外力がコルゲートチューブに及んでも、コルゲートチューブの端部が案内路に入り込むことがない。したがって、コルゲートチューブの位置ズレが更に確実に抑制される。
【0013】
上記(3)の構成の電線の保護ケースによれば、案内路の開口位置が、コルゲートチューブの端部の開口位置に対してオフセットするようになっている。よって、上述したようにコルゲートチューブに外力が及んでも、コルゲートチューブの端部が案内路の開口位置に近付き難い。したがって、コルゲートチューブの位置ズレが更に確実に抑制される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電線が通されたコルゲートチューブを収容可能な保護ケースにコルゲートチューブを収容する際の作業性に優れた保護ケースを提供できる。
【0015】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施形態に係る電線の保護ケースを利用したスライドシートの、車両のフロアパネルへの取付構造を説明するための図である。
図2図2は、保護ケースを上側からみた斜視図である。
図3図3は、保護ケースを下側からみた斜視図である。
図4図4(a)は、ブラケットの周りを拡大した保護ケースの下面図であり、図4(b)は、ブラケットの下面図である。
図5図5は、ブラケットを下側からみた斜視図である。
図6図6は、ブラケットの周りを拡大した保護ケースの斜視図である。
図7図7(a)は、保護ケースの上面図であり、図7(b)は、上ケースを除去した状態の保護ケースの上面図であり、図7(c)は、保護ケースの下面図である。
図8図8(a),図8(b)は、スライダがスライドする際における、保護ケースの内部のワイヤハーネスの形態の変化を説明するための図である。
図9図9(a)は、図7(b)におけるコルゲートチューブ保持部の周りを拡大した図であり、図9(b)は、図7(c)におけるコルゲートチューブ保持部の周りを拡大した図である。
図10図10(a)、図10(b)及び図10(c)は、それぞれ、図7(a)のA−A断面図、B−B断面図及びC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る電線の保護ケース、及び、その保護ケースを利用したスライドシート、について説明する。
【0018】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る電線の保護ケース1は、スライドシート70に対応して用いられる。スライドシート70は、シート全体の前後方向の位置を調整する電動モータ、及び、シートの背もたれ部の角度を調整する電動モータなどの複数種類の電装品(図示省略)を内蔵している。スライドシート70は、車両のフロアパネル80の上面(車室内側の面)に固定された車両前後方向に延びる一対のシートレール90に対して、車両前後方向に移動可能に組み付けられる。
【0019】
保護ケース1は、長尺状の形状を有し、一対のシートレール90それぞれに対応して、各シートレール90の近傍にて車両前後方向に沿うように、フロアパネル80に固定される。保護ケース1は、フロアパネル80に配索されたワイヤハーネスから引き出した電線(図示省略。以下、「フロア側電線」という。)と、スライドシート70に内蔵された電装品に繋がる電線(図示省略。以下、「シート側電線」という。)と、を電気的に接続する(中継する)ためのワイヤハーネス60(図3等を参照)を保護する機能、及び、ワイヤハーネス60を固定する機能を備えている。
【0020】
ワイヤハーネス60は、図3等に示すように、複数の電線61と、複数の電線61それぞれの一端側に取り付けられた複数のフロア側コネクタ62と、複数の電線61それぞれの他端側に取り付けられた複数のシート側コネクタ63と、を備える。フロア側コネクタ62は、フロア側電線の端部に設けられたコネクタ(図示省略)と接続される。シート側コネクタ63は、シート側電線の端部に設けられたコネクタ(図示省略)と接続される。
【0021】
以下、保護ケース1の詳細について、図2図8を参照しながら説明する。以下、説明の便宜上、図2に示すように、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」を定義する。「前後方向」、「幅方向」及び「上下方向」は、互いに直交する。
【0022】
保護ケース1は、複数の電線61を内部に収容可能なケース本体10と、ケース本体10に固定されたブラケット40(図3等を参照)と、ケース本体10に前後方向に相対移動可能に支持されたスライダ50(図2等を参照)と、を備える。後述するように、ブラケット40は、フロア側コネクタ62をケース本体10に固定する機能を有し、スライダ50は、シート側コネクタ63近傍の電線61をケース本体10に対して前後方向に相対移動可能に保持する機能を有する。
【0023】
先ず、ケース本体10について説明する。ケース本体10は、長尺状の形状を有し下側に位置する下ケース20と、長尺状の形状を有し上側に位置する上ケース30と、を有する(図2,3,7等を参照)。下ケース20は、複数の電線61を所定の配索形状になるように収容する機能を主として有し、上ケース30は、下ケース20に収容された電線61を外部に露出しないように覆う機能を主として有する。
【0024】
下ケース20の上面外縁部の合わせ面と、上ケース30の下面外縁部の合わせ面とが当接した状態にて、下ケース20及び上ケース30の外縁部同士を所定の締結部材(ボルト等)で締結固定することで、ケース本体10が完成する。
【0025】
図3、及び、図7(b),(c)に示すように、下ケース20には、複数の電線61を収容する(受け入れる)ための電線収容部21が設けられている。図3から理解できるように、電線収容部21は、下方に向けて窪むと共に、前方に開放し前後方向に延びるU字状の凹部として形成されている。よって、ケース本体10の内部にて、複数の電線61は、電線収容部21に倣って、前方に開放し前後方向に延びるU字状に配索される(図7(b)を参照)。
【0026】
ケース本体10の内部にU字状に配索された電線61の右側の前端側部分(U字の右側の直線部分)は、ケース本体10に形成された開口部11(他の開口部。図3図7(c)を参照)を通ってケース本体10の内部から外部へ延出してフロア側コネクタ62と接続されている。ケース本体10の内部にU字状に配索された電線61の左側の前端側部分(U字の左側の直線部分)は、スライダ50のスライダ本体51、及び、上ケース30のスリット31(一の開口部)を通ってケース本体10の内部から外部へ延出してシート側コネクタ63と接続されている。
【0027】
開口部11からケース本体10の外部に延出した複数の電線61の開口部11の近傍部分には、その外周を覆うようにコルゲートチューブ64が設けられている。電線61におけるコルゲートチューブ64が設けられた部分は、固定具66(図3図4図7(c)を参照)によって下ケース20に固定されている。
【0028】
ケース本体10の内部にU字状に配索された電線61における、スライダ50の前後方向の移動に伴って形態が変化する部分(U字の屈曲部分)には、コルゲートチューブ65が設けられている。コルゲートチューブ65の左側の端部65aは、固定具68(図7(b)を参照)によってスライダ本体51に固定されている。コルゲートチューブ65の右側の端部65bは、固定具67(図7(b)、図10(b),(c)を参照)によって下ケース20に固定されている。
【0029】
このように、電線収容部21における前後方向に延びる一対の直線部分のうち右側の部分(U字の右側の直線状の凹部)は、コルゲートチューブ65の端部65bから引き出された電線61をケース本体10の開口部11に向けて案内する案内路21aとして機能する。電線収容部21における前後方向に延びる一対の直線部分のうち左側の部分(U字の左側の直線状の凹部)は、スライダ本体51に固定されたコルゲートチューブ65の端部65aにおけるスライダ50の前後方向の移動に伴う位置の変化を許容する許容部21bとして機能する。
【0030】
電線収容部21における後端側の部分(屈曲するコルゲートチューブ65を収容する凹部)は、前後方向に延びるように前後方向に大きく拡幅された矩形状の形状を有している。この前後方向に延びる矩形状の部分は、図8に示すように、スライダ50の前後方向の移動に伴い、ケース本体10の内部におけるコルゲートチューブ65の形態の変化を許容する空洞部22として機能する。このように、電線収容部21は、前後方向に延びる矩形状の空洞部22と、空洞部22の前端部の左右両側部分からそれぞれ前方に延びる案内路21a及び許容部21bと、から構成されている。
【0031】
電線収容部21における、空洞部22と案内路21aとの接続部分は、コルゲートチューブ保持部21cを構成している(図3図7(b),(c)、図9を参照)。特に、コルゲートチューブ保持部21cを拡大した図9に示すように、コルゲートチューブ保持部21cは、コルゲートチューブ65の端部65bを一対の壁面21d,21eによって挟んで保持している。
【0032】
本例では、上述のように、コルゲートチューブ65の端部65bが固定具67によっても固定されているが、コルゲートチューブ保持部21cによってコルゲートチューブ65の端部65bが保持されているため、固定具67を用いなくても、コルゲートチューブ65の端部65bを固定し得るようになっている。
【0033】
また、本例のように、固定具67を用いる場合であっても、コルゲートチューブ保持部21cを有さない場合に比べ、固定具67の大きさ及び構造などを簡素化し得る。このように、コルゲートチューブ65の端部65bが下ケース20に固定されているため、コルゲートチューブ65の弾性回復などによるコルゲートチューブ65の位置ズレを抑制できる。
【0034】
電線収容部21における、案内路21aとコルゲートチューブ保持部21cとの接続部分における案内路21aの開口面積は、コルゲートチューブ65の端部65bが通過不能な大きさであるように設計されている。このため、下ケース20にコルゲートチューブ65を収容する際、及び、収容後にスライダ50を移動させた際、コルゲートチューブ65の端部65bが案内路21aに近付く向き(即ち、前向き)の外力がコルゲートチューブ65に及んでも、その端部65bが案内路21aに入り込むことがない。よって、コルゲートチューブ65の端部65bの位置ズレが防止される。
【0035】
更に、図9(a)、及び、図10(a)〜(c)から理解できるように、案内路21aとコルゲートチューブ保持部21cとの接続部分における案内路21aの開口位置が、コルゲートチューブ保持部21cに保持されたコルゲートチューブ65の端部65bの開口位置に対して(本例では左側に)オフセットしている。このため、上述したように、コルゲートチューブ65の端部65bが案内路21aに近付く向き(前向き)の外力がコルゲートチューブ65に及んだとき、その端部65bが案内路21aに近付き難いため、端部65bが案内路21aに入り込むことがより確実に防がれる。
【0036】
図7(b)に示すように、下ケース20の前後方向に延びる左側縁部の近傍には、下方に窪むと共に前後方向に延びる溝23が形成されている。この溝23は、スライダ50を前後方向に移動可能に支持する機能を果たす(詳細は後述)。
【0037】
図2、及び、図7(a)に示すように、上ケース30の前後方向に延びる左側縁部の近傍には、前後方向の全域に亘って前後方向に延びるスリット31(貫通孔)が設けられている。このスリット31も、溝23と同様、スライダ50を前後方向に移動可能に支持する機能を果たす(詳細は後述)。
【0038】
次いで、ブラケット40について説明する。図3、及び、図7(c)に示すように、樹脂製のブラケット40は、下ケース20の下面の前端部近傍に設けられている。ブラケット40は、複数(本例では、3つ)のフロア側コネクタ62を固定する機能を主として有する。
【0039】
図4図6に示すように、ブラケット40のブラケット本体41には、複数のフロア側コネクタ62それぞれを固定するための複数(本例では、3つ)のコネクタ保持部42が設けられている。複数のコネクタ保持部42それぞれに、複数のフロア側コネクタ62が固定される(図6を参照)。フロア側コネクタ62を固定する具体的な構造としては、周知の構造の一つが採用され得る。
【0040】
ブラケット本体41には、複数のフロア側コネクタ62近傍の複数の電線61を束ねて保持するための電線保持部43が設けられている。図5に示すように、電線保持部43は、本体41の左側面からL字状に延びるステー44と、ステー44の先端部に位置するヒンジ部45を支点に開閉可能にステー44に対して設けられたカバー46と、を備える。カバー46に設けられた係止孔46aを本体41側の係止突起47に係止させることで、カバー46が閉位置に保持されるようになっている。
【0041】
カバー46が開位置の状態で、ステー44の内部空間に、開口部11から延出し且つフロア側コネクタ62近傍の複数の電線61を束ねて挿入し、その後にカバー46を閉位置に維持することで、カバー46とステー44との間の空間内にて、複数の電線61が束ねて保持される(図6を参照)。このように、複数の電線61は、開口部11とコネクタ保持部42との間において、電線保持部43により束ねて保持される。本例では、3つの電線61のうちの2つの電線61が電線保持部43によって束ねて保持されている。
【0042】
ここで、ケース本体10から電線61が引き出される開口部11とコネクタ保持部42との間において、各々の電線61の余長が異なる場合がある。この点、保護ケース1では、ケース本体10の開口部11とコネクタ保持部42との間において、電線保持部43により、複数の電線61を束ねて保持するので、仮に各々の電線61の余長が異なっていても、余長を吸収するスペースとしては電線保持部43の大きさに対応したスペースだけを確保すればよい。
【0043】
ブラケット本体41の前後方向の両端部には、左側に向けて開口する一対の固定用孔48が設けられている。これら一対の固定用孔48に、下ケース20の下面の前端部近傍に設けられた右方向に延びる一対のアーム24(図6を参照)をそれぞれ挿入することで、ブラケット本体41(よって、ブラケット40)が下ケース20(よって、ケース本体10)に固定される。
【0044】
ここで、ブラケット40のコネクタ保持部42に複数のフロア側コネクタ62を固定した後に、ブラケット40をケース本体10に取り付けるようにすれば、ケース本体10に複数のフロア側コネクタを個別に取り付ける場合に比べ、複数のフロア側コネクタ62を固定する作業の作業性を向上できる。このように、複数のフロア側コネクタ62は、ブラケット40によってケース本体10に固定される。
【0045】
次いで、スライダ50について説明する。図2、及び、図7(a),(b)に示すように、スライダ50は、上方に開口する穴部52を内部に有する箱状のスライダ本体51と、スライダ本体51の上縁部の前方部分から前方に向けて延びるステー53を備える。ステー53には貫通孔54が設けられている。
【0046】
スライダ本体51の底壁(下壁)には、下ケース20の溝23に嵌合可能な第1嵌合部(図示省略)が設けられ、スライダ本体51の上下方向中央位置には、上ケース30に設けられたスリット31に嵌合する第2嵌合部(図示省略)が設けられている。第1、第2嵌合部が溝23及びスリット31に嵌合することで、スライダ本体51(よって、スライダ50)が、ケース本体10に対して前後方向にのみ移動可能に支持されている。
【0047】
ケース本体10の内部にU字状に配索された複数の電線61における固定具68(図7(b)を参照)によってスライダ本体51に固定された部分は、スライダ本体51の右側側壁における上ケース30(スリット31)より下側に位置する部分に設けられた貫通孔(図示省略)を通って穴部52に進入し、穴部52(よって、スリット31)を通って、穴部52の上方開口から外部へ延出している。
【0048】
外部に延出した複数の電線61は、貫通孔54を上側から下側に向けて通過して複数のシート側コネクタ63まで延びている。このように、複数のシート側コネクタ63近傍の複数の電線61は、スライダ50によってケース本体10に対して前後方向に相対移動可能に保持されている。
【0049】
以上のようにワイヤハーネス60が配索された保護ケース1は、下ケース20の下面の複数個所(本例では、3か所)に設けられたステー25(図3、及び、図7(c)を参照)を利用して、シートレール90の近傍にて車両前後方向に沿うようにフロアパネル80に固定される(図1を参照)。そして、複数のフロア側コネクタ62に、フロア側電線の端部に設けられたコネクタ(図示省略)と接続し、複数のシート側コネクタ63に、シート側電線の端部に設けられたコネクタ(図示省略)と接続することで、フロア側電線とシート側電線とが電気的に接続されて、スライドシート70に内蔵された電装品が機能を果たし得る状態となる。
【0050】
また、スライドシート70がフロアパネル80に対して前後方向に移動する際には、スライドシート70の移動(よって、シート側コネクタ63の移動)に合わせてスライダ50が自由に(受動的に)移動することで、シート側コネクタ63とシート側電線の端部に設けられたコネクタとの接続部分に無理な負荷がかかることがない。
【0051】
以上、説明したように、本実施形態に係る電線の保護ケース1によれば、ケース本体10にコルゲートチューブ65が配置される空洞部22と、コルゲートチューブ65から引き出された電線61が案内される案内路21aと、の間に、コルゲートチューブ65の端部65bを保持するコルゲートチューブ保持部21cが設けられている。したがって、ケース本体10にコルゲートチューブ65を収容する際、このコルゲートチューブ保持部21cにコルゲートチューブ65の端部65bを保持させれば、コルゲートチューブ65の弾性回復などによるコルゲートチューブ65の位置ズレを抑制できる。
【0052】
更に、スライダ50の移動に伴ってコルゲートチューブ65の形態が変化する際、コルゲートチューブ65から引き出された電線61に過度な外力が及ばないように、コルゲートチューブ65の端部65bはケース本体10に固定されることが好ましい。本実施形態によれば、コルゲートチューブ65の端部65bが固定具67によっても固定されているが、コルゲートチューブ保持部21cによってコルゲートチューブ65の端部65bが保持されているため、固定具67を用いなくてもコルゲートチューブ65の端部65bが固定され得る。また、本実施形態のように、固定具67を用いる場合であっても、コルゲートチューブ保持部21cを有さない場合に比べ、固定具67の大きさ及び構造などを簡素化し得る。よって、保護ケース1の小型化に貢献し得る。
【0053】
したがって、本実施形態の保護ケース1は、電線61が通されたコルゲートチューブ65を収容可能な保護ケース1にコルゲートチューブ65を収容する際の作業性に優れる。更に、本実施形態の保護ケース1は、保護ケース1自体の大きさを従来よりも小型化し得る。
【0054】
更に、案内路21aの開口面積の大きさが、コルゲートチューブ65の端部65bが通過不能な大きさとなっている。そのため、保護ケース1にコルゲートチューブ65を収容する際、及び、収容後にスライダ50を移動させた際、コルゲートチューブ65の端部65bが案内路21aに近付く向き(前向き)の外力がコルゲートチューブ65に及んでも、その端部65bが案内路21aに入り込むことがない。よって、コルゲートチューブ65の端部65bの位置ズレが防止される。
【0055】
更に、保護ケース1にコルゲートチューブ65が収容されたとき、案内路21aの開口位置が、コルゲートチューブ65の端部65bの開口位置に対してオフセットするようになっている。そのため上述したように、コルゲートチューブ65の端部65bが案内路21aに近付く向き(前向き)の外力がコルゲートチューブ65に及んだとき、その端部65bが案内路21aに入り込むことがより確実に防がれる。
【0056】
<他の態様>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用できる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0057】
例えば、上記実施形態では、案内路21aの開口面積の大きさが、コルゲートチューブ65の端部65bが通過不能な大きさとなっている。これに対し、案内路21aの開口面積の大きさが、コルゲートチューブ65の端部65bが通過可能な大きさとなっていてもよい。
【0058】
更に、上記実施形態では、保護ケース1にコルゲートチューブ65が収容されたとき、案内路21aの開口位置が、コルゲートチューブ65の端部65bの開口位置に対してオフセットするようになっている。これに対し、保護ケース1にコルゲートチューブ65が収容されたとき、案内路21aの開口位置が、コルゲートチューブ65の端部65bの開口位置と一致するように(オフセットしないように)なっていてもよい。
【0059】
ここで、上述した本発明に係る電線の保護ケースの実施形態の特徴をそれぞれ以下(1)〜(3)に簡潔に纏めて列記する。
(1)
電線(61)が通されたコルゲートチューブ(65)を内部に収容可能なケース本体(10)と、
前記コルゲートチューブ(65)の一の端部(65a)と連動するスライダ(50)であって、前記ケース本体(10)に沿って移動可能であり、前記一の端部(65a)から引き出された前記電線(61)を前記ケース本体(10)の一の開口部(31)を通じて内部から外部へ延ばすように保持可能なスライダ(50)と、
を備えた、電線の保護ケース(1)であって、
前記ケース本体(10)は、
前記スライダ(50)の移動に伴う該ケース本体(10)の内部における前記コルゲートチューブ(65)の形態の変化を許容する空洞部(22)と、前記コルゲートチューブ(65)の他の端部(65b)から引き出された前記電線(61)を該ケース本体(10)の他の開口部(11)に向けて案内する案内路(21a)と、前記空洞部(22)と前記案内路(21a)との間において前記他の端部(65b)を挟んで保持する一対の壁面(21d,21e)を有するコルゲートチューブ保持部(21c)と、を有する、
電線の保護ケース(1)。
(2)
上記(1)に記載の保護ケースにおいて、
前記ケース本体(10)は、
前記案内路(21a)と前記コルゲートチューブ保持部(21c)とが接続される箇所における前記案内路(21a)の開口面積が、前記コルゲートチューブ(65)の前記他の端部(65b)が通過不能な大きさである、ように構成された、
電線の保護ケース。
(3)
上記(2)に記載の保護ケースにおいて、
前記ケース本体(10)は、
前記案内路(21a)と前記コルゲートチューブ保持部(21c)とが接続される箇所における前記案内路(21a)の開口位置が、前記コルゲートチューブ保持部(21c)に保持された前記コルゲートチューブ(65)の前記他の端部(65b)の開口位置に対してオフセットする、ように構成された、
電線の保護ケース。
【符号の説明】
【0060】
1 電線の保護ケース
10 ケース本体
11 開口部(他の開口部)
21a 案内路
21c コルゲートチューブ保持部
21d,21e 一対の壁面
22 空洞部
31 スリット(一の開口部)
50 スライダ
61 電線
65 コルゲートチューブ
65a コルゲートチューブの端部(一の端部)
65b コルゲートチューブの端部(他の端部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10