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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-207725(P2018-207725A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】スタータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 23/66 20060101AFI20181130BHJP
   F02N 15/00 20060101ALI20181130BHJP
   H02K 23/04 20060101ALI20181130BHJP
   H02K 23/08 20060101ALI20181130BHJP
   H02K 23/48 20060101ALI20181130BHJP
   H02K 7/10 20060101ALI20181130BHJP
   H02K 1/16 20060101ALI20181130BHJP
   F02N 11/00 20060101ALN20181130BHJP
【FI】
   H02K23/66 Z
   F02N15/00 Z
   H02K23/04
   H02K23/08
   H02K23/48
   H02K7/10 E
   H02K1/16 Z
   F02N11/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-113356(P2017-113356)
(22)【出願日】2017年6月8日
(11)【特許番号】特許第6345314号(P6345314)
(45)【特許公報発行日】2018年6月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 雅美
(72)【発明者】
【氏名】亀井 光一郎
(72)【発明者】
【氏名】松原 健修
(72)【発明者】
【氏名】金田 直人
【テーマコード(参考)】
5H601
5H607
5H623
【Fターム(参考)】
5H601BB19
5H601CC01
5H601CC09
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD18
5H601FF02
5H601FF17
5H601GB12
5H601GB33
5H601GB48
5H607BB01
5H607BB04
5H607BB14
5H607BB23
5H607CC07
5H607DD02
5H607DD03
5H607EE02
5H607EE31
5H607FF02
5H623BB07
5H623GG03
5H623GG13
5H623GG28
(57)【要約】
【課題】この発明は、界磁コイルの短絡後でも、トルクの低下を抑制できるスタータを得る。
【解決手段】スタータは、磁気回路を構成する円筒状のヨーク、上記ヨークの内周に回転可能に配設されたアマチュア、および磁極を発生する界磁部を有し、上記界磁部は、第1永久磁石と、上記ヨークの内周面から径方向内方に突出するティース部に巻回され、上記アマチュアと直列に接続された界磁コイルと、を有しており、バッテリからの電力の供給を受けて回転力を発生するモータと、上記界磁コイルと並列に接続されて、閉路して上記界磁コイルを短絡する短絡スイッチと、を備え、第2永久磁石が、上記ティース部の先端面に配設されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気回路を構成する円筒状のヨーク、上記ヨークの内周に回転可能に配設されたアマチュア、および磁極を発生する界磁部を有し、
上記界磁部は、第1永久磁石と、上記ヨークの内周面から径方向内方に突出するティース部に巻回され、上記アマチュアと直列に接続された界磁コイルと、を有しており、
バッテリからの電力の供給を受けて回転力を発生するモータと、
上記界磁コイルと並列に接続されて、閉路して上記界磁コイルを短絡する短絡スイッチと、を備えるスタータにおいて、
第2永久磁石が、上記ティース部の先端面に配設されているスタータ。
【請求項2】
鍔部が上記ティース部の先端部から周方向両側に突出するように形成されており、
上記第2永久磁石の周方向幅をMwとし、上記ティース部の周方向幅をPwとしたときに、Mw/Pwが0.4以上である請求項1記載のスタータ。
【請求項3】
上記第2永久磁石の径方向厚みをMtとし、上記鍔部の径方向厚みをPtとしたときに、Mt/Ptが1.5以上、3.0以下である請求項2記載のスタータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のエンジンを始動させるためのスタータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁押し込み式スタータが、エンジンを始動させるスタータとして知られていた。従来の電磁押し込み式スタータでは、電磁スイッチのコイルに通電して、電磁スイッチの内部接点を閉じることにより、バッテリよりスタータへ電力を供給し、アマチュアに回転トルクを発生させていた、このアマチュアの回転力が、噛合わされたピニオンギヤとエンジンのリングギヤを介してエンジンクランク軸へ伝えられ、エンジンが始動する。このとき、電磁スイッチの閉時には、まだアマチュアは静止状態であり、逆起電圧が発生していないため、極めて小さいスタータ内部抵抗により数百〜千数百アンペアの突入電流が流れる。この起動電流(突入電流)により、バッテリの端子電圧が低下し、電圧降下が発生する。これにより、車両の他の電気機器、電子機器、例えばオーディオ、ナビゲーションシステム、EUCなどの瞬断を引き起こす問題があった。この瞬断は通常の車両のエンジンの始動では特に問題にはならないが、アイドリングストップ機能の搭載された車両などでは、アイドリングストップ後の再始動を行う際に瞬断が発生し、運転手や同乗者に不快感を与える状況となっていた。そこで、この瞬断を回避するために、予備電源を備えたり、あるいは昇圧用DC/DCコンバータを搭載したりして、バッテリの電圧の低下を防ぐ対策が採られていた。
【0003】
このような状況を鑑み、特許文献1では、モータに界磁を発生させる界磁部を永久磁石と界磁コイルとで構成し、電磁スイッチのメイン接点が閉じると界磁コイルを介して電流を流すことにより、モータへの突入電流を低減し、所定の時間経過後、界磁コイルを短絡することにより、瞬断のないエンジンの始動を可能としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5959583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、エンジンの始動初期において、突入電流を抑制するために界磁コイルに電流を流し、界磁コイルに電流を流すことにより発生する磁束と永久磁石の磁束とによって、高トルクを実現していた。しかし、界磁コイルに電流を流してから所定の時間経過後に、界磁コイルを短絡していたので、界磁コイルの短絡後には、界磁コイルの磁束がなくなり、トルクが低下してしまう。そこで、界磁コイルの短絡後では、排気量が大きく、低温時のフリクションの高いエンジンを始動できなくなるという課題があった。
【0006】
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、界磁コイルの短絡後でも、トルクの低下を抑制できるスタータを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によるスタータは、磁気回路を構成する円筒状のヨーク、上記ヨークの内周に回転可能に配設されたアマチュア、および磁極を発生する界磁部を有し、上記界磁部は、第1永久磁石と、上記ヨークの内周面から径方向内方に突出するティース部に巻回され、上記アマチュアと直列に接続された界磁コイルと、を有しており、バッテリからの電力の供給を受けて回転力を発生するモータと、上記界磁コイルと並列に接続されて、閉路して上記界磁コイルを短絡する短絡スイッチと、を備え、第2永久磁石が、上記ティース部の先端面に配設されている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、界磁コイルが短絡されて、界磁コイルによる磁束が消失しても、第2永久磁石の磁束が存在し、トルクの低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の実施の形態1に係るスタータを示す部分断面図である。
図2】この発明の実施の形態1に係るスタータのモータを示す断面図である。
図3】この発明の実施の形態1に係るスタータの回路図である。
図4】この発明の実施の形態1に係るスタータにおける界磁鉄心と第2永久磁石との関係を説明する模式図である。
図5】この発明の実施の形態1に係るスタータにおけるMw/Pwが0.2の時のトルク特性を示す図である。
図6】この発明の実施の形態1に係るスタータにおけるMw/Pwが0.4の時のトルク特性を示す図である。
図7】この発明の実施の形態1に係るスタータにおけるMw/Pwが0.6の時のトルク特性を示す図である。
図8】この発明の実施の形態1に係るスタータにおけるMw/Pwが0.8の時のトルク特性を示す図である。
図9】この発明の実施の形態1に係るスタータにおけるバッテリ電圧とモータ電流の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るスタータを示す部分断面図、図2はこの発明の実施の形態1に係るスタータのモータを示す断面図である。
【0011】
図1および図2において、スタータ100は、電磁スイッチ1、吸引コイル2、プランジャ3、レバー4、回転トルクを発生するモータ5、モータ5の回転を減速して出力する内部減速部7、内部減速部7を介してモータ5の回転軸と連結され、内部減速部7で減速された回転動力を出力する出力軸6、出力軸6に嵌合するオーバーランニングクラッチ8、オーバーランニングクラッチ8と一体に出力軸6上を軸方向に摺動移動可能に設けられたピニオンギヤ9などを備える。
【0012】
電磁スイッチ1は、モータ5および内部減速部7の外周に位置し、その中心軸が出力軸6と略平行に配置される。この電磁スイッチ1は、吸引コイル2に通電されると、プランジャ3を磁気吸引し、吸引コイル2への通電が解除されると、リターンスプリング(図示せず)によりプランジャ3を押し戻して、モータ5の通電回路を開閉するように構成されている。レバー4は、レバー支点40を中心として回動可能に取り付けられている。レバー4の一端がオーバーランニングクラッチ8に係合され、他端がプランジャ3に連結されている。
【0013】
モータ5は、磁気回路を構成する円筒状のヨーク51と、界磁を発生する界磁部50と、を備える。界磁部50は、界磁コイルユニット52と、第1永久磁石55と、を備える。界磁コイルユニット52は、界磁コイル54を界磁鉄心53に巻回して構成され、界磁コイル54と界磁鉄心53は一体成形により絶縁部材59により覆われている。界磁コイルユニット52と第1永久磁石55は、ヨーク51の内周に周方向に等角ピッチで交互に2つずつ配設されている。また、4本の補助磁極56が、それぞれ、軸方向に延びて、周方向に等角ピッチでヨーク51の内周面に固着されている。界磁コイルユニット52と第1永久磁石55とが、補助磁極56間のそれぞれに配設され、弾性部材で作製されたホルダ57により補助磁極56間に保持されている。さらに、第2永久磁石58が、界磁鉄心53の先端面である内周面の周方向の中央部に埋め込まれている。第2永久磁石58は、界磁鉄心53の内周面と面一となっている。
【0014】
また、モータ5は、ヨーク51の軸心位置に回転可能に配設された、一端に整流子61を備えるアマチュア60と、整流子61の外周に配置されるブラシ62と、を備える。アマチュア60は、図示していないが、電機子鉄心および電機子巻線から構成される。
【0015】
スタータ100がエンジンを始動する際には、まず、電磁スイッチ1の吸引コイル2が通電される。これにより、励磁されたプランジャ3が、図1の左方向(矢印A方向)に吸引されて移動されるとともに、一端がプランジャ3に係合されたレバー4が、レバー支点40を中心に反時計方向にシーソー回動する。これにより、レバー4の他端に係合されたオーバーランニングクラッチ8が、出力軸6上を図1の右方向(矢印B方向)に移動し、ピニオンギヤ9とエンジンに直結されているリングギヤ10とが噛み合う。
【0016】
また、プランジャ3が図1の左方向に移動することにより、電磁スイッチ1の接点(図示せず)が閉路して、後述するバッテリ11からの電流がモータ5へと供給される。これによりモータ5が駆動され、回転トルクが発生する。モータ5に発生したトルクは、内部減速部7、出力軸6、オーバーランニングクラッチ8、ピニオンギヤ9へと順に伝達され、ピニオンギヤ9を介してリングギヤ10を回転させることで、エンジンを始動させる。
【0017】
ここで、界磁部50の磁極は、複数の対となったN極とS極で構成され、一方の極が界磁コイル54で構成され、他方の極が第1永久磁石55で構成されている。なお、第2永久磁石58の極性は、界磁コイル54と同じ極性に構成されている。
【0018】
つぎに、スタータ100の回路構成について図3を参照しつつ説明する。図3はこの発明の実施の形態1に係るスタータの回路図である。
【0019】
スタータ100は、モータ5に電力を供給する電源としてのバッテリ11と、バッテリ11に接続された始動スイッチ12と、バッテリ11とアマチュア60との間に直列に接続された電磁スイッチ1と、電磁スイッチ1とアマチュア60との間に直列に接続された界磁コイル54と、界磁コイル54と並列に接続された短絡スイッチ14と、第1永久磁石55と、を備える。
短絡スイッチ14は、一対の固定接点14aからなる常開接点と、駆動コイル14bと、を有する。この常開接点は、界磁コイル54と並列に接続されている。駆動コイル14bは、その一端がアマチュア60と界磁コイル54との間に接続され、他端が接地されている。
【0020】
電磁スイッチ1は、一対の固定接点13からなる常開接点と、駆動コイル2aと保持コイル2bとからなる吸引コイル2と、を有する。この常開接点は、バッテリ11と界磁コイル54との間に直列に接続されている。駆動コイル2aは、その一端が常開接点と界磁コイル54との間に接続され、他端が保持コイル2bの一端に接続されている。保持コイル2bの他端が接地されている。始動スイッチ12が、バッテリ11と保持コイル2bの一端との間に直列に接続されている。
【0021】
このように構成されたスタータ100の動作について説明する。
【0022】
<第1ステップ>
エンジン始動要求により、始動スイッチ12が閉路され、駆動コイル2aおよび保持コイル2bに通電される。これにより、電流Iaが、バッテリ11から始動スイッチ12、電磁スイッチ1の駆動コイル2aおよび界磁コイル54を通ってモータ5に供給される。この電流Iaによりモータ5で回転トルクが発生し、ピニオンギヤ9がエンジンに直結されているリングギヤ10側への移動を開始する。
【0023】
<第2ステップ>
駆動コイル2aおよび保持コイル2bに通電されることで、一対の固定接点13が閉路となる。一対の固定接点13が閉路となると、駆動コイル2aに流れていた電流Iaがほぼ消滅する。そして、電流Ibが、バッテリ11から、閉路された一対の固定接点13と界磁コイル54を通ってモータ5に流れる。この電流Ibによりモータ5で発生する回転トルクがピニオンギヤ9を介してリングギヤ10に伝達され、エンジンの始動が開始される。
保持コイル2bは、始動スイッチ12を介してバッテリ11と接続されているので、電流が保持コイル2bに供給され、一対の固定接点13の閉路が維持される。
【0024】
<第3ステップ>
モータ5が回転を開始してから発生する逆起電力の作用により、短絡スイッチ14の駆動コイル14bの一端にかかる電圧が、モータ5の回転の上昇とともに上昇する。始動スイッチ12が閉路してから所定時間経過後、すなわち界磁コイル54に通電してから所定時間経過後、駆動コイル14bの一端にかかる電圧が所定の電圧値となり、短絡スイッチ14のプランジャが駆動され、一対の固定接点14aが自動的に閉路となる。これにより、界磁コイル54に流れていた電流が消失し、界磁コイル54による磁束がなくなる。
【0025】
実施の形態1では、始動スイッチ12が閉路となると、界磁コイル54に電流が流れるので、モータ5への突入電流が小さくなり、バッテリ11の端子電圧の低下が抑制される。これにより、車両の電子機器の瞬断が抑制される。また、スタータ100をアイドリングストップ機能の搭載された車両に搭載しても、アイドリングストップ後の再始動を行う際の瞬断の発生が抑制される。さらに、瞬断を回避するための予備電源や昇圧用DC/DCコンバータを搭載する必要がないので、小型化および低コスト化が図られる。
【0026】
第2永久磁石58が界磁鉄心53に配設されているので、界磁コイル54による磁束が消失しても、第2永久磁石58による磁束が存在する。そこで、第2ステップから第3ステップに切り替わっても、磁束量が確保され、高いトルクを維持することができる。これにより、スタータ100は、排気量が大きく、低温時のフリクショントルクの高いエンジンでも、始動させることができる。さらに、スタータ100は、モータ5のサイズを大きくすることなく、幅広い排気量のエンジンの始動に適用することができる。
さらに、第2永久磁石58による磁束により、モータ5の無負荷時におけるアマチュア60の回転速度が速くなりすぎることが抑制されるので、整流子61の破損の発生が抑制され、整流子61の長寿命化が図られる。
【0027】
ここで、第3ステップでは、第2永久磁石58は、界磁コイル54の磁束がなくなることによる磁束の減少を抑える。一方、第2ステップにおける界磁コイル54の界磁においては、第2永久磁石58は減磁となり、磁束が若干低下する。そのため、第2永久磁石58を適正なサイズに設定する必要がある。
【0028】
つぎに、界磁鉄心53と第2永久磁石58との寸法関係について検討する。図4はこの発明の実施の形態1に係るスタータにおける界磁鉄心と第2永久磁石との関係を説明する模式図である。
【0029】
図4において、界磁鉄心53は、界磁コイル54が巻回されるティース部53aと、ティース部53aの内周端から周方向両側に突出する鍔部53bと、を備える。第2永久磁石58は、円弧状に湾曲した板状に作製され、ティース部53aの内周面の周方向中央部に、ティース部53aの内周面と面一となり、かつ軸方向に延びるように埋め込まれている。Mwは第2永久磁石58の幅(周方向幅)、Mtは第2永久磁石58の厚み(径方向幅)、Pwは界磁鉄心53のティース部53aの幅(周方向幅)、Ptは界磁鉄心53の鍔部53bの厚み(径方向幅)である。
【0030】
ここで、ティース部53aは一定の周方向幅を有する長方形断面に形成されているが、周方向幅が径方向内方に向かって漸次減少する先細り形状でもよい。この場合、幅Mwは、ティース部53aの周方向幅の平均値となる。また、鍔部53bは一定の径方向幅を有する円弧状断面に形成されているが、径方向幅が周方向外方に向かって漸次減少する先細り形状でもよい。この場合、厚みMtは、鍔部53bの径方向幅の平均値となる。
【0031】
Mw/Pwをパラメータとして、所定の電流値におけるスタータ100のトルク特性を測定した結果を図5から図8に示す。図5はこの発明の実施の形態1に係るスタータにおけるMw/Pwが0.2の時のトルク特性を示す図、図6はこの発明の実施の形態1に係るスタータにおけるMw/Pwが0.4の時のトルク特性を示す図、図7はこの発明の実施の形態1に係るスタータにおけるMw/Pwが0.6の時のトルク特性を示す図、図8はこの発明の実施の形態1に係るスタータにおけるMw/Pwが0.8の時のトルク特性を示す図である。各図において、一点鎖線は第2ステップでのトルク特性を示し、点線は第3ステップでのトルク特性を示している。また、トルク指数値は、第2ステップと第3ステップとのトルク特性の積より求めた値であり、第2ステップと第3ステップとのトルク特性に基づいて第2永久磁石58の適正なサイズを見極めるための指標であり、トルク指数値が高いほど、第2永久磁石58のサイズが適正であることを意味している。
【0032】
図5から、Mw/Pw=0.2の場合には、第2永久磁石58の厚みMtを厚くしても、第2ステップから第3ステップに移行すると、トルクが低下することが確認された。
図6から、Mw/Pw=0.4の場合には、Mt/Ptが1.5未満であると、第2ステップから第3ステップに移行すると、トルクが低下し、Mt/Ptが1.5以上であると、第2ステップから第3ステップに移行して、トルクが高くなることが確認された。
図7から、Mw/Pw=0.6の場合には、Mt/Ptが0.4未満であると、第2ステップから第3ステップに移行すると、トルクが低下し、Mt/Ptが0.4以上であると、第2ステップから第3ステップに移行して、トルクが高くなることが確認された。
図8から、Mw/Pw=0.8の場合には、Mt/Ptが0.3未満であると、第2ステップから第3ステップに移行すると、トルクが低下し、Mt/Ptが0.3以上であると、第2ステップから第3ステップに移行して、トルクが高くなることが確認された。
【0033】
したがって、Mw/Pw≧0.4、かつMt/Pt≧1.5を満足するように、第2永久磁石58の寸法を設定すれば、第2ステップから第3ステップに移行しても、トルクの低下を抑制できることがわかる。
【0034】
図7および図8から、Mt/Ptが2〜3の範囲で、トルク指数値が最大値をとり、Mt/Ptが3を超えても、トルク指数値は上昇せず、むしろ低下する傾向となることがわかった。
【0035】
これらのことから、第2永久磁石58の適正なサイズは、Mw/Pw≧0.4、かつ3.0≧Mt/Pt≧1.5を満足するサイズとなる。
【0036】
つぎに、スタータ100の動作時のバッテリ電圧とモータ電流について説明する。図9はこの発明の実施の形態1に係るスタータにおけるバッテリ電圧とモータ電流の波形図であり、図9の(a)はバッテリ電圧の波形図、図9の(b)はモータ電流の波形図である。T1は始動スイッチ12が閉路となった時点(第1ステップ)、T2は電磁スイッチ1が閉路となった時点(第2ステップ)、T3は短絡スイッチ14が閉路となった時点(第3ステップ)である。I1は、電磁スイッチ1が閉路となり、モータ5に流れる突入電流である。I2は、短絡スイッチ14が閉路となり、モータ5に流れる電流である。
【0037】
図9の(a)(b)に示されるように、時刻T1において、始動スイッチ12が閉路し、電流がバッテリ11から駆動コイル2a、界磁コイル54を通ってモータ5に流れ、バッテリ電圧が僅かに低下する。そして、時刻T2において、電磁スイッチ1が閉路し、モータ5に突入電流が流れる。これにより、バッテリ電圧が瞬時に低下した後、時間の経過とともに徐々に上昇する。モータ電流は、瞬時に上昇した後、時間の経過とともに徐々に下降する。そして、時刻T3において、短絡スイッチ14が閉路し、モータ5に突入電流が流れる。これにより、バッテリ電圧が瞬時に低下した後、時間の経過とともに、徐々に上昇する。モータ電流は、瞬時に上昇した後、時間の経過とともに徐々に下降する。
【0038】
ここで、バッテリ11の電圧をV0、バッテリ11の内部抵抗をRB、界磁コイル54の抵抗をRF、モータ5の内部抵抗をRM、各配線抵抗をRWとすると、と突入電流I1は、式(1)で表される
I1=V0/(RB+RW+RF+RM) ・・・式(1)
第3ステップでは、モータ5が回転を開始することで、モータ5の逆起電力Eが発生している。このとき、モータ5に流れる電流I2は、式(2)で表される。
I2=(V0−E)/(RB+RW+RM) ・・・式(2)
逆起電力Eは、式(3)で表される。
E=k×φ×n ・・・式(3)
但し、kはモータ定数、φは磁束量、nはモータ5の回転速度である。
このように、モータ5に流れる電流I2は、モータ仕様を換えることで、調整することができることがわかる。
【0039】
短絡スイッチ14が閉路となる電圧値を高く設定すると、モータ5に発生する逆起電力Eが高くなるまで、短絡スイッチ14は閉路とならない。これにより、モータ5に発生する逆起電力が高くなるので、式(2)から、I1>I2となる。そこで、式(3)から、モータ5の回転速度が高くなって、短絡スイッチ14が閉路することになり、閉路までの時間が長くなる。これにより時刻T2からT3までの時間、すなわちエンジンの始動までの時間が長くなってしまう。
【0040】
そこで、図9(b)に示されるように、I1=I2となるように、短絡スイッチ14が閉路となる電圧値を設定することで、短絡スイッチ14が閉路となる時間を短くでき、瞬断を抑制しつつ、短時間でのエンジンの始動を可能となる。
【0041】
スタータ100においては、第1ステップでは、駆動コイル2aと界磁コイル54と各配線抵抗が電流経路上に存在し、第2ステップでは、界磁コイル54と各配線抵抗が電流経路上に存在し、第3ステップでは、各配線抵抗が電流経路上に存在している。このように、電流経路上の電気抵抗が、第1ステップ、第2ステップおよび第3ステップの順に、漸次減少している。さらに、第3ステップとなる前に、電流Ibにより、モータ5の回転が開始され、モータ5の逆起電力が増加し、モータ5に流れる電流が減少する。また、界磁コイル54を抵抗体として使用するため、別途抵抗体を設置する必要がなく、スタータ100の構造の簡素化が図られ、体格を小さくすることができる。
【0042】
なお、上記実施の形態1では、界磁部が2極の界磁コイルと2極の永久磁石とからなる4極仕様であるが、界磁部は4極仕様に限定されず、2極の界磁コイルと4極の永久磁石とからなる6極仕様としてもよく、4極の界磁コイルと2極の永久磁石とからなる6極仕様としてもよい。界磁部が2極の界磁コイルと4極の永久磁石とからなる6極仕様である場合には、界磁スイッチの短絡後のトルクを向上させることができる。また、界磁部が4極の界磁コイルと2極の永久磁石とからなる6極仕様である場合には、高回転化を図ることができる。
【0043】
また、上記実施の形態1では、界磁鉄心および第1永久磁石がホルダによってヨークの内周面に保持されているが、界磁鉄心および第1永久磁石は接着、嵌合などの接合手段によりヨークの内周面に接合されてもよい。
また、上記実施の形態1では、界磁鉄心がヨークと別部品として作製されているが、界磁鉄心はヨークと一体に作製されてもよい。
【符号の説明】
【0044】
5 モータ、11 バッテリ、14 短絡スイッチ、50 界磁部、51 ヨーク、53 界磁鉄心、53a ティース部、53b 鍔部、54 界磁コイル(界磁部)、55 第1永久磁石(界磁部)、58 第2永久磁石、60 アマチュア。
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9