【解決手段】方向設定ピンDIRは、ステッピングモータ202の回転方向を指示する方向指示信号ROTを受ける。クロックピンCLKは、ステッピングモータ202の回転動作を指示するクロック信号CLKを受ける。ロジック回路110Aは、方向指示信号ROTおよびクロック信号CLKに応じて、第1Hブリッジ回路130_1および第2Hブリッジ回路130_2それぞれの状態を指示する第1内部信号および第2内部信号を生成する。ロジック回路110Aは、クロック信号CLKが所定の状態を所定の判定時間、持続するとハイインピーダンスモードとなり、第1Hブリッジ回路130_1および第2Hブリッジ回路130_2の出力がハイインピーダンスとなるように、第1内部信号S
前記所定のモードは、ハイインピーダンスモードであり、前記ハイインピーダンスモードにおいて、前記第1Hブリッジ回路および前記第2Hブリッジ回路の出力がハイインピーダンスとなるように、前記第1内部信号および前記第2内部信号が生成されることを特徴とする請求項1に記載の駆動回路。
前記ロジック回路は、前記ハイインピーダンスモードにおいて、前記第1Hブリッジ回路および前記第2Hブリッジ回路の出力をハイインピーダンスに維持するために必要でない回路ブロックをシャットダウンすることを特徴とする請求項2に記載の駆動回路。
前記所定のモードは、弱励磁モードであり、前記弱励磁モードにおいて、前記第1Hブリッジ回路および前記第2Hブリッジ回路の出力電流がノーマル励磁モードに比べて減少するように、前記第1内部信号および前記第2内部信号が生成されることを特徴とする請求項1に記載の駆動回路。
前記ロジック回路は、前記クロック信号と前記制御信号が所定の状態を所定の判定時間維持すると、回転方向をそれまでと反対側に切りかえることを特徴とする請求項9に記載の駆動回路。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ICの小型化が優先されるアプリケーションでは、パッケージのピン数に制約が生ずる。
図1に示すように、駆動回路100Rには、以下の6個のピンが必須である。
・電源ピンVCC
・グランドピンGND
・4個の出力ピンOUT1A,OUT1B,OUT2A,OUT2B
したがって、
図1の駆動回路100Rを8ピンで構成した場合、コントローラ204とのインタフェースには2ピンしか割り当てることができない。たとえば2ピンに、クロック信号(制御パルスともいう)および回転方向を指示する2値の信号を割り当てたとすると、駆動回路100Rに付加機能を実装することができない。
【0006】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、ピン数を増やすこと無く付加機能を実装した駆動回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様の駆動回路は、第1コイルおよび第2コイルを有するステッピングモータの駆動回路に関する。駆動回路は、第1コイルと接続される第1Hブリッジ回路と、第2コイルと接続される第2Hブリッジ回路と、ステッピングモータの回転方向を指示する方向指示信号を受ける方向設定ピンと、ステッピングモータの回転動作を指示するクロック信号を受けるクロックピンと、方向指示信号およびクロック信号に応じて、第1Hブリッジ回路および第2Hブリッジ回路それぞれの状態を指示する第1内部信号および第2内部信号を生成するロジック回路と、第1内部信号にもとづいて第1Hブリッジ回路を駆動する第1プリドライバと、第2内部信号にもとづいて第2Hブリッジ回路を駆動する第2プリドライバと、を備える。ロジック回路は、クロック信号が所定の状態を所定の判定時間、持続すると所定のモードに遷移する。
【0008】
この態様によると、外部とのインタフェースを2ピンとしつつも、新たな機能として別のモードを追加できる。
【0009】
ある実施の形態において、たとえば所定のモードは、ハイインピーダンスモードでありうる。ハイインピーダンスモードにおいて、第1Hブリッジ回路および第2Hブリッジ回路の出力がハイインピーダンスとなるように、第1内部信号および第2内部信号が生成される。
ハイインピーダンスモードでは、ステッピングモータへの通電が停止するため、消費電流を低減できる。
【0010】
ロジック回路は、ハイインピーダンスモードにおいて、駆動回路のすべての回路ブロックの動作を維持してもよい。ハイインピーダンスモードにおいて、いくつかの回路ブロックをシャットダウンすると復帰まで時間を要するため、次の回転再開時に遅延が生ずるが、回路ブロックの動作を維持することで、停止から回転へ切りかえる際の遅延を無くすことができる。
【0011】
ロジック回路は、ハイインピーダンスモードにおいて、少なくともひとつの回路ブロックをシャットダウンしてもよい。これによりさらに消費電流を低減できる。
【0012】
ある実施の形態において、所定のモードは弱励磁モードである。弱励磁モードでは、Hブリッジ回路の出力電流がノーマル励磁モードに比べて減少する。これにより、コイルに小さい電流を流してロータの位置を保持しつつ、消費電力を低減できる。
【0013】
本発明の別の態様はシステムに関する。システムは、プロセッサと、ステッピングモータと、プロセッサからの方向指示信号およびクロック信号に応じてステッピングモータを駆動する上述のいずれかの駆動回路と、を備える。
【0014】
本発明のさらに別の態様も、第1コイルおよび第2コイルを有するステッピングモータの駆動回路に関する。駆動回路は、第1コイルと接続される第1Hブリッジ回路と、第2コイルと接続される第2Hブリッジ回路と、ステッピングモータの回転動作を指示するクロック信号を受けるクロックピンと、第1Hブリッジ回路および第2Hブリッジ回路の出力の状態を制御する制御信号を受ける制御ピンと、クロック信号と制御信号の状態にもとづいて回転方向を決定し、クロック信号に応じて、第1Hブリッジ回路および第2Hブリッジ回路それぞれの状態を指示する第1内部信号および第2内部信号を生成するロジック回路と、第1内部信号にもとづいて第1Hブリッジ回路を駆動する第1プリドライバと、第2内部信号にもとづいて第2Hブリッジ回路を駆動する第2プリドライバと、を備える。
【0015】
この態様によると、外部とのインタフェースを2ピンとして、モータの回転方向を指示する専用の制御信号を与えなくても、モータの回転方向の切替が可能となる。
【0016】
ロジック回路は、クロック信号と制御信号が所定の状態を所定の判定時間維持すると、回転方向をそれまでと反対側に切りかえてもよい(トグル)。
【0017】
ロジック回路は、制御信号が所定レベルのときに、駆動回路の少なくとも一部をシャットダウンしてもよい。これによりさらに消費電流を低減できる。
【0018】
ロジック回路は、制御信号が所定レベルの間、駆動回路のすべての回路ブロックの動作を維持してもよい。ハイインピーダンスモードにおいて、いくつかの回路ブロックをシャットダウンすると復帰まで時間を要するため、次の回転再開時に遅延が生ずるが、回路ブロックの動作を維持することで、停止から回転へ切りかえる際の遅延を無くすことができる。
【0019】
本発明の別の態様はシステムに関する。システムは、プロセッサと、ステッピングモータと、プロセッサからの制御信号およびクロック信号に応じてステッピングモータを駆動する上述のいずれかの駆動回路と、を備えてもよい。
【0020】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0021】
本発明のある態様によれば、ピン数を増やすこと無く付加機能を実装できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0024】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0025】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0026】
(第1の実施の形態)
図2は、第1の実施の形態に係る駆動回路100Aを備えるシステム200Aのブロック図である。ステッピングモータ202は、第1コイルL1および第2コイルL2を有する。駆動回路100Aの電源(VCC)ピンには電源電圧が供給され、グランド(GND)ピンは接地される。
【0027】
駆動回路100Aは、ロジック回路110A、第1プリドライバ120_1、第2プリドライバ120_2、第1PWM発生器122_1、第2PWM発生器122_2、第1Hブリッジ回路130_1、第2Hブリッジ回路130_2を備える。第1Hブリッジ回路130_1は、その出力が第1コイルL1と接続され、第2Hブリッジ回路130_2はその出力が第2コイルL2と接続される。駆動回路100Aには、OUT1A,OUT1B,OUT2A,OUT2Bピンが設けられている。第1Hブリッジ回路130_1、第2Hブリッジ回路130_2はそれぞれ、駆動電流を検出するためのセンス抵抗R
Sを含む。センス抵抗R
Sには、駆動電流に比例する電圧降下が発生する。この電圧降下は、対応するPWM発生器122に供給される。
【0028】
駆動回路100Aは、コントローラ204からの制御信号に応じてステッピングモータ202を駆動する。コントローラ204はマイクロコントローラやCPUである。駆動回路100Aには、方向設定(DIR)ピンおよびクロック(CLK)ピンが設けられる。DIRピンには、ステッピングモータ202の回転方向(時計回り、反時計回り)を指示する方向指示(ROT)信号が入力される。またCLKピンには、ステッピングモータ202の回転動作を指示するクロック(CLK)信号が入力される。
【0029】
ロジック回路110Aは、ROT信号およびCLK信号に応じて、第1Hブリッジ回路130_1および第2Hブリッジ回路130_2それぞれの状態を指示する第1内部信号S
INT1および第2内部信号S
INT2を生成する。ロジック回路110Aによる内部信号の生成については公知技術を用いればよい。たとえばロジック回路110Aは、CLK信号のエッジ毎に、電流の位相を45度回転させる1−2相励磁方式や、CLK信号のエッジ毎に、電流の位相を90度回転させる2−2相励磁方式を採用できる。ロジック回路110Aは、CLK信号の周波数のN倍(Nは整数)の周波数で内部信号を変化させるマイクロステップ駆動を行ってもよい。
【0030】
第1PWM発生器122_1は、対応する第1Hブリッジ回路130_1のセンス抵抗R
Sの電圧降下にもとづいて、駆動電流が設定値に安定化されるように第1PWM信号S
PWM1を生成する。同様に第2PWM発生器122_2は、対応する第2Hブリッジ回路130_2のセンス抵抗R
Sの電圧降下にもとづいて、駆動電流が設定値に安定化されるように第2PWM信号S
PWM2を生成する。可聴帯域のノイズを抑制するために、PWM信号S
PWM1,S
PWM2の周波数(PWM周波数)は、可聴帯域外の20kHz以上に設定され、PWM信号の1周期は最長で50μsとなる。
【0031】
第1プリドライバ120_1は第1内部信号S
INT1および第1PWM信号S
PWM1にもとづいて第1Hブリッジ回路130_1を駆動する。同様に第2プリドライバ120_2は、第2内部信号S
INT2および第2PWM信号S
PWM2にもとづいて第2Hブリッジ回路130_2を駆動する。
【0032】
ロジック回路110Aは、CLK信号が所定の状態(たとえばローレベル)を所定の判定時間τ、持続すると、ハイインピーダンスモードとなる。ハイインピーダンスモードにおいてロジック回路110Aは、第1Hブリッジ回路130_1および第2Hブリッジ回路130_2の出力がハイインピーダンスとなるように、言い換えれば各Hブリッジ回路を構成するすべてのトランジスタが同時にオフとなるように、第1内部信号S
INT1および第2内部信号S
INT2を生成する。
【0033】
ある励磁位置に対して出力されるPWM信号のパルス数(必要PWMパルス数)Mは、ステッピングモータの回転負荷、速度に応じて定まる。また、PWM信号の周期は最長で50μsである。したがってステッピングモータを定速回転させる際には、CLK信号は、50μs×Mの周期(またはそれより長い周期)で入力される。このことから判定時間τは50μs×K(K≧M)より長いことが好ましい。
【0034】
ロジック回路110Aは、CLK信号の状態を監視するタイマー回路112Aを含んでもよい。タイマー回路112Aの構成は特に限定されないが、たとえばCLK信号がローレベルとなる期間、駆動回路100Aの高速な内部クロックCLKINTと同期してカウントアップ(あるいはカウントダウン)し、CLK信号がハイレベルとなるたびにリセットされてもよい。タイマー回路112Aのカウント値が、判定時間τに相当する値に達すると、タイマー回路112Aは、ハイインピーダンス設定(Hi−Z)信号をアサート(たとえばハイレベル)する。ロジック回路110Aは、Hi−Z信号のアサートをトリガーとして、第1Hブリッジ回路130_1、第2Hブリッジ回路130_2の出力がハイインピーダンスとなるように、内部信号S
INT1,S
INT2をセットする。
【0035】
一実施例においてロジック回路110Aは、ハイインピーダンスモードにおいて、駆動回路のすべての回路ブロックの動作状態を維持する。以上が駆動回路100Aの構成である。続いてその動作を説明する。
【0036】
図3(a)は、1−2相励磁における励磁位置と電流I
OUT1,I
OUT2の関係を示す図である。たとえば駆動回路100Aは、ROT信号がローレベルの状態において、CLK信号のエッジが発生する度に、励磁位置を+1、すなわち反時計回り(CCW)に変化させる。反対にROT信号がハイレベルの状態において、CLK信号のエッジが発生する度に、励磁位置を−1、すなわち時計回り(CW)に変化させる。駆動回路100Aは、マイクロステップ駆動によって、さらに細かく励磁位置を変化させてもよい。
【0037】
図3(b)は、
図2の駆動回路100Aの動作波形図である。この例ではROT信号はローレベルであり、反時計回り(CCW)の回転が指示される。時刻t
0より前において、駆動回路100AはハイインピーダンスモードHi−zであり、ステッピングモータ202は励磁位置1において停止している。
【0038】
時刻t
0以降、周期的なCLK信号が入力されると、Hi−Z信号はローレベルとなり、駆動回路100Aはハイインピーダンスモードから通常動作モードに遷移する。通常動作モードにおいて駆動回路100Aは、CLK信号のエッジと同期して、電流I
OUT1,I
OUT2を変化させていき、それによりステッピングモータ202が、パルス数に応じた角度、回転する。
【0039】
時刻t
1に最後のCLK信号が発生してから判定時間τが経過すると、時刻t
2にHi−Z信号がアサートされ、ハイインピーダンスモードとなる。ハイインピーダンスモードでは、I
OUT1,I
OUT2がゼロとなり、ステッピングモータ202が固定される。
【0040】
以上が駆動回路100Aの動作である。この駆動回路100Aによれば、外部とのインタフェースを2ピンとしつつも、新たな機能としてハイインピーダンスモードを追加できる。ハイインピーダンスモードでは、ステッピングモータ202への通電が停止するため、消費電流を低減できる。
【0041】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る駆動回路100Bの基本構成は、
図2の駆動回路100Aと同様である。駆動回路100Aとの相違点は、駆動回路100Bが、ハイインピーダンスモードにおいてスタンバイ状態となる点である。スタンバイ状態では、駆動回路100Bの少なくとも一部の回路ブロック(たとえば保護回路やバイアス回路)がシャットダウンし、駆動回路100Bの消費電流(電源電流)I
CCが実質的にゼロまで低下する。駆動回路100Bの電源電流I
CCは、
図3(b)に一点鎖線で示される。
【0042】
駆動回路100Bによれば、ハイインピーダンスモードにおいて、駆動回路100B自体の動作電流を低減できるため、システム全体の動作電流を減らすことができる。
【0043】
ただしハイインピーダンスモードにおいて、いくつかの回路ブロックをシャットダウンすると復帰まで時間を要するため、次の回転再開時に遅延が生ずることとなる。
【0044】
図2の駆動回路100Aでは、回路ブロックをシャットダウンさせずに、動作を維持することで、停止から回転へ切りかえる際の遅延を無くすことができるという利点を有している。
【0045】
つまりハイインピーダンスモードにおいて、いくつかの回路ブロックをシャットダウンするか否かは、応答性と消費電力のいずれを優先すべきかを考慮して選択すればよい。
【0046】
(第3の実施の形態)
図4は、第3の実施の形態に係る駆動回路100Cを備えるシステム200Cブロック図である。
【0047】
駆動回路100Cは、
図2のDIRピンに代えて、イネーブル(EN)ピンを備える。ENピンには、コントローラ204からイネーブル(ENABLE)信号が入力される。ENABLE信号は、第1Hブリッジ回路130_1および第2Hブリッジ回路130_2が通常動作モードに設定すべきときにアサート(たとえばハイレベル)され、ハイインピーダンスモードに設定すべきときネゲート(たとえはローレベル)される。
【0048】
一実施例においてロジック回路110Cは、ハイインピーダンスモードにおいて、駆動回路のすべての回路ブロックの動作状態を維持してもよい。あるいはハイインピーダンスモードにおいて、少なくとも一部の回路ブロックをシャットダウンしてもよい。
【0049】
ロジック回路110Cは、CLK信号とENABLE信号の状態にもとづいて回転方向を決定し、回転方向を示す方向指示(ROT)信号を生成する。たとえばROT信号は、反時計回り(CCW)のときローレベル、時計回り(CW)のときハイレベルであってもよい。
【0050】
ロジック回路110Cは、CLK信号およびROT信号に応じて、第1Hブリッジ回路130_1および第2Hブリッジ回路130_2それぞれの状態を指示する第1内部信号S
INT1および第2内部信号S
INT2を生成する。
【0051】
ロジック回路110Cは、CLK信号とENABLE信号が所定の状態を所定の判定時間τ維持すると、ROT信号を論理反転(トグル)し、回転方向をそれまでと反対側に切りかえる。より詳しくは、ENABLE信号が通常動作モード(ハイ)を指示し、かつCLK信号が停止している状態(すなわち無入力状態)が、判定時間τを超えると、ROT信号を論理反転する。判定時間τは、第1の実施の形態と同様に規定すればよい。
【0052】
ロジック回路110Cは、CLK信号およびENABLE信号の状態を監視するタイマー回路112Cを含んでもよい。タイマー回路112Cの構成は特に限定されないが、たとえばCLK信号がローレベルであり、かつENABLE信号がハイを維持する期間、駆動回路100Cの高速な内部クロックCLKINTと同期してカウントアップ(あるいはカウントダウン)し、CLK信号またはENABLE信号が遷移するたびにリセットされてもよい。タイマー回路112Cのカウント値が、判定時間τに相当する値に達すると、タイマー回路112Cは、ROT信号の論理レベルを反転する。
【0053】
一変形例において、ENABLE信号がハイインピーダンスモードを指示し、かつCLK信号が停止している状態が、判定時間τを超えると、ROT信号を論理反転してもよい。さらに別の変形例において、ENABLE信号が、ハイまたはローに固定され、かつCLK信号が停止している状態が、判定時間τを超えると、ROT信号を論理反転してもよい。
【0054】
続いて駆動回路100Cの動作を説明する。ここでは2−2相励磁を例とする。
図5(a)は、2−2相励磁における励磁位置と電流I
OUT1,I
OUT2の関係を示す図である。たとえば駆動回路100Cは、ROT信号がローレベルの状態において、CLK信号のエッジが発生する度に、励磁位置を+2、すなわち反時計回り(CCW)に変化させる。反対にROT信号がハイレベルの状態において、CLK信号のエッジが発生する度に、励磁位置を−2、すなわち時計回り(CW)に変化させる。駆動回路100Cは、マイクロステップ駆動によって、さらに細かく励磁位置を変化させてもよい。
【0055】
図5(b)は、
図4の駆動回路100Cの動作波形図である。時刻t
0より前において、ENABLE信号はローレベルであり、したがって駆動回路100CはハイインピーダンスモードHi−zであり、ステッピングモータ202は励磁位置(リセットポジション)8において停止している。ROT信号はローレベルであり、反時計回り(CCW)の状態となっている。
【0056】
時刻t
0に、ENABLE信号がハイに遷移すると、駆動回路100Cは通常動作モードに移行する。そして周期的なCLK信号が入力されると、励磁位置が+2ずつ変化していく。
【0057】
時刻t
1に、最後のCLK信号が発生する。このときENABLE信号はハイレベルであるから、タイマー回路112Cによるカウント動作が進み、判定時間τが経過した時刻t
2に、ROT信号の論理値が反転し、回転方向が時計回りに切り替わる。その後、時刻t
3に次のCLK信号が入力されると、励磁位置が時刻t
1より前とは逆向きに変化していく。
【0058】
図6は、
図4の駆動回路100Cの別の動作波形図である。時刻t
1までは
図5(b)と同様である。時刻t
1に、最後のCLK信号が発生し、それ以降、回転が停止する。その直後に、ENABLE信号はローに落ちており、タイマー回路112Cによるカウント動作は発生しないか、あるいはリセットされる。したがって、ROT信号の論理値は反転せず、回転方向が反時計回りに維持される。その後、時刻t
3にCLK信号の入力が再開されると、励磁位置が時刻t
1より前と同じ方向に変化していく。
【0059】
以上が駆動回路100Cの動作である。
【0060】
駆動回路100Cによれば、第1、第2の実施の形態と同様に、外部とのインタフェースを2ピンとしつつも、新たな機能としてハイインピーダンスモードを追加できる。ハイインピーダンスモードでは、ステッピングモータへの通電が停止するため、消費電流を低減できる。
【0061】
(第4の実施の形態)
図7は、第4の実施の形態に係る駆動回路100Dを備えるシステム200Dのブロック図である。駆動回路100Dはノーマル励磁モードと弱励磁モードをサポートする。
【0062】
駆動回路100Dの入出力ピンおよび基本構成は、
図2の駆動回路100Aと同様である。
【0063】
ロジック回路110Dは、CLK信号が所定の状態(たとえばローレベル)を所定の判定時間τ、持続すると、弱励磁モードとなる。弱励磁モードにおいて、第1Hブリッジ回路130_1および第2Hブリッジ回路130_2の出力電流は、ノーマル励磁モードの出力電流より小さくなる。
【0064】
ロジック回路110Dは、CLK信号の状態を監視するタイマー回路112Dを含んでもよい。タイマー回路112Dは、CLK信号の無入力状態が判定時間τ経過すると、弱励磁(WE)信号をアサート(たとえばハイ)する。
【0065】
WE信号は、第1PWM発生器122_1、第2PWM発生器122_2に入力される。第1PWM発生器122_1、第2PWM発生器122_2は、WE信号がアサートされた状態で、駆動電流のピーク値を規定するしきい値を、WE信号のネゲートされた状態(ノーマル励磁モード)よりも低下させる。
【0066】
図8は、PWM発生器122の構成例を示す回路図である。PWM発生器122は、コンパレータ123と、可変電圧源124、フリップフロップ125、オシレータ126を含んでもよい。可変電圧源124は、WE信号がローのとき、第1電圧レベルV
TH1を有し、WE信号がハイすなわち弱励磁モードのとき、第1電圧レベルV
TH1より低い第2電圧レベルV
TH2を有するしきい値電圧V
THを生成する。第2電圧レベルV
TH2は、第1電圧レベルV
TH1の25%であってもよい。可変電圧源124はD/Aコンバータを含んでもよく、D/Aコンバータの入力コードをビットシフトさせることで、しきい値電圧V
THの電圧レベルを1/2,1/4…と変化させることができる。あるいは可変電圧源124は、定電圧源と、分圧比が可変の分圧回路を含んでもよい。
【0067】
コンパレータ123は、センス抵抗R
Sに生ずる電圧降下V
Sを、しきい値電圧V
THと比較し、V
S>V
THとなると、オフ信号(リセット信号)をアサートする。オシレータ126は、所定のPWM周期ごとにアサートされるオン信号(セット信号)を生成する。フリップフロップ125は、オン信号とオフ信号に応じてハイ、ローが変化するPWM信号S
PWMを生成する。
【0068】
図9(a)は、1−2相励磁の弱励磁モードにおける励磁位置と電流I
OUT1,I
OUT2の関係を示す図であり、
図9(b)は、
図7の駆動回路100Dの動作波形図である。
図9(a)には、ノーマル励磁モードにおける電流I
OUT1,I
OUT2が破線で示される。
【0069】
図9(b)は、
図7の駆動回路100Dの動作波形図である。この例ではROT信号はローレベルであり、反時計回り(CCW)の回転が指示される。時刻t
0より前において、駆動回路100Aは弱励磁モードであり、ステッピングモータ202は励磁位置1において停止している。
【0070】
時刻t
0以降、周期的なCLK信号が入力されると、WE信号はローレベルとなり、駆動回路100Dは弱励磁モードからノーマル励磁モードに遷移する。ノーマル励磁モードにおいて駆動回路100Aは、CLK信号のエッジと同期して、電流I
OUT1,I
OUT2を変化させていき、それによりステッピングモータ202が、パルス数に応じた角度、回転する。
【0071】
時刻t
1に最後のCLK信号が発生してから判定時間τが経過すると、時刻t
2にWE信号がアサートされ、弱励磁モードとなる。弱励磁モードでは、I
OUT1,I
OUT2をそれぞれが、ノーマル励磁モードの25%となり、ステッピングモータ202が固定される。
【0072】
以上が駆動回路100Dの動作である。この駆動回路100Dによれば、外部とのインタフェースを2ピンとしつつも、新たな機能として弱励磁モードを追加できる。弱励磁モードでは、弱い磁力によりロータの位置を固定しつつ消費電流を低減できる。
【0073】
(第5の実施の形態)
図10は、第5の実施の形態に係る駆動回路100Eを備えるシステム200Eのブロック図である。駆動回路100Eは、
図4のENABLEピンに代えて、弱励磁設定(WE)ピンを備える。WEピンには、コントローラ204から弱励磁モードかノーマル励磁モードかを選択する制御信号(WE)信号が入力される。WE信号は、第1Hブリッジ回路130_1および第2Hブリッジ回路130_2が通常動作モードに設定すべきときにネゲート(たとえばロー)され、弱励磁モードに設定すべきときアサート(たとえはハイ)される。
【0074】
ロジック回路110Eは、CLK信号とWE信号の状態にもとづいて回転方向を決定し、回転方向を示す方向指示(ROT)信号を生成する。たとえばROT信号は、反時計回り(CCW)のときローレベル、時計回り(CW)のときハイレベルであってもよい。
【0075】
ロジック回路110Eは、CLK信号およびROT信号に応じて、第1Hブリッジ回路130_1および第2Hブリッジ回路130_2それぞれの状態を指示する第1内部信号S
INT1および第2内部信号S
INT2を生成する。
【0076】
ロジック回路110Eは、CLK信号とWE信号が所定の状態を所定の判定時間τ維持すると、ROT信号を論理反転(トグル)し、回転方向をそれまでと反対側に切りかえる。
【0077】
より詳しくは、WE信号がノーマル励磁モードを指示(すなわちロー)し、かつCLK信号が停止している状態が、判定時間τを超えると、ROT信号を論理反転する。
【0078】
ロジック回路110Eは、CLK信号およびWE信号の状態を監視するタイマー回路112Eを含んでもよい。タイマー回路112Eの構成は特に限定されないが、
図4のタイマーと同様に構成してもよい。
【0079】
一変形例においてWE信号が弱励磁モードを指示し(すなわちハイ)、かつCLK信号が停止している状態が、判定時間τを超えると、ROT信号を論理反転してもよい。さらに別の変形例において、WE信号が、ハイまたはローに固定され、かつCLK信号が停止している状態が、判定時間τを超えると、ROT信号を論理反転してもよい。
【0080】
続いて駆動回路100Eの動作を説明する。ここでは2−2相励磁を例とする。
図11は、
図10の駆動回路100Eの動作波形図である。時刻t
0より前において、WE信号はハイレベルであり、したがって駆動回路100Eは弱励磁モードに設定される。ROT信号はローレベルであり、反時計回り(CCW)の状態となっている。
【0081】
時刻t
0に、WE信号がローとなると、駆動回路100Eはノーマル励磁モードに移行する。そして周期的なCLK信号が入力されると、励磁位置が+2ずつ変化していく。
【0082】
時刻t
1に、最後のCLK信号が発生する。このときWE信号はローレベルであるから、タイマー回路112Eによるカウント動作が進み、判定時間τが経過した時刻t
2に、ROT信号の論理値が反転し、回転方向が時計回りに切り替わる。その後、時刻t
3に次のCLK信号が入力されると、励磁位置が時刻t
1より前とは逆向きに変化していく。
【0083】
図12は、
図10の駆動回路100Eの別の動作波形図である。時刻t
1までは
図11と同様である。時刻t
1に最後のCLK信号が発生し、CLK信号が無入力となると回転が停止する。その直後に、WE信号はハイに遷移しており、タイマー回路112Eによるカウント動作は発生しない(あるいは進まない)。したがって、ROT信号の論理値は反転せず、回転方向が反時計回りに維持される。その後、時刻t
3にCLK信号の入力が再開されると、励磁位置が時刻t
1より前と同じ方向に変化していく。以上が駆動回路100Eの動作である。
【0084】
実施の形態では、PWM駆動に対応した駆動回路100を説明したがその限りでない。相電流の階調制御を行わない駆動回路ではPWM駆動は不要であり、第1PWM発生器122_1、第2PWM発生器122_2を省略することができる。
【0085】
実施の形態にもとづき、具体的な用語を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。