【解決手段】タイヤサイド部5に、周囲を囲む第1リッジ組15によって閉領域に構成されて第1の延在方向F1に延びる複数の第1区画12が、タイヤ周方向に隣接して配置された、第1領域10と、第1領域10に対してタイヤ径方向に隣接する第2領域20であって、周囲を囲む第2リッジ組25によって閉領域に構成されて第1の延在方向F1とは異なる第2の延在方向F2に延びる、複数の第2区画22が、タイヤ周方向に隣接して配置された、第2領域20とを備え、第1領域10のうち第2領域20にタイヤ径方向に隣接する端部には、タイヤ周方向に隣接する第1区画12によって谷部S11が形成されており、複数の第2区画22はそれぞれ、第1領域10にタイヤ径方向に隣接する端部22aが、谷部S11に一致している。
周囲を囲む第1リッジ組によって閉領域に構成されており、タイヤ径方向に対して傾斜した第1の延在方向に延びる、複数の第1区画が、タイヤ周方向に隣接して配置された、タイヤサイド部の第1領域と、
前記第1領域に対してタイヤ径方向に隣接する第2領域であって、周囲を囲む第2リッジ組によって閉領域に構成されており、前記第1の延在方向とは異なる第2の延在方向に延びる、複数の第2区画が、タイヤ周方向に隣接して配置された、タイヤサイド部の第2領域と
を備え、
前記第1領域のうち前記第2領域にタイヤ径方向に隣接する端部には、タイヤ周方向に隣接する前記第1区画によって谷部が形成されており、
複数の前記第2区画はそれぞれ、前記第1領域にタイヤ径方向に隣接する部分が、前記谷部に、一致するように構成されている、空気入りタイヤ。
前記第1区画及び前記第2区画のうち、それぞれの前記延在方向における長さがより長い区画には、該区画の内側を前記延在方向に延びる内側リッジが更に形成されている、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、タイヤ軽量化の要請があり、タイヤサイド部の薄肉化が検討されている。しかしながら、タイヤサイド部を薄肉化すると、タイヤサイド部の凹凸面が更に目立ちやすくなると共に、タイヤサイド部の剛性が低下してしまう。
【0006】
本発明は、タイヤサイド部の剛性を向上させつつ、タイヤサイド部の凹凸面を目立ち難くすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、タイヤサイド部に、周囲を囲む第1リッジ組によって閉領域に構成されており、タイヤ径方向に対して傾斜した第1の延在方向に延びる、複数の第1区画が、タイヤ周方向に隣接して配置された、第1領域と、前記第1領域に対してタイヤ径方向に隣接する第2領域であって、周囲を囲む第2リッジ組によって閉領域に構成されており、前記第1の延在方向とは異なる第2の延在方向に延びる、複数の第2区画が、タイヤ周方向に隣接して配置された、第2領域とを備え、前記第1領域のうち前記第2領域にタイヤ径方向に隣接する端部には、タイヤ周方向に隣接する前記第1区画によって谷部が形成されており、複数の前記第2区画はそれぞれ、前記第1領域にタイヤ径方向に隣接する部分が、前記谷部に、一致するように構成されている、空気入りタイヤを提供する。
【0008】
すなわち、複数の前記第2区画はそれぞれ、前記第1領域にタイヤ径方向に隣接する部分が、前記谷部に対してタイヤ径方向に噛み合っている。
【0009】
本発明によれば、閉領域に構成された複数の第1区画よりなる第1領域と、閉領域に構成された複数の第2区画よりなる第2領域とを、タイヤサイド部に設けることにより、タイヤサイド部の凹凸を目立ち難くすることができると共に、タイヤサイド部の剛性を向上できる。加えて、タイヤ周方向に隣接する第1区画によって形成される谷部に合わせて、第2区画をタイヤ径方向に噛み合うように配置することによって、第1区画と第2区画とがタイヤ径方向に石垣状に配置されることになり、タイヤサイド部の剛性を更に向上させることができる。しかも、第1領域と第2領域との境界部をタイヤ周方向にジグザグ状に延びるように構成できるので、タイヤサイド部に入力される荷重を、タイヤ径方向とタイヤ周方向とに分散させやすく、タイヤサイド部の剛性を更に効果的に向上させることができる。
【0010】
前記第1区画及び前記第2区画のうち、それぞれの前記延在方向における長さがより長い区画には、該区画の内側を前記延在方向に延びる内側リッジが更に形成されている、ことが好ましい。
【0011】
本構成によれば、延在方向により長く形成された区画に対して、この内側に内側リッジを形成することによって、該区画のその延在方向における剛性を効果的に向上させることができる。これによって、延在方向により長く構成されたために、剛性の低下しやすい区画の剛性の低下を抑制できる。
【0012】
前記内側リッジは、前記第1リッジ組及び前記第2リッジ組とは連結されていない、
ことが好ましい。
【0013】
本構成によれば、内側リッジは、第1リッジ組及び第2リッジ組に連結されていないので、独立リッジとして構成できる。これによって、内側リッジを他のリッジに連結した場合に、該連結部において局部的に剛性が過度に高くなることを防止できるので、前記局部的な高剛性部分に起因した他の部分への応力集中がなく、耐久性を維持できる。また、内側リッジを独立リッジとすることにより、長さが短くなるため、ゴムボリュームの増大を抑制できる。
【0014】
本発明の他の側面に係る空気入りタイヤは、タイヤ径方向に対して傾斜した第1の延在方向に延びる複数の第1リッジがタイヤ周方向に平行に配設された、タイヤサイド部の第1領域と、前記第1領域に対してタイヤ径方向に隣接しており、前記第1の延在方向と交差する第2の延在方向に延びる複数の第2リッジがタイヤ周方向に平行に配設された、タイヤサイド部の第2領域とを備え、複数の前記第2リッジは、対応する前記第1リッジのタイヤ径方向途中部分から、該第1リッジにタイヤ周方向に隣接する前記第1リッジのタイヤ径方向の端部を通って前記第2の延在方向へ延びている。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る空気入りタイヤによれば、タイヤ径方向に石垣状に配置された第1区画及び第2区画によって、タイヤサイド部の剛性を向上させつつ、タイヤサイド部の凹凸を目立たせなくさせることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは相違している。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤ1の部分側面図である。
図1に示すように、空気入りタイヤ1は、タイヤ径方向の外径側に位置するトレッド部2と、タイヤ径方向の内径側に位置するビード部3と、トレッド部2とビード部3とのタイヤ径方向間に位置するタイヤサイド部5と、を有している。タイヤサイド部5には、円環状の、第1領域10、第2領域20、及び第3領域30が、タイヤ径方向内径側から順に隣接して配置されている。
【0019】
図2は、第1〜第3領域10、20、30を拡大して示している。
図2を参照して、第1〜第3領域10,20,30について具体的に説明する。
【0020】
第1領域10には、タイヤ径方向に対して傾斜した第1の延在方向F1に直線状に延びる複数の第1リッジ11がタイヤ周方向に平行に配設されている。第2領域20には、タイヤ径方向に対して第1の延在方向F1とは異なる方向に傾斜した第2の延在方向F2に直線状に延びる複数の第2リッジ21がタイヤ周方向に平行に配設されている。第3領域30には、タイヤ径方向に対して第1の延在方向F1と同じ側に傾斜した第3の延在方向F3に直線状に延びる複数の第3リッジ31がタイヤ周方向に平行に配設されている。
【0021】
第1〜第3の延在方向F1,F2,F3は、タイヤ径方向に対して、10°から80°の範囲内の角度で傾斜している。第1の延在方向F1は、タイヤ径方向の外径側へ進むにつれて、
図1中矢印Lで示した方向に進む方向であり、例えばタイヤ径方向に対する第1傾斜角度A1は、
図1中の矢印L側へ傾斜した約60°である。第2の延在方向F2は、タイヤ径方向の外径側へ進むにつれて、第1の延在方向F1とは反対に、
図1中矢印Rで示した方向に進む方向であり、例えばタイヤ径方向に対する第2傾斜角度A2は、
図1中の矢印R側へ傾斜した約60°である。第3の延在方向F3は、タイヤ径方向の外径側へ進むにつれて、
図1中矢印Lで示した方向に進む方向であり、例えばタイヤ径方向に対する第3傾斜角度A3は、
図1中の矢印L側へ傾斜した約60°である。
【0022】
また、第1領域10のタイヤ径方向内側端部には、内径側境界リッジ40が形成されている。第3領域30のタイヤ径方向外側端部には、外径側境界リッジ50が形成されている。
【0023】
図2に示される、第2リッジ21
1を例に取り、第2リッジ21について具体的に説明する。タイヤ径方向の内径側において、第2リッジ21
1は、対応する第1リッジ11
1のタイヤ径方向の途中部分11aから、この第1リッジ11
1にタイヤ周方向のR側に隣接する第1リッジ11
2のタイヤ径方向の外端部11bを通って、第2の延在方向F2に延びている。タイヤ径方向の外径側において、第2リッジ21
1は、対応する第3リッジ31
1のタイヤ径方向の内端部31aを通って、この第3リッジ31
1にタイヤ周方向のR側に隣接する第3リッジ31
2のタイヤ径方向の途中部分31bに至っている。
【0024】
すなわち、第2リッジ21
1を、第1リッジ11
1の途中部分11aから第3リッジ31
2の途中部分31bまで延在させることによって、第1領域10、第2領域20、及び第3領域30それぞれに、周囲が囲まれて閉領域とされた四角形状の、第1区画12、第2区画22、及び第3区画32を、それぞれ構成できる。
【0025】
具体的には、第1領域10には、タイヤ周方向に隣接する2つの第1リッジ11,11と、内径側境界リッジ40と、第2リッジ21とを含む第1リッジ組15によって四角形状に区画された、複数の第1区画12が、タイヤ周方向に隣接して形成されている。第2領域20には、タイヤ周方向に隣接する2つの第2リッジ21,21と、第1リッジ11と、第3リッジ31とを第2リッジ組25によって四角形状に区画された、複数の第2区画22が、タイヤ周方向に隣接して形成されている。第3領域30には、タイヤ周方向に隣接する2つの第3リッジ31,31と、第2リッジ21と、外径側境界リッジ50とを含む第3リッジ組35によって四角形状に区画された、複数の第3区画32が、タイヤ周方向に隣接して形成されている。
【0026】
また、第1領域10と第2領域20との第1境界部S1が、第1リッジ11及び第2リッジ21によって、タイヤ周方向にジグザグ状に延びるように形成されている。より具体的には、第1境界部S1は、タイヤ周方向に沿って、第1の延在方向F1と第2の延在方向F2とに交互にジグザグ状に延びるように形成されている。
【0027】
同様に、第2領域20と第3領域30との第2境界部S2が、第2リッジ21と第3リッジ31とによって、タイヤ周方向にジグザグ状に延びるように形成されている。より具体的には、第2境界部S2は、タイヤ周方向に沿って、第2の延在方向F2と第3の延在方向F3とに交互にジグザグ状に延びるように形成されている。
【0028】
第1境界部S1において、隣接する第1区画12,12によって形成される谷部S11に、第2区画22のタイヤ径方向の内径側の端部22aが一致している。同様に、第2境界部S2において、隣接する第2区画22,22によって形成される谷部S21に、第3区画32のタイヤ径方向の内側の端部32aが一致するように配置されている。
【0029】
すなわち、第1境界部S1において、複数の第1区画12と複数の第2区画22とが、タイヤ径方向に噛み合うように、石垣状に配置されることになる。同様に、第2境界部S2において、複数の第2区画22と複数の第3区画32とが、タイヤ径方向に噛み合うように、石垣状に配置されることになる。
【0030】
第1区画12と第2区画22との噛み合い角度A4は、50°から90°に設定されているが、本実施形態では約60°である。第2区画22と第3区画32との噛み合い角度A5は、50°から90°に設定されているが、本実施形態では約60°である。
【0031】
また、第2領域20は、タイヤ径方向における長さが第1領域10及び第3領域30よりも長く構成されており、模様や商品名等が表示されるようになっている。本実施形態では、
図1に示されるように、アルファベットのOが表示されている。
【0032】
第2区画22の内側には、第2の延在方向F2に延びる内側リッジ23が形成されている。内側リッジ23は、第1リッジ11,第2リッジ21,及び第3リッジ31のいずれにも連結されておらず、独立したリッジとして構成されている。
【0033】
図3は、
図2のIII−III線に沿った断面図であり、第1区画12の、第1の延在方向F1に垂直な断面を示している。
図4は、
図2のIV−IV線に沿った断面図であり、第2区画22の、第2の延在方向F2に垂直な断面を示している。
図3,
図4に示すように、第1リッジ11,第2リッジ21,及び内側リッジ23は、いずれも三角形状の断面形状に構成されている。図示は省略するが、第3リッジ31,内径側境界リッジ40,及び外径側境界リッジ50も同様に、三角形状の断面形状に構成されている。なお、
図3,
図4に二点鎖線で示すように、これらのリッジの断面形状を台形状に構成してもよい。
【0034】
以上説明した空気入りタイヤによれば、以下の効果を奏する。
【0035】
(1)閉領域に構成された複数の第1区画12よりなる第1領域10と、閉領域に構成された複数の第2区画22よりなる第2領域20と、閉領域に構成された複数の第3区画32よりなる第3領域30とを、タイヤサイド部5に設けることにより、タイヤサイド部5の凹凸を目立ち難くすることができると共に、タイヤサイド部の剛性を向上できる。
【0036】
加えて、第1区画12と第2区画22とをタイヤ径方向に石垣状に配置し、同様に、第2区画22と第3区画32とをタイヤ径方向に石垣状に配置することによって、タイヤサイド部の剛性を更に向上させることができる。しかも、第1及び第2境界部S1,S2をタイヤ周方向にジグザグ状に延びるように構成できるので、タイヤサイド部5に入力される荷重を、タイヤ径方向とタイヤ周方向とに分散させやすく、タイヤサイド部5の剛性を効果的に向上させることができる。
【0037】
(2)第1区画12及び第3区画32よりも、延在方向により長く形成された第2区画22に対して、この内側に内側リッジ23を形成することによって、第2区画22の、その延在方向F2における剛性を効果的に向上させることができる。これによって、延在方向に長く構成されたために、剛性の低下しやすい第2区画22の剛性の低下を抑制できる。
【0038】
(3)内側リッジ23を、第1リッジ組15、第2リッジ組25、第3リッジ組35のいずれにも連結されていない独立リッジとして構成することにより、局部的に剛性が過度に高くなることを防止できる。これによって、前記局部的な高剛性部分に起因した他の部分への応力集中がなく、耐久性を維持できる。また、内側リッジ23を独立リッジとすることにより、長さが短くなるため、ゴムボリュームの増大を抑制できる。
【0039】
(4)第2領域20には内側リッジ23を設けたので、第1領域10及び第3領域30に比して、リッジの配設密度を高めることができる。また、第2領域20は、タイヤ最大幅位置に位置しており、通常、車両装着情態で車幅方向の外側に位置するタイヤ最大幅位置部分のリッジの配設密度を高めることにより、外的な衝撃(例えば、縁石との接触等)を受けやすい部分の耐外傷性を効果的に向上できる。
【0040】
(5)第2領域20は、リッジの配設密度が高いので、他の領域に比して、光の乱反射が生じ難いので、タイヤ色である黒色がより濃く見える。該領域に、標章を表示させることにより、より標章をより目立ちやすくすることができ、標章の視認性を向上できる。
【0041】
上記実施形態では、内側リッジ23を、第2区画22の内側において1本形成したが、
図5Aに示される内側リッジ23Aのように複数本(例えば2本)形成してもよい。これによって、第2区画22の延在方向F2における剛性をより一層向上させることができる。
【0042】
また、
図5B、
図5Cに示される内側リッジ23B,23Cのように、タイヤ径方向に分割(例えば2分割、3分割)してもよい。これによって、内側リッジ23を形成したことによる、ゴムボリュームの増大を抑制できる。
【0043】
また、
図5D、
図5Eに示される内側リッジ23D,23Eのように、第2区画22内において、この対角線方向に延びるように形成してもよい。これによって、内側リッジ23をより長く構成することができるので、第2区画22の剛性を更により一層向上させることができる。
【0044】
例えば、
図5Dに示すように、内側リッジ23Dを、第1境界部S1においてタイヤ周方向に隣接する第1区画12により形成される谷部と、第2境界部S2においてタイヤ周方向に隣接する第3区画32により形成される谷部との間を延びるように形成してもよい。また、図示は省略するが、内側リッジ23Eを、第1境界部S1においてタイヤ周方向に隣接する第1区画12により形成される山部と、第2境界部S2においてタイヤ周方向に隣接する第3区画32により形成される山部との間を延びるように形成してもよい。更にまた、
図5Eに示されるように、これらの方向の異なる対角線方向に延びる内側リッジ23D,23Eを、タイヤ周方向に組み合わせて(例えば交互に)配設してもよい。
【0045】
また、
図5Fに示される内側リッジ23Fのように、湾曲させて形成してもよい。これによって、内側リッジ23をより一層長く構成できるので、第2区画22の剛性を更により一層向上させることができる。
【0046】
また、上記の実施形態では、第1区画12、第2区画22、及び第3区画32を、それぞれ四角形状の閉区画として構成したが、これに限らない。すなわち、各区画間の境界部において、一方の領域において隣接する区画により形成される谷部に、他方の領域の区画の一部が一致して配置されるものであればよく、五角形、六角形等の多角形で構成してもよい。また、第1区画12、第2区画22、及び第3区画32を、曲線状のリッジにより閉区画に構成してもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、第1区画12、第2区画22、及び第3区画32を、第1リッジ11、第2リッジ21、及び第3リッジ31を第1境界部S1及び第2境界部S2において、一部共有することにより閉区画に構成したが、これに限らない。すなわち、互いに共有しないリッジによりそれぞれの区画を閉領域に構成し、これらをタイヤ径方向に石垣状に配置してもよい。なお、リッジを一部共有して閉区画を構成するほうが、リッジを効率的に配置しつつ各区画を閉領域に構成でき、ゴムボリュームの増大を抑制できる。
【0048】
また、上記実施形態では、第1及び第3の延在方向F1,F3がタイヤ径方向に進むにつれて
図1中L側へ進むように構成し、第2の延在方向F2を、これとは逆にR側へ進むように構成したが、これに限らない。すなわち、第1〜第3の延在方向F1〜F3を、タイヤ径方向に進むにつれてジグザグ状に延びるように構成してこれにより石垣状に各区画を配置すればよく、タイヤ径方向に対してL側若しくはR側の一方向側に傾斜するように構成してもよい。
【実施例】
【0049】
タイヤサイド部に、リッジよりなるセレーションを有する、第1領域10、第2領域20、及び第3領域30を形成し、第1領域10及び第3領域30よりも長い第2領域20に標章を表示させた、比較例1及び実施例1,2の空気入りタイヤについて、ドライ操縦安定性能と、標章の視認性と、を比較評価した。
【0050】
比較例1は、
図6に示すように、第1領域10の第1リッジ11と、第2領域20の第2リッジ21と、第3領域13の第3リッジ31とが、タイヤ径方向にジグザグ状に連続するように構成したものである。
【0051】
実施例1は、
図1に示す空気入りタイヤであり、第1領域10をタイヤ周方向に隣接した複数の第1区画12で構成し、第2領域20をタイヤ周方向に隣接した複数の第2区画22で構成し、第3領域30をタイヤ周方向に隣接した複数の第3区画32で構成している。第1領域10と第2領域20の第1境界部S1において、複数の第1区画12と第2区画22とがタイヤ径方向に石垣状に噛み合うように配置されている。同様に、第2領域20と第3領域30との第2境界部S2において、複数の第2区画22と複数の第3区画32とがタイヤ径方向に石垣状に噛み合うように配置されている。更に、第2区画22の内側には内側リッジ23が形成されている。実施例2は、内側リッジ23が形成されていないことを除いて、実施例1と同じである。
【0052】
タイヤサイズを195/65R15とした各空気入りタイヤを車両に装着して、ドライ操縦安定性及び視認性を評価した。ドライ操縦安定性能は、ドライ路面における、加速性能、制動性能、旋回性能及びレーンチェンジ性能を、ドライバーによる官能試験により評価した。視認性は、第2領域20に表示した標章の視認性を、複数人の観察により評価した。いずれの評価についても、比較例1の結果を100とする指数で表し、指数が大きいほど性能が優れていることを示している。評価結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
ドライ操縦安定性に関して、比較例1の評価結果を100とした場合の、実施例1,2の評価結果は、102,101であり、いずれも比較例1より向上している。このドライ操縦安定性能の向上は、閉領域とされた第1区画12、第2区画22、及び第3区画32をタイヤ径方向に石垣状に組み合わせたことによる剛性向上が寄与していると推察できる。特に、実施例1は、第2区画22の内側に内側リッジ23を更に備えているので、実施例2に比して剛性が高くなるため、ドライ操縦安定性がより向上すると推察できる。
【0055】
視認性に関して、比較例1の評価結果を100とした場合の、実施例1,2の評価結果は、101,100であった。実施例1は、比較例1及び実施例2に対して、第2区画の内側に内側リッジ23を更に備えているので、第2領域20に配置されるリッジの密度が、第1領域10及び第3領域30よりも相対的に高くなっている。この結果、リッジの密度の高い第2領域20において、光の反射が低減されるためにタイヤがより濃く見えることになり、この結果、第2領域20に表示された標章がより強調されて見えるためと推察できる。