(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-21442(P2018-21442A)
(43)【公開日】2018年2月8日
(54)【発明の名称】迅速復元機能踏台付無電源重力開扉引き戸
(51)【国際特許分類】
E05F 13/04 20060101AFI20180112BHJP
【FI】
E05F13/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-28869(P2017-28869)
(22)【出願日】2017年2月20日
(31)【優先権主張番号】特願2016-142218(P2016-142218)
(32)【優先日】2016年7月20日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】597087099
【氏名又は名称】日章工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500224302
【氏名又は名称】株式会社ブラザーエンタープライズ
(71)【出願人】
【識別番号】507017875
【氏名又は名称】株式会社 有紀
(72)【発明者】
【氏名】藤新 成信
(72)【発明者】
【氏名】井無田 龍
(72)【発明者】
【氏名】井上 翔太
(72)【発明者】
【氏名】橋本 保
(72)【発明者】
【氏名】中島 友和
(57)【要約】 (修正有)
【課題】利用者の通行スピードに合わせて迅速に開閉でき、利用者の通行をスムーズに実現できる踏込力利用の無電源開閉装置を提供する。
【解決手段】迅速復元機能踏台付無電源自動開閉扉装置において、踏み板台機構部上板2と踏み板台機構部下板3を適正配置したX字状可動軸組4の連結により昇降自在とし、歩行自重に反発するスプリング式圧縮コイルバネ8の適正配置により均等な復元力を持ち、扉吊車12が自由に走行できる固定式上部水平レール11と、扉下部はかま部10の段階的下降傾斜のランナーローラー走行用コの字型傾斜レール7と、踏み板台機構部1と連動し、前記コの字型傾斜レール7の内面を圧接するランナーローラー6を持つ作動棒付動力伝達金具5とからなり、前記踏み力及び前記バネ復元力で前記コの字型傾斜レール7の内面にランナーローラー6を上下方向に圧接駆動し、扉15を開閉方向に迅速に移行させる引き戸である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無電源自動開閉扉均等昇降可能踏み板台装置において、利用者の歩行踏み力による下降力と、スプリング式圧縮コイルバネの復元力による上昇力とにして、テコの原理に基づいて組み立てられた動力伝達金具によって、扉を開閉移動できるようにするために、合成上板と下板を適正配置したX字状可動軸組みの連結により昇降自在とし、歩行自重に反発するコイルバネ力の性能と個数を適正に選択により均等な復元力を持ち、所定の大きさの合成上板全体を均等な上下作動可能な扉の前後に配設した踏み板台機構部と、扉の上吊車が開閉方向に自由に走行できる水平固定レールと、扉下部袴部に開方向にかけて段階的に下降傾斜しているランナーローラー走行用コの字型傾斜レールと、踏み板台と連動して、前記コの字型傾斜レールの内面を圧接するランナーローラーを先端に持つ作動棒付押し下げ力伝達金具とからなっており、
踏み力で前記コの字型傾斜レール下側内面にランナーローラーを下方向に押し下げ駆動し、前記バネ復元力で前記コの字型傾斜レールの上側内面にランナーローラーを上方向に押し上げ駆動し、扉を開閉方向に迅速に移行できるようにしたスプリング式圧縮コイルバネの性能と個数と位置とを選択して最適な状態に配設された、均等な上下作動する踏み板台機構部を有することを特徴とする迅速復元機能踏台付無電源重力開扉引き戸。
【請求項2】
性能と個数と位置を適正選択したスプリング式圧縮コイルバネを内蔵して、所定の大きさの合成上板全体を均等な上下作動を可能にした踏み板機構部は、移動荷重を受けて下降し、同時に圧縮され、移動荷重の除去後に、前記コイルバネの迅速復元力により踏み板台上板を元に戻すとともに、踏み板台機構部に固定した動力伝達金具により扉を閉方向へ移行させる力となるために、スプリング式圧縮コイルバネは、横弾性係数G値を55000〜80000N/mm2、バネ係数を0.80〜1.50N/mmであるスチール鋼であって、2〜5mmの線径の5〜12巻数で、バネの輪の径として40〜70mmで、自由長さ100〜200mmのスプリング状のコイルバネで張力を持ったものであり、踏み板機構部の合成上板と下板間の均等な上下作動を生む位置に配設され、踏み板台機構部の中央位置にある帯板部に2〜10個を、又扉前後の踏み板台部に2〜10個を配設し、利用者の多種に渡る自重に対応した前記コイルバネの性能で個数と位置とを適正に選択して、均等な上下作動を示すようにしていることを特徴とする請求項1に記載の迅速復元機能踏台付無電源重力開扉引き戸
【請求項3】
利用者の体重や荷車の荷重変化に対する効率的かつ均等な上下運動の迅速復元力とするように、適正配設されたスプリング式圧縮コイルバネを内蔵している踏み板台機構部は、横500〜1000mm、縦1200〜2000mmであって、内部に昇降自在とするX字状可動軸組を3〜12個、及び復元力となるスプリング式圧縮コイルバネ4〜21個を配設し、X字状可動軸組及び前記コイルバネを下降力の変化毎に、前記復元力コイルバネを合成上板帯板部に半分以上に、残りを踏み板台の中央部付近に配設し、前記コイルバネの性能と位置と個数との調整を行うとともに、個々の前記コイルバネの微調整を行っている最適な状態への配置により、踏み板台全体の一体的な均等の昇降を可能にして、スプリング式圧縮コイルバネの復元力を効率よく伝達できるようにしていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の迅速復元機能踏台付無電源重力開扉引き戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出入り口引き戸の両側に設置した踏み板台を踏み込んだ時の利用者の体重及び荷車の重さを動力源とし、利用者の踏み力のみで扉を開方向へ作動させ、利用者が通過後には踏み板台を元の位置に戻す復元力により扉を閉方向へ作動させる重力式開閉引き戸機構の技術で、テコの原理に基づいて組み立てられた装置により、踏み力及び復元力の上下運動を扉の水平運動に替えて伝達し、迅速な応答で、扉を開閉させる踏み力作動の自然エネルギーを利用した迅速復元機能踏台付無電源重力式開引き扉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電動モータ等の付加動力源を用いることなく、踏み込んだ利用者
の体荷重による荷重変位を動力源とし、出入口の引戸を開かせる機構については、多数の出願特許が存在している。例えば、踏み込みによる変位量を利用して、扉を開かせる荷重式開扉装置において、扉の閉方向に下降傾斜し、扉を支持する摺動支持レールと、扉の開方向に下降傾斜し、前記扉内に固定された開扉レールと、開扉レールに移動自在に接触させた摺動部材と踏み板に加えられた下方向の踏み力をテコの原理を介して、摺動部材の上方向の分力に変換させる開扉機構のものが存在している。しかし、かかる傾斜方式は、移動が引戸の自重に起因した斜面上の自然移動のみに頼っているため、応答性の良い素早い移動ができ難く、頻繁な出入りには煩わしさがあった。(特許文献1参照)
【0003】
階段の踏面に固着された底面と、該底面に結合され水平面に対して傾きを有する踏み台面と、該底面及び踏み台面を連接し階段の見付面と略面一に形成される連接面とを備えた踏み台構造と、前記踏み台構造で形成される内部に配設され、前記踏み台面と底面とを弾力的に連接するバネ弾性構造とを具備して構成されるものが開示されている(特許文献2参照)。
【0004】
踏み台が下降する過程で圧縮され、当該踏み台が下降端又はその近傍に達した時点で引っ張り側に復元するスプリングから成るエネルギー蓄積手段と、踏み台の下降動作をエネルギー蓄積手段とし、後輪に伝達する伝達機構とを具備し、乗手の両足にそれぞれ装着され、踏み台を交互に踏み込むことにより走行可能な走行具において、踏み台が下降端又はその近傍に達した時点で、踏み台をフレームに係止して当該踏み台の上昇側への動作を規制するロック手段と、スプリングが引っ張り側に復元する過程でロック手段の係止を解除し、踏み台の上昇側への動作を許容させるロック解除用ピンとを備えたものが提案されている特許文献3参照)。
【0005】
人体の加重によって、傾斜開閉方式は次のようなものが多数提案されている。
引戸の前後位置の床面に設けた踏板の沈下量を、テコを介し所定の変位に変換し、伝達する伝達機構を設け、伝達機構及び調整ウエイトの自重による沈下で、前記テコを介し前記踏板の浮上状態を保つよう、重量バランス設定され、前記伝達長尺材の上下動作により、開扉レールに駆動回転体を押し付けて、引戸の水平な開扉を軽加重で動作させる方法が提案されている(特許文献3参照)。
【0006】
足踏板に体重を掛けながら通るだけで自然に扉が開閉され、電気も使わず経済的な装置を提供するにおいて、ラックの上部にバネを設け、そのラックの下にクサリを設け、クサリの下に足踏板を固定しラックに歯車をかみ会わせ、この歯車に固定したプーリーともう一つのプーリーにベルトを設け、レールに車輪を乗せベルトの一片を取り付け部に固定する方法が提案されている(特許文献4参照)。
【0007】
開閉可能に支持され、かつ閉方向へ移動付勢力を付加した引戸と、閉戸位置にある引戸の前後位置の床面にそれぞれ配置し、人の踏込圧により所定の沈下量を生じるように構成した踏板と、該踏板の上下移動量を所定の回転角に変換し、この回転角に従って、第1アームを回動させる第1作動機構と、前記回動する第1アームの先端部と連係され、該先端部の移動量を拡大して出力させるレバー機構と、該レバー機構の出力側と引戸とを、引戸の開放方向へ牽引するように連係させた牽引ワイヤーから、成ることを特徴とした踏込圧利用の自動開閉引戸装置が提案されている(特許文献5参照)。
【0008】
上記の提案は軽量の扉についてであって、重量のある扉を傾斜方式で開閉する場合には、移動が引戸の自重に起因した斜面上の自然移動のみに頼っているため、扉の開きの応答性が鈍く、開き状況の良い素早い移動ができ難く、大勢の入り口での頻繁な出入りには煩わしさがあった。また部品が多く、メンテナンスに障害をきたしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−275499号公報
【特許文献2】特開2007−146635号公報
【特許文献3】特開2007−111406号公報
【特許文献4】特開平07−208016号公報
【特許文献5】特開平11−324480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年のバリアーフリーの推進から、車椅子利用者の通行をスムーズに実現できる踏み板の大きさ、踏み力を効率よく伝達でき、さらに踏み板全体の均等な上下作動できる重力式開閉扉機構が望まれ、その上、扉の開閉のスピードも適度の速度、すなわち利用者の通行スピードに合わせた迅速に開ける自動扉が期待されている。また装置のメンテナンスも簡単、かつ容易にでき、故障も少なく、さらに安全、かつ実現性の高い踏込力利用の無電源重力開扉装置が得られることが望まれている。
【0011】
以上のような課題と要望を解決させることと併せて、利用者の体重や荷車の重量より得られる下方向の歩行時踏み力や、利用者が通過後に踏み板全体を元の位置に戻す均等な復元力を扉の水平方向の開閉力に直接的に働かせることができないので、最も効率良く分力を伝達できる伝達金具、伝達技術、補助力機構を付与すれば、レスポンスの向上につながると考えられる無電化重力開扉方法と無電化重力開扉装置を提供することである。さらには利用者歩行時の自重を受ける踏み板全体の均等な上下作動する装置を提供する。上記の点を考慮し、引き戸の扉を開く方向へ移動させる歩行踏み力、引き戸の扉を閉じる方向へ移動させる均等な復元力を有効に作動させ、利用者に不快を感じさせない上下作動させる機構をもつ無電源自然エネルギー利用推進具付自動開閉扉において、扉の開閉力を迅速に発揮できる無電化重力開扉引き戸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
無電源自動開閉扉装置において、利用者の歩行踏み力、及び機構部均等な復元力の上下方向の力をテコの原理に基づいた装置によって、扉を開閉移動できる水平方向の分力とする為、開閉駆動力伝達装置は、力点を踏み板台下板に連結したローラー部に、支点を踏み板の上板に固定した軸受け座部に、作用点を扉内のコの字型傾斜レール内を走行するランナーローラーの接点部とし、踏み板台にかかる歩行踏み力、及び均等な復元力の上下力を効率よく扉開閉方向の分力に変換している。
【0013】
迅速復元機能踏台付無電源自動開閉扉装置において、利用者の歩行自重をテコの原理に基づいて組み立てられた動力伝達金具により、扉を開閉移動できるようにする為、合成上板と下板を均等な昇降を得られる位置で、複数のX字状可動軸組みで連結した構造とし、又歩行自重に反発し、上昇力を生む前記バネの性能と数の適正配置により均等な復元力を持ち、所定の大きさの合成上板全体に均等な上昇力を生み、各々の利用者にたいして、最適な上下作動を提供できる扉の前後に配設した踏み板台機構部と、扉の上吊車が開閉方向に自由に走行できる水平固定レールと、扉下部袴部に開方向にかけて段階的に下降傾斜しているランナーローラー走行用コの字型傾斜レールと、踏み板台と連動して、前記コの字型傾斜レールの内面を圧接するランナーローラーを先端に持つ作動棒付押し下げ力伝達金具とからなり、踏み力で前記コの字型傾斜レール下側内面にランナーローラーを下方向に押し下げ駆動し、スプリング式圧縮コイルバネの復元力で前記コの字型傾斜レールの上側内面にランナーローラーを上方向に押し上げ駆動し、扉を開閉方向に迅速に移行させる。
【0014】
踏み板台機構部において、スプリング式圧縮コイルバネは、踏み板機構部内の合成上板と、板の下板の間に配設され、踏み板台機構部の中央位置にある帯板部に4〜16個を、又扉前後の踏み板台部に1〜5個を配設し、移動荷重を受けた踏み板台の下降と同時に圧縮され、移動荷重の除去後に、バネの迅速復元力により踏み板台上板を元に戻すとともに、踏み板台機構部に固定した動力伝達金具により扉を閉方向へ移行させる力となり、この復元力の作用点の位置により、踏み板機構部の均等な昇降機能を左右することになる。好ましくは、スプリング式圧縮コイルバネは、踏み板台機構部の中央位置にある帯板部に2〜10個を、又扉前後の踏み板台部に2〜10個を、全体で4〜20個を均等な上下作動できる位置に配設することにより、各々の利用者の歩行自重に対応した均等な昇降が出来る。
【0015】
踏み板台の復元力となるスプリング式圧縮コイルバネは、横弾性係数G値を55000〜80000N/mm2、バネ係数を0.80〜1.50N/mmであるスチール鋼であって、張力を持つ2〜5mmの線径の5〜12巻数で、バネの輪の径として40〜70mmで、自由長さ100〜200mmのスプリング状のバネである。好ましくは、スプリング式圧縮コイルバネは、張力を持つ2〜4mmの線径の5〜10巻数で、バネの輪の径として40〜60mmで、自由長さ100〜180mmである。
【0016】
移動荷重及び歩行踏み力を受けて押し下げられ踏み板台を、利用者が通過後、元の位置に復元させるスプリング式圧縮コイルバネは、踏み板台の復元力となると同時に、扉の閉方向へ作動させる水平力となる。テコの原理に基づいて組み立てられた動力伝達装置において、力点を踏み板台下板に連結したローラー部に、支点を踏み板の上板に固定した軸受け座部に、作用点を扉内のコの字型傾斜レール内を走行するランナーローラーの接点部とした構造で、バネの復元力を受け、ランナーローラー接点を扉内のランナーローラー走行用コの字型傾斜開扉レールに圧接させ、扉に水平方向の分力を働かせて、扉を閉方向へ動かす。また、踏み板台機構部内に部品交換及びバネ力の調整を可能とし、5〜21個の交換窓口を取り付け、利用者の体重変化に対応する迅速な復元力と均等な昇降を持たせる構造になっている。好ましくは、変化する利用者の歩行踏み力に対応した均等な上下作動となる最適な部品交換及びバネ力の調整を可能とする交換窓口を4〜20個を取り付ける。
【0017】
踏み板台は、上板と下板の大きさを、横500〜1000mm、縦1200〜2000mmとし、内部にX字状可動軸組を3〜12個、及び復元力となるスプリング式圧縮コイルバネを4〜20個を配設し、X字状可動軸組及びバネの位置を適正に配置することで、踏み板台全体の均等な昇降を可能となっている。また移動踏み力を受ける踏み板機構部は、圧縮されると同時にバネも圧縮する為、移動踏み力を弱める方向に働くバネの復元力との最適なバランスを求める必要が出てくる。そこで、可動軸組と復元力のスプリング式圧縮コイルバネの踏み板台の最適な配置は理論値と実証実験により得られたデータに基づき、全体を均等な昇降にできるバランスのとれた配置としている。
好ましくは、踏み板台は、上板と下板の大きさを、横500〜800mm、縦1200〜1800mmとし、内部に昇降自在にしたX字状可動軸組を3〜10個、及び復元力となるスプリング式圧縮コイルバネを4〜20個を配設する
【0018】
踏み板台機構部の動きと連動するランナーローラーの走行用コの字型傾斜開閉用レールは、扉の下部袴に固定され、前記ランナーローラーの圧接力の反作用により、扉を水平方向に移動させ、扉の開閉を行い、また勾配変化で扉の移送速度を変えることができる。さらに、ランナーローラーの圧接移行軌跡において、扉の開放時、踏み力を受けるローラーの圧接点は、前記傾斜開閉用コの字レールの下側を駆動し、一方、扉の閉鎖時、復元力を受けるローラーの圧接点は前記傾斜開閉用コの字レールの上側にローラーを圧接して駆動する。
【0019】
全体の均等昇降可能な踏み板台機構部は、利用者の歩行踏み力やスプリング式圧縮コイルバネの復元力を効率よく伝達し、踏み板台全体を均等に昇降作動させる為、X字状可動軸組を適正位置に配設し、スプリング式圧縮コイルバネを帯板部に半分以上連設して、前後の踏み板台の中央部付近に残りを取り付け、その上、前記各バネの設置数量、設置位置における復元力の強さを微調整できる器具を付帯している。
【発明の効果】
【0020】
迅速復元機能踏台付無電源重力開扉引き戸において、本発明は、利用者の体重、荷車の重さ等の自然エネルギーを利用している為、建物の色々な用途の場所で利用者の歩行踏み力や扉の重さが異なっている場合が多い。このように動力源の違いや扉の重量の違いによって、扉の移行速度に違いが生まれ、レスポンスの違いを生じている無電源重力開扉引き戸も存在している。このような引き戸の問題を解消した。
【0021】
軽い利用者から重い利用者迄の歩行踏み力の大きさによるレスポンスの違いを少なく出来るようにし、このようなタイプの無電化扉の普及をより広く利用を進めた。さらに踏み板機構部装置、動力伝達金具を最適な装置に改良することで、迅速復元機能踏台によって扉の開閉においてスムーズに、しかも迅速に駆動して、待機時の違和感を生じなく、また広い開放間口を確保することが容易にできた。
【0022】
迅速復元機能踏台付無電源重力開扉引き戸において、電気等の動力源の設備を必要とせず、両手がふさがって使用する出入り口、荷車、車椅子等を押して通る出入り口、また特定の人が利用する出入り口で電気的装置までは必要としない簡易自動扉出入り口に利用できた。
【0023】
さらに、幼児や小動物などの歩行踏み力では作動することはなく、出入りを制限できる点も有利であった。50万回の駆動テストにおいても問題はなく駆動できて、長時間安定的に、安心して使用できることが証明された。さらに複数の同時利用者による扉への人体の追突による衝撃でも、部品の変形や故障が少なくなり、数と性能部品を適正配設し、均一的で、スムーズな上下作動をする迅速復元機能によって、変化する利用者に対応した早い速度で応答でき、通行に違和感をもたらせないようにできた。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】方引き戸タイプの踏み板機構部内の反復昇降自在な複数のX字状可動軸組部品とスプリング式圧縮コイルバネの配設した状態を示す伏図。 Aは踏み板合成上板が均等な上下作動をせず、実証値を測定出来なかった時の前記可動軸組及び前記バネに配置を示す Bは踏み板合成上板が均等な上下作動をせず、実証値を測定出来なかった時の前記可動軸組及び前記バネに配置を示す Cは表1の実証値を測定した時の前記可動軸組及び前記バネに配置を示すDは表2の実証値を測定した時の前記可動軸組及び前記バネに配置を示す
【
図2】両引き分け引き戸タイプの踏み板機構部内の反復昇降自在な複数のX字状可動軸組部品とスプリング式圧縮コイルバネの配設した状態を示す伏図。 Aは踏み板合成上板が均等な上下作動をせず、実証値を測定出来なかった時の前記可動軸組及び前記バネに配置を示す Bは踏み板合成上板が均等な上下作動をせず、実証値を測定出来たが、扉が完全に閉まらず、実証出来ないこととした。Cは表3の実証値を測定した時の前記可動軸組及び前記バネに配置を示す
【
図3】A図は迅速復元用スプリング式圧縮コイルバネの標準形状、B図はセット後の踏み力が無く、かつ復元力が無い状態のばね形状、C図はセット後の踏み力が有り、かつ復元力が有る状態のばね形状を示す正面図及び平面図。D及びEは迅速復元用スプリング式圧縮コイルバネの復元力微調整用金具の調整前と調整後の状態を示す正面図である。
【
図4】迅速復元機能踏台付無電源重力開扉引き分け引き戸において、A図は両引き分けタイプ無電源重力開扉引き戸の上部機構部及び踏み板台機構部を組み込んだ建具の姿正面図で上部金具の取り付け状態及び踏み板台機構部セット状態を示す全体正面図。B図は両引き分けタイプ無電源重力開扉引き戸の平面図及び踏み板機構部X字状可動軸組配設図とスプリング式圧縮コイルバネ配設を示す全体平面図である。
【
図5】迅速復元機能踏台付無電源重力開扉片引き引き戸において、A図は片引きタイプ無電源重力開扉引き戸の上部機構部及び踏み板台機構部を組み込んだ建具の姿正面図で上部金具の取り付け状態及び踏み板台機構部セット状態を示す全体正面図。B図は両引き分けタイプ無電源重力開扉引き戸の平面図及び踏み板機構部X字状可動軸組配設図とスプリング式圧縮コイルバネ配設を示す全体平面図である。
【
図6】迅速復元機能踏台付無電源重力開扉片引き引き戸において、A図は片引きタイプ無電源重力開扉引き戸の踏み板台機構部に踏み力の無い状態での力伝達金具、スプリング式圧縮コイルバネ、ランナーローラー走行用コの字型傾斜開扉レール及びランナーローラーの装置位置を示す姿正面図。B図は片引きタイプ無電源重力開扉引き戸の踏み板台機構部に踏み力を受けた状態での力伝達金具、スプリング式圧縮コイルバネ、ランナーローラー走行用コの字型傾斜開扉レール及びランナーローラーの装置位置を示す姿正面図。C図は踏み力を受ける前の状態の伝達金具部を示す拡大正面図。D図は踏み力を受けた状態の伝達金具部を示す拡大正面図である。
【
図7】迅速復元機能踏台付無電源重力開扉引き戸において、A図は片引きタイプ無電源重力開扉引き戸の踏み板台機構部に踏み力の無い状態の踏み板台を示す断面図。B図は片引きタイプ無電源重力開扉引き戸の踏み板台機構部に踏み力を受けた状態の踏み板台を示す断面図。C図は片引きタイプ無電源重力開扉引き戸の踏み板台機構部のX字状可動軸組及び復元力用スプリング式圧縮コイルバネの配設状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、上記構成を具体化した実施形態例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図4、
図5に示すように、迅速復元機能踏台付無電源重力開扉引き戸において、上枠ボックス内に引き戸上吊車が開閉方向に自由に走行できる固定式水平レールを取り付け、吊り車を取り付けた扉を前記レールに吊り込み、扉高さを確認しながら、扉高さ調整板を入れる。外れ止め及び制動装置を取り付けし、扉を手動で動かし、作動を確認する。次に、内部に反復昇降自在な複数のX字状可動軸組部品と踏み板台に復元力を生むスプリング式圧縮コイルバネを
図4B、
図5B、に示すように配設した踏み板機構部を開閉扉の前後の床に設置し、手動で踏み板台全体の一体的な鉛直上下運動を確認する。 さらに、踏み板台機構部と扉下部袴部ランナーローラー走行用コの字型傾斜レールを動力伝達金具で連結し、踏み板台の上下運動を扉走行用水平分力に効率良く伝達できるようにする。最後に踏み力をかけ、踏み板台機構部の上下ストローク寸法及び扉の開閉速度を測定し、その数値で、踏み板機構部のスプリング式圧縮コイルバネ復元力を調整する。その調整方法としては、設置数量を変え、踏み板機構部の均等な昇降となるように個々の前記バネを微調整する。
【0026】
多種に渡る利用者の通行速度にあった扉の開閉速度に近づける為の調整作業としては、
図6、
図7に示すように取り付けられた動力伝達金具先端のランナーローラーを、ランナーローラー走行用コの字型傾斜レールに圧接させる圧接力の調整と踏み板台機構部を元に復元するスプリング式圧縮コイルバネの復元力の微調整で行う。
【0027】
図3に示すように、スプリング式圧縮コイルバネは、横弾性係数G値を55000〜80000N/mm2、バネ係数を0.80〜2.00N/mmの性能のステンレス鋼を使い、張力を持つ2〜5mmの線径の5〜12巻数で、バネの輪の径として40〜70mmで、自由長さ100〜200mmのスプリング状のバネの範囲のものである。今回使用するバネは下記もの2種とし、その特性は下記に示す。
また反復昇降自在な複数のX字状可動軸組部品と踏み板台に復元力を生むスプリング式圧縮コイルバネを使い構成した踏み板機構部の50万回の開閉駆動テストを行ったが、バネの変形、復元力の減退などの問題もなく、安定的に開閉作動した。無電源重力開閉扉引き戸として完成したものとなった。
【実施例1】
【0028】
JISH4100に規定するA6063S-T5 アルミニウム合金押し出し型材を使用して、
図4のAに示すアルミニウム合金製建具:有効開口W=1650mm、H=2100mmかつ枠外寸法W=3500mm、H=2300mmの両引きアルミ製引戸建具を製作し、又、前記上部機構部金具及び底面が横920mm、縦1520mm高さ70mmの前記踏み板台板機構部を製作し、それぞれ、社内規定に基づく梱包をし、出荷した。建具の取り付け位置、床の矩形ぬすみ寸法及び壁開口寸法について、水平、鉛直レベルをレーザーにより、確認をした。前記引き戸建具枠及び前記踏み板台機構部を配置し、定められた取り付け精度を確認しながら、慎重に固定を行った。
【0029】
上枠ボックス内に引き戸上吊車が開閉方向に自由に走行できる固定式水平レールを取り付け、吊り車を取り付けた前記アルミニウム合金製扉を前記水平レールに吊り込み、扉高さを確認しながら、扉高さ調整板を入れた。外れ止め及び制動装置を取り付けし、扉を手動で動かし、作動を確認した。次に、内部に反復昇降自在な複数のX字状可動軸組部品と踏み板台に復元力を生むスプリング式圧縮コイルバネを
図4Bに示すように配設した踏み板機構部を開閉扉の前後の床に設置し、手動で踏み板台全体の一体的な鉛直上下運動を確認した。
【0030】
さらに、
図6に示すように、踏み板台機構部と扉下部袴部ランナーローラー走行用コの字型傾斜レールを動力伝達金具で連結し、踏み板台の上下運動を扉走行用水平分力に効率良く伝達できるようにした。最後に踏み力をかけ、踏み板台機構部の上下ストローク寸法及び扉の開閉速度を測定し、その数値で、踏み板機構部のスプリング式圧縮コイルバネ復元力を調整し、所定の条件に近づけて調整を終えた。その際、アルミニウム合金製建具と召し合せ方立との隙間寸法、前記建具と前記踏み板台機構部隙間寸法、前記踏み板台機構部と踏み力伝達金具のセット位置寸法、踏み板台機構部底面からの高さを±0.5mmの範囲となる精度とした。
【0031】
扉の動き、踏み板機構部の正常な動きを確認後、さらに利用者の通行速度にあった扉の開閉速度に近づける為の調整作業としては、
図6、
図7に示すように取り付けられた動力伝達金具先端のランナーローラーを、ランナーローラー走行用コの字型傾斜レールに圧接させる圧接力の調整と踏み板台機構部を元に復元するスプリング式圧縮コイルバネの復元力の微調整で行った。
【0032】
調整方法の詳細としては、前記扉下部袴部に取り付けしている前記コの字型傾斜レールに対して、先端にランナーローラーを持つ押し下げ第一作動棒を扉下端と踏み板台の間の寸法を規定の寸法になるように踏み板機構部を下げ状態で、前記ローラーに所定の圧接力を持たせた状態で固定した。30Kgの踏み力で伝達状況を確認した。所定の性能が確認出来ない時は同じ作業を繰り返すことになる。所定の性能が出ていることを確認して作業を終了した。
【実施例2】
【0033】
迅速復元機能踏台付無電源重力開扉引き戸において、
図5は本実施例2の構成を概略的に示す全体正面図及び平面図である。JISG3302溶融亜鉛めっき鋼板の板厚0.8mm、1.6mm及び2.3mmの材料を使用し、組み立て状態で内法寸法0.9m×0.2mの矩形となる片引き鋼製軽量扉の枠及び扉の展開図を作成した。さらに切断加工、プレス加工、曲げ加工、扉組み立て加工、枠組立加工、錆止塗装・仕上げ塗装、仮組検査、外観及び寸法検査を経て製品化し、また底面が横550mm、縦950mm高さ70mmの寸法で、内部に反復昇降自在な複数のX字状可動軸組部品と踏み板台に復元力を生むスプリング式圧縮コイルバネを備えられる踏み板台機構部を製作した。
【0034】
施工現場において、
図5の全体構成図の通りの取り付け施工に先立ち、壁開口部寸法及び床掘り込み寸法の確認を行なった。壁開口部及び床掘り込み部に構成軽量建具及び踏み板台機構部を設置し、レーザーを使用し垂直方向及び水平方向のレベルを正確にとって固定した。前記鋼製軽量建具の召し合せ方立と上記踏み板台機構部の取り合い部に、前記踏み板台機構部の踏力を伝達する第一作動棒を召し合せ方立からの離れ、踏み板台機構部底面からの高さを±0.5mmの範囲となる精度で設置固定した。
【0035】
上枠ボックス内に引き戸上吊車が開閉方向に自由に走行できる固定式水平レールを取り付け、吊り車を取り付けた前記鋼製軽量扉を前記水平レールに吊り込み、扉高さを確認しながら、扉高さ調整板を入れた。外れ止め及び制動装置を取り付けし、扉を手動で動かし、作動を確認した。次に、内部に反復昇降自在な複数のX字状可動軸組部品と踏み板台に復元力を生むスプリング式圧縮コイルバネを
図5B、
図6に示すように配設した踏み板機構部を開閉扉の前後の床に設置し、手動で踏み板台全体の一体的な鉛直上下運動を確認した。
【0036】
さらに、踏み板台機構部と扉下部袴部ランナーローラー走行用コの字型傾斜レールを動力伝達金具で連結し、踏み板台の上下運動を扉走行用水平分力に効率良く伝達できるようにした。最後に踏み力をかけ、踏み板台機構部の上下ストローク寸法及び扉の開閉速度を測定し、その数値で、踏み板機構部のスプリング式圧縮コイルバネ復元力を調整し、所定の性能が出ていることを確認して作業を終了した。
【実施例3】
【0037】
迅速復元機能踏台付無電源重力開扉引き戸において、利用者の体重と扉重量及び復元力の相互関係が開閉速度及び開閉レスポンスを左右するため、最適な相互バランスを得る必要が出てくる。3DCADの解析で理論値は得られるが、実証実験を行い、いろいろな条件での実験を繰り返し、実験値を求めた。以下は、その実験での測定結果の一例である。この一例は
図4、
図5に至る前の実証実験結果であった。
【0038】
踏み板台機構部において、
図1のA、Bに示すようにスプリング式圧縮コイルバネ及びX字状可動軸組で構成し、作動を確認した結果、踏み板全体の均等な上下作動せず、実証実験値を得られなかった。
図1のC、Dに示すように、前記バネとX字状可動軸組で配設構成し、全体を一体な均等上下運動するようにした踏み板台機構部、詳しくはC場合、帯板部に2個、踏み板台機構部にそれぞれ3個ずつ、Dの場合、帯板部に3個踏み板機構部にそれぞれ3個ずつを配設し復元力とした。バネの配設時期としては、帯板部のバネは設置前に補助ボルトを使い、固定し、踏み板台部のバネは踏み板台機構部の設置後、取り外し可能蓋を開け、固定した 。
【0039】
踏み板台機構部は、横549mm、縦954mmであって、内部にX字状可動軸組を3個、及びスプリング式圧縮コイルバネ8個を理論値の基づき、配設する。利用者の体重の変化や利用者に適した開速度になる条件を実証する為、踏み板機構部の条件を変えて、測定を行った。設置完了製品において、最初に、
図1のCのようにバネを計8個入れて、伝達効率確認測定を行った。
測定はm≒55kgの人間が乗った際に、0~600mm開く際の時間を3回ストップウォッチで測定して平均時間を算出後に開速度を算出した。
【表1】
【0040】
次に、
図1のDのようにバネを計9個いれて、測定を行った。詳しくは、機構部中間位置にある帯板部分に3個を、又引き戸の前後の踏み板台の中央部に3個を配設した。バネを9個設置した場合の機構部の高さは、76mm(ストローク量23mm)になる様に調整を行った。測定値は下記の通りであった。
【表2】
【0041】
さらに、
図2のCに示すようにバネを16個で測定を行った。詳しくは、機構部中間位置にある帯板部分に6個を、又引き戸の前後の踏み板台の中央部に5個を配設した。押下げピンを取り付けしてない場合 約80mm押下げピンを取り付けして機構部高さを調整した場合約75mmであった。
測定の条件は、片引きの場合と同様に測定を行った。
【表3】
バネを12個入れた場合、開速度は220mm/s以上の値となったが、開口量がW=1,420と1,500mm以下となった。 m≒72 kgの場合の開口量はW=1,550mm(全開)となった。ストローク量は、m≒55kgの場合 約20mmm≒72kgの場合 約22mm→2mmの差があった。
図2のCに示すような相互関係は良好な条件であることが得られた。今後、利用者別の歩行踏み力に対してさらに細かく分類できるように、実証実験を重ねて行く。
「比較例1」
実施例1において、同様に迅速復元機能踏台付無電源重力開扉引き戸を製作して、内部に反復昇降自在な複数のX字状可動軸組部品12個と踏み板台に復元力を生むスプリング式圧縮コイルバネ12個を配設した踏み板機構部を開閉扉の前後の床に設置し、同じ条件の元に試験した。結果は表4に示した。
【表4】
「比較例2」
実施例1において、同様に迅速復元機能踏台付無電源重力開扉引き戸を製作して、内部に反復昇降自在な複数のX字状可動軸組部品12個と踏み板台に復元力を生むスプリング式圧縮コイルバネ18個を配設した踏み板機構部を開閉扉の前後の床に設置し、同じ条件の元に試験した。結果は表5に示した。
【表5】
【符号の説明】
【0042】
1:踏み板台機構部 2、2A:踏み板台機構部上板 3:踏み板台機構部下
板4:X字状軸組 5:力伝達金具 6:ランナーローラー 7:ランナーローラー走行用コの字型傾斜開扉レール 7−1:ランナーローラーのレール下側圧接始点 7−2〜7−4:ランナーローラーのレール下側圧接移動終点 7−5:ランナーローラー上側圧接点始点 7−6〜7−10:ランナーローラーのレール上側圧接移動点終点 8:スプリング式圧縮コイルバネ(小) 9:スプリング式圧縮コイルバネ(大) 10:扉下部はかま部 11:上部水平レール 12:扉吊車 13:制動装置1 14:制動装置2 15:框扉 16:縦枠 17:上部ボックス枠 18:巾木部 R1:伝達金具力点 J1:伝達金具支点 S1:伝達金具作用点 R2:復帰金具力点 J2:復帰金具支点 S2:復帰金具作用点