【解決手段】情報処理装置は、帳票の所定欄に、文字コードに変換される第1の情報と、文字コードに変換されない第2の情報とが混在するか否かを判定する読取手段と、帳票の所定欄に第1の情報と第2の情報とが混在すると判定した場合に、帳票の第1の情報及び第2の情報を、処理された帳票に係る情報を格納する記憶部から取得される処理済みの帳票の所定欄に含まれる第1の情報及び第2の情報と、それぞれ照合する照合手段と、照合による一致の度合いに基づいて、帳票に係る処理が処理済みの帳票に係る処理と重複するか否かを判定する判定手段と、を備える。
前記照合手段は、前記所定欄とは異なる欄に含まれる情報の一部が前記帳票と一致する帳票を前記処理済みの帳票として、前記処理済みの帳票に係る情報を前記記憶部から取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
前記判定手段は、前記帳票の第1の情報と前記処理済みの帳票の第1の情報とが一致し、且つ、前記帳票の第2の情報と前記処理済みの帳票の第2の情報との照合率が所定値以上である場合に、前記帳票に係る処理が前記処理済みの帳票に係る処理と重複すると判定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
前記判定手段は、前記帳票の第1の情報と前記処理済みの帳票の第1の情報とが一致しない場合に、前記帳票に係る処理が前記処理済みの帳票に係る処理と重複しないと判定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
処理対象の帳票は、予め印刷された振込先の情報等が処理済みの帳票と同じであっても、自由に記載可能で帳票ごとに内容が異なる通信欄で、日付や顧客番号等の数字の一部が異なる場合がある。この場合、処理対象の帳票は、処理済みの帳票と異なる帳票であるにもかかわらず、予め印字された所定の項目を照合した際、多くの項目が一致することにより照合率が高くなり、同一の帳票であると判定される可能性がある。また、処理対象の帳票は、窓口の担当者の誤認によって重複して処理された場合、処理済みの帳票と同一帳票であるにもかかわらず、読取り時の帳票の折れや歪み等によって異なる帳票と判定される可能性がある。さらに、帳票の通信欄には、印字された文字と手書きの文字が混在する場合があり、混在した情報の比較により、処理済みの帳票と合致するか否かを精度良く判定することは困難であった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、帳票の重複処理を抑制する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、帳票の所定欄に文字コードに変換される情報と文字コードに変換されない情報が混在する場合に、それぞれの情報を処理済みの帳票と照合することで、処理済みの帳票と重複するか否かを判定するようにした。
【0008】
詳細には、本発明は、情報処理装置であって、帳票の所定欄に、文字コードに変換される第1の情報と、文字コードに変換されない第2の情報とが混在するか否かを判定する読取手段と、帳票の所定欄に第1の情報と第2の情報とが混在すると判定した場合に、帳票
の第1の情報及び第2の情報を、処理された帳票に係る情報を格納する記憶部から取得される処理済みの帳票の所定欄に含まれる第1の情報及び第2の情報と、それぞれ照合する照合手段と、照合による一致の度合いに基づいて、帳票に係る処理が処理済みの帳票に係る処理と重複するか否かを判定する判定手段と、を備える。
【0009】
上記の情報処理装置によれば、帳票の所定欄において文字コードに変換される第1の情報及び文字コードに変換されない第2の情報による照合を併用することで、記載された日付や顧客番号等の一部が異なる帳票を同一帳票と判定したり、読取り時の帳票の折れや歪み等により同一帳票を異なる帳票と判定したりする誤判定が軽減される。したがって、処理対象の帳票が処理済みの帳票と合致するか否かの判定精度が向上し、誤判定に起因する重複処理は抑制される。また、誤判定による不要な警告表示が抑制される。第1の情報は、例えば、予め帳票に印字された印字文字である。また、第2の情報は、例えば、手書文字である。同一か否かの判定対象とされる帳票は、金融機関における振込依頼書又は申込書等に限られず、種々の手続きをする際に記入される書類等を含むものとする。振込依頼書に基づく振込処理、申込書に基づく申込処理、及び種々の手続きは、本願でいう「帳票に係る処理」の一例である。帳票の所定欄は、例えば、振込依頼書の通信欄のように印字文字と手書文字とを含み得る欄であって、情報処理装置は、帳票全体を所定欄として、帳票に含まれる第1の情報及び第2の情報を、処理済みの帳票に含まれる第1の情報及び第2の情報と照合することも可能である。
【0010】
なお、照合手段は、所定欄とは異なる欄に含まれる情報の一部が帳票と一致する帳票を処理済みの帳票として、処理済みの情報に係る情報を記憶部から取得するようにしてもよい。このような照合手段であれば、所定欄以外の欄、例えば、振込先口座番号欄及び金額欄が一致する帳票と照合するようにすることで、不要な照合処理を抑制することができる。
【0011】
また、照合手段は、さらに、帳票の第1の情報及び第2の情報が記載された位置の情報を、処理済みの帳票と照合するようにしてもよい。このような照合手段であれば、第1の情報(印字文字)及び第2の情報(手書文字)の記載内容の他、記載された位置についても処理済みの帳票と照合するため、処理対象の帳票が処理済みの帳票と合致するか否かを、より精度良く判定することができる。
【0012】
また、判定手段は、帳票の第1の情報と処理済みの帳票の第1の情報とが一致し、且つ、帳票の第2の情報と処理済みの帳票の第2の情報との照合率が所定値以上である場合に、帳票に係る処理が処理済みの帳票に係る処理と重複すると判定するようにしてもよい。このような判定手段であれば、第1の情報(印字文字)と第2の情報(手書文字)とを異なる形態で照合することができ、処理対象の帳票が処理済みの帳票と合致するか否かの判定条件をより柔軟に設定することが可能である。ここで、照合率は、例えば、手書文字のイメージデータを画素単位で比較し、総画素数のうち、処理対象の帳票と処理済みの帳票とで一致する画素数の占める割合としてもよい。例えば、所定値を90%とした場合、90%以上の画素の情報が一致すれば、処理対象の帳票が処理済みの帳票と合致すると判定するようにしてもよい。
【0013】
また、判定手段は、帳票の第1の情報と処理済みの帳票の第1の情報とが一致しない場合に、帳票に係る処理が処理済みの帳票に係る処理と重複しないと判定するようにしてもよい。このような判定手段であれば、第2の情報(手書文字)の照合をすることなく、処理対象の帳票が処理済みの帳票と異なると判定されるため、照合手段及び判定手段による処理時間及び負荷が軽減される。
【0014】
また、本発明は、方法の側面から捉えることもできる。例えば、本発明は、コンピュー
タが、帳票の所定欄に、文字コードに変換される第1の情報と、文字コードに変換されない第2の情報とが混在するか否かを判定する読取ステップと、帳票の所定欄に第1の情報と第2の情報とが混在すると判定した場合に、帳票の第1の情報及び第2の情報を、処理された帳票に係る情報を格納する記憶部から取得される処理済みの帳票の所定欄に含まれる第1の情報及び第2の情報とそれぞれ照合する照合ステップと、照合による一致の度合いに基づいて、帳票に係る処理が処理済みの帳票に係る処理と重複するか否かを判定する判定ステップと、を実行する、情報処理方法であってもよい。
【0015】
また、本発明は、コンピュータプログラムの側面から捉えることもできる。例えば、本発明は、コンピュータに、帳票の所定欄に、文字コードに変換される第1の情報と、文字コードに変換されない第2の情報とが混在するか否かを判定する読取ステップと、帳票の所定欄に第1の情報と第2の情報とが混在すると判定した場合に、帳票の第1の情報及び第2の情報を、処理された帳票に係る情報を格納する記憶部から取得される処理済みの帳票の所定欄に含まれる第1の情報及び第2の情報とそれぞれ照合する照合ステップと、照合による一致の度合いに基づいて、帳票に係る処理が処理済みの帳票に係る処理と重複するか否かを判定する判定ステップと、を実行させる、情報処理プログラムであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、帳票の重複処理を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的な構成に限定するものではない。
【0019】
銀行等の金融機関において、振込依頼書等の帳票を処理する際、窓口の担当者は、帳票の記載内容を情報処理装置で読取り、振込の処理を実行する。振込の処理が実行されると当該帳票の処理内容を識別する処理番号が付与され、窓口の担当者は、付与された処理番号を処理された帳票に印刷する。振込先及び振込金額が同一の帳票を複数受け付けた場合、窓口の担当者は、付与された処理番号を、振込先及び振込金額が同じである他の帳票に誤って印刷してしまう場合が生じる。この場合、処理済みの帳票は、処理番号が印刷されていないために、重複して処理される可能性がある。以下、本実施形態における帳票の重
複処理の抑制について説明する。
【0020】
<帳票の記載例>
図1から
図3は、帳票の重複処理を誘発する可能性のある帳票の記載例を示す。帳票は、振込依頼書の通信欄のように、帳票ごとに異なる内容を含む場合がある。通信欄には、予め印刷された印字文字と手書文字が混在する場合があり、それぞれの内容及び記載される位置は帳票ごとに異なる。以下、各図において、破線で囲まれた領域内の文字は、印字文字を示す。また、一点鎖線で囲まれた領域内の文字は、手書文字を示す。なお、印字文字及び手書文字は、それぞれ本願でいう「第1の情報」及び「第2の情報」の一例である。また、通信欄は、本願でいう「所定欄」の一例である。
【0021】
図1は、帳票の記載例を示す図である。
図1(A)から
図1(C)に示す各帳票は、振込先口座番号欄A1、金額欄A2、受取人名欄A3、受付印欄A4、通信欄A5を含む。
図1(A)は、手書文字を含まない帳票の例を示す。
図1(A)の帳票において、通信欄A5は、領域A51及び領域A52を含む。領域A51には「〔通信欄〕」の文字が印字され、領域A52には、通信内容が印字されている。
【0022】
図1(B)は、フォーマットが独自に作成されている帳票の例を示す。
図1(B)の帳票において、通信欄A5は、領域B51及び領域B52を含む。領域B51には、記載内容の項目名等が印字されている。領域B52には、記入欄が予め印刷されており、各欄に手書文字が記入されている。
【0023】
図1(C)は、手書文字が任意の位置に記載されている帳票の例を示す。
図1(C)の帳票において、通信欄A5は、領域C51及び領域C52を含む。領域C51には、記載内容の項目名等が印字されている。領域C52には、手書文字が記入されている。
【0024】
図1(A)のように、通信欄A5が印字される文字情報を含む帳票を重複読取りして画素単位で比較した場合、同一の帳票であっても、印字位置のずれやスキャナで読込む際の位置ずれによって、異なる帳票であると判定される場合が生じる。このため、窓口の担当者が、同一の帳票を重複して処理した場合に、異なる帳票としてコンピュータにより処理されてしまう可能性がある。また、
図1(B)及び
図1(C)のように、通信欄A5に印字文字と手書文字が混在する場合も同様に、通信欄A5の内容が同一であるか否かを判定するのが困難な場合がある。このため、窓口の担当者が、誤って同一の帳票を重複して処理した場合、異なる帳票としてコンピュータにより処理されてしまう可能性がある。
【0025】
図2は、振込先が同一であって、通信欄の印字文字の一部が異なる帳票を例示する図である。
図2(A)及び
図2(B)に示す各帳票は、振込先口座番号欄A1、金額欄A2、受取人名欄A3、受付印欄A4、通信欄A5を含む。
図2(A)の帳票と
図2(B)の帳票との振込先口座番号欄A1、金額欄A2、受取人名欄A3の記載内容はそれぞれ同一である。
【0026】
一方、
図2(A)の帳票の通信欄A5では、領域D51に「△△ライブ 6/12分」の文字が印字されている。また、
図2(B)の帳票の通信欄A5では、領域D52に「△△ライブ 6/13分」の文字が印字されている。即ち、振込先は同一であるが、振込の対象である△△ライブの日付が異なり、
図2(A)の帳票と
図2(B)の帳票とは、異なる帳票である。このように、通信欄A5の一部が異なる帳票が複数存在すると、窓口の担当者は、処理番号を類似する未処理の帳票に印刷してしまい、処理番号を印刷しなかった処理済み帳票を重複して処理してしまう場合がある。さらに、帳票を画素単位で比較する場合、コンピュータは、同じ帳票であっても、スキャナによる読込みの際の位置ずれ等により、処理済みの帳票とは異なると判定し、重複して処理してしまう可能性がある。
【0027】
図3は、振込先が同一であって、通信欄の手書文字の一部が異なる帳票を例示する図である。
図3(A)及び
図3(B)に示す各帳票は、振込先口座番号欄A1、金額欄A2、受取人名欄A3、受付印欄A4、通信欄A5を含む。
図3(A)の帳票と
図3(B)の帳票との振込先口座番号欄A1、金額欄A2、受取人名欄A3の記載内容はそれぞれ同一である。
【0028】
一方、
図3(A)の帳票の通信欄A5では、領域E51には振込人の氏名として「ゆうちょ 太郎」の手書文字が記載されている。また、
図3(B)の帳票の通信欄A5では、領域E52には振込人の氏名として「ゆうちょ 花子」の手書文字が記載されている。即ち、振込先は同一であるが、振込人が異なり、
図3(A)の帳票と
図3(B)の帳票とは、異なる帳票である。このように、通信欄A5に記入された手書文字の一部が異なる帳票が複数存在すると、窓口の担当者は、処理番号を類似する未処理の帳票に印刷してしまい、処理番号を印刷しなかった処理済み帳票を重複して処理してしまう可能性がある。さらに、帳票を画素単位で比較する場合、コンピュータは、同じ帳票であっても、印字文字と手書文字が混在する通信欄A5が適切に認識されず、処理済みの帳票とは異なる帳票であると判定し、重複して処理してしまう可能性がある。
【0029】
<ハードウェア構成>
図4は、実施形態における情報処理装置のハードウェア構成を例示する図である。情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、ROM(Read Only Memory)13、補助記憶装置14、ゲートウェイ等を介してインターネットに接続されるNIC(Network Interface Controller)15、入力装置16、出力装置17、読取装置18を備えるコンピュータである。なお、情報処理装置1は、CPU11等の汎用プロセッサの代わりに、専用プロセッサや専用回路等により実現されてもよい。
【0030】
CPU11は、中央演算処理装置であり、RAM12等に展開された各種プログラムの命令及びデータを処理することで、RAM12、補助記憶装置14等を制御する。RAM12は、主記憶装置であり、CPU11によって制御され、各種命令やデータが書き込まれ、読出される。ROM13は、読出し専用であり、主記憶装置としてBIOS(Basic Input/Output System)やファームウェアを記憶する。補助記憶装置14は、不揮発性の記憶装置であり、RAM12にロードされる各種プログラム等、永続性が求められる情報が書き込まれ、読出される。補助記憶装置14は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable
Read−Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等である。補助記憶装置14には、処理済みの帳票に記載された情報、及び帳票に記載された情報を比較する処理を実行するプログラム等が記憶される。また、補助記憶装置14は、文字を含む画像から文字を認識して文字コードの列に変換する光学文字認識(OCR、Optical character recognition)のプログラムを記憶する。補助記憶装置14は、本願でいう「記憶部」の一例である。
【0031】
入力装置16は、窓口の担当者から、帳票の読取り、帳票の記載に基づく処理の実行等の指示を受け付ける。入力装置16は、例えば、タッチパッド、マウス、タッチパネル等のポインティングデバイス、キーボード、操作ボタン等であり、操作入力を受け付ける。出力装置17は、スキャナで読込んだ帳票が処理済みの帳票と同一である旨の通知等を表示する。出力装置17は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)である。読取装置18は、処理対象の帳票を画像として読取る。読取られた画像は、NIC15を介して、振込先に送信される。読取装置18は、例え
ば、撮像素子を備えるイメージスキャナである。
【0032】
<機能構成>
図5は、実施形態に係る情報処理装置の機能構成を例示する図である。情報処理装置1は、補助記憶装置14に記憶されているプログラムが、RAM12に読出され、CPU11によって実行されることで、帳票管理データベースD11、帳票読取部F11、照合部F12、判定部F13を備える情報処理装置として機能する。
【0033】
なお、本実施形態において、情報処理装置1の備える各機能は、汎用プロセッサであるCPU11によって実行されるが、これらの機能の一部又は全部は、1又は複数の専用プロセッサ、ハードウェアの演算回路等によって実行されてもよい。ここで、ハードウェアの演算回路とは、例えば、論理ゲートを組み合わせた加算回路、乗算回路、フリップフロップ等をいう。また、これらの機能の一部又は全部は、別途のコンピュータにおいて実行されてもよい。
【0034】
帳票管理データベースD11は、読取装置18によって読取られた帳票の記載内容を格納するためのデータベースである。帳票の記載内容は、記入欄ごとに読取られ、OCRによって文字コードに変換可能な場合は、文字情報として格納される。また、通信欄5Aのように、印字文字及び手書文字が混在する欄については、印字文字及び手書文字が記載される領域ごとに、領域の位置を示す情報及び領域内の文字情報又は画像情報が格納される。帳票管理データベースD11は、CPU11によって実行されるデータベース管理システム(DBMS)のプログラムが、補助記憶装置14に記憶されるデータを管理することで構築される。帳票管理データベースD11は、例えば、リレーショナルデータベースである。
【0035】
帳票読取部F11は、帳票の記載内容を記入欄ごとに読取る。帳票読取部F11は、通信欄5Aのような帳票ごとに異なる内容が記載される欄については、印字文字及び手書文字が混在するか否かを判定する。帳票読取部F11は、処理済みでないと判定された帳票に記載された情報を、帳票管理データベースD11に格納する。帳票読取部F11は、本願でいう「読取手段」の一例である。
【0036】
照合部F12は、帳票読取部F11によって読取られた帳票の所定欄に印字文字及び手書文字が混在する場合、読取られた帳票の記載内容を、帳票管理データベースD11に格納された処理済みの帳票の記載内容と照合する。具体的には、所定欄において印字文字及び手書文字が記載された領域ごとに、領域の位置を示す情報及び領域内の文字情報又はイメージデータを、処理済みの帳票と比較し照合する。照合部F12は、本願でいう「照合手段」の一例である。
【0037】
判定部F13は、照合部F12による照合の結果、帳票読取部F11によって読取られた帳票の記載内容と、帳票管理データベースD11に格納された処理済みの帳票の記載内容との一致の度合いに基づいて、読取られた帳票が処理済みの帳票と同一の帳票であるか否か、即ち、処理が重複するか否かを判定する。判定部F13は、処理が重複すると判定した場合、出力装置17に処理が重複する旨の通知を表示するようにしてもよい。照合部F12は、本願でいう「判定手段」の一例である。
【0038】
<帳票管理テーブル>
図6から
図8は、帳票管理データベースD11が有する帳票管理テーブルを説明する。
図6は、処理対象の帳票の記載例を示す図である。
図6に示す帳票は、振込先への送金内容を示す振込依頼書であり、振込先口座番号欄A1、金額欄A2、受取人名欄A3、受付印欄A4、通信欄A5を含む。通信欄A5は、領域F51から領域F54を含む。領域F
51から領域F53には、それぞれ「〔通信欄〕」、「△△ライブ 6/12分」、「〔振込人住所氏名〕」の文字が予め印字されている。領域F51から領域F53に印字されている文字は、OCRプログラムによって認識可能である。領域F54には、OCRプログラムによって認識されない振込人の住所及び氏名が、手書きで記入されている。
【0039】
図7は、帳票管理テーブルの一例を示す図である。帳票管理テーブルは、処理済みの帳票に記載された内容を格納し、新たに読込まれた帳票が、処理済みの帳票と重複していないかを確認するために用いられる。また、帳票管理テーブルは、処理番号が印刷された帳票が、実際に処理されたか否かを確認するために用いられてもよい。
【0040】
帳票管理テーブルに格納されるレコード1件は、1枚の帳票に記載された内容を示す。
図7は、帳票管理テーブルのレコードは、処理番号、振込先口座番号、金額、OCR読取分(読取エリア)、OCR読取分(OCR文字)、イメージ読取分(読取エリア)、イメージ読取分(イメージデータ)のフィールドを有する。
【0041】
処理番号は、帳票の記載内容に係る処理を識別する番号である。処理番号は、帳票の記載内容に係る処理が実行される際に、情報処理装置1によって付与されるようにしてもよい。振込先口座番号は、振込先の口座を特定する番号である。金額は、振込先に送金する金額である。
【0042】
OCR読取分(読取エリア)は、通信欄に印字された文字を含む領域の位置情報である。
図7の例では、OCR読取分(読取エリア)に格納される位置情報は、通信欄に印字された文字を囲む矩形の左下及び右上の頂点のx座標及びy座標により示される。ここでのx座標及びy座標は、通信欄の左下の頂点を原点とした場合の(帳票の右向きを正とする)x座標及び(帳票の上向きを正とする)y座標の値である。OCR読取分(OCR文字)は、OCR読取分(読取エリア)が示す領域に記載された文字を、OCRプログラムによって認識された文字コード又は文字情報として格納する。
【0043】
イメージ読取分(読取エリア)は、通信欄に手書きで記入された文字を含む領域の位置情報である。
図7の例では、イメージ読取分(読取エリア)に格納される位置情報は、通信欄に手書きで記入された文字を囲む矩形の左下及び右上の頂点のx座標及びy座標により示される。ここでのx座標及びy座標は、通信欄の左下の頂点を原点とした場合のx座標及びy座標の値である。イメージ読取分(イメージデータ)は、イメージ読取分(読取エリア)が示す領域に記載された内容を、イメージデータとして格納する。
【0044】
なお、
図7に示されるフィールドは例示であり、帳票管理テーブルは、
図7に示されるフィールドに限られず、帳票の記載内容に対応するフィールドを含んでもよい。
【0045】
図8は、帳票管理テーブルの変形例を示す図である。
図8は、
図7と同様に、
図6に示す帳票の記載内容を格納する帳票管理テーブルの変形例を示す。
図8の例では、帳票の記載内容は、既存のテーブルT1に格納されるデータを利用して、変形例の帳票管理テーブルT2により管理される。既存のテーブルT1は、帳票の処理が実行される際に、当該処理に係る情報を格納するためのテーブルである。テーブルT1は、処理番号、振込先口座番号、金額、取扱者、取扱端末、取扱時刻等のフィールドを有する。処理番号、振込先口座番号、金額のフィールドは、
図7の帳票管理テーブルの同名のフィールドと同様の情報を格納する。帳票管理テーブルT2は、処理番号、OCR読取分(読取エリア)、OCR読取分(OCR文字)、イメージ読取分(読取エリア)、イメージ読取分(イメージデータ)のフィールドを有する。各フィールドは、
図7の帳票管理テーブルの同名のフィールドと同様の情報を格納する。帳票管理テーブルT2は、処理番号によって、テーブルT1のレコードと紐づけられ、テーブルT1から振込先口座番号、金額の情報を取得すること
ができる。また、既存のテーブルT1を利用することで、帳票管理テーブルT2に格納するデータ量が抑制される。
【0046】
<処理の流れ>
図9は、帳票の記載が処理済みの帳票と合致するか否かの判定処理の流れを例示するフローチャートである。なお、説明される処理の内容及び順序は一例であり、処理の内容及び順序には、実施の形態に適したものが適宜採用されることが好ましい。
図9に示す処理の流れは、例えば、窓口の担当者が、処理対象の帳票をスキャナで読込むことを契機に開始する。
【0047】
まず、ステップS101では、帳票読取部F11は、帳票管理テーブルに、処理対象の帳票と振込先口座番号及び金額が同一で処理済みの帳票の情報が格納されているか否かを判定する。処理対象の帳票と振込先口座番号及び金額が同一で処理済みの帳票の情報が格納されていると判定された場合(S101;Yes)、処理はステップS102へ進む。処理対象の帳票と振込先口座番号及び金額が同一で処理済みの帳票の情報が格納されていると判定されなかった場合(S101;No)、処理はステップS107へ進む。
【0048】
次に、ステップS102では、帳票読取部F11は、通信欄に印字文字と手書文字が混在するか否かを判定する。具体的には、帳票読取部F11は、通信欄において、印字文字及び手書文字を含む領域の位置をそれぞれ特定し、各領域に含まれる情報が、OCRプログラムによって文字コードに変換可能か否かを判定する。帳票読取部F11は、各領域の位置を、通信欄の左下の頂点又は帳票の左下の頂点等を原点とするx座標、y座標により特定することができる。帳票読取部F11は、文字コードに変換可能な情報を含む領域と、文字コードに変換されない情報を含む領域とが通信欄に混在する場合、通信欄に印字文字と手書文字が混在すると判定することができる。通信欄に印字文字と手書文字が混在すると判定された場合(S102;Yes)、処理はステップS103へ進む。通信欄に印字文字と手書文字が混在すると判定されなかった場合(S102;No)、処理はステップS104へ進む。
【0049】
ステップS103では、照合部F12は、印字文字及び手書文字をそれぞれ処理済みの帳票のデータと照合する。具体的には、照合部F12は、帳票管理テーブルから処理対象の帳票と振込先口座番号及び金額が同一で処理済みの帳票に係る情報を取得する。即ち、照合部F12は、振込先口座番号及び金額が同一の処理済みの帳票について、処理済みの帳票のOCR読取分(読取エリア)、OCR読取分(OCR文字)、イメージ読取分(読取エリア)、イメージ読取分(イメージデータ)のフィールドに格納された値を取得する。照合部F12は、ステップS102で特定した各領域について、帳票管理テーブルから取得した処理済みの帳票に係る情報と照合する。照合部F12は、特定した各領域について、位置情報が、処理済みの帳票のOCR読取分(読取エリア)又はイメージ読取分(読取エリア)のフィールドに格納された値と所定の誤差の範囲で一致する領域と、それぞれ記載内容を照合すればよい。所定の誤差は、例えば1mm以下とすることができる。ステップS102で特定した領域の記載内容が印字文字の場合、照合部F12は、OCR読取分(OCR文字)のフィールドの格納形式に応じて、当該印字文字の文字コード又は文字情報を、照合対象の領域についてOCR読取分(OCR文字)のフィールドに格納された値と照合すればよい。一方、特定した領域の記載内容が手書文字の場合、照合部F12は、当該手書文字を含むイメージデータを、照合対象の領域についてイメージ読取分(イメージデータ)のフィールドに格納されたイメージデータと照合すればよい。
【0050】
ステップS104では、処理対象の帳票の通信欄には印字文字と手書文字が混在しないため、照合部F12は、通信欄に記載された印字文字又は手書文字を、処理済みの帳票の通信欄の記載内容と照合すればよい。
【0051】
次に、ステップS105では、判定部F13は、照合部F12による照合の結果、処理対象の帳票が処理済みの帳票と所定の条件により合致するか否かを判定する。判定部F13は、所定の条件として、例えば、処理対象の帳票について、処理済みの帳票の上記各フィールドの値との誤差を数値化し、誤差の合計が所定の閾値以下の場合に、両帳票が合致すると判定するようにしてもよい。処理対象の帳票が処理済みの帳票と所定の条件により合致すると判定された場合(S105;Yes)、処理はステップS106へ進む。処理対象の帳票が処理済みの帳票と所定の条件により合致すると判定されなかった場合(S105;No)、処理はステップS107へ進む。
【0052】
なお、処理対象の帳票と振込先口座番号及び金額が同一で処理済みの帳票が複数存在する場合、処理済みの各帳票と照合し、合致すると判定される処理済みの帳票が1件以上存在する場合には、ステップS105の判定において、ステップS106へ進むようにすればよい。
【0053】
ステップS106では、判定部F13は、処理対象の帳票が処理済みの帳票と合致し、重複して処理される可能性があると認識する。そして、判定部F13は、出力装置17に重複処理の可能性がある旨の注意メッセージを表示し、処理は終了する。なお、判定部F13は、注意メッセージを表示するかわりに、処理対象の帳票と照合した処理済みの帳票とを、並べて表示したり、交互に重ねて表示したりしてもよい。その後、窓口の担当者は、処理対象の帳票が重複していないことを確認した場合、注意メッセージを消去した上で、処理を確定することを選択してもよい。処理が確定されると、帳票読取部F11が読み取ったデータは帳票管理テーブルに格納される。
【0054】
ステップS107では、判定部F13は、処理対象の帳票が処理済みの帳票と合致せず、重複して処理される可能性はないと認識する。この場合、判定部F13は、重複処理の可能性がある旨の注意メッセージを表示せず、処理は終了する。また、重複処理の可能性がないため、窓口の担当者によって処理が確定され、帳票読取部F11が読取ったデータは帳票管理テーブルに格納される。
【0055】
以上説明した本実施形態では、帳票の所定欄において印字文字及び手書文字による照合が併用されるため、処理対象の帳票が処理済みの帳票と合致するか否かについての誤判定が軽減される。したがって、誤判定に起因する重複処理は抑制され、不要な警告表示も抑制される。
【0056】
なお、本実施形態の情報処理装置1によれば、スキャナで読込んだ帳票が、未処理にもかかわらず、誤って処理番号が印字された帳票ではないか否かを判定することも可能である。即ち、情報処理装置1は、事後検査により、処理番号が印刷された未処理の帳票が処理済みと認識されることを防止することができる。
【0057】
図10は、処理番号が誤った帳票に印刷されていないかを判定する例を示す図である。
図10に示す帳票は、
図6と同様に、振込先口座番号欄A1、金額欄A2、受取人名欄A3、受付印欄A4、通信欄A5を含み、通信欄A5は、領域F51から領域F53を含む。通信欄A5は、さらに振込人住所氏名が手書で記入された領域G54を含む。また、帳票の下部の領域G55には、処理番号、処理日時等が印刷されている。領域G55は、窓口の担当者が処理済みの帳票に対して、処理番号等を印刷するための領域である。
【0058】
情報処理装置1は、処理番号等が印刷された帳票が読込まれると、帳票管理テーブルから、同一の処理番号が格納されたレコードの情報を取得する。情報処理装置1は、取得したレコードの各フィールドの値を、読込まれた帳票の対応する記載内容と照合する。
図1
0の例では、帳票管理テーブルから取得したイメージデータは、振込人氏名として「ゆうちょ 太郎」と手書きで記載された文字を含む。一方、読込まれた帳票の領域G54には、振込人氏名として「ゆうちょ 花子」と手書きで記載されている。即ち、窓口の担当者は、誤った帳票に処理番号等を印刷したことが考えられる。情報処理装置1は、誤った帳票に処理番号等が印刷された旨の注意メッセージを表示し、窓口の担当者に通知する。このように、処理番号等が印刷された帳票の記載内容を、帳票管理テーブルに格納された同じ処理番号を有する帳票の記載内容と照合することで、処理番号が誤った帳票に印刷されていないかの事後検査が可能となる。