【解決手段】一実施形態に係る格納ボックスは、M個の商品のセットである第1ユーザの注文セットを、個々の商品を別々に排出可能な状態で格納する格納領域と、商品の取り出し口と、商品を格納領域から取り出し口に移す排出機構と、第1ユーザによる、注文セットに対応するN個の商品の取り出し指示を受け付ける受付部と、注文セットのうちN個の商品を格納領域から取り出し口に移すように排出機構を制御する排出制御部とを備える。Mは2以上の数であり、NはMより小さい数である。
M個の商品のセットである第1ユーザの注文セットを、個々の前記商品を別々に排出可能な状態で格納する格納領域であって、ここで、Mは2以上の数である、該格納領域と、
前記商品の取り出し口と、
前記商品を前記格納領域から前記取り出し口に移す排出機構と、
前記第1ユーザによる、前記注文セットに対応するN個の前記商品の取り出し指示を受け付ける受付部であって、ここで、NはMより小さい数である、該受付部と、
前記注文セットのうち前記N個の商品を前記格納領域から前記取り出し口に移すように前記排出機構を制御する排出制御部と
を備える格納ボックス。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
図1〜
図5を参照しながら、実施形態に係る配送システム1の機能および構成を説明する。配送システム1は、ユーザがEC(electronic commerce)サイト上で注文した商品をそのユーザに届けるためのコンピュータシステムである。「商品」とは、取引可能な任意の有体物であり、その種類は何ら限定されない。本実施形態では、商品は、缶、瓶、ペットボトルなどの容器に入れられた飲料であるとする。配送システム1の特徴は、ユーザが注文商品を配送業者から直接に受け取るのではなく、所定の場所に設置された格納ボックス70を介してその商品を受け取る点にある。配送システム1は、格納ボックスの利用の一態様である。
【0013】
図1は、個々の集合住宅の共用部に格納ボックス70が設置された例を示す。ユーザUは、自分が住んでいる集合住宅の格納ボックス70のみを利用することができる。ユーザUは自身の端末(ユーザ端末)10、または格納ボックス70を介してECサイトにアクセスして商品を注文する(ステップS1)。本実施形態では、ユーザUは複数個の商品91のセット90を注文するものとする(例えば、1ダースの缶ビール、6個セットの缶ジュースなど)。本明細書では、注文された複数個の商品のセットを「注文セット」ともいう。注文は販売業者へと送られ(ステップS2)、配送業者が注文セット90を販売業者からユーザUの住む集合住宅へと配送する(ステップS3)。その集合住宅に着くと、配送業者はその注文セット90を格納ボックス70に入れる。このとき、配送業者は、注文セット90を構成する複数個の商品91を一つずつ格納ボックス70に入れる(ステップS4)。例えば、元々、1ダースの缶ビールが一つの箱に入れられたかたちで販売業者から提供される場合には、配送業者はその箱を格納ボックス70に入れるのではなく、個々の缶ビールを箱から取り出して格納ボックス70に入れる。
【0014】
ユーザUは必要なときに必要な数だけの商品91を格納ボックス70から取り出すことができる(ステップS5)。例えば、1ダースの缶ビールを注文した場合には、ユーザUはその格納ボックス70から1個の缶ビールのみを取り出したり、2個の缶ビールのみを取り出したり、11個の缶ビールのみを取り出したりすることができる。もちろん、ユーザUは注文した数の商品のすべてを一度に格納ボックス70から取り出してもよい。しかし、配送システム1の特徴の一つは、注文数よりも少ない数の商品を格納ボックス70から取り出すことができる点にあるので、以下ではこの特徴について特に説明する。本実施形態の一態様では、あるユーザU(第1ユーザ)が注文した商品を、同じ集合住宅に住む別のユーザU(第2ユーザ)が取り出すことができる。別の態様では、ある集合住宅に住むあるユーザU(第1ユーザ)が注文した商品を、別の集合住宅に住む別のユーザU(第2ユーザ)が取り出すことができてもよい。
【0015】
図2に示すように、配送システム1はユーザ端末10、ECサーバ20、データベース30、決済サーバ40、配送サーバ50、配送員端末60、および格納ボックス70を備える。配送システム1内の各装置はインターネットやLANなどの通信ネットワーク80を介して他の装置との間でデータ通信を行うことができる。
【0016】
ユーザ端末10は、ユーザが用いるコンピュータである。ユーザ端末10の具体的な種類は限定されない。例えば、ユーザ端末10はタブレット端末や高機能携帯電話(スマートフォン)などの携帯端末でもよいし、据置型または携帯型のパーソナルコンピュータでもよい。
【0017】
ECサーバ20は、ECサイトに関する処理を実行するコンピュータである。例えば、ECサーバ20はユーザ端末10からの要求に応じて、ECサイトのウェブページ(例えば、検索結果ページ、商品ページなど)をそのユーザ端末10に送信したり、商品の注文を確定させたりする。注文を処理するために、ECサーバ20はデータベース30にデータを登録または更新したり、決済サーバ40または配送サーバ50との間で必要なデータ通信を実行したりする。
【0018】
ECサイトでの処理に必要なデータとしては、ユーザデータ、商品データ、注文データ、配送データ、決済データなどの様々なものがある。本実施形態では特に、ユーザの注文を示す注文データについて説明する。
【0019】
図3は注文データの例を示す。本実施形態では、注文データの各レコードは、注文ID、発注者ID、商品ID、注文数、決済種別、受取人ID、および受取数を含む。注文IDは個々の注文を一意に特定するための識別子である。発注者IDは商品を注文したユーザを一意に特定する識別子(発注者のユーザID)である。商品IDは注文された商品を一意に特定する識別子であり、注文数は注文セットを構成する商品の個数である。決済種別は注文の決済の時期を示す。「済」はユーザがユーザ端末10または格納ボックス70から注文した際に決済されたことを意味し、「後日」はユーザが格納ボックス70から商品を受け取る際に都度決済されることを意味する。受取人IDは格納ボックス70から商品を取り出したユーザを一意に特定する識別子(受取人のユーザID)であり、受取数は取り出された商品の個数である。格納ボックス70に入れられたある一つの注文セットから一つの商品も取り出されていない場合には、受取人IDおよび受取数には空値(NULL)が設定される。
図3では空値をハイフンで表している。
【0020】
図3は例えば、ユーザAが注文した12個の商品(飲料P)のうち6個を受け取ったことと、ユーザBが注文商品(ビールQ)を一つも受け取っていないこととを示す。また、
図3は、ユーザDの注文商品(飲料S)が、ユーザDだけでなく別のユーザ(ユーザE)によっても取り出されたことを示す。
【0021】
なお、注文データの構成は
図3に限定されず、配送システム1が実現できるのであればどのように設計してもよい。
【0022】
決済サーバ40は、注文商品の決済に関する処理を実行するコンピュータである。本実施形態では、決済のタイミングは限定されない。例えば、ユーザがECサイト上で注文を確定する際に決済が為されてもよいし、ユーザが格納ボックス70から商品を取り出す際に決済が為されてもよい。
【0023】
配送サーバ50は、注文セットの配送に関する処理を実行するコンピュータである。配送員端末60は、商品を運んで格納ボックス70に入れる配送員が持つ携帯端末である。例えば、配送サーバ50は商品の配送状況を管理する。配送員が注文セットを格納ボックス70に入れると、配送員は配送員端末60を操作して、配送の完了を登録する。配送員端末60はその操作に応じて配送サーバ50に配送完了通知を送信し、配送サーバ50はその通知に基づいて配送状況を管理する。また、配送サーバ50はECサーバ20に配送完了通知を送信する。配送完了通知は少なくとも注文IDを含む。
【0024】
格納ボックス70は、配送された注文商品を一時的に格納する装置である。
図5に示すように、格納ボックス70は、商品を格納する格納領域71と、商品の取り出し口72とを備える。格納領域71および取り出し口72は機械的な構造である。格納領域71は、注文セットを、個々の商品を別々に排出可能な状態で格納する機械的構造である。格納領域71は、格納された商品の品質または鮮度を維持するための温度調節機構(例えば、商品を冷やすための冷却部と商品を温めるための加温部とのうちの少なくとも一つ)を備えてもよい。「個々の商品を別々に排出可能な状態」とは、注文セットのうち少なくとも一つの商品を排出することができる状態を意味する。「個々の商品を別々に排出可能な状態」とは、注文セットをそのまま排出することではない。ここで、取り出し口72に商品を一つずつ排出することは必須ではない。例えば、10個の商品から成る商品セットのうち2個〜9個の商品を一度に取り出し口72に移すことも、「個々の商品を別々に排出する」という概念に含まれる。
【0025】
格納ボックス70はさらに、ユーザ入力に応じて商品を格納領域71から取り出し口72に移すための排出機構73も備える。この排出機構73は、格納ボックス70に搭載されたコンピュータにより制御される機械的な構造(例えば、商品を移すためのアームまたはコンベヤなど)を備える。
【0026】
注文数よりも少ない数の商品を取り出すための格納ボックス70の仕組みとして、従来からある自動販売機に似た構造が挙げられる。この例では、格納領域71は複数のラックを備える。各ラックは、一つの注文セットを構成する複数個の商品を収容する。このとき、個々の商品は互いに分かれたかたちでラックに収容される。ある一つの注文セットが特定の一つのラックに入れられると、配送員の操作により、その注文セットの注文IDとラック番号との対応を示すデータが格納ボックス70内のメモリ(例えば、後述する補助記憶装置107)に記憶される。排出機構73は、格納ボックス70に組み込まれたコンピュータの制御により、指定された注文商品に対応するラックから商品を取り出して、その商品を取り出し口72へと運ぶ。もちろん、格納ボックス70の具体的な仕組みはこれに限定されるものではない。
【0027】
図4は、上記の各種のサーバ、端末、または格納ボックス70のコンピュータとして機能するコンピュータ100の一般的なハードウェア構成を示す。コンピュータ100は、一または複数のCPU101と、主記憶装置であるRAM102およびROM103と、キーボードやタッチパネルなどの入力装置104と、ディスプレイやタッチパネルなどの出力装置105と、ネットワークカードなどの通信モジュール106と、ハードディスクや半導体メモリなどの補助記憶装置107とを備える。配送システム1内の各機能要素は、CPU101またはRAM102に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませ、CPU101が、入力装置104、出力装置105、通信モジュール106を動作させるとともに、RAM102や補助記憶装置107におけるデータの読み出しおよび書き込みを行うことで実現される。
【0028】
図5は配送システム1の機能構成を示し、特にECサーバ20および格納ボックス70の機能構成を示す。
【0029】
ECサーバ20は注文処理部21および状況管理部22を備える。
【0030】
注文処理部21は、ECサイトを介してユーザから入力された注文(注文セット)を処理する機能要素である。注文処理部21は、ユーザ端末10または格納ボックス70からの要求に応じて、ECサイトの各種ウェブページをそのユーザ端末10または格納ボックス70に送信する。注文確定の要求をユーザ端末10または格納ボックス70から受信すると、注文処理部21は新たな注文IDを採番し、該注文ID、発注者ID、商品ID、注文数、および決済種別を含む注文データを生成し、その注文データをデータベース30に格納する。この時点では、注文データの受取人IDおよび受取数は空値(NULL)である。注文処理部21は確定した注文を示すデータを配送サーバ50に送信し、配送サーバ50はこの送信に応じて、注文された商品の配送状況を管理し始める。ユーザがECサイト上で注文を確定した際に決済を行う場合には、ECサーバ20は決済サーバ40とデータを通信し合うことで決済を実行する。また、注文処理部21は注文セットの配送指示を所定のサーバ(例えば販売業者のサーバ)に送信し、その配送指示に応じて、注文セットが発注者に対応する格納ボックス70へと配送される。
【0031】
状況管理部22は、注文商品の状況を管理する機能要素である。
【0032】
状況管理部22は発注者に配送完了を伝える。具体的には、状況管理部22は、配送サーバ50から配送完了通知を受信すると、その通知に含まれる注文IDから発注者IDを特定する。そして、状況管理部22はその発注者IDに対応するメールアドレス宛に、配送の完了を示す電子メールを送信する。例えば、状況管理部22はデータベース30内のユーザデータ(これはユーザIDおよびメールアドレスを含む。)や注文データなどを参照して、注文IDからメールアドレスを特定する。
【0033】
また、状況管理部22は注文データの受取人IDおよび受取数を更新する。状況管理部22は、格納ボックス70から後述する受取通知を受信すると、その受取通知で示される注文ID、ユーザID(受取人ID)、および受取数に従って、データベース30内の対応する注文データを更新する。例えば、データベース30が
図3に示す状態であるとする。この前提の下で、受取通知が注文ID「134234」、ユーザID「ユーザB」、および受取数「2」を含む場合には、状況管理部22はその注文IDに対応するレコードの受取人IDおよび受取数にそれぞれ「ユーザB」、「2」を書き込む。別の例で、受取通知が注文ID「179012」、ユーザID「ユーザD」、および受取数「1」を含む場合には、状況管理部22はその注文IDおよびユーザID(受取人ID)に対応するレコードの受取数を「6」に更新する。
【0034】
次に格納ボックス70について説明する。本実施形態では、格納ボックス70に搭載されたコンピュータにより実行される機能要素として、発注部74、受付部75、決済部76、および排出制御部77を説明する。
【0035】
発注部74は、ECサイトを表示するとともに、そのECサイトに対するユーザ入力を受け付ける機能要素である。例えば、発注部74はECサーバ20にアクセスしてECサイトのウェブページを画面(例えば、格納ボックス70のタッチパネル)上に表示する。ECサイトを介して商品を注文するという点で、発注部74はユーザ端末10と同じである。ユーザがそのウェブページ上で商品を注文すると、発注部74は注文に関する情報をECサーバ20に送信する。ECサーバ20では注文処理部21がその注文を処理する。
【0036】
受付部75は、ユーザによる商品の取り出し指示を受け付ける機能要素である。取り出し指示とは、ユーザが格納ボックス70の画面を介して入力する指示であり、少なくとも注文IDと、操作しているユーザを示すユーザIDと、受け取る商品の個数(受取数)とを含む。受付部75により受け付けられる受取数(N)は、注文セットを構成する商品の元の数(M)よりも小さい。すなわち、受取数(N)は商品の注文数(M)より小さい。受付部75は取り出し指示を決済部76に出力する。なお、上述した通り、ユーザは注文した数の商品のすべてを一度に格納ボックス70から取り出してもよく、この場合には、受付部75は受取数として値Mを受け付ける。
【0037】
受付部75はユーザ認証の機能を有し、認証を与えると判断したユーザによる取り出し指示のみを受け付けてもよい。ユーザ認証の具体的な方法は限定されず、例えば、指紋認証、顔認証、または集合住宅の鍵を用いた認証でもよい。いずれの場合も、受付部75は、ユーザ操作により入力されたデータ(例えば指紋画像、顔画像、鍵ID)と、所定のデータベース(図示せず)に事前に登録されているユーザデータ(例えば指紋画像、顔画像、鍵ID)とを照合する。双方が一致すれば、受付部75はユーザに認証を与え、取り出し指示を受け付けて決済部76に出力する。
【0038】
格納ボックス70は、複数のユーザにより利用され得る。この場合に、ある一人のユーザ(第1ユーザ)が注文した商品を別のユーザ(第2ユーザ)が取り出すことができるように格納ボックス70を構成してもよい。受付部75は、取り出し指示を入力するユーザが、格納ボックス70を利用可能な者であるか否かをユーザ認証により判断し、そのユーザに認証を与えた場合にのみ、その取り出し指示を決済部76に出力する。例えば、受付部75は、第1ユーザが事前に、他人による商品の取り出しを許可することを示す登録を格納ボックス70または配送システム1に対して実行した場合にのみ、第2ユーザに認証を与えてもよい。第1ユーザの事前の承認を第2ユーザによる取り出しの条件とすることで、第1ユーザが自身の注文商品を受け取れなくなるという状況を回避することができる。
【0039】
決済部76は、取り出し指示で示される受取数に対応する決済を実行する機能要素である。決済部76はデータベース30を参照して、注文IDに対応する決済種別を特定する。決済種別が「済」であれば、決済部76は格納ボックス70での決済が不要と判断して、取り出し指示を排出制御部77に出力する。一方、決済種別が「後日」であれば、決済部76は格納ボックス70での決済が必要と判断して、取り出し指示で示される受取数分の商品についてのみの決済を実行する。これは受付部75が取り出し指示を受け付けたことに応じて実行される決済である。例えば、6個の商品から成る注文セットの購入費用が900円であり、受取数が2であれば、決済金額は300円である。ユーザは決済部76の指示に従って所定の決済手続きを行う。決済手続きが完了すると、決済部76は取り出し指示を排出制御部77に出力する。発注者とは異なるユーザ(第2ユーザ)が取り出し指示を入力した場合に、特定した決済種別が「後日」であれば、決済部76はその第2ユーザに受取数分の費用を支払わせるための決済を実行する。
【0040】
排出制御部77は、取り出し指示で指定された個数の商品を格納領域71から取り出し口72移すために排出機構73を制御する機能要素である。例えば、排出制御部77はメモリを参照して、取り出し指示で示される注文IDに対応するラック番号を特定する。そして、排出制御部77は、そのラック番号に対するラックから、取り出し指示で示される受取数分の商品を取り出し口72に移すように、排出機構73を制御する。さらに、排出制御部77は取り出し指示で示される注文ID、ユーザID(受取人ID)、および受取数を含む受取通知を生成し、この受取通知をECサーバ20に送信する。
【0041】
次に、
図6を参照しながら、配送システム1の動作を説明するとともに本実施形態に係る配送方法について説明する。
【0042】
ユーザがユーザ端末10または格納ボックス70を介して複数個の商品を注文すると、ECサーバ20の注文処理部21がその注文セットを受け付ける(ステップS11)。その後、配送員がその注文セットをユーザに対応する格納ボックス70(ユーザの住む集合住宅内の格納ボックス70)へと運ぶ(ステップS12)。格納ボックス70に来ると、配送員は、個々の商品を別々に取り出すことが可能な状態でその注文セットを格納ボックス70に格納する(ステップS13)。
【0043】
その後、配送完了を電子メールで知ったユーザが格納ボックス70に来て、商品を取り出すための操作を行うと、受付部75が取り出し指示を受け付ける(ステップS14、受付ステップ)。場合によっては、続いて、決済部76が取り出し指示で示される受取数に対応する決済を実行する(ステップS15)。続いて、排出制御部77が、指定された個数の商品を排出するように排出機構を制御する(ステップS16、排出制御ステップ)。この結果、ユーザは所望の数の商品を得ることができる。また、排出制御部77は受取通知をECサーバ20に送信し、ECサーバ20では状況管理部22がその通知に従ってデータベース30の注文データを更新する(ステップS17)。
【0044】
次に、
図7を参照しながら、格納ボックス70を実現するための排出制御プログラムP1を説明する。例えば、この排出制御プログラムP1は格納ボックス70内のコンピュータにインストールされる。
【0045】
排出制御プログラムP1は、メインモジュールP10、発注モジュールP11、受付モジュールP12、決済モジュールP13、および排出制御モジュールP14を備える。メインモジュールP10は、格納ボックス70の機能を統括的に制御する部分である。発注モジュールP11、受付モジュールP12、決済モジュールP13、および排出制御モジュールP14を実行することにより実現される機能はそれぞれ、上記の発注部74、受付部75、決済部76、および排出制御部77の機能と同様である。
【0046】
排出制御プログラムP1は、CD−ROMやDVD−ROM、半導体メモリなどの有形の記録媒体に固定的に記録された上で提供されてもよい。あるいは、排出制御プログラムP1は、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0047】
以上説明したように、本発明の一側面に係る格納ボックスは、M個の商品のセットである第1ユーザの注文セットを、個々の商品を別々に排出可能な状態で格納する格納領域であって、ここで、Mは2以上の数である、該格納領域と、商品の取り出し口と、商品を格納領域から取り出し口に移す排出機構と、第1ユーザによる、注文セットに対応するN個の商品の取り出し指示を受け付ける受付部であって、ここで、NはMより小さい数である、該受付部と、注文セットのうちN個の商品を格納領域から取り出し口に移すように排出機構を制御する排出制御部とを備える。
【0048】
本発明の一側面に係る排出制御プログラムは、格納ボックスのコンピュータに排出方法を実行させる排出制御プログラムであって、格納ボックスが、M個の商品のセットであるユーザの注文セットを、個々の商品を別々に排出可能な状態で格納する格納領域であって、ここで、Mは2以上の数である、該格納領域と、商品の取り出し口と、商品を格納領域から取り出し口に移す排出機構とを備え、排出方法が、ユーザによる、注文セットに対応するN個の商品の取り出し指示を受け付ける受付ステップであって、ここで、NはMより小さい数である、該受付ステップと、注文セットのうちN個の商品を格納領域から取り出し口に移すように排出機構を制御する排出制御ステップとを含む。
【0049】
本発明の一側面に係る配送システムは、ユーザにより入力されたM個の商品のセットを示す注文セットを受け付けるサーバであって、ここで、Mは2以上の数である、該サーバと、サーバからの指示に応じて配送された注文セットを格納する格納ボックスとを備え、格納ボックスが、注文セットを、個々の商品を別々に排出可能な状態で格納する格納領域であって、ここで、Mは2以上の数である、該格納領域と、商品の取り出し口と、商品を格納領域から取り出し口に移す排出機構と、ユーザによる、注文セットに対応するN個の商品の取り出し指示を受け付ける受付部であって、ここで、NはMより小さい数である、該受付部と、注文セットのうちN個の商品を格納領域から取り出し口に移すように排出機構を制御する排出制御部とを備える。
【0050】
このような側面においては、まとめて注文された複数個の商品(注文セット)が、それぞれが別々に排出可能な状態で格納ボックスに格納される。この格納ボックスは、注文した数よりも少ない数の商品の取り出し要求を受け付けて、指示された数の商品だけを取り出し口へと移す。したがって、ユーザは毎回、自身の保管場所の制約に縛られることなく商品を必要な数だけ取り出すことができる。言い換えると、ユーザは格納ボックスをあたかも自分の保管庫のように使うことができる。
【0051】
他の側面に係る格納ボックスでは、受付部が取り出し指示を受け付けたことに応じて、N個の商品に対応する決済を実行する決済部をさらに備えてもよい。この場合には、実際に消費されようとしている商品の分だけの決済を実行することができる。
【0052】
他の側面に係る格納ボックスでは、商品が飲料であってもよい。一般に、飲料は複数本が1セットとして販売されたり、複数本がまとめて購入されたりする傾向がある一方で、消費は一本ずつであることが多い。本発明の一側面に係る格納ボックスは、このような飲料の購入および消費の傾向に適しているといえる。
【0053】
他の側面に係る格納ボックスでは、格納領域が温度調節機構を備えてもよい。この場合には、格納領域に入れられた商品の品質または鮮度を維持することができる。例えば、温度調節機構が冷却部または加温部であれば、ユーザは格納ボックスをあたかも自分の冷蔵庫または加温庫のように使うことができる。
【0054】
他の側面に係る格納ボックスでは、第1ユーザが住む集合住宅に設置されてもよい。集合住宅に設置することで格納ボックスの利便性を上げることができる。
【0055】
他の側面に係る格納ボックスでは、受付部が、第1ユーザと異なる第2ユーザによる、注文セットに対応するN個の商品の取り出し指示を受け付け、排出制御部が、注文セットのうちN個の商品を格納領域から取り出し口に移すように排出機構を制御してもよい。この場合には、ある一人のユーザが注文した商品を他のユーザと分かち合うことができる。
【0056】
他の側面に係る格納ボックスでは、第1ユーザおよび第2ユーザが同じ集合住宅に住んでもよい。この場合には、格納ボックスの利便性が向上し、また、商品のシェアが容易になる。
【0057】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0058】
格納ボックスは、集合住宅以外の任意の場所に設置されてもよい。また、格納ボックスに格納される商品は飲料に限定されず、任意の有体物であってよい。さらに、格納ボックスに入れられた商品は、その商品を注文したユーザによってのみ取り出し可能であってもよい。
【0059】
上記実施形態では格納ボックス70が発注部74および決済部76を備えたが、これらの機能要素の少なくとも一つが省略されてもよい。
【0060】
配送システムを構成する各装置の所有者、運営者、または管理者の組合せは何ら限定されない。例えば、格納ボックスと各サーバとで所有者、運営者、または管理者が互いに異なってもよい。
【0061】
少なくとも一つのプロセッサにより実行される配送システムでの処理手順は上記実施形態での例に限定されない。例えば、配送システムは上述したステップ(処理)の一部を省略してもよいし、別の順序で各ステップを実行してもよい。また、上述したステップのうちの任意の2以上のステップが組み合わされてもよいし、ステップの一部が修正又は削除されてもよい。あるいは、配送システムは上記の各ステップに加えて他のステップを実行してもよい。