特開2018-2395(P2018-2395A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-2395(P2018-2395A)
(43)【公開日】2018年1月11日
(54)【発明の名称】ドラグラインの組立方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/26 20060101AFI20171208BHJP
【FI】
   B66C23/26 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-131783(P2016-131783)
(22)【出願日】2016年7月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】奥村 高好
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA07
3F205CA01
3F205CA09
3F205DA01
3F205JA02
3F205JA03
(57)【要約】
【課題】ドラグラインドラムの幅を拡げてドラグワイヤを長くできるフェアリードを備えたドラグラインの組立方法を提供する。
【解決手段】前端部にフェアリード19を装着したフェアリード支持ビーム18を、上部旋回体13の前部に、前端部が下方に回動した待避位置の状態で取り付け、上部旋回体に設けられるブーム14を水平方向に寝かせた状態で組み立てた後、フェアリード支持ビームとブームとを吊りロープで連結し、ブームを起こして吊りロープによりフェアリード支持ビームの前端部を上方に回動させて上部旋回体の前部から水平方向前方に向けて突出した作業位置とし、該作業位置でフェアリード支持ビームを上部旋回体に固定してから前記吊りロープを取り外す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クローラを備えた下部走行体の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体と、該上部旋回体に設けられたホイストラインドラム及びドラグラインドラムと、上部旋回体に起伏可能に設けられたブーム及び上部旋回体の前部に設けられたフェアリードと、前記ホイストラインドラムに巻回されて前記ブームの先端部を介してドラグバケットに接続したホイストワイヤと、前記ドラグラインドラムに巻回されて前記フェアリードを介して前記ドラグバケットに接続したドラグワイヤとを備え、前記上部旋回体の前部に、前端部に前記フェアリードを装着したフェアリード支持ビームを上下方向に回動可能に設けたドラグラインの組立方法であって、前記フェアリード支持ビームを、前記上部旋回体の前部に、前端部が下方に回動した待避位置の状態で取り付け、前記上部旋回体に設けられる前記ブームを水平方向に寝かせた状態で組み立てた後、前記フェアリード支持ビームと前記ブームとを吊りロープで連結し、前記ブームを起こして前記吊りロープによりフェアリード支持ビームの前端部を上方に回動させて前記上部旋回体の前部から水平方向前方に向けて突出した作業位置とし、該作業位置でフェアリード支持ビームを上部旋回体に固定してから前記吊りロープを取り外すことを特徴とするドラグラインの組立方法。
【請求項2】
前記吊りロープは、非使用時には、吊りロープの両端がフェアリード支持ビームに連結されており、フェアリード支持ビームとブームとに連結する際には、吊りロープの一端をフェアリード支持ビームから取り外し、該一端をブームに連結することを特徴とする請求項1記載のドラグラインの組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラグラインの組立方法に関し、詳しくは、ドラグラインドラムの幅を拡げてドラグワイヤを長くすることができるフェアリードを採用したドラグラインの組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
港湾工事や護岸工事などで使用されるドラグラインは、ホイストラインドラムに巻回されたホイストワイヤと、ドラグラインドラムに巻回されたドラグワイヤとにドラグバケットを接続し、前記各ワイヤを所定の手順で巻き出したり、巻き上げたりすることにより、前記ドラグバケットで海底などの土砂を掘削するもので、掘削作業の効率を向上させるために、種々の提案が成されてきている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−169081号公報
【特許文献2】特開昭54−51203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、ドラグラインでドラグバケットをより遠くに投下するためには、ドラグワイヤを長くする必要があるが、ドラグワイヤを長くするためには、ドラグラインドラムの底径を増すか、幅を拡げなければならない。しかし、ドラグラインドラムの底径を増すとウインチ力が低下するため、引き込める土砂量が少なくなってしまい、また、ドラグラインドラムの幅を拡げると、フリートアングルが大きくなってしまうという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、ドラグラインドラムの幅を拡げてドラグワイヤを長くすることができるフェアリードを採用したドラグラインの組立方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のドラグラインの組立方法は、クローラを備えた下部走行体の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体と、該上部旋回体に設けられたホイストラインドラム及びドラグラインドラムと、上部旋回体に起伏可能に設けられたブーム及び上部旋回体の前部に設けられたフェアリードと、前記ホイストラインドラムに巻回されて前記ブームの先端部を介してドラグバケットに接続したホイストワイヤと、前記ドラグラインドラムに巻回されて前記フェアリードを介して前記ドラグバケットに接続したドラグワイヤとを備え、前記上部旋回体の前部に、前端部に前記フェアリードを装着したフェアリード支持ビームを上下方向に回動可能に設けたドラグラインの組立方法であって、前記フェアリード支持ビームを、前記上部旋回体の前部に、前端部が下方に回動した待避位置の状態で取り付け、前記上部旋回体に設けられる前記ブームを水平方向に寝かせた状態で組み立てた後、前記フェアリード支持ビームと前記ブームとを吊りロープで連結し、前記ブームを起こして前記吊りロープによりフェアリード支持ビームの前端部を上方に回動させて前記上部旋回体の前部から水平方向前方に向けて突出した作業位置とし、該作業位置でフェアリード支持ビームを上部旋回体に固定してから前記吊りロープを取り外すことを特徴としている。
【0007】
さらに、本発明のドラグラインの組立方法は、前記吊りロープは、非使用時には、吊りロープの両端がフェアリード支持ビームに連結されており、フェアリード支持ビームとブームとに連結する際には、吊りロープの一端をフェアリード支持ビームから取り外し、該一端をブームに連結することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明のドラグラインの組立方法によれば、フェアリード支持ビームを待避位置にすることでブームの組み立てを従来と同様にして行うことができるとともに、フェアリード支持ビームを待避位置から作業位置への回動をブームで行うことができるので、他のクレーンなどを使用せずにフェアリード支持ビームを回動させることができる。また、フェアリード支持ビームの前端部にフェアリードを装着することにより、ドラグラインドラムから十分に離れた位置にフェアリードを配置できるので、ドラグラインドラムの幅を拡げてもフリートアングルを小さくすることができる。これにより、底径を増すことなく、ドラグワイヤを長くでき、ドラグバケットをより遠くに投下できるとともに、ウインチ力の低下を生じないので、十分な量の土砂を掘削できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の対象となるドラグラインの一例を示す側面図である。
図2】同じく要部の平面図である。
図3】同じく要部の側面断面図である。
図4】ブーム組立時の状態を示す要部の側面断面図である。
図5】フェアリード支持ビームの基部取付部を示す側面図である。
図6図5のVI−VI断面図である。
図7】旋回規制手段の一例を示すもので、通常作業時における旋回ブレーキ作動時の状態を示す図である。
図8】同じく通常作業時における旋回ブレーキ解除時の状態を示す図である。
図9】同じくフェアリード支持ビームが待避位置における旋回ブレーキ作動時の状態を示す図である。
図10】同じくフェアリード支持ビームが待避位置における旋回ブレーキ解除時の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図は、本発明のドラグラインの一形態例を示している。本形態例に示すドラグライン11は、左右一対のクローラ12aを有する下部走行体12の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体13と、該上部旋回体13に起伏可能に設けられたブーム14と、上部旋回体13の中央部に設けられたドラグラインドラム(主ドラム)15と、該ドラグラインドラム15の後部側に設けられたホイストラインドラム(副ドラム)16と、該ホイストラインドラム16の後部側に設けられた起伏ドラム17と、上部旋回体13の前部のブーム14より下方位置から前方に向けて突設されたフェアリード支持ビーム18と、該フェアリード支持ビーム18の前端部に装着されたフェアリード19とを備えている。
【0011】
前記ドラグラインドラム15に巻回されたドラグワイヤ20は、フェアリード19を介してドラグコネクタ21に接続され、さらに、ドラグコネクタ21から引き込みワイヤ22を介してドラグバケット23の開口側端部に接続されている。また、ドラグコネクタ21からは、支持コネクタ24を介してドラグバケット23の開口側上部に接続する姿勢支持ワイヤ25が分岐している。前記ホイストラインドラム16に巻回されたホイストワイヤ26は、前記ブーム14の先端部に設けられたトップシーブ27,前記支持コネクタ24及び吊りワイヤ28を介してドラグバケット23の中央後部側に接続している。
【0012】
ドラグバケット23は、ドラグワイヤ20を巻き上げている掘削中は、引き込みワイヤ22及びドラグコネクタ21を介してドラグワイヤ20に牽引されるとともに、姿勢支持ワイヤ25に吊持された状態になり、開口を牽引方向に向けた掘削姿勢となる。一方、ドラグワイヤ20を緩めると、支持コネクタ24及び吊りワイヤ28を介してホイストワイヤ26に吊持され、開口を下方に向けた土砂排出姿勢となる(図1参照)。
【0013】
前記フェアリード支持ビーム18は、ドラグラインドラム15とフェアリード19との間の距離を大きくしてドラグワイヤ20のフリートアングルを小さくするために設けられるもので、フェアリード支持ビーム18の長さは、ドラグラインドラム15の幅寸法に応じて設定されている。例えば、溝付きドラムに対して日本工業規格で定められているフリートアングル4度以内になる位置にフェアリード19を配置可能な長さに設定されている。
【0014】
フェアリード支持ビーム18は、上部旋回体13の前端面にそれぞれ設けられた左右一対の上部ブラケット29及び下部ブラケット30に着脱可能に設けられるもので、後端部が前記下部ブラケット30に回動ピン31によって取り付けられるビーム本体32と、該ビーム本体32の後部側上部に設けられて前記上部ブラケット29に固定ピン33によって取り付けられる固定ブラケット34と、ビーム本体32の前端部に設けられたフェアリード装着部35と、ビーム本体31の上面中間部に設けられたワイヤガイド36と、ビーム本体32の上面の前後3箇所にそれぞれ設けられた左右一対のロープ掛け金具37a〜37cとを備えており、前後端のロープ掛け金具37aとロープ掛け金具37cとには、フェアリード支持ビーム18を上下に回動させる際に使用する吊りロープ38の両端がそれぞれ連結されている。
【0015】
ドラグライン11の組み立ては、最初にフェアリード支持ビーム18を上部旋回体13に取り付けてから、ブーム14を組み立てる順序で行なわれる。上部旋回体13へのフェアリード支持ビーム18の取り付けは、まず、他のクレーンなどを適宜利用し、中央部のロープ掛け金具37bを利用してフェアリード支持ビーム18を吊り上げ、ビーム本体32の後端部を回動ピン31によって前記下部ブラケット30に回動可能に取り付けるとともに、固定ブラケット34の固定ピン挿通孔と前記上部ブラケット29の前部側に設けられた前部側挿通孔29aとに固定ピン33を挿通する。これにより、フェアリード支持ビーム18は、先端側が下がった状態の待避位置で上部旋回体13に固定される。
【0016】
このように、フェアリード支持ビーム18を待避位置に固定した状態で上部旋回体13に取り付けることにより、ブーム14を水平方向に寝かせて組み立てる際に、フェアリード支持ビーム18が干渉することがなく、通常通りの作業でブーム14を組み立てることができる。ブーム14を組み立てた後、後部側のロープ掛け金具37cから吊りロープ38の一端を取り外し、該吊りロープ38の一端を、ブーム14の基部に設けられた吊りロープ連結部14aに連結する。これにより、固定ピン33を抜き取ってからブーム14を起こしていくと、吊りロープ38によってフェアリード支持ビーム18を回動ピン31を中心として回動させることができるので、固定ブラケット34の固定ピン挿通孔と上部ブラケット29の後部側に設けられた後部側挿通孔29bとが重なったときに、両挿通孔に固定ピン33を挿通することにより、フェアリード支持ビーム18を、上部旋回体13の前面から水平方向に前方に突出した作業位置に固定することができる。次いで、吊りロープ38の一端を、吊りロープ連結部14aから取り外してロープ掛け金具37cに連結することにより、ブーム14を作業角度まで起こすことが可能となる。
【0017】
作業位置に固定されたフェアリード支持ビーム18は、下面部が下部走行体12のクローラ12aより上方に位置するように設定されているので、上部旋回体13を旋回させても、フェアリード支持ビーム18とクローラ12aとが接触することはない。一方、待避位置にあるフェアリード支持ビーム18は、左右のクローラ間に位置しているため、上部旋回体13を旋回させると、フェアリード支持ビーム18がクローラ12aに接触し、クローラ12aやフェアリード支持ビーム18などが損傷してしまう。
【0018】
このため、フェアリード支持ビーム18が待避位置にあることを検出する検出手段を設けるとともに、該検出手段が前記フェアリード支持ビーム18が前記待避位置にあることを検出したときに、前記上部旋回体13の旋回を規制する旋回規制手段を設けている。
【0019】
前記検出手段は、図5及び図6に示すように、一方の前記下部ブラケット30に設けられた近接センサ41と、前記ビーム本体32の基部に設けられたセンサ作動子42とを有しており、フェアリード支持ビーム18が待避位置にあるときに、センサ作動子42が近接センサ41に接近して近接センサ41がON状態になるように形成されている。
【0020】
前記旋回規制手段は、図7乃至図10に示す電気回路を有している。この電気回路は、非通電状態(非励磁状態)で旋回ブレーキを作動させて上部旋回体13の旋回を規制する旋回ブレーキ回路43と、作業時に旋回操作を行う際にONとなり、前記旋回ブレーキ回路43に通電して旋回ブレーキを解除し、上部旋回体13を旋回可能とする旋回スイッチ44と、前記近接センサ41がONになったときに、前記旋回スイッチ44から前記旋回ブレーキ回路43への回路を遮断する旋回規制回路部45と、前記近接センサ41がONになっていても、前記旋回ブレーキ回路43に通電して旋回ブレーキを解除するモーメンタリタイプの旋回規制解除スイッチ部46とを備えている。
【0021】
図7及び図8は、近接センサ41がOFFで、通常の作業状態での旋回ブレーキの作動状態を示している。図7に示すように、旋回スイッチ44が非通電状態の場合、電源部47から旋回ブレーキ回路43への回路が旋回スイッチ44で遮断されているため、旋回ブレーキ回路43が非通電状態であるから、旋回ブレーキは作動中となる。
【0022】
図8に示すように、旋回スイッチ44を操作すると、図8に太線で示すように、電源部47から旋回スイッチ44、旋回規制回路部45の常閉接点45aを経て旋回ブレーキ回路43に通電されるため、旋回ブレーキは解除されて上部旋回体13が旋回可能となる。
【0023】
図9は、フェアリード支持ビーム18が待避位置で、近接センサ41がONになっている状態を示している。このとき、旋回スイッチ44を操作すると、図9に太線で示すように、電源部47からの電流が、旋回スイッチ44、旋回規制回路部45のリレー45b、近接センサ41を通って流れ、リレー45bの作動によって常閉接点45aがOFFに切り替えられるので、旋回ブレーキ回路43への回路が遮断され、旋回ブレーキ回路43が非通電状態になって旋回ブレーキが作動中となる。これにより、上部旋回体13の旋回が規制され、旋回スイッチ44を操作しても上部旋回体13が旋回することはない。
【0024】
一方、ブーム14の組立中に、ブーム14の方向を調整するために上部旋回体13を僅かに旋回させたいときがある。この場合は、旋回規制解除スイッチ部46を操作して解除スイッチ46aを切り替えながら旋回スイッチ44を操作すると、図10に太線で示すように、電源部47からの電流が、旋回スイッチ44、旋回規制解除スイッチ部46の解除スイッチ46aを通って旋回ブレーキ回路43に通電されるため。旋回ブレーキが一時的に解除される。
【0025】
したがって、フェアリード支持ビーム18が待避位置にあり、近接センサ41がセンサ作動子42を検出しているときは、旋回スイッチ44と旋回規制解除スイッチ部46とを同時に操作しない限り、旋回ブレーキ回路43への通電が遮断されて旋回ブレーキが作動した状態になっているため、誤って旋回スイッチ44を操作しても上部旋回体13が旋回することはなく、クローラ12aやフェアリード支持ビーム18などを保護することができる。
【0026】
また、ブーム14の組立中に、ブーム14の方向を微調整する必要があるときには、旋回スイッチ44と旋回規制解除スイッチ部46とを同時に操作することにより、旋回ブレーキ回路43に通電して旋回ブレーキを解除することができる。さらに、旋回規制解除スイッチ部46にモーメンタリタイプのスイッチを用いているので、上部旋回体13を僅かずつ旋回させることができるとともに、スイッチの切替忘れも防止できる。
【0027】
また、前述のように、ブーム14でフェアリード支持ビーム18を引上げる際に、固定ピン33を抜き忘れるなどした状態でブーム14を起立させ、フェアリード支持ビーム18を引上げる操作を行うと、フェアリード支持ビーム18などに大きな力が作用してフェアリード支持ビーム18などが損傷するおそれがある。これを防止するため、フェアリード支持ビーム18が待避位置にあることを近接センサ41が検出している状態で、ブーム14が備えている吊り荷重検出用ロードセルの値があらかじめ設定された値以上になったときに、起伏ドラム17を停止させてブーム14の起伏操作を中断させる起伏操作制御回路を設けておくこともできる。
【0028】
本形態例に示すように、上部旋回体13の前部に突設したフェアリード支持ビーム18の前端部にフェアリード19を装着することにより、ドラグラインドラム15とフェアリード19との間の距離を大きくできるので、ドラグラインドラム15の幅寸法を拡げてもドラグワイヤ20のフリートアングルを小さくすることができる。これにより、幅寸法が大きなドラグラインドラム15を使用することができ、巻回可能なドラグワイヤ20を長くできるので、ドラグバケット23をより遠くに投下することができる。さらに、ドラグラインドラム15の底径は同じにできるので、ウインチ力が低下することはない。したがって、より遠くの位置から十分な量の土砂を掘削することができ、ドラグライン11における作業効率を向上させることができる。また、フェアリード支持ビーム18を着脱可能とすることにより、上部旋回体13の輸送を従来通り行うことができる。
【0029】
なお、フェアリードは、通常使用されているフェアリードを用いることができるので、その詳細な説明は省略する。また、ドラグラインの分解は、前記組立の手順と逆に行えばよい。さらに、近接センサの位置は、フェアリード支持ビームの状態を検出できれば任意に設定することができ、旋回操作のロックは、旋回用油圧モータに設けられている機械的ブレーキを用いたり、油圧回路の弁の開閉制御を用いたりすることができる。フェアリード支持ビームへの過大な荷重の検出は、上部ブラケットや下部ブラケットの部分に専用のロードセルを設けて行うことも可能である。
【符号の説明】
【0030】
11…ドラグライン、12…下部走行体、12a…クローラ、13…上部旋回体、14…ブーム、14a…吊りロープ連結部、15…ドラグラインドラム、16…ホイストラインドラム、17…起伏ドラム、18…フェアリード支持ビーム、19…フェアリード、20…ドラグワイヤ、21…ドラグコネクタ、22…引き込みワイヤ、23…ドラグバケット、24…支持コネクタ、25…姿勢支持ワイヤ、26…ホイストワイヤ、27…トップシーブ、28…吊りワイヤ、29…上部ブラケット、29a…前部側挿通孔、29b…後部側挿通孔、30…下部ブラケット、31…回動ピン、32…ビーム本体、33…固定ピン、34…固定ブラケット、35…フェアリード装着部、36…ワイヤガイド、37a〜37c…ロープ掛け金具、38…吊りロープ、41…近接センサ、42…センサ作動子、43…旋回ブレーキ回路、44…旋回スイッチ、45…旋回規制回路部、45a…常閉接点、45b…リレー、46…旋回規制解除スイッチ部、46a…解除スイッチ、47…電源部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10