【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。
即ち、本発明のビードコア被覆方法は、環状のビードコアを帯状のゴムシートで被覆するビードコア被覆方法であって、
押出機により口金を介して押し出した前記ゴムシートの先端部を回転ドラムの外表面に周方向に沿って形成された周方向溝の溝底面及び溝壁面に貼り付け、前記ゴムシートを前記回転ドラムに巻き付ける工程と、
前記ゴムシートが前記回転ドラムの外表面の全周に亘って巻き付けられる前に、前記回転ドラムの外表面上にある前記ゴムシートのうち前記周方向溝の溝底面に位置する部分の前記先端部を回転する前記ビードコアの内周面に貼り付け、前記ゴムシートを前記ビードコアの内周面に巻き付ける工程と、
前記ビードコアの内周面に巻き付けられた前記ゴムシートの幅方向の残部を前記ビードコアの断面形状に沿って巻き上げる工程と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この構成に係るビードコア被覆方法によれば、押出機により押し出した帯状のゴムシートを先端部から回転ドラムの周方向溝に巻き付け、次いで、回転ドラムの外表面上に巻き付けられたゴムシートを先端部からビードコアの内周面に巻き付け、最後にゴムシートの幅方向の残部をビードコアの断面形状に沿って巻き上げるようにしている。すなわち、押出機から押し出したゴムシートを回転ドラムを介して直接ビードコアの外表面に貼り付けるようにしている。この構成によれば、特許文献1の方法で用いられるようなボビンによるストックは不要であり、コスト及び作業工数を抑制できる。
【0012】
また、従来の方法では、ボビンへの巻き付け時のテンション、フィルムを剥がす際のテンション、フェスツーナでの搬送時のテンション、搬送ラインにおける収縮等による寸法変化によってカバーゴムの精度が悪化するが、本発明によれば、押出機から押し出したゴムシートを、回転ドラムの外表面に一旦巻き付けた後にビードコアの内周面に貼り付けるため、寸法変化を防いで、ビードコアをゴムシートで高精度に被覆することができる。さらに、押出機から押し出した直後にゴムシートをビードコアに巻き付けるため、経時変化によるタック低下の影響を受けることなく、ビードコアへの接着不良を改善できる。
【0013】
さらに、押出機により押し出したゴムシートを回転ドラムの周方向溝の溝底面及び溝壁面に巻き付けることで、溝壁面に巻き付けられた部分の周長は、溝底面に巻き付けられた部分の周長よりも長くなる。そのため、ゴムシートをビードコアの断面形状に沿って内周面側から外周面側に巻き上げる場合、ビードコアの外周面側に発生するテンションを抑制することができ、ゴムシートの厚みが均一で高精度な巻き上げが可能となる。
【0014】
また、本発明のビードコア被覆方法は、環状のビードコアを帯状のゴムシートで被覆するビードコア被覆方法であって、
押出機により口金を介して押し出した前記ゴムシートの先端部を回転ドラムの外表面に周方向に沿って形成された周方向突起の頂面及び側面に貼り付け、前記ゴムシートを前記回転ドラムに巻き付ける工程と、
前記ゴムシートが前記回転ドラムの外表面の全周に亘って巻き付けられる前に、前記回転ドラムの外表面上にある前記ゴムシートのうち前記周方向突起の頂面に位置する部分の前記先端部を回転する前記ビードコアの外周面に貼り付け、前記ゴムシートを前記ビードコアの外周面に巻き付ける工程と、
前記ビードコアの外周面に巻き付けられた前記ゴムシートの幅方向の残部を前記ビードコアの断面形状に沿って巻き上げる工程と、を備えることを特徴とする。
【0015】
この構成に係るビードコア被覆方法によれば、押出機により押し出した帯状のゴムシートを先端部から回転ドラムの周方向突起に巻き付け、次いで、回転ドラムの外表面上に巻き付けられたゴムシートを先端部からビードコアの外周面に巻き付け、最後にゴムシートの幅方向の残部をビードコアの断面形状に沿って巻き上げるようにしている。すなわち、押出機から押し出したゴムシートを回転ドラムを介して直接ビードコアの外表面に貼り付けるようにしている。この構成によれば、特許文献1の方法で用いられるようなボビンによるストックは不要であり、コスト及び作業工数を抑制できる。
【0016】
また、従来の方法では、ボビンへの巻き付け時のテンション、フィルムを剥がす際のテンション、フェスツーナでの搬送時のテンション、搬送ラインにおける収縮等による寸法変化によってカバーゴムの精度が悪化するが、本発明によれば、押出機から押し出したゴムシートを、回転ドラムの外表面に一旦巻き付けた後にビードコアの外周面に貼り付けるため、寸法変化を防いで、ビードコアをゴムシートで高精度に被覆することができる。さらに、押出機から押し出した直後にゴムシートをビードコアに巻き付けるため、経時変化によるタック低下の影響を受けることなく、ビードコアへの接着不良を改善できる。
【0017】
さらに、押出機により押し出したゴムシートを回転ドラムの周方向突起の頂面及び側面に巻き付けることで、側面に巻き付けられた部分の周長は、頂面に巻き付けられた部分の周長よりも短くなる。そのため、ゴムシートをビードコアの断面形状に沿って外周面側から内周面側に巻き上げる場合、ビードコアの内周面側に発生するシワを抑制することができ、ゴムシートの厚みが均一で高精度な巻き上げが可能となる。
【0018】
また、本発明のビードコア被覆装置は、環状のビードコアを帯状のゴムシートで被覆するビードコア被覆装置であって、
前記ゴムシートを押し出す押出機と、
前記押出機から押し出された前記ゴムシートを巻き付ける回転ドラムと、
前記押出機よりも前記回転ドラムの回転方向下流側の位置で前記回転ドラムの外表面と前記ビードコアの内周面が近接するように前記ビードコアを支持し、支持した前記ビードコアを回転させるカバーリング装置と、
前記押出機、前記回転ドラム、及び前記カバーリング装置を制御する制御部と、を備え、
前記回転ドラムの外表面は、周方向に沿って延びる周方向溝を有しており、
前記制御部は、前記押出機から押し出した前記ゴムシートの先端部を前記回転ドラムの前記周方向溝の溝底面及び溝壁面に貼り付け、前記ゴムシートを前記回転ドラムに巻き付けていき、
前記ゴムシートが前記回転ドラムの外表面の全周に亘って巻き付けられる前に、前記回転ドラムの外表面上にある前記ゴムシートのうち前記周方向溝の溝底面に位置する部分の前記先端部を回転する前記ビードコアの内周面に貼り付け、前記ゴムシートを前記ビードコアの内周面に巻き付けていき、
前記ビードコアの内周面に巻き付けられた前記ゴムシートの幅方向の残部を前記カバーリング装置により前記ビードコアの断面形状に沿って巻き上げることを特徴とする。
【0019】
かかる構成によるビードコア被覆装置の作用効果は、上記で述べた通りであり、コスト及び作業工数を抑制しつつ、ビードコアを帯状のゴムシートで高精度に被覆することができる。
【0020】
本発明に係るビードコア被覆装置において、前記周方向溝の溝深さは、前記ビードコアの外周面の直径と内周面の直径の差に応じて決定されることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、ゴムシートをビードコアの断面形状に沿って内周面側から外周面側に巻き上げる場合、ビードコアの外周面側のゴムシートに発生するテンションを効果的に抑制することができる。
【0022】
本発明に係るビードコア被覆装置において、前記押出機の口金の先端は、前記周方向溝の断面形状に沿うように形成されていることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、口金と回転ドラムの周方向溝との間の隙間でゴムシートの厚みをコントロールできるため、ゴムシートを高精度に押し出すことができる。
【0024】
また、本発明のビードコア被覆装置は、環状のビードコアを帯状のゴムシートで被覆するビードコア被覆装置であって、
前記ゴムシートを押し出す押出機と、
前記押出機から押し出された前記ゴムシートを巻き付ける回転ドラムと、
前記押出機よりも前記回転ドラムの回転方向下流側の位置で前記回転ドラムの外表面と前記ビードコアの外周面が近接するように前記ビードコアを支持し、支持した前記ビードコアを回転させるカバーリング装置と、
前記押出機、前記回転ドラム、及び前記カバーリング装置を制御する制御部と、を備え、
前記回転ドラムの外表面は、周方向に沿って延びる周方向突起を有しており、
前記制御部は、前記押出機から押し出した前記ゴムシートの先端部を前記回転ドラムの前記周方向突起の頂面及び側面に貼り付け、前記ゴムシートを前記回転ドラムに巻き付けていき、
前記ゴムシートが前記回転ドラムの外表面の全周に亘って巻き付けられる前に、前記回転ドラムの外表面上にある前記ゴムシートのうち前記周方向突起の頂面に位置する部分の前記先端部を回転する前記ビードコアの外周面に貼り付け、前記ゴムシートを前記ビードコアの外周面に巻き付けていき、
前記ビードコアの外周面に巻き付けられた前記ゴムシートの幅方向の残部を前記カバーリング装置により前記ビードコアの断面形状に沿って巻き上げることを特徴とする。
【0025】
かかる構成によるビードコア被覆装置の作用効果は、上記で述べた通りであり、コスト及び作業工数を抑制しつつ、ビードコアを帯状のゴムシートで高精度に被覆することができる。
【0026】
本発明に係るビードコア被覆装置において、前記周方向突起の突出高さは、前記ビードコアの外周面の直径と内周面の直径の差に応じて決定されることが好ましい。
【0027】
この構成によれば、ゴムシートをビードコアの断面形状に沿って外周面側から内周面側に巻き上げる場合、ビードコアの内周面側のゴムシートに発生するシワを効果的に抑制することができる。
【0028】
本発明に係るビードコア被覆装置において、前記押出機の口金の先端は、前記周方向突起の断面形状に沿うように形成されていることが好ましい。
【0029】
この構成によれば、口金と回転ドラムの周方向突起との間の隙間でゴムシートの厚みをコントロールできるため、ゴムシートを高精度に押し出すことができる。