特開2018-24458(P2018-24458A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-24458(P2018-24458A)
(43)【公開日】2018年2月15日
(54)【発明の名称】可変容量ガスホルダ及びガス貯留装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 88/12 20060101AFI20180119BHJP
   F17B 1/26 20060101ALI20180119BHJP
   B65D 88/22 20060101ALI20180119BHJP
【FI】
   B65D88/12 Z
   F17B1/26
   B65D88/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-157909(P2016-157909)
(22)【出願日】2016年8月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】藍原 寿明
(72)【発明者】
【氏名】松野 利幸
【テーマコード(参考)】
3E070
【Fターム(参考)】
3E070AA10
3E070AA30
3E070AB31
3E070CA20
3E070DA10
3E070DA15
3E070QA02
3E070RA02
3E070RA03
3E070VA30
3E070WJ08
3E070WK10
(57)【要約】
【課題】ガス貯蔵量の多少を任意設定できるガス貯留装置、並びにそのガス貯留装置に好適に用いることができる可変容量ガスホルダを提供する。
【解決手段】ゴム製シート材でなるガス収納体2と、ガス収納体2を収容する枠体1と、ガス収納体2の底部2aから下方突設されるガス流入部3及びガス取出部4と、枠体1を載せ付け支持する台座フレーム5とを備える可変容量ガスホルダAにおいて、台座フレーム5の枠体1からの下方突出量Hは、ガス流入部3やガス取出部4の枠体1からの下方突出量hよりも大に設定され、互いに隣り合って配置又は近接配備されている可変容量ガスホルダAどうしのガス流入部3やガス取出部4を連通接続可能な連通機構Lが装備されている。連通機構Lである接続ホース12で4つの可変容量ガスホルダAを連結し、容量4倍のガス貯留装置Gが構成される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するシート材よりなる中空体状のガス収納体と、前記ガス収納体を収容する枠体と、互いに前記ガス収納体の底部から下方に突設されているガス流入部及びガス取出部と、前記枠体を載せ付けて支持する台座フレームと、を備える可変容量ガスホルダであって、
前記台座フレームの前記枠体からの下方突出量は、前記ガス流入部及び前記ガス取出部の前記枠体からの下方突出量よりも大に設定されている可変容量ガスホルダ。
【請求項2】
互いに隣り合って配置又は近接配備されている可変容量ガスホルダどうしの前記ガス流入部及び/又は前記ガス取出部と前記ガス流入部及び/又は前記ガス取出部との連通接続が可能な連通機構が装備されている請求項1に記載の可変容量ガスホルダ。
【請求項3】
前記連通機構は、前記枠体と前記台座フレームとで定められる可変容量ガスホルダとしての外郭よりはみ出ない状態で及び/又は隣り合う可変容量ガスホルダAに干渉しない状態で装備されている請求項2に記載の可変容量ガスホルダ。
【請求項4】
互いに隣り合って設置された可変容量ガスホルダどうしの前記ガス流入部及び/又は前記ガス取出部と前記ガス流入部及び/又は前記ガス取出部とを連通接続した状態の前記連通機構を、前記外郭よりはみ出ないように設けるための機構配策空間が形成されている請求項2又は3に記載の可変容量ガスホルダ。
【請求項5】
前記連通機構は、可撓性を有する接続ホースの一つ又は複数が前記枠体及び/又は前記台座フレームに着脱可能に装備されることで構成されている請求項2〜4の何れか一項に記載の可変容量ガスホルダ。
【請求項6】
請求項1に記載の可変容量ガスホルダの複数が、左右及び/又は前後及び/又は上下に並べられ、かつ、複数の前記可変容量ガスホルダどうしのガス流入部及び/又はガス取出部とガス流入部及び/又はガス取出部とが連通接続されてなるガス貯留装置。
【請求項7】
請求項2〜5のいずれかに記載の可変容量ガスホルダの複数が、左右及び/又は前後及び/又は上下に並べられ、かつ、複数の前記可変容量ガスホルダどうしのガス流入部及び/又はガス取出部とガス流入部及び/又はガス取出部とが前記連通機構Lにより連通接続されてなるガス貯留装置。
【請求項8】
互いに別の場所でガス充填又は使用されている複数の請求項1〜5の何れか一項に記載の可変容量ガスホルダを、単一のガス使用対象用の可変容量ガスホルダとして集約し、かつ、互いのガス流入部及びガス取出部を連結して容量増加されてなるガス貯留装置。
【請求項9】
前記ガス使用対象が発電所である請求項8に記載のガス貯留装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性を有するシート材よりなる中空体状のガス収納体と、ガス収納体を収容する枠体と、互いにガス収納体の底部から下方に突設されているガス流入部及びガス取出部と、枠体を載せ付けて支持する台座フレームと、を備える可変容量ガスホルダ及びガス貯留装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の可変容量ガスホルダとしては、先に、特許文献1において開示されたものが知られている。この特許文献1によると、コンテナを有効利用することで安価に構成でき、かつガス収納体の上面に固定される枠体からなる錘部材と、上面の高さ位置を検出する検出手段を備えることにより、たとえ長手方向に沿う片膨れが発生しても、常に正しいガス容量検出を行うことができる可変容量ガスホルダが示されている。
【0003】
特許文献1による可変容量ガスホルダの登場により、使い勝手が向上するとともに、ある程度大容量のガスが蓄えられる便利なものとなっている。
しかしながら、地震などの自然災害或における復旧現場、或いはダム工事現場などの比較的長期に亘って使用が継続される場合には、ガス容量の面からはまだまだ不足なものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−024758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ガス貯蔵量の多少を任意設定できるガス貯留装置、並びにそのガス貯留装置に好適に用いることができる可変容量ガスホルダを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、可撓性を有するシート材よりなる中空体状のガス収納体2と、前記ガス収納体2を収容する枠体1と、互いに前記ガス収納体2の底部2bから下方に突設されているガス流入部3及びガス取出部4と、前記枠体1を載せ付けて支持する台座フレーム5と、を備える可変容量ガスホルダにおいて、
前記台座フレーム5の前記枠体1からの下方突出量Hは、前記ガス流入部3及び前記ガス取出部4の前記枠体1からの下方突出量hよりも大に設定されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の可変容量ガスホルダにおいて、
互いに隣り合って配置又は近接配備されている可変容量ガスホルダAどうしの前記ガス流入部3及び/又は前記ガス取出部4と前記ガス流入部3及び/又は前記ガス取出部4との連通接続が可能な連通機構Lが装備されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の可変容量ガスホルダにおいて、
前記連通機構Lは、前記枠体1と前記台座フレーム5とで定められる可変容量ガスホルダAとしての外郭13よりはみ出ない状態で及び/又は隣り合う可変容量ガスホルダAに干渉しない状態で装備されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項2又は3に記載の可変容量ガスホルダにおいて、
互いに隣り合って設置された可変容量ガスホルダAどうしの前記ガス流入部3及び/又は前記ガス取出部4と前記ガス流入部3及び/又は前記ガス取出部4とを連通接続した状態の前記連通機構Lを、前記外郭13よりはみ出ないように設けるための機構配策空間ksが形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項2〜4の何れか一項に記載の可変容量ガスホルダにおいて、
前記連通機構Lは、可撓性を有する接続ホース12の一つ又は複数が前記枠体1及び/又は前記台座フレーム5に着脱可能に装備されることで構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、ガス貯留装置において、
請求項1に記載の可変容量ガスホルダAの複数が、左右及び/又は前後及び/又は上下に並べられ、かつ、複数の前記可変容量ガスホルダAどうしの前記ガス流入部3及び/又は前記ガス取出部4と前記ガス流入部3及び/又は前記ガス取出部4とが連通接続されてなることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、ガス貯留装置において、
請求項2〜5のいずれかに記載の可変容量ガスホルダAの複数が、左右及び/又は前後及び/又は上下に並べられ、かつ、複数の前記可変容量ガスホルダAどうしの前記ガス流入部3及び/又は前記ガス取出部4と前記ガス流入部3及び/又は前記ガス取出部4とが前記連通機構Lにより連通接続されてなることを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、ガス貯留装置において、
互いに別の場所でガス充填又は使用されている複数の請求項1〜5の何れか一項に記載の可変容量ガスホルダAを、単一のガス使用対象用の可変容量ガスホルダとして集約し、かつ、互いのガス流入部3及びガス取出部4を連結して容量増加されてなることを特徴とする。
【0014】
請求項9に係る発明は、請求項8に記載のガス貯留装置において、前記ガス使用対象が発電所であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、台座フレームの枠体からの下方突出量を、ガス流入部及びガス取出部の枠体からの下方突出量よりも大としてあるから、可変容量ガスホルダどうしを上下に積んだ場合、上側の可変容量ガスホルダのガス流入部及びガス取出部が、下側の可変容量ガスホルダの枠体などに当って変形するといった不都合が生じない。つまり、可変容量ガスホルダの複数を、そのままの状態で良好に上下に積層配備することができるから、設置面積を増やすことなく容量2倍やそれ以上のガスホルダとして用いる、という使い方が可能になる。
【0016】
その結果、長手方向に沿う片膨れ発生の有無に拘らずに常に正しいガス容量検出を行うことができて安価な可変容量ガスホルダを用いながら、ガス貯蔵量の多少を任意設定できるガス貯留装置、並びにそのガス貯留装置に好適に用いることができる可変容量ガスホルダを提供することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、可変容量ガスホルダには、互いに隣り合って配置又は近接配備されている可変容量ガスホルダどうしを連通接続する連通機構が備わっている。故に、例えば2つの可変容量ガスホルダを並べて配置し、それら双方のガス収納体どうしを連通機構で連通させて容量2倍のガスホルダとして用いる、という使い方が、他に一切の部品類を加えることなく可能になる。
【0018】
つまり、連通機構を備える可変容量ガスホルダとする工夫により、可変容量ガスホルダの単体として用いる使い方や、二つ以上連通接続させてガス貯留装置として用いる使い方のいずれもが可能となる可変容量ガスホルダが実現できている。
その結果、他に一切の部品類を用意する必要のない簡単で便利な可変容量ガスホルダとしながら、請求項1の発明による前記効果を奏することができる利点がある。
【0019】
請求項3の発明によれば、連通機構は、可変容量ガスホルダとしての外郭よりはみ出ない状態や、隣り合う可変容量ガスホルダに干渉しない状態で装備されている。従って、連通機構が、複数の可変容量ガスホルダを左右や前後或いは上下に隙間無く並べて配置することの妨げとはならない、という良さがある。
【0020】
請求項4の発明によれば、連通機構を機構配策空間に通して配策することで、複数の可変容量ガスホルダどうしを連通接続させることができる。その結果、格納状態だけでなく使用状態の連通機構をも可変容量ガスホルダの外郭内に収めることが可能になり、より使い勝手に優れる可変容量ガスホルダを提供することができる。
【0021】
請求項5の発明によれば、可撓性を有する接続ホースの一つ又は複数を枠体や台座フレームに着脱可能に装備することで連通機構が構成されているから、連通機構が装備された可変容量ガスホルダを、構造簡単で廉価に実現させることができて有利である。
【0022】
請求項6の発明によれば、請求項1の発明による前記効果を奏する可変容量ガスホルダの複数を積み上げて用いることができ、設置場所を増やすことなく容量の倍増が図れるガス貯留装置を提供することができる。
【0023】
請求項7の発明によれば、請求項2〜5の発明による利点の多い可変容量ガスホルダの複数を連通機構で連通させることによりガス貯留装置が構成されており、可変容量ガスホルダを二つ以上用意するだけの構造簡単、便利で廉価にガス貯留装置が実現できる利点がある。
【0024】
請求項8の発明によれば、請求項1〜5の発明による何れかの効果を奏する可変容量ガスホルダの複数を組合せて、容量が倍増ないしそれ以上に増した状態に集約されて使い勝手に優れるガス貯留装置を実現させることができる。この場合、請求項9のように、発電所用のものとすれば、各地で貯蔵されたガスを一箇所の大規模発電所へ集約させることが可能となり、発電能力の向上や発電コスト削減などの効果を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態1の可変容量ガスホルダを示し、(a)は正面図、(b)は平面図
図2】基本構造の可変容量ガスホルダを示す斜視図
図3図2の可変容量ガスホルダにおける動作原理を示し、(a)は側面図、(b)は正面図
図4】ガス流入部とガス取出部とが工夫された実施形態2の可変容量ガスホルダの概略を示し、(a)は正面図、(b)は一部切欠きの透視平面図
図5図1〜4の可変容量ガスホルダの4つを積層してなるガス貯留装置を示す正面図
図6図4の可変容量ガスホルダの6つを積層してなるガス貯留装置を示す側面図
図7】その他の給排配管構造を示し、(a)は側面図、(b)は要部の平面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明による可変容量ガスホルダ及びガス貯留装置の実施の形態を、基本構造、実施形態1、実施形態2という順に、図面を参照しながら説明する。なお、可変容量ガスホルダAにおいては、第1流入管3bや第1取出管4bのある側を前、その反対側を後として左右を定義する。
【0027】
〔可変容量ガスホルダの基本構造〕
まず、可変容量ガスホルダの典型的な基本構造(実施形態の一例)について説明する。図2図3に示されるように、基本構造の可変容量ガスホルダAは、枠体であるコンテナ1と、略かまぼこ形状のゴム引布又はプラスチック引布製のガス収納体2と、Lアングルを溶接して構成される左右の台座フレーム5,5と、ガス収納体2の底部2bに装備されているガス流入部であるガス吸気管3及びガス取出部であるガス排気管4とを備えている。
コンテナ1の長さが40フィートでは、可変容量ガスホルダAの最大容積は50立方メートルであり、全長20フィートでは最大容積は25立方メートルに設定される。
【0028】
コンテナ1には、図中の右側の側面開口部を覆うように回動軸支される一対の観音開き扉1k(図2では片側1枚のみ示す)が設けられている。この一対の観音開き扉1kにロック(図示省略)を設けて、一対の観音開き扉1kを閉じた後にそのロックを施錠することで、コンテナ1の内部を閉塞状態にできるように構成してもよい。
コンテナ1の底面1dには、ガス吸気管3とガス排気管4とを固定するフランジ部材(図示省略)が固定されており、ガス吸気管3とガス排気管4とをガス収納体2に対して連通接続可能とされている。
【0029】
コンテナ1を載置支持する左右の台座フレーム5,5は、ガス収納体2からのガス吸気管3とガス排気管4とをコンテナ1の下方に配備するための空間部の確保、及びグラウンドなどの載置場所への支持体として機能する。
ガス収納体2は、可撓性を有するシート材料により、底面と前後及び左右面をなす直方体部分と、上面を半径Rの半円柱体部分とを合体した略かまぼこ形状の袋体に形成されている。なお、図1においては、ガス収納体2は、ガス貯留量が最大になった状態として描かれている。
【0030】
コンテナ1の内側には、底面1dの四隅から所定距離分が離間するように固定された棒体6が設けられており、ガス収納体2は、棒体6に対して結び付けられる結束部材7を一定間隔で接着を含む固定手段により固定されている。ガス収納体2の底面の四隅は、コンテナ1の内側の底面1dに対して不動状態で固定されている。
コンテナ1の内周壁面には、これに沿うように支柱8が周状の支持手段15を用いるなどして一定間隔ごとに設けられている。これら支柱8により、ガス収納体2の直方体部分とその上側の半円柱体部分との間の高さ位置で、ガス収納体2の外周面全体が支持されている。
【0031】
コンテナ1の下方で、かつ、一対の台座フレーム5,5の間となる空間部Sに、ブラケット14を用いて着脱可能にコンテナ1に吊下げ支持される連通機構Lが装備されている。連通機構Lの具体構成例としては、ゴムホースなどの可撓性を有する接続ホース12である。接続ホース12は、ガス吸気管3やガス排気管4の先端開口部に接続連結可能なものである。接続ホース12の長さは、互いに隣り合って配置又は近接配備されている可変容量ガスホルダA,Aの一方の可変容量ガスホルダAのガス吸気管3と、他方の可変容量ガスホルダAのガス排気管4とを繋ぐなど、ガス吸気管3及び/又はガス排気管4どうしの連通接続が可能な長さに設定されている。
【0032】
ガス収納体2の上面2aに、その中心位置と重心位置とが一致される状態で上面2aの長手方向に沿う枠形状の錘部材9が、適所に設けられた結束部材7を用いて装備されている。そして、ガス収納体2の中心位置にその一端が固定され、他端が容量検出手段である巻き取り式のレベルセンサ10に接続される紐体11が設けられている。レベルセンサ10はコンテナ1の屋根上に固定され、紐体11を屋根上に引き出すための孔部(図示省略)が屋根に穿設されている。
【0033】
レベルセンサ10は、遠隔地からモニターできる状態に設けることも可能である。この場合にはガスレベルを電気信号に変換した後に信号線(図示省略)を通じて遠隔地に設けられたモニターで監視することができる。ここで、検出手段は、超音波式、レーザ式などを用いて、非接触で上面の高さを検出するようにしても良い。
【0034】
図3(a)に示されるように、ガス満杯時にはガス収納体2の上面2aに固定された錘部材9は最上位置にある。この後、ガスの排出がガス排気管4を介して行われると、半円形状であった上面2aが破線で示されるように略平らな状態に推移する。このとき、錘部材9もこれに追従して下方に移動し、紐体11も下方に移動する。この状態を検出手段であるレベルセンサ10にて検出することができる。
【0035】
ガスの排出がさらに進行するのに伴い、上面2aが底面に近い最下位置に移動し、錘部材9も追従して最下位置まで移動し、紐体11も最下位置まで移動する。この状態がレベルセンサ10にて検出され、空状態となる。この空状態のときは、ガス収納体2の略下半分が完全な不動状態になるようにコンテナ1内に固定されているので、半円形状であった上面2aの部分のみが図3(a)に示されるように移動できうる。従って、ガス容量が変動しても、コンテナ1の左右内壁1b,1cとガス収納体2とは接触せず、磨耗が発生しないように構成されている。
【0036】
ガス収納体2は、例えば、全長40フィートのコンテナ1に内蔵される縦長の形状であるので、ガスホルダの長手方向に沿う片膨れが発生する場合がある。
図3(b)に示されるように、ガス満杯時にはガス収納体2の上面2aに固定された錘部材9は、略水平位置P1にある。この後、ガス排気管4からガス排出されると、錘部材9は、二点鎖線で図示されるように左下がりの位置P2または、二点鎖線で図示されるように右下がりの位置P3になる場合がある。
しかしながら、いずれの位置P2,P3になっても、紐体11の位置は同じ高さとなることから、図3(b)に示されるように、ガス収納体2の長手方向に沿う片膨れが発生しても、常に正しいレベル検出を行うことが可能とされている。
【0037】
〔実施形態1〕
図1に示される実施形態1の可変容量ガスホルダAは、ガス流入部3とガス取出部4とが異なる以外は、図2,3に示される基本構造の可変容量ガスホルダAと略同じであり、互いに同じ箇所については、基本的にその符号や説明は割愛する。
【0038】
実施形態1による可変容量ガスホルダAは、図1(a)、(b)に示されように、可撓性を有するシート材よりなる中空体状のガス収納体2と、ガス収納体2を収容する枠体1と、互いにガス収納体2の底部2bから下方に突設されているガス流入部3及びガス取出部4と、枠体1を載せ付けて支持する一対の台座フレーム5,5と、を備えて構成されている。ガス収納体2の上部には、枠形状の錘部材9が装備されている。
台座フレーム5は、チャンネル材やアングル材などの組立てによりなる強度部材であり、枠体1の下方で、かつ、台座フレーム5,5どうしの間に空間部Sを形成しながら枠体1を支える機能部品である。
【0039】
ガス収納体2は、例えば、ゴム引布又はプラスチック引布製であり、アングル材やチャンネル材、或いはパイプ材などによりなる枠体1の内側に収容配備されている。ガス収納体2は、下側の直方体部分と、上側の半円柱体部分とを合体した略かまぼこ形状で、かつ、平面視で角丸長方形を示す袋体に形成されている。
ガス収納体2の上面2aには、枠形状の錘部材9が結束部材7を用いて装備され、錘部材9の内側におけるガス収納体2の頂部に、レベルセンサ10が上方突出状態で装備されている。レベルセンサ10は、ガス量の多少により膨縮するガス収納体2の高さ位置を検出する機能部品である。
【0040】
ガス収納体2の底部2bには、長手方向の中央部に位置させて下方突出するガスの流入管路3aと取出管路4aとが突設されるとともに、流入管路3aの下端部には流入用弁3Vが、そして取出管路4aの下端部には取出用弁4Vがそれぞれ装備されて、ガス流入部3とガス取出部4とが構成されている。各弁3V,4Vは、それぞれもう一つの流路を持って開通及び遮断が切換えられる単切換弁や、もう二つ又はそれ以上の流路をもって、それら各流路と流入管路3a又は取出管路4aとを選択的に開通できる複切換弁など、種々のものが可能である。
【0041】
台座フレーム5,5の枠体1からの下方突出量Hは、ガス流入部3及びガス取出部4の枠体1からの下方突出量hよりも大に設定されている。そして、可変容量ガスホルダAには、互いに隣り合って設置された可変容量ガスホルダA,Aどうしのガス流入部3及び/又はガス取出部4とガス流入部3及び/又はガス取出部4との連通接続が可能な連通機構Lが装備されている。
連通機構Lは、例えば、図1に示されるように、可撓性を有する接続ホース12の単数又は複数を、着脱可能に空間部Sに配備する構成がある。接続ホース12は、例えば、枠体1にブラケット14を用いて吊下げ支持される構成とされるが、収納箱に収容させるなど、その他の装着構造でも良い。
【0042】
接続ホース12(連通機構L)は、図1(b)に示されるように、装備されている状態における左右幅は、枠体1の左右幅内に収まっており、可変容量ガスホルダA,Aどうしを左右に隙間無く並べることの妨げとならないように構成されている。即ち、接続ホース12は、可変容量ガスホルダAとしての外郭13(枠体1及び台座フレーム5の外郭線13や外郭面13)よりはみ出ない状態に、可変容量ガスホルダAに装備されている
【0043】
また、図示は省略するが、接続ホース12を、左又は右に枠体1から若干突出するように偏らせて設け、可変容量ガスホルダAどうしを隙間無く左右に並べて配置した場合に、接続ホース12の突出部が隣なりの空間部Sに入り込んで収容される、という構成(隣り合う可変容量ガスホルダAに干渉しない状態で装備される構成)とすることも可能である。
【0044】
図1(b)に示されるように、上下方向視におけるガス収納体2の四箇所の角部を、角張った角部ではなく、ある程度大きな曲率を有した角丸部(湾曲面、円弧面)として、枠体1との間に接続ホース12を通すことが可能となる空間部、即ち、機構配策空間ksを設けておけば好都合である。
接続ホース12は、並べられた一対の可変容量ガスホルダA,Aの一方のガス流入部3と他方のガス取出部4とを繋いだり、双方のガス流入部3,3どうしを繋ぐなど、互いに隣り合って配置又は近接配備されている可変容量ガスホルダAどうしのガス流入部3及び/又はガス取出部4とガス流入部3及び/又はガス取出部4との連通接続が可能である。
【0045】
〔実施形態2〕
次に、ガス流入部3及びガス取出部4がある程度具体化された実施形態2の可変容量ガスホルダAについて説明する。図4(a),(b)に示されるように、実施形態2による可変容量ガスホルダAは、ガス流入部3及びガス取出部4が異なる以外は、図1に示される実施形態1による可変容量ガスホルダAと同じであり、ガス収納体2などの各部分は省略してある。
【0046】
ガス流入部3は、流入管路3aと、その下端部の流入用弁3Vと、流入用弁3Vから前後方向に取り出された第1流入管3bと、流入用弁3Vから左右方向に取り出された第2流入管3cとを有して構成されている。
ガス取出部4は、取出管路4aと、その下端部の取出用弁4Vと、取出用弁4Vから前後方向に取り出された第1取出管4bと、取出用弁4Vから左右方向に取り出された第2取出管4cとを有して構成されている。
【0047】
第1流入管3b及び第1取出管4bとは、平面視で枠体1から外へ食み出ない状態に空間部Sに装備されており、空間部Sから一方の台座フレーム5に及ぶ第2流入管3c及び第2取出管4cも、平面視で枠体1から外へはみ出ない状態に装備されている。
流入用弁3Vは、例えば、流入管路3aと第1流入管3bとのみ開通する前後開通位置、流入管路3aと第2流入管3cとのみ開通する左右開通位置、及び流入管路3aが第1流入管3bと第2流入管3cとのいずれも遮断される全閉位置との3位置に切換可能であるが、この限りではない。
【0048】
同様に、取出用弁4Vも、例えば、取出管路4aと第1取出管4bとのみ開通する前後開通位置、取出管路4aと第2取出管4cとのみ開通する左右開通位置、及び取出管路4aが第1取出管4bと第2取出管4cとのいずれも遮断される全閉位置との3位置に切換可能であるが、この限りではない。
空間部Sに装備されている連通機構Lとしての接続ホース12は、上下に積層された、又は前後に隣り合わせられた、又は左右に隣り合わせられた可変容量ガスホルダA,Aどうしのガス流入部3やガス取出部4とを繋ぎ合せることが可能な長さに設定されている。この可変容量ガスホルダA,Aどうし接続手段(方法)は何通りもあり、そのうちのいくつかは後述する。
【0049】
〔ガス貯留装置その1〕
次に、図1図2,3に示す可変容量ガスホルダAの複数を用いて構成されるガス貯留装置Gについて説明する。図5に示されるガス貯留装置Gは、可変容量ガスホルダAを左右及び上下に2つずつ重ね合わせ又は隣り合わせて計4個用いて構成されている。
上側の可変容量ガスホルダAの台座フレーム5,5が、下側の可変容量ガスホルダAの枠体1の上に載置されており、下側の可変容量ガスホルダAのレベルセンサ10は、上側の可変容量ガスホルダAの空間部Sに、ガス流入部3及びガス取出部4のいずれとも干渉することなく収容配置されている。
【0050】
このガス貯留装置Gにおいては、図5の紙面右下の可変容量ガスホルダAの第1取出管4bと、図5の紙面右上の可変容量ガスホルダAの第1流入管3bとが接続ホース12を用いて連通接続されている。図5の紙面右上の可変容量ガスホルダAの第1取出管4bと、図5の紙面左上の可変容量ガスホルダAの第1流入管3bとが接続ホース12を用いて連通接続されている。図5の紙面左上の可変容量ガスホルダAの第1取出管4bと、図5の紙面左下の可変容量ガスホルダAの第1流入管3bとが接続ホース12を用いて連通接続されている。
【0051】
従って、図5の紙面右下の可変容量ガスホルダAの第1流入管3bがIN(ガスの供給口)として、そして、図5の紙面左下の可変容量ガスホルダAの第1取出管4bがOUT(ガスの取出口)としてそれぞれ機能する状態のガス貯留装置Gが構成されている。
この図5に示される装置は、接続ホース12を用いて4つの可変容量ガスホルダAが直列に接続されているに対して、図示は省略するが、接続ホース12の使用数や接続構造を変えて、並列に接続させることも可能である。なお、三つ使用される接続ホース12のうち、二つは短い目で、一つは長い目のものであるが、いずれの可変容量ガスホルダAに携帯されているものを用いても良い。
【0052】
このガス貯留装置Gのその1では、実施形態1や2、或いは基本構造の可変容量ガスホルダAを4つ用意して組合せ配置するだけで、他に接続用の部品や設置のための部品などを用意する必要なく、可変容量ガスホルダAの単品に比べてガス容量を4倍に増大することができており、実使用に大変便利で使い勝手が向上するものとなっている。
【0053】
〔ガス貯留装置その2〕
図4に示される実施形態2の可変容量ガスホルダAを複数用いて構成されるガス貯留装置Gについて説明する。図6に示されるガス貯留装置Gは、可変容量ガスホルダAを上下3段積層したものを前後に二列並べて計6つ用いて構成されている。図5の場合と同様に、上側の可変容量ガスホルダAの台座フレーム5,5が、下側の可変容量ガスホルダAの枠体1の上に載置されており、下側の可変容量ガスホルダAのレベルセンサ10は、上側の可変容量ガスホルダAの空間部Sに、ガス流入部3及びガス取出部4のいずれとも干渉することなく収容配置されている。
【0054】
図6の紙面左下の可変容量ガスホルダAの第2取出管4cと、図6の紙面左中の可変容量ガスホルダAの第2流入管3cとが接続ホース12を用いて連通接続され、図6の紙面左中の可変容量ガスホルダAの第2取出管4cと、図6の紙面左上の可変容量ガスホルダAの第2流入管3cとが接続ホース12を用いて連通接続されている。
そして、図6の紙面左上の可変容量ガスホルダAの第2取出管4cと、図6の紙面右上の可変容量ガスホルダAの第2流入管3cとが接続ホース12を用いて連通接続され、図6の紙面右上の可変容量ガスホルダAの第2取出管4cと、図6の紙面右中の可変容量ガスホルダAの第2流入管3cとが接続ホース12を用いて連通接続されている。
【0055】
また、図6の紙面右中の可変容量ガスホルダAの第2取出管4cと、図6の紙面右下の可変容量ガスホルダAの第2流入管3cとが接続ホース12を用いて連通接続されている。
従って、図6の紙面左下の可変容量ガスホルダAの第2流入管3cがIN(ガスの供給口)として、そして、図6の紙面右下の可変容量ガスホルダAの第2取出管4cがOUT(ガスの取出口)としてそれぞれ機能する状態のガス貯留装置Gが構成されている。
図6に示される装置は、接続ホース12を用いて6つの可変容量ガスホルダAが直列に接続されているに対して、図示は省略するが、接続ホース12の使用数や接続構造を変えて、並列に接続させることも可能である。
【0056】
このガス貯留装置Gのその2では、実施形態2の可変容量ガスホルダAを6つ用意して組合せ配置するだけで、他に接続用の部品や設置のための部品などを用意する必要なく、可変容量ガスホルダAの単品に比べてガス容量を6倍に増大することができており、実使用に大変便利で使い勝手が向上するものとなっている。
【0057】
〔可変容量ガスホルダどうしの別接続構造〕
図7(a),(b)に示されるように、二つの可変容量ガスホルダA,Aを、互いに同じ側面どうしを隙間無く左右に隣り合わせて配置することも可能である。即ち、一方の可変容量ガスホルダAの第2流入管3cと、他方の可変容量ガスホルダAの第2取出管4cとを、独立部品である接続ホース12を用いて連通接続する。
一方の可変容量ガスホルダAの第2取出管4c、及び/又は他方の可変容量ガスホルダAの第2流入管3cは、接続ホース12を用いてその上方(又は下方)へと配策することができる。この場合、図7(b)に示されるように、
【0058】
この場合、接続ホース12は、ガス収納体2と枠体1の隅角との間に形成されている機構配策空間ksを通して、枠体1の外郭13(外郭線又は外郭面)から食み出ないようにして設けることができる。つまり、隣り合う可変容量ガスホルダAどうしを隙間無く並べて配置しながら、枠体1内に接続ホース12を設けることができている。
枠体1から食み出さずに連通機構Lの配策及び隣なりの可変容量ガスホルダAとの接続が行えるので、可変容量ガスホルダAを前後左右及び上下に隙間無く積み重ねたり並べたりすることが可能となっている。
【0059】
〔その他の実施形態〕
連通機構Lとしては、金属やプラスチック製の配管や切換弁を伴う配管でも良く、空間部Sのほか、枠体1の長手方向の端部、上部など複数に給排口を有する分岐配管構造に構成しても良い。接続ホース12の長さは、一つ飛びや斜め上下に並べられた、又は土手の上と下、地上と屋上など少し離れた可変容量ガスホルダAどうしを繋げる長さ、即ち、互いに近接配備される可変容量ガスホルダA,Aどうしを連通接続できる長さでも良い。
また、上に積み上げられた可変容量ガスホルダAどうしを相互連結して安定させるためなど、隣り合う可変容量ガスホルダAの枠体1どうしを連結する手段(ボルト・ナットなど)を常備させる構成も有効である。
【0060】
図示は省略するが、例えば、左右に4列並べられた可変容量ガスホルダAのうち、左右何れかの端から一番目の可変容量ガスホルダAのガス流入部3やガス取出部4と、三番目の可変容量ガスホルダAのガス流入部3やガス取出部4とを接続可能な長さを有する接続ホース12(連通機構L)を設ける構成の可変容量ガスホルダAでも良い。つまり、互いに近接配備される可変容量ガスホルダAのガス収納体2,2どうしを連通接続することが可能な連通機構Lである。
また、台座フレーム5,5の枠体1からの下方突出量Hが、ガス流入部3及びガス取出部4の枠体1からの下方突出量hよりも大とされ、かつ、連通機構Lの無い〔又は、連通機構Lを装着可能な枠(図示省略)のみ有する〕可変容量ガスホルダAでも良い。
【0061】
現在、小規模のバイオマスガス発電所では、バイオマスガスを発生させる原料不足のため、バイオマスガスが不足し、発電能力を十分に発揮出来ていないケ−スが多い。
請求項8や請求項9に記載の発明によれば、ガスホルダを連結し、任意にバイオマスガス容量を調整出来ることから、各小規模のバイオマスガス発電所が単独で発電を行うのではなく、各地で貯蔵したバイオマスガスを一箇所の大規模発電所へ集約することが可能となる。
各可変容量ガスホルダAを大規模発電所へ集約してガス貯留装置とすることにより、大幅な発電能力向上及び発電コストの低減が見込める。
【符号の説明】
【0062】
1 枠体
2 ガス収納体
2b 底部
3 ガス流入部
4 ガス取出部
5 台座フレーム
13 外郭
A 可変容量ガスホルダ
H 台座フレームの枠体からの下方突出量
L 連通機構
h ガス流入部及びガス取出部の枠体からの下方突出量
ks 機構配策空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7