(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-25188(P2018-25188A)
(43)【公開日】2018年2月15日
(54)【発明の名称】空調装置の排水ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 29/70 20060101AFI20180119BHJP
F04D 1/14 20060101ALI20180119BHJP
【FI】
F04D29/70 F
F04D1/14
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-122178(P2017-122178)
(22)【出願日】2017年6月22日
(31)【優先権主張番号】105125282
(32)【優先日】2016年8月9日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】516068929
【氏名又は名称】合利美股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】蕭裕明
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AB13
3H130AB22
3H130AB42
3H130AC12
3H130BA46A
3H130BA46J
3H130BA66A
3H130BA66J
3H130CA23
3H130DG01X
(57)【要約】
【課題】空調装置の排水ポンプを提供する。
【解決手段】空調装置の排水ポンプは排水筐体、羽根車および発動機構を備える。発動機構はモーターハウジング上部、モーターおよびモーターハウジング下部を有する。モーターハウジング下部は円筒状ボディーを有する。モーターは円筒状ボディーの上方に位置する。排水筐体は円筒状ボディーの下方に位置する。円筒状ボディーは複数のスリット、複数の導流板および流体通路を有する。複数のスリットは上から下へ伸びるように円筒状ボディーに分布する。複数の導流板は円筒状ボディーからそれぞれのスリットの辺縁に沿って外部へ斜めに拡張され、かつそれぞれのスリットに跨ってそれぞれのスリットの別の辺縁へ伸びて円筒状ボディーとの間に所定の距離を置くように形成される。流体通路は複数の導流板と円筒状ボディーとの間に形成される。円筒状ボディーの内部空間と外部とは複数のスリットおよび流体通路によって相互に連絡する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水筐体、羽根車および発動機構を備え、
前記排水筐体は、下方に位置する吸入口および側辺に位置する排出口を有し、
前記羽根車は、前記排水筐体の中に格納され、
前記発動機構は、モーターハウジング上部、モーターおよびモーターハウジング下部から構成され、前記モーターハウジング下部は前記排水筐体の上方に配置され、前記モーターハウジング上部は前記モーターハウジング下部に合わさり、前記モーターは前記モーターハウジング下部と前記ハウジング上部との間に配置され、前記羽根車に接続される駆動軸を有する空調装置の排水ポンプであって、
前記モーターハウジング下部は円筒状ボディーを有し、前記円筒状ボディーは上向きの開口部および底部に位置する穿孔を有し、前記モーターは前記円筒状ボディーの上方に位置し、前記排水筐体は前記円筒状ボディーの下方に位置し、前記羽根車は前記円筒状ボディーの前記穿孔を通って前記モーターの前記駆動軸に接続され、
前記円筒状ボディーはさらに複数のスリット、複数の導流板および流体通路を有し、複数の前記スリットは上から下へ伸びるように前記円筒状ボディーに分布し、かつ前記円筒状ボディーの軸心に向かって等角を呈するように配列され、複数の前記導流板は前記円筒状ボディーからそれぞれの前記スリットの辺縁に沿って外部へ斜めに拡張され、かつそれぞれの前記スリットに跨ってそれぞれの前記スリットの別の辺縁へ伸びて前記円筒状ボディーとの間に所定の距離を置くように形成され、前記流体通路は複数の前記導流板と前記円筒状ボディーとの間に形成され、前記円筒状ボディーの内部空間と外部とは複数の前記スリットおよび前記流体通路によって相互に連絡することを特徴とする、
空調装置の排水ポンプ。
【請求項2】
前記導流板は円弧状を呈することを特徴とする請求項1に記載の空調装置の排水ポンプ。
【請求項3】
前記導流板は前記円筒状ボディーの軸心に向かって時計回りに沿って伸びるように配列されることを特徴とする請求項1に記載の空調装置の排水ポンプ。
【請求項4】
前記モーターハウジング下部は、さらに前記円筒状ボディーの先端および末端に別々に連結される頂部材および底部材を有し、複数の前記スリットは前記円筒状ボディーの先端から末端まで伸びることを特徴とする請求項1に記載の空調装置の排水ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水技術に関し、詳しくは空調装置の排水ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の空調装置の排水ポンプは空調装置の稼働に伴って生じた凝縮水を外部に排出するものである。特許文献1により提示された排水ポンプは電動機のハウジング下部に配置されたキャップと、電動機を支える円筒状の外筒部および内筒部と、外筒部の排水用スリットに配置された誘導部とを有することが特徴である。
特許文献1は上述した構造特徴のほかにキャップの排水用スリットに誘導部を配置することを開示している。誘導部は内部に残留した水を外部へ誘導するものである。
【0003】
特許文献1は電動機を支える円筒状の外筒部および内筒部の構造が比較的複雑であるため、全体のパーツが多い。一方、外筒部に配置された排水用スリットと内筒部に配置されたスリットとは相互に対応しないため、内部に残留した水が外部へ流出する径路が伸びるだけでなく、排水が難しくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中華人民共和国CN104514728A公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は構造が従来のものと異なり、簡素化された空調装置の排水ポンプを提供することを主な目的とする。
【0006】
本発明は排水径路が比較的短く、排水効果がより良好になる空調装置の排水ポンプを提供することをもう一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、空調装置の排水ポンプは排水筐体、羽根車および発動機構を備える。排水筐体は下方に位置する吸入口および側辺に位置する排出口を有する。羽根車は排水筐体に格納される。発動機構はモーターハウジング上部、モーターおよびモーターハウジング下部を有する。モーターハウジング上部はモーターハウジング下部に合わさる。モーターはモーターハウジング下部とハウジング上部との間に配置され、羽根車に接続される駆動軸を有する。モーターハウジング下部は排水筐体の上方に配置され、円筒状ボディーを有する。円筒状ボディーは上向きの開口部および底部に位置する穿孔を有する。モーターは円筒状ボディーの上方に位置する。排水筐体は円筒状ボディーの下方に位置する。羽根車は円筒状ボディーの穿孔を通ってモーターの駆動軸に接続される。円筒状ボディーはさらに複数のスリット、複数の導流板および流体通路を有する。複数のスリットは上から下へ伸びるように円筒状ボディーに分布し、かつ円筒状ボディーの軸心に向かって等角を呈するように配列される。複数の導流板は円筒状ボディーからそれぞれのスリットの辺縁に沿って外部へ斜めに拡張され、かつそれぞれのスリットに跨ってそれぞれのスリットの別の辺縁へ伸びて円筒状ボディーとの間に所定の距離を置くように形成される。流体通路は複数の導流板と円筒状ボディーとの間に形成される。円筒状ボディーの内部空間と外部とは複数のスリットおよび流体通路によって相互に連絡する。
【0008】
上述したとおり、本発明は従来の技術とは異なり、構造の簡素化および排水径路の短縮化を実現させるため、排水効果をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態による空調装置の排水ポンプを示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による空調装置の排水ポンプを示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態による空調装置の排水ポンプのモーターハウジング下部を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態による空調装置の排水ポンプのモーターハウジング下部の円筒状ボディーを示す断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による空調装置の排水ポンプを図面に基づいて説明する。
【0011】
(一実施形態)
図1から
図6に示すように、空調装置の排水ポンプ10は排水筐体11、羽根車21および発動機構31から構成される。
【0012】
排水筐体11は、下方に位置する吸入口12および側辺に位置する排出口14を有する。
【0013】
羽根車21は、排水筐体11の中に格納される。
【0014】
発動機構31は、モーターハウジング上部32、モーター34およびモーターハウジング下部36を有する。モーターハウジング上部32はモーターハウジング下部36に合わさる。モーター34はモーターハウジング下部36とモーターハウジング上部32との間に配置され、羽根車21に接続される駆動軸341を有する。
【0015】
モーターハウジング下部36は、上向きの開口部および底部に位置する穿孔371を有する円筒状ボディー37を有する。モーターは円筒状ボディー37の上方に位置する。排水筐体11は円筒状ボディー37の下方に位置する。羽根車21は穿孔371を通ってモーター34の駆動軸341に接続される。
【0016】
円筒状ボディー37は、さらに複数のスリット372、複数の導流板38および流体通路382を有する。複数のスリット372は上から下へ伸びるように円筒状ボディー37に分布し、かつ円筒状ボディー37の軸心に向かって等角を呈するように配列される。
複数の導流板38は円筒状ボディー37からそれぞれのスリット372の辺縁に沿って外部へ斜めに拡張され、かつそれぞれのスリット372に跨ってそれぞれのスリット372の別の辺縁へ伸びて円筒状ボディー37との間に所定の距離を置くように形成される。流体通路382は複数の導流板38と円筒状ボディー37との間に形成される。円筒状ボディー37の内部空間と外部とは複数のスリット372および複数の流体通路382によって相互に連絡する。
【0017】
本実施形態において、導流板38は円弧状を呈し、円筒状ボディー37の軸心に向かって時計回りに沿って拡張されるが、これに限らず、反時計回りに沿って拡張されてもよい。つまり、製作者は状況に応じて拡張方向を選択できる。導流板38が円弧状に設計されれば誘導効果を向上させることができる。
【0018】
本実施形態において、モーターハウジング下部36はさらに頂部材361および底部材362を有する。頂部材361および底部材362は円筒状ボディー37の先端および末端に別々に連結される。
スリット372は円筒状ボディー37の先端から末端まで伸びる。頂部材361および底部材362が配置されればスリット372は円筒状ボディー37の先端から末端まで伸び、円筒状ボディー37を切開した状態になる。円筒状ボディー37のそれぞれの部位は頂部材361および底部材362に連結されることによって構造関係を維持する。
【0019】
以上は本実施形態の構築についての説明である。続いて本実施形態の稼働状態について説明を進める。
【0020】
図1から
図6に示すように、空調装置の排水ポンプ10が正常稼働する場合、羽根車21はモーター34の駆動力によって回転し、排水筐体11内の水を排出口14から排出する。排出口14は排水管(図中未表示)に連結されることによって水を外部へ流出させることが一般的である。排水ポンプと排水管とを連結することは従来の技術であるため、図面上の表示および説明を省略する。
【0021】
図5および
図6に示すように、モーター34の運転が停止するか、電源が切れた場合、排水管に残留した水は排水筐体11に逆流する。このとき羽根車21は排水筐体11内の空間に据えられ、障害物になるため、逆流した水は流速が遅くなり、ゆっくり排水筐体11を流れ、穿孔371から円筒状ボディー37へ流入し、そののちスリット372および流体通路382を通って外部へ流出する。スリット372は逆流して溢れた水を排出する機能を果たすため、排出されず円筒状ボディー37に迅速に逆流して滞留した水の水位が上昇し、モーター34に損害を与えることを抑制できる。
【0022】
上述したことにより、従来の技術と比べて本発明はスリット372および導流板38からなる流体通路382によって排水径路の短縮化を実現させ、排水効果をより向上させることが判明した。また、本発明は従来の技術とは異なり、構造の簡単化を実現させるため、パーツの数を減らすことができる。
【0023】
一方、導流板38は円筒状ボディー37の内部の音(例えば羽根車21の回転またはモーター34の稼働に伴って生じた音)を遮断し、流体通路382を介して屈折および拡散させるため、騒音を抑制できる。
【符号の説明】
【0024】
10 空調装置の排水ポンプ
11 排水筐体
12 吸入口
14 排出口
21 羽根車
31 発動機構
32 モーターハウジング上部
34 モーター
36 モーターハウジング下部
361 頂部材
362 底部材
37 円筒状ボディー
371 穿孔
372 スリット
38 導流板
382 流体通路