【解決手段】フロントケース2には、基板ハウジング52が固定された基板5が収容されている。基板ハウジング52には、雌端子7が収容されている。雌端子7は基板5に実装されている。リアケース3には、前後方向に貫通した貫通孔36が形成されている。リアケース3に対して装着可能なコネクタハウジング61には、雄端子8が収容されている。貫通孔36内で基板ハウジング52とコネクタハウジング61とを嵌合させたとき、雌端子7と雄端子8は前後方向に沿って摺動しながら接触するとともに、両端子の接触によって上下方向に互いに弾性変形可能に構成されている。
レンズ部材及び前記レンズ部材を保護する保護部材の少なくとも一方が取り付けられているとともに、取り付けられた前記レンズ部材及び前記保護部材の少なくとも一方に対向するように形成された開口を有する第1ケースと、
撮像素子と電気的に接続された第1端子が実装され、前記第1ケースの内部に配置された基板と、
前記第1ケースの前記開口を塞ぐ第2ケースと、
前記第1端子と電気的に接続される第2端子が収容された第2端子収容部を有するコネクタとを備えており、
前記基板には、前記第1端子が収容された第1端子収容部が固定され、
前記第2ケースには、前記第1ケースと前記第2ケースとが対向する対向方向に貫通し且つ前記第1端子収容部及び前記第2端子収容部を収容可能な貫通孔が形成され、
前記第2端子にはケーブルが接続され、
前記コネクタは、装着状態において前記第2端子収容部が前記貫通孔内に収容されるように、前記第2ケースに対して装着可能であり、
前記第1及び第2端子は、前記対向方向に沿って延在しているとともに、第1端子収容部及び前記第2端子収容部を前記貫通孔に収容したときに前記貫通孔内で前記対向方向に沿って摺動しながら接触するとともに、両端子の接触によって前記対向方向と直交する第1方向に互いに弾性変形可能に構成されていることを特徴とする撮像装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の撮像装置においては、基板に実装された雌端子が雄端子との接触によって、収容ハウジングと嵌合ハウジングとの嵌合方向と直交する直交方向に弾性変形可能に構成されているものの、雄端子は当該直交方向に弾性変形しない。撮像装置に振動や衝撃が生じると、雌端子の弾性変形だけでは吸収しきれずに、雌端子と雄端子とが直交方向に離隔し接触不良が生じることがある。これにより、端子同士の電気的接続の信頼性が低下する。
【0005】
そこで、本発明の目的は、端子間の電気的接続の信頼性を向上させることが可能な撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、レンズ部材及び前記レンズ部材を保護する保護部材の少なくとも一方が取り付けられているとともに、取り付けられた前記レンズ部材及び前記保護部材の少なくとも一方に対向するように形成された開口を有する第1ケースと、撮像素子と電気的に接続された第1端子が実装され、前記第1ケースの内部に配置された基板と、前記第1ケースの前記開口を塞ぐ第2ケースと、前記第1端子と電気的に接続される第2端子が収容された第2端子収容部を有するコネクタとを備えている。前記基板には、前記第1端子が収容された第1端子収容部が固定され、前記第2ケースには、前記第1ケースと前記第2ケースとが対向する対向方向に貫通し且つ前記第1端子収容部及び前記第2端子収容部を収容可能な貫通孔が形成され、前記第2端子にはケーブルが接続されている。前記コネクタは、装着状態において前記第2端子収容部が前記貫通孔内に収容されるように、前記第2ケースに対して装着可能である。前記第1及び第2端子は、前記対向方向に沿って延在しているとともに、第1端子収容部及び前記第2端子収容部を前記貫通孔に収容したときに、前記貫通孔で前記対向方向に沿って摺動しながら接触するとともに、両端子の接触によって前記対向方向と直交する第1方向に互いに弾性変形可能に構成されている。
【0007】
上記構成では、撮像装置に振動や衝撃が生じても、第1及び第2端子が第1方向に弾性変形可能であるため、一方の端子だけが第1方向に弾性変形するものと比して、端子間における振動や衝撃を吸収することができる。このため、第1端子と第2端子との電気的接続の信頼性が向上する。
また、上記構成では、第2ケースの貫通孔内で第1及び第2端子を接触させることにより、コネクタと撮像素子とを電気的に接続することができる。従来は第2ケースに第3端子が装着され、第1端子と第2端子とをそれぞれ第3端子に接触させ、第3端子を介して第1及び第2端子の電気的接続を図ることでコネクタと撮像素子とを電気的に接続していたが、上記構成では、第1端子と第2端子とを直接接触させるため、端子同士の接触箇所を減らすことが可能となり、第1端子と第2端子との電気的接続の信頼性が向上する。
さらに、第2ケースに対して装着可能なコネクタの第2端子収容部に収容された第2端子にケーブルが接続されているため、第1ケースに第2ケースを取り付けるときコネクタを第2ケースから外しておけば、取り付け作業器具がケーブルと干渉することがない。したがって、撮像装置の組立工程において作業性が向上する。
【0008】
また、上記構成において、前記第2ケースは、前記貫通孔を包囲する包囲壁を有し、前記コネクタは、弾性材料によって形成された弾性部材を有し、前記コネクタが前記第2ケースに装着されて前記第2端子収容部が前記貫通孔内に収容されたときに、前記弾性部材は前記包囲壁を内側から全周に亘って押圧することが好ましい。
【0009】
上記構成では、弾性部材によってコネクタと第2ケースとの間を封止できるため、コネクタと第2ケースとの間から液体等が浸入することを抑止できる。
【0010】
また、上記構成において、前記コネクタは、前記弾性部に対向するカバー部材を備え、前記コネクタにおいて、前記第2端子収容部と前記弾性部材とカバー部材とが前記対向方向に並んで配置され、前記ケーブルが、前記弾性部材及び前記カバー部材によって支持されていることが好ましい。
【0011】
上記構成では、第2端子収容部を第2ケースの貫通孔内に収容するとき、コネクタのカバー部材を貫通孔に向かって押圧することで、弾性部材及び第2端子収容部を含めたコネクタ全体を前方に変位させて、第2端子収容部を貫通孔内に収容することができる。これにより貫通孔内で第1端子と第2端子が摺動接触するようにすることができる。
【0012】
また、上記構成において、前記第2端子収容部及び前記カバー部材の少なくとも一方には、他方に向かって突出したボス部が形成され、前記弾性部材には、前記ボス部に対向する部分に前記対向方向に凹んだ凹部が形成されていることが好ましい。
【0013】
カバー部材を前方に変位させると、弾性部材が弾性変形することでカバー部材の変位量が吸収されるが、第2端子収容部及び/又はカバー部材にボス部が形成された部分では、第2端子収容部とカバー部材が近接し、これらの間の弾性部材の厚みが薄い。したがって、ボス部が形成された部分では、カバー部材を前方に変位させたときに弾性部材の変位量が小さくなってカバー部材の力が第2端子収容部に伝わりやすい。これによりカバー部材の変位量とさせると、カバー部材の変位量とほぼ同等の量だけ第2端子収容部が前方へ変位するため、第2端子収容部を貫通孔内に完全に収容することができる。したがって第1端子と第2端子の接触不良を抑止できる。
【0014】
また、上記構成において、前記第2端子収容部及び前記カバー部材の少なくとも一方に2以上のボス部が形成され、前記2以上のボス部は、前記コネクタを前記対向方向からみたとき、前記コネクタの中心に対して点対称又は前記中心を通る線に対して線対称の位置に配置されていることが好ましい。
【0015】
上記構成では、2以上のボス部がコネクタの中心に対して点対称又は線対称の位置に配置されているため、カバー部材の力が第2端子収容部に均等にかかりやすい。これにより第2端子収容部全体が前方へ変位しやすくなるため、コネクタ全体が貫通孔内に収容される。
【0016】
また、上記構成において、前記コネクタは、前記第2ケースに係合する第1係合部を有し、前記第2ケースには、前記第1及び第2端子の摺動が終了した状態において、前記第1係合部に係合する第2係合部を有していることが好ましい。
【0017】
上記構成では、第1端子と第2端子との摺動が終了した状態、つまり第1端子と第2端子とが接触した状態が継続されるため、第1端子と第2端子との接続不良が起こりにくい。
【0018】
また、上記構成において、前記コネクタは、前記第2ケースに対して装着された状態から取り外し可能であることが好ましい。コネクタを第2ケースから取り外すことで、第1ケース及び第2ケースを簡易に交換できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、第1及び第2端子が端子間における振動や衝撃を吸収することができるため、端子間の電気的接続の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
撮像装置1は、
図1及び
図2に示すように、フロントケース(第1ケース)2及びリアケース(第2ケース)3を有するカメラケース4と、カメラケース4の内部に収容される基板5と、カメラケース4の後部に嵌合するコネクタ6とを含む。フロントケース2とリアケース3とは、図中の前後方向に対向している。以下では、フロントケース2とリアケース3とが対向する前後方向を「対向方向」と呼ぶことがある。撮像装置1は、車両等に搭載され、車両の外部景色を撮影する。
【0023】
撮像装置1を組み立てたとき、フロントケース2とリアケース3とは、シール部材等を介して当接し、溶接、接着剤、ネジ止め等により一体に固定される。これにより防水構造が構成される(
図9参照)。フロントケース2及びリアケース3は樹脂により形成されている。
【0024】
<フロントケース>
フロントケース2は箱状に形成され、
図2に示すように、前端部に保護部材21が一体的に取り付けられている。保護部材21には、例えば、樹脂により形成された透明な部材やフィルム状の透明な部材を用いることができる。フロントケース2の後端部には、保護部材21に対向するように、開口22が形成されている。フロントケース2の内側面には、基板5を固定するための固定板(不図示)が形成されている。
【0025】
<リアケース>
リアケース3は、
図1及び
図2に示すように、フロントケース2の開口22を塞ぐリア部31を有する。リア部31は、基板5に対向する平板部32と、平板部32の周縁から前方に向かって突出した周壁部33とを有する。周壁部33は、フロントケース2とシール部材等を介して当接する(
図8A参照)。
【0026】
平板部32は、基板5と対向する前面32aと、基板5と反対側に配置される後面32bとを有している。前面32aからは、前方ハウジング34が前方に向かって突出している。後面32bからは、後方ハウジング(包囲壁)35が後方に向かって突出している。前方ハウジング34及び後方ハウジング35は、平板部32を挟んで前後方向に互いに対向する位置に形成されている。前方ハウジング34と平板部32と後方ハウジング35とには、前後方向に連通した貫通孔36が形成されている。貫通孔36は、リアケース3を前後方向に貫通している。
【0027】
前方ハウジング34には基板ハウジング(第1端子収容部)52が装着されている(後述する
図8A参照)。基板ハウジング52は、貫通孔36内に収容されている。
【0028】
後方ハウジング35にはコネクタ6が着脱可能である(後述する
図8C参照)。コネクタ6が後方ハウジング35に装着された状態では、後述するコネクタハウジング61が貫通孔36内に収容されている。
【0029】
後方ハウジング35の上壁35Uからは、上係合部(第2係合部)35sが上方に向かって突出している。また、後方ハウジング35の下壁35Lからは、下係合部(第2係合部)35tが下方に向かって突出している。上係合部35s及び下係合部35tは、コネクタ6が後方ハウジング35に装着されたとき、コネクタ6の上延在部(第1係合部)92及び下延在部(第1係合部)93に係合する(
図8C参照)。
【0030】
<基板>
基板5は、
図2に示すように、保護部材21に対向して配置される前面5aと、リア部31に対向して配置される後面5bとを有している。基板の前面5aには、レンズ部材51が取り付けられているとともに、図示しないCCD又はCMOS等の撮像素子が実装されている。基板5の後面5bには、
図1に示すように、リア部31に向かって突出した基板ハウジング52が固定されている。基板ハウジング52には、6つの雌端子(第1端子)7が収容されている。6つの雌端子7は、基板5の後面5bに実装されている。
【0031】
雌端子7は、
図2に示すように、金属板を打ち抜くことで形成されたフォーク状端子であり、上下方向に対向した一対の接触片70と、一対の接触片70の前端を保持した接続片71とを有している。
【0032】
一対の接触片70は、前後方向に延在した上接触片72及び下接触片73を有する。上接触片72及び下接触片73は上下方向に互いに離隔している。上接触片72の前端及び下接触片73の前端は、上下方向に延在した接続片71に接続されている。これにより一対の接触片70は、後端部が上下方向に変位可能、すなわち弾性変形可能に構成されている。
【0033】
上接触片72の後端部には、下接触片73に近付く方向(
図2の拡大図中の下方向)に突出した上突出部72tが形成されている。下接触片73の後端部には、上接触片72の後端部に近付く方向(
図2の拡大図中の上方向)に突出した下突出部73tが形成されている。上突出部72tの先端(
図2の拡大図中の下端)と下突出部73tの先端(
図2の拡大図中の上端)との離隔距離xは、後述する雄端子8の接触部81の上下方向厚さyより若干小さい。
【0034】
接続片71は基板5の後面5bに実装されている。接続片71は、基板5上の配線を介して基板5に搭載された撮像素子と電気的に接続されている。
【0035】
接続片71の下端からは、後方に向かって固定片74が延在している。固定片74は、雌端子7を基板ハウジング52に固定する。
【0036】
雌端子7は、基板ハウジング52の底壁53bに形成された孔55bに挿入されている(
図3A参照)。基板ハウジング52には、上述したように6つの雌端子7が収容されている。このうち3つの雌端子7は、
図2の拡大図に示すように、上接触片72、下接触片73及び固定片74が上からこの順に位置するように配置されている。残りの3つの雌端子はこれと上下逆になるように配置されている。つまり、固定片74、下接触片73及び上接触片72が上からこの順に位置している(
図3B参照)。
【0037】
基板ハウジング52には、
図3Aに示すように、後方に(
図1に示すリアケース3に)向かって開口した凹部52Aが形成されている。凹部52Aは、第1環状壁53によって画定されている。第1環状壁53は、上壁53uと、下壁53vと、右壁53rと、左壁53lとを有している。上壁53uと下壁53vとの間には、左右に細長い中央壁54が配置されている。
【0038】
底壁53bと上壁53uの角部には、
図3Bに示すように、左右方向に離隔した3つの支持部55が形成されている。各支持部55は、溝56を挟んだ一対の支持片から構成されている。各支持部55は、底壁53bに形成された孔(雌端子7が挿入された孔)の近傍に形成されている。溝56に配置された雌端子7の上接触片72は、支持部55を構成する一対の支持片により左右方向に挟むように支持されている。
【0039】
中央壁54には、3つの溝56に対向する位置に3つの溝57が形成されている。各溝57には、溝56に配置された上接触片72と対の下接触片73が配置されている。溝57は、下接触片73が弾性変形することにより上下方向に変位可能な大きさに形成されている(
図2の拡大図参照)。
【0040】
上記では中央壁54の上側について説明したが、中央壁54の下側にも他の3の雌端子7を支持する支持部155が形成されている。
【0041】
図3Bに示すように、底壁53bと下壁53vの角部には、左右方向に離隔した3つの支持部155が形成されている。各支持部155は、溝156を挟んだ一対の支持片から構成されている。溝156に配置された雌端子7の上接触片72は、支持部155を構成する一対の支持片により左右方向に挟むように支持されている。中央壁54には、溝156に対向する位置に図示しない溝が形成されている。各溝には、溝156に配置された上接触片72と対の下接触片73が配置されている(
図3B参照)。溝は下接触片73が弾性変形することにより上下方向に変位可能な大きさに形成されている
【0042】
上壁53uと底壁53bの角部に形成された支持部55と、下壁53vと底壁53bの角部に形成された支持部155とは、支持部55(支持部155)の大きさだけ左右方向にずれている。
【0043】
<コネクタ>
コネクタ6は、
図4に示すように、コネクタハウジング(第2端子収容部)61と、シールゴム(弾性部材)62と、カバー部材63とを有している。コネクタハウジング61と、シールゴム62と、カバー部材63とは、前後方向について前方からこの順に配置されている。
【0044】
コネクタハウジング61には、
図5Aに示すように、前方に向かって開口した凹部61Aが形成されている。コネクタハウジング61が基板ハウジング52に嵌合したとき、凹部61Aに基板ハウジング52の中央壁54(
図1及び
図3A参照)が嵌まる。なお、
図5A及び
図5Bでは、シールゴム62の図示を省略している。
【0045】
凹部61Aは、
図5Aに示すように、第2環状壁64によって画定されている。第2環状壁64は、上壁64uと、下壁64vと、右壁64rと、左壁64lとを有する。上壁64uには3つの孔65が形成されている。3つの孔65は、左右方向に離隔し、前後方向に延在している。下壁64vにも3つの孔65が形成されている(
図5B参照)。下壁64vの孔65は、左右方向に離隔し、前後方向に延在している。上壁の孔65及び下壁の孔65には、それぞれ雄端子(第2端子)8が収容されている(
図2参照)。雄端子8の後端には、ケーブル9が接続されている。
図5A及び
図5Bでは、雄端子8及びケーブル9を省略している。
【0046】
雄端子8には、
図2に示すように、雌端子7と接触する接触部81が形成されている。接触部81は、
図2の拡大図に示すように、上下方向に離隔しつつ前後方向に沿って略平行となるように金属板が後方に折り曲げられている。この構成から、接触部81は上下方向に弾性変形可能である。接触部81の上下方向厚さyは、雌端子7の上突出部72tと下突出部73tとの離隔距離xより若干大きい(
図2の拡大図参照)。雄端子8は、その後端においてケーブル9の芯線(不図示)と接続されている。
【0047】
ケーブル9は、コネクタ6に形成された貫通孔10に挿通している。コネクタ6には6つの貫通孔10が形成され、各貫通孔10にケーブル9が配置されている(
図1参照)。6つの貫通孔10は、上段及び下段に3つずつ配置されている。コネクタを後方から視たとき、上段の3つの貫通孔10は左寄りに配置され、下段の3つの貫通孔10は右寄りに配置されている。上段の3つの貫通孔10と下段の3つの貫通孔10とは左右方向にずれている。
【0048】
貫通孔10は、コネクタハウジング61に形成された貫通孔10Aと、シールゴム62に形成された貫通孔10Bと、カバー部材63に形成された貫通孔10Cとによって構成されている(
図5A、
図5B、
図6A及び
図6B参照)。
【0049】
コネクタハウジング61の後面61aからは、
図4に示すように、ハウジング上ボス部66及びハウジング下ボス部67が後方に向かって突出している。コネクタハウジング61を後方からみたとき、後面61bの右上部にハウジング上ボス部66が形成され、後面61bの左下部にハウジング下ボス部67が形成されている(
図5A及び
図5B参照)。
【0050】
ハウジング上ボス部66及びハウジング下ボス部67は、コネクタ6を前方又は後方からみたとき、コネクタハウジング61の中心に対して点対称の位置にある。コネクタハウジング61の中心は、コネクタ6の中心Cである。コネクタ6の中心Cとは、例えば、本実施形態のようにコネクタ6を前方又は後方からみたときにコネクタ6が四角形の場合、四角形の対角線の交点である。また、本実施形態のようにコネクタ6を前方又は後方からみたときにコネクタ6が正方形(正多角形)の場合、内角が180度未満の全ての頂点から等距離に位置する点である。
【0051】
カバー部材63は、
図4に示すように、シールゴム62の後方に配置されるカバー部91と、カバー部91の上方において前方向に延在した上延在部92と、カバーの下方において前方向に延在した下延在部93とを有する。
【0052】
カバー部91はシールゴム62よりやや大きい。カバー部91には、前方に突出したゴム対向部94が形成されている。ゴム対向部94はシールゴム62と同様な大きさであり、シールゴム62の後面部62bに対向する(
図7参照)。
【0053】
ゴム対向部94からは、カバー上ボス部96及びカバー下ボス部97が前方向に突出している(
図5A参照)。ゴム対向部94において、カバー上ボス部96は
図5A中の右上部に形成され、カバー下ボス部97は
図5A中の左下部に形成されている。カバー上ボス部96及びカバー下ボス部97は、カバー部材63を前方又は後方から視たとき、カバー部材63の中心に対して点対称の位置にある。カバー部材63の中心は、上述したコネクタ6の中心Cである。
【0054】
コネクタ6を組み立てたとき、
図5A及び
図5Bに示すように、図示しないシールゴム62を挟んで、カバー上ボス部96とハウジング上ボス部66とが前後方向に対向し、カバー下ボス部97とハウジング下ボス部67とが前後方向に対向する。
【0055】
カバー部材63の上延在部92は、一対の延在部92Aと、一対の延在部92Aの前端同士を接続した前接続部(第1係合部)92Bとを有する。一対の延在部92Aは左右方向に離隔した右延在部92a及び左延在部92bを有する。前接続部92Bは
図5A中の左右方向に延在している。コネクタ6をリアケース3の後方ハウジング35に装着したとき、前接続部92Bは後方ハウジング35の上係合部35sに係合する(
図9参照)。
【0056】
下延在部93は、
図5Bに示すように、上延在部92と同様な構成である。コネクタ6をリアケース3の後方ハウジング35に装着したとき、下延在部93の前接続部93Bは、後方ハウジング35の下係合部35tに係合する(
図8C参照)。
【0057】
シールゴム62は、ゴム等の弾性材料から形成され、
図6Aに示すように前後方向に厚みを有する。シールゴム62の全外周面には、厚さ方向(前後方向)に凹凸が繰り返し形成されている。凸部62sは先端に近付くにつれて前後方向に細くなっている。
【0058】
シールゴム62の前面部62aには、
図6A中の右上部にコネクタ対向上凹部101が形成され、
図6A中の左下部にコネクタ対向下凹部102が形成されている。コネクタ対向上凹部101及びコネクタ対向下凹部102は前方に向かって開口している。シールゴム62の後面部62bには、
図6B中の右上部にカバー対向上凹部103が形成され、
図6B中の左下部にカバー対向下凹部104が形成されている。カバー対向上凹部103及びカバー対向下凹部104は後方に向かって開口している。前面部62aは、
図4に示すように、コネクタハウジング61の後面61aに対向し、後面部62bはカバー部材63のゴム対向部94に対向する。
【0059】
前面部62aにおいて、コネクタ対向上凹部101にはコネクタハウジング61のハウジング上ボス部66が嵌まり、コネクタ対向下凹部102にはコネクタハウジング61のハウジング下ボス部67が嵌まる。後面部62bにおいて、カバー対向上凹部103にはカバー部91のカバー上ボス部96が嵌まり、カバー対向下凹部104にはカバー下ボス部97が嵌まる(
図7参照)。
【0060】
前後方向について、ハウジング上ボス部66とカバー上ボス部96とが対向した部分、及び、ハウジング下ボス部67とカバー下ボス部97とが対向した部分では、他の部分よりもシールゴム62の厚みが薄い。
【0061】
ここで、コネクタを組み立てる方法について、
図4〜
図7を参照しつつ説明する。
【0062】
コネクタハウジング61に雄端子8が収容され、雄端子8の後端にはケーブル9が接続されている(
図4参照)。ケーブル9をシールゴム62の貫通孔10B(
図6A参照)に挿通させ、シールゴム62をコネクタハウジング61の後面61aに当接させる。このとき、コネクタハウジング61のハウジング上ボス部66及びハウジング下ボス部67をそれぞれシールゴム62のコネクタ対向上凹部101及びコネクタ対向下凹部102に嵌める。
【0063】
続いて、ケーブル9をカバー部材63の貫通孔10Cに挿通させ(
図5B参照)、ゴム対向部94をシールゴム62の後面部62bに当接させる。このとき、カバー部材63のカバー上ボス部96及びカバー下ボス部97をそれぞれシールゴム62のカバー対向上凹部103及びカバー対向下凹部104に嵌める。これによりコネクタハウジング61とシールゴム62とカバー部材63とが一体になる(
図7参照)。
【0064】
本実施形態では、ケーブル9とシールゴム62とが封止されている。そのため、カバー部材63とケーブル9との間から液体が浸入しても、液体はケーブル9とシールゴム62との間からコネクタハウジング61へと浸入しない。
【0065】
カバー部材63の上延在部92と下延在部93とは、コネクタハウジング61及びシールゴム62を上下方向に挟むように配置されている。上延在部92及び下延在部93はコネクタハウジング61及びシールゴム62と離隔している。
【0067】
図8Aに示すように、基板5に搭載された撮像素子の光軸と保護部材21の光軸とが一致するように、基板5をフロントケース2に固定する。次に、リアケース3の前方ハウジング34を基板ハウジング52に装着しながら、リア部31でフロントケース2の開口22を塞ぐ。そしてリア部31をフロントケース2に固定する。固定方法は、例えば超音波やレーザー等を照射して溶着してもよく、接着剤により固定してもよく、ネジ止めしてもよい。このとき、ケーブル9が引き出されたコネクタ6はリアケース3に装着されていないため、リア部31をフロントケース2に固定するための作業器具がケーブル9と干渉することはない。
【0068】
続いて、コネクタ6をリアケース3の後方ハウジング35に装着しながら、リアケース3の貫通孔36内で基板ハウジング52とコネクタハウジング61を嵌合させる。この過程において、
図8Bの拡大図に示すように、基板ハウジング52の上壁53uと中央壁54との間に、コネクタハウジング61の上壁64uが配置される。また、雌端子7の一対の接触片70(上接触片72と下接触片73)の間に雄端子8の接触部81が挿入され(
図8C参照)、上突出部72t及び下突出部73tが接触部81と前後方向に摺動しながら接触する。嵌合前の上突出部72tと下突出部73tとの離隔距離xは、接触部81の上下方向厚さ(y)よりも若干小さいが(
図8Bの拡大図参照)、上接触片72と下接触片73との間に接触部81が配置されると、中央壁54の溝56に収容された下接触片73が弾性変形して上突出部72tと下突出部73tとの離隔距離が広がるとともに、
図8Cの拡大図中の矢印で示すように、一対の接触片70が接触部81を上下方向に挟持する。
【0069】
また、雄端子8の接触部81は、金属板が上下方向Bに離隔してなるため、一対の接触片70の挟持力によって金属板同士の離隔距離が小さくなるように弾性変形する。
【0070】
このように雌端子7及び雄端子8は、互いに上下方向に弾性変形可能に構成されている。こうして、ケーブル9の雄端子8と雌端子7とが電気的に接続され、撮像素子とケーブル9とが電気的に接続される。
【0071】
また、上記過程において、シールゴム62が貫通孔36内に配置されると、シールゴム62の外周面が後方ハウジング35の内周面を押圧する。これによりカバー部材63を前方に向かって押圧しても、コネクタ6が前方に進みにくい。また、カバー部材63が前方に変位すると、シールゴム62が弾性変形することでカバー部材63の変位量を吸収し、コネクタハウジング61が前方へ変位しにくい。
【0072】
しかし、本実施形態では、
図7に示すように、ハウジング上ボス部66とカバー上ボス部96とが対向した部分、及び、ハウジング下ボス部67とカバー下ボス部97とが対向した部分で、他の部分よりシールゴム62の厚みが薄い。したがって、対向するボス部間ではシールゴム62がカバー部材63の変位を吸収する量が小さく、カバー部材63の力がコネクタハウジング61に伝わりやすい。よって、本実施形態では、カバー部材63を前方に押圧すると、コネクタハウジング61が前方へ変位しやすい。
【0073】
また、
図8Cに示すように、シールゴム62が貫通孔36内に配置されると、シールゴム62の外周面に形成された凸部が後方ハウジング35の内周面に押し潰され、シールゴム62が全外周に亘って後方ハウジング35を内側から押圧する。これにより後方ハウジング35とコネクタ6との間が封止される。
【0074】
さらに、上記過程において、コネクタ6の上延在部92の前接続部92Bが上方へと弾性的に偏倚しつつ後方ハウジング35の上係合部35sを超える。雌端子7と雄端子8との摺動が終了したとき、前接続部92Bが元の位置に弾性復帰して上係合部35sの前方に配置され、前接続部92Bと上係合部35sとが係合した状態となる。また、下延在部93の前接続部93Bも同様に、下方へと弾性的に偏倚しつつ後方ハウジング35の下係合部35tを超える。雌端子7と雄端子8との摺動が終了したとき、前接続部93Bが元の位置に弾性復帰して下係合部35tの前方に配置され、前接続部93Bと下係合部35tとが係合した状態となる。
【0075】
前接続部92Bと上係合部35sとが係合し、前接続部93Bと下係合部35tとが係合することで、コネクタ6が後方へ移動しない。したがって雄端子8と雌端子7とが電気的に接続された状態が維持され、撮像素子とケーブル9とが電気的に接続された状態が続く。
【0076】
以上のように、本実施形態によると、以下の効果を奏する。
撮像装置1に振動や衝撃が生じても、雌端子7及び雄端子8が上下方向に弾性変形可能であるため、一方の端子だけが上下方向に弾性変形するものと比して、端子間における振動や衝撃を吸収することができる。このため、雌端子7と雄端子8との電気的接続の信頼性が向上する。
【0077】
また、本実施形態では、リアケース3の貫通孔36内で雌端子7と雄端子8を直接接触させることで、撮像素子とコネクタ6との電気的接続を図っている。従来はリアケース3に別の端子が装着され、別の端子を介して上記2つの端子の電気的接続を図っていたが、本実施形態ではこの構成に比べて端子同士の接触箇所を減らすことが可能となる。したがって、雌端子7と雄端子8との電気的接続の信頼性が向上する。
【0078】
さらに、本実施形態では、コネクタ6のコネクタハウジング61に収容された雄端子8にケーブル9が接続され、コネクタハウジング61がリアケース3に対して着脱可能である。これによりケーブル9が引き出されたコネクタハウジング61をリアケース3に装着していない状態でリアケース3をフロントケース2に固定することができるため、固定するために用いる作業器具がケーブル9と干渉することがない。したがって撮像装置1の組立工程の作業性が向上する。
【0079】
また、シールゴム62によってリアケース3の後方ハウジング35とコネクタハウジング61との間を封止できるため、リアケース3とコネクタ6との間から液体等が浸入することを抑止できる。さらにシールゴム62によってケーブル9とリアケース3との間も封止できる。
【0080】
さらに、コネクタ6では弾性材料からなるシールゴム62の後方にカバー部材63が配置されているため、カバー部材63を前方に押圧することで、シールゴム62及びコネクタハウジング61を含めたコネクタ6を前方に変位させることができる。
【0081】
また、コネクタ6のコネクタハウジング61にはハウジング上ボス部66及びハウジング下ボス部67が形成され、カバー部材63にはこれらのボス部と前後方向に対向する位置にカバー上ボス部96及びカバー下ボス部97が形成されている。さらにシールゴム62には上記ボス部と対向する位置に凹部が形成されている。この凹部にボス部を嵌めると、対向するボス部間では他の部分よりシールゴム62の厚さが薄い。コネクタ6のカバー部材63を前方向に押圧したときに、対向するボス部間ではシールゴム62の弾性変位量が小さいため、カバー部材63の力がコネクタハウジング61に伝わりやすい。したがってコネクタハウジング61が前方へ変位しやすいため、貫通孔36内でリアケース3の後方ハウジング35とコネクタハウジング61とが完全に嵌合する。したがって、作業ミスが発生しにくくなって雌端子7と雄端子8との接続不良を抑止できる。
【0082】
また、上記ボス部はコネクタ6を前後方向にみたとき、コネクタ6の中心Cに対して点対称に配置されているため、カバー部材63の力がコネクタハウジング61に均等にかかりやすい。これによりコネクタハウジング61全体が同等な量だけ前方へ変位するため、貫通孔36内でコネクタ6を後方ハウジング35とコネクタハウジング61とを完全が嵌合しやすい。
【0083】
また、雌端子7と雄端子8との摺動が終了した状態において、コネクタ6の前接続部92Bがリアケース3の上係合部35sに係合し、前接続部93Bが下係合部35tに係合する。これによりコネクタ6が後方に変位しないため、雄端子8と雌端子7とが電気的に接続された状態が維持されるので、撮像素子とケーブル9とが電気的に接続された状態が続く。
【0084】
また、コネクタ6をリアケース3から取り外すことによって、カメラケース4を簡易に交換できる。
【0085】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0086】
例えば、上述の実施形態では、ハウジング上ボス部66及びハウジング下ボス部67がコネクタ6の中心Cに対して点対称の位置に配置され、カバー上ボス部96及びカバー下ボス部97がコネクタ6の中心Cに対して点対称の位置に配置されているが、ボス部の位置は変更可能である。例えば、上述した実施形態とは異なる態様で、ボス部がコネクタ6の中心Cに対して点対称の位置に配置されていてもよい。また、コネクタ6を前後方向にみたとき、ボス部がコネクタ6の中心Cを通る直線に対して線対称の位置に配置されていてもよい。
【0087】
さらに、上述した実施形態では、リアケース3とコネクタ6とが係合する構成として、リアケース3の後方ハウジング35に上係合部35s及び下係合部35tが形成され、コネクタ6のカバー部材63に前接続部92B及び前接続部93Bが形成され、前接続部92Bが上係合部35sに係合し、前接続部93Bが下係合部35tに係合する構成としているが、リアケース3とコネクタ6とが係合する構成はこの構成に限られず、変更可能である。また、上述した実施形態では、コネクタハウジング61がリアケース3に対して着脱(装着及び取り外し)可能であったが、リアケース3に対してコネクタハウジング61が取り外し不可能に装着されてもよい。