【課題】接着性や耐熱性に優れた接着剤層となり、各種工業材料用途における使用が可能な、バイオマス度10%以上で、環境保全面の要求分野において有用な接着剤組成物及びこれを用いてなる積層体の提供。
【解決手段】植物由来成分を有するポリエーテルウレタンポリオール(A)を主剤とし、ポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)を硬化剤とする二液硬化型で、(A)がポリプロピレンエーテルグリコール、植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール、特有の鎖伸長剤多官能アルコール及びジヒドロキシカルボン酸化合物を含む原料を多官能イソシアネート化合物で共重合ウレタン化して成り、(H)がポリプロピレンエーテルグリコール及び鎖伸長剤多官能アルコールを含む原料を多官能イソシアネート化合物で共重合ウレタン化して成る植物由来成分の割合が、10〜60%である接着剤組成物及びこれを用いた積層体。
ポリエーテルウレタンポリオール(A)を主剤とし、ポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)を硬化剤として構成された二液硬化型ポリエーテルウレタン接着剤組成物であって、
前記ポリエーテルウレタンポリオール(A)が、ポリプロピレンエーテルグリコール、植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール、鎖伸長剤多官能アルコール及びジヒドロキシカルボン酸化合物を含む原料を、多官能イソシアネート化合物で共重合ウレタン化してなる植物由来成分を有するポリオールであり、
前記ポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)が、ポリプロピレンエーテルグリコール及び鎖伸長剤多官能アルコールを含む原料を、多官能イソシアネート化合物で共重合ウレタン化してなるポリイソシアネートであり、
少なくとも、前記ポリエーテルウレタンポリオール(A)の原料である前記鎖伸長剤多官能アルコールが、分枝アルキル側鎖を有するジオールを含み、且つ、前記ポリエーテルウレタンポリオール(A)の原料中の前記鎖伸長剤多官能アルコールと、前記ポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)の原料中の前記鎖伸長剤多官能アルコールとの合計量中に占める前記分枝アルキル側鎖を有するジオールの割合が、5〜100モル%であり、
前記主剤及び前記硬化剤とは、前記ポリエーテルウレタンポリオール(A)のヒドロキシル基(−OH)と、前記ポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)のイソシアネート基(−NCO)との当量比がNCO/OH=1〜10となる比率で混合されて接着剤組成物を構成し、且つ、該接着剤組成物中の樹脂成分中における植物由来成分の割合が、10〜60質量%であることを特徴とする接着剤組成物。
前記ポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)が、その原料に、さらに、植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール及び/又はポリヒドロキシカルボン酸化合物を含む請求項1に記載の接着剤組成物。
前記分枝アルキル側鎖を有するジオールが、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール及び2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の接着剤組成物。
前記ジヒドロキシカルボン酸化合物が、三官能ポリオール1モルに酸無水物1モルを開環付加させた化合物、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールペンタン酸、ジメチロールヘプタン酸、ジメチロールオクタン酸及びジメチロールノナン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
植物由来原料からなるプラスチックフィルム、植物由来原料からなるポリオレフィンシーラント、植物由来原料からなる繊維布、植物由来原料からなる紙、蒸着プラスチックフィルム及び金属箔からなる群から選択されるいずれか2種類以上を、接着剤層を介して接着してなる積層体であって、前記接着剤層が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の接着剤組成物で形成されていることを特徴とする積層体。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。本発明の接着剤組成物は、ポリエーテルウレタンポリオール(A)を主剤とし、ポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)を硬化剤として構成された二液硬化型ポリエーテルウレタン接着剤組成物であり、下記の要件を満たすものであることを特徴とする。まず、本発明を構成するポリエーテルウレタンポリオール(A)は、ポリプロピレンエーテルグリコール、植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール、鎖伸長剤多官能アルコール及びジヒドロキシカルボン酸化合物を含む原料を、多官能イソシアネート化合物で共重合ウレタン化してなる植物由来成分を有するポリオールであり、少なくとも、前記ポリエーテルウレタンポリオール(A)の原料である前記鎖伸長剤多官能アルコールが、特定量の分枝アルキル側鎖を有するジオールを含むものであることを要する。
【0016】
また、本発明を構成するポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)は、ポリプロピレンエーテルグリコール及び鎖伸長剤多官能アルコールを含む原料を、多官能イソシアネート化合物で共重合ウレタン化してなるポリイソシアネートであることを要す。本発明を構成するポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)には、上記した原料以外に、その他の原料として、さらに、植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール及び/又はポリヒドロキシカルボン酸化合物を含むことができ、また、鎖伸長剤多官能アルコールとして、分枝アルキル側鎖を有するジオールを含むものであってもよい。
【0017】
本発明の接着剤組成物は、上記に加え、前記ポリエーテルウレタンポリオール(A)の原料中の前記鎖伸長剤多官能アルコールと、前記ポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)の原料中の前記鎖伸長剤多官能アルコールとの合計量中に占める前記分枝アルキル側鎖を有するジオールの割合が、5〜100モル%であることを要し、さらに、前記主剤及び前記硬化剤とは、前記ポリエーテルウレタンポリオール(A)のヒドロキシル基(−OH)と、前記ポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)のイソシアネート基(−NCO)との当量比がNCO/OH=1〜10となる比率で混合されて接着剤組成物を構成し、且つ、該接着剤組成物中の樹脂成分中における植物由来成分の割合が、10〜60質量%であることを要する。
【0018】
上記本発明では、主剤であるポリエーテルウレタンポリオール(A)と、硬化剤であるポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)の構成を、「特定の原料成分を、多官能イソシアネート化合物で共重合ウレタン化してなる」としたことで規定している。このように規定したのは、これらの物を、その構造又は特性により直接特定することが不可能又はおよそ非実際的である事情が存在することによる。すなわち、上記(A)及び(H)とも、複数のポリオールを含む原料を、ポリイソシアネートで共重合ウレタン化した重合体で構成されているが、得られる共重合体の構造は複雑になりすぎて一般式(構造)で表すことは到底できない。そして、このことは、当業者の技術常識である。このため、本発明では、共重合ウレタン化反応に使用される原料となる成分を規定している。
【0019】
上記したように、本発明の二液硬化型ポリエーテルウレタン接着剤組成物は、下記に述べるように、植物由来の成分を有効に用いて合成されているため、環境に配慮したバイオマス度が10質量%以上のものになる。また、本発明において有機溶剤を使用する場合には、有機溶剤として植物由来の有機溶剤を含有させる構成とすることが好ましい。具体的には、バイオウレタン樹脂の合成に使用する有機溶剤として、その一部に植物由来のもの(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル)を用いれば、樹脂の構成成分だけでなく、溶剤成分についてもCO
2排出量の削減に配慮した素材となる。
【0020】
植物由来成分を有する本発明の二液硬化型ポリエーテルウレタン接着剤組成物(以下、単に接着剤組成物と呼ぶ)も、焼却する場合にはCO
2を発生する。しかし、本発明の原料の一部は、トウモロコシやヒマ(トウゴマの種子)などの植物から得られる植物由来の短鎖ジオールやポリオールである。これらの原料植物は、その育成過程において、水を与え、光合成を行うことで大気中のCO
2を吸収する。本発明では、これらの植物由来の成分を有する特有のポリエーテルウレタンポリオール(A)と、多官能イソシアネート化合物であるポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)と反応させることで、バイオポリウレタン樹脂としている。反応の際、バイオマス度が10質量%以上の比率となるように植物由来の成分を使用しているので、焼却によって排出される二酸化炭素と、植物の育成過程で吸収される二酸化炭素が同じ量とはならないまでも、いわゆるカーボンニュートラルの考えに沿ったものとなっている。
【0021】
上記のカーボンニュートラルの考え方から、本発明の接着剤組成物の合成や加工において使用される有機溶剤の一部にも、先に挙げたような植物由来の溶剤を使用することが好ましい。すなわち、バイオウレタン樹脂の合成や加工の際に、蒸発した有機溶剤を回収して焼却処理するとCO
2を発生するが、上記の考え方にたてば、その一部にでも植物由来の有機溶剤を使用する形態とすることで、石油由来の有機溶剤を用いた場合に比べると、CO
2排出量の削減に寄与し得ることとなる。
【0022】
(接着剤組成物)
以下に、本発明の接着剤組成物を構成する主剤と硬化剤について、順次説明する。
[主剤]
まず、本発明の接着剤組成物を構成する主剤について説明する。本発明を構成する主剤は、ポリプロピレンエーテルグリコール及び植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール及び鎖伸長剤多官能アルコール及びジヒドロキシカルボン酸化合物とを含む原料を、多官能イソシアネート化合物で共重合ウレタン化してなる、植物由来成分を有するポリエーテルウレタンポリオール(A)であり、末端がOH基になるようにNCO/OH比を調整しウレタン化反応することで得られる。以下、主剤を構成する成分についてそれぞれ説明する。
【0023】
<ポリプロピレンエーテルグリコール>
本発明の主剤であるポリエーテルウレタンポリオール(A)は、原料成分を多官能イソシアネート化合物で共重合ウレタン化して得られるが、その際の原料成分に、ポリプロピレンエーテルグリコールを含む。本発明で使用するポリプロピレンエーテルグリコールとしては、石油由来のポリプロピレンエーテルグリコールが挙げられる。また、本発明で使用するポリプロピレンエーテルグリコールは、数平均分子量が400〜8000であることが好ましい。本発明者らの検討によれば、原料に使用するポリプロピレンエーテルグリコールの数平均分子量が400未満の場合は、接着剤とした場合に、接着性能が低下する傾向があり、一方、数平均分子量が8000を超えた場合は、耐熱性能が低下する傾向があるので好ましくない。
【0024】
本発明では、主剤に必須の原料成分として用いるポリプロピレンエーテルグリコールの他に、下記に挙げるような、石油由来のポリオール成分を併用してもよい。具体的には、例えば、ポリプロピレンエーテルトリオール、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、アジピン酸系ポリエステルポリオール、フタル酸系ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール及びアクリルポリオール等の石油由来ポリオール原料を、原料の一部に使用することができる。また、植物由来のポリオール成分として、例えば、植物由来原料の、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ダイマー酸系ポリオールも性能に支障のない範囲で使用することができる。これらは、単独でも2種以上を併用してもよい。
【0025】
<植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール>
本発明の主剤であるポリエーテルウレタンポリオール(A)は、原料成分を多官能イソシアネート化合物で共重合ウレタン化して得られるが、その際の原料成分に、植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコールを含むことを要す。本発明で用いる植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコールは、植物資源から誘導して得られ、現在市場で入手可能なバイオマスポリテトラメチレンエーテルグリコール(バイオマスPTMG)である。具体的には、保土谷化学社、BASF社等の販売品を用いることができる。また、本発明を構成する上記グリコールは、数平均分子量が400〜8000のポリエーテルポリオールであることが好ましい。本発明者らの検討によれば、原料に使用する上記グリコールの数平均分子量が400未満の場合は、接着剤とした場合に、接着性能が低下する傾向があり、一方、数平均分子量が8000を超えた場合は、耐熱性能が低下する傾向があるので好ましくない。
【0026】
ここで、本発明で提供するような主剤と硬化剤とからなる混合接着剤では、混合接着剤を構成している全樹脂成分中のバイオマスPTMGからの植物由来成分の割合が10質量%未満の場合、日本有機資源協会の「バイオマスマーク」認定を受けることができないので、バイオマス製品としての価値が劣る。一方、本発明者らの検討によれば、後述するように、混合接着剤構成している全樹脂成分中のバイオマスPTMGの植物由来成分の割合が60質量%を超えた場合には、ラミネート初期を含めての接着強度及びボイル殺菌耐熱性の実用性能が低下することがわかった。このため、本発明では、混合接着剤を構成している全樹脂成分中のバイオマスPTMGからの植物由来成分の割合が10〜60質量%となるように使用することを規定した。
【0027】
<鎖伸長剤多官能アルコール>
本発明の主剤であるポリエーテルウレタンポリオール(A)は、原料成分を多官能イソシアネート化合物で共重合ウレタン化して得られるが、その際の原料成分に、鎖伸長剤多官能アルコールを含むことを要し、さらに、鎖伸長剤多官能アルコールとして、下記に挙げるような分枝アルキル側鎖を有するジオールを少なくとも1種、原料成分として用いたものであることを要す。本発明で使用する分枝アルキル側鎖を有するジオールとしては、石油由来原料の、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール及び2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールが挙げられる。本発明を構成するポリエーテルウレタンポリオール(A)の合成には、これらの群から選ばれる少なくとも1種の分枝アルキル側鎖を有するジオールを使用することが好ましい。
【0028】
本発明者らの検討によれば、上記したような分枝アルキル側鎖を有するジオールの存在下で、共重合ウレタン化をしたことで、ポリエーテルウレタンポリオール(A)を主剤とする本発明の接着剤組成物は、ラミネートの初期を含めての接着強度性能を、効果的に向上したものになる。本発明では、上記したような分枝アルキル側鎖を有するジオールは、鎖伸長剤多官能アルコール中に、5〜100モル%含むことを要する。より好ましい範囲は10〜100モル%である。但し、後述するように、鎖伸長剤多官能アルコールは、本発明の接着剤組成物を上記主剤と共に構成する、硬化剤としてのポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)を共重合ウレタン化する際にも使用されることから、上記した鎖伸長剤多官能アルコール中における分枝アルキル側鎖を有するジオールの含有量は、本発明の接着剤組成物の原料に使用された鎖伸長剤多官能アルコールの全量中に、上記範囲内で分枝アルキル側鎖を有するジオールが含まれていればよい。
【0029】
本発明者らの検討によれば、上記した範囲よりも分枝アルキル側鎖を有するジオールの使用量が少ない場合、得られる接着剤組成物は、基材への接着強度アップの寄与効果が劣るものになる。このため、本発明では、使用する鎖伸長剤多官能アルコール中に含まれる分枝アルキル側鎖を有するジオールの使用量を、上記範囲内とした。また、本発明を構成する鎖伸長剤多官能アルコールの全使用量としては、原料であるポリエーテルポリオールの全量1モルに対して、全鎖伸長剤多官能アルコールが0.05〜2モルの範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.1〜1.5モルの範囲で使用して共重合することが好ましい。上記範囲外の場合、接着強度、耐熱性が劣る方向となるので、鎖伸長剤多官能アルコールの全使用量は上記範囲内とすることが好ましい。
【0030】
本発明では、鎖伸長剤多官能アルコールとして、先に列挙したような分枝アルキル側鎖を有するジオールの他に、他の石油由来の多官能アルコールも使用することができる。具体的には、1分子中に2個以上、好ましくは2〜8個の水酸基を有する化合物が挙げられる。このようなものとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、グリセリン及び1,9−ノナンジオール等が使用できる。
【0031】
上記の他、本発明では、鎖伸長剤として植物由来脂肪族多官能アルコールを用いることもできる。植物由来脂肪族多官能アルコールとしては、例えば、下記のような方法によって植物原料から得られる、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール等があるが、いずれも使用し得る。これらは、単独で用いても併用してもよい。
【0032】
例えば、植物由来の1,3−プロパンジオール(HOCH
2CH
2CH
2OH)は、植物資源(例えば、トウモロコシ)を分解してグルコースが得られる発酵法により、グリセロールから3−ヒドロキシプロピルアルデヒド(HPA)を経て、製造される。上記発酵法のようなバイオ法で製造された1,3−プロパンジオール化合物は、EO製造法の1,3−プロパンジオール化合物と比較し、安全性面から乳酸など有用な副生成物が得られ、しかも製造コストも低く抑えることが可能であり、この点でも有用である。
【0033】
また、植物由来の1,4−ブタンジオールは、植物資源からグリコールを製造し発酵することで得られたコハク酸を得、これを水添することによってバイオマス1,4−ブタンジオールが製造できる。さらに、上記植物由来エチレングリコールは、例えば、常法によって得られるバイオエタノールからエチレンを経て製造される。
【0034】
<ジヒドロキシカルボン酸化合物>
本発明の主剤であるポリエーテルウレタンポリオール(A)は、共重合ウレタン化する際の原料成分に、カルボキシル基導入原料として、ジヒドロキシカルボン酸化合物を含むことを要す。本発明を構成するジヒドロキシカルボン酸化合物としては、三官能ポリエステルポリオールや、三官能ポリエーテルポリオール等の三官能の多価アルコール1モルに、無水フタル酸や無水マレイン酸等の酸無水物1モルを開環付加させた化合物が挙げられる。その他のものとしては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールペンタン酸、ジメチロールヘプタン酸、ジメチロールオクタン酸、ジメチロールノナン酸等が挙げられる。
【0035】
本発明者らの検討によれば、上記したような、ジヒドロキシカルボン酸化合物の存在下で、共重合ウレタン化することで、得られる接着剤組成物は、金属箔、金属蒸着プラスチックフィルム及びシリカ、アルミナ等の透明蒸着プラスチックフィルムに対する接着強度性能の向上が有効なものになる。ジヒドロキシカルボン酸化合物の使用量は、ポリエーテルウレタンポリオール(A)中の酸価が、樹脂固形分当たり0.5〜50mgKOH/gの範囲になるようには変性することが好ましい。より好ましくは、樹脂固形分当たり1〜30mgKOH/gの範囲になるように変性する。すなわち、本発明者らの検討によれば、ジヒドロキシカルボン酸化合物の使用量が、主剤(A)中の酸価が樹脂固形分当たり0.5mgKOH/g未満となるような場合は、金属箔、金属蒸着プラスチックフィルム及びシリカ、アルミナ等の透明蒸着プラスチックフィルムに対する接着強度アップの効果が低くなるので好ましくない。一方、ジヒドロキシカルボン酸化合物の使用量が、主剤(A)中の酸価が樹脂固形分当たり50mgKOH/gを超えるような場合は、上記基材への接着強度アップの寄与効果は劣る方向となる場合があるので好ましくない。これは、接着剤としての剛性が高くなり過ぎるためと考えられ、したがって、ポリヒドロキシカルボン酸化合物の共重合に使用する量は、上記範囲が好ましい。
【0036】
<多官能イソシアネート化合物>
本発明の主剤であるポリエーテルウレタンポリオール(A)は、原料成分を、多官能イソシアネート化合物で共重合ウレタン化して得られる。本発明で用いる多官能イソシアネート化合物としては、従来公知のポリウレタンの製造に使用されている化合物を使用することができる。多官能イソシアネート化合物としては、石油由来の多官能イソシアネートを用いることができ、特に限定されない。例えば、好ましいものとして、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート/トルエン−2,6−ジイソシアネート=80/20混合品(トリジンジイソシアネート:TDI)、4−メトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−イソプロピル−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−クロル−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−ブトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート、2,4−ジイソシアネートジフェニルエーテル、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ジュリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ベンジジンジイソシアネート、o−ニトロベンジジンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジベンジルなどの芳香族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0037】
また、メチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添MDI、水添XDI等の脂環式ジイソシアネート等、或いは、これらのジイソシアネート化合物と低分子量のポリオールやポリアミンを末端がイソシアネートとなるように反応させて得られる、ポリウレタンプレポリマーなども当然使用することができる。なお、耐光性を考慮した場合は、脂肪族、脂環族の多官能イソシアネートの使用が適する。
【0038】
本発明では、多官能イソシアネート化合物として、上記の他、植物由来の多官能イソシアネートを用いることもできる。植物由来の多官能イソシアネートは、植物由来の二価カルボン酸を酸アミド化、還元することで末端アミノ基に変換し、さらに、ホスゲンと反応させ、該アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。植物由来のポリイソシアネートとしては、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。また、植物由来のアミノ酸を原料として、そのアミノ基をイソシアネート基に変換することによっても植物由来のイソシアネート化合物を得ることができる。例えば、リシンジイソシアネート(LDI)は、リシンのカルボキシル基をメチルエステル化した後、アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。また、1,5−ペンタメチレンジイソシアネートはリシンのカルボキシル基を脱炭酸した後、アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。
【0039】
<共重合ウレタン化>
本発明の主剤であるポリエーテルウレタンポリオール(A)は、上記したポリプロピレンエーテルグリコール、植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール、鎖伸長剤多官能アルコール及びジヒドロキシカルボン酸化合物を含む原料を、多官能イソシアネート化合物で共重合ウレタン化したものである。この共重合ウレタン化の際に、鎖伸長剤多官能アルコール反応成分として、分枝アルキル側鎖を有するジオールを併存させることを要する。分枝アルキル側鎖を有するジオールとしては、例えば、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールおよび2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の分枝アルキル側鎖を有するジオールを用いることが好ましい。
【0040】
上記ポリエーテルウレタンポリオール(A)の共重合ウレタン化の際には、ポリプロピレンエーテルグリコール及び植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコールと、併用する鎖伸長剤多官能アルコールが有する合計のヒドロキシル基(−OH)と、多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基(−NCO)との当量比が、NCO/OH=0.6〜0.99となるように構成することが好ましい。より好ましくはNCO/OH=0.7〜0.99である。上記NCO/OHが0.6未満であると、二液硬化型接着剤としての接着強度、耐熱性が低くなるので好ましくない。一方、上記NCO/OHが0.99を超えると十分な末端水酸基を有する主剤が得られなくなるので好ましくない。
【0041】
また、上記ポリエーテルウレタンポリオール(A)を得るための共重合ウレタン反応の最後に、溶液粘度の経時安定性の確保等を目的とし、反応停止剤として上記鎖伸長剤(植物由来、石油由来の多官能アルコール及びポリヒドロキシカルボン酸化合物)と同種のヒドロキシル基を2個以上有する化合物を使用することもできる。
【0042】
[硬化剤]
次に、本発明の接着剤組成物を構成する硬化剤について説明する。本発明を構成する硬化剤(H)は、ポリプロピレンエーテルグリコール及び鎖伸長剤多官能アルコールを含む原料を、多官能イソシアネート化合物で共重合ウレタン化してなるポリイソシアネートであり、末端がNCO基になるようにNCO/OH比を調整しウレタン化反応することで得られる。上記原料に、さらに、植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール及び/又はポリヒドロキシカルボン酸化合物を含む構成としてもよい。以下、硬化剤を構成する成分についてそれぞれ説明する。
【0043】
<ポリプロピレンエーテルグリコール>
本発明の硬化剤であるポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)は、原料成分を多官能イソシアネート化合物で共重合ウレタン化して得られるが、その際の原料成分に、ポリプロピレンエーテルグリコールを含むことを要する。この際に用いることができるポリプロピレンエーテルグリコールとしては、先述したポリエーテルウレタンポリオール(A)で使用することができるポリプロピレンエーテルグリコールのいずれも使用することができる。また、ポリプロピレンエーテルグリコールの他に、先述したポリエーテルウレタンポリオール(A)で使用することができる石油由来のポリオール成分も使用することができる。これらのグリコールについては、先に説明したので、説明を省略する。
【0044】
<鎖伸長剤多官能アルコール>
本発明の硬化剤であるポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)は、原料成分を多官能イソシアネート化合物で共重合ウレタン化して得られるが、その際の原料成分に、鎖伸長剤多官能アルコールを含むことを要する。この際に使用する鎖伸長剤多官能アルコールには、トリメチロールプロパン等の石油由来原料が使用できる。その他に、先に挙げた2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールおよび2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の分枝アルキル側鎖を有するジオールを含んでもよい。
【0045】
分枝アルキル側鎖を有するジオールを使用する場合は、前記したポリエーテルウレタンポリオール(A)の共重合ウレタン化の際に使用したものとの合量が、本発明で使用する鎖伸長剤多官能アルコールの合量中に、5〜100モル%含むようにすることを要す。より好ましい範囲は10〜100モル%である。また、鎖伸長剤多官能アルコールの全使用量としては原料であるポリエーテルポリオールの全量1モルに対し、全鎖伸長剤多官能アルコールが0.05〜2モルの範囲、より好ましくは0.1〜1.5モルの範囲で共重合することが好ましい。範囲外の場合、接着強度,耐熱性が劣る方向となるので、鎖伸長剤多官能アルコールの全使用量は上記範囲が好ましい。
【0046】
上記で使用する鎖伸長剤多官能アルコールとしては、他の石油由来の多官能アルコールも使用することができ、1分子中に2個以上、好ましくは2〜8個の水酸基を有する化合物が挙げられる。また、植物由来脂肪族多官能アルコールも使用することができる。これらの化合物については、先述したポリエーテルウレタンポリオール(A)で使用することができる化合物のいずれも使用することができ、これらについては、先に説明したので、説明を省略する。
【0047】
<植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール>
本発明の硬化剤であるポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)は、原料成分を多官能イソシアネート化合物で共重合ウレタン化して得られるが、その際の原料成分に、植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコールを含んでいてもよい。用いることができる植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコールとしては、先述したポリエーテルウレタンポリオール(A)の共重合ウレタン化の際に使用することができる植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコールのいずれも使用することができる。これらについては、先に説明したので、説明を省略する。
【0048】
上記した石油由来のポリプロピレンエーテルグリコール及び植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコールの数平均分子量は、いずれも先述したポリエーテルウレタンポリオール(A)の場合と同様に、数平均分子量が400〜8000のポリエーテルポリオールであることが好ましい。使用するポリエーテルポリオールの数平均分子量が400未満の場合、接着性能が低下し、数平均分子量が8000を超えた場合は耐熱性能が低下する傾向があるので好ましくない。
【0049】
<ポリヒドロキシカルボン酸化合物>
本発明の硬化剤であるポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)は、原料成分を多官能イソシアネート化合物で共重合ウレタン化して得られるが、その際の原料成分に、カルボキシル基導入原料として、ポリヒドロキシカルボン酸化合物を含んでいてもよい。カルボキシル基導入原料として用いるポリヒドロキシカルボン酸化合物としては、三官能ポリエステルポリオールや三官能ポリエーテルポリオール等の三官能の多価アルコール1モルに無水フタル酸や無水マレイン酸等の酸無水物1モルを開環付加させた化合物が挙げられる。その他には、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールペンタン酸、ジメチロールヘプタン酸、ジメチロールオクタン酸、ジメチロールノナン酸等が挙げられる。
【0050】
本発明者らの検討によれば、ポリヒドロキシカルボン酸化合物の存在下で、共重合ウレタン化して、硬化剤であるポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)とすることで、金属箔、金属蒸着プラスチックフィルム及びシリカ、アルミナ等の透明蒸着プラスチックフィルムに対する接着強度性能を向上させることができるので、有効である。ポリヒドロキシカルボン酸化合物の使用量は、ポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)中の酸価が、樹脂固形分当たり0.5〜50mgKOH/gの範囲、より好ましくは樹脂固形分当たり1〜30mgKOH/gの範囲になる様に変性することが好ましく、硬化剤(H)中の酸価が樹脂固形分当たり0.5mgKOH/g未満の場合、金属箔、金属蒸着プラスチックフィルム及びシリカ、アルミナ等の透明蒸着プラスチックフィルムに対する接着強度アップの効果が低くなり、硬化剤(H)中の酸価が樹脂固形分当たり50mgKOH/gを超えた場合、上記基材への接着強度アップの寄与効果は劣る方向となる場合がある。これは、接着剤としての剛性が高くなり過ぎるためと考えられ、したがって、ポリヒドロキシカルボン酸化合物の共重合に使用する量は上記範囲内とすることが好ましい。
【0051】
<多官能イソシアネート化合物>
本発明の硬化剤であるポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)は、上記したような原料成分を多官能イソシアネート化合物で共重合ウレタン化して得られる。この際に用いることができる多官能イソシアネート化合物としては、先述したポリエーテルウレタンポリオール(A)で使用することができる多官能イソシアネート化合物のいずれも使用することができる。このため、説明を省略する。
【0052】
上記したように、本発明を構成するポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)は、ポリプロピレンエーテルグリコール及び鎖伸長剤多官能アルコールと、必要に応じて植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール及び/又はポリヒドロキシカルボン酸化合物とを原料とし、多官能イソシアネート化合物で共重合ウレタン化したものである。先述したように、この共重合ウレタン化の際に、鎖伸長剤多官能アルコール反応成分として、例えば、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールおよび2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の分枝アルキル側鎖を有するジオールを併存させることにより、本発明の接着剤組成物は、初期を含めての接着強度性能が向上するので好ましい。
【0053】
上記ポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)の共重合ウレタン化の際には、ポリプロピレンエーテルグリコール及び/又は植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコールと鎖伸長剤多官能アルコールが有する合計のヒドロキシル基(−OH)と、多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基(−NCO)との当量比が、NCO/OH=1.01〜2.0となるように構成することが好ましい。より好ましくはNCO/OH=1.1.01〜1.5である。上記NCO/OHが2.0を超えると、遊離のイソシアネートモノマーが多く発生するので好ましくない。一方、上記NCO/OHが1.01未満であると十分な末端イソシアネート基を有する硬化剤が得られなくなるので好ましくない。
【0054】
また、耐熱性向上のため、ビュレット構造、イソシアヌレート構造及び/又はトリメチロールプロパンアダクト構造を有する芳香族及び脂肪族多官能イソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種を、ポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)に一部ブレンドし使用することもできる。
【0055】
[接着剤組成物]
本発明の接着剤組成物は、上記した通り、ポリエーテルウレタンポリオール(A)を主剤とし、ポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)を硬化剤として構成され、使用時に、主剤と硬化剤とを反応させる構成の二液硬化型ポリエーテルウレタン接着剤組成物である。その使用割合は、主剤であるポリエーテルウレタンポリオール(A)のヒドロキシル基(−OH)と、硬化剤であるポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)のイソシアネート基(−NCO)との当量比が、NCO/OH=1〜10となるように、前記主剤及び硬化剤を混合使用することを要する。また、本発明の接着剤組成物は、前記主剤及び硬化剤を混合使用した際の接着剤樹脂成分中における植物由来成分の割合が、10〜60質量%であることを要する。
【0056】
さらに、本発明の接着剤組成物は、主剤(A)と硬化剤(H)とともに硬化触媒を添加することも好ましい形態である。硬化触媒をさらに添加することで、形成した接着層は、より良好な耐熱性を示すものとなる。本発明で使用する硬化触媒としては、例えば、金属触媒やアミン系触媒等を使用することができる。
【0057】
また、本発明の接着剤組成物は、上記した成分に加えて、必要に応じて、ウレタン化伸長時に使用する反応触媒、接着力向上のためのシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤やエポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合樹脂、ブチラール樹脂、アクリル樹脂、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種公知の添加剤を、主剤(A)或いは硬化剤(H)に適宜に添加することができる。
【0058】
[積層体]
本発明の接着剤組成物は、各種材料からなるシート同士を、接着剤層を介して積層した積層体を形成する接着剤として有効である。特に、接着性や耐熱性に優れた接着剤となるので、ラミネート用に好適である。また、バイオマス度基準を達成したものであるため、積層するシートに植物由来原料からなる素材を用いれば、得られる積層体製品も、環境面を重視したものになる。従って、本発明の積層体は、植物由来原料からなるプラスチックフィルム、植物由来原料からなるポリオレフィンシーラント、植物由来原料からなる繊維布、植物由来原料からなる紙及び金属箔からなる群から選択されるいずれか2種類以上を、本発明の接着剤組成物からなる接着剤層を介して接着してなるものである。この結果、環境面を重視した製品であるにもかかわらず、後述するように、接着強度に優れることは勿論、耐熱性に優れたラミネートフィルムの提供が可能になる。
【実施例】
【0059】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳細に説明する。本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。なお、文中「部」又は「%」とあるのは、特に規定されていなければ質量基準である。また、使用原材料の記述において、植物由来の記載が無い場合は全て石油由来原料を表すとする。
【0060】
まず、以下の合成例A−1〜A−8に示したようにして、主剤となるポリエーテルウレタンポリオール(A)をそれぞれ得た。
(合成例A−1)
ポリプロピレンエーテルグリコール(水酸基価112mgKOH/g)を378.7部、植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール(バイオマス度96%、水酸基価112mgKOH/g)を781.3部、数平均分子量300のポリプロピレンエーテルトリオール1モルに、無水フタル酸1モルを開環付加させたジヒドロキシカルボン酸化合物(水酸基価250mgKOH/g、酸価125mgKOH/g)を51.9部、鎖伸長剤多官能アルコールとして、1,4ブタンジオールを26.1部と、2−メチル−1,3−プロパンジオールを26.1部、多官能イソシアネート化合物としてトリレンジイソシアネートを235.7部、及び酢酸エチル166.7部、を撹拌機付き合成容器に仕込み撹拌しながら、オクチル酸第一錫0.3部を添加して、90℃で5時間反応を行い、合成を完結した。上記したように、1,4ブタンジオール及び2−メチル−1,3−プロパンジオールの鎖伸長剤多官能アルコール全量中に、分枝アルキル側鎖を有するジオールである2−メチル−1,3−プロパンジオールを50モル%占める量で使用した。
【0061】
次に、酢酸エチルを333.3部加え、固形分濃度を75%に調整し、粘度3250mPa・s/25℃、水酸基価22.9mgKOH/g(溶液値)、酸価4.3mgKOH/g(樹脂分中)であり、植物由来原料含有率が50.0%(樹脂分中)であるポリエーテルウレタンポリオールA−1溶液を得た。
【0062】
(合成例A−2)
ポリプロピレンエーテルグリコール(水酸基価112mgKOH/g)を406.2部、植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール(バイオマス度96%、水酸基価112mgKOH/g)を781.2部、ジメチロールブタン酸を17.6部、鎖伸長剤多官能アルコールとして、1,4ブタンジオールを26.7部と、2−メチル−1,3−プロパンジオールを26.7部、多官能イソシアネート化合物としてトリレンジイソシアネートを241.3部、及び酢酸エチル166.7部、を撹拌機付き合成容器に仕込み撹拌しながら、オクチル酸第一錫0.3部を添加して、90℃で5時間反応を行い、合成を完結した。上記したように、1,4ブタンジオール及び2−メチル−1,3−プロパンジオールの鎖伸長剤多官能アルコール全量中に、分枝アルキル側鎖を有するジオールである2−メチル−1,3−プロパンジオールを50モル%占める量で使用した。
【0063】
次に、酢酸エチルを333.3部加え、固形分濃度を75%に調整し、粘度3020mPa・s/25℃、水酸基価22.4mgKOH/g(溶液値)、酸価4.4mgKOH/g(樹脂分中)であり、植物由来原料含有率が50.0%(樹脂分中)であるポリエーテルウレタンポリオールA−2溶液を得た。
【0064】
(合成例A−3)
ポリプロピレンエーテルグリコール(水酸基価112mgKOH/g)を378.7部、植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール(バイオマス度96%、水酸基価112mgKOH/g)を781.3部、数平均分子量300のポリプロピレンエーテルトリオール1モルに、無水フタル酸1モルを開環付加させたジヒドロキシカルボン酸化合物(水酸基価250mgKOH/g、酸価125mgKOH/g)を51.9部、鎖伸長剤多官能アルコールとして、1,4ブタンジオールを41.7部と、2−メチル−1,3−プロパンジオールを10.4部、多官能イソシアネート化合物としてトリレンジイソシアネートを235.7部、及び酢酸エチル166.7部、を撹拌機付き合成容器に仕込み撹拌しながら、オクチル酸第一錫0.3部を添加し、90℃で5時間反応を行い、合成を完結した。上記したように、1,ブタンジオール及び2−メチル−1,3−プロパンジオールの鎖伸長剤多官能アルコール全量中に、分枝アルキル側鎖を有するジオールである2−メチル−1,3−プロパンジオールを20モル%占める量で使用した。
【0065】
次に、酢酸エチルを333.3部加え、固形分濃度を75%に調整し、粘度3380mPa・s/25℃、水酸基価22.9mgKOH/g(溶液値)、酸価4.3mgKOH/g(樹脂分中)であり、植物由来原料含有率が50.0%(樹脂分中)であるポリエーテルウレタンポリオールA−3溶液を得た。
【0066】
(合成例A−4)
ポリプロピレンエーテルグリコール(水酸基価112mgKOH/g)を378.7部、植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール(バイオマス度96%、水酸基価112mgKOH/g)を781.3部、数平均分子量300のポリプロピレンエーテルトリオール1モルに、無水フタル酸1モルを開環付加させたジヒドロキシカルボン酸化合物(水酸基価250mgKOH/g、酸価125mgKOH/g)を51.9部、鎖伸長剤多官能アルコールとして、2−メチル−1,3−プロパンジオールを52.1部、多官能イソシアネート化合物としてトリレンジイソシアネートを235.7部、及び酢酸エチル166.7部、を撹拌機付き合成容器に仕込み撹拌しながら、オクチル酸第一錫0.3部を添加し、90℃で5時間反応を行い、合成を完結した。上記したように、鎖伸長剤多官能アルコールの全量(100モル%)に、分枝アルキル側鎖を有するジオールである2−メチル−1,3−プロパンジオールを使用した。
【0067】
次に、酢酸エチルを333.3部加え、固形分濃度を75%に調整し、粘度3080mPa・s/25℃、水酸基価22.9mgKOH/g(溶液値)、酸価4.3mgKOH/g(樹脂分中)であり、植物由来原料含有率が50.0%(樹脂分中)であるポリエーテルウレタンポリオールA−4溶液を得た。
【0068】
(合成例A−5)
ポリプロピレンエーテルグリコール(水酸基価112mgKOH/g)を1034.9部、植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール(バイオマス度96%、水酸基価112mgKOH/g)を125.1部、数平均分子量300のポリプロピレンエーテルトリオール1モルに、無水フタル酸1モルを開環付加させたジヒドロキシカルボン酸化合物(水酸基価250mgKOH/g、酸価125mgKOH/g)を51.9部、鎖伸長剤多官能アルコールとして、1,4ブタンジオールを26.1部と、2−メチル−1,3−プロパンジオールを26.1部、多官能イソシアネート化合物としてトリレンジイソシアネートを235.7部、及び酢酸エチル166.7部、を撹拌機付き合成容器に仕込み撹拌しながら、オクチル酸第一錫0.3部を添加し、90℃で5時間反応を行い、合成を完結した。上記したように、1,4ブタンジオール及び2−メチル−1,3−プロパンジオールの鎖伸長剤多官能アルコール全量中に、分枝アルキル側鎖を有するジオールである2−メチル−1,3−プロパンジオールを50モル%占める量で使用した。
【0069】
次に、酢酸エチル333.3部を加え、固形分濃度を75%に調整し、粘度3070mPa・s/25℃、水酸基価22.9mgKOH/g(溶液値中)、酸価4.3mgKOH/g(樹脂分中)であり、植物由来原料含有率が8.0%(樹脂分中)であるポリエーテルウレタンポリオールA−5溶液を得た。
【0070】
(合成例A−6)
ポリプロピレンエーテルグリコール(水酸基価112mgKOH/g)を19.4部、植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール(バイオマス度96%、水酸基価112mgKOH/g)を1140.6部、数平均分子量300のポリプロピレンエーテルトリオール1モルに、無水フタル酸1モルを開環付加させたジヒドロキシカルボン酸化合物(水酸基価250mgKOH/g、酸価125mgKOH/g)を51.9部、鎖伸長剤多官能アルコールとして、1,4ブタンジオールを26.1部と、2−メチル−1,3−プロパンジオールを26.1部、多官能イソシアネート化合物としてトリレンジイソシアネートを235.7部、及び酢酸エチル166.7部、を撹拌機付き合成容器に仕込み撹拌しながら、オクチル酸第一錫0.3部を添加し、90℃で5時間反応を行い、合成を完結した。上記したように、1,4ブタンジオール及び2−メチル−1,3−プロパンジオールの鎖伸長剤多官能アルコール全量中に、分枝アルキル側鎖を有するジオールである2−メチル−1,3−プロパンジオールを50モル%占める量で使用した。
【0071】
次に、酢酸エチルを333.3部加え、固形分濃度を75%に調整し、粘度3590mPa・s/25℃、水酸基価22.9mgKOH/g(溶液値)、酸価4.3mgKOH/g(樹脂分中)であり、植物由来原料含有率が73.0%(樹脂分中)であるポリエーテルウレタンポリオールA−6溶液を得た。
【0072】
(合成例A−7)
ポリプロピレンエーテルグリコール(水酸基価112mgKOH/g)を378.7部、植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール(バイオマス度96%、水酸基価112mgKOH/g)を781.3部、数平均分子量300のポリプロピレンエーテルトリオール1モルに、無水フタル酸1モルを開環付加させたジヒドロキシカルボン酸化合物(水酸基価250mgKOH/g、酸価125mgKOH/g)を51.9部、鎖伸長剤多官能アルコールとして、1,4ブタンジオールを52.1部、多官能イソシアネート化合物としてトリレンジイソシアネートを235.7部、及び酢酸エチル166.7部、を撹拌機付き合成容器に仕込み撹拌しながら、オクチル酸第一錫0.3部を添加し、90℃で5時間反応を行い、合成を完結した。上記したように、鎖伸長剤多官能アルコールの全量が、分枝アルキル側鎖を有するジオールではない1,4ブタンジオールであり、分枝アルキル側鎖を有するジオールは使用していない(0モル%)。
【0073】
次に、酢酸エチルを333.3部加え、固形分濃度を75%に調整し、粘度3420mPa・s/25℃、水酸基価22.9mgKOH/g(溶液値)、酸価4.3mgKOH/g(樹脂分中)であり、植物由来原料含有率が50.0%(樹脂分中)であるポリエーテルウレタンポリオールA−7溶液を得た。この溶液は、鎖伸長剤多官能アルコールとして分枝アルキル側鎖を有するジオールが使用されていない。
【0074】
(合成例A−8)
ポリプロピレンエーテルグリコール(水酸基価112mgKOH/g)を420.3部、植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール(バイオマス度96%、水酸基価112mgKOH/g)を781.3部、鎖伸長剤多官能アルコールとして、1,4ブタンジオールを27.0部と、2−メチル−1,3−プロパンジオールを27.0部、多官能イソシアネート化合物としてトリレンジイソシアネートを244.2部、及び酢酸エチル166.7部、を撹拌機付き合成容器に仕込み撹拌しながら、オクチル酸第一錫0.3部を添加し、90℃で5時間反応を行い、合成を完結した。上記したように、1,4ブタンジオール及び2−メチル−1,3−プロパンジオールの鎖伸長剤多官能アルコール全量中に、分枝アルキル側鎖を有するジオールである2−メチル−1,3−プロパンジオールを50モル%占める量で使用した。
【0075】
次に、酢酸エチルを333.3部加え、固形分濃度を75%に調整し、粘度3220mPa・s/25℃、水酸基価22.2mgKOH/g(溶液値)、酸価0mgKOH/g(樹脂分中)であり、植物由来原料含有率が50.0%(樹脂分中)であるポリエーテルウレタンポリオールA−8溶液を得た。このA−8溶液では、原料にジヒドロキシカルボン酸化合物が使用されていない。
【0076】
次に、以下の合成例H−1〜H−5に示すようにして、硬化剤である植物由来成分を有するポリエーテルウレタンポリイソシアネート(H)をそれぞれ得た。
(合成例H−1)
ポリプロピレンエーテルグリコール(水酸基価112mgKOH/g)を727.4部、植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール(バイオマス度96%、水酸基価112mgKOH/g)を312.5部、鎖伸長剤多官能アルコールとしてトリメチロールプロパンを18.6部、多官能イソシアネート化合物として、トリレンジイソシアネートを273.1部と、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを168.2部、及び酢酸エチル71.4部、を撹拌機付き合成容器に仕込み撹拌しながら、オクチル酸第一錫0.3部を添加し、90℃で5時間反応を行い、合成を完結した。
【0077】
次に、酢酸エチルを428.6部加え、固形分濃度を75%に調整し、粘度1250mPa・s/25℃、NCO含有率4.19%(溶液値)、酸価0mgKOH/g(樹脂分中)であり、植物由来原料含有率が20.0%(樹脂分中)であるポリエーテルウレタンポリイソシアネートH−1溶液を得た。
【0078】
(合成例H−2)
ポリプロピレンエーテルグリコール(水酸基価112mgKOH/g)を258.6部、植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール(バイオマス度96%、水酸基価112mgKOH/g)を781.3部、鎖伸長剤多官能アルコールとしてトリメチロールプロパンを18.6部、多官能イソシアネート化合物として、トリレンジイソシアネートを273.1部と、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを168.2部、及び酢酸エチル71.4部、を撹拌機付き合成容器に仕込み撹拌しながら、オクチル酸第一錫0.3部を添加し、90℃で5時間反応を行い、合成を完結した。
【0079】
次に、酢酸エチルを428.6部加え、固形分濃度を75%に調整し、粘度1380mPa・s/25℃、NCO含有率4.19%(溶液値)、酸価0mgKOH/g(樹脂分中)であり、植物由来原料含有率が50.0%(樹脂分中)であるポリエーテルウレタンポリイソシアネートH−2溶液を得た。
【0080】
(合成例H−3)
ポリプロピレンエーテルグリコール(水酸基価112mgKOH/g)を24.3部、植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール(バイオマス度96%、水酸基価112mgKOH/g)を1015.6部、鎖伸長剤多官能アルコールとしてトリメチロールプロパンを18.6部、多官能イソシアネート化合物として、トリレンジイソシアネートを273.1部と、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを168.2部、及び酢酸エチル71.4部、を撹拌機付き合成容器に仕込み撹拌しながら、オクチル酸第一錫0.3部を添加し、90℃で5時間反応を行い、合成を完結した。
【0081】
次に、酢酸エチルを428.6部加え、固形分濃度を75%に調整し、粘度1420mPa・s/25℃、NCO含有率4.19%(溶液値)、酸価0mgKOH/g(樹脂分中)であり、植物由来原料含有率65.0%(樹脂分中)であるポリエーテルウレタンポリイソシアネートH−3溶液を得た。
【0082】
(合成例H−4)
ポリプロピレンエーテルグリコール(水酸基価112mgKOH/g)を1039.9部、鎖伸長剤多官能アルコールとしてトリメチロールプロパンを18.6部、多官能イソシアネート化合物として、トリレンジイソシアネートを273.1部と、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを168.2部、及び酢酸エチル71.4部、を撹拌機付き合成容器に仕込み撹拌しながら、オクチル酸第一錫0.3部を添加し、90℃で5時間反応を行い、合成を完結した。
【0083】
次に、酢酸エチルを428.6部加え、固形分濃度を75%に調整し、粘度1040mPa・s/25℃、NCO含有率4.19%(溶液値)、酸価0mgKOH/g(樹脂分中)であり、植物由来原料含有率0%(樹脂分中)であるポリエーテルウレタンポリイソシアネートH−4溶液を得た。
【0084】
(合成例H−5)
ポリプロピレンエーテルグリコール(水酸基価112mgKOH/g)を175.8部、植物由来のポリテトラメチレンエーテルグリコール(バイオマス度96%、水酸基価112mgKOH/g)を781.5部、数平均分子量300のポリプロピレンエーテルトリオール1モルに、無水フタル酸1モルを開環付加させたジヒドロキシカルボン酸化合物(水酸基価250mgKOH/g、酸価125mgKOH/g)を42.8部、鎖伸長剤多官能アルコールとして、2−メチル−1,3−プロパンジオールを8.6部と、トリメチロールプロパンを17.1部トリレンジイソシアネート293.3部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート180.6部及び酢酸エチル71.4部を撹拌機付き合成容器に仕込み撹拌しながら、オクチル酸第一錫0.3部を添加し、90℃で5時間反応を行い、合成を完結した。上記したように、トリメチロールプロパン及び2−メチル−1,3−プロパンジオールの鎖伸長剤多官能アルコール全量中に、分枝アルキル側鎖を有するジオールである2−メチル−1,3−プロパンジオールを43モル%占める量で使用した。
【0085】
次に、酢酸エチルを428.6部加え、固形分濃度を75%に調整し、粘度1430mPa・s/25℃、NCO含有率4.50%(溶液値)、酸価3.6mgKOH/g(樹脂分中)であり、植物由来原料含有率が50.0%(樹脂分中)であるポリエーテルウレタンポリイソシアネートH−5溶液を得た。
【0086】
(実施例及び比較例)
合成例A−1〜−8及び合成例H−1〜−5で得たそれぞれの溶液を表1−1及び1−2に示した組み合わせで用い、実施例及び比較例の二液硬化型の接着剤組成物を調製した。具体的には、主剤となる植物由来原料含有ポリエーテルウレタンポリオール溶液(A)として、合成例A−1〜−8で得た溶液(溶液A)を用い、硬化剤であるポリエーテルウレタンポリイソシアネート溶液(H)として、合成例H−1〜−5で得た溶液(溶液H)を用い、(溶液A)100部に対し、(溶液H)100部の比率でそれぞれ配合後、酢酸エチルで固形分30%に希釈混合を行い、塗布用の、実施例及び比較例の接着剤組成物をそれぞれ調製した。そして、調製した、実施例1〜7、比較例1〜4の各接着剤組成物について、下記の方法で、(1)バイオマス成分含有量、(2)接着強度試験、(3)耐熱試験を行い、評価した。表1−1及び1−2に、得られた評価結果と、各主剤/硬化剤のNCO/OH比を示した。
【0087】
(1)バイオマス成分含有量
主剤と硬化剤を混合した接着剤組成物を構成している配合樹脂分中のバイオマス含量(質量%)を、使用した原料から算出して求め、以下の評価基準にて評価した。
・バイオマス成分含量が10%以上60%以下を○判定。
・バイオマス成分含量が10%未満又は60%超を×判定。
【0088】
(2)接着強度試験
配合の異なる実施例及び比較例の各接着剤組成物を、それぞれ塗布量が固形樹脂分として2.5g/m
2となるように、延伸バイオマスポリプロピレンフィルム(コロナ処理済25μm)上に塗布した。次いで、ドライヤーを用いて希釈溶剤を乾燥させ、アルミ蒸着未延伸バイオマスポリプロピレンフィルム(コロナ処理済30μm)と重ねながら、ニップロール(ニップ温度40℃、ロール圧:3MPa)を通してラミネートしてラミネートフィルムを作製した。そして、ラミネート直後でエージング無しのラミネートフィルムと、温度40℃で2日間にて完全エージングしたラミネートフィルムを得、これらを接着強度の評価に用いた。
【0089】
上記で得た「ラミネート直後」と「40℃2日エージング後」の2種類のラミネートフィルムから、15mm幅の試験片をそれぞれ切り出して評価用サンプルとした。そして、これらの評価用サンプルについて、引張試験機(島津製作所社製、型名:EZ−S)を使用して、25℃、65%RHの環境下、引張速度300mm/分で試験を行い、T形剥離強度(N/15mm)を測定し、以下の評価基準にて、接着強度の評価を行った。
【0090】
〔ラミネート直後の接着強度の判定基準〕
・0.5N/15mm以上の接着強度を○と判定。
・0.5N/15mm未満の接着強度を×と判定。
【0091】
〔40℃2日エージング後の接着強度の判定基準〕
・1.5N/15mm以上の接着強度を○と判定。
・1.5N/15mm未満の接着強度を×と判定。
【0092】
(3)耐熱試験(ボイル滅菌試験)
配合の異なる実施例及び比較例の各接着剤組成物を、それぞれ、塗布量が固形樹脂分として3.0g/m
2となるように、延伸バイオマスポリエチレンテレフタレートフィルム(コロナ処理済12μm)上に塗布した。次いで、ドライヤーを用いて、希釈溶剤を乾燥させ、未延伸バイオマスポリプロピレンシーラントフィルム(コロナ処理済60μm)と重ねながら、ニップロール(ニップ温度40℃、ロール圧0.3MPa)を通した後、温度40℃で2日間エージングを行い、接着剤層の構成が異なるラミネートフィルムをそれぞれ作製した。
【0093】
次に、得られた各ラミネートフィルムを用い、下記のようにして耐熱試験用の内容物を充填した試料袋をそれぞれ作製した。内辺が8cm×12.5cmの袋の大きさになるように、未延伸ポリプロピレンシーラントフィルム面側同士を向い合わせ、1cm幅のシールバーにて、温度200℃、圧力0.1MPa、圧着1秒のシール条件で、三方シール製袋後、充填口から5%酢酸水溶液を100g充填した。その後、上記したと同条件で充填口をシールし、耐熱試験用の内容物充填試料袋を10袋ずつ作製した。
【0094】
次いで、滅菌試験機(トミー精工製、形名:SR−240)を用い、上記で得た内容物充填試料袋をそれぞれ、98℃で30分、ボイル滅菌処理して、耐熱性の試験を行った。そして、上記耐熱性試験後に、試料袋のラミネートフィルムの剥離による浮きの状況を目視で観察し、以下の評価基準にて耐熱性を評価した。
【0095】
<評価基準>
・ボイル滅菌処理後のテスト品10袋中、10袋全てが浮き無しの場合を○と判定。
・ボイル滅菌処理後のテスト品10袋中、1袋以上浮き有りの場合を×と判定。
【0096】
【0097】