(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-29669(P2018-29669A)
(43)【公開日】2018年3月1日
(54)【発明の名称】クリップ
(51)【国際特許分類】
A47C 31/02 20060101AFI20180202BHJP
A47C 7/00 20060101ALI20180202BHJP
【FI】
A47C31/02 B
A47C7/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-162219(P2016-162219)
(22)【出願日】2016年8月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】松本 真人
(57)【要約】
【課題】従来のクリップは、発泡型内に設けた係着部に該クリップを係合させた状態で、座席部形成側とサイド部形成側とに異なる発泡樹脂原料を別々に供給して発泡させた場合、これら発泡原料が該クリップの上方で相互に混じり合ってしまう課題があった。
【解決手段】複数の発泡樹脂原料を発泡させて異硬度の発泡クッション体10を製造する発泡型20に設けた係着部34に係合する係着片30と、係着片30の一端に交差して延出するよう一体的に設けられ、発泡成形時に発泡クッション体10に埋設される基板32とからなり、発泡クッション体10をシート表皮40で覆う際に、シート表皮40に設けた吊り片42を係着片30により係止させるようにしたクリップ28であって、基板32から係着片30と反対方向へ延出して、発泡型20での発泡時に複数の発泡樹脂原料が混じり合うのを防止することができる仕切り板44を該基板32に一体的に設けた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発泡樹脂原料を発泡させて異硬度の発泡クッション体を製造する発泡型のキャビティに設けた係着部に係合する係着片と、前記係着片の一端に交差して延出するよう一体的に設けられ、前記発泡成形時に前記発泡クッション体に埋設される基板とからなり、前記発泡クッション体をシート表皮で覆う際に、該シート表皮に設けた吊り片を前記係着片により係止させるようにしたクリップにおいて、
前記基板から前記係着片とは反対方向へ延出する仕切り板を該基板に一体的に設けた
ことを特徴とするクリップ。
【請求項2】
前記クリップの係着片を前記発泡型に設けた係着部に係合させた際に、前記クリップにおける仕切り板の頂部が、該発泡型に設置した仕切り片と同じ高さか、または該仕切り片よりも高い寸法に設定されている請求項1記載のクリップ。
【請求項3】
前記仕切り板は前記基板に複数設けられている請求項1または2記載のクリップ。
【請求項4】
前記仕切り板の解放端には、前記発泡クッション体から抜け出すのを困難にする抜け止め部が設けられている請求項1〜3の何れか一項に記載のクリップ。
【請求項5】
前記仕切り板の側面には、前記発泡クッション体からの抜け出しを困難にする鋸歯部が設けられている請求項1〜4の何れか一項に記載のクリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の異なる発泡樹脂原料を発泡型内で発泡硬化させて部位別に硬度の異なる発泡クッション体を製造する際に埋設されるクリップに関し、更に詳しくは、該クリップに設けた仕切り板によって前記複数の発泡樹脂原料が発泡型内で相互に混じり合うのを防止することができるクリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両用座席は、一般にウレタン樹脂等の発泡クッション体からなるシートパッドと、該シートパッドを覆うシート表皮とから構成される。前記シートパッドは、一般に一種類の発泡樹脂原料から一体的に製造される場合が多い。しかし、乗員の座り心地やホールド感を高めるために、
図10〜
図12に示すシートパッド10(発泡クッション体)において、座面部12の硬度と両側のサイド部14の硬度とを異ならせる場合がある。すなわち、前記座面部12の硬度は低く設定すると共に、前記サイド部14の硬度は高く設定することによって、乗員の座り心地の快適性と、両サイドから乗員をホールドする感触の向上とを両立させたものである。このように前記座面部12とサイド部14との硬度を異ならせるには、前記シートパッド10を発泡型で製造する際に、該型内の各対応部位に異なる発泡樹脂原料を供給して、得られた発泡クッション体の部位別に異なる硬度を発現させるようにしている。
【0003】
図13〜
図15は、異なる発泡樹脂原料でシートパッド10を製造する工程を示すものであって、発泡型20は下型16と上型18とから構成されている。前記下型16のキャビティ底面22には、所要間隔を置いて複数の仕切り片24が突設されて、中央の座面部形成空間Zと左右のサイド部形成空間Sとを隔てている。そして
図13に示す如く、前記座面部形成空間Zと左右のサイド部形成空間Sとの夫々に、発泡固化後に異なる硬度を発現する2種類の発泡樹脂原料を対応的に供給する。この発泡樹脂原料としては、例えばウレタン樹脂が好適に使用され、該原料中のポリマーポリオールや発泡剤の混合比率を変えたものが夫々使用される。なお、前記仕切り片24は、前記座面部形成空間Zと左右のサイド部形成空間Sとを区画して、各対応の発泡樹脂原料を供給すべき領域を確保するためのものである。従って、前記発泡型20から脱型した後の前記シートパッド10には、
図10〜
図12に示すように、前記仕切り片24の抜き跡として所要深さの長溝26が、前記座面部12とサイド部14との境界に形成されている。つまり、仕切り片24は、前記発泡型20における前記下型16のキャビティ底面22に突設されていて、異なる発泡樹脂原料が混じり合うのを防止する隔壁の役割を果たしている。
【0004】
そして前記長溝26には、前記シートパッド10にシート表皮40(
図20参照)を被せて車両用座席を完成させる工程で使用されるホグリング用ワイヤ(図示せず)が埋め込まれ、該シート表皮40の適所に設けた吊り片42(
図20参照)を前記ホグリング用ワイヤに係着することにより、該シートパッド10をシート表皮40で確実に覆うことを可能にしている。しかし近年は、前記ホグリング用ワイヤの代替品として、
図16に示す樹脂クリップ28が使用されるようになっている。この樹脂クリップ28は、
図16および
図17に示すように、二股に分かれた係着片30と、前記係着片30の基部となる一端に交差して延出する基板32とから基本的に構成されている。また
図14に示すように、前記下型16のキャビティ底面22であって、かつ前記仕切り片24の一部を切り欠いた部位には、前記樹脂クリップ28の係着片30と弾力的に係合して該樹脂クリップ28を保持する係着部34が設けられている。すなわち、
図18に示す如く、前記樹脂クリップ28の係着片30を前記下型16に設けた前記係着部34に係合させることにより、該樹脂クリップ28は、
図17に示す如く前記基板32を上方(図において)に向けた姿勢で、該下型16のキャビティ底面22に安定的に保持される。
【0005】
この状態で
図13に示すように、前記下型16の座面部形成空間Zとサイド部形成空間Sとの夫々に前記異なる発泡樹脂原料を個別に供給し、次いで
図15に示す如く、前記上型18により該下型16を閉成して該発泡樹脂原料を発泡固化させることで、前記発泡型20内に前記シートパッド10を成形する。そして、所定のキュアリングタイムを経た後に前記発泡型20を開放して前記シートパッド10を脱型すると、
図20に示すように、該シートパッド10の前記長溝26の適所に位置して前記樹脂クリップ28の基板32が埋設されている。また、前記樹脂クリップ28の係着片30は、
図19に示すように、前記長溝26の内部で上方(図において)を指向している。このように構成した前記シートパッド10の表面に前記シート表皮40を被せるには、
図20に示すように、シート表皮40で該シートパッド10を被覆した後、該シート表皮40の適所に設けた吊り片42を各対応の前記樹脂クリップ28の係着片30に挿し込んで係合させれば良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−43050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
先に述べたように、前記樹脂クリップ28を前記下型16に係合保持する前記係着部34は、前記仕切り片24の一部を切り欠いた部位に設けられている。このため、前述した異なる発泡樹脂原料を前記座面部形成空間Zとサイド部形成空間Sとの間で発泡させた場合に、前記仕切り片24により仕切られた領域では両発泡樹脂原料が発泡しても相互に混じり合うのを防止することができる。しかし、前記仕切り片24の切り欠き中に位置する前記樹脂クリップ28の高さは、前記仕切り片24の高さよりも低いので、前記両発泡樹脂原料の発泡時に相互に混じり合ってしまう。すなわち、例えば
図17に示す場合、前記座面部形成空間Zに供給した発泡樹脂原料が前記樹脂クリップ28の基板32の上方を越えて前記サイド部形成空間Sの側に侵入し、該サイド部形成空間Sに供給した異なる発泡樹脂原料と混じり合ってしまう弊害を生ずる。
【0008】
本発明は、前述した従来技術に係る樹脂クリップに内在している課題を解決するべく提案されたものであって、樹脂クリップの基板に設けられて、該基板から係着片とは反対方向に延出する仕切り板を備えることにより、発泡型の内部で異なる発泡樹脂原料を発泡させても、これら異なる原料は該仕切り板により仕切られて相互に混じり合うのを防止することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため請求項1に記載の発明は、複数の発泡樹脂原料を発泡させて異硬度の発泡クッション体を製造する発泡型のキャビティに設けた係着部に係合する係着片と、前記係着片の一端に交差して延出するよう一体的に設けられ、前記発泡成形時に前記発泡クッション体に埋設される基板とからなり、前記発泡クッション体をシート表皮で覆う際に、該シート表皮に設けた吊り片を前記係着片により係止させるようにしたクリップにおいて、
前記基板から前記係着片とは反対方向へ延出する仕切り板を該基板に一体的に設けたことを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、クリップの基板に係着片と反対方向に延出させた仕切り板を設けたことにより、発泡型内で異なる発泡樹脂原料を発泡させた際に、該仕切り板が所謂堰として機能するために、これら原料が相互に混じり合うのを防止することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、前記クリップの係着片を前記発泡型に設けた係着部に係合させた際に、前記クリップにおける仕切り板の頂部が、該発泡型に設置した仕切り片と同じ高さか、または該仕切り片よりも高い寸法に設定されていることを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、クリップを発泡型に設けた係着部に係合させた際に、該クリップの全高が該発泡型に設置されて隣接する仕切り片の高さより低くなることはないので、異なる発泡合成樹脂が相互に混じり合うのを防止することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、前記仕切り板は前記基板に複数設けられていることを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、仕切り板が複数存在することで、発泡成形後の発泡クッション体(シートパッド)からクリップが抜け落ちるのを有効に防止するアンカー効果が大きくなる。また、異なる発泡樹脂原料が混じり合う境界域を、該複数の仕切り板の存在により小さくすることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、前記仕切り板の解放端には、前記発泡クッション体から抜け出すのを困難にする抜け止め部が設けられていることを要旨とする。また、請求項5に記載の発明では、前記仕切り板の側面には、前記発泡クッション体からの抜け出しを困難にする鋸歯部が設けられていることを要旨とする。
請求項4および5に係る発明によれば、クリップが発泡クッション体から抜け出るのを防止するアンカー効果が大きくなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、クリップの基板に設けられて、該基板から係着片とは反対方向に延出する仕切り板の存在により、発泡型の内部で異なる発泡樹脂原料を発泡させても、これら異なる原料は該仕切り板により仕切られて相互に混じり合うのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施例に係る樹脂クリップの斜視図である。
【
図2】
図1に示す樹脂クリップの一部がシートパッドに埋設されている状態を示す断面図である。
【
図3】
図2に示す樹脂クリップとシートパッドとの関係を示す断面図であって、該樹脂クリップが埋設されている部分は拡大して示してある。
【
図4】樹脂クリップに2つの仕切り板を設けた場合であって、これら2つの仕切り板が高低差を有する状態を示す断面図である。
【
図5】樹脂クリップに2枚の仕切り板を傾斜させて設けた断面図である。
【
図6】(1)は仕切り板の開放端をT字型にした変形例、(2)は該開放端をL字状の鍵形にした変形例、(3)は仕切り板の側面を鋸歯状に形成した変形例の概略説明図である。
【
図7】クリップを発泡型の係着部に係合させた際に、該クリップの仕切り板の頂部が隣接する仕切り片の高さと同じになっている状態を説明する斜視図である。
【
図8】隣接し合う複数の樹脂クリップを、その隣接部位で切り取り可能に連結した斜視図である。
【
図9】ロボットハンドの治具によって、樹脂クリップの仕切り片を把持可能な状態を示す説明図である。
【
図10】発泡クッション体であるシートパッドの斜視図であって、中央の座面部と左右のサイド部とは異なる硬度に設定されている。
【
図11】
図10に示すシートパッドの平面図であって、座面部とサイド部との間に長溝が形成されている。
【
図12】(1)は
図11に示すシートパッドのA−A線断面図、(2)は(1)に示す円形部Cを拡大した部分断面図である。
【
図13】
図10に示すシートパッドを成形する発泡型の斜視図であって、上型を下型に対して開放させた状態を示している。
【
図14】
図13に示す発泡型の断面図であって、キャビティ底面に設けられる係着部を拡大図示してある。
【
図15】
図14に示す発泡型の上型を下型に対して閉じた状態を示す断面図である。
【
図16】従来技術に係る樹脂クリップの斜視図であって、係着片を上にした状態になっている。
【
図17】
図16に示す樹脂クリップを、
図14に示す係着部に係合させた状態を示す断面図である。
【
図18】
図16に示す樹脂クリップを、
図14に示す係着部に係合させる直前の状態を示す概略斜視図である。
【
図19】
図10に示すシートパッドの長溝に樹脂クリップが存在し、該樹脂クリップの係着片が上方を向いている状態を示す斜視図である。
【
図20】シートパッドに一部が埋設された樹脂クリップの係着片が、シート表皮に設けた吊り片と係合している状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係るクリップについて、好適な実施例を挙げて図面を参照しながら説明する。なお、樹脂クリップの基本構成およびその用途については、
図10〜
図20に関して説明した通りであるので、既述の構成部材については同じ符号を付する共に、当該部材の説明は省略する。
【0016】
図1は、実施例に係る樹脂クリップ28を示すものであって、該樹脂クリップ28の前記基板32で、かつ前記係着片30が配設される側と反対側には、該基板32から交差方向(図示例では基板32に対し垂直)へ所要長さだけ延出する仕切り板44が設けられている。この仕切り板44が前記基板32から延出する長さは、
図2に示すように、前記樹脂クリップ28の一部をシートパッド10に埋設した際に、前記発泡型20の内部で発泡した異なる発泡樹脂原料が相互に混じり合うのを防止することができる寸法に設定してある。すなわち、前記樹脂クリップ28の反対側に所要長さだけ延出する仕切り板44を設けたことで、
図7に示すように、前記キャビティ底面22に設けた係着部34に樹脂クリップ28の係着片30を係合させた際に、該樹脂クリップ28における仕切り板44の頂部44aの高さが、前記下型16のキャビティ底面22に設置されて隣接する前記仕切り片24と同じ高さになるか、または該仕切り片24よりも大きくなる寸法に設定されている。
【0017】
このため、
図13において、前記発泡型20の座面部形成空間Zとサイド部形成空間Sに異なる発泡樹脂原料を対応的に供給した際に、前記仕切り板44の存在により両発泡樹脂原料が混じり合うのを防止することができる。その結果として、
図3に示すように、前記シートパッド10に一部が埋設された樹脂クリップ28の仕切り板44は、前記座面部12とサイド部14とを分離することが可能になっている。なお、前記仕切り板44は、前記シートパッド10のウレタン樹脂等の発泡樹脂部に埋まっているために、従来の樹脂クリップよりも該発泡樹脂部に当接する面積が大きく、従って実施例に係る樹脂クリップ28を前記シートパッド10から抜け難くするアンカー効果が向上している。
【0018】
前記樹脂クリップ28の仕切り板44の形状については、種々の形態が考えられる。例えば、前記基板32の反対側に延出する仕切り板44を複数枚設けてもよく、
図4に示す如く2枚設けたときは、両仕切り板44,44の高さを異ならせてもよい。すなわち、前記発泡型20の座面部形成空間Zとサイド部形成空間Sに対応的に供給された異なる発泡樹脂原料に発泡速度の相違があったり、該発泡型20の座面部形成空間Zとサイド部形成空間Sの深さが異なったりする場合に、各発泡樹脂原料の発泡速度に見合った高さに設定をすることができる。このように、前記シートパッド10の外方側に位置する仕切り板44の高さを大きく設定し、また内方側に位置する仕切り板44は低く設定することによって、各発泡樹脂原料の発泡速度や前記発泡型20の形状に合わせた向きで、前記下型16のキャビティ底面22にセットすることが可能である。また、
図5に示すように、2枚の仕切り板44,44を相互に離間するよう傾斜させて、前記アンカー効果や前記異なる発泡樹脂原料の混じり合う境界域を小さくする効果をより高めるようにしてもよい。その際、2枚の仕切り板44の一方の高さは、前記下型16のキャビティ底面22に設置されて隣接する前記仕切り片24と同じ高さにするか、または該仕切り片24よりも大きくなる寸法に設定することが好ましい。更に、前記仕切り板44を2枚設けた場合は、
図13に示す発泡型20の座面部形成空間Zおよびサイド部形成空間Sに異なる発泡樹脂原料を対応的に供給した際に、両発泡樹脂原料は夫々の仕切り板44を乗り越えてから、該仕切り板44の中間付近で混ざるため、両発泡樹脂原料が混じり合う境界域をより小さくすることが可能になる。従って、前記発泡クッション体10における座面部12とサイド部14とを、しっかり分離することが可能となる。
【0019】
更に
図1において、前記仕切り板44の開放端、すなわち頂部を該仕切り板44の基部よりも幅の大きい幅広部44aとして抜け止め部にすれば、1枚であっても充分な前記アンカー効果や前記異なる発泡樹脂原料が混じり合う境界域を小さくする効果が得られる。なお、前記幅広部44aについては、
図6(1)に示すように、断面においてT字形になるよう左右に若干延出させてもよい。このように前記幅広部44aをT字形にした場合は、図示しないがT字形に左右へ延出する幅広部44aの所定個所に通孔を開設してもよい。また、前記幅広部44aの所要個所に通孔(図示せず)を開設しておけば、前記樹脂クリップ28の仕切り板44が発泡樹脂原料で取り囲まれた場合に、この発泡樹脂原料の一部が前記通孔に侵入して固化するため、前記アンカー効果を一層高めることができる。また、
図6(2)に示すように、1方向だけへ突出するL字形の鈎状部としてもよい。更に、
図6(3)に示す如く、前記仕切り板44の両面または片方に鋸歯部46を形成することで前記アンカー効果を向上させてもよい。この外にも、前記アンカー効果や前記異なる発泡樹脂原料が混じり合う境界域を小さくする効果が得られれば、前記仕切り板44の開放端の形状は、T字形やL字形以外にもU字形やV字形等の各種形態を適宜選択することができる。また、
図8に示すように、複数(図示例では2つ)の樹脂クリップ28を、切り取り可能に横方向に連接するようにしてもよい。
【0020】
更に、樹脂クリップ28をロボットハンドにより扱って作業の全自動化または半自動化を行う場合、従来の樹脂クリップ28に本発明では採用されている仕切り板44は存在しないので、ロボットハンドに例えば真空吸着部を設ける必要があった。しかし本実施例では、樹脂クリップ28に前述した仕切り板44が設けてあるから、
図9に示すように、前記ロボットハンドに該仕切り板44の形状に合わせた治具48を設けることで、該ロボットハンドの開閉による該仕切り板44の把持-開放が容易になる利点がある。
【符号の説明】
【0021】
10 シートパッド(発泡クッション体),16 下型,20 発泡型,
22 キャビティ底面(キャビティ),24 仕切り片,
28 樹脂クリップ(クリップ),30 係着片,32 基板,34 係着部,
40 シート表皮,42 吊り片,44 仕切り板,
44a,幅広部、頂部(抜け止め部), 46 鋸歯部(抜け止め部)