特開2018-30107(P2018-30107A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2018-30107触覚フィードバック・システム、電子機器および触覚フィードバックの生成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-30107(P2018-30107A)
(43)【公開日】2018年3月1日
(54)【発明の名称】触覚フィードバック・システム、電子機器および触覚フィードバックの生成方法
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/04 20060101AFI20180202BHJP
   H02K 33/02 20060101ALI20180202BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20180202BHJP
【FI】
   B06B1/04 S
   H02K33/02 A
   G06F3/01 560
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-165198(P2016-165198)
(22)【出願日】2016年8月26日
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106699
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 弘道
(72)【発明者】
【氏名】山▲ざき▼ 充弘
(72)【発明者】
【氏名】山村 一則
(72)【発明者】
【氏名】中村 聡伸
(72)【発明者】
【氏名】長嶋 厚
【テーマコード(参考)】
5D107
5E555
5H633
【Fターム(参考)】
5D107BB08
5D107CC09
5D107CD01
5D107CD08
5D107DD01
5D107DD03
5D107DD08
5D107DD09
5D107DD12
5D107DE01
5D107DE02
5E555AA08
5E555BA04
5E555BB04
5E555BC04
5E555DA24
5E555DD06
5E555DD08
5E555FA00
5H633BB08
5H633GG02
5H633GG06
5H633GG08
5H633GG17
5H633GG18
5H633GG21
5H633HH03
5H633HH05
5H633HH13
5H633HH16
5H633JA02
5H633JA10
(57)【要約】
【課題】複数の知覚をもたらす触覚フィードバック・システムを提供する。
【解決手段】アクチュエータ100は、コイルとマグネットの協働で可動子が振動するタイプで、振動体に定常的な振動を付与する振動モードおよび大きな一過性の振動を付与する衝撃モードで動作することができる。駆動回路219には、直流電力源201の出力電圧を、バイパス・スイッチ211を経由して第1の直流電圧として供給し、昇圧器215で昇圧して第1の直流電圧より高い第2の直流電圧として供給する。駆動回路219は、コイルに、振動モードのときに第1の直流電圧から生成した第1の駆動電圧を印加し、衝撃モードのときに第2の直流電圧から生成した第2の駆動電圧を第1の駆動電圧の印加時間より短い時間だけ印加する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のハプティク・コマンドと第2のハプティク・コマンドを生成するシステムと、
駆動電圧の大きさに応じて振動の大きさが変化するハプティク・アクチュエータと、
前記ハプティク・アクチュエータに、前記第1のハプティク・コマンドに応じて第1の駆動電圧を印加し、第2のハプティク・コマンドに応じて前記第1の駆動電圧より大きい第2の駆動電圧を、前記第1の駆動電圧の印加時間より短い時間印加する駆動回路と
を有する触覚フィードバック・システム。
【請求項2】
前記ハプティク・アクチュエータが、コイルとマグネットの協働で往復直線動作をする可動子を備えている請求項1に記載の触覚フィードバック・システム。
【請求項3】
前記第2の駆動電圧の周波数が前記第1の駆動電圧の周波数より高い請求項2に記載の触覚フィードバック・システム。
【請求項4】
前記駆動回路は、前記第2の駆動電圧に続いて制動電圧を印加して前記可動子の自由振動を抑制する請求項3に記載の触覚フィードバック・システム。
【請求項5】
前記ハプティク・アクチュエータがケースに収納され、前記第2の駆動電圧の印加に応じて、前記可動子の一部が前記ケースに衝突する請求項2に記載の触覚フィードバック・システム。
【請求項6】
前記ハプティク・アクチュエータが、コイルとマグネットの協働で回転運動をする偏心錘を備えている請求項1に記載の触覚フィードバック・システム。
【請求項7】
前記ハプティク・アクチュエータが、コイルとマグネットの協働で回動運動をする偏心錘を備えている請求項1に記載の触覚フィードバック・システム。
【請求項8】
振動体を含む電子機器であって、
直流電力源と、
振動モードおよび衝撃モードで動作して前記振動体に振動を付与することが可能なハプティク・アクチュエータと、
システム・デバイスに電力を供給する直流電力源と、
前記直流電力源の出力電圧を第1の直流電圧として出力する第1の電源回路と、
前記出力電圧を前記第1の直流電圧よりも高い第2の直流電圧まで昇圧する昇圧器を含む第2の電源回路と、
前記ハプティク・アクチュエータに、前記振動モードのときに前記第1の直流電圧から生成した第1の駆動電圧を印加し、前記衝撃モードのときに前記第2の直流電圧から生成した第2の駆動電圧を印加する駆動回路と、
前記駆動回路に前記ハプティク・アクチュエータの動作モードを指示するコントローラと
を有する電子機器。
【請求項9】
前記直流電力源が単一セルの電池で構成される請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記コントローラは、所定時間前記衝撃モードの指示をしないときに前記昇圧器を停止する請求項8に記載の電子機器。
【請求項11】
前記第1の電源回路が、前記出力電圧が低下したときに前記出力電圧を前記第1の直流電圧まで昇圧する昇圧器を含む請求項8に記載の電子機器。
【請求項12】
前記第1の電源回路が、前記出力電圧を前記第1の直流電圧として利用できるときに前記第1の電源回路の昇圧器をバイパスするバイパス・スイッチを有する請求項11に記載の電子機器。
【請求項13】
前記コントローラは、所定時間前記振動モードの指示をしないときに前記第1の電源回路の昇圧器を停止する請求項11に記載の電子機器。
【請求項14】
前記駆動回路は、前記第2の直流電圧を降圧しないで前記第2の駆動電圧を生成する請求項8に記載の電子機器。
【請求項15】
駆動電圧の大きさに応じて振動の大きさが変化するハプティク・アクチュエータを搭載する電子機器が触覚フィードバックを生成する方法であって、
第1のハプティク・コマンドおよび第2のハプティク・コマンドを生成するステップと、
前記第1のハプティク・コマンドに応じて前記ハプティク・アクチュエータに第1の駆動電圧を所定の時間印加するステップと、
前記第2のハプティク・コマンドに応じて前記ハプティク・アクチュエータに前記第1の駆動電圧より高い第2の駆動電圧を前記所定の時間より短い時間印加するステップと
を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハプティク・アクチュエータが性質の異なる複数の知覚をもたらす触覚フィードバックを生成する技術に関し、さらにはハプティク・アクチュエータを、そのような触覚フィードバックを生成できるように駆動する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
タブレット端末、スマートフォン、携帯電話およびコンピュータのような使用時にユーザが筐体やタッチスクリーンに触れる電子機器は、人体に触覚フィードバック(ハプティク・フィードバック)を付与するアクチュエータ(ハプティク・アクチュエータ)を搭載することがある。ハプティク・アクチュエータは、システムが生成するイベントに応じて、タッチスクリーンや筐体のような振動体に振動を伝える。ユーザは振動体に接触した人体の部位で振動を知覚したり音として知覚したりする。ハプティク・アクチュエータは駆動源に電力を使用しており、振動の性質から衝撃型と振動型に大別することができる。
【0003】
衝撃型は代表例として、形状記憶合金を利用するSIA(Shape Memory metal Impact Actuator)やピエゾ素子を利用した圧電アクチュエータを挙げることできる。衝撃型は筐体やキーボード・プレートを振動素子が打撃して一過性の振動を与える。振動型は代表例として偏心モータを利用するERM(Eccentric Rotating Mass)型アクチュエータ、磁界中のコイルに交流電流を流して可動子を振動させるリニア共振型アクチュエータ(LRA:Linear Resonant Actuator)などを挙げることができる。振動型は所定の時間、振動体に一定の振幅の振動を与える。
【0004】
特許文献1は、筐体に固定されたコイルに矩形波または正弦波の電流を印加することにより、コイルとマグネットが協働して可動子が面方向でリニアに振動する振動アクチュエータを開示する。特許文献2は、偏心錘および磁石が固定された回転軸と磁石の回転を回転自在に支持するねじりコイル・バネとを備えた可動子と、可動子の共振周波数と同等の周波数の交流電流を供給するコイルと、コイルに流れる交流電流によって磁極を変化させて磁石に異なる方向の回転トルクを交互に付与する磁極部材で構成した振動アクチュエータを開示する。
【0005】
特許文献3は、圧電アクチュエータに触覚振動の振動パターンに応じた電圧を印加するアクチュエータ駆動回路について記載する。同文献は振動パターンを、振動周波数、振幅に対応する電圧および振動回数で構成することを記載する。同文献には振動を徐々に減衰させるときの触覚振動を同一の周波数で電圧を段階的に低減させる振動パターンで形成し、指先を小さく2回上下動させる触覚振動を周波数および電圧が異なる振動パターンで形成することを記載している。
【0006】
特許文献4は、素早い応答に対応した触覚を付与する圧電アクチュエータと強い触覚を付与する振動モータで構成した振動発生装置を記載する。同文献には、圧電アクチュエータを動作させるときは振動制御電圧を出力し、振動モータを動作させるときはモータ駆動電圧を出力するアクチュエータ駆動回路を記載している。特許文献5は、バイブレータの振動周波数を変更して複数の共振器のいずれかと共振させることで、1つのアクチュエータで筐体に段階的な振動を発生させる振動装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−97747号公報
【特許文献2】特開2015−157276号公報
【特許文献3】特開2007−122501号公報
【特許文献4】特開2006−136865号公報
【特許文献5】特開2015−116508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
触覚フィードバックは、用途に応じて性質の異なる複数の知覚をもたらすことができれば便利である。たとえば、ソフトウェア・キーボードの打鍵に対しては、連続打鍵に適応できるようにタッチスクリーンに短時間で終了する一過性の強い振動を与えることが適しており、メールの着信やWebサイトからのプッシュ通知を知らせたりする場合はユーザが気づくまでに必要な比較的長い時間筐体を振動させることが適している。
【0009】
このとき筐体の内部に、衝撃型と振動型の2つのハプティク・アクチュエータを設けることは、スペースの確保やコストの面で不利である。したがって、1個のハプティク・アクチュエータが電源を制御するだけで衝撃型と振動型の2つの動作モードで動作できれば都合がよい。さらに、既存の原理のハプティク・アクチュエータを利用して、電源の制御だけで衝撃モードと振動モードの切り換えができれば都合がよい。
【0010】
ハプティク・アクチュエータを衝撃型として動作させるときは、振動型として動作させるときに比べて、短時間に大きな電力を供給する必要がある。したがって、2つの動作モードで動作するハプティク・アクチュエータの駆動回路は、振動モードだけで動作するハプティク・アクチュエータの駆動回路よりも高い電圧を出力する必要がある。タブレット端末やスマートフォンでは、リチウム・イオン電池の単一セル電圧を利用してシステム・デバイスを動作させることが多いため、そのままでは電圧が低く衝撃モードに対応できない。したがって、ハプティク・アクチュエータを効率よく駆動する電源回路が必要になる。
【0011】
本発明の目的は、1つのハプティク・アクチュエータが、性質の異なる複数の知覚をもたらす触覚フィードバックを生成する触覚フィードバック・システムを提供することにある。さらに本発明の目的は、そのようなハプティク・アクチュエータを駆動する効率のよい駆動システムを搭載した電子機器を提供することにある。さらに本発明の目的は、そのようなハプティク・アクチュエータで触覚フィードバックを生成する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様は、第1のハプティク・コマンドと第2のハプティク・コマンドを生成するシステムと、駆動電圧の大きさに応じて振動の大きさが変化するハプティク・アクチュエータと、ハプティク・アクチュエータに、第1のハプティク・コマンドに応じて第1の駆動電圧を印加し、第2のハプティク・コマンドに応じて第1の駆動電圧より大きい第2の駆動電圧を第1の駆動電圧の印加時間より短い時間印加する駆動回路とを有する触覚フィードバック・システムを提供する。
【0013】
ハプティク・アクチュエータは、コイルとマグネットの協働で往復直線動作をする可動子を備えているものでもよい。第2の駆動電圧の周波数は第1の駆動電圧の周波数より高くすることができる。駆動回路は第2の駆動電圧に続いて制動電圧を印加して可動子の自由振動を抑制することができる。ハプティク・アクチュエータがケースに収納されているときは、第2の駆動電圧の印加に応じて、可動子の一部がケースに衝突するようにしてもよい。ハプティク・アクチュエータは、コイルとマグネットの協働で回転運動または回動運動をする偏心錘を備えているものでもよい。
【0014】
本発明の第2の態様は、振動体を含む電子機器を提供する。電子機器は、直流電力源と、振動モードおよび衝撃モードで動作して振動体に振動を付与することが可能なハプティク・アクチュエータと、システム・デバイスに電力を供給する直流電力源と、直流電力源の出力電圧を第1の直流電圧として出力する第1の電源回路と、出力電圧を第1の直流電圧よりも高い第2の直流電圧まで昇圧する昇圧器を含む第2の電源回路と、ハプティク・アクチュエータに、振動モードのときに第1の直流電圧から生成した第1の駆動電圧を印加し、衝撃モードのときに第2の直流電圧から生成した第2の駆動電圧を印加する駆動回路と、駆動回路にハプティク・アクチュエータの動作モードを指示するコントローラを有する。
【0015】
本発明の第3の態様は、駆動電圧の大きさに応じて振動の大きさが変化するハプティク・アクチュエータを搭載する電子機器が、触覚フィードバックを生成する方法を提供する。この方法では、第1のハプティク・コマンドおよび第2のハプティク・コマンドを生成し、第1のハプティク・コマンドに応じてハプティク・アクチュエータに第1の駆動電圧を所定の時間印加し、第2のハプティク・コマンドに応じてハプティク・アクチュエータに第1の駆動電圧より高い第2の駆動電圧を当該所定の時間より短い時間印加する。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、1つのハプティク・アクチュエータが、性質の異なる複数の知覚をもたらす触覚フィードバックを生成する触覚フィードバック・システムを提供することができた。さらに本発明により、そのようなハプティク・アクチュエータを駆動する効率のよい駆動システムを搭載した電子機器を提供することができた。さらに本発明により、そのようなハプティク・アクチュエータで触覚フィードバックを生成する方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施の形態にかかるアクチュエータ100の構成を模式的に示した平面図および断面図である。
図2】アクチュエータ100を搭載したスマートフォン10の平面図である。
図3】スマートフォン10に搭載した触覚フィードバック・システム200の構成を説明するための機能ブロック図である。
図4】スマートフォン10に取り付けたアクチュエータ100が振動モードで動作するときの様子を説明する図である。
図5】スマートフォン10に取り付けたアクチュエータ100が衝撃モードで動作するときの様子を説明する図である。
図6】スマートフォン10に取り付けたアクチュエータ100が衝撃モードで動作するときの様子を説明する図である。
図7】触覚フィードバック・システム200の動作を説明するためのフローチャートである。
図8】本発明の適用が可能な回転型デュアル・モード・ハプティク・アクチュエータを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[デュアル・モード・ハプティク・アクチュエータ]
図1は、本実施の形態にかかるデュアル・モード・ハプティク・アクチュエータ(以下、アクチュエータ)100の一例を模式的に示した図である。アクチュエータ100は、電源を制御することで、振動モードと衝撃モードのいずれでも動作する。ここに振動モードは、アクチュエータ100が安定した定常状態の振動をする動作モードで、衝撃モードは電圧を印加してから定常状態に入るまでの間または定常状態に入った直後までの短時間の過渡的な振動をする動作モードに相当する。
【0019】
衝撃モードは振動モードより振動振幅および振動加速度が大きい。本実施の形態では、LRAの原理を採用したアクチュエータ100を例示して説明する。ただし、本発明は図8に示す回転型のデュアル・モード・ハプティク・アクチュエータに適用することもできる。アクチュエータ100は、下部筐体101aと上部筐体101bの内部に可動子150を含む振動機構を収納している。図1(A)は上部筐体101bを取り除いた状態の平面図で、図1(B)は長手方向の中心で切断した断面図である。
【0020】
両側に設けたシャフト103a、103bは、それぞれ両端部が固定部105a〜105dで下部筐体101aに固定されている。シャフト103a、103bは、錘107a、107bの両端を錘107a、107bが往復直線運動をできるように貫通している。固定部105a〜105dと錘107a、107bの間には、圧縮コイル・バネ109a〜109dを設けている。上部ヨーク111bの下面には、磁極の方向が異なるマグネット113a、113bが貼り付けている。上部ヨーク111bと下部ヨーク111aが形成するコイル空間には、コイル115を配置している。
【0021】
コイル115は、図示しない固定部材で下部筐体101aに固定している。マグネット113a、113bが放射した磁束は、上部ヨーク111b、下部ヨーク111a、およびコイル空間で構成した磁路を流れる。下部ヨーク111aには、振動方向の端面にシャフト117a、117bを固定している。上部ヨーク111b、下部ヨーク111a、錘107a、107b、マグネット113a、113b、およびシャフト117a、117bは、可動子150を構成する。なお、アクチュエータ100は、可動子がコイルを含み、マグネットおよびヨークを下部筐体101aに固定するように構成してもよい。
【0022】
アクチュエータ100は、振動モードのときにコイル115に可動子150の共振周波数fに相当する周波数fの交流電流を流すと、マグネット113a、113bが形成する磁界によりコイル115に発生したローレンツ力と圧縮コイル・バネ109a〜109dの弾力で、可動子150が矢印Aの方向に往復直線運動をして振動する。可動子150の往復動作による振動は、下部筐体101aと上部筐体101bに伝搬する。
【0023】
振動モードでの可動子150の振幅は、シャフト117a、117bの先端が下部筐体101aの内面に接触しないように設定している。衝撃モードでの可動子150の振幅は、振動モードの振幅より大きい。一例において衝撃モードのときに、シャフト117a、117bの先端が下部筐体101aに衝突するように構成することができる。シャフト117a、117bを衝突しないように構成する場合は、シャフト117a、117bを設ける必要はない。アクチュエータ100は、たとえば図2に示すようにスマートフォン10の筐体やタッチスクリーン11の内側に貼り付けることができる。
【0024】
図3は、スマートフォン10に搭載した触覚フィードバック・システム200の構成を説明するための機能ブロック図である。図3において、太線は電力ラインを示し細線は信号ラインを示している。本実施の形態では一例において、直流電力源201を、単一セルのリチウム・イオン電池、電池コントローラ、および充電器などで構成している。スマートフォン10は、モバイル環境でリチウム・イオン電池だけを電力源にして動作する。直流電力源201の出力電圧Vの電圧レンジは、リチウム・イオン電池の放電終了電圧(3.2V)と充電終了電圧(4.2V)で確定する。
【0025】
電圧レギュレータ203は、直流電力源201の出力電圧Vをシステム・デバイス205が要求する複数の使用電圧に変換する。システム・デバイス205は、CPU、システム・メモリ、およびI/Oインターフェースなどの機能を組み込んだ半導体チップ(SoC)、カメラ、スピーカ、タッチスクリーン11、および無線モジュールなどのI/Oデバイスなどで構成している。なお、システム221のハードウェアはシステム・デバイス205を構成する。
【0026】
一般的に電圧レギュレータの効率は、入力電圧と出力電圧の差が小さいほど高いため、システム・デバイス205の使用電圧が、直流電力源201の出力電圧Vに近いほど電圧レギュレータ203の効率は良好になる。駆動回路219の共通の入力端子220には、衝撃モードで直流電圧Vが印加され、振動モードで直流電圧Vが印加される。駆動回路219は、直流電圧V、Vを交流の駆動電圧に変換してアクチュエータ100のコイル115に印加する。
【0027】
直流電圧Vの電圧レンジは一例において9V〜12Vとし、直流電圧Vの電圧レンジは、一例において直流電力源201の電圧レンジ(3.2V〜4.2V)とすることができる。駆動電圧の波形は、正弦波、三角波、または矩形波などを採用することができ、特に限定する必要はない。また、衝撃モードの波形と振動モードの波形は同一でも異なってもよい。
【0028】
駆動回路219は内部で降圧や昇圧をしないで、衝撃モードでは直流電圧Vから生成した駆動電圧を出力し、振動モードでは直流電圧Vから生成した駆動電圧を出力する。直流電圧Vから生成した駆動電圧は、直流電圧Vから生成した駆動電圧より大きい。駆動回路219は、入力端子220に直流電圧Vだけを受け取って、PWM制御で降圧してから振動モードに適した駆動電圧を出力することもできる。しかし、スイッチング・レギュレータは電圧を変換するときに入力と出力の電圧差が大きいほど大きな電力損失が発生するため、駆動回路219は、内部で駆動電圧への電圧変換をする必要がない直流電圧V、Vを受け取ると効率よく動作できる。
【0029】
バイパス・スイッチ211は、直流電力源201の出力電圧Vを直接駆動回路219に直流電圧Vとして供給する。昇圧器209は、直流電力源201の出力電圧Vが、アクチュエータ100が振動モードで十分な振動を発生することができない値まで低下した場合に、駆動回路219に印加する電圧を昇圧する。駆動回路219が、直流電力源201の電圧レンジでアクチュエータ100を適正に駆動できる場合は、昇圧器209を設けなくてもよい。
【0030】
昇圧器215は、直流電力源201の出力電圧Vを直流電圧Vに昇圧して、駆動回路219に供給する。スイッチ207は、アクチュエータ100が振動モードで動作するときにオン状態になり、衝撃モードで動作するときにオフ状態になる。スイッチ213は、アクチュエータ100が衝撃モードで動作するときにオン状態になり、振動モードで動作するときにオフ状態になる。
【0031】
コントローラ217は、システム221から受け取ったハプティク・コマンドおよび直流電力源201の出力電圧Vに応じて、スイッチ207、211、213、昇圧器209、215および駆動回路219の動作を制御する。システム221は、システム・デバイス205などのハードウェアおよびデバイス・ドライバ、OSおよびアプリケーションなどのソフトウェアの協働により構成する。システム221は、触覚フィードバックを生成するタイミングを与え、衝撃モードまたは振動モードの識別子を含むハプティク・コマンドをコントローラ217に通知する。システム221はさらに、直流電力源201の出力電圧を定期的にコントローラ217に通知する。
【0032】
ここで、直流電力源201の電池セルを直列接続して出力電圧Vを直流電圧Vまで増加させ、直流電圧Vと電圧レギュレータで降圧した直流電圧Vを駆動回路219に供給することも考えられる。その場合、システム・デバイス205に印加するための電圧を降下させる電圧レギュレータの効率が低下する。さらに、スマートフォン10に単一セルの電池を設けることは、直列に複数の電池を接続する場合に比べて筐体の占有スペースが少なくなる点で有利である。
【0033】
図4は、スマートフォン10に取り付けたアクチュエータ100が振動モードで動作するときの様子を説明する図である。駆動電流301は、駆動回路219が直流電圧VLから生成した方形波の駆動電圧を印加したときに、コイル115に流れる電流を示している。振動加速度303は、スマートフォン10の筐体に発生したアクチュエータ100の振動軸方向の加速度を示している。振動加速度は、可動子150の振幅に対応する。
【0034】
振動モードで印加する駆動電圧の周波数fは、可動子の共振周波数fまたはそれに近い値に設定する。アクチュエータ100は、駆動電圧を印加した直後の過渡状態を経過すると可動子150がほぼ一定の振幅で振動する。図4は駆動電圧を印加してから所定の時間が経過して振動が安定した状態を示している。振動モードでは、定常状態の振動を利用するため過渡的な振動は利用上問題にしない。
【0035】
図5図6は、スマートフォン10に取り付けたアクチュエータ100が衝撃モードで動作するときの様子を説明する図である。図5で、駆動電流305は、駆動回路219が直流電圧VHから生成した方形波の駆動電圧を時刻t0でコイル115に印加したときに、コイル115に流れる電流を示している。振動加速度307は、駆動電圧を時刻t0で印加し時刻t2で停止したときに、スマートフォン10の筐体に発生したアクチュエータ100の振動軸方向の過渡的な加速度を示している。
【0036】
直流電圧VHを変換した方形波の駆動電圧は、直流電圧Vを変換した方形波の駆動電圧に比べて波高値が大きいため、時刻t3で振動加速度の最大値が振動加速度303より大きい値に到達している。時刻t2以降も駆動電圧の印加を継続すれば、時刻t3の最大加速度で振動が継続して定常的な振動をする。ただし、この場合の定常的な振動は必要以上に大きすぎ、エネルギーの消費も大きくなるため振動モードでの利用には適さない。
【0037】
駆動回路219はアクチュエータ100を衝撃モードで動作させるために、所定の時間が経過した時刻t2または所定数のパルス数をカウントした後の時刻t2に駆動電圧を停止する。時刻t2以降は、加振力がなくなるため可動子は自由振動で減衰して時刻t4で人間が感じない状態になる。時刻t0から時刻t4まで発生する短時間の強い振動を、人間は一過性の振動すなわち衝撃として感じる。
【0038】
最大加速度が発生したときに駆動電圧を停止する時刻t2または印加パルス数は、あらかじめ実験で求めておくことができる。衝撃モードで印加する駆動電圧の周波数fは、共振周波数fとすることができる。衝撃モードではキーボードの高速打鍵に適応できるように、できるだけ短時間で最大加速度に到達することが望ましい。実験により、一層短い時間で最大加速度に到達する衝撃モードの周波数fを、共振周波数fとそれより10%程度高い周波数の間から可動子150の慣性や、圧縮コイル・バネ109a〜109dのバネ常数などに応じて決定できることを確認している。
【0039】
衝撃モードでは、可動子150の振幅が振動モードに比べて大きい。衝撃モードにおいて最大振幅で振動する際に、シャフト117a、117bが下部筐体101aに衝突するようにすれば、一層強い一過性の振動を提供することができる。振動加速度307では時刻2移行は、バネ常数と可動子150の慣性に応じてアクチュエータ100に自由振動(残振動)が発生している。衝撃モードではキーボードの高速打鍵に対応できるように、最大加速度の振動を発生した後は、すみやかに振動が停止することが望ましい。そのためには、残振動を短時間で強制的に減衰させる必要がある。
【0040】
図6は駆動回路219に、衝撃モードで残振動を減衰させる機構を取り入れたときの駆動電流309と振動加速度311を示している。時刻t0から最大加速度を発生する時刻t3までの挙動は図5と同じである。駆動電流309は、駆動電圧に対応する駆動電流309aと制動電圧に対応する制動電流309bを含む。時刻t2で可動子150が一方の方向の最大振幅まで移動した時点で駆動電圧の印加が停止すると、その後可動子150は自由振動で他方への移動を開始する。
【0041】
制動電流309bは駆動電流309aに対して位相が180度進んでいる。駆動回路219は、時刻t2で駆動電圧を停止して時刻t5まで制動電圧を印加する。制動電流309bは可動子150に対して制動力として作用するため、振動加速度311は、振動加速度307が減衰する時刻t4より経過時間が短い時刻t6で人間が感じない値まで減衰する。制動電流309bの周波数、大きさ、印加時間および印加時刻などはアクチュエータ100ごとに、実験で求めることができる。
【0042】
図7は、触覚フィードバック・システム200の動作を説明するためのフローチャートである。ブロック401でスマートフォン10が動作を開始する。コントローラ217は、システム221から定期的に直流電力源201の出力電圧Vを受け取る。ブロック403でコントローラ217は、直流電力源201の出力電圧Vでアクチュエータ100を振動モードで動作させることができると判断したときは、ブロック405でバイパス・スイッチ211をオン状態にしてブロック407に移行する。出力電圧Vが低いと判断した場合は、バイパス・スイッチ211をオフ状態にしたままブロック407に移行する。
【0043】
ブロック407でコントローラ217は、システム221から衝撃モードを示すハプティク・コマンドを一定時間受け取っておらず、かつ、その時点で昇圧器215がイネーブルのときはブロック409で昇圧器215をディスエーブルにする。このときコントローラ217は、スイッチ213をオフ状態にする。ブロック411でコントローラ217は、システム221から振動モードを示すハプティク・コマンドを一定時間受け取っておらず、かつ、その時点で昇圧器209がイネーブルのときはブロック413で昇圧器209をディスエーブルにする。このときコントローラ217は、スイッチ207をオフ状態にする。
【0044】
ブロック415で、システム221がハプティク・コマンドを発行する。ハプティク・コマンドは動作モードの識別子を含み、発行のタイミングはハプティクの発生のタイミングを示す。システム221は、一例において、メールの着信やWebサイトからのプッシュ通知を知らせたりする場合に振動モードのハプティク・コマンドを生成する。
【0045】
システム221は、一例において、タッチスクリーン11のアイコンに対するタップ操作、またはソフトウェア・キーボードの打鍵に応じたイベントを受け取った場合に、衝撃モードのハプティク・コマンドを生成する。ブロック417でコントローラ217が、衝撃モードのハプティク・コマンドを受け取ったときはブロック419に移行し、振動モードのハプティク・コマンドを受け取ったときはブロック451に移行する。
【0046】
ブロック419でコントローラ217は、昇圧器215がディスエーブルのときはイネーブルにし、スイッチ213をオン状態にする。その結果、駆動回路219には、直流電圧Vが印加される。ブロック421でコントローラ217は、システム221から衝撃モードのハプティク・コマンドを受け取るたびに、駆動回路219にトリガ信号を出力する。駆動回路219が、トリガ信号に応じて直流電圧Vから生成した駆動電圧をコイル115に出力すると、アクチュエータ100は衝撃モードで動作する。
【0047】
ブロック451でコントローラ217は、バイパス・スイッチがオフ状態で、昇圧器209がディスエーブルのときにイネーブルにしてスイッチ207をオン状態にする。バイパス・スイッチ211がオン状態のときは、昇圧器209をイネーブルにしないで、スイッチ207をオン状態にする。その結果、駆動回路219には、直流電圧VLが印加される。ブロック453でコントローラ217は、システム221から振動モードのハプティク・コマンドを受け取るたびに、駆動回路219にトリガ信号を出力する。駆動回路219が、トリガ信号に応じて直流電圧Vから生成した駆動電圧をコイル115に出力すると、アクチュエータ100は振動モードで動作する。
【0048】
本発明は、図8に示すような、モータで偏心錘501を一方向へ回転させ(矢印B)、または振り子のように(矢印C)回動させるERMのような回転型のアクチュエータ500に適用することもできる。アクチュエータ100と同様に、駆動電圧および印加時間を制御したときの偏心錘501の回転動作および回動動作でアクチュエータ500を振動モードおよび衝撃モードで動作させることができる。
【0049】
これまで本発明について図面に示した特定の実施の形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができることはいうまでもないことである。
【符号の説明】
【0050】
10 スマートフォン
11 タッチスクリーン
100 デュアル・モード・アクチュエータ
115 コイル
117a、117b シャフト
200 触覚フィードバック・システム
301、305、309 駆動電流
303、307、3011 振動加速度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2017年10月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動モードおよび該振動モードより振幅が大きい衝撃モードで動作することが可能な触覚フィードバック・システムであって、
前記振動モードに対応する第1のハプティク・コマンドと前記衝撃モードに対応する第2のハプティク・コマンドを生成するシステムと、
駆動電圧の大きさに応じて振動の大きさが変化するハプティク・アクチュエータと、
前記第1のハプティク・コマンドに応じて第1の直流電圧を生成し、前記第2のハプティク・コマンドに応じて前記第1の直流電圧より大きい第2の直流電圧を生成するコントローラと、
前記ハプティク・アクチュエータに、前記第1のハプティク・コマンドに応じて前記第1の直流電圧を電圧変換しないで生成した交流の第1の駆動電圧を印加し、前記第2のハプティク・コマンドに応じて前記第2の直流電圧を電圧変換しないで生成した交流の第2の駆動電圧を前記第1の駆動電圧の印加時間より短い時間印加する駆動回路と
を有する触覚フィードバック・システム。
【請求項2】
前記ハプティク・アクチュエータが、コイルとマグネットの協働で往復直線動作をする可動子を備え、前記第2の駆動電圧の印加に応じて、前記可動子の一部が前記ハプティク・アクチュエータを収納するケースに衝突する請求項1に記載の触覚フィードバック・システム。
【請求項3】
前記駆動回路は、前記第2の駆動電圧に続いて制動電圧を印加して前記可動子の自由振動を抑制する請求項2に記載の触覚フィードバック・システム。
【請求項4】
前記ハプティク・アクチュエータが、コイルとマグネットの協働で回転運動をする偏心錘を備えている請求項1に記載の触覚フィードバック・システム。
【請求項5】
前記ハプティク・アクチュエータが、コイルとマグネットの協働で回動運動をする偏心錘を備えている請求項1に記載の触覚フィードバック・システム。
【請求項6】
振動モードおよび該振動モードより振幅が大きい衝撃モードで動作することが可能な触覚フィードバック・システムであって、
前記振動モードに対応する第1のハプティク・コマンドと前記衝撃モードに対応する第2のハプティク・コマンドを生成するシステムと、
コイルとマグネットの協働で往復直線動作をする可動子を備えたハプティク・アクチュエータと、
前記ハプティク・アクチュエータに、前記第1のハプティク・コマンドに応じて前記可動子の共振周波数の第1の駆動電圧を印加し、前記第2のハプティク・コマンドに応じて電圧が前記第1の駆動電圧より大きく周波数が前記共振周波数より高い第2の駆動電圧を前記第1の駆動電圧の印加時間より短い時間印加する駆動回路と
を有する触覚フィードバック・システム。
【請求項7】
振動体を含む電子機器であって、
振動モードおよび該振動モードより振幅が大きい衝撃モードで動作して前記振動体に振動を付与することが可能なハプティク・アクチュエータと、
システム・デバイスに電力を供給する直流電力源と、
前記直流電力源の出力電圧を第1の直流電圧として出力する第1の電源回路と、
前記出力電圧を昇圧器で前記第1の直流電圧よりも大きい第2の直流電圧まで昇圧して出力する第2の電源回路と、
前記ハプティク・アクチュエータに、前記振動モードのときに前記第1の直流電圧を電圧変換しないで生成した交流の第1の駆動電圧を印加し、前記衝撃モードのときに前記第2の直流電圧を電圧変換しないで生成した交流の第2の駆動電圧を印加する駆動回路と、
前記駆動回路に前記ハプティク・アクチュエータの動作モードを指示するコントローラと
を有する電子機器。
【請求項8】
前記直流電力源が単一セルの電池で構成される請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記コントローラは、所定時間前記衝撃モードの指示をしないときに前記昇圧器を停止する請求項7に記載の電子機器。
【請求項10】
前記第1の電源回路が、前記出力電圧が低下したときに前記出力電圧を前記第1の直流電圧まで昇圧する昇圧器を含む請求項7に記載の電子機器。
【請求項11】
前記第1の電源回路が、前記出力電圧を前記第1の直流電圧として利用できるときに前記第1の電源回路の昇圧器をバイパスするバイパス・スイッチを有する請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
前記コントローラは、所定時間前記振動モードの指示をしないときに前記第1の電源回路の昇圧器を停止する請求項10に記載の電子機器。
【請求項13】
振動体を含む電子機器であって、
コイルとマグネットの協働で往復直線動作をする可動子を備え振動モードおよび該振動モードより振幅が大きい衝撃モードで動作して前記振動体に振動を付与することが可能なハプティク・アクチュエータと、
システム・デバイスに電力を供給する直流電力源と、
前記直流電力源の出力電圧を第1の直流電圧として出力する第1の電源回路と、
前記出力電圧を電圧が前記第1の直流電圧よりも大きい第2の直流電圧まで昇圧して出力する第2の電源回路と、
前記ハプティク・アクチュエータに、前記振動モードのときに前記第1の直流電圧から生成した前記可動子の共振周波数の第1の駆動電圧を印加し、前記衝撃モードのときに前記第2の直流電圧から生成した、電圧が前記第1の駆動電圧より大きく周波数が前記共振周波数より高い第2の駆動電圧を印加する駆動回路と、
前記駆動回路に前記ハプティク・アクチュエータの動作モードを指示するコントローラと
を有する電子機器。
【請求項14】
振動モードおよび該振動モードより振幅が大きい衝撃モードで動作することが可能なハプティク・アクチュエータを搭載する電子機器が触覚フィードバックを生成する方法であって、
前記振動モードに対応する第1のハプティク・コマンドおよび前記衝撃モードに対応する第2のハプティク・コマンドを生成するステップと、
前記第1のハプティク・コマンドに応じて前記ハプティク・アクチュエータに第1の直流電圧を電圧変換しないで生成した交流の第1の駆動電圧を所定の時間印加するステップと、
前記第2のハプティク・コマンドに応じて前記ハプティク・アクチュエータに前記第1の直流電圧より大きい第2の直流電圧を電圧変換しないで生成した交流の第2の駆動電圧を前記所定の時間より短い時間印加するステップと
を有する方法。
【請求項15】
コイルとマグネットの協働で往復直線動作をする可動子を備え振動モードおよび該振動モードより振幅が大きい衝撃モードで動作することが可能なハプティク・アクチュエータを搭載する電子機器が触覚フィードバックを生成する方法であって、
前記振動モードに対応する第1のハプティク・コマンドおよび前記衝撃モードに対応する第2のハプティク・コマンドを生成するステップと、
前記第1のハプティク・コマンドに応じて前記ハプティク・アクチュエータに前記可動子の共振周波数の第1の駆動電圧を所定の時間印加するステップと、
前記第2のハプティク・コマンドに応じて前記ハプティク・アクチュエータに電圧が前記第1の駆動電圧より大きく周波数が前記共振周波数より高い第2の駆動電圧を前記所定の時間より短い時間印加するステップと
を有する方法。