(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-30141(P2018-30141A)
(43)【公開日】2018年3月1日
(54)【発明の名称】薄肉銅板の溶接方法、薄肉銅板の溶接装置及び排水用ドレンの製造方法
(51)【国際特許分類】
B23K 9/23 20060101AFI20180202BHJP
B23K 9/167 20060101ALI20180202BHJP
B23K 9/02 20060101ALI20180202BHJP
B23K 37/04 20060101ALI20180202BHJP
E04D 13/04 20060101ALI20180202BHJP
【FI】
B23K9/23 E
B23K9/167 A
B23K9/02 S
B23K37/04 H
E04D13/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-162783(P2016-162783)
(22)【出願日】2016年8月23日
(11)【特許番号】特許第6104442号(P6104442)
(45)【特許公報発行日】2017年3月29日
(71)【出願人】
【識別番号】516253477
【氏名又は名称】有限会社秋元鉛工所
(74)【代理人】
【識別番号】100103805
【弁理士】
【氏名又は名称】白崎 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100126516
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 綽勝
(74)【代理人】
【識別番号】100132104
【弁理士】
【氏名又は名称】勝木 俊晴
(72)【発明者】
【氏名】秋元 健一郎
【テーマコード(参考)】
4E001
4E081
【Fターム(参考)】
4E001AA03
4E001BB07
4E001CB02
4E001CC03
4E001DD02
4E001DD03
4E001DE04
4E081AA02
4E081AA08
4E081BA08
4E081BA19
4E081BA32
4E081BA36
4E081CA11
4E081DA07
4E081DA30
4E081DA49
4E081EA37
4E081EA44
4E081FA14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】熱膨張や酸化を引き起こさずに、薄肉銅板に対してティグ溶接を行うことができる薄肉銅板の溶接方法、薄肉銅板の溶接装置及び排水用ドレンの製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、円形の穴部10を有する銅平板1の穴部10の周縁部11と、円筒状の銅管2の一方側の端部21とを溶接する薄肉銅板の溶接方法であって、穴部10の周縁近傍10aの銅平板1を、上治具31及び下治具32で一定の狭圧力となるように挟み込み、且つ、溶接の際に生じる余分な溶接熱を逃がしながらティグ溶接を行う薄肉銅板の溶接方法である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形の穴部を有する銅平板の前記穴部の周縁部と、円筒状の銅管の一方側の端部とを溶接する薄肉銅板の溶接方法であって、
前記穴部の周縁近傍の前記銅平板を、上治具及び下治具で一定の狭圧力となるように挟み込み、且つ、溶接の際に生じる余分な溶接熱を逃がしながらティグ溶接を行う薄肉銅板の溶接方法。
【請求項2】
前記狭圧力が200kgf/cm2以上である請求項1記載の薄肉銅板の溶接方法。
【請求項3】
前記上治具又は前記下治具が前記余分な溶接熱を逃がすものである請求項1又は2に記載の薄肉銅板の溶接方法。
【請求項4】
前記上治具又は前記下治具が鉄材からなる請求項3記載の薄肉銅板の溶接方法。
【請求項5】
前記下治具が、上面が平坦となった環状体であり、
前記銅管が該下治具の内側に挿入可能となっている請求項1〜4のいずれか1項に記載の薄肉銅板の溶接方法。
【請求項6】
前記上治具が、板状体と、該板状体の下面に設けられた当接部とからなり、
前記当接部の下面が平坦となっており、
一体となった前記板状体及び前記当接部が、前記銅管の形状に沿った半円状の切り欠き部を有し、
前記板状体の前記切り欠き部側の端部がテーパー状になっている請求項1〜5のいずれか1項に記載の薄肉銅板の溶接方法。
【請求項7】
前記銅管と前記切り欠き部周縁との隙間の距離が2mm〜6mmである請求項6記載の薄肉銅板の溶接方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の溶接方法により製造される排水用ドレン。
【請求項9】
円形の穴部を有する銅平板の前記穴部の周縁部と、円筒状の銅管の一方側の端部とを溶接するための薄肉銅板の溶接装置であって、
前記穴部の周縁近傍の前記銅平板を、一定の狭圧力となるように挟み込むための上治具及び下治具と、
前記下治具が嵌合される円形孔が形成された基台と、
前記円形孔周縁の前記基台の下面に固定具で固定された環状の支持ブロックと、
該支持ブロックの内周壁に嵌め込まれた環状の弾性ブロックと、
前記支持ブロック及び前記弾性ブロックの下面に当接された環状の当接板と、
該当接板を介して前記支持ブロックに固定具で固定された環状の固定ブロックと、
を備え、
前記基台及び前記下治具の上面に前記銅平板を載置した際、前記下治具の上面が、前記基台の上面と面一となり、且つ、前記下治具が前記弾性ブロックにより上方に付勢される薄肉銅板の溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄肉銅板の溶接方法、薄肉銅板の溶接装置及び排水用ドレンに関し、更に詳しくは、銅平板と、銅管とをティグ溶接により溶接する薄肉銅板の溶接方法、薄肉銅板の溶接装置及びそれにより製造される排水用ドレンに関する。
【背景技術】
【0002】
母材を互いに溶融させ接合する溶接方法として、アーク溶接、ガス溶接、電子ビーム溶接、レーザー溶接等が知られている。
その中でも、空気中の放電現象(アーク放電)を利用し、金属同士を繋ぎ合わせるアーク溶接が最も一般的に行われている。
また、アーク溶接の中でも、溶接時に火花が散らず、比較的簡単な方法であるティグ溶接(TIG溶接)が注目されている。なお、ティグ溶接とは、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス(シールドガス)を吹き付けながら、タングステン棒からアークを出し、その熱で母材を溶かすという溶接方法である。
ティグ溶接によれば、高品質で美しい溶接ビード(溶接跡)が得られるという利点があり、また、種々の金属の溶接に適用できるので、主に、ステンレスやアルミニウム等の溶接に採用されている。
【0003】
具体例としては、ステンレス鋼母材同士を所定の開先形状で突合せ溶接する際に、ステンレス鋼母材表面に金属酸化物の粉末と溶媒を混合してなる溶込み促進剤を塗布した後TIG溶接する溶接方法(例えば、特許文献1参照)や、厚3mm以上の鋼管パイプを固定して周囲をTIG溶接する溶接方法(例えば、特許文献2参照)や、所定の板厚の円筒状または平板状の鋼材の縁部に、鋼材の表裏の両面からレーザー溶接およびティグ溶接でビードの繋ぎ部を形成して鋼材同士を結合する溶接方法(例えば、特許文献3参照)等が知られている。
【0004】
なお、溶接により製造される製品としては、例えば、排水管の内側に嵌められる円筒状の管部材と、該管部材の上部に半径方向に広がるように形成された鍔部材とで構成され、管部材と鍔部材とを、鉛同士で溶け合わせて一体化した改修用ドレンが知られている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−102890号公報
【特許文献2】特開2011−177769号公報
【特許文献3】特開2015−164737号公報
【特許文献4】特許第4405473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載の溶接方法は、鋼材を用いたものであり、上記特許文献4に記載の改修用ドレンは、鉛を用いたものであり、いずれも銅板を用いたものではない。
また、銅板は、鋼材とは異なり、熱に対して敏感であるため、鋼材を銅板に置き換えて、上述の溶接方法で溶接することは困難である。すなわち、銅板を用いてティグ溶接を行った場合、シールドガスでシールドされた状態であっても、銅板に溶接熱を長時間付与し続けると、余分な溶接熱が銅板に伝わり、熱膨張や酸化を引き起こす恐れがある。なお、このことは、銅板が薄肉状の銅板(以下「薄肉銅板」という。)である場合、より顕著に表れる。
これらのことから、薄肉銅板を用いたティグ溶接は極めて困難であり、薄肉銅板の溶接により製造される製品も、品質が劣る傾向にある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、熱膨張や酸化を引き起こさずに、薄肉銅板に対してティグ溶接を行うことができる薄肉銅板の溶接方法、薄肉銅板の溶接装置及び排水用ドレンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、穴部の周縁近傍の銅平板を、上治具及び下治具で一定の狭圧力となるように挟み込み、且つ、溶接の際に生じる余分な溶接熱を逃がしながらティグ溶接を行うことにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明は、(1)円形の穴部を有する銅平板の穴部の周縁部と、円筒状の銅管の一方側の端部とを溶接する薄肉銅板の溶接方法であって、穴部の周縁近傍の銅平板を、上治具及び下治具で一定の狭圧力となるように挟み込み、且つ、溶接の際に生じる余分な溶接熱を逃がしながらティグ溶接を行う薄肉銅板の溶接方法に存する。
【0010】
本発明は、(2)狭圧力が200kgf/cm
2以上である上記(1)記載の薄肉銅板の溶接方法に存する。
【0011】
本発明は、(3)上治具又は下治具が余分な溶接熱を逃がすものである上記(1)又は(2)に記載の薄肉銅板の溶接方法に存する。
【0012】
本発明は、(4)上治具又は下治具が鉄材からなる上記(3)記載の薄肉銅板の溶接方法に存する。
【0013】
本発明は、(5)下治具が、上面が平坦となった環状体であり、銅管が該下治具の内側に挿入可能となっている上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の薄肉銅板の溶接方法に存する。
【0014】
本発明は、(6)上治具が、板状体と、該板状体の下面に設けられた当接部とからなり、当接部の下面が平坦となっており、一体となった板状体及び当接部が、銅管の形状に沿った半円状の切り欠き部を有し、板状体の切り欠き部側の端部がテーパー状になっている上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の薄肉銅板の溶接方法に存する。
【0015】
本発明は、(7)銅管と切り欠き部周縁との隙間の距離が2mm〜6mmである上記(6)記載の薄肉銅板の溶接方法に存する。
【0016】
本発明は、(8)上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の溶接方法により製造される排水用ドレンに存する。
【0017】
本発明は、(9)円形の穴部を有する銅平板の穴部の周縁部と、円筒状の銅管の一方側の端部とを溶接するための薄肉銅板の溶接装置であって、穴部の周縁近傍の銅平板を、一定の狭圧力となるように挟み込むための上治具及び下治具と、下治具が嵌合される円形孔が形成された基台と、円形孔周縁の基台の下面に固定具で固定された環状の支持ブロックと、該支持ブロックの内周壁に嵌め込まれた環状の弾性ブロックと、支持ブロック及び弾性ブロックの下面に当接された環状の当接板と、該当接板を介して支持ブロックに固定具で固定された環状の固定ブロックとを備え、基台及び下治具の上面に銅平板を載置した際、下治具の上面が、基台の上面と面一となり、且つ、下治具が弾性ブロックにより上方に付勢される薄肉銅板の溶接装置に存する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の薄肉銅板の溶接方法においては、銅平板の穴部の周縁部と、銅管の一方側の端部とをティグ溶接する際に、穴部の周縁近傍の銅平板を、上治具及び下治具で一定の狭圧力となるように挟み込むことにより、銅平板が変形することを抑制することができる。なお、銅管は断面が円形であるため、そもそも変形し難い構造である。
また、同時に、溶接の際に生じる余分な溶接熱を逃がすことにより、薄肉銅板が酸化することを極力防止できる。
【0019】
このとき、上治具又は下治具が余分な溶接熱を逃がすものである場合、すなわち、上治具又は下治具が余分な溶接熱を他に伝えるものである場合、銅平板を上治具及び下治具で挟み込むことにより、一定の狭圧力を付与できると同時に、余分な溶接熱を逃がすことも可能となる。このため、極めてシンプルな状態で薄肉銅板のティグ溶接を行うことが可能となる。
なお、上治具又は下治具が鉄材からなることが好ましい。この場合、薄肉銅板に付与された余分な溶接熱を効果的に逃がすことができる。
【0020】
本発明の薄肉銅板の溶接方法においては、狭圧力を200kgf/cm
2以上とすることにより、銅平板の変形を十分に抑制することができる。
また、上治具又は下治具が余分な溶接熱を逃がすものである場合は、狭圧を200kgf/cm
2以上とすることにより、逃がす効率(余分な溶接熱が伝導する効率)がより向上する。
【0021】
本発明の薄肉銅板の溶接方法においては、銅管が該下治具の内側に挿入可能となっているので、下治具を、銅平板の穴部周縁近傍の特定の位置に確実に当接させることが可能となる。
【0022】
本発明の薄肉銅板の溶接方法においては、上治具が、板状体と、該板状体の下面に設けられた当接部とからなり、当接部の下面が平坦となっており、一体となった板状体及び当接部が、銅管の形状に沿った半円状の切り欠き部を有しているので、上治具を銅管の周方向に近接させた状態で溶接することができる。
また、板状体の切り欠き部側の端部がテーパー状になっているので、タングステン棒から放出されるアークにより直接加熱されることを抑止することができる。
このとき、銅管と切り欠き部周縁との隙間の距離が2mm〜6mmであることが好ましい。この場合、上治具又は下治具により、銅平板の変形を十分に抑制することができる。
また、上治具又は下治具が余分な溶接熱を逃がすものである場合は、必要な溶接熱を逃がさず、余分な溶接熱のみを逃がすことができるため、極めて効果的である。
【0023】
本発明の排水用ドレンにおいては、上述した銅の溶接方法により製造されるので、熱膨張や酸化を引き起こさずに、薄肉銅板に対してティグ溶接を行うことができる。これにより、品質が十分に優れる排水用ドレンを得ることができる。
【0024】
本発明の薄肉銅板の溶接装置によれば、熱膨張や酸化を引き起こさずに、薄肉銅板に対してティグ溶接を行うことができる。
また、基台及び下治具の上面に銅平板を載置した際、下治具の上面が、基台の上面と面一となり、且つ、弾性ブロックにより上方に付勢されることになるので、溶接後、上治具や銅平板を取り外した場合、下治具が弾性ブロックの弾性力により上方に突き上げられる。このため、下治具を取り外し易い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1の(a)は、本実施形態に係る薄肉銅板の溶接方法に用いられる銅平板を示す上面図であり、(b)は、(a)のA−A線で切断した断面図である。
【
図2】
図2の(a)は、本実施形態に係る薄肉銅板の溶接方法に用いられる銅管を示す斜視図であり、(b)は、(a)のB−B線で切断した断面図である。
【
図3】
図3の(a)は、本実施形態に係る薄肉銅板の溶接方法に用いる溶接装置の一部を示す概略断面図であり、(b)は、本実施形態に係る薄肉銅板の溶接方法において、その溶接装置を用いた溶接方法を説明するための概略断面図である。
【
図4】
図4の(a)は、本実施形態に係る薄肉銅板の溶接方法に用いられる上治具を示す上面図であり、(b)は、(a)のC−C線で切断した断面図である。
【
図5】
図5の(a)は、本実施形態に係る薄肉銅板の溶接方法に用いられる下治具を示す上面図であり、(b)は、(a)のD−D線で切断した断面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る排水用ドレンを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0027】
本発明に係る薄肉銅板の溶接方法は、薄肉銅板からなる銅平板及び銅管をティグ溶接により溶接する方法の発明である。
図1の(a)は、本実施形態に係る薄肉銅板の溶接方法に用いられる銅平板を示す上面図であり、(b)は、(a)のA−A線で切断した断面図である。
図1の(a)及び(b)に示すように、銅平板1は、薄い平板状であり、その略中央に円形の穴部10を有している。
そして、銅平板1においては、この穴部10の円周上に周縁部11が形成されている。なお、当該周縁部11は、銅平板1がその面から上方に立ち上がるように、すなわち起立するように屈曲した構造となっている。
【0028】
ここで、銅平板1としては、その厚さH1が0.3mm〜1mmの薄いものが好適に用いられる。
また、用いられる銅平板1の種類は、銅が主成分であり且つ脱酸素されているものであれば、特に限定されない。具体的には、無酸素銅板、リン脱酸銅板等が挙げられる。なお、銅平板1は、リン青銅板等の銅以外の金属を含む合金からなるものであってもよい。
【0029】
図2の(a)は、本実施形態に係る薄肉銅板の溶接方法に用いられる銅管を示す斜視図であり、(b)は、(a)のB−B線で切断した断面図である。
図2の(a)及び(b)に示すように、銅管2は、薄い板を円筒状にしたものであり、内部が空洞となっている。なお、銅管2の外径と、上述した穴部10の径とは略同じ大きさとなっている。
そして、銅管2の一方側の端部21は、銅管2の他の部分より径が大きくなった構造となっている。すなわち、銅管2の一方側の端部21は、端に向かって銅管2の径が徐々に大きくなった部分と、その後、径が一定となった部分とからなる。
【0030】
ここで、銅管2としては、その厚さH2が0.3mm〜1mmの薄いものが好適に用いられる。なお、上述した銅平板1の厚さH1と銅管2の厚さH2とは、同一であっても異なっていてもよい。
また、用いられる銅管2の種類は、上述した銅平板1と同じように、銅が主成分であり且つ脱酸素されているものであれば、特に限定されない。具体的には、無酸素銅管、リン脱酸銅管等が挙げられる。なお、銅管2は、リン青銅管等の銅以外の金属を含む合金からなるものであってもよい。
【0031】
本実施形態に係る薄肉銅板の溶接方法においては、銅平板1の穴部10の周縁部11と、銅管2の一方側の端部21とを溶接する。
図3の(a)は、本実施形態に係る薄肉銅板の溶接方法に用いる溶接装置の一部を示す概略断面図である。
図3の(a)に示すように、溶接装置100においては、図示しない銅平板を一定の狭圧力となるように挟み込むための図示しない上治具及び下治具32と、下治具32が嵌合される円形孔が形成された基台4と、円形孔周縁の基台4の下面に固定具で固定された環状の支持ブロック41と、該支持ブロック41の内周壁に嵌め込まれた環状の弾性ブロック42と、支持ブロック41及び弾性ブロック42の下面に当接された環状の当接板43と、該当接板43を介して支持ブロック41に固定具で固定された環状の固定ブロック44とを備える。
【0032】
溶接装置100において、下治具32は、基台4の円形孔に嵌合され、支持ブロック41及び弾性ブロック42により支持される。
また、ブロック同士の間は、必要な溶接熱が逃げないようにするため、隙間を設けないことが望ましい。
また、支持ブロック41及び弾性ブロック42には、後述するエアー流路Pが形成されている。
【0033】
溶接装置100において、下治具32の上面は、基台4の上面より高さSの分だけ上方に突出している。このため、基台4及び下治具32の上面に銅平板を載置し上治具31で押し下げた際は、下治具32の上面が、基台4の上面と面一となると共に、下治具32には、弾性ブロック42による上方の弾性力が付勢される。
したがって、例えば、溶接後に上治具や銅平板を取り外すと、弾性ブロック42の弾性力が解放されることにより、下治具32は上方に突き上げられることになる。このため、下治具32を取り外し易い。
【0034】
溶接装置100において、支持ブロック41、弾性ブロック42、当接板43及び固定ブロック44は、固定具を取り外すことにより、全て取り外し自在となっている。
このため、下治具32を下方から突き上げて取り外すことにより交換を容易に行うことができ、また、支持ブロック41、弾性ブロック42、当接板43及び固定ブロック44の交換も可能となる。
なお、異なるサイズの銅管や下治具を用いて溶接する場合は、支持ブロック、弾性ブロック、当接板及び固定ブロックを適当なサイズのものに交換して用いればよい。
【0035】
また、基台4、固定ブロック44としては、鉄等の金属材が好適に用いられる。
支持ブロック41、弾性ブロック42、当接板43としては、テフロン(登録商標)等の樹脂材が好適に用いられる。
また、固定具としては、取り外しできるネジやピン等が用いられる。
【0036】
図3の(b)は、本実施形態に係る薄肉銅板の溶接方法において、
図3の(a)に示す溶接装置を用いた溶接方法を説明するための概略断面図である。
図3の(b)に示すように、薄肉銅板の溶接方法においては、まず、銅平板1の穴部10の周縁部11に、銅管2の端部21を圧入することにより、銅管2を銅平板1の穴部10に装着する。このとき、銅平板1の鉛直方向に向く周縁部11の上面と、銅管2の鉛直方向に延びる端部21の上面とは、面一になるように配置することが望ましい。この場合、溶接跡がムラなく平滑となる。
【0037】
次に、銅平板1は、溶接装置100の基台4及び下治具32に支持されるように配置し、銅管2は、下治具32の内側の治具穴に挿入する。このとき、銅管2と下治具32及び弾性ブロック42との間には、溶接部分に向けて反対側からバックシールドガスを導入するための隙間を設ける。
そして、銅平板1の穴部10の周縁近傍10aの銅平板1を、上治具31及び下治具32で把持し、一定の狭圧力となるように挟み込む。具体的には、銅平板1を上治具31及び下治具32で挟持した状態から、下治具32を固定して上治具31を下治具32に向けて押圧する。尤も、上治具31を固定して下治具32を上治具31に向けて押圧する方法や上治具31及び下治具32を互いに押圧する方法も当然適用可能である。
このとき、上述した下治具32は、銅平板1により下方に押し下げられ、下治具32の上面が、基台4の上面と面一となる。
【0038】
ここで、上治具31及び下治具32により銅平板1に狭圧力を付与する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、万力を用いる方法等が挙げられる。
なお、この場合は、万力で、上治具31の上面と、固定ブロック44の下面とを把持して挟み込めばよい。これにより、上治具31と、固定ブロック44等を介した下治具32とで銅平板1を挟み込むことになる。
【0039】
薄肉銅板の溶接方法においては、上述したように、支持ブロック41及び弾性ブロック42に形成されたエアー流路Pから、銅管2と、下治具32及び弾性ブロック42との間の隙間を介して、溶接部分に向けて反対側からバックシールドガスを吹き付ける。
この状態で銅平板1の周縁部11及び銅管2の端部21に対して、ティグ溶接を行うことにより、銅平板1と銅管2とを一体化する。
なお、本実施形態に係る薄肉銅板の溶接方法においては、上治具31及び下治具32の位置を固定して、ティグ溶接が行われる。例えば、上治具31及び下治具32の位置に対して、銅平板1及び銅管2を90°ずつ回転させ、順次溶接が行われる。
【0040】
ティグ溶接は、公知の方法で行えばよい。すなわち、薄肉銅板の厚み等に応じて、ティグ溶接におけるタングステン棒から放出されるアークの放出角度、電流の大きさ、パルスの幅等を適宜調整して行えばよい。
また、ティグ溶接における電流を極力弱くした場合であっても、薄肉銅板は、熱膨張や酸化を引き起こす。このため、本実施形態に係る薄肉銅板の溶接方法において、ティグ溶接における電流の大きさは問わない。
同様に、ティグ溶接におけるパルスの幅についても問わないが、熱膨張や酸化が起こりにくくなる観点から、パルス幅を設けずに連続してタングステン棒からアークを放出するように設定することが好ましい。
【0041】
図4の(a)は、本実施形態に係る薄肉銅板の溶接方法に用いられる上治具を示す上面図であり、(b)は、(a)のC−C線で切断した断面図である。
図4の(a)及び(b)に示すように、上治具31は、板状体310と、該板状体310の下面から突出した肉厚の当接部312とからなる。なお、当接部312の下面は平坦となっている。
また、板状体310及び当接部312は、銅管2の形状に沿った半円状の切り欠き部31aを有している。
また、当接部312は、後述する下治具32の形状に対応するように、下面視で半環状となっている。
【0042】
上治具31においては、当接部312の下面が銅平板1に直接当接される。そのため、当接部312の下面は平坦になっている。
そして、上治具31は、半円状の切り欠き部31aを有しているので、上治具31を銅管2の周方向に沿って極力近接させた状態で配置することができる。
これらのことにより、薄肉銅板の溶接方法においては、銅管2に近接させた上治具31が、当接部312を介して、銅平板1に当接し、更にそれを部分的に押圧することになる。
【0043】
上治具31においては、板状体310の切り欠き部31a側の端部311が、下側が水平方向に突出したテーパー状になっている。このため、タングステン棒Wから放出されるアークを逃がすことにより、上治具31が直接加熱されることを極力抑制することができる(
図3の(b)参照)。
また、この場合、溶融している部分を斜め方向から目視し易くなるので、作業性も向上する。
【0044】
図5の(a)は、本実施形態に係る薄肉銅板の溶接方法に用いられる下治具を示す上面図であり、(b)は、(a)のD−D線で切断した断面図である。
図5の(a)及び(b)に示すように、下治具32は、垂直断面が逆L字状の環状となっており、内側に治具穴32aを有している。なお、上述したように、治具穴32aには、銅管2が挿入される。
また、下治具32は、上面が銅平板1に直接当接される。そのため、下治具32の上面は平坦になっている。すなわち、銅平板1は、上述した上治具31の当接部312の下面と、下治具32の上面に当接した状態で挟持されることになる。
【0045】
薄肉銅板の溶接方法においては、銅管1が下治具32の治具穴32aに挿入可能となっているので、下治具32を、銅平板1の穴部10周縁近傍の特定の位置に確実に当接させることが可能となる。
なお、下治具32の銅平板1に当接される位置は、上述した上治具31の当接部312が銅平板1に当接される位置に対応するようになっている。
【0046】
図3の(b)に戻り、上治具31及び下治具32は、ティグ溶接において生じる余分な溶接熱を逃がす材質のものであることが好ましい。すなわち、上治具31及び下治具32は、極力、伝熱性の優れた材質からなることが好ましい。
この場合、上治具31及び下治具32を銅平板に当接させ、ティグ溶接を行うと、上治具31及び下治具32が溶接の際に生じる余分な溶接熱を逃がすことができる。すなわち、薄肉銅板が瞬間的に溶融する温度を維持しつつ、余分な熱は逃がし、ティグ溶接を行うことができる。その結果、薄肉銅板が酸化することを防止できる。
なお、上述したように、上治具31は、切り欠き部31aを有するので、極力、銅管2の周囲に近接できる。このため、銅管2の周囲に沿って、銅平板1に伝達される余分な溶接熱を逃がすことができる。
また、下治具32は、環状となっているので、同様に、銅管2の周囲に沿って、銅平板1に伝達される余分な溶接熱を逃がすことができる。
【0047】
上治具31及び下治具32の材質としては、伝熱性の観点から、ステンレス、アルミニウム、鉄、真鍮等が挙げられる。なお、上治具31と下治具32とは同一材質であってもよく、異なる材質であってもよい。
これらの中でも、上治具31又は下治具32の材質は、鉄材からなることが好ましく、上治具31及び下治具32の材質が、いずれも鉄材からなることがより好ましい。
なお、上治具31においては、当接部312のみが鉄材であってもよい。
上治具31又は下治具32が鉄材であると、効果的に熱を逃がすため、薄肉銅板に付与された余分な溶接熱を効果的に逃がすことができる。このため、薄肉銅板が熱を溜めることを抑制することができる。
【0048】
ここで、銅管2と上治具31の切り欠き部31a周縁との隙間の距離H3は、2mm〜6mmであることが好ましい。この場合、溶接熱を確実に逃がすことができ、且つ、隙間の距離をこの範囲内で調整することにより、溶接熱を逃がすスピードをコントロールすることができる。
距離H3が2mm未満であると、距離H3が上記範囲内にある場合と比較して、薄肉銅板に付与される必要な溶接熱も吸収してしまい、薄肉銅板の溶融を妨げる恐れがあり、距離H3が6mmを超えると、距離H3が上記範囲内にある場合と比較して、薄肉銅板の熱膨張や酸化を十分に抑制できない場合がある。
【0049】
薄肉銅板の溶接方法において、上治具31及び下治具32が銅平板1に付与する狭圧力は、200kgf/cm
2以上であることが好ましく、230kgf/cm
2以上であることがより好ましい。
この場合、銅平板1が溶接熱により熱膨張することを十分に抑制することができる。
また、上治具31及び下治具32で銅平板1を200kgf/cm
2以上の狭圧力で強く挟み込むことにより、余分な溶接熱を上治具31及び下治具32に流れ込み易くすることができる。
【0050】
これらのことから、本実施形態に係る薄肉銅板の溶接方法においては、上治具31又は下治具32として余分な溶接熱を逃がす材質のものを採用し、且つ、銅平板1を上治具31及び下治具32で強く挟み込んだ状態とすることで、溶接の際に生じる余分な溶接熱を逃がしながらティグ溶接を行うことができる。
したがって、本実施形態に係る薄肉銅板の溶接方法によれば、極めてシンプルな状態でありながら、薄肉銅板の熱膨張及び酸化を抑制しつつ、薄肉銅板のティグ溶接を行うことが可能となる。
【0051】
次に、上述した薄肉銅板の溶接方法により製造される排水用ドレンについて説明する。
排水用ドレンは、建造物、機器、土壌等に溜まった雨水、湧水、地下水、汚水等の排水を外部に排出するための装置である。
【0052】
図6は、本実施形態に係る排水用ドレンを示す斜視図である。
図6に示すように、本実施形態に係る排水用ドレン5は、銅板部51と、銅板部51の略中央の穴部の周縁に溶接された銅管部52とからなる。
排水用ドレン5においては、銅板部51により排水が銅管部52に案内され、銅管部52に連結された図示しない排水管から排出されるようになっている。
【0053】
排水用ドレン5は、上述した薄肉銅板の溶接方法を用いて製造される。すなわち、軽量化された薄肉の排水用ドレン5が製造される。
したがって、排水用ドレン5は、薄肉銅板に対するティグ溶接により、熱膨張や酸化を引き起こさずに製造することができる。これにより、排水用ドレン5は、銅褐色で表面は艶やかで流れた状態になり、ビートが発生しない、高品質なものとすることができる。
ちなみに、薄肉銅板は、熱が溜まると、青色や金色に変色し、表面が沸騰したような状態の波状になる。なお、更に熱を与えると、薄肉銅板は、酸化銅に変化することになる。これらの現象が品質低下の原因となる。
【0054】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0055】
例えば、本実施形態に係る薄肉銅板の溶接方法において、銅平板1の周縁部11は、銅平板1がその面から上方に立ち上がるように屈曲した構造となっており、銅管2の一方側の端部21は、銅管2の他の部分より径が大きくなった構造となっているが、周縁部11及び一方の端部21の構造は、これらに限定されるものではない。
また、銅平板1の周縁部11及び銅管2の一方側の端部21は、これらの構造を有していなくてもよい。
【0056】
本実施形態に係る薄肉銅板の溶接方法においては、基台4、支持ブロック41、弾性ブロック42、当接板43及び固定ブロック44を設けているが、これらは必須の構成ではない。すなわち、銅平板1や下治具32を支持可能であれば、これらに限定されるものではない。
【0057】
本実施形態に係る薄肉銅板の溶接方法において、基台4には、支持ブロック41、弾性ブロック42、当接板43及び固定ブロック44により、下治具32を支持する底が形成されているが、支持ブロック41、弾性ブロック42、当接板43及び固定ブロック44の形状は、
図3の(b)に示されている形状に限定されない。
すなわち、嵌合する下治具の形状に合わせて、支持ブロック41、弾性ブロック42、当接板43及び固定ブロック44の形状を適宜変更することができる。
【0058】
本実施形態に係る薄肉銅板の溶接方法において、上治具31は、板状体310と、該板状体310の下面に設けられた平板状の当接部312とからなり、銅管2の形状に沿った半円状の切り欠き部31aを有し、板状体310の切り欠き部31a側の端部311がテーパー状になっており、下治具32は、垂直断面が逆L字状の環状となっているが、上治具31及び下治具32の構造は、これらに限定されるものではない。
【0059】
本実施形態に係る薄肉銅板の溶接方法において、上治具31及び下治具32は、いずれも、余分な溶接熱を逃がすものであるとしているが、いずれか一方であってもよく、余分な溶接熱を逃がすものを別途設けてもよい。
【0060】
本実施形態に係る薄肉銅板の溶接方法、及び、本実施形態に係る薄肉銅板の溶接装置においては、ティグ溶接を行っているが、他のアーク溶接を適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の薄肉銅板の溶接方法及び薄肉銅板の溶接装置は、銅平板と銅管とのティグ溶接に用いられる。すなわち、ティグ溶接により製造される排水用ドレン等の製造に用いられる。
また、本発明の排水用ドレンは、建造物、機器、土壌等に溜まった雨水、湧水、地下水、汚水等の排水を外部に排出するための装置として用いられる。
本発明の薄肉銅板の溶接方法、薄肉銅板の溶接装置及び排水用ドレンによれば、熱膨張や酸化を引き起こさずに、薄肉銅板に対してティグ溶接を行うことができる。
【符号の説明】
【0062】
1・・・銅平板
10・・・穴部
10a・・・穴部の周縁近傍
11・・・周縁部
2・・・銅管
21・・・一方側の端部
31・・・上治具
310・・・板状体
311・・・切り欠き部側の端部
312・・・当接部
31a・・・切り欠き部
32・・・下治具
32a・・・治具穴
41・・・支持ブロック
42・・・弾性ブロック
43・・・当接板
44・・・固定ブロック
5・・・排水用ドレン
51・・・銅板部
52・・・銅管部
H1・・・(銅平板の)厚さ
H2・・・(銅管の)厚さ
H3・・・距離
S・・・高さ
W・・タングステン棒
【手続補正書】
【提出日】2016年8月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2017年1月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形の穴部を有する銅平板の前記穴部の周縁部と、円筒状の銅管の一方側の端部とを溶接する薄肉銅板の溶接方法であって、
前記穴部の周縁近傍の前記銅平板を、上治具及び下治具で一定の狭圧力となるように挟み込み、且つ、溶接の際に生じる余分な溶接熱を逃がしながらティグ溶接を行う薄肉銅板の溶接方法。
【請求項2】
前記狭圧力が200kgf/cm2以上である請求項1記載の薄肉銅板の溶接方法。
【請求項3】
前記上治具又は前記下治具が前記余分な溶接熱を逃がすものである請求項1又は2に記載の薄肉銅板の溶接方法。
【請求項4】
前記上治具又は前記下治具が鉄材からなる請求項3記載の薄肉銅板の溶接方法。
【請求項5】
前記下治具が、上面が平坦となった環状体であり、
前記銅管が該下治具の内側に挿入可能となっている請求項1〜4のいずれか1項に記載の薄肉銅板の溶接方法。
【請求項6】
前記上治具が、板状体と、該板状体の下面に設けられた当接部とからなり、
前記当接部の下面が平坦となっており、
一体となった前記板状体及び前記当接部が、前記銅管の形状に沿った半円状の切り欠き部を有し、
前記板状体の前記切り欠き部側の端部がテーパー状になっている請求項1〜5のいずれか1項に記載の薄肉銅板の溶接方法。
【請求項7】
前記銅管と前記切り欠き部周縁との隙間の距離が2mm〜6mmである請求項6記載の薄肉銅板の溶接方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の溶接方法により製造される排水用ドレンの製造方法。
【請求項9】
円形の穴部を有する銅平板の前記穴部の周縁部と、円筒状の銅管の一方側の端部とを溶接するための薄肉銅板の溶接装置であって、
前記穴部の周縁近傍の前記銅平板を、一定の狭圧力となるように挟み込むための上治具及び下治具と、
前記下治具が嵌合される円形孔が形成された基台と、
前記円形孔周縁の前記基台の下面に固定具で固定された環状の支持ブロックと、
該支持ブロックの内周壁に嵌め込まれた環状の弾性ブロックと、
前記支持ブロック及び前記弾性ブロックの下面に当接された環状の当接板と、
該当接板を介して前記支持ブロックに固定具で固定された環状の固定ブロックと、
を備え、
前記基台及び前記下治具の上面に前記銅平板を載置した際、前記下治具の上面が、前記基台の上面と面一となり、且つ、前記下治具が前記弾性ブロックにより上方に付勢される薄肉銅板の溶接装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、薄肉銅板の溶接方法、薄肉銅板の溶接装置及び排水用ドレン
の製造方法に関し、更に詳しくは、銅平板と、銅管とをティグ溶接により溶接する薄肉銅板の溶接方法、薄肉銅板の溶接装置及びそれにより製造される排水用ドレン
の製造方法に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、熱膨張や酸化を引き起こさずに、薄肉銅板に対してティグ溶接を行うことができる薄肉銅板の溶接方法、薄肉銅板の溶接装置及び排水用ドレン
の製造方法を提供することを目的とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本発明は、(8)上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の溶接方法により製造される排水用ドレン
の製造方法に存する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
本発明の排水用ドレン
の製造方法においては、上述した銅の溶接方法により製造されるので、熱膨張や酸化を引き起こさずに、薄肉銅板に対してティグ溶接を行うことができる。これにより、品質が十分に優れる排水用ドレンを得ることができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
本発明の薄肉銅板の溶接方法及び薄肉銅板の溶接装置は、銅平板と銅管とのティグ溶接に用いられる。すなわち、ティグ溶接により製造される排水用ドレン等の製造に用いられる。
また、本発明の排水用ドレン
の製造方法は、建造物、機器、土壌等に溜まった雨水、湧水、地下水、汚水等の排水を外部に排出するための装置
の製造方法として用いられる。
本発明の薄肉銅板の溶接方法、薄肉銅板の溶接装置及び排水用ドレン
の製造方法によれば、熱膨張や酸化を引き起こさずに、薄肉銅板に対してティグ溶接を行うことができる。
飾シートに存する。