(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-31119(P2018-31119A)
(43)【公開日】2018年3月1日
(54)【発明の名称】軒樋支持具
(51)【国際特許分類】
E04D 13/072 20060101AFI20180202BHJP
【FI】
E04D13/072 501S
E04D13/072 501P
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-161792(P2016-161792)
(22)【出願日】2016年8月22日
(71)【出願人】
【識別番号】593178409
【氏名又は名称】株式会社オーティス
(74)【代理人】
【識別番号】100087664
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 宏行
(72)【発明者】
【氏名】北村 昌司
(57)【要約】
【課題】施工現場において取付足部と樋支持部との連結位置の調整が不要とされる、出具合調節が可能な軒樋支持具を提供する。
【解決手段】軒樋支持具1は、軒先に固定される固定部30と、固定部30に連結されて軒先の前方に突出するように配される取付足部10と、取付足部10の前端部10aの下側に配された、軒樋3を支持する樋支持部20とを備えている。固定部30は2片の分離固定部31よりなり、取付足部10は、分離固定部31のそれぞれに対応してヒンジ結合された2片の足片11よりなり、足片11の前端部11aどうしがヒンジ結合されて拡開自在となっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軒先に固定される固定部と、該固定部に連結されて軒先の前方に突出するように配される取付足部と、該取付足部の前端部の下側に配された、軒樋を支持する樋支持部とを備えた軒樋支持具において、
前記固定部は2片の分離固定部よりなり、
前記取付足部は、前記分離固定部のそれぞれに対応してヒンジ結合された2片の足片よりなり、前記足片は前端部どうしがヒンジ結合されて拡開自在となっていることを特徴とする軒樋支持具。
【請求項2】
請求項1において、
前記取付足部の前端部には、連結軸として筒部が設けられており、
前記樋支持部は軸孔を有しており、
前記筒部と前記軸孔とにボルトを挿通してナットで固定されていることを特徴とする軒樋支持具。
【請求項3】
請求項2において、
前記樋支持部の軸孔は、前記ボルトがスライド自在な長孔状に形成されていることを特徴とする軒樋支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軒先に固定される固定部と、固定部に連結されて軒先の前方に突出するように配される取付足部と、取付足部の前端部の下側に配された、軒樋を支持する樋支持部とを備えた軒樋支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の軒樋支持具は、たとえば特許文献1に記載されたもののように、樋支持部が取付足部の前端部の下側に取り付けられ、長孔による前後方向のスライド移動により取付足部に対して進退自在とされるようになっており、その結果、軒樋の出具合が調節できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−91950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の軒樋支持具では、取付足部と樋支持部とは相互に別体であることが必須であり、たとえ合体された状態で現場に持ち込んだとしても、現場において取付足部と樋支持部との連結位置を調整しなければならず、そのために現場で固定具を締めたり緩めたりしなければならない。固定具を締めたり緩めたりする調節を現場で行うため、緩んだ状態のまま施工されるおそれがあった。
【0005】
本発明は、このような事情を介して提案されたもので、その目的は、施工現場において取付足部と樋支持部との連結位置の調整が不要とされる、出具合調節が可能な軒樋支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の軒樋支持具は、軒先に固定される固定部と、該固定部に連結されて軒先の前方に突出するように配される取付足部と、該取付足部の前端部の下側に配された、軒樋を支持する樋支持部とを備えた軒樋支持具において、前記固定部は2片の分離固定部よりなり、前記取付足部は、前記分離固定部のそれぞれに対応してヒンジ結合された2片の足片よりなり、前記足片は前端部どうしがヒンジ結合されて拡開自在となっていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の軒樋支持具は、前記取付足部の前端部には、連結軸として筒部が設けられており、前記樋支持部は軸孔を有しており、前記筒部と前記軸孔とにボルトを挿通してナットで固定されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の軒樋支持具は、樋支持部の軸孔は、前記ボルトがスライド自在な長孔状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の軒樋支持具によれば、上述した構成となっているため、施工現場において2片の足片を拡開させるだけで出具合調節が簡単にできる。その際には、取付足部と樋支持部との連結位置の調整を不要とすることができ、両部材間の連結を締めたり緩めたりすることにより発生するずれや、施工後の緩みを防止することができる。また、取付足部と樋支持部とが一体とすることもできる。
【0010】
請求項2に記載の軒樋支持具によれば、上述した構成となっているため、事前に取付足部と樋支持部とをボルト、ナットでしっかりと固定しておけば、現場では取付足部の足片の拡開具合だけを調整すればよく、迅速に施工をすることができる。
【0011】
請求項3に記載の軒樋支持具によれば、上述した構成となっているため、取付足部による調節と、取付足部と樋支持部との連結部での調節との両方の出具合調節ができ、両方を組み合わせて大きな長さ寸法の出具合にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る軒樋支持具の要部の斜視図である。
【
図3】(a)(b)は、軒樋支持具の2種の取付態様を示す概略平面図である。
【
図4】本発明の他の実施形態に係る軒樋支持具の取付状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面をもとに説明する。まず、以下の実施の形態に係る軒樋支持具1の基本構成について説明する。
【0014】
本軒樋支持具1は、軒先5に固定される固定部30と、固定部30に連結されて軒先5の前方に突出するように配される取付足部10と、取付足部10の前端部10aの下側に配された、軒樋5を支持する樋支持部20とを備えた支持具である。
【0015】
固定部30は2片の分離固定部31、31よりなる。一方、取付足部10は、分離固定部31、31のそれぞれに対応してヒンジ結合された2片の足片11、11よりなり、足片11、11は前端部11a、11aどうしがヒンジ結合されて拡開自在となっている。
【0016】
このような軒樋支持具1によれば、取付足部10の2片の足片11の回動角度θ(開き度合)(
図3参照)を種々異ならせることで、取付足部10に固定された樋支持部20の前後方向の距離、つまり軒樋3の軒先5からの出具合を調節することができる。
【0017】
ついで、
図1〜
図3を参照しながら、
図2に示した軒樋支持具1について詳細に説明する。
【0018】
図2に示した軒樋支持具1は、上述したように、取付足部10と、樋支持部20と、固定部30とを備えている。
【0019】
図1に示すように、取付足部10と固定部30とは一体化されて、樋支持部20(
図2参照)および軒樋3(
図2参照)を吊り支持する吊り支持部Aを構成している。
【0020】
取付足部10は、2片の足片11、11よりなり、その前端部11a、11aどうしがヒンジ結合されている。ヒンジ結合された前端部10aのヒンジ部15には、連結軸として筒部12が形成されている。また、それぞれの足片11の幅方法の両端には、他方の足片11側に突出した補強用突条11cが形成されている。
【0021】
また、固定部30は、それぞれに固定具挿通孔31aを有した2片の分離固定部31、31よりなり、それらの分離固定部31、31は横並びに離れた状態で外壁5に固定されるようになっている。分離固定部31の相互に近い側端縁部に足片11の後端部11bがヒンジ結合されて、ヒンジ部13、14が形成されている。
【0022】
吊り支持部Aはこのように3か所のヒンジ部13、14、15にて合体された状態で取り扱われ、現場での施工前においては、2つの足片11で形成されるV字の回動角度θ(
図3参照)を小さくしたり大きくしたりすることができるようになっている。
【0023】
樋支持部20は、
図2に示すように、軒樋3を直接吊り支持する部材であり、前端に軒樋前耳保持部21を、後端に軒樋後耳保持部22を有した構成とされ、それらの間の板状部23には、取付足部10と連結するための上下方向に通じる丸穴23aよりなる軸孔を有している。
図1に示すように、軒樋前耳保持部21に軒樋3の前耳3aが保持され、軒樋後耳保持部22に軒樋3の後耳3bが保持されるようにして、軒樋3が吊り支持されるようになっている。
【0024】
図2に示すように、吊り支持部Aと樋支持部20とは、吊り支持部Aの前端の筒部12の軸孔と樋支持部20の軸孔(丸孔23a)とを連通させ、その連通孔に下方よりボルト41を通して蝶ナット42で螺合することで連結、固定されている。
【0025】
以上に説明したように、取付足部10の足片11どうしが回動自在となっており、その回動角度θ(
図3参照)を変えることにより、取付足部10の後端部10bから前端部10aまでの側面視における距離L(
図2の矢印参照)を種々変えることができる。よって、
図3(a)(b)に例示するように、取付足部10の前端部10aに連結された樋支持部20および軒樋3の軒先からの出具合寸法を変えることができる。
【0026】
また、吊り支持部Aは3か所のヒンジ部13、14、15で回動自在な構成であるが、いったん2つの分離固定部31を外壁5に面接触するように固定した後には、ヒンジ部13、14、15が回動動作をすることがなく、軒樋支持具1は安定した固定状態で維持され得る。
【0027】
特に、本軒樋支持具1は、樋支持部20に長孔によるスライド構造を設けたものとは異なり、取付足部10、樋支持部20環の前後方向のずれが発生するおそれはほとんどない。
【0028】
このように、本軒樋支持具1は取付足部10で軒樋3の出具合を調節できるようになっているため、軒樋3の出具合を調節するための、たとえば長孔などによるスライド構造を樋支持部20に設ける必要がなく、樋支持部20をよりシンプルに、より強固に形成することができる。また、従前では出具合調節ができない、長孔を有さず丸孔にて取付足部10と連結できるようにした樋支持部20用の部品を、出具合調節可能な軒樋支持具1の部品として使用することができる。
【0029】
また、吊り支持部Aと樋支持部20とがいったん連結、固定された後は、連結用の固定具(ボルト41、蝶ナット42)を緩める必要がない。すなわち、人為的操作を要因とした両部材間での緩みは発生しにくい。
【0030】
このように軒樋3の施工の際に、吊り支持部Aと樋支持部20との連結を緩める必要がないから、両部材間を溶接などで固着させた軒樋支持具1を用いることもできる。両部材を固着一体化したものであれば、1部材として保管、運搬などの取り扱いができ、在庫管理を簡易化することもできる。
【0031】
また、板状部23に長孔23bを有した樋支持部20と、
図1に示した吊り支持部Aとを組み合わせて、
図4に示すような軒樋支持具1を構成することもできる。
【0032】
つまり、この軒樋支持具1は、樋支持部20の軸孔として長孔23bが板状部23に設けられており、筒部12の軸孔と樋支持部20の長孔23bとを上下に連通させ、その連通孔に下方よりボルト41を通して蝶ナット42で螺合することで両部材が連結、固定されるようになっている。
【0033】
このような構成によれば、取付足部10の足片11の角度調節による出具合調節(
図4における取付足部10の後端部10bから前端部10aまでの距離Lの調節)と、取付足部10と樋支持部20とのスライドによる出具合調節(長孔23bの長手方向の長さによる調節)とを個別に実施することができる。したがって、両方の調節機構を組み合わせた本軒樋支持具1によれば、軒樋3の軒先5からの出具合寸法をより大きくすることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 軒樋支持具
3 軒樋
3a 前耳
3b 後耳
5 外壁(軒先)
A 吊り支持部
10 取付足部
10a 前端部
10b 後端部
11 足片
11a 前端部
11b 後端部
11c 補強用突条
12 筒部
13、14、15 ヒンジ部
20 樋支持部
21 軒樋前耳保持部
22 軒樋後耳保持部
23 板状部
23a 丸穴(軸孔)
23b 長孔(軸孔)
30 固定部
31 分離固定部
31a 固定具挿通孔
41 ボルト
42 蝶ナット
【手続補正書】
【提出日】2017年7月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軒先に固定される固定部と、該固定部に連結されて軒先の前方に突出するように配される取付足部と、該取付足部の前端部の下側に配された、軒樋を支持する樋支持部とを備えた軒樋支持具において、
前記固定部は2片の分離固定部よりなり、
前記取付足部は、前記分離固定部のそれぞれに対応してヒンジ結合された2片の足片よりなり、前記足片は前端部どうしがヒンジ結合されて拡開自在となっており、
前記取付足部の前端部には、連結軸として筒部が設けられており、
前記樋支持部は軸孔を有しており、
前記筒部と前記軸孔とにボルトを挿通してナットで固定されていることを特徴とする軒樋支持具。
【請求項2】
請求項1において、
前記樋支持部の軸孔は、前記ボルトがスライド自在な長孔状に形成されていることを特徴とする軒樋支持具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の軒樋支持具は、軒先に固定される固定部と、該固定部に連結されて軒先の前方に突出するように配される取付足部と、該取付足部の前端部の下側に配された、軒樋を支持する樋支持部とを備えた軒樋支持具において、前記固定部は2片の分離固定部よりなり、前記取付足部は、前記分離固定部のそれぞれに対応してヒンジ結合された2片の足片よりなり、前記足片は前端部どうしがヒンジ結合されて拡開自在となっ
ており、取付足部の前端部には、連結軸として筒部が設けられており、樋支持部は軸孔を有しており、筒部と軸孔とにボルトを挿通してナットで固定されていることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
請求項2に記載の軒樋支持具は、樋支持部の軸孔は、前記ボルトがスライド自在な長孔状に形成されていることを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
また、上述した構成となっているため、事前に取付足部と樋支持部とをボルト、ナットでしっかりと固定しておけば、現場では取付足部の足片の拡開具合だけを調整すればよく、迅速に施工をすることができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項2に記載の軒樋支持具によれば、上述した構成となっているため、取付足部による調節と、取付足部と樋支持部との連結部での調節との両方の出具合調節ができ、両方を組み合わせて大きな長さ寸法の出具合にすることができる。