特開2018-32609(P2018-32609A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-32609(P2018-32609A)
(43)【公開日】2018年3月1日
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   H05F 3/02 20060101AFI20180202BHJP
   B63J 99/00 20090101ALI20180202BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20180202BHJP
【FI】
   H05F3/02 K
   B63J99/00 A
   G09F9/00 309Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-166364(P2016-166364)
(22)【出願日】2016年8月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100103218
【弁理士】
【氏名又は名称】牧村 浩次
(72)【発明者】
【氏名】國井 昌志
【テーマコード(参考)】
5G067
5G435
【Fターム(参考)】
5G067AA41
5G067DA02
5G435AA16
5G435BB12
5G435EE49
5G435GG34
5G435HH15
(57)【要約】
【課題】静電気の帯電の防止、スパーク防止などの静電気対策が施され、制御基板に搭載した電子部品の損傷などを防止することができる制御装置を提供する。
【解決手段】 スイッチ類12が搭載された制御基板16と、制御基板16を少なくとも部分的に覆うパネル14とを備え、スイッチ類12が、パネル14の表面に露出した制御装置10であって、制御基板16が、制御基板16に設けられ、外部に電気的に接地された接地部22と、スイッチ類12と接地部22とを接続する抵抗部20とを備え、スイッチ類12から静電気を外部に放電するように構成した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ類が搭載された制御基板と、制御基板を少なくとも部分的に覆うパネルとを備え、前記スイッチ類が、パネルの表面に露出した制御装置であって、
前記制御基板が、
前記制御基板に設けられ、外部に電気的に接地された接地部と、
前記スイッチ類と接地部とを接続する抵抗部とを備え、
前記スイッチ類から静電気を外部に放電するように構成したことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記スイッチ類が、複数個設けられており、前記複数のスイッチ類が、1つの抵抗部を介して、接地部に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記スイッチ類が、複数個設けられており、前記複数のスイッチ類がそれぞれ、1つの抵抗部を介して、接地部に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記スイッチ類が、切換スイッチ、ボリュームスイッチ、トリマー、または、表示部であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の制御装置。
【請求項5】
前記抵抗部の抵抗値が、500KΩ〜5MΩの範囲であること特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御装置が、船舶の内燃機関などの被利用機器に、燃料を供給する燃料供給装置の動粘度制御装置であること特徴とする1から5のいずれかに記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、制御基板に搭載された切換スイッチ、ボリュームスイッチ、トリマーなどの操作部、液晶表示などの表示部が、制御基板を覆う制御パネルの表面に露出した制御装置において、人がこれらの操作部、表示部に触れた際に発生する静電気を、外部に速やかに放電することが可能な制御装置に関する。
【0002】
また、本発明は、特に、船舶用の制御装置であって、例えば、船舶の内燃機関などの被利用機器に、燃料を供給する燃料供給装置の動粘度制御装置において、このような静電気対策が施された制御装置に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、例えば、制御基板に搭載された切換スイッチ、ボリュームスイッチ、トリマーなどの操作部、液晶表示などの表示部が、制御基板を覆う制御パネルの表面に露出した制御装置では、これらの操作部、表示部を、人が直接手で触れて各種の操作を行うように構成されている。
【0004】
このため、人がこれらの操作部、表示部に触れた際に、静電気が発生して、内部の制御基板、電子部品などが損傷して、制御装置が使用できないことになる。このような静電気によって、スパークが発生することもあり、制御装置が置かれる環境によっては、好ましくない状況になることもある。
【0005】
このような静電気による損傷などの問題を解決するために、制御装置に対して、各種の静電気対策が提案されている。
【0006】
例えば、特許文献1(特開2012−243272号公報)では、図6に示したように、液晶表示式のタッチパネル型の制御装置100において、静電気対策を施した構造が提案されている。
【0007】
すなわち、特許文献1の制御装置100では、図6に示したように、ケース本体102の半径方向内側の延出部104のリブ106を、制御基板108の開口110を介して、制御基板108の背後まで厚み方向に延設するようにしている。
【0008】
これにより、図6矢印で示したように、タッチパネル112の表面から、制御基板108に至るまでの沿面距離を長くして、タッチパネル112の表面と、制御基板108とを電気的に絶縁するために、必要な長さ(ギャップ)を確保できるようにしている。
【0009】
また、特許文献2(特開2001−175186号公報)では、図7に示したように、液晶表示式の表示装置200において、静電気対策を施した構造が提案されている。
【0010】
すなわち、特許文献2の表示装置200では、図7に示したように、導電性樹脂によって形成された照明用樹脂ケース202を備えている。そして、照明用樹脂ケース202の係止爪204が、プリント配線基板206の電気配線路208に当接するように構成されている。
【0011】
これによって、照明用樹脂ケース202から、照明用樹脂ケース202の係止爪204と電気配線路208との当接部分を経由して、電気配線路208に接続されたアース210に至る静電気排出回路が形成されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2012−243272号公報
【特許文献2】特開2001−175186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1の制御装置100では、電気的に絶縁するために、制御装置100の厚さ方向に必要な長さ(ギャップ)を確保しなければならず、厚みが大きくなって大型化してしまうことになる。
【0014】
また、制御基板108に開口110を設けたり、ケース本体102の延出部104のリブ106を、制御基板108の開口110を介して、制御基板108の背後まで厚み方向に延設すなければならず、複雑な構成となり、コストも高くつくことになる。
【0015】
特許文献2の表示装置200では、照明用樹脂ケース202の係止爪204を、プリント配線基板206の電気配線路208に当接させ、電気配線路208に接続されたアース210に至るようにしなければならず、複雑な構成となり、大型化してしまうことになる。
【0016】
また、照明用樹脂ケース202を、高価な導電性樹脂によって形成しなければならず、コストが高くつくことになる。
【0017】
ところで、例えば、タンカー、大型客船などの外国航路に就航する船舶は、航海日数が長くなり、また、このような巨大な船舶では、大量の燃料を消費することになる。このため、コストを削減するために、公海上などの航海状態では、比較的に価格の安い低質油である、MFO(Marine Fuel Oil)からなるC重油が使われている。
【0018】
一方、港湾内では、内燃機関の作動・停止などが多くなり、このため、燃料効率などの良好で比較的高価な高質油である、MGO(Marine Gas Oil)、MDO(Marine Diesel Oil)からなるA重油が使用されている。
【0019】
このため、このような船舶では、A重油とC重油を切り換えて内燃機関に供給している。この場合、供給ラインに供給される燃料の粘度が適切でない場合には、内燃機関の始動不良、作動不良、焼き付きなどの問題が生じる。
【0020】
このため、本出願人は、供給ラインを介して異なる種類の燃料を、例えば、船舶の内燃機関などの被利用機器に供給する燃料供給装置の動粘度制御装置を既に提供している。
【0021】
図8は、従来の燃料供給装置300の概略を示すブロック図である。
【0022】
図8に示したように、燃料供給装置300は、動粘度制御装置302を備えており、例えば、MGO(Marine Gas Oil)、MDO(Marine Diesel Oil)からなるA重油を収容した第1の燃料タンク304と、MFO(Marine Fuel Oil)からなるC重油を収容した第2の燃料タンク306を備えている。
【0023】
そして、第1の燃料タンク304に収容されたA重油は、第1の開閉弁308を介して、第1の取出しライン310を介して、三方弁からなる燃料切換弁312に導入されるようになっている。
【0024】
同様に、第2の燃料タンク306に収容されたC重油は、第2の開閉弁314を介して、第2の取出しライン316を介して、燃料切換弁312に導入されるようになっている。
【0025】
この燃料切換弁312により切り換えられた燃料(A重油またはC重油)は、供給ライン318を介して、燃料供給ポンプ320を通過することにより所定の圧力で、内燃機関あるメインエンジン322に供給されるように構成されている。
【0026】
また、メインエンジンで消費されない余剰の燃料は、循環開閉弁324を介して、循環ライン326を通り循環するように構成されている。すなわち、循環ライン326を流れる流体の種類に応じて、図示しない切換弁を介して、第1の燃料タンク304、または、第2の燃料タンク306に還流されるようになっている。
【0027】
さらに、燃料供給ポンプ320の下流側には、加熱装置を構成する、例えば、蒸気によって加熱するヒーター328を備えている。このヒーター328には、図示しない蒸気源からヒーター328に蒸気を供給する蒸気供給ライン330と、蒸気源からヒーター328に供給される蒸気量を調整するため開度が調整できる蒸気比例弁336を備えている。
【0028】
また、このヒーター328を通過することによって、熱交換された水分を貯留するリザーバー332が接続されている。
【0029】
一方、供給ライン318のヒーター328の下流側には、センサー部334が設けられており、このセンサー部334には、粘度センサー(差圧センサー)338と、温度センサー340が設けられている。
【0030】
なお、粘度センサー338は、粘性流体が一定の内径を有する細管内を一定流量の層流状態で流れた場合に、細管内の上流側と下流側で発生する圧力差と、流量との関係から、ハーゲン・ポアズイユ(Hagen−Poiseuille)流の法則により、連続的に粘度を求める細管式粘度計から構成されている。
【0031】
また、これらの粘度センサー338と、温度センサー340は、動粘度制御部342に接続されている。これらの粘度センサー338からの粘度情報と、温度センサー340からの温度情報に基づいて、動粘度制御部342において、供給ライン318を流れる燃料の動粘度を算出するように構成されている。
【0032】
そして、動粘度制御部342の動粘度の算出結果に基づいて、動粘度制御部342によって、供給ライン318に供給される燃料の粘度が高すぎる場合には、蒸気比例弁336の開度を上げて、、蒸気源からヒーター328に供給される蒸気量を上昇させて、ヒーター328によって、供給ライン318に供給される燃料の粘度を低下させるように構成されている。
【0033】
一方、動粘度制御部342の動粘度の算出結果に基づいて、動粘度制御部342によって、供給ライン318に供給される燃料の粘度が低すぎる場合には、蒸気比例弁336の開度を下げて、蒸気源からヒーター328に供給される蒸気量を減少させて、熱交換によって、供給ライン318に供給される燃料の粘度を上昇させるように構成されている。
【0034】
これによって、供給ライン318に供給される燃料の粘度を所定の範囲内になるようにして、供給ラインに供給される燃料の粘度が適切でない場合に生じる内燃機関の始動不良、作動不良、焼き付きなどを防止するように構成されている。
【0035】
なお、動粘度制御装置302には、動粘度制御部342に接続された制御パネル344が設けられており、制御モード切換、温度設定および温度表示、動粘度設定および動粘度表示、各種アラーム表示などをするように構成されている。
【0036】
このように構成される動粘度制御装置302の制御パネル344は、例えば、石油タンカーなどに搭載されるため、スパークなどが発生しないように、十分な静電気対策が必要である。
【0037】
また、制御パネル344は、切換スイッチ、ボリュームスイッチ、トリマーなどの操作部、液晶表示などの表示部を備えており、人が直接手で触れて各種の操作を行うので、静電気に晒される可能性がある。
【0038】
従って、このような操作部、表示部から侵入した静電気は、容易に、スパークしたり、電子回路まで静電気が回り、制御基板に搭載した電子部品を損傷してしまい、その結果、制御が不能となってしまうおそれがある。
【0039】
すなわち、この場合、動粘度制御装置302の制御パネル344では、例えば、スライドスイッチは、アラームマスク時間の設定に使用しており、電子部品のポートが損傷すると、時間が設定されなくなる。
【0040】
また、アナログボリュームは、温度、動粘度のアラーム設定などに使用しており、電子部品のポートが損傷すると、適切な設定ができなくなり、温度、動粘度のアラーム設定などが固定値となってしまい、最悪の場合、アラームが表示したままになってしまう。
【0041】
本発明は、このような現状に鑑み、複雑な構成とならず、簡単な構成で、大型化してしまうことなく、コストも低減することが可能で、静電気の帯電の防止、スパーク防止などの静電気対策が施され、制御基板に搭載した電子部品の損傷などを防止することができる制御装置を提供することを目的とする。
【0042】
また、本発明は、例えば、切換スイッチ、ボリュームスイッチ、トリマーなどの操作部、液晶表示などの表示部を備えており、人が直接手で触れて各種の操作を行う動粘度制御装置に好適で、静電気の帯電の防止、スパーク防止などの静電気対策が施され、制御基板に搭載した電子部品の損傷などを防止することができる制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0043】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の制御装置は、
スイッチ類が搭載された制御基板と、制御基板を少なくとも部分的に覆うパネルとを備え、前記スイッチ類が、パネルの表面に露出した制御装置であって、
前記制御基板が、
前記制御基板に設けられ、外部に電気的に接地された接地部と、
前記スイッチ類と接地部とを接続する抵抗部とを備え、
前記スイッチ類から静電気を外部に放電するように構成したことを特徴とする。
【0044】
このように構成することによって、人が直接手で触れて各種の操作を行う、例えば、切換スイッチ、ボリュームスイッチ、トリマーなどの操作部、液晶表示などの表示部などのスイッチ類から、抵抗部、接地部を介して、外部に至る静電気の放電経路が形成されることになる。
【0045】
このため、複雑な構成とならず、簡単な構成で、大型化してしまうことなく、コストも低減することが可能であり、静電気の帯電の防止、スパーク防止などの静電気対策が施され、制御基板に搭載した電子部品の損傷などを防止することができる制御装置を提供することができる。
【0046】
また、本発明の制御装置は、前記スイッチ類が、複数個設けられており、前記複数のスイッチ類が、1つの抵抗部を介して、接地部に接続されていることを特徴とする。
【0047】
このように構成することによって、スイッチ類が、複数個設けられており、複数のスイッチ類が、1つの抵抗部を介して、接地部に接続されているので、部品点数も少なく、簡単な構造で、制御装置が大型化することなく、コストも低減することができる。
【0048】
また、本発明の制御装置は、前記スイッチ類が、複数個設けられており、前記複数のスイッチ類がそれぞれ、1つの抵抗部を介して、接地部に接続されていることを特徴とする。
【0049】
このように構成することによって、スイッチ類が、複数個設けられており、複数のスイッチ類がそれぞれ、1つの抵抗部を介して、接地部に接続されているので、サイズの小さな抵抗を使うことができる。従って、回路パターンを容易に設計することができる。
【0050】
また、本発明の制御装置は、前記スイッチ類が、切換スイッチ、ボリュームスイッチ、トリマー、または、表示部であることを特徴とする。
【0051】
このように構成することによって、例えば、切換スイッチ、ボリュームスイッチ、トリマーなどの操作部、液晶表示などの表示部などのスイッチ類から、抵抗部、接地部を介して、外部に至る静電気の放電経路が形成されることになる。
【0052】
また、本発明の制御装置は、前記抵抗部の抵抗値が、500KΩ〜5MΩの範囲であること特徴とする。
【0053】
このように、抵抗部の抵抗値が、500KΩ〜5MΩの範囲であれば、静電気が帯電せず、制御基板に搭載した電子部品の損傷などを効果的に防止することができる。
【0054】
すなわち、抵抗部の抵抗値が、500KΩより低い場合には、スイッチ類から静電気が印加されると、接地部に一瞬、大電流という形で電流が流れるこになる。
その際、絶縁破壊という形で空気中に電流が流れてしまい、この現象が電気火花現象となる。すなわち、抵抗部の抵抗値が、500KΩより低い場合には、抵抗値が低すぎて、スパークが発生しやすくなるからである。
【0055】
従って、本発明の制御装置を、例えば、船舶の内燃機関などの被利用機器に、燃料を供給する燃料供給装置の動粘度制御装置に適用した場合に、スパークが発生するのを効果的に防止することができ、これにより、爆発や火災などの2次災害を防止できる。
【0056】
一方、抵抗部の抵抗値が、5MΩより高い場合には、抵抗部を介して接地部に電流が流れにくくなる。このため、スイッチ類から入ってきた静電気を外部に放電しにくくなってしまい、その結果、制御基板、電子部品などが損傷して、電子回路へ悪影響を及ぼし、制御装置が使用できないことになるからである。
【0057】
また、本発明の制御装置は、前記制御装置が、船舶の内燃機関などの被利用機器に、燃料を供給する燃料供給装置の動粘度制御装置であること特徴とする。
【0058】
このように構成することによって、例えば、石油タンカーなどに搭載した際に、スパークなどが発生せずに、十分な静電気対策を施すことができる。
【0059】
従って、例えば、切換スイッチ、ボリュームスイッチ、トリマーなどの操作部、液晶表示などの表示部を備えており、人が直接手で触れて各種の操作を行う動粘度制御装置に好適で、静電気の帯電の防止、スパーク防止などの静電気対策が施され、制御基板に搭載した電子部品の損傷などを防止することができる。
【0060】
すなわち、例えば、スライドスイッチは、アラームマスク時間の設定に使用しており、電子部品のポートが損傷すると、時間が設定されなくなるが、これを効果的に防止することができる。
【0061】
また、アナログボリュームは、温度、動粘度のアラーム設定などに使用しており、電子部品のポートが損傷すると、適切な設定ができなくなり、温度、動粘度のアラーム設定などが固定値となってしまい、最悪の場合、アラームが表示したままになってしまうが、これを効果的に防止することができる。
【0062】
さらに、本発明の制御装置を、船舶の内燃機関などの被利用機器に、燃料を供給する燃料供給装置の動粘度制御装置に適用した場合に、スパークが発生するのを効果的に防止することができ、これにより、爆発や火災などの2次災害を防止できる。
【発明の効果】
【0063】
本発明によれば、人が直接手で触れて各種の操作を行う、例えば、切換スイッチ、ボリュームスイッチ、トリマーなどの操作部、液晶表示などの表示部などのスイッチ類から、抵抗部、接地部を介して、外部に至る静電気の放電経路が形成されることになる。
【0064】
このため、複雑な構成とならず、簡単な構成で、大型化してしまうことなく、コストも低減することが可能であり、静電気の帯電の防止、スパーク防止などの静電気対策が施され、制御基板に搭載した電子部品の損傷などを防止することができる制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1図1は、本発明の制御装置10の概略を示す概略図である。
図2図2は、本発明の制御装置を船舶の燃料供給装置の動粘度制御装置に適用した実施例を示す制御装置10の概略を説明する分解斜視図である。
図3図3は、図2の制御装置10のパネル14の正面図である。
図4図4は、図2の制御装置10の制御基板16の正面図である。
図5図5は、本発明の制御装置を船舶の燃料供給装置の動粘度制御装置に適用した別の実施例を示す制御装置10の概略を説明する分解斜視図である。
図6図6は、従来の特許文献1の制御装置100の断面図である。
図7図7は、従来の特許文献2の表示装置200の分解斜視図である。
図8図8は、従来の燃料供給装置300の概略を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
(実施例1)
【0067】
図1は、本発明の制御装置10の概略を示す概略図である。
【0068】
図1に示したように、符号10は、全体で本発明の制御装置10を示しており、制御装置10は、スイッチ類12が搭載された制御基板16と、制御基板16を少なくとも部分的に覆うパネル14とを備えており、スイッチ類12が、パネル14の表面に露出した構造である。
【0069】
そして、パネル14の裏側には、制御基板16が設けられており、制御基板16には、接続配線18を介して、抵抗部20に接続されている。
【0070】
さらに、制御基板16には、外部に電気的に接地された接地部22を備えており、この接地部22が、接続配線24を介して、抵抗部20に接続されている。
【0071】
これにより、スイッチ類12から静電気を外部に放電するように構成されている。
【0072】
なお、スイッチ類12は、例えば、切換スイッチ、ボリュームスイッチ、トリマーなどの操作部、液晶表示などの表示部などであって、特に限定されるものではない。
【0073】
このように構成することによって、人が直接手で触れて各種の操作を行う、例えば、切換スイッチ、ボリュームスイッチ、トリマーなどの操作部、液晶表示などの表示部などのスイッチ類12から、抵抗部20、接地部22を介して、外部に至る静電気の放電経路が形成されることになる。
【0074】
このため、複雑な構成とならず、簡単な構成で、大型化してしまうことなく、コストも低減することが可能であり、静電気の帯電の防止、スパーク防止などの静電気対策が施され、制御基板16に搭載した電子部品の損傷などを防止することができる制御装置10を提供することができる。
【0075】
なお、この場合、抵抗部20の抵抗値が、500KΩ〜5MΩの範囲であるのが望ましい。
【0076】
このように、抵抗部20の抵抗値が、500KΩ〜5MΩの範囲であれば、静電気が帯電せず、制御基板16に搭載した電子部品の損傷などを効果的に防止することができる。
【0077】
すなわち、抵抗部20の抵抗値が、500KΩより低い場合には、スイッチ類12から静電気が印加されると、接地部22に一瞬、大電流という形で電流が流れるこになる。
その際、絶縁破壊という形で空気中に電流が流れてしまい、この現象が電気火花現象となる。すなわち、抵抗部20の抵抗値が、500KΩより低い場合には、抵抗値が低すぎて、スパークが発生しやすくなるからである。
【0078】
従って、本発明の制御装置10を、例えば、船舶の内燃機関などの被利用機器に、燃料を供給する燃料供給装置の動粘度制御装置に適用した場合に、スパークが発生するのを効果的に防止することができ、これにより、爆発や火災などの2次災害を防止できる。
【0079】
一方、抵抗部20の抵抗値が、5MΩより高い場合には、抵抗部20を介して接地部22に電流が流れにくくなる。このため、スイッチ類12から入ってきた静電気を外部に放電しにくくなってしまい、その結果、制御基板16、電子部品などが損傷して、電子回路へ悪影響を及ぼし、制御装置10が使用できないことになるからである。
(実施例2)
【0080】
図2は、本発明の制御装置を船舶の燃料供給装置の動粘度制御装置に適用した実施例を示す制御装置10の概略を説明する分解斜視図、図3は、図2の制御装置10のパネル14の正面図、図4は、図2の制御装置10の制御基板16の正面図である。
【0081】
この実施例の制御装置10は、図1に示したと基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0082】
この実施例の制御装置10は、図8に示した燃料供給装置300の動粘度制御装置302の制御パネル344に適用したものである。
【0083】
図2に示したように、スイッチ類12が搭載された制御基板16と、制御基板16を少なくとも部分的に覆うパネル14とを備えており、スイッチ類12が、パネル14の表面に露出した構造である。
【0084】
そして、パネル14の裏側には、制御基板16が設けられており、制御基板16には、接続配線18を介して、1つの抵抗部20に接続されている。
【0085】
さらに、制御基板16には、外部に電気的に接地された接地部22を備えており、この接地部22が、接続配線24を介して、抵抗部20に接続されている。
【0086】
これにより、スイッチ類12から静電気を外部に放電するように構成されている。
【0087】
この実施例の制御装置10では、スイッチ類12が、図3図4に示したように、MFOのアラームを設定(「MFO ALARM SET」)するための、ボリュームスイッチからなる4個のスイッチを備えている。
【0088】
すなわち、高粘度設定(「H.VISCO」)のためのスイッチ12a、低粘度設定(「L.VISCO」)のためのスイッチ12b、高温度設定(「H.TEMP」)のためのスイッチ12c、低温度設定(「L.TEMP」)のためのスイッチ12dを備えている。
【0089】
また、MGOのアラームを設定(「MGO ALARM SET」)するための、ボリュームスイッチからなる2個のスイッチを備えている。
【0090】
すなわち、低粘度設定(「L.VISCO」)のためのスイッチ12e、高温度設定(「H.TEMP」)のためのスイッチ12fを備えている。
【0091】
さらに、アラームマスク時間の設定(「VIS. ALARM TIMER」)するためのスライドスイッチからなるスイッチ12gを備えている。
【0092】
これらのスイッチ12a〜12gは、図3図4に示したように、パネル14の表面に露出するとともに、制御基板16に搭載されている。
【0093】
これらのスイッチ12a〜12gが、図4に示したように、接続配線18a〜18gを介して、抵抗部20に接続され、接地部22が、接続配線24を介して、抵抗部20に接続されている。
【0094】
これにより、スイッチ12a〜12gから制御基板16に帯電する静電気を外部に放電するように構成されている。
【0095】
なお、この実施例では、スイッチ類12として、スイッチ12a〜12gから構成したが、例えば、切換スイッチ、ボリュームスイッチ、トリマーなどの操作部、液晶表示などの表示部などであって、特に限定されるものではない。
【0096】
このように構成することによって、本発明の制御装置10を、例えば、石油タンカーなどに搭載した際に、スパークなどが発生せずに、十分な静電気対策を施すことができる。
【0097】
従って、例えば、切換スイッチ、ボリュームスイッチ、トリマーなどの操作部、液晶表示などの表示部を備えており、人が直接手で触れて各種の操作を行う動粘度制御装置に好適で、静電気の帯電の防止、スパーク防止などの静電気対策が施され、制御基板16に搭載した電子部品の損傷などを防止することができる。
【0098】
すなわち、例えば、スライドスイッチからなるスイッチ12gは、アラームマスク時間の設定に使用しており、電子部品のポートが損傷すると、時間が設定されなくなるが、これを効果的に防止することができる。
【0099】
また、アナログボリュームからなるスイッチ12a〜12fは、温度、動粘度のアラーム設定などに使用しており、電子部品のポートが損傷すると、適切な設定ができなくなり、温度、動粘度のアラーム設定などが固定値となってしまい、最悪の場合、アラームが表示したままになってしまうが、これを効果的に防止することができる。
【0100】
この場合、スイッチ類12が、複数個(例えば、スイッチ12a〜12g)設けられており、複数のスイッチ類12が、1つの抵抗部20を介して、接地部22に接続されているので、部品点数も少なく、簡単な構造で、制御装置が大型化することなく、コストも低減することができる。
【0101】
さらに、本発明の制御装置10を、船舶の内燃機関などの被利用機器に、燃料を供給する燃料供給装置300の動粘度制御装置302に適用した場合に、スパークが発生するのを効果的に防止することができ、これにより、爆発や火災などの2次災害を防止できる。
(実施例3)
【0102】
図5は、本発明の制御装置を船舶の燃料供給装置の動粘度制御装置に適用した別の実施例を示す制御装置10の概略を説明する分解斜視図である。
【0103】
この実施例の制御装置10は、図1に示したと基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0104】
この実施例の制御装置10では、図5に示したように、スイッチ類12が、複数個(この実施例の場合、スイッチ12a〜12g)設けられており、複数のスイッチ類12がそれぞれ、1つの抵抗部20(この実施例の場合、抵抗部20a〜20g)を介して、接地部22に接続されている。
【0105】
このように構成することによって、スイッチ類12が、複数個設けられており、複数のスイッチ類12(スイッチ12a〜12g)がそれぞれ、1つの抵抗部20(抵抗部20a〜20g)を介して、接地部22に接続されているので、サイズの小さな抵抗を使うことができる。従って、回路パターンを容易に設計することができる。
【0106】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、本発明の制御装置10を船舶の燃料供給装置の動粘度制御装置に適用した実施例を示したが、これ以外でも、例えば、プラント機器、プリンター、FAXなどの電子機器などの制御装置に適用することも可能であるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、例えば、制御基板に搭載された切換スイッチ、ボリュームスイッチ、トリマーなどの操作部、液晶表示などの表示部が、制御基板を覆う制御パネルの表面に露出した制御装置において、人がこれらの操作部、表示部に触れた際に発生する静電気を、外部に速やかに放電することが可能な制御装置に適用することができる。
【0108】
また、本発明は、特に、船舶用の制御装置であって、例えば、船舶の内燃機関などの被利用機器に、燃料を供給する燃料供給装置の動粘度制御装置において、このような静電気対策が施された制御装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0109】
10 制御装置
12 スイッチ類
12a-12g スイッチ
14 パネル
16 制御基板
18 接続配線
18a〜18g 接続配線
20 抵抗部
20a-20g 抵抗部
22 接地部
24 接続配線
100 制御装置
102 ケース本体
104 延出部
106 リブ
108 制御基板
110 開口
112 タッチパネル
200 表示装置
202 照明用樹脂ケース
204 係止爪
206 プリント配線基板
208 電気配線路
210 アース
300 燃料供給装置
302 動粘度制御装置
304 第1の燃料タンク
306 第2の燃料タンク
308 第1の開閉弁
310 第1の取出しライン
312 燃料切換弁
314 第2の開閉弁
316 第2の取出しライン
318 供給ライン
320 燃料供給ポンプ
322 メインエンジン
324 循環開閉弁
326 循環ライン
328 ヒーター
330 蒸気供給ライン
332 リザーバー
334 センサー部
336 蒸気比例弁
338 粘度センサー
340 温度センサー
342 動粘度制御部
344 制御パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8