【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1の制御装置100では、電気的に絶縁するために、制御装置100の厚さ方向に必要な長さ(ギャップ)を確保しなければならず、厚みが大きくなって大型化してしまうことになる。
【0014】
また、制御基板108に開口110を設けたり、ケース本体102の延出部104のリブ106を、制御基板108の開口110を介して、制御基板108の背後まで厚み方向に延設すなければならず、複雑な構成となり、コストも高くつくことになる。
【0015】
特許文献2の表示装置200では、照明用樹脂ケース202の係止爪204を、プリント配線基板206の電気配線路208に当接させ、電気配線路208に接続されたアース210に至るようにしなければならず、複雑な構成となり、大型化してしまうことになる。
【0016】
また、照明用樹脂ケース202を、高価な導電性樹脂によって形成しなければならず、コストが高くつくことになる。
【0017】
ところで、例えば、タンカー、大型客船などの外国航路に就航する船舶は、航海日数が長くなり、また、このような巨大な船舶では、大量の燃料を消費することになる。このため、コストを削減するために、公海上などの航海状態では、比較的に価格の安い低質油である、MFO(Marine Fuel Oil)からなるC重油が使われている。
【0018】
一方、港湾内では、内燃機関の作動・停止などが多くなり、このため、燃料効率などの良好で比較的高価な高質油である、MGO(Marine Gas Oil)、MDO(Marine Diesel Oil)からなるA重油が使用されている。
【0019】
このため、このような船舶では、A重油とC重油を切り換えて内燃機関に供給している。この場合、供給ラインに供給される燃料の粘度が適切でない場合には、内燃機関の始動不良、作動不良、焼き付きなどの問題が生じる。
【0020】
このため、本出願人は、供給ラインを介して異なる種類の燃料を、例えば、船舶の内燃機関などの被利用機器に供給する燃料供給装置の動粘度制御装置を既に提供している。
【0021】
図8は、従来の燃料供給装置300の概略を示すブロック図である。
【0022】
図8に示したように、燃料供給装置300は、動粘度制御装置302を備えており、例えば、MGO(Marine Gas Oil)、MDO(Marine Diesel Oil)からなるA重油を収容した第1の燃料タンク304と、MFO(Marine Fuel Oil)からなるC重油を収容した第2の燃料タンク306を備えている。
【0023】
そして、第1の燃料タンク304に収容されたA重油は、第1の開閉弁308を介して、第1の取出しライン310を介して、三方弁からなる燃料切換弁312に導入されるようになっている。
【0024】
同様に、第2の燃料タンク306に収容されたC重油は、第2の開閉弁314を介して、第2の取出しライン316を介して、燃料切換弁312に導入されるようになっている。
【0025】
この燃料切換弁312により切り換えられた燃料(A重油またはC重油)は、供給ライン318を介して、燃料供給ポンプ320を通過することにより所定の圧力で、内燃機関あるメインエンジン322に供給されるように構成されている。
【0026】
また、メインエンジンで消費されない余剰の燃料は、循環開閉弁324を介して、循環ライン326を通り循環するように構成されている。すなわち、循環ライン326を流れる流体の種類に応じて、図示しない切換弁を介して、第1の燃料タンク304、または、第2の燃料タンク306に還流されるようになっている。
【0027】
さらに、燃料供給ポンプ320の下流側には、加熱装置を構成する、例えば、蒸気によって加熱するヒーター328を備えている。このヒーター328には、図示しない蒸気源からヒーター328に蒸気を供給する蒸気供給ライン330と、蒸気源からヒーター328に供給される蒸気量を調整するため開度が調整できる蒸気比例弁336を備えている。
【0028】
また、このヒーター328を通過することによって、熱交換された水分を貯留するリザーバー332が接続されている。
【0029】
一方、供給ライン318のヒーター328の下流側には、センサー部334が設けられており、このセンサー部334には、粘度センサー(差圧センサー)338と、温度センサー340が設けられている。
【0030】
なお、粘度センサー338は、粘性流体が一定の内径を有する細管内を一定流量の層流状態で流れた場合に、細管内の上流側と下流側で発生する圧力差と、流量との関係から、ハーゲン・ポアズイユ(Hagen−Poiseuille)流の法則により、連続的に粘度を求める細管式粘度計から構成されている。
【0031】
また、これらの粘度センサー338と、温度センサー340は、動粘度制御部342に接続されている。これらの粘度センサー338からの粘度情報と、温度センサー340からの温度情報に基づいて、動粘度制御部342において、供給ライン318を流れる燃料の動粘度を算出するように構成されている。
【0032】
そして、動粘度制御部342の動粘度の算出結果に基づいて、動粘度制御部342によって、供給ライン318に供給される燃料の粘度が高すぎる場合には、蒸気比例弁336の開度を上げて、、蒸気源からヒーター328に供給される蒸気量を上昇させて、ヒーター328によって、供給ライン318に供給される燃料の粘度を低下させるように構成されている。
【0033】
一方、動粘度制御部342の動粘度の算出結果に基づいて、動粘度制御部342によって、供給ライン318に供給される燃料の粘度が低すぎる場合には、蒸気比例弁336の開度を下げて、蒸気源からヒーター328に供給される蒸気量を減少させて、熱交換によって、供給ライン318に供給される燃料の粘度を上昇させるように構成されている。
【0034】
これによって、供給ライン318に供給される燃料の粘度を所定の範囲内になるようにして、供給ラインに供給される燃料の粘度が適切でない場合に生じる内燃機関の始動不良、作動不良、焼き付きなどを防止するように構成されている。
【0035】
なお、動粘度制御装置302には、動粘度制御部342に接続された制御パネル344が設けられており、制御モード切換、温度設定および温度表示、動粘度設定および動粘度表示、各種アラーム表示などをするように構成されている。
【0036】
このように構成される動粘度制御装置302の制御パネル344は、例えば、石油タンカーなどに搭載されるため、スパークなどが発生しないように、十分な静電気対策が必要である。
【0037】
また、制御パネル344は、切換スイッチ、ボリュームスイッチ、トリマーなどの操作部、液晶表示などの表示部を備えており、人が直接手で触れて各種の操作を行うので、静電気に晒される可能性がある。
【0038】
従って、このような操作部、表示部から侵入した静電気は、容易に、スパークしたり、電子回路まで静電気が回り、制御基板に搭載した電子部品を損傷してしまい、その結果、制御が不能となってしまうおそれがある。
【0039】
すなわち、この場合、動粘度制御装置302の制御パネル344では、例えば、スライドスイッチは、アラームマスク時間の設定に使用しており、電子部品のポートが損傷すると、時間が設定されなくなる。
【0040】
また、アナログボリュームは、温度、動粘度のアラーム設定などに使用しており、電子部品のポートが損傷すると、適切な設定ができなくなり、温度、動粘度のアラーム設定などが固定値となってしまい、最悪の場合、アラームが表示したままになってしまう。
【0041】
本発明は、このような現状に鑑み、複雑な構成とならず、簡単な構成で、大型化してしまうことなく、コストも低減することが可能で、静電気の帯電の防止、スパーク防止などの静電気対策が施され、制御基板に搭載した電子部品の損傷などを防止することができる制御装置を提供することを目的とする。
【0042】
また、本発明は、例えば、切換スイッチ、ボリュームスイッチ、トリマーなどの操作部、液晶表示などの表示部を備えており、人が直接手で触れて各種の操作を行う動粘度制御装置に好適で、静電気の帯電の防止、スパーク防止などの静電気対策が施され、制御基板に搭載した電子部品の損傷などを防止することができる制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0043】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の制御装置は、
スイッチ類が搭載された制御基板と、制御基板を少なくとも部分的に覆うパネルとを備え、前記スイッチ類が、パネルの表面に露出した制御装置であって、
前記制御基板が、
前記制御基板に設けられ、外部に電気的に接地された接地部と、
前記スイッチ類と接地部とを接続する抵抗部とを備え、
前記スイッチ類から静電気を外部に放電するように構成したことを特徴とする。
【0044】
このように構成することによって、人が直接手で触れて各種の操作を行う、例えば、切換スイッチ、ボリュームスイッチ、トリマーなどの操作部、液晶表示などの表示部などのスイッチ類から、抵抗部、接地部を介して、外部に至る静電気の放電経路が形成されることになる。
【0045】
このため、複雑な構成とならず、簡単な構成で、大型化してしまうことなく、コストも低減することが可能であり、静電気の帯電の防止、スパーク防止などの静電気対策が施され、制御基板に搭載した電子部品の損傷などを防止することができる制御装置を提供することができる。
【0046】
また、本発明の制御装置は、前記スイッチ類が、複数個設けられており、前記複数のスイッチ類が、1つの抵抗部を介して、接地部に接続されていることを特徴とする。
【0047】
このように構成することによって、スイッチ類が、複数個設けられており、複数のスイッチ類が、1つの抵抗部を介して、接地部に接続されているので、部品点数も少なく、簡単な構造で、制御装置が大型化することなく、コストも低減することができる。
【0048】
また、本発明の制御装置は、前記スイッチ類が、複数個設けられており、前記複数のスイッチ類がそれぞれ、1つの抵抗部を介して、接地部に接続されていることを特徴とする。
【0049】
このように構成することによって、スイッチ類が、複数個設けられており、複数のスイッチ類がそれぞれ、1つの抵抗部を介して、接地部に接続されているので、サイズの小さな抵抗を使うことができる。従って、回路パターンを容易に設計することができる。
【0050】
また、本発明の制御装置は、前記スイッチ類が、切換スイッチ、ボリュームスイッチ、トリマー、または、表示部であることを特徴とする。
【0051】
このように構成することによって、例えば、切換スイッチ、ボリュームスイッチ、トリマーなどの操作部、液晶表示などの表示部などのスイッチ類から、抵抗部、接地部を介して、外部に至る静電気の放電経路が形成されることになる。
【0052】
また、本発明の制御装置は、前記抵抗部の抵抗値が、500KΩ〜5MΩの範囲であること特徴とする。
【0053】
このように、抵抗部の抵抗値が、500KΩ〜5MΩの範囲であれば、静電気が帯電せず、制御基板に搭載した電子部品の損傷などを効果的に防止することができる。
【0054】
すなわち、抵抗部の抵抗値が、500KΩより低い場合には、スイッチ類から静電気が印加されると、接地部に一瞬、大電流という形で電流が流れるこになる。
その際、絶縁破壊という形で空気中に電流が流れてしまい、この現象が電気火花現象となる。すなわち、抵抗部の抵抗値が、500KΩより低い場合には、抵抗値が低すぎて、スパークが発生しやすくなるからである。
【0055】
従って、本発明の制御装置を、例えば、船舶の内燃機関などの被利用機器に、燃料を供給する燃料供給装置の動粘度制御装置に適用した場合に、スパークが発生するのを効果的に防止することができ、これにより、爆発や火災などの2次災害を防止できる。
【0056】
一方、抵抗部の抵抗値が、5MΩより高い場合には、抵抗部を介して接地部に電流が流れにくくなる。このため、スイッチ類から入ってきた静電気を外部に放電しにくくなってしまい、その結果、制御基板、電子部品などが損傷して、電子回路へ悪影響を及ぼし、制御装置が使用できないことになるからである。
【0057】
また、本発明の制御装置は、前記制御装置が、船舶の内燃機関などの被利用機器に、燃料を供給する燃料供給装置の動粘度制御装置であること特徴とする。
【0058】
このように構成することによって、例えば、石油タンカーなどに搭載した際に、スパークなどが発生せずに、十分な静電気対策を施すことができる。
【0059】
従って、例えば、切換スイッチ、ボリュームスイッチ、トリマーなどの操作部、液晶表示などの表示部を備えており、人が直接手で触れて各種の操作を行う動粘度制御装置に好適で、静電気の帯電の防止、スパーク防止などの静電気対策が施され、制御基板に搭載した電子部品の損傷などを防止することができる。
【0060】
すなわち、例えば、スライドスイッチは、アラームマスク時間の設定に使用しており、電子部品のポートが損傷すると、時間が設定されなくなるが、これを効果的に防止することができる。
【0061】
また、アナログボリュームは、温度、動粘度のアラーム設定などに使用しており、電子部品のポートが損傷すると、適切な設定ができなくなり、温度、動粘度のアラーム設定などが固定値となってしまい、最悪の場合、アラームが表示したままになってしまうが、これを効果的に防止することができる。
【0062】
さらに、本発明の制御装置を、船舶の内燃機関などの被利用機器に、燃料を供給する燃料供給装置の動粘度制御装置に適用した場合に、スパークが発生するのを効果的に防止することができ、これにより、爆発や火災などの2次災害を防止できる。