特開2018-32842(P2018-32842A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2018-32842インダクター及びそれを備えたパッケージ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-32842(P2018-32842A)
(43)【公開日】2018年3月1日
(54)【発明の名称】インダクター及びそれを備えたパッケージ
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/02 20060101AFI20180202BHJP
   H01L 25/04 20140101ALI20180202BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20180202BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20180202BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20180202BHJP
【FI】
   H01F15/02 R
   H01L25/04 Z
   H01F17/00 B
   H01F17/04 N
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-64331(P2017-64331)
(22)【出願日】2017年3月29日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0107621
(32)【優先日】2016年8月24日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リム、スン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ヒュン ジク
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB01
5E070AB10
5E070BB03
5E070CB02
5E070CB06
5E070CB12
5E070CB18
5E070DA12
5E070EA01
(57)【要約】
【課題】
本発明は、インダクター及びそれを備えたパッケージに関する。
【解決手段】
本発明の一実施形態によるインダクターは、互いに対向する第1面及び第2面、上記第1面及び第2面を連結する複数の側面を含む本体と、複数の本体の側面のうち互いに対向する第3面及び第4面に形成され、且つ第1面及び第2面の一部まで延びて形成された第1及び第2外部電極と、第1面及び第2面において第1外部電極と第2外部電極との間に配置された応力緩衝層と、を含むことで、パッケージ時にインダクターの内部に生じる応力を最小化し、製品の信頼性を確保することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にコイル部が配置されており、互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面及び第2面を連結する複数の側面を含む本体と、
前記本体の前記複数の側面のうち互いに対向する第3面及び第4面に形成され、且つ前記第1面及び第2面の一部まで延びて形成された第1及び第2外部電極と、
前記第1面及び第2面において前記第1外部電極と第2外部電極との間に配置された応力緩衝層と、を含むインダクター。
【請求項2】
前記応力緩衝層の剛性は、前記第1及び第2外部電極の剛性と同一であるかまたはより大きい、請求項1に記載のインダクター。
【請求項3】
前記応力緩衝層のモジュラスは、前記第1及び第2外部電極のモジュラス以上である、請求項1または請求項2に記載のインダクター。
【請求項4】
前記応力緩衝層は、前記第1面及び第2面において前記第1及び第2外部電極が形成された領域を除いた領域に配置される、請求項1から請求項3の何れか一項に記載のインダクター。
【請求項5】
前記応力緩衝層は、アルミナ(Al)及びシリカ(SiO)から選択された1つからなる、請求項1から請求項4の何れか一項に記載のインダクター。
【請求項6】
前記応力緩衝層の厚さは前記外部電極の厚さと同一である、請求項1から請求項5の何れか一項に記載のインダクター。
【請求項7】
前記第1及び第2外部電極は、前記複数の側面のうち互いに対向し、前記第3面及び第4面と連結された第5面及び第6面の一部まで延びて形成される、請求項1から請求項6の何れか一項に記載のインダクター。
【請求項8】
前記応力緩衝層は、前記第1面、第2面、第5面及び第6面において、前記第1及び第2外部電極が形成された領域を除いた領域に配置される、請求項7に記載のインダクター。
【請求項9】
基板上に配置されたインダクターと、
前記インダクターを囲むように形成された絶縁材と、を含み、
前記インダクターは、内部にコイル部が配置されており、互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面及び第2面を連結する複数の側面を含む本体と、前記本体の前記複数の側面のうち互いに対向する第3面及び第4面に形成され、且つ前記第1面及び第2面の一部まで延びて形成された第1及び第2外部電極と、前記第1面及び第2面において前記第1外部電極と第2外部電極との間に配置された応力緩衝層と、を含む、パッケージ。
【請求項10】
前記応力緩衝層の剛性は、前記第1及び第2外部電極の剛性と同一であるかまたはより大きい、請求項9に記載のパッケージ。
【請求項11】
前記応力緩衝層のモジュラスは、前記第1及び第2外部電極のモジュラス以上である、請求項9または請求項10に記載のパッケージ。
【請求項12】
前記応力緩衝層は、前記第1面及び第2面において前記第1及び第2外部電極が形成された領域を除いた領域に配置される、請求項9から請求項11の何れか一項に記載のパッケージ。
【請求項13】
前記応力緩衝層は、アルミナ(Al)及びシリカ(SiO)から選択された1つからなる、請求項9から請求項12の何れか一項に記載のパッケージ。
【請求項14】
前記絶縁材はエポキシモールディングコンパウンド(EMC)からなる、請求項9から請求項13の何れか一項に記載のパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクター及びそれを備えたパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信速度の高速化に伴い、スマートフォン(Smart Phone)はより広い周波数帯の信号を送受信しなければならない。高周波インダクター(inductor)は、通常、高周波信号を送・受信するRFシステム(radio frequency system)におけるインピーダンス(impedance)マッチング回路に用いられており、このような高周波インダクターの使用が増加しつつある。
【0003】
一方、パッケージ製品の小型化に伴い、インダクターなどの受動素子の実装面積を技術的に減少させており、受動素子の小型化及び薄型化がさらに求められている。パッケージの製造時に、インダクターがIC及びメモリ(memory)とともにパッケージとして実現されており、この際、インダクターをモールドパッケージ(mold package)化して実装自由度を高める方法が考慮されている。
【0004】
パッケージングに適用されるインダクターには、絶縁材の硬化時に発生する収縮力、パッケージを製作した後、実装してリフロー(reflow)する時に発生する収縮力、各材料の温度単位変化に対する材料の寸法変化の比率(coefficient of thermal expansion;CTE)の不均衡(mismatch)による大きい力が作用するが、このような力により、インダクター及びインダクターの内部に応力が生じることになる。これにより、製品信頼性の問題が発生し得る。
【0005】
したがって、パッケージングする時にインダクターの内部に生じる応力を低減させ、製品の信頼性を確保することができる方法が必要な状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国特許出願公開第2014‐0077347号公報
【特許文献2】特許第3248294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、インダクターをパッケージングする時にインダクターの内部に生じる応力を最小化し、製品の信頼性を確保することができるインダクター及びそれを備えたパッケージを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、内部にコイル部が配置されており、互いに対向する第1面及び第2面、上記第1面及び第2面を連結する複数の側面を含む本体と、複数の本体の側面のうち互いに対向する第3面及び第4面に形成され、且つ第1面及び第2面の一部まで延びて形成された第1及び第2外部電極と、第1面及び第2面において第1外部電極と第2外部電極との間に配置された応力緩衝層と、を含むインダクターを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態によると、パッケージングする時にインダクターの内部に生じる応力を最小化し、製品の信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態によるインダクターを概略的に示した斜視図である。
図2図1のI−I'線に沿って示した断面図である。
図3】本発明の他の実施形態によるインダクターを概略的に示した斜視図である。
図4】本発明の一実施形態によるインダクターを備えたパッケージを概略的に示した平面図である。
図5図4のパッケージを示した正面図である。
図6】比較例と実施例のパッケージングする時におけるインダクターの本体内の主たる応力の大きさ及び方向を示した表である。
図7】比較例と実施例のパッケージングする時にインダクターの内部に発生した応力の数値を示した表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0012】
図1は本発明の一実施形態によるインダクターを概略的に示した斜視図であり、図2は、図1に示すインダクターにおいてI−I'線に沿った面を切断面とする断面図である。
【0013】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施形態によるインダクター100は、互いに対向する第1面S1及び第2面S2、上記第1面S1及び第2面S2を連結する複数の側面S3、S4、S5、S6を含む本体と、複数の本体の側面のうち互いに対向する第3面S3及び第4面S4に形成され、且つ第1面S1及び第2面S2の一部まで延びて形成された第1及び第2外部電極81、82と、第1面及び第2面において、第1外部電極と第2外部電極との間に配置された応力緩衝層90と、を含む。
【0014】
上記本体50はインダクターの外観を成す。上記本体は、一面及び上記一面と対向する他面、上記一面と他面を連結する複数の面を有することができる。図1に表示されたL、W及びTは、インダクタが存在する3次元空間における長さ方向、幅方向、厚さ方向をそれぞれ示す。
【0015】
上記本体50は、コイル層の積層方向(厚さ方向T)において互いに対向する第1面S1及び第2面S2と、長さ方向Lにおいて互いに対向する第3面S3及び第4面S4と、幅方向Wにおいて互いに対向する第5面S5及び第6面S6と、を含む六面体形状であることができる。印刷回路基板への実装時には、上記本体の第2面(他面)が実装面となることができる。各面が接する角は、研磨(Grinding)などによって丸くなっていることができる。
【0016】
上記本体50は磁気特性を示す磁性材料を含む。
【0017】
上記本体50は、コイル部を形成した後、その上部及び下部に磁性材料を含むシートを積層し、それを圧着及び硬化することで形成されることができる。上記磁性材料は、例えば、フェライトまたは金属磁性粒子が含まれた樹脂であることができる。
【0018】
上記本体50は、フェライトや金属磁性粒子が樹脂に分散されている形態であることができる。
【0019】
上記フェライトは、Mn‐Zn系フェライト、Ni‐Zn系フェライト、Ni‐Zn‐Cu系フェライト、Mn‐Mg系フェライト、Ba系フェライトまたはLi系フェライトなどの物質を含むことができる。
【0020】
上記金属磁性粒子は、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)及びニッケル(Ni)からなる群から選択された何れか1つ以上を含み、例えば、Fe‐Si‐B‐Cr系非晶質金属であることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。上記金属磁性粒子の直径は約0.1μm〜30μmであることができる。
【0021】
上記樹脂は、エポキシ(epoxy)樹脂やポリイミド(polyimide)樹脂などの熱硬化性樹脂であることができる。
【0022】
上記コイル部は、インダクター100のコイルから発現される特性により、電子機器内で様々な機能を担う。例えば、インダクター100はパワーインダクターであることができ、この場合、コイル部は、電気を磁場の形態で貯蔵し、出力電圧を維持して電源を安定化する機能などを担うことができる。
【0023】
上記コイル部は、支持部材20の上面及び下面にそれぞれ形成された第1及び第2コイルパターン40を含む。上記第1及び第2コイルパターン40は、上記支持部材20を基準として対向して配置されたコイル層である。
【0024】
上記第1コイルパターン41の引き出し端子は上記本体の第3面に露出し、上記第2コイルパターン42の引き出し端子は上記本体の第4面に露出する。
【0025】
上記第1及び第2コイルパターン41、42は、フォトリソグラフィ工程またはめっき工程により形成することができる。
【0026】
上記第1及び第2外部電極81、82は、上記本体50の第3面及び第4面にそれぞれ露出する上記第1及び第2コイルパターン41、42の引き出し端子とそれぞれ電気的に連結される。
【0027】
図1を参照すると、第1及び第2外部電極81、82は、上記第1及び第2コイルパターン41、42と電気的に連結されるように、上記第1及び第2コイルパターンの引き出し端子が露出した第3面及び第4面にそれぞれ形成され、且つ上記第3面及び第4面から上記第1面及び第2面の一部まで延在して形成される。
【0028】
上記第1及び第2外部電極81、82は、インダクターが電子機器に実装される時に、インダクター内のコイル部を電子機器と電気的に連結させる役割を担う。
【0029】
上記第1及び第2外部電極81、82は、導電性金属を含む導電性ペーストを用いて形成されることができる。上記導電性金属としては、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)及び銀(Ag)の少なくとも1つまたはこれらの合金を用いることができる。
【0030】
上記第1及び第2外部電極は、上記ペースト層上に形成されためっき層を含むことができる。
【0031】
上記めっき層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びスズ(Sn)からなる物質群から選択された何れか1つ以上を含むことができ、例えば、ニッケル(Ni)層とスズ(Sn)層を順に形成することができる。
【0032】
通常、インダクターの内部に配置されたコイル部は、本体の第3面に露出した引き出し端子を有する第1コイルパターンと、第4面に露出した引き出し端子を有する第2コイルパターンと、を含むものであって、上記第1及び第2コイルパターンと外部電極との連結部分である引き出し端子が非対称構造となっている。このような非対称連結構造は、パッケージングする時における絶縁材の硬化時に発生する収縮力、パッケージを製作した後、実装してリフローする時に発生する収縮力、各材料の温度単位変化に対する材料の寸法変化の比率(CTE)の不均衡による応力により、内部に配置されたインダクターに大きい圧縮応力が作用する原因となる。このような応力により、インダクターの本体及び周辺の構成部分にクラック(crack)が発生して、製品の信頼性が低下する問題が発生し得る。
【0033】
本発明によるインダクター100は、上記第1面及び第2面において上記第1外部電極81と第2外部電極82との間に配置された応力緩衝層90を含むことで、インダクターの内部に与えられる応力を最小化して、クラックなどの欠陥の発生を低減させる。
【0034】
具体的に、上記応力緩衝層90は、上記第1面及び第2面において、上記第1及び第2外部電極81、82が形成された領域を除いた領域に配置されることができ、外部収縮力が発生した時に力を分散させることで、インダクター及びインダクターの内部に生じるせん断応力を低減させることができる。
【0035】
上記応力緩衝層90は、高剛性材料からなり、上記第1及び第2外部電極に比べて剛性が同一であるかより大きい材料からなることができる。
【0036】
剛性の高い物質の場合、応力と変形の比を表す弾性係数であるモジュラス(modulus)が高い。上記第1及び第2外部電極は導電性金属を含むため、磁性材料を含む本体に比べてモジュラスが大きい。
【0037】
しかし、上記第1及び第2コイルパターンの引き出し端子がそれぞれ第3面及び第4面に非対称に露出しているため、コイル部に与えられるせん断応力が大きくなり、クラック発生率が高くなる。
【0038】
したがって、本体内に与えられる応力を低減させるために、上記応力緩衝層90のモジュラスは、上記第1及び第2外部電極のモジュラス以上であることができる。上記応力緩衝層のモジュラスが高いことにより、非対称構造による応力の発生を低減させることができる。
【0039】
上記応力緩衝層90は、上記第1及び第2外部電極が電気的に導通しない高剛性材料からなり、例えば、アルミナ(Al)及びシリカ(SiO)から選択された1つからなることができる。
【0040】
インダクターの内部の所定領域に応力が集中されることを防止するために、上記応力緩衝層の厚さは、上記第1面及び第2面において上記第1及び第2外部電極と同一の厚さに形成されることができる。
【0041】
図3は本発明の他の実施形態によるインダクター200を概略的に示した斜視図である。
【0042】
図3を参照すると、上記インダクター200は、第1及び第2コイルパターン141、142と電気的に連結されており、上記第3面及び第4面に形成され、且つ上記第1面及び第2面の一部及び第5面及び第6面の一部まで延在して形成された第1及び第2外部電極181、182を含む。
【0043】
図1の場合、上記第1及び第2外部電極81、82が上記第3面及び第4面から第1面及び第2面の一部まで延びて形成されたもの、すなわち、「コ」字状を有するものを示し、図3の場合、上記第1及び第2外部電極181、182が上記第3面及び第4面と上記第1面、第2面、第5面及び第6面の一部を囲むように形成されたものを示す。
【0044】
図3のように、上記第1及び第2外部電極181、182が上記第3面及び第4面から上記第1面、第2面、第5面及び第6面の一部まで延びて形成される場合、応力緩衝層190は、上記第1面、第2面、第5面及び第6面において上記第1外部電極と第2外部電極との間に配置されることができる。すなわち、上記応力緩衝層190は、上記第1面、第2面、第5面及び第6面において、第1及び第2外部電極が形成された領域を除いた領域に配置されることができる。
【0045】
上記支持部材20は、第1及び第2コイルパターン40を支持できるものであれば、その材質や種類は特に限定されず、例えば、銅張積層板(CCL)、ポリプロピレングリコール(PPG)基板、フェライト基板または金属系軟磁性基板などであることができる。また、絶縁樹脂からなる絶縁基板であってもよい。
【0046】
上記絶縁樹脂としては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリイミドなどの熱可塑性樹脂、またはこれらにガラス繊維または無機フィラーなどの補強材が含浸された樹脂、例えば、プリプレグ(prepreg)、ABF(Ajinomoto Build‐up Film)、FR‐4、BT(Bismaleimide Triazine)樹脂、PID(Photo Imagable Dielectric)樹脂などが使用できる。剛性維持の点では、ガラス繊維及びエポキシ樹脂を含む絶縁基板を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0047】
上記支持部材20の上面及び下面の中央部は貫通されて孔が形成されており、上記孔にはフェライトまたは金属磁性粒子などの磁性体が充填されてコア部55が形成されることができる。上記磁性体が充填されてコア部が形成されることにより、インダクタンス(L)が向上することができる。
【0048】
上記支持部材の両面上に積層された上記第1コイルパターン41と上記第2コイルパターン42は、上記支持部材を貫通するビア45を介して電気的に連結される。
【0049】
上記ビア45は、機械的ドリルまたはレーザードリルなどを用いて貫通孔を形成した後、上記貫通孔の内部にめっきにより導電性物質を満たすことで形成されることができる。
【0050】
上記ビア45は、支持部材20の両面上にそれぞれ配置された上側の第1コイルパターン41と下側の第2コイルパターン42とを電気的に連結することができるものであれば、その形状や材質は特に限定されない。ここで、上側及び下側は、図面においてコイルパターンの積層方向を基準として判断する。
【0051】
上記ビア45は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pd)、またはこれらの合金などの導電性物質を含むことができる。
【0052】
上記支持部材の上下面に形成された第1及び第2コイルパターンを電気的に連結するためにビアを形成するが、この際、ビアは、レーザー加工により層間絶縁物質を焼くことにより形成することができる。ビアを形成する時に、支持部材の厚さが厚いほど、そのサイズが大きくなるが、ビアのサイズが大きくなると、コイルの体積が大きくなり得る。そのため、インダクター内の非磁性領域が増加することになり、インダクターが実現すべき電流特性が減少するという問題点がある。
【0053】
上記ビア45の断面は、台形状または砂時計状であることができる。
【0054】
上記ビア45の断面は砂時計状であることができる。上記形状は、上記支持部材の上面または下面を加工することで実現でき、これにより、上記ビアの断面の幅を減少させることができる。上記ビアの断面の幅は60〜80μmであることができるが、これに限定されるものではない。
【0055】
上記第1及び第2コイルパターン41、42は絶縁膜(不図示)により被覆されることで、上記本体を成す磁性材料と直接接触されない。
【0056】
上記絶縁膜は、第1及び第2コイルパターンを保護する役割を担う。
【0057】
上記絶縁膜の材質としては、絶縁物質を含むものであれば如何なるものでも適用可能であり、例えば、通常の絶縁コーティングに用いられる絶縁物質、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、液晶結晶性ポリマー樹脂などを含むことができ、公知の感光性絶縁(Photo Imageble Dielectric:PID)樹脂などが用いられてもよいが、これに限定されるものではない。
【0058】
以下、添付図面を参照して本発明によるインダクターを備えたパッケージについて説明する。
【0059】
図4は本発明の一実施形態によるインダクターを備えたパッケージを概略的に示した平面図であり、図5図4のパッケージを示した正面図である。
【0060】
図4及び図5を参照すると、本発明の一実施形態によるパッケージ1000は、基板上に配置されたインダクター100と、インダクターを囲むように形成された絶縁材1200と、を含み、インダクターは、内部にコイル部が配置されており、互いに対向する第1面及び第2面、第1面及び第2面を連結する複数の側面を含む本体と、複数の本体の側面のうち互いに対向する第3面及び第4面に形成され、且つ第1面及び第2面の一部まで延びて形成された第1及び第2外部電極と、第1面及び第2面において第1外部電極と第2外部電極との間に配置された応力緩衝層と、を含む。
【0061】
上記基板1100は、絶縁材料からなる板に導電性パターンを形成した印刷回路基板(printed circuit board;PCB)であることができる。
【0062】
上記パッケージは、インダクターの他に、互いに異なる電気的特性を有する複数の電子部品300、400、500をさらに含むことができる。
【0063】
上記絶縁材1200は、エポキシモールディングコンパウンド(epoxy molding compound;EMC)であることができ、上記インダクター及び複数の電子部品の全体を囲むように形成されることができる。
【0064】
本発明の一実施形態によると、インダクター100を印刷回路基板1100上に実装した後、絶縁材1200により囲まれるように形成されたものであって、パッケージングする時における絶縁材による圧縮応力の影響を低減させるために、上記インダクターに応力緩衝層を配置する。
【0065】
上記応力緩衝層を第1外部電極と第2外部電極との間に配置することで、パッケージングする時に必然的に発生する絶縁材の収縮及び膨張力をインダクター及びインダクター内に分散させ、インダクター内に生じる応力の最小化及びインダクターの構造安定性を確保することができる。
【0066】
図6は、比較例と実施例のそれぞれにおいてパッケージング時にインダクター本体内で生じる主たる応力の大きさ及び方向を示した表であり、図7は、比較例と実施例のそれぞれにおいてパッケージング時にインダクターの内部に発生した応力の数値を示した表である。
【0067】
図6及び図7は、比較例と実施例のパッケージング処理後のインダクターの本体内に生じた主たる応力及び等価応力を示したものであって、比較例は応力緩衝層が形成されていないインダクターであり、実施例は応力緩衝層が形成されているインダクターである。
【0068】
図6を参照して本体に与えられる主たる応力の大きさ及び方向を見ると、比較例では、第1及び第2コイルパターンが受ける応力の方向が互いに異なって、中間地点でせん断応力が大きく上昇しており、クラックの発生可能性が高かった。しかし、実施例では、外部(絶縁材)の収縮力に対して応力緩和層が支持しているため、本体の内部に与えられる応力が著しく減少することが分かる。
【0069】
図7を参照して本体及び外部電極に与えられる等価応力部分を見ると、比較例では、第1及び第2コイルパターンと本体の磁性材料とが接する部分に応力が集中され、クラック発生危険部(A部)の等価応力値が54.2MPaであったのに対し、実施例では、応力緩衝層により相対的に応力が緩和されて、A部の等価応力値が45.2MPaと、クラック発生率が減少することが分かる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0071】
20 支持部材
40 コイルパターン
45 ビア
50 本体
81、82、181、182 第1及び第2外部電極
100 インダクター
1000 パッケージ
1100 基板
1200 絶縁材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7