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特開2018-34898電子ビームによる容器の殺菌のための内側から把持する保持要素
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-34898(P2018-34898A)
(43)【公開日】2018年3月8日
(54)【発明の名称】電子ビームによる容器の殺菌のための内側から把持する保持要素
(51)【国際特許分類】
   B65B 55/08 20060101AFI20180209BHJP
   B65G 47/84 20060101ALI20180209BHJP
   A61L 2/08 20060101ALI20180209BHJP
【FI】
   B65B55/08 B
   B65G47/84 B
   A61L2/08 108
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-194907(P2017-194907)
(22)【出願日】2017年10月5日
(62)【分割の表示】特願2012-253200(P2012-253200)の分割
【原出願日】2012年11月19日
(31)【優先権主張番号】10 2011 055 552.8
(32)【優先日】2011年11月21日
(33)【優先権主張国】DE
(71)【出願人】
【識別番号】508120916
【氏名又は名称】クロネス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ クノット
(72)【発明者】
【氏名】ハンス ショイレン
【テーマコード(参考)】
3F072
4C058
【Fターム(参考)】
3F072AA08
3F072JA05
3F072KC01
3F072KC06
3F072KC12
3F072KD01
3F072KD12
4C058AA25
4C058BB06
4C058KK03
4C058KK21
4C058KK50
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電荷担体による殺菌の際に容器の表面全体を殺菌することができる装置を提供する。
【解決手段】加速させた電荷担体によって容器(2)の特に外壁を殺菌するための装置であって、電荷担体を生成するための電荷担体源(6、7)と、電荷担体を容器の外壁の方向に加速させる加速装置とを備えており、容器(2)が、少なくとも1つの容器(2)を保持するための少なくとも1つの保持要素を有する搬送装置によって電荷担体源(6、7)に対して所定の搬送経路に沿って移動可能であり、少なくとも1つの保持要素を、容器(2)の内部へと少なくとも部分的に導入することができ、容器(2)の内壁に接触させることができる容器(2)の殺菌のための装置である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電荷担体を生成するための電荷担体源(6、7)と電荷担体を特に容器の外壁の方向に加速させる加速装置とによって加速させた電荷単体による、容器(2)の特に外壁の殺菌のための装置(1)であって、
前記容器(2)は、搬送装置(19)によって、所定の搬送経路(5)に沿って前記電荷担体源(6,7)に対して移動可能であり、
前記搬送装置(19)は、少なくとも1つの容器(2)を保持するための少なくとも1つの保持要素(8)を有し、
前記少なくとも1つの保持要素(8)は少なくとも部分的に前記容器(2)の内部へ導入することができ、容器(2)の内壁に接触させることができることを特徴とする容器(2)の殺菌のための装置(1)。
【請求項2】
前記保持要素(8)は、容器(2)の内部に、少なくとも開口(15)の領域において接触できることを特徴とする請求項1に記載の容器(2)の殺菌のための装置(1)。
【請求項3】
前記保持要素(8)が、該保持要素(8)によって把持された容器(2)を容器(2)の長手軸(L)に対して回転させることができるよう、回転可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の容器(2)の殺菌のための装置(1)。
【請求項4】
前記保持要素(8)のうちの容器(2)の内部へと導入することができる部分の寸法が、少なくとも容器の長手方向に対して直角な方向において可変であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の容器(2)の殺菌のための装置(1)。
【請求項5】
容器の開口へと導入することができる前記保持要素(8)が、クランプスリーブであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の容器(2)の殺菌のための装置(1)。
【請求項6】
前記クランプスリーブが、容器を把持するためのばね作用が、容器を把持して保持するためのばね動作にさらなる部品が不要であるような態様で、該クランプスリーブの形状および/または材料の選択によってのみ生み出されるようなやり方で設計されていることを特徴とする請求項5に記載の容器(2)の殺菌のための装置(1)。
【請求項7】
複数の保持要素(8)が可動のキャリア(19)上に配置され、該可動のキャリア(19)が、好ましくは搬送ホイールまたは搬送スターホイールであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の容器(2)の殺菌のための装置(1)。
【請求項8】
2つの隣接する保持要素(8)の間の距離が、容器の搬送方向(T)に可変であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の容器(2)の殺菌のための装置(1)。
【請求項9】
容器(2)の搬送経路(5)の少なくとも一部分を含み、好ましくは前記保持要素(8)の少なくとも一部分も含むクリーンルームを備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の容器(2)の殺菌のための装置(1)。
【請求項10】
前記保持要素(8)は、容器(2)の長手軸と略平行に延びる方向に可動であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の容器(2)の殺菌のための装置(1)。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の容器(2)の殺菌のための装置(1)を少なくとも1つ備えている、容器(2)の処理のための設備であって、容器の内壁の殺菌のための別の装置を有することを特徴とする容器(2)の処理のための設備。
【請求項12】
前記容器の内壁の殺菌のための前記別の装置が、少なくとも1つの保持要素を備えており、該保持要素はその外側に容器(2)が接触することができるものであり、好ましくは、容器の内部へ少なくとも局所的に挿入される加速電荷担体供給源による電荷担体によって容器(2)の内壁が作用されること可能にするものであることを特徴とする請求項11に記載の容器(2)の処理のための設備。
【請求項13】
容器(2)の殺菌のための装置から容器(2)を受け取り、殺菌のためのさらなる装置へと受け渡すために適した少なくとも1つの搬送要素(19)、好ましくは搬送スターホイールを備えることを特徴とする請求項11に記載の容器(2)の処理のための設備。
【請求項14】
容器(2)の内容物充てんのための装置を有しており、該装置が、前記殺菌のための装置(1)の下流に配置されていることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の容器(2)の処理のための設備。
【請求項15】
電荷担体源(6、7)において生成され加速装置によって容器(2)の方向に加速される加速電荷担体により容器(2)を殺菌する方法であって、
前記容器(2)は、少なくとも1つの容器(2)を保持するための少なくとも1つの保持要素(8)を有する搬送装置(19)によって前記電荷担体源(6、7)に対して移動させられるものであり、
少なくとも1つの保持要素(8)が少なくとも部分的に容器(2)の内側に係合することで、該保持要素(8)または該保持要素(8)の少なくとも一部分が前記電荷担体源(6、7)または前記加速装置のそれぞれと容器(2)の外側との間に位置することがなく、容器(2)の外側の殺菌の際に、電荷担体を前記電荷担体源(6、7)または前記加速装置から容器(2)の外側へと直接案内することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電荷担体を生成するための電荷担体源と、電荷担体を容器の外壁の方向に加速させる加速装置とを備えており、少なくとも1つの容器を保持するための少なくとも1つの保持要素を有する搬送装置によって電荷担体源に対して所定の搬送経路に沿って移動させることができる容器の特に外壁を加速させた電荷担体によって殺菌するための装置に関する。容器は、任意の容器であってよいが、好ましくは瓶となるような容器であり、特にプラスチック材料の瓶および/または予備成形物である。
【背景技術】
【0002】
充てんに先立ち、すでに完成した瓶の殺菌プロセスを、この目的で設けられるクリーンルームにおいて実行することが、先行技術から公知である。これは、多数の飲料について、それらを無菌の条件下で充てんしなければならないがゆえに必要である。この方法の利点は、予備成形物を製造し、搬送し、加熱し、瓶を形成すべくブロー成型するなどといった事前に実行されるすべてのプロセスを、無菌でない環境で行うことができる点にある。しかしながら、この場合の欠点は、比較的大きい完成後の瓶を殺菌しなければならない点にある。
【0003】
最も単純な事例では、容器の殺菌を、傷みやすい充てん製品の充てんに先立って、例えば充てん製品そのものにより、充てん製品をその熱によって瓶の内側が殺菌される程度にまで加熱して高温で充てんすることによって実行することができる。しかしながら、これは、特定の温度による影響の受けやすさゆえに、多くの場合に不可能であり、低すぎる温度ゆえに適切な殺菌の程度を達成することができない。これは、特に、多くの食料品、医薬品、および他の傷みやすい製品に当てはまる。したがって、空の容器を充てんの作業に先立って別途殺菌し、続く工程において別の場所で殺菌した充てん製品を無菌の条件下で充てんするための方法が、開発されてきている。
【0004】
したがって、充てん前の容器の殺菌が、充てんの作業に加えて、無菌充てん設備における中心的な処理工程の1つである。考えられる殺菌の形態は、殺菌剤および処理の性能に関してさまざまである。殺菌効果が化学的なプロセスにもとづいている多数の殺菌方法が、先行技術から公知である。この場合には、例えば化学的な殺菌剤(例えば、過酸化物または過酸など)によって達成される空の容器の無菌性を、比較的長い時間期間にわたって、すなわち容器が充てんされてその後に封じられるまで、維持しなければならない。この方法の場合には、容器が、容器に殺菌剤を作用させるいわゆるアイソレータへと最初に運ばれる。そこで、殺菌剤を、比較的多大な労苦にて、特定の時間にわたって作用させ、次いで除去することができる。特に、残余の殺菌剤の容器からの除去および完全な除去の監視が、面倒である。その後に、殺菌後の容器が、容器を無菌に囲まれた充てん装置へと運ぶ搬送システムへと移される。搬送の際にも容器の無菌性を維持するために、特別な保護の工程が必要である。
【0005】
残余の化学殺菌剤の監視という課題、およびこれに関連して長くなる搬送経路(無菌に保たれなければならない)ゆえに、これらの方法はきわめて高価になる。これを避けるために、別の殺菌方法を使用する方法が、先行技術から公知である。最近の発展は、使用される化学物質の量の削減に取り組み、細菌の減少を達成するために電離放射線を使用する。これの主要な利点は、化学物質の使用の削減または回避にある。大部分の用途において、使用される放射線は、適切な設備において生成されて容器の殺菌対象の領域へと運ばれる加速電子からなる。
【0006】
容器の殺菌のための装置が、例えば特許文献1または特許文献2などから知られている。この場合には、放射源が容器の外側に設けられ、放射線を容器へと案内する。この場合、特に特許文献2の主題において、容器の内部の殺菌のための電荷担体のビームが、容器の壁を通過しなければならない。容器は、コンベアベルトにて運ばれ、放射源を過ぎて案内される。これは、特に容器の底部領域の殺菌にとって不都合である。なぜならば、容器の底部領域に電荷担体のビームが直接アクセスできないからである。
【0007】
特許文献3が、電子による容器の内部の殺菌のための技術を記載している。この場合にも、容器の外部から内部へと放射線を案内する電子ビーム源が設けられている。しかしながら、この刊行物の主題の場合も、容器の搬送がコンベアベルトによって実行されている。
【0008】
容器を充てんに先立って殺菌することができる容器の殺菌のための装置が、特許文献4から知られている。特に、充てん対象の容器(特に、開口を有する瓶)の内壁が、特許文献4に記載の容器によって殺菌されるように意図されている。
【0009】
特許文献5が、瓶を外側において把持するための保持装置であって、電子ビームが遮られる影領域がきわめて小さい保持装置を記載している。この目的のために、薄いプレートが、把持リングの下方で瓶の両側から押し付けられる。
【0010】
さらに、特許文献6が、瓶の殺菌の際の瓶の保持システムであって、それぞれが2つの瓶を把持し、瓶の長手軸が共通の軸上に位置するようなやり方で配置する保持システムを開示している。殺菌は、電子ビームによって実行される。
電子ビームによって容器の殺菌の際に生成される窒素酸化物の量を少なくする殺菌装置が、特許文献7から知られている。
特許文献8および特許文献9が、容器処理設備において容器を搬送することができる搬送システムをそれぞれ開示している。さらに設備が、容器を搬送システムによって搬送する殺菌装置を備えている。
【0011】
流動性の媒体のパッケージの内側を殺菌する方法が、特許文献10から知られている。この方法においても、やはり加速電子が使用されるが、高い加速電圧は避けるべきである。なぜならば、これらの高い加速電圧の望ましくない副作用としてX線が生成され、これを鉛の鞘によって遮蔽しなければならなくなるからである。同様のやり方で一様な殺菌結果を得るために、電子ビームに加えて、電子ビームと相互作用して電荷担体の分布を改善する気体の流れが使用される。特許文献10においては、殺菌対象の容器の搬送については、いかなる情報も提示されていない。
【0012】
このように、市場で入手可能であって殺菌に使用される現在のシステムは、電子発生装置と内面を殺菌するための放射フィンガとを備えるか、あるいは外側から容器を貫いて内面も処理する電子発生装置を備える。外側からの処理は、処理対象の容器の壁を貫通しなければならず、電子が弱まっても依然として殺菌の様相で内面に作用するために充分なエネルギを常に含んでいなければならないため、通常は電子をかなりの程度にまで加速させることが必要である。この際に生じるX線放射を、適切な遮蔽手段によって環境から遮蔽しなければならない。さらに、容器の素材の全体が線量に曝される。放射フィンガを用いる構成は、一般に、加速電圧が大幅に低くて済み、したがって遮蔽手段をあまり必要とせず、容器の素材の線量も少ない。しかしながら、容器の外側も殺菌するために、さらなる処理工程が必要である。この外側の処理を、内側の処理の前または最中に実行でき、あるいは内側の処理の後に実行することもできる。
【0013】
このように、先行技術から公知の殺菌方法は、化学殺菌剤を使用するという欠点、または電荷担体による殺菌の際に容器の表面全体を殺菌することができないという欠点を抱えている。特に、電荷担体ビームによる殺菌の場合に、容器の内面および/または外面が、搬送システムの部品によって覆われ、したがって電荷担体ビームが到達できず、あるいは到達しにくい領域を有する。これらの領域に衝突する放射線の力が、多くの場合に適切な殺菌には不充分であり、あるいはきわめて強力な放射源を使用しなければならないが、例えばX線放射の問題が顕著になるなどの欠点がつきまとう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2002−255125号公報
【特許文献2】国際公開第99/39751号
【特許文献3】独国特許出願公開第19882252号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1982921号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第2123580号明細書
【特許文献6】独国特許発明第602006000257号明細書
【特許文献7】国際公開第2008/081868号
【特許文献8】欧州特許第1748951号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2005/158218号明細書
【特許文献10】欧州特許第0885142号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の目的は、容器の特に外壁を、電荷担体源において生成され、加速装置によって容器の方向に加速させられた加速電荷担体によって殺菌する装置および方法であって、容器が、少なくとも1つの容器を保持するための少なくとも1つの保持要素を有する搬送装置によって電荷担体源に対して移動させられ、この保持要素が、容器の外側の殺菌の場合に電荷担体源または加速装置からの電荷担体がそれぞれ保持要素または保持要素の一部分に衝突することがなく、結果として容器の表面に電荷担体のビームの影が生じることがないよう、電荷担体のビームの中には配置されない装置および方法を提供することにある。
【0016】
さらに、本発明の目的は、この種の装置を備える容器の処理のための設備を提供することにある。この状況において、外壁は、容器の外表面であると理解され、外壁が、容器の外表面の全体の一部位または一部分または一領域であってよく、あるいは外表面の全体であってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0017】
これが、請求項1に記載の装置、請求項11に記載の設備、および請求項15に記載の方法によって達成される。好都合な実施形態およびさらなる発展が、従属請求項の主題を形成する。
【0018】
電荷担体を生成するための電荷担体源と、電荷担体を特に容器の外壁の方向に加速させる(ただし、電荷担体の向きを加速後に変化させてもよいと考えられる)加速装置とを備えており、少なくとも1つの容器を保持するための少なくとも1つの保持要素を有する搬送装置によって電荷担体源に対して所定の搬送経路に沿って容器を移動させることができるものであり、前記容器の特に外壁を加速させた電荷担体によって殺菌するための本発明による装置においては、容器の外部の殺菌の場合に、保持要素または保持要素の少なくとも一部分が電荷担体源または加速装置と容器の外側との間に位置することがなく、電荷担体を電荷担体源または加速装置から容器の外側へと直接運ぶことができるように保証するために、少なくとも1つの保持要素を、容器の内部へと少なくとも部分的に導入することができ、容器の内壁に接触させる(あるいは、容器の内壁を接触させる)ことができる。
特に、保持要素のいかなる部分も、加速装置と容器または容器の外表面との間の電子放射線のビームの経路に配置されることがない。
【0019】
したがって、容器搬送要素による影の影響を被ることなく容器の全表面を処理できるよう、外側の殺菌のプロセスを内側の殺菌プロセスから分離することが好都合である。この目的のため、外側の殺菌の領域において容器を運ぶ容器搬送要素に、容器を内側から把持でき、したがって妨害のない外表面の照射を妨げることがない把持システムが設けられる。外側の殺菌のあとで、容器の内部の殺菌のために、周囲の把持が把持システムによって行われ、容器が外側から把持され、妨害のない内表面の照射が可能になる。この内側および外側の殺菌の手順は、逆の順序で行われてもよい。
【0020】
この場合、把持システムは、有利なことに、殺菌プロセスの衛生の要件に合致し、好ましくは自身が容易に殺菌可能であるようなやり方で設計される。特に、把持システムが、保持要素によって把持される1つの容器から次の容器へと汚染物質がこの保持要素によって運ばれることがないようなやり方にて設計される。一実施形態においては、保持要素または内側把持具がそれぞれ、さらなるクランプ装置を必要とせずに容器をしっかりと運ぶことができるコレットチャックの形式である。
【0021】
把持システムは、好ましくは、特に隣接する搬送システムの間の受け渡しの地点においても容器を内側において把持することができるようなやり方で設計される。したがって、周囲の把持は不要である。このやり方で、汚染の恐れがさらに少なくなる。容器の把持のために、好ましくは、保持要素または容器がそれぞれ、容器の軸の方向に移動または直線移動を実行することができる。この直線移動を、例えばカム部分、回転カム、空気駆動、サーボ駆動の直線ガイド、または任意の他の可能な駆動部によって実行することができる。容器の略長手方向に沿った容器の方向への(さらには/あるいは容器から遠ざかる)保持要素の移動および保持要素の方向への(さらには/あるいは保持要素から遠ざかる)容器そのものの移動のどちらも可能である。
【0022】
装置の好ましい実施形態においては、少なくとも容器の開口またはねじ山の領域においてそれぞれ、保持要素を容器の内側に接触させることができ、あるいは容器の内側を保持要素に接触させることができる。容器の蓋の領域が、通常は保持要素を挿入することができる開口がこの領域に存在しているため、内側からの把持による保持要素での搬送にとくに好ましい。さらに、多くの実施形態において、特に飲料瓶の場合に、容器が容器の蓋の領域において大きくなっており、したがって保持要素の形状の変化(特に、容器の長手軸に対して直角な保持要素の外周および/または直径の拡大)の後の容器の落下が効果的に防止される。特に、好ましい実施形態においては、形状の変化後の保持要素が、以前の形状に戻ることなく容器の開口を通って戻ることが不可能である。
【0023】
したがって、保持要素のうちの容器の内部へと挿入できる部位の寸法が、少なくとも容器の長手方向に対して直角な方向に可変であることが好ましい。保持要素のこの部位が、好ましくはクランプスリーブであることが好ましい。保持要素の可撓、変形可能、膨張可能、または同様の設計も、可能である。
【0024】
さらに、保持要素によって把持された容器を容器の長手軸を中心にして回転させることができるよう、保持要素が回転可能であると好ましい。この設計によれば、容器を、外表面のすべてを少なくとも或る程度の時間にわたって放射源に直面させ、したがってこの放射源からの電荷担体を直接作用させることができるよう、電荷担体ビームによる照射の最中に回転させることが可能である。容器の外壁に所定の線量を作用させるように、容器の長手軸を中心とする所定の回転を行うことが好ましい。これにより、特に、容器の外壁の一様な照射が行われる。しかしながら、例えば溝、接合部、溶接の継ぎ目、または表面の凹凸など、汚染の恐れがとくに大きい領域に、より高い線量を作用させることも可能である。これは、例えば非一様な回転速度によって達成可能である。
【0025】
さらなる有利な実施形態の場合には、保持要素のうちの容器の内部へと導入することができる部分の寸法が、少なくとも容器の長手方向に対して直角な方向に可変である。これは、特に、保持要素のこの領域が自身の径方向に関して可変であり、すなわち例えば容器の内壁の方向に広がることができると理解される。この目的のため、保持要素が、例えば広がり要素を有することができる。
【0026】
さらなる好都合な実施形態の場合には、容器の開口へと導入することができる保持要素が、クランプスリーブであり、あるいはクランプスリーブを有する。このクランプスリーブを、容器の開口へと挿入することができ、次いで容器を容器の内壁にて把持するように広げることができる。
【0027】
この場合、このクランプスリーブは、好都合には容器を把持するためのばね作用が生み出されるようなやり方で設計され、このばね作用は、容器を把持および固定するためのばね作用にさらなる構成部品が不要であるようなやり方で、少なくとも大部分(好ましくは、すべて)がクランプスリーブの設計および/または材料の選択によって生じ、あるいは生み出されることが好都合である。
【0028】
可能なかぎり高い効率を達成し、多数の容器を短い時間間隔で放射源の傍らを過ぎて搬送できるよう、好ましくは複数の保持要素が可動のキャリア上に配置され、その場合に、可動のキャリアは、好ましくは搬送ホイールまたは搬送スターホイールである。保持要素を、略環状の配置にてキャリアへと接続することが好ましい。この形式の実施形態は、多くの場合に、容器の処理にすでに使用されている公知の搬送設備に適合する。このやり方で、高い処理能力が可能になり、おそらくは既存の設備との適合性も可能になる。
【0029】
場合によっては、容器の搬送速度が、電荷担体ビームの領域における容器の滞留時間が完全な殺菌には不充分であるような高速である可能性がある。搬送システム(例えば、搬送ホイールまたは搬送スターホイール)の動作速度を下げなくてもよいよう、好ましい実施形態においては、2つの隣接する保持要素の間の距離が容器の搬送方向において可変である。これは、例えば、2つの隣接する保持要素の間の距離を、搬送経路のうちの電荷担体源または加速装置それぞれからの距離が最小となる部位において短縮することで達成できる。
【0030】
これを、保持要素が搬送経路に対して略直角に向けられたアーム上に配置されるようなやり方で可能にすることが好ましい。したがって、搬送ホイールの場合には、この種のアームが略径方向に延びる。この種のアームの可動な取付けまたは設計によって、アームの保持要素によって保持された容器と電荷担体源との間の相対速度が変更されるようなやり方で、アームを搬送経路に沿って移動させることが可能である。このやり方で、特に、アームが搬送方向において容器が電荷担体源に接近するときに前方へと枢動させられ、相対速度が高められる。結果として、殺菌対象の容器が、より早期に電荷担体のビームの影響の領域に到達する。容器が搬送経路において容器と電荷担体源との間の距離が最も近付く地点を過ぎると、アームを搬送方向において後方に枢動させることができ、その結果として、アームの保持要素によって保持された容器と電荷担体源との間の相対速度が下げられる。
【0031】
結果として、容器が、より長きにわたって電荷担体のビームの影響の領域にとどまる。これは、搬送経路のうちで容器が電荷担体源または加速装置それぞれに最も近付く部位において、保持要素(したがって、容器)が互いに接近し、したがって搬送経路に沿った間隔がより短くなるという効果を有する。多くの実施形態において、2つの隣接する容器の間の距離は、加速させられた放射線のうちで環境へと殺菌対象の2つの容器の間を使用されずに放出される部分に相当する。したがって、上述の実施形態によれば、加速電子の利用の改善を達成でき、したがってエネルギの歩留まりの向上も達成できる。
【0032】
搬送経路のうちの容器が放射線によって照射される領域において、容器と放射源との間の相対速度を変更し、好ましくは小さくすることが、有利である。容器の外壁の各々の領域への放射線の照射の時間を、容器と放射源との間の高い相対速度と同時に延ばすために、それぞれが容器の外壁の異なる領域に放射線を作用させる複数の放射源を使用することが可能である。結果として、各々の放射源が容器の外壁の比較的小さな領域にだけ放射線を作用させればよいため、放射源の領域において容器の長手軸を中心とする容器の回転速度を下げることも可能である。
【0033】
電荷担体を作用させた容器の無菌性をより長い時間期間にわたって維持することができるよう、好ましくは装置が、容器の1つの搬送経路の少なくとも一部分を含み、好ましくは保持要素の少なくとも一部分も含むクリーンルームを備える。
【0034】
容器の殺菌のための装置の保持要素が、容器の長手軸に略平行に延びる方向に可動であることが好ましい。これは、保持装置を容器の内部へと導入することを可能にする。保持装置の挿入のための開口が容器の長手軸に沿って配置されているのではない形状を有する容器の場合には、保持要素を容器の内部へと挿入するための保持要素の移動について、他の方向も可能である。さらに、保持装置を積極的に容器の内部へと導入するのではなく、容器を保持装置の方向に動かして、容器を保持装置に被せることも可能である。さらに、2つの移動の形態の組み合わせも可能である。これは、容器と保持装置との間の比較的複雑な相対移動の経路も可能にする。これは、容器の幾何学的設計(例えば、瓶の首部)に応じて、好都合であることができ、必要となるかもしれない。
【0035】
さらに、容器の処理のための設備であって、上述のとおりの容器の殺菌のための装置を少なくとも1つ備える設備が好ましい。この種の設備は、電荷担体のビームによって完全、効率的、かつ迅速な様相で容器を外側について殺菌するために適する。容器の外壁を電荷担体のビームに完全に曝すことができ、保持要素が容器の表面に電荷担体の影を落とすことがない。この種の設備が、容器の内壁の殺菌のためのさらなる装置を備えることが好ましい。このようにして、容器の完全な殺菌を可能にすることができる。
【0036】
この場合、容器の内壁の殺菌のための装置が、容器の内壁に放射線(特に、電荷担体)を作用させる照射装置を有することが可能である。この場合、この照射装置を、容器の開口を通って容器の中へと少なくとも局所的に導入できると有利である。この目的のため、装置が、容器と照射装置との間に容器の長手方向の相対移動を生じさせる往復装置を有することができる。
【0037】
したがって、殺菌のためのさらなる装置が、容器の外側に接触することができる少なくとも1つの保持要素を備えており、好ましくは容器の内部へと少なくとも局所的に挿入された加速電荷担体の供給源によって容器の内壁に電荷担体を作用させることができる設備が好ましい。どちらも加速電荷担体を殺菌媒体として機能する少なくとも2つの殺菌装置のこの組み合わせによって、化学殺菌剤の割り当てをさらに減らすことができ、化学殺菌剤をまったく省略することも可能である。これは、特に、一方では殺菌剤のコストに関して好都合であり、他方ではこれらの化学物質の使用の信頼性および廃棄のコストに関して有利である。
【0038】
さらに、容器の殺菌のための装置から容器を受け取って殺菌のためのさらなる装置へと受け渡すために適した少なくとも1つの搬送要素(好ましくは、搬送スターホイール)を備え、受け渡しを好ましくはクリーンルームにおいて実行する設備の実施形態が好ましい。この場合に、殺菌のための装置を、搬送経路に沿って任意の所望の順序で配置することが可能である。したがって、容器の内部の殺菌が最初に行われ、その後に外部の殺菌が行われる実施形態、および容器の外部の殺菌が最初に行われ、その後に内部の殺菌が行われる実施形態の両方が可能である。
【0039】
殺菌のための装置から次の殺菌のための装置への受け渡しに使用される1つ以上の搬送要素の設計を、相応に構成することができる。特に、この場合に、搬送経路における最初の殺菌のための装置において殺菌された面が、搬送要素による混入物で汚染されることがないようにされる。したがって、搬送要素が無菌であり、あるいは搬送要素の容器に触れる接触面が無菌であることが好ましい。搬送要素の少なくとも保持要素を、受け渡し(特に、搬送経路における最初の殺菌装置から搬送経路における後続の殺菌装置への受け渡しのプロセスの全体)が好ましくはクリーンルームにおいて実行されるよう、クリーンルームに位置させることが好ましい。クリーンルームおよび/または搬送要素の殺菌は、好ましくは装置の使用前に特に化学殺菌剤によって実行される。
【0040】
設備が容器の充てんのための装置を有し、この装置が好ましくは殺菌のための装置に対して下流に配置されることが好ましい。殺菌後の容器は、好ましくは殺菌のための装置と充てんのための装置との間の搬送プロセスの全体にわたって無菌に保たれる。したがって、容器の搬送経路が好ましくはクリーンルーム内に位置する。
【0041】
さらには、電荷担体源において生成されて加速装置によって容器の方向に加速させられる加速電荷担体によって容器を殺菌する方法が、本発明の主題であり、容器が、少なくとも1つの容器を保持するための少なくとも1つの保持要素を有する搬送装置によって電荷担体源に対して移動させられ、少なくとも1つの保持要素は、容器の外側の殺菌の際に保持要素または保持要素の少なくとも一部分が電荷担体源または加速装置それぞれと容器の外側との間に位置することがなく、電荷担体を電荷担体源または加速装置それぞれから容器の外側へと直接案内することができるよう、少なくとも部分的に容器の内側に係合する。
さらなる利点および実施形態が、添付の図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、引き入れスターホイールおよび送り出しスターホイールを備える加速させた電荷担体によって容器を殺菌するための装置の概略の上面図である。
図2図2は、加速させた電荷担体によって容器を殺菌するための装置の概略の側面図である。
図3図3は、図1と同様の引き入れスターホイールおよび送り出しスターホイールを備えるが、少なくとも放射源の領域において隣接する容器の間の分割の遅延を変化させることが可能である加速させた電荷担体によって容器を殺菌するための装置の概略の上面図である。
図4図4a〜図4cは、容器を保持するための保持要素の3つの図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、引き入れスターホイール3および送り出しスターホイール4を備える加速させた電荷担体によって容器2を殺菌するための装置1の概略の上面図である。容器2が、装置に沿って曲がりくねった形状で延びる搬送経路5に沿って電荷担体源6の傍らを過ぎて移動する。この装置では、電荷担体が容器2に作用する。効率を高め、単位時間当たりに殺菌することができる容器2の数を増やすために、ここに示されているように、容器の別の領域に電荷担体を作用させる1つのさらなる電荷担体源7(あるいは、ここには示されていないが、さらなる追加の電荷担体源7)を、搬送経路5に沿って配置することができる。さらに、容器の底部を外側から照射する1つ以上の照射装置を設けることが可能である。
【0044】
容器2は、保持システム9の一部である保持要素(ここでは、詳しくは示されていない)によって保持される。この保持システム9は、容器を次々と吊り下げることができる保持要素が配置されるアームまたは回旋臂(Jib)10をさらに有している。保持要素をそれぞれの容器2へと導入するために、第1の制御カム11が引き入れスターホイール3の領域に設けられ、これにより、保持要素を容器の内部へと挿入できるようなやり方でアーム10が案内される。保持要素が、容器の内部へと挿入された後に、下流側のものは引き入れスターホイールの把持要素12からそれぞれの容器2を引き取り、搬送経路5に沿ってさらに運ぶことができる。さらなる制御カム13が、送り出しスターホイール4または送り出しスターホイール4の把持要素14への殺菌済みの容器2の受け渡しの領域に設けられる。制御カムに代え、あるいは制御カムに加えて、保持要素を駆動する別途の(例えば、空気式、油圧式、または電動モータ式の)駆動部を設けることも可能である。
【0045】
参照番号19が、回転軸Dを中心にして回転することができるキャリアまたは搬送スターホイールを指しており、この上には、個々の保持要素またはアーム10がそれぞれ、好ましくはキャリア19に対して枢支軸Sに関して枢動できる態様でキャリア19上に配置されている。
加速させた電荷担体によって容器を殺菌するための装置の概略の側面図が、図2に示されている。この図において、保持要素8によって蓋または開口15それぞれの領域において保持された容器2が示されている。保持要素8は、容器の中へと突き出した部分が容器2によって覆われているため、一部分だけしか見て取ることができない。
【0046】
この実施形態においては、2つの電荷担体源6および7が容器2の側方に示されており、この電荷単体源6および7によって容器2の外壁が電荷担体により作用される。この図において、保持要素8が配置されている保持システム9のアーム10も、はっきりとあらわれている。さらに、保持システム9は、制御カム11または13の一方に沿って転がることができるローラ16を有しており、保持システム9は、特に案内装置によってばね17の力に逆らって上下に移動することができる。
【0047】
図3が、加速させた電荷担体によって容器2を殺菌するための装置1であって、図1と同様の引き入れスターホイール3および送り出しスターホイール4を備えているが、少なくとも放射源の領域B2において隣接する容器2の間の分配18を変更することができる(あるいは、分配の遅延をそれぞれ達成できる)装置1の概略の上面図である。図1に示した実施形態の場合と同様に、容器2が、搬送経路5に沿って1つ以上の放射源6および7の傍らを過ぎて移動する。
【0048】
搬送スターホイール19の所定の回転速度において、1つ以上の放射源の領域B2における容器2の滞留時間を長くするために、隣接する容器2の間の分配18を変更でき、すなわち分割の遅延を生じさせることができる。特に、放射源の上流の領域B1の保持システム9のアームまたは回旋臂(Jib)10を、搬送経路5に沿って前方に(したがって、搬送方向Tに)枢動させることができる。結果として、先行の容器2に対する分配18が小さくなる。このやり方で、1つ以上の放射源の領域B2において、容器2が互いにより近接し、隣接する容器2の間を使用されずに通過する放射線が少なくなる。
電荷担体による容器2の殺菌の際に、それぞれの保持システム9のアーム10は、図示の小さくされた分配が照射の際にあらわれるよう、枢動によって出発位置へと再び戻され、好ましくはこの出発位置を超えて戻される。
【0049】
このようにして、照射の際に、すなわち電荷担体を到達させることができる領域B2において、放射源6、7に対する容器の速度が遅くなるように、容器が遅延させられる。このやり方により、結果的に、照射装置の領域における保持要素8の周速度が、照射装置6、7の外部の移動範囲における速度よりも低くなる。
分配の変更または分配の遅延の結果として、特に容器2がさらに自身の長手軸L(図2を参照)を中心にして回転する場合に、随意によりただ1つの照射装置によって殺菌を行うことさえ可能である。
【0050】
上述のように枢動によって戻すことで、アーム10を略径方向Rに再び外へと延ばすことが可能になる(領域B3)。このようにして、分配18が再び元の値へと変更され、送り出しスターホイール4または送り出しスターホイール4の把持要素14への殺菌済みの容器2の受け渡しを、行うことができる。
したがって、搬送経路に沿った移動の最中、特に、引き入れスターホイールによる受け入れと送り出しスターホイールへの受け渡しとの間において、容器2は、(特に、キャリア19の回転からもたらされる搬送速度に対して)好ましくは少なくとも1回加速させられ、さらには/あるいは1回遅延させられる。
【0051】
上述のように、容器の搬送経路の全体は、クリーンルーム(図示されていない)の内部に位置させることも可能である。この場合、このクリーンルームは、引き入れスターホイールの手前から始まることができ、送り出しスターホイール4を過ぎたところまで続くようにすることもできる。
【0052】
図4a〜図4cは、この場合には、クランプスリーブの形態に設計された容器を保持するための保持要素8の3つの図である。この保持要素8は、この場合には、保持バーのばね力によってのみ容器または予備成形物2を保持する受動的な保持要素の形態に設計されている。
【0053】
詳しくは、保持要素8が、この場合には環状に作られたベース部82を有している。容器2の長手方向Lに延びる複数の保持バーまたは把持部84それぞれが、このベース部に配置されている。この場合、これらの把持部の端部84a(図4cを参照)が、容器2へと進入することができる。さらに、外側へと径方向に突き出し、把持部84(したがって、保持要素8)の容器へのさらなる進入を防止する突起85が、有利なことに個々の把持部84に配置されている。これにより、後の容器2の保持要素からの引き出しに必要な力を、比較的正確な態様で定めることができる。より正確には、個々の突起が、容器2の開口2aに突き当たる。さらに把持部84は、有利なことには、円形リングの一部分の形状の断面を有する。
【0054】
ここに示した実施形態の場合には、保持要素8が、これらの把持部84を全部で5つ有している。しかしながら、より多数またはより少数のこれらの把持部を設けることも、可能である。
【0055】
把持部84の圧縮を可能にするすき間86が、それぞれ個々の把持部84の間に形成されている。したがって、個々の把持部84が、それらのベース部82に対して弾性的な態様で配置されている。次いで、ベース部が、キャリア81上に配置されている。個々のすき間86は、この場合には、好ましくは略円形に作られた穴83へと開いている。
保持要素8を一体に形成することが好都合であり、特に把持要素84をベース部82と一体に形成することが好都合である。参照番号87が、保持要素を容器へと挿入できるように個々の把持部の下端に形成された挿入用の斜面を指している。容器への保持要素の挿入の際に、個々の把持部84が圧縮され、したがって容器2の開口の内壁に対して作用する反力が発生する。
【0056】
ここで説明される保持要素が、容器の保持全般において使用可能であり、したがってここで説明される容器の殺菌のための装置だけを対象とするものではないことを、指摘しておく。特に、ここに示される保持要素を、特にプラスチック瓶(あるいは、随意によりガラス瓶(特に比較的小型のガラス瓶))などの他の容器の保持にも使用することができる。したがって、本出願の出願人は、分割出願の範囲において適切であれば、ここで説明される保持要素についての保護を請求する権利を留保し、ここで説明される特徴を任意の所望のやり方で組み合わせることも可能である。
【0057】
特に、保持要素が、好ましくはベース要素と、上述のように弾性的に作られ、さらには/あるいは弾性的な態様でこのベース要素に配置され、このベース要素と一体に設計され、容器へと挿入することができる複数の把持部とを有する。
【0058】
本出願の出願人は、本出願の出願書類に開示されたすべての特徴を、それらが単独または組み合わせにおいて先行技術と比べて新規であるかぎりにおいて、本発明に不可欠であるとして請求する権利を留保する。
【符号の説明】
【0059】
1 容器の殺菌のための装置
2 容器
2a 容器の開口
3 引き入れスターホイール
4 送り出しスターホイール
5 搬送経路
6 第1の電荷担体源
7 さらなる電荷担体源
8 保持要素
9 保持システム
10 アーム、回旋臂(Jib)
11 第1の制御カム
12 引き入れスターホイールの把持要素
13 さらなる制御カム
14 送り出しスターホイールの把持要素
15 開口
16 ローラ
17 ばね
18 分割
19 キャリア、搬送スターホイール
81 キャリア
82 ベース部
83 穴
84 把持部
84a 把持部の端部
85 突起
86 すきま
87 挿入用の斜面
R 径方向
D 回転軸
S 枢支軸
T 搬送方向
L 容器の長手方向
B1〜B3 領域
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2017年10月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電荷担体を生成するための電荷担体源(6、7)と電荷担体を特に容器の外壁の方向に加速させる加速装置とによって加速させた電荷単体による、容器(2)の特に外壁の殺菌のための装置(1)であって、
前記容器(2)は、搬送装置(19)によって、所定の搬送経路(5)に沿って前記電荷担体源(6,7)に対して移動可能であり、
前記搬送装置(19)は、少なくとも1つの容器(2)を保持するための少なくとも1つの保持要素(8)を有し、
前記少なくとも1つの保持要素(8)は少なくとも部分的に前記容器(2)の内部へ導入すること、および、容器(2)の内壁に接触させることができ
前記容器(2)が、前記保持要素(8)によって蓋または開口(15)の領域において保持されることを特徴とする容器(2)の殺菌のための装置(1)。
【請求項2】
前記保持要素(8)は、容器(2)の内部に、少なくとも開口(15)の領域において接触できることを特徴とする請求項1に記載の容器(2)の殺菌のための装置(1)。
【請求項3】
前記保持要素(8)が、該保持要素(8)によって把持された容器(2)を容器(2)の長手軸(L)に対して回転させることができるよう、回転可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の容器(2)の殺菌のための装置(1)。
【請求項4】
前記保持要素(8)のうちの容器(2)の内部へと導入することができる部分の寸法が、少なくとも容器の長手方向に対して直角な方向において可変であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の容器(2)の殺菌のための装置(1)。
【請求項5】
容器の開口へと導入することができる前記保持要素(8)が、クランプスリーブであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の容器(2)の殺菌のための装置(1)。
【請求項6】
前記クランプスリーブが、容器を把持するためのばね作用が、容器を把持して保持するためのばね動作にさらなる部品が不要であるような態様で、該クランプスリーブの形状および/または材料の選択によってのみ生み出されるようなやり方で設計されていることを特徴とする請求項5に記載の容器(2)の殺菌のための装置(1)。
【請求項7】
複数の保持要素(8)が可動のキャリア(19)上に配置され、該可動のキャリア(19)が、好ましくは搬送ホイールまたは搬送スターホイールであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の容器(2)の殺菌のための装置(1)。
【請求項8】
2つの隣接する保持要素(8)の間の距離が、容器の搬送方向(T)に可変であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の容器(2)の殺菌のための装置(1)。
【請求項9】
容器(2)の搬送経路(5)の少なくとも一部分を含み、好ましくは前記保持要素(8)の少なくとも一部分も含むクリーンルームを備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の容器(2)の殺菌のための装置(1)。
【請求項10】
前記保持要素(8)は、容器(2)の長手軸と略平行に延びる方向に可動であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の容器(2)の殺菌のための装置(1)。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の容器(2)の殺菌のための装置(1)を少なくとも1つ備えている、容器(2)の処理のための設備であって、容器の内壁の殺菌のための別の装置を有することを特徴とする容器(2)の処理のための設備。
【請求項12】
前記容器の内壁の殺菌のための前記別の装置が、少なくとも1つの保持要素を備えており、該保持要素はその外側に容器(2)が接触することができるものであり、
好ましくは、容器の内部へ少なくとも局所的に挿入される加速電荷担体供給源による電荷担体によって容器(2)の内壁が作用されること可能にするものであることを特徴とする請求項11に記載の容器(2)の処理のための設備。
【請求項13】
容器(2)の殺菌のための装置から容器(2)を受け取り、殺菌のためのさらなる装置へと受け渡すために適した少なくとも1つの搬送要素(19)、好ましくは搬送スターホイールを備えることを特徴とする請求項11に記載の容器(2)の処理のための設備。
【請求項14】
容器(2)の内容物充てんのための装置を有しており、該装置が、前記殺菌のための装置(1)の下流に配置されていることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の容器(2)の処理のための設備。
【請求項15】
電荷担体源(6、7)において生成され加速装置によって容器(2)の方向に加速される加速電荷担体により容器(2)を殺菌する方法であって、
前記容器(2)は、少なくとも1つの容器(2)を保持するための少なくとも1つの保持要素(8)を有する搬送装置(19)によって前記電荷担体源(6、7)に対して移動させられるものであり、
少なくとも1つの保持要素(8)が少なくとも部分的に容器(2)の内側に係合前記容器(2)が、前記保持要素(8)によって蓋または開口(15)の領域において保持されることで、前記保持要素(8)または前記保持要素(8)の少なくとも一部分が前記電荷担体源(6、7)または前記加速装置のそれぞれと容器(2)の外側との間に位置することがなく、容器(2)の外側の殺菌の際に、電荷担体を前記電荷担体源(6、7)または前記加速装置から容器(2)の外側へと直接案内することを特徴とする方法。