【解決手段】真空チャンバー30内に陽極31と陰極32を配置せしめ、電極のいずれかを水素を吸収する性質を持たせるとともにその表面にナノ粒子を付着せしめ、ナノ粒子中の電子を重い電子とし、この重い電子を吸収された水素、重水素に入れ込んで、それらを縮小し、吸収されている他の水素、重水素との核間距離を縮めて核融合反応を高い確率で起こさせる。
ステンレス製の筒状の反応セル内にアルカリ金属水酸化物を収納し、このアルカリ金属水酸化物をその融点以上に加熱してその液面上からナノ粒子を飛散せしめ、減圧状態で前記反応セル内に水蒸気を供給することにより、ステンレス表面に高次のアルカリ金属とステンレス成分の少なくとも一つの成分を含む高次の酸化膜を形成し、この高次の酸化膜上に前記ナノ粒子の一部を付着せしめ、このナノ粒子中に反応セル内で発生した水素、重水素を導入するようにした核融合反応方法。
ステンレス製の筒状の反応セルを第一の電極とし、前記反応セルの空間部分に導電性金属材からなる長尺の第二の電極を配設し、前記反応セルの底部にアルカリ金属水酸化物を収納し、このアルカリ金属水酸化物をその融点以上に加熱してナノ粒子を反応セル内に飛散せしめ、前記反応セル内に水蒸気を供給しつつ、ステンレス表面に高次のアルカリ金属とステンレス成分の少なくとも一つの成分を含む高次の酸化膜を形成するとともに酸化膜上にナノ粒子を付着せしめ、次いで、水蒸気の供給を停止し真空引きして水素、重水素ガスを供給し両電極間に電圧を印加して放電せしめるようにした核融合反応方法。
筒状のステンレス製の反応セルと、この反応セル内に収納されるアルカリ金属水酸化物と、前記反応セルを加熱する加熱装置と、前記反応セルを減圧状態に維持する減圧装置とを有し、前記反応セル内には、水又は水蒸気が供給され、水素が排出される核融合反応装置。
筒状のステンレス製の第1電極としての反応セルと、この反応セル内に収納されるアルカリ金属水酸化物と、前記反応セルを加熱する加熱装置と、前記反応セルを減圧状態とする減圧装置と、前記反応セルの空間部分に配設され、導電性金属材からなる長尺の第2の電極と、前記両電極間に電圧を印加する電源とを有する核融合反応装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1において、本発明の原理説明のための核融合装置M1は、電解槽1を有し、この電解槽1内には、電解液2が収納されるとともに2枚の電極3、4が電解液内に所定間隔を配して対向配置されている。そして電極3、4間には、直流電源5が設けられている。電極3、4の材料としては、パラジウム(Pd)、白金(t)又はタングステン(w)、金(Au)が使用され、電解液2は、例えば炭酸カリウムの水溶液であり、又、LiOD−D2O水溶液でもよく、水としては軽水が使用され、重水を含んでいてもよい。両電極間に印加される電流密度は1〜1000mA/cm2であり、好ましくは20mA/cm2である。実際に電極3(陰極)としてパラジウム(Pd)を使用したところ、陰極3には、水素が発生するとともに、その一部はPd板(陰極)に吸収されるとともに、
図2に示すように電極3表面には、多数のパラジウムの微細粒子P(100ナノ(nm)以下、中には10ナノ以下のものも存在する。以下、ナノ粒子と称す。)が生成される。電解期間としては、数日、時として数週間行った。)また、電解による水素発生中のナノ粒子中には平均して金属原子と同じ数だけの水素原子が吸収され、一般にナノ粒子中でも1〜10ナノの金属粒子が核反応を起こしやすい。ナノ粒子中の金属原子数としては数100程度の集団である。10ナノ以下の大きさのナノ粒子集団中の自由電子は、その動きが周囲の金属原子や他の電子によって強く力を受け、このとき、ナノ粒子中に水素が吸収され、水素温度が上がると、ナノ粒子中の電子の性質が変化し、その質量が極めて大きな値(通常の電子の10〜1000倍)となることが、計算と実験によって判明した。この重い電子は、吸収した水素原子に作用し、この水素原子の大きさが減少する。これにより、吸収した水素原子の、他の水素原子との核間距離が縮み、トンネル効果によって水素原子間の核融合反応確率が増える。
【0011】
ここで、陽子同士が太陽の中心温度で正面衝突した場合に、核融合が生じる確率は、トンネル効果を考慮した場合に以下の通りとなる。
【0012】
U:陽子間静電ポテンシャルエネルギー
=1.15×10
-13J
E:陽子同士の正面衝突時の運動エネルギー
中心温度 1500万K=4×(3/2kT=1.24×10
-15J)
k:プランク定数
m:陽子の質量=1.7×10
-27kg
δ:陽子の必要浸透距離=1.86×10
-13m
β=(2π/h)・[2m(U−E]
1/2=1.87×10
14
従って、核融合の発生確率は、
γ=e
-2βδ=6.14×10
-31
【0013】
このように、一般に核融合確率は非常に低く、およそ10
31回以上の衝突で一度の核融合反応が起こる。太陽の中では、十分大きな衝突回数があるので、観測が可能である。
【0014】
これに反して、重い電子が係る反応は、上述のように、電子質量が2倍程度大きくなれば、10桁増加する。上述の電解では毎秒供給される水素原子は6.24×10
18/sとなる。電解による水素発生時のナノ粒子には平均して金属原子と同じ数だけの水素原子が存在し、電極表面層が全てナノ粒子として計算できる。ナノ層の厚さは10原子程度であり、この中に存在する水素原子数は10
17/cm
2である。水素は電解によって一定量ずつ供給され、この状態で反応が生ずる確率は10
18×10
-20=10
-2/s/cm
2となり、一般の核融合確率に比較して著しくその確率は大きくなる。また、電解時の発熱量は数100wであった。
更に、核反応時には、中性子の発生、ヘリウム3の発生が見られた。
【0015】
次に、重い電子の作用について説明する。
【0016】
ナノ粒子中の自由電子は重い電子となり、吸収された水素原子の大きさを減少させる。すなわち、重い電子がプロトン原子の原子核に極めて近い軌道に入り、その距離はナノ粒子中の電子の有効質量によって定まり、重い電子によって次の反応が引き起こされる。
【0017】
(Pe
-h)+H→(ppe
-h)+e
-
→
2D+β
++e
-h+νe+0.164MeV …(1)式
この反応によって重水素、陽電子、中間子が生成され、反応に関わった重い電子が再びナノ粒子中に出てくる。ここで陽電子は電子が存在すればガンマー線を発生する。但し、このガンマー線の発生確率は低い。
【0018】
β
++e
-→2γ+1.022MeV
生成した重水素と新たに出来た重たい電子による陽子とが反応を起こし、ヘリウム3(
3He)が生成される。
【0019】
2D(Pe
-h)→
3He+γ+e
-h+5.493MeV …(2)式
このとき、ガンマー線が発生し、重い電子は再びナノ粒子中に戻る。
【0020】
生成した
3Heと重電子陽子は、
4Heと2つのプロトン(P)と重電子に別れる反応を起こす可能性がある。
【0021】
(Pe
-h)→
3He→
4He+2P+e
-h+12.86MeV
これらの全ての反応が進行すると発生エネルギーは26.21MeVとなる。
【0022】
(Pe
-h)+3H
2→
4He+e
-h+26.21MeV …(3)式
重水素の場合、水素と同じく、重電子重陽子ができる。
【0023】
(de
-h+D
2)→〔(dde
-h)+dee〕 …(4)式
続けて核融合反応が起こり、トリチウム、陽子、
3Heと中性子ができる。これらの反応は発熱反応で3.27〜4.03MeVの熱が発生する。
【0024】
〔(dde
-h)+dee〕→T+P+e
-h+4.03MeV
→
3He+n+e
-h+3.27MeV …(5)式
これらの環境にリチウム(Li)を入れると、ナノ粒子近辺で次の過程でトリチウム、ヘリウムが生ずる。
【0025】
6Li+
1n→
4He+
3T
7Li+
1n→
4He+
3T+
1n
リチウム(Li)はその92.5%が
7Liであるので中性子が連続的に
4Heと
3Tを作る。これは水素同位体核融合反応で実験的に確認されている。
【0026】
このように、電解という化学反応で水素を発生しつつ電極3上にナノ粒子を生成せしめれば、ナノ粒子の自由電子が重い電子に変化し、これが吸収されたプロトン電子に入り込んで水素原子を収縮せしめ、他の水素原子との核間距離を縮めて核融合反応を生ぜしめる。
【0027】
以下、本発明の核融合を発生させる方法について説明する。
【0028】
図3は、本発明の関連発明を実施する核融合装置M2であり、この装置M2は、真空チャンバー30を有し、この真空チャンバー30内には、その中心に陽極31と、この周囲を間隔を配して被うように白金の網からなる陰極32が設けられ、これらの間に電圧を印加せしめる直流電源33が設けられている。また、真空チャンバー30は、その周囲に熱交換器用の水パイプ34が巻回されている。前記陽極31は、銅棒35の周面を水素を吸収するパラジウム線36で密に巻回し、銅線35に密着させたもので、この銅棒35の周面には、パラジウムのナノ粒子が塗布されている。前記真空チャンバー30の一方の端板30aには重水素ガスをその中に供給する入口37とそれを排出する出口38が設けられている。前記真空チャンバー30は、ステンレス製(SUS304)であり、実験装置においては、前記銅棒35の直径は3mm、長さは50mmである。パラジウム線36の太さは、1.0〜1.5mm、電極間距離は50mm、放電時の重水素ガス圧力は、10
-4〜10-2気圧に設定される。この距離と圧力とは、使用する直流電源33の放電印加電圧によって変化するが、圧力が10
-2気圧の場合には、前述の大きさでよいが、10-4気圧になると、距離は50〜60mmと大きくなり、重水素ガスの供給圧力は10-2気圧を超えることはない。
【0029】
更に、真空チャンバー30の直径は圧力に対応して以下のように変化させることが好ましい。
【0030】
圧力10
-2気圧:100mm
圧力10
-2〜10
-3:120mm
圧力10
-3〜10
-4:150mm
なお、パラジウム線の太さは、全ての圧力において1.0〜1.5mmでよく、例えば1.0mmでよい。
【0031】
また、放電電圧は、例えば1〜5KVが好ましく一般には3KV程度でよく、周波数は50〜2000Hzであればよい。
【0032】
次に、関連発明の作用について説明する。
【0033】
初めに、真空チャンバー30を排気して10
-6気圧程度の真空にする。両電極31、32間に3KV程度の電圧を印加する。これにより放電が発生し、陽極31の温度は500〜600℃迄上昇する。放電を継続しつつ重水素ガスを入口37から真空チャンバー30内に供給して、ガス圧を10
-2気圧とする。1〜2分後に銅棒35に付着しているパラジウムのナノ粒子中の自由電子が重い電子となる。前記ナノ粒子は供給された重水素を吸収しているので、重い電子はこの重水素原子中に入り込んで重水素原子の大きさを縮小せしめ、他の重水素原子と反応して(4)式および(5)式に従って、ヘリウム3(
3He)と中性子を放出する。その後一旦放電を中止し、重水素ガスを補給する。更に、所定時間経過後重水素ガスの供給を止め、水パイプ34に冷却水を通して十分両電極31、32を冷却した後、放電を開始する。こうすれば、再び核反応が起き、ヘリウム3と中性子nが発生し、核反応を数時間継続できる。ヘリウム3と中性子の発生数は、放電電圧によってコントロールされ、電圧の指数関数で発生ヘリウム3と中性子数は増加する。この時の電極間31、32の電流の変化を
図9で示し、中性子の発生数を
図10(縦軸は対数表示)で示している。重水素ガス圧は、10
-2気圧でパラジウム線の長さは100mmとして銅棒35上に巻回した。電圧は3KVで、中性子発生時の電流は10〜12mAで電力としては30W〜36Wとなり、中性子の数は10
6個となり、計算では反応部分の単位面積当り、10
5個となる。なお、銅棒35とパラジウム線36からなる電極31は陽極としているが、水素吸収という観点からは陰極とし、白金電極32を陽極としてもよい。
【0034】
次に本発明の関連発明の核融合方法について説明する。
【0035】
図4において、関連発明の核融合方法を実施するための核融合装置M
3は、ステンレス製の真空チャンバー40を有し、この真空チャンバー40内に陽極41とこの陽極41の周囲に円筒形の陰極42とが配設されている。前記真空チャンバー40外周面には、冷却パイプ43が巻回され、これにより真空チャンバー40内を冷却して反応のコントロールがなされる。前記両電極41、42間には直流電源44が設けられ、前記陰極42の内面にはナノ粒子45が付着されている。
【0036】
前記陽極41は、例えば銅棒で形成され、前記陰極42は、導電性の水素を吸収する性質を有する、例えばLaNi
5,TiFe合金で形成される。これらの陰極の内壁には、Na−Fe金属酸化物(例えば、Na
3FeO
3、Na
4FeO
3、Na
8Fe
2O
7、Na
3Fe
5O
9)のナノ粒子45がその全面に亘って付着され、この金属酸化物自体も水素を吸収する。また、真空チャンバー40の一方(図上左側)の端板40aには重水素ガスの入口46および出口47が設けられ、所定圧の重水素ガスが真空チャンバー40内に送られる。なお、印加電圧、ガス圧は
図3に示す関連発明とほぼ同一で、装置の操作も同一である。真空引き後の放電時に真空チャンバー40内は500〜600℃の温度に上昇し、このとき、重水素ガスを真空チャンバー40内に供給すると、重水素は、陰極42とその上に付着しているナノ粒子45に吸引される。これにより、第1発明と同じような作用により、(4)式および(5)式に従って核融合反応が生じる。なお、陽極41を銅棒とこの周りに巻回した白金線で構成し、ナノ粒子45をニッケル、パラジウム、白金で構成することも可能である。
【0037】
次に、本発明の第1及び第3発明について説明する。
【0038】
図5、6において、第3発明を実施するための核融合装置M
4は、ステンレス製(SUS304)の円筒状反応セル50を有し、この反応セル50の周囲は面状ヒータ51により500〜600℃に加熱されるようになっており、前記反応セル50内には、水酸化ナトリウム(NaOH)又は水酸化カリウム(KOH)のようなアルカリ金属水酸化物の反応剤R・Aが収納されている。前記反応セル50の図上左側端板には、水又は水蒸気の入口52が設けられ、反対側の端板50bには、反応により生じた水素を排出するための水素排出口53が設けられている。前記反応剤R・Aをその融点(NaOH 318℃; KOH 360℃)以上に加熱すると溶融塩となり、その液面からは無数の微細粒子(ナノ粒子P)が反応セル内の空間に飛散し、ここに水蒸気を供給すると、SUS304の主たるFe成分と反応剤R・Aが反応剤と反応して低次の鉄酸化膜を作る。今、反応剤として水酸化ナトリウム(NaOH)を使用した場合に、Feが水蒸気と反応して、
Fe + H
2O → FeO + H
2↑ …(6)式
の反応により、FeOが生じ、このFeOが更にNaOHと反応して
FeO + NaOH → NaFeO
2 + 1/2H
2↑ …(7)式
鉄酸ナトリウム(NaFeO
2)を作り、この鉄酸ナトリウムが鉄(Fe)と水蒸気(H
2O)と反応して、
NaFeO
2 + H
2O + 2/3Fe
→ 1/3Na
3Fe
5O
9 + H
2 …(8)式
【0039】
高次の鉄酸ナトリウム(Na
3Fe
5O
9)を作る。なお、SUS304の成分でCrはFeのように、多量の酸化物を作らずNiは触媒の作用をし、自身では酸化物を作らない。したがって、Feのみを考慮した。この膜は、先ず反応セル50の内壁に生成し、所定厚になると剥離してその内側に更に新しい膜が発達してくる。図は2枚の膜l
1、l
2が生成されている状態を示し、第1膜l
1が最初の膜であり、この第1膜l
1が剥離した後に第2膜l
2が生成される。これら膜l
1、l
2は導電性で、磁性を有し、硬度が高く、水素ガスをよく吸収し、吸水性で800℃以上でも溶融しない。これらの膜上には、NaOHのナノ粒子が多数付着し、前述の(6)式および(7)式の反応により多量の水素が発生するのでその一部が前記膜l
1、l
2に吸収される。またNaOH自身も水素を吸収する。したがって、膜l
1、l
2上のナノ粒子の電子は重電子に変化し、この重電子の作用により、吸収された水素は収縮し、他の水素原子と前述の(1)式、(2)式の反応により核融合を起こす。なお、高次の鉄酸化物としては、Na
8Fe
2O
7も検出されている。
【0040】
この第1及び第3発明は、(6)式乃至(8)式の化学反応が誘起する核融合であり、この場合、付加的に大量の水素ガスが製造され、反応セル50内に水素排出口53を介して真空ポンプ(図示なし)を接続し、セル内に水蒸気を供給しながらも0.5気圧程度に常時維持すると反応性が向上する。
【0041】
次に、本発明の第2及び第4発明について説明する。
【0042】
図7、8において、第4発明を実施するための核融合装置M
5は、SUS304からなる円筒形の反応セル60を有し、この反応セル60の両端には絶縁性の端板60a、60bで閉塞され、前記端板60aの中心部には、例えば銅棒からなる陽極61が支持され、前記反応セル60の本体が陰極62を形成し、両電極61、62間に直流電源63が設けられ、前記反応セル本体の周囲には、面状ヒータ64が形成されるとともに、反応セル60を冷却するための水管70が巻回されている。前記陽極61の端板60aの内側には、絶縁体65が設けられ、陰極62に形成される導電性の膜が、陽極61に接触しないようにしている。前記端板60aには、鉄酸化膜形成のために水蒸気を導入する水蒸気入口66が、前記反対側端板60bには、酸化膜形成時に発生する水素を排出する水素排出口67および核反応時に必要な水素ガス又は重水素ガスを導入するためのガス導入口68が設けられている。なお、水素排出口67には、真空ポンプ72が接続され、これにより反応セル内の圧力が調整される。
【0043】
前記反応セル本体内の底部には、細長い樋形の反応剤受け69が載置され、この反応剤受け69内にアルカリ金属水酸化物、例えばNaOH、KOHの反応剤R・Aが収納されている。前記反応セル本体(陰極)62は面状ヒータ64により反応剤の融点以上、特に500〜600℃に加熱され、このとき、反応剤受け69内の反応剤は溶融して溶融塩となり、この液面からは、無数のナノオーダーの微細粒子P(ナノ粒子)が飛散して、水蒸気と反応セル内壁の鉄成分と反応して導電性で、水素吸収性を有する高次の鉄酸化膜71が形成され、この上に反応剤成分のナノ粒子が付着する。
【0044】
次に第2及び第4発明の作用について説明する。
【0045】
先ず、面状ヒータ64を作動させるとともに、水蒸気を導入し、水素を発生しながら、陰極62上に高次の鉄酸化膜(Na
3Fe
5O
9,Na
8Fe
2O
7等)を反応剤をNaOHとした場合に、前述の(6)式乃至(8)式に基づいて生成し、この鉄酸化膜上の全面を反応剤のナノ粒子(NaOH)が被うようにする。このとき、発生した水素ガスの一部は酸化膜及びナノ粒子に吸収される。この状態で、水蒸気の供給と面状ヒータ64を停止し、水管70を動作させて反応セル内を20℃前後まで冷却し、真空ポンプ72を動作させて反応セル内を真空とする。次いで、ガス導入口68から水素ガスあるいは重水素ガスを導入して反応セル内の圧力を10kpa程度とする。このガスの一部は高次酸化物及びナノ粒子に吸収される。その後、直流電源63から3KVの電圧を両電極61、62間に印加して放電せしめる。この放電により反応剤R・Aは溶融してナノ粒子が飛散し、陰極62の鉄酸化膜71上のナノ粒子を補給でき、こうしてナノ粒子、重い電子および鉄酸化膜71内に吸収されている水素、重水素の作用により核融合反応が起きる。
【0046】
なお、第1乃至第4発明においては、熱発生が確認されている。