(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-39717(P2018-39717A)
(43)【公開日】2018年3月15日
(54)【発明の名称】ガラス板加工装置
(51)【国際特許分類】
C03B 33/02 20060101AFI20180216BHJP
B65G 49/06 20060101ALI20180216BHJP
【FI】
C03B33/02
B65G49/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-145209(P2017-145209)
(22)【出願日】2017年7月27日
(62)【分割の表示】特願2017-509078(P2017-509078)の分割
【原出願日】2016年8月31日
(31)【優先権主張番号】特願2015-172405(P2015-172405)
(32)【優先日】2015年9月1日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000174220
【氏名又は名称】坂東機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098095
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 武志
(72)【発明者】
【氏名】坂東 和明
【テーマコード(参考)】
4G015
【Fターム(参考)】
4G015FA01
4G015FA02
4G015FA03
4G015FA04
4G015FB01
4G015FC01
4G015FC02
4G015FC05
4G015FC11
4G015FC12
4G015FC14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】一の加工ポジションから他の一の加工ポジションへのガラス板の搬送を速くでき、加工動作のタクトタイムを短縮でき、もって加工ガラス板の生産性を一層向上させることができるガラス板加工装置を提供する。
【解決手段】ガラス板加工装置1は、ガラス板5に切線を形成する加工ポジションとしての切断部2と、ガラス板5の周縁を研削する加工ポジションとしての研削部3と、切断部2及び研削部3間の加工ポジションとしての折割部4と、ガラス板5を搬送するガラス板搬送部6とに加えて、切断部2への搬入側に配設されているガラス板の搬入部としての入込みコンベア7と、研削部3からの搬出側に配設されているガラス板の搬出部としての取出しコンベア8とを具備している。ガラス板搬送部6の搬送シャトル80に設けられた昇降装置91は、スライダークランク機構99を具備し、昇降モータにより駆動され吸着パッド90を昇降させるガラス板加工装置1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工を施すべきガラス板を支持するガラス板支持部を有していると共に互いに間隔をもって配設された少なくとも二つの加工ポジションと、この少なくとも二つの加工ポジションのうちの一方の加工ポジションのガラス板支持部から当該少なくとも二つの加工ポジションのうちの他方の加工ポジションのガラス板支持部へガラス板を搬送する搬送装置とを具備しており、この搬送装置は、一方及び他方の加工ポジションのガラス板支持部間において往復移動する搬送シャトルと、この搬送シャトルに昇降装置を介して取付けられた吸着パットとを具備しており、搬送シャトルの往復移動、昇降装置による吸着パットの昇降並びに吸着パットのガラス板に対する吸着及び吸着解除によって一方の加工ポジションから他方の加工ポジションへガラス板を搬送するようにしたガラス板加工装置において、昇降装置がクランク軸とスライダーとを有したスライダークランク機構を具備しており、クランク軸は、搬送シャトルに取付けられた昇降モータに連結されており、吸着パットは、スライダーに取付けられていると共に昇降モータの作動により昇降させられるようになっているガラス板加工装置。
【請求項2】
昇降モータは、数値制御されるサーボモータである請求項1に記載のガラス板加工装置。
【請求項3】
搬送装置は、搬送シャトルを往復移動させる搬送制御モータを具備しており、昇降モータと搬送制御モータとを同時制御することにより、一方の加工ポジションから他方の加工ポジションへのガラス板の搬送移動において、昇降装置及び吸着パットをしてガラス板を上昇させ、当該ガラス板の渡しを行う他方の加工ポジションに近づくにつれて、昇降装置をして当該ガラス板を徐々に降下させるようになっている請求項1又は2に記載のガラス板加工装置。
【請求項4】
一方の加工ポジションがガラス板の面に切線を形成すると共にこの切線の通りにガラス板を折割する切断及び折割部であり、他方の加工ポジションがガラス板の周縁を研削する研削部である請求項1から3のいずれか一項に記載のガラス板加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の窓用ガラス板、液晶用ガラス板等のガラス板の加工装置、具体的には、ガラス板に切断加工(切線入れ)、折割加工及び周縁研削加工等の加工を施して加工ガラス板を生産するガラス板加工装置、更に具体的には、加工ラインにおいて、各加工ポジション、例えば、切断部所、折割部所、周縁研削部所にガラス板を順送りしながら、そのガラス板の加工を仕上げてゆくガラス板加工装置、特に、本発明は、各加工ポジションのガラス板支持部にガラス板を順送りに搬送する改良されたガラス板の搬送装置を具備したガラス板加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、加工を施すべきガラス板を支持するガラス板支持部を夫々有した複数の加工ポジションが間隔をもって配設され、各加工ポジションのガラス板支持部にガラス板を順送りに搬送するガラス板の搬送装置は、各加工ポジションのガラス板支持部の上方間を往復移動する移動台と、この移動台にエアーシリンダ装置からなる昇降装置を介して取付けられた吸着パットとを具備しており、移動台の往復動、エアーシリンダ装置による吸着パットの昇降、吸着パットのガラス板に対する吸着及び吸着解除によって各加工ポジションのガラス板支持部へガラス板を順送りに搬送するようになっており、特に、エアーシリンダ装置は、圧縮エアーの入切によって吸着パットの昇降、延いてはガラス板の持上げ、降下を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−68768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、斯かるガラス板加工装置では、エアーシリンダ装置により吸着パットを昇降させるようになっているために、吸着パットの昇降位置及び昇降スピードの制御が困難であり、このため、各加工ポジションにおけるガラス板支持台でのガラス板の受け渡しにおいて、吸着パットは、常に、エアーシリンダ装置の全ストロークをもって昇降されなければならない結果、吸着パットの昇降にエアーシリンダ装置を用いたガラス板の搬送装置では、ガラス板の受け渡しに際し、吸着パットの昇降に時間がかかり、更に、各吸着パットがガラス板を受け取って、次の加工ポジションへの搬送は、吸着パットを持上げるエアーシリンダ装置の収縮による上昇完了を待って開始しなければならないので、無駄な時間を要し、結局、加工ポジションから加工ポジションへのガラス板の搬送に時間を要し、加工ガラス板の生産性の向上が期待できない。
【0005】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、一の加工ポジションから他の一の加工ポジションへのガラス板の搬送を速くでき、加工動作のタクトタイムを短縮でき、もって加工ガラス板の生産性を一層向上させることができるガラス板加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のガラス板加工装置は、加工を施すべきガラス板を支持するガラス板支持部を有していると共に互いに間隔をもって配設された少なくとも二つの加工ポジションと、この少なくとも二つの加工ポジションのうちの一方の加工ポジションのガラス板支持部から当該少なくとも二つの加工ポジションのうちの他方の加工ポジションのガラス板支持部へガラス板を搬送する搬送装置とを具備しており、この搬送装置は、一方及び他方の加工ポジションのガラス板支持部間において往復移動する搬送シャトルと、この搬送シャトルに昇降装置を介して取付けられた吸着パットとを具備しており、搬送シャトルの往復移動、昇降装置による吸着パットの昇降並びに吸着パットのガラス板に対する吸着及び吸着解除によって一方の加工ポジションから他方の加工ポジションへガラス板を搬送するようにしたガラス板加工装置において、昇降装置が、クランク軸とスライダーとを有したスライダークランク機構を具備しており、クランク軸は、搬送シャトルに取付けられた昇降モータに連結されており、吸着パットは、スライダーに取付けられていると共に昇降モータの作動により昇降させられるようになっている。
【0007】
本発明によれば、スライダークランク機構は、昇降モータによるクランク軸の回転運動を吸着パットの昇降運動に変換しているため、吸着パットの上昇及び降下の度に、クランク軸を正逆回転させる必要がなく、当該クランク軸は、一方向に回転させるだけでよく、また、スライダークランク機構では、スライダー、即ち、吸着パットの昇降の折り返しの上死点及び下死点において、吸着パットの昇降速度VがV=0、即ち、吸着パットの上昇から降下への変換位置及び降下から上昇への変換位置で速度0となり、そして、この速度V=0への減速(減速カーブ)、この速度V=0から加速(加速カーブ)が滑らかであるため、吸着パットによるガラス板支持部からのガラス板の吸着持上げ及び吸着パットによるガラス板のガラス板支持部への降下載置が穏やかに行われ得、しかも、特に、吸着パットの昇降の下死点の位置をガラス板支持部の上面直近に合わすことにより、吸着パットによるガラス板の吸着に基づくガラス板支持部からのガラス板の持上げ、吸着パットによるガラス板に対する吸着解除に基づくガラス板支持部への載置が確実に行われる。
【0008】
本発明の好ましい例では、昇降モータは、数値制御されるサーボモータであり、本発明の他の好ましい例では、搬送装置は、搬送シャトルを往復移動させる搬送制御モータを具備しており、斯かる好ましい例において、昇降モータ、好ましくはサーボモータと搬送シャトルとを往復移動させる搬送制御モータとを同時制御することにより、一方の加工ポジションから他方の加工ポジションへのガラス板の搬送移動において、昇降装置及び吸着パットをしてガラス板を上昇させ、当該ガラス板の渡しを行う他方の加工ポジションに近づくにつれて、昇降装置をして当該ガラス板を徐々に降下させるようになっていると、ガラス板の搬送移動中に吸着パットをしてガラス板の搬送高さを上昇させて他の部材等との衝突、接触等の不具合を回避でき、次のガラス板支持部へのガラス板の載置のために他方の加工ポジションに近づくにつれてガラス板を徐々に降下させ、当該他方の加工ポジションにガラス板が至ったときには、ガラス板支持部へのガラス板の渡しに必要な最小距離の高さ位置に精確に吸着パットを位置決めでき、この他方の加工ポジションにおいて、最少距離をもって降下させたガラス板を他方の加工ポジションのガラス板支持部に載置し、次に吸着パットを空で再び必要最小距離の高さまで上昇させると同時に当該空の吸着パットに対する復帰行程を開始させ、復帰行程の開始と共に空の吸着パットを更に上昇させ、一方の加工ポジションに近づくに従い空の吸着パットを降下させ、一方の加工ポジションのガラス板支持部の上方に復帰させて、当該空の吸着パットを次のガラス板の搬送開始まで待機するようにできる結果、ガラス板の受取り持上げの時間及びこの持上げから他方の加工ポジションへの搬送出発までの時間、吸着パットの降下からガラス板の吸着持上げ完了までの時間を短縮でき、更に、受取ったガラス板の搬送開始までの時間もまた短縮できる。
【0009】
従って、本発明によれば、ガラス板の搬送時間を短縮でき、加工ポジションでの加工動作の開始が速くなり、よって加工されたガラス板の生産速度を大巾に上昇させることができる。
【0010】
本発明において、加工ポジションは、カッターホイールによりガラス面に切線を入れる切断部、切線が入れられたガラス板を切線に沿って折割る折割部及びガラス板の周縁を研削する研削部を含み、また、カッターホイールによりガラス板の面に切線を形成すると共にこの切線の通りにガラス板を折割する切断及び折割部並びに研削部を含み、一方、ガラス板支持部は、ガラス板が載置されると共に当該ガラス板を支持及び保持する機構全体を含み、例えば、切断テーブル又は切断折割兼用テーブル、折割部のベルトコンベア及び研削テーブルを含む。
【0011】
本発明において、好ましい例では、一方の加工ポジションがガラス板の面に切線を形成すると共にこの切線の通りにガラス板を折割する切断及び折割部であり、他方の加工ポジションがガラス板の周縁を研削する研削部である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、一の加工ポジションから他の一の加工ポジションへのガラス板の搬送を速くでき、加工動作のタクトタイムを短縮でき、もって加工ガラス板の生産性を一層向上させることができるガラス板の加工方法及びガラス板加工装置を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態の具体例の正面説明図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す具体例の一部切欠の平面説明図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すIII−III線矢視断面説明図である。
【
図6】
図6は、
図1に示すVI−VI線矢視断面説明図である。
【
図7】
図7は、
図1に示す具体例における搬送装置の昇降装置の正面説明図である。
【
図8】
図8は、
図7に示すVIII−VIII線矢視断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の態様を図に示す具体例を参照して説明する。尚、本発明はこれらの例に何等限定されないのである。
【0015】
図1から
図9に示すように、ガラス板加工装置1は、ガラス板5に切線を形成する加工ポジションとしての切断部2と、ガラス板5の周縁を研削する加工ポジションとしての研削部3と、切断部2及び研削部3間の加工ポジションとしての折割部4と、ガラス板5を搬送するガラス板搬送部6とに加えて、切断部2への搬入側に配設されているガラス板の搬入部としての入込みコンベア7と、研削部3からの搬出側に配設されているガラス板の搬出部としての取出しコンベア8とを具備している。
【0016】
切断部2は、カッターホイール14を備えた切断ヘッド9と、切断ヘッド9の下方において切断ヘッド9に対応して設置されていると共にガラス板5を平面支持する上面を有したガラス板支持部としての切断テーブル11とを具備しており、研削部3は、研削ホイール15を備えた研削ヘッド10と、研削ヘッド10に対応して設置されていると共にガラス板5を平面を保って吸着保持するガラス板支持部としての複数の吸盤13の夫々が上面に吸着された研削テーブル12とを具備しており、切断ヘッド9と切断テーブル11とは、方向Xと方向Xに直交する方向YからなるXY平面座標系においてガラス板5に対してのNC制御された輪郭制御運動を行うようになっており、研削ヘッド10と研削テーブル12ともまた、XY平面座標系において切断ヘッド9と切断テーブル11との輪郭制御運動と同時併行して同一のガラス板5に対しての輪郭制御運動を行うようになっている。
【0017】
切断ヘッド9と研削ヘッド10とは、方向XであるX軸方向の直動を行う共通の移動台16に装置されており、切断ヘッド9、延いてはカッターホイール14と、研削ヘッド10、延いては研削ホイール15とは、一体となってX軸方向に直動されるようになっている一方、切断ヘッド9に対応して方向YであるY軸方向に移動する切断テーブル11と、研削ヘッド10に対応してY軸方向に移動する研削テーブル12とは、そのY軸方向に移動について互いに同期制御されるようになっている。
【0018】
切断テーブル11と研削テーブル12との上方であって機台18の方向Xの各端部に立設された門形の一対の枠台19に架台17が架設されており、移動台16をX軸方向に案内移動させるべく、架台17の前面に設けられたスライドレール装置21は、架台17にX軸方向に沿って互いに平行に敷設された2本のレール22と、レール22の夫々に方向Xに移動自在に装着されていると共に移動台16が固定されている複数のスライドブロック23とを具備しており、切断ヘッド9及び研削ヘッド10は、スライドレール装置21によってX軸方向に移動台16と共に一体となって直動されるようになっており、移動台16のX軸方向の直動は、移動台16に固着されたナットに螺合されていると共にレール22間に設けられた送りネジ24と、送りネジ24を回転させるX軸制御モータ25とによって行われる。
【0019】
切断テーブル11を方向YであるY軸方向に案内移動させるスライドレール装置26は、Y軸方向に沿って互いに平行に敷設された2本のレール27と、レール27の夫々に方向Yに移動自在に装着されていると共に切断テーブル11が固定されている複数のスライドブロック28とを具備しており、切断テーブル11のY軸方向の直動は、切断テーブル11に固着されたナットに螺合されていると共にレール本体27間に設けられた送りネジ29と、送りネジ29を回転させるY軸制御モータ30とによって行われる。
【0020】
研削テーブル12をY軸方向に案内移動させるスライドレール装置31もまた、Y軸方向に沿って互いに平行に敷設された2本のレール32と、レール32の夫々に方向Yに移動自在に装着されていると共に研削テーブル12が固定されている複数のスライドブロック33とを具備しており、研削テーブル12のY軸方向の直動は、研削テーブル12に固着されたナットに螺合されていると共にレール32間に設けられた送りネジ34と、送りネジ34を回転させるY軸制御モータ35とにより行われる。
【0021】
切断テーブル11と研削テーブル12とが同期してY軸方向に移動されるように、互いに独立して配されたY軸制御モータ30とY軸制御モータ35とは、数値制御装置によって同期して運転されるようになっている。
【0022】
X軸方向に移動する移動台16の前面には、切断テーブル11に対応して軸受装置36が、研削テーブル12に対応して軸受装置38がそれぞれ取付けられており、軸受装置36は、ベアリング(図示せず)により保持された回転軸37を、軸受装置38は、ベアリング(図示せず)により保持された回転軸39を夫々具備しており、回転軸37及び39は、XY平面座標系、即ち、ガラス板5の上面に対して直交した回転軸心40を有しており、回転軸37の下端部43には、当該下端部43を把持したブラケット45を介して切断ヘッド9が取付けられおり、回転軸37の上端部41には、角度制御モータ46が互いに噛み合った平歯車47を介して連結されており、回転軸39の下端部44には、当該下端部44を把持したブラケット48を介して研削ヘッド10が取付けられており、回転軸39の上端部42には、角度制御モータ49が互いに噛み合った平歯車50を介して連結されており、角度制御モータ46及び49の夫々は、移動台16の前面から立設されたブラケット51及び52に保持されており、移動台16と一体となってX軸方向に移動されるようになっており、回転軸37及び39は、角度制御モータ46及び49の夫々から角度制御回転を受けて、切断ヘッド9及び研削ヘッド10を回転軸心40の回りで角度制御回動させるようになっている。
【0023】
切断ヘッド9は、カッターホイール14と、カッターホイール14を備えたカッターヘッド本体53と、カッターヘッド本体53を保持すると共にカッターヘッド本体53の位置をガラス板5の面に平行な面内で方向X及び方向Yに調整する位置調整手段54と、カッターヘッド本体53の上部に取付けられていると共にカッターホイール14を方向X及びYに対して直交する方向ZであるZ軸方向に上下動させ、ガラス板5に切線を形成時には、カッターホイール14に切り圧を与えるエアーシリンダ装置55とを具備している。
【0024】
位置調整手段54は、カッターヘッド本体53を支持するY方向スライドと、このY方向スライドを方向Yに移動自在に支持するX方向スライドと、X方向スライドをX方向に移動自在に保持すると共にブラケット45に懸吊的に取付けられたブラケットとを具備している。
【0025】
研削ヘッド10は、研削ホイール15が装着されている出力回転軸61を有したスピンドルモータ59と、スピンドルモータ59の位置をX方向及びY方向に夫々調整するための位置調整手段60とを具備しており、位置調整手段60は、スピンドルモータ59を保持するY方向スライド62と、Y方向スライド62を方向Yに移動自在に支持するX方向スライド63と、X方向スライド63をX方向に移動自在に保持すると共にブラケット48に懸吊的に取付けられたブラケット64とを具備しており、研削ホイール15は、位置調整手段60の調整によって、その周端面(研削面)が回転軸39の回転軸心40に一致されるようになっている。
【0026】
折割部4は、切断部2から搬送された切線入りのガラス板5を載置する水平のベルトコンベア65と、ベルトコンベア65上に載置されたガラス板5を折割する2基の折割装置66とを具備しており、折割装置66の夫々は、端切りカッター装置67とプレス装置68と、端切りカッター装置67及びプレス装置68を、ガラス板5上をガラス板5の面に沿って移動させる移動手段69とを具備しおり、移動手段69は、端切りカッター装置67及びプレス装置68を保持すると共に端切りカッター装置67及びプレス装置68を方向Yに数値制御移動させるY方向移動装置70と、Y方向移動装置70を方向Xに数値移動させるX方向移動装置71とを具備しており、一方の折割装置66は、一方のX方向移動装置71においてブラケット73を介して架台17に、他方の折割装置66は、他方のX方向移動装置71においてブラケット74を介して架台103に取付けられており、架台103は、架台17の後方において架台17と平行して機台18の前後端に立設の枠台19に架設されている。
【0027】
ベルトコンベア65は、コンベアベルト75と、コンベアベルト75を内側から平面に支える支持板兼フレーム76と、コンベアベルト75を回走させる駆動装置77とを有しており、支持板兼フレーム76においてブラケットを介して機台18に支持されている。
【0028】
折割部4では、切断部2において切線が入れられたガラス板5は、切断部2に対応のガラス板持上げ装置81によるその持上げ及び搬送シャトル80の移動によるガラス板搬送によりコンベアベルト75上に移載され、コンベアベルト75上に移載されたガラス板5は、折割部4に復帰したガラス板持上げ装置81の吸着パット90の降下で押えられて固定され、コンベアベルト75上に固定されたガラス板5に対して、端切りカッター装置67の夫々は、必要箇所へ順次移動されて端切り線を形成し、次に、プレス装置68の夫々は、端切り線が形成されたガラス板5の必要箇所に順次移動されて当該ガラス板5にプレスを施し、不要部の折割及び切り離しを行い、不要部が折割及び切離されたガラス板5は、ガラス板持上げ装置81の吸着パット90により吸着及び持上げられ、この状態で待機し、次に研削部3への搬送のために待機し、この待機において、ベルトコンベア65が作動されてコンベアベルト75が走行され、この走行でコンベアベルト75上の折割カレットが外部の折割カレット収容箱78へ排出される一方、折割カレットの排出後、コンベアベルト75の走行が停止される。
【0029】
ガラス板搬送部6は、搬送装置79を具備しており、搬送シャトル80及び複数のガラス板持上げ装置81を具備した搬送装置79は、搬送シャトル80の往復動の繰返しにより、入込みコンベア7上のガラス板5を切断テーブル11上へ、切断テーブル11上のガラス板5を折割部4のコンベアベルト75上へ、折割部4で折割され吸着パット90で持上げ中のガラス板5を研削テーブル12の複数の吸盤13上へ、研削テーブル12の吸盤13上のガラス板5を取出しコンベア8上へ搬送して、ガラス板5を次へ次へと順送りするようになっており、ガラス板5は、入込みコンベア7上のガラス板支持部20a、切断テーブル11上のガラス板支持部20b、折割部4のベルトコンベア65上のガラス支持部20c、研削テーブル12の吸盤13上のガラス板支持部20d及び取出しコンベア8上のガラス板支持部20eに載置され、かつガラス板支持部20b及び20dにあっては加工作業中おいては固定的に支持又は保持されるようになっている。
【0030】
搬送シャトル80は、入込みコンベア7、切断テーブル11、ベルトコンベア65及び、吸盤13の夫々の上方に設けられており、X軸方向に往復動を繰返すようになっており、この往復動において取出しコンベア8の上方へも至るようになっており、ガラス板持上げ装置81の夫々は、搬送シャトル80の下面において、加工ポジションに対応した位置に、即ち、ガラス板支持部20a、ガラス板支持部20b、ガラス板支持部20c及びガラス板支持部20dの夫々に対応した位置に、ブラケット85を介して取付けられて設けられており、而して、搬送シャトル80及び各ガラス板持上げ装置81は、方向Xにおいて一体として搬送制御モータ89によって数値制御されて往復動されるようになっている。
【0031】
ガラス板持上げ装置81の夫々は、ガラス板5の面に接してガラス板5の吸着保持及びガラス板5の吸着保持を解除する吸着パット90と、吸着パット90を昇降させる昇降装置91とを具備している。
【0032】
昇降装置91の夫々は、二つの吸着パット90を保持すると共に直線昇降の案内を行うスライド装置98と、スライド装置98が保持した吸着パット90を昇降させるスライダークランク機構99とを具備しており、スライド装置98は、夫々スライドシャフト96を有した一対のスライドユニット体95と、これらスライドシャフト96同士を連結していると共に下面に複数の吸着パット90が取付けられた連結体97とを具備しており、スライドユニット体95の夫々は、ケース本体101と、ケース本体101内をスライドするスライドシャフト96とを具備しており、ケース本体101においてブラケット85に取付けられている。
【0033】
スライダークランク機構99は、ブラケット85に取付けられていると共に数値制御される減速機直結のサーボモータからなる昇降モータ100と、昇降モータ100の減速機の出力回転軸102に固定して取付けられたクランク軸110と、クランク軸110から半径方向に突設されたクランク腕111と、クランク腕111から突設したクランクピン112と、クランクピン112及び連結体97に取付けられたスライダーとしてのスライダーピン113に回転連結したコンロット114とを具備しており、コンロット114とクランクピン112及びスライダーピン113との回転連結は、ベアリング115を介して行われている。
【0034】
スライダークランク機構99は、昇降モータ100の作動による出力回転軸102の回転によりクランク軸110を介してクランク腕111を回転させ、クランクピン112とスライダーピン113とに回転連結させたコンロット114を介して連結体97、延いては吸着パット90を上下に往復直動させるようになっており、而して、スライダークランク機構99は、昇降モータ100の出力回転軸102の回転を吸着パット90の上下往復動に変換するようになっている。
【0035】
搬送シャトル80は、架台103の下面において、X軸方向に平行に設置されたスライド装置104に取付けられており、スライド装置104は、平行に敷設した一対のレール105と、レール105に方向Xに移動自在に組付けられていると共に搬送シャトル80が取付けられたスライドブロック106とを具備しており、搬送シャトル80の方向Xの往復動は、レール105の間において架台103に回転自在に取付けられていると共に搬送シャトル80のナットに螺合した送りネジ107と、送りネジ107に連結されていると共に数値制御装置からの数値情報に基づいた搬送制御モータ89の出力回転軸の回転により行われるようになっている。
【0036】
ガラス板加工装置1が各加工ポジションにおいて加工動作中にあるとき、往復動する搬送シャトル80は、復帰位置において待機しており、各ガラス板持上げ装置81は、入込みコンベア7の上方、切断テーブル11の上方及び研削テーブル12の上方に待機しており、このとき、ベルトコンベア65に対応したガラス板持上げ装置81は、ベルトコンベア65上にあって、その吸着パット90を最下位まで降下させてベルトコンベア65上のガラス板5を押圧中にあり、折割装置66が動作してガラス板5を折割し、折割装置66の折割完了で吸着パット90はガラス板5を吸着し、最上位までガラス板5を持上げて待機し、他の吸着パット90と共の方向Xの一体移動を待つようになっており、各加工ポジションの加工動作が終了し、切断テーブル11、研削テーブル12が原点復帰すると、折割部4に位置するガラス板持上げ装置81を除き、各ガラス板持上げ装置81は、昇降装置91を介して一斉にに吸着パット90を降下させ、吸着パット90をガラス板5に接触させ、吸着パット90によりガラス板5を吸着させ、吸着パット90上昇と共にガラス板5を持上げ、ガラス板5の持上げ完了と同時に、搬送シャトル80が往行程を開始し、各加工ポジションのガラス板5は、次の加工ポジションに向けて搬送され始め、各吸着パット90が次の加工ポジションのガラス板支持部20b、20c、20d及び20eの上方に至って搬送シャトル80が停止したとき、各吸着パット90を降下し、ガラス板5をガラス板支持部20b、20c、20d及び20eの上面に接しさせ、各吸着パット90からガラス板5を吸着開放し、ガラス板支持部20b、20c、20d及び20e上に移載し、次に、各ガラス板持上げ装置81は、昇降装置91をして吸着パット90を上昇させ、同時に搬送シャトル80は、復帰行程を開始し、と同時に、ガラス板加工装置1は、各加工ポジションにおいて加工動作を開始する。
【0037】
各ガラス板持上げ装置81が元の加工ポジションの支持台の上方に戻ったとき、吸着パット90は、ガラス板支持部の上方に待機する。
【0038】
各加工ポジションの加工動作の終了で、各々加工ガラス板5を支持したガラス板支持部、つまり、切断テーブル11、研削テーブル12が原点復帰すると、ガラス板搬送部6は上述と同一動作を繰返し、加工ガラス板5を各加工ポジションへ順送りにする。最後の取出しコンベア8上に順送りされてきた加工ガラス板5は加工仕上りとして取出す。
【0039】
以上のように、加工を施すべきガラス板5を支持するガラス板支持部20a、20b、20c、20d及び20eを有していると共に互いに間隔をもって配設された入込みコンベア7、切断部2、折割部4、研削部3及び取出しコンベア8と、入込みコンベア7のガラス板支持部20aから切断部2のガラス板支持部20bへ、ガラス板支持部20bから折割部4のガラス板支持部20cへ、ガラス板支持部20cから研削部3のガラス板支持部20dへ、そして、ガラス板支持部20dから取出しコンベア8のガラス板支持部20eへガラス板5を搬送する搬送装置79とを具備しており、搬送装置79は、ガラス板支持部20a及び20b間、ガラス板支持部20b及び20c間、ガラス板支持部20c及び20d間及びガラス板支持部20d及び20e間において方向Xにおいて往復移動する搬送シャトル80と、搬送シャトル80に昇降装置91の夫々を介して取付けられた吸着パット90とを具備しており、搬送シャトル80の往復移動、昇降装置91の夫々による吸着パット90の昇降並びに吸着パット90の夫々のガラス板5に対する吸着及び吸着解除によって入込みコンベア7のガラス板支持部20aから切断部2のガラス板支持部20bへ、ガラス板支持部20bから折割部4のガラス板支持部20cへ、ガラス板支持部20cから研削部3のガラス板支持部20dへ、そして、ガラス板支持部20dから取出しコンベア8のガラス板支持部20eへガラス板5を搬送するようになっており、各昇降装置91がクランク軸110とスライダーピン113とを有したスライダークランク機構99を具備しており、クランク軸110が、搬送シャトル80に取付けられた好ましくは数値制御されるサーボモータである昇降モータ100に連結されており、吸着パット90が、スライダーピン113に取付けられていると共に昇降モータ100の作動により昇降させられるようになっており、しかも、昇降モータ100と搬送制御モータ89とを同時制御することにより、入込みコンベア7のガラス板支持部20aから切断部2のガラス板支持部20bへ、ガラス板支持部20bから折割部4のガラス板支持部20cへ、ガラス板支持部20cから研削部3のガラス板支持部20dへ、そして、ガラス板支持部20dから取出しコンベア8のガラス板支持部20eへのガラス板5の方向Xの搬送移動において、各昇降装置91及び各吸着パット90をしてガラス板5を上昇させ、当該ガラス板5の渡しを行う切断部2、折割部4、研削部3及び取出しコンベア8に近づくにつれて、各昇降装置91をして当該ガラス板5を徐々に降下させるようになっているガラス板加工装置1では、各スライダークランク機構99は、昇降モータ100によるクランク軸110の回転運動を吸着パット90の方向Zの昇降運動に変換しているため、吸着パット90の上昇及び降下の度に、クランク軸110を正逆回転させる必要がなく、当該クランク軸110は、一方向に回転させるだけでよく、また、各スライダークランク機構99では、スライダーピン113、即ち、吸着パット90の方向Zの昇降の折り返しの上死点及び下死点において、吸着パット90の方向Zの昇降速度VがV=0、即ち、吸着パット90の方向Zの上昇から降下への変換位置及び降下から上昇への変換位置で速度0となり、そして、この速度V=0への減速(減速カーブ)、この速度V=0から加速(加速カーブ)が滑らかであるため、吸着パット90によるガラス板支持部20a、20b、20c及び20dからのガラス板5の吸着持上げ及び吸着パットによるガラス板5のガラス板支持部20b、20c、20d及び20eへの降下載置が穏やかに行われ得、しかも、特に、吸着パット90の昇降の下死点の位置をガラス板支持部20a、20b、20c及び20dの上面直近に合わすことにより、吸着パット90によるガラス板5の吸着に基づくガラス板支持部20a、20b、20c及び20dからのガラス板5の持上げ、吸着パット90によるガラス板5に対する吸着解除に基づくガラス板支持部20b、20c、20d及び20eへの載置が確実に行われる。
【0040】
ガラス板加工装置1では、研削部3は、研削ヘッド10と研削テーブル12とがXY座標系において輪郭制御移動を行うようになっているが、研削ヘッド10を固定し、ガラス板5を保持した研削テーブル12を角度制御回転させると共にY軸移動させる極座標系における輪郭制御方式であってもよく、研削テーブル12のY軸原点復帰において、搬送装置79の昇降装置91の吸着パット90により、研削部3への及び研削部3からのガラス板5の搬入搬出を行ってもよい。
【0041】
更に、ガラス板加工装置1は、切断部2と研削部3との間に折割部4を備えているが、折割部4を省き、ガラス板5の折割を切断部2において切断と折割とを連続して行ってもよく、即ち、切断ヘッド9にプレス装置68を併設し、カッターホイール14による切線形成の直後にプレス装置68により折割を行ってもよく、そして、この折割兼用の切断部2より研削部3にガラス板5を搬送してもよく、言い換えると、一の加工ポジションがガラス板5の面に切線を形成すると共にこの切線の通りにガラス板5を折割する切断及び折割部であり、他の加工ポジションがガラス板5の周縁を研削する研削部3であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 ガラス板加工装置
2 切断部
3 研削部
4 折割部
5 ガラス板
6 ガラス板搬送部
7 入込みコンベア
8 取出しコンベア