【課題】 オイル成分が比較的多く含有される場合であっても、基剤層の均一性、凝集力、粘着力、及び肌への付着性、並びに、使用時の使用感においていずれも優れており、かつ、剥離時の痛みが十分に軽減されたシート状パック剤を提供すること。
前記基剤層における前記多価アルコール脂肪酸エステル及び/又は前記脂肪酸の含有量と前記ポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体の含有量との質量比が3.3:1〜17.0:1であることを特徴とする請求項1に記載のシート状パック剤。
前記基剤層における前記多価アルコール脂肪酸エステル及び/又は前記脂肪酸の含有量が20〜30質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート状パック剤。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0015】
[シート状パック剤]
先ず、本発明のシート状パック剤について説明する。本発明のシート状パック剤は、支持体層及び基剤層を備えるシート状パック剤であって、
前記基剤層が、ハイドロゲルにオイルゲルが包接されたハイブリットゲルと、ポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体と、を含有しており、
前記ハイドロゲルが、水溶性高分子、水及び架橋剤を含有しており、
前記オイルゲルが、多価アルコール脂肪酸エステル及び脂肪酸からなる群から選択される少なくとも1種と、デキストリン脂肪酸エステルと、を含有しており、かつ、
前記基剤層における前記ポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体の含有量が1.77〜5.90質量%である。
【0016】
本発明のシート状パック剤は、支持体層と、前記支持体層の一方の面上に配置された基剤層とを備える。
【0017】
<支持体層>
前記支持体層としては、後述の基剤層を支持し得るものであれば特に制限されず、シート状パック剤の支持体層として公知のものを適宜採用することができる。このような支持体層の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル等;ポリウレタン;ナイロン等のポリアミド;レーヨン;パルプ;及び綿が挙げられ、これらのうちの1種のみであっても2種以上を組み合わせたものであってもよい。前記支持体層の形態としては、例えば、フィルム;シート;絡合、熱融着、圧着又はバインダー接着による不織布、織布、編布等の布帛;及びこれらの積層体が挙げられる。これらの中でも、前記支持体層としてはポリエステルからなる不織布であることが好ましい。また、この場合、前記不織布の目付としては20〜200g/m
2であることが好ましく、40〜120g/m
2であることがより好ましく、80〜120g/m
2であることがさらに好ましい。前記目付が前記下限未満であると、破れ等の形状破壊、基剤層形成時の染み出しによる外観不良や成型不良、貼付時の貼りづらさ等を招く傾向にあり、他方、前記上限を超えると、支持体層の伸縮性不良や柔軟性不良による使用性の低下、貼付時の捲れやコストアップを招く傾向にある。
【0018】
前記支持体層の厚みとしては、特に制限されないが、接触面積5cm
2あたり0.98Nの押圧で測定した場合の厚さで、0.1〜1.5mmであることが好ましく、0.5〜1.0mmであることが好ましい。前記支持体層の厚みが前記下限未満であると、破れ等の形状破壊、基剤層形成時の染み出しによる外観不良や成型不良、貼付時の貼りづらさ等を招く傾向にあり、他方、前記上限を超えると、支持体層の伸縮性不良や柔軟性不良による使用性の低下、貼付時の捲れやコストアップを招く傾向にある。
【0019】
さらにまた、前記支持体層の色としては、特に制限されないが、製品イメージに大きく影響を与え、美観や使用時の使用感向上につながる観点から、例えば、白色、肌色、黄色、赤色、榿色、緑色、青色、ピンク色、水色、及び茶色が挙げられ、必要に応じて濃淡を調整したものや、印刷、エンボス等の加工を施したものを適宜用いることができる。
【0020】
<剥離ライナー>
本発明のシート状パック剤は、使用時まで前記基剤層の前記支持体層とは反対の面上に剥離ライナーをさらに備えるものであることが好ましい。かかる剥離ライナーとしては、特に制限されず、シート状パック剤の剥離ライナーとして公知のものを適宜採用することができる。このような剥離ライナーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、及びポリアミドから選択される少なくとも1種を成型したものが挙げられる。これらの中でも、前記剥離ライナーとしてはポリエチレンテレフタレートフィルム又はポリプロピレンフィルムであることが好ましい。
【0021】
前記剥離ライナーの厚みとしては、特に制限されないが、20〜150μmであることが好ましく、40〜120μmであることがより好ましく、50〜100μmであることがさらに好ましい。前記剥離ライナーの厚みが前記下限未満であると、貼付時の貼りづらさ、強度低下による破れ等の形状破壊、製造時の作業性やライン適性の低下等を招く傾向にあり、他方、前記上限を超えると、裁断適性不良、貼付時の捲れやコストアップを招く傾向にある。
【0022】
前記剥離ライナーとしては、前記基剤層から容易に剥離出来るように該基剤層と接触する側の面にシリコーンコート等の剥離処理が施されたものであることが好ましく、また、貼付性の向上や剥離性の向上を主たる目的として、割線やミシン目の加工及び/又は印刷を施したもの;外観性の向上やズレ防止を主たる目的として、エンボス加工等を施したものを適宜用いることができる。
【0023】
<基剤層>
本発明に係る基剤層は、ハイドロゲルにオイルゲルが包接されたハイブリットゲルと、ポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体と、を含有する。
【0024】
〔ハイブリットゲル〕
本発明に係るハイブリットゲルは、水溶性成分を主体とするハイドロゲルと脂質成分及び/又は脂溶性成分を主体とするオイルゲルとを含むゲル構造体であり、前記ハイドロゲルに前記オイルゲルが包接されたゲルである。本発明において、「ハイドロゲルにオイルゲルが包接されたゲル」とは、前記水溶性高分子が前記架橋剤によって架橋されてなる前記ハイドロゲルの3次元網目空間に前記オイルゲルが取り込まれているゲルのことをいう。
【0025】
(ハイドロゲル)
本発明に係るハイドロゲルは、水を分散媒とするゲルであって、水溶性高分子、水及び架橋剤を配合してなり、これらを含有するゲルである。前記ハイドロゲルとしては、前記水溶性高分子に架橋構造を導入して一部不溶化させ、これを水で膨潤させた構造体であることが好ましい。
【0026】
本発明に係る水溶性高分子としては、例えば、ポリアクリル酸部分中和物、ポリアクリル酸完全中和物、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ゼラチン、カゼイン、プルラン、寒天、デキストラン、アルギン酸ソーダ、可溶性デンプン、カルボキシデンプン、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルエーテル、ポリマレイン酸共重合体、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体、イソブチレン無水マレイン酸共重合体、及びポリエチレンイミンが挙げられ、これらのうちの1種のみであっても2種以上の混合物であってもよい。これらの中でも、前記水溶性高分子としては、ポリアクリル酸部分中和物であることが好ましい。また、この場合、前記ポリアクリル酸部分中和物としては、中和度が30〜80%のナトリウム塩であって、平均重合度が1,000〜100,000のものであることが特に好ましい。
【0027】
前記水溶性高分子の含有量としては、前記基剤層全体の質量を基準として、3〜10質量%であることが好ましく、4〜8質量%であることがより好ましい。前記水溶性高分子の含有量が前記下限未満であると、基剤層の粘着力、凝集力、保型性等が低下して、使用時の使用感の低下、保湿効果の低下、薬効成分等の経皮吸収性の低下、油性成分のブリード(滲出)等が生じやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、基剤層の凝集力が増大して、基剤層の不均一化、製造時の展延性や作業性の低下等が生じやすくなる傾向にある。
【0028】
本発明に係る水は、主に本発明に係る水溶性高分子及び架橋剤の他、必要に応じて下記の保湿成分等を、分散・溶解させる機能を有する。また、前記水自体によって、シート状パック剤の使用時及び使用後の使用感を向上させたり、皮膚に移行して皮膚に潤いやハリを与えたり、皮膚刺激性の緩和作用や皮膚柔軟化作用によって下記の薬効成分等の吸収性を向上させることが可能となる。このような水としては、例えば、精製水、滅菌水、天然水、及び常水が挙げられ、これらのうちの1種のみであっても2種以上の混合物であってもよい。
【0029】
本発明のシート状パック剤において、水の含有量としては、前記基剤層全体の質量を基準として、29.5〜44.7質量%であることが好ましく、35.1〜44.7質量%であることがより好ましく、38.0〜43.5質量%であることがさらに好ましい。前記水の含有量が前記下限未満であると、基剤層の粘着力、凝集力、保型性、吸水能等が低下して、基剤層の不均一化、製造時の展延性や作業性の低下、使用時の使用感の低下、保湿効果の低下、薬効成分等の経皮吸収性の低下、皮膚安全性の低下等が生じやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、基剤層の粘着力、凝集力、保型性、吸水能等が低下して、基剤層の不均一化、基剤層の支持体層からの裏染み(染み出し)や舌出し(はみ出し)、製造時の展延性や作業性の低下、使用時の使用感の低下、薬効成分等の経皮吸収性の低下、皮膚安全性の低下、油性成分のブリード等が生じやすくなる傾向にある。なお、上記の本発明に係る水の含有量には、前記ハイドロゲルに含有される水の質量の他、シート状パック剤の製造時に添加した他の水の質量、例えば、下記のポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体の水性エマルジョンに含有される水や、下記の美肌成分や保湿成分として含有される水の質量も含む。
【0030】
本発明に係る架橋剤としては、多価金属化合物、水難溶性アルミニウム化合物、及び多官能性エポキシ化合物等が挙げられ、これらのうちの1種のみであっても2種以上の混合物であってもよい。
【0031】
前記多価金属化合物としては、合成ケイ酸アルミニウムとメタケイ酸アルミン酸マグネシウムとの組み合わせであることが好ましい。また、前記メタケイ酸アルミン酸マグネシウムとしては、Fuchs法による制酸力(pH:3以上)が1gあたり0.1N塩酸消費量で200ml以上であるものが好ましい。前記制酸力が前記下限未満であると、基剤層の支持体層からの裏染み(染み出し)や舌出し(はみ出し)、製造時の展延性や作業性の低下、貼付時及び保存時の物性変化、粘着力不足による捲れや再付着不良、粘着力過多による膏体残りや発赤・カブレ・うっ血、保湿効果の低下、薬効成分等の経皮吸収性の低下、油性成分のブリード等が生じやすくなる傾向にある。
【0032】
前記水難溶性アルミニウム化合物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムゲル、含水ケイ酸アルミニウム、カオリン、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、及びケイ酸アルミン酸マグネシウムが挙げられ、これらのうちの1種のみであっても2種以上の混合物であってもよい。前記水難溶性アルミニウム化合物を用いることにより、制酸作用による皮膚刺激の抑制効果や微量のアルミニウムイオンによる皮膚収れん作用と共に、ゲルに適度な強度を与える充填剤としての機能;経時的にアルミニウムイオンが基剤層内に溶出して、高分子の経時的分解や高分子問共有結合架橋部の経時的切断によるゲル強度の低下を抑制する機能が期待できる。なお、前記基剤層のpHを調整することによって、かかるアルミニウムイオンの溶出速度を制御することが可能である。
【0033】
前記多官能性エポキシ化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、及びペンタエリスリトールジグリシジルエーテルが挙げられ、これらのうちの1種のみであっても2種以上の混合物であってもよい。前記多官能性エポキシ化合物を用いることにより、より優れた吸水能及び保型性を期待することができ、また、カルボキシル基、アミノ基、又は水酸基等を有する水溶性高分子と効率よく共有結合を形成して、よりゲル強度がより高くなることも期待できる。
【0034】
本発明に係る架橋剤の含有量としては、前記基剤層全体の質量を基準として、0.3〜10質量%であることが好ましく、0.3〜7質量%であることがより好ましい。前記架橋剤の含有量が前記範囲を外れると、基剤層の支持体層からの裏染み(染み出し)や舌出し(はみ出し)、製造時の展延性や作業性の低下、貼付時及び保存時の物性変化、粘着力不足による捲れや再付着不良、粘着力過多による膏体残りや発赤・カブレ・うっ血、保湿効果の低下、薬効成分等の経皮吸収性の低下、油性成分のブリード等が生じやすくなる傾向にある。
【0035】
前記ハイドロゲルには、主に前記水溶性高分子に架橋構造を導入することを目的として、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲内で、金属イオン封鎖剤及び/又はpH調整剤をさらに含有させてもよい。
【0036】
前記金属イオン封鎖剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、トリメタリン酸、ヘキサメタリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ、及びテトラポリリン酸ソーダが挙げられ、これらのうちの1種のみであっても2種以上の混合物であってもよい。これらの中でも、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムが特に好ましい。また、前記金属イオン封鎖剤としては、主に2価金属イオンの作用を阻害することを目的とする観点から、炭酸カルシウム−キレート力(CaCO
3C.Vmg/g)が100以上のものであることが好ましい。前記ハイドロゲルが前記金属イオン封鎖剤を含有する場合、その含有量としては、前記基剤層全体の質量を基準として、0.005〜1質量%であることが好ましく、0.1〜0.6質量%であることがより好ましい。前記金属イオン封鎖剤の含有量が前記範囲を外れると、基剤層の支持体層からの裏染み(染み出し)や舌出し(はみ出し)、製造時の展延性や作業性の低下、貼付時及び保存時の物性変化、粘着力不足による捲れや再付着不良、粘着力過多による膏体残りや発赤・カブレ・うっ血、保湿効果の低下、薬効成分等の経皮吸収性の低下、油性成分のブリード等が生じやすくなる傾向にある。
【0037】
(オイルゲル)
本発明に係るオイルゲルは、油性成分を分散媒とするゲルであって、多価アルコール脂肪酸エステル及び脂肪酸からなる群から選択される少なくとも1種と、デキストリン脂肪酸エステルと、を配合してなり、これらを含有するゲルである。前記オイルゲルとしては、油性成分(オイル成分)である多価アルコール脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸中にゲル化剤としてのデキストリン脂肪酸エステルが可溶化された構造体であることが好ましい。
【0038】
本発明に係るオイルゲルは、前記多価アルコール脂肪酸エステル及び前記脂肪酸からなる群から選択される少なくとも1種を含有するが、これらの中でも、基剤層の凝集力、粘着力、付着性、及び使用時の使用感がより優れる傾向にある観点から、前記多価アルコール脂肪酸エステルを含有していることがより好ましい。
【0039】
本発明に係る多価アルコール脂肪酸エステルとしては、例えば、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ジカプリン酸プロピレングリコール、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、モノカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、及び2−エチルヘキサン酸2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールが挙げられ、これらのうちの1種のみであっても2種以上の混合物であってもよい。これらの中でも、前記多価アルコール脂肪酸エステルとしては、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルであることが好ましい。また、前記トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルとしては、けん化価(化粧品種別配合成分規格(粧配規)「トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル」のけん化価試験法に準じる)が340〜370であることが好ましく、その比重(20℃)が0.949〜0.959であることが特に好ましい。
【0040】
本発明に係る脂肪酸としては、炭素数が6〜22であり、不飽和度が0〜4であるものが好ましい。このような脂肪酸としては、例えば、カプロン酸(炭素数6、不飽和度0)、カプリル酸(炭素数8、不飽和度0)、2−エチルヘキサン酸(炭素数8、不飽和度0)、カプリン酸(炭素数10、不飽和度0)、ラウリン酸(炭素数12、不飽和度0)、ミリスチン酸(炭素数14、不飽和度0)、パルミチン酸(炭素数16、不飽和度0)、パルミトレイン酸(炭素数16、不飽和度1)、ステアリン酸(炭素数18、不飽和度0)、イソステアリン酸(炭素数18、不飽和度0)、ヒドロキシステアリン酸(炭素数18、不飽和度0)、オレイン酸(炭素数18、不飽和度1)、リノール酸(炭素数18、不飽和度2)、リノレン酸(炭素数18、不飽和度3)、アラキドン酸(炭素数20、不飽和度4)、及びベヘニン酸(炭素数22、不飽和度0)が挙げられ、これらのうちの1種のみであっても2種以上の混合物であってもよい。これらの中でも、前記脂肪酸としては、オレイン酸及び/又はカプリン酸であることがより好ましく、オレイン酸であることがさらに好ましい。
【0041】
前記多価アルコール脂肪酸エステル及び/又は前記脂肪酸の含有量(前記多価アルコール脂肪酸エステル及び前記脂肪酸のうちのいずれか1種を含有する場合にはその含有量、2種以上の混合物である場合にはそれらの合計含有量、以下同じ)としては、前記基剤層全体の質量を基準として、20〜30質量%であることが好ましく、20〜28質量%であることがより好ましく、21〜28質量%であることがさらに好ましく、21〜25質量%であることが特に好ましい。前記多価アルコール脂肪酸エステル及び/又は前記脂肪酸の含有量が前記下限未満であると、皮膚保湿効果や皮膚保護効果が低下しやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、基剤層の粘着力、凝集力、保型性、吸水能等が低下し、基剤層の不均一化、基剤層の支持体層からの裏染み(染み出し)や舌出し(はみ出し)、油性成分のブリード、製造時の展延性や作業性の低下、使用時の使用感や皮膚保湿効果の低下、皮膚安全性の低下、及び薬効成分等の経皮吸収性の低下等が生じやすくなる傾向にある。
【0042】
本発明に係るデキストリン脂肪酸エステルとしては、例えば、パルミチン酸デキストリン、パルミチン酸/オクタン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、及びミリスチン酸デキストリンが挙げられ、これらのうちの1種のみであっても2種以上の混合物であってもよい。これらの中でも、前記デキストリン脂肪酸エステルとしては、パルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、及びミリスチン酸デキストリンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、パルミチン酸デキストリンを単独で用いることが特に好ましい。また、前記パルミチン酸デキストリンとしては、酸価(医薬品添加物規格(薬添規)「パルミチン酸デキストリン」の酸価試験法に準じる)が38以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。さらに、前記パルミチン酸デキストリンとしては、融点(薬添規「パルミチン酸デキストリン」確認試験(3)に準じる)が50〜63℃であることが好ましい。前記酸価又は融点が上記の範囲を外れると、油性成分のブリードが生じる恐れがある。
【0043】
また、本発明に係るデキストリン脂肪酸エステルとしては、ゲル強度が10〜300gであるものが好ましく、30〜250gであるものがより好ましい。本発明において、デキストリン脂肪酸エステルのゲル強度とは、以下のゲル強度試験法により得られる値をいう。前記ゲル強度が上記の範囲を外れると、油性成分のブリードが生じる恐れがある。
【0044】
ゲル強度試験法
デキストリン脂肪酸エステル5gを内径45mmの平底容器に製秤し、流動パラフィン(#70)45gを加えて分散させ、ゆるやかにかき混ぜながら90℃まで加熱して溶解する。その後直ちに30℃の恒温槽にて24時間静置しゲルを形成させる。このゲルを温度変化が生じないように手早くレオメーター(SUN RHEO METER CR−200D・CR−500DX(株式会社サン科学製))にセットし、次の条件:
温度:30℃
アダプター:直径20mm、厚さ2mmの円盤
架台上昇速度:60mm/min
でゲル強度を測定する。初期のピーク、すなわち、降伏値(g)をゲル強度とする。
【0045】
前記デキストリン脂肪酸エステルの含有量としては、前記基剤層全体の質量を基準として、0.1〜6質量%であることが好ましく、0.2〜4質量%であることがより好ましい。前記デキストリン脂肪酸エステルの含有量が前記下限未満であると、基剤層の粘度が増大して硬くなり、粘着力、凝集力、吸水能等が低下して、保湿効果や使用時の使用感が低下しやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、油性成分を基剤中に十分保持できず、油性成分がブリードして皮膚にべたつきを生じたり、使用時の使用感が低下しやすくなる傾向にある。
【0046】
前記オイルゲルには、本発明の効果を阻害しない範囲内で、前記多価アルコール脂肪酸エステル及び前記脂肪酸以外の油性成分、及び/又は、前記デキストリン脂肪酸エステル以外のゲル化剤(ショ糖脂肪酸エステル、有機ペントナイト等)をさらに含有させてもよい。
【0047】
〔ポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体〕
本発明のシート状パック剤においては、前記基剤層にポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体が含有されることにより、オイル成分、すなわち、主に前記多価アルコール脂肪酸エステル及び/又は前記脂肪酸が多く含有される場合であっても、剥離時の痛みが十分に軽減される上に、優れた基剤層の均一性、凝集力、粘着力、及び肌への付着性、並びに、優れた使用時の使用感がいずれも奏される。
【0048】
本発明に係るポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体は、アクリル酸メチルとアクリル酸2−エチルヘキシルとの共重合体である。前記ポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体としては、56〜60質量%水溶液(水性エマルジョン、pH2〜3、温度25℃)とした場合の粘度が100〜500mPa・Sであることが好ましく、250〜450mPa・Sであることがより好ましい。
【0049】
前記ポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体の含有量としては、前記基剤層全体の質量を基準として、1.77〜5.90質量%であることが必要である。また、前記含有量としては、2.0〜5.9質量%であることがより好ましく、2.5〜5.0質量%であることが特に好ましい。さらに、前記基剤層における前記多価アルコール脂肪酸エステル及び/又は前記脂肪酸の含有量と前記ポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体の含有量との質量比が、3.3:1〜17.0:1となることが好ましく、3.4:1〜16.9:1となることがより好ましく、3.5:1〜16.5:1となることがさらに好ましい。前記ポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体の含有量が前記下限未満であると、基剤層の粘着力、凝集力、保型性、吸水能が低下して、基剤層の不均一化、製造時の展延性や作業性の低下、使用時の使用感の低下、保湿効果の低下、薬効成分等の経皮吸収性の低下が生じる。他方、前記含有量が前記上限を超えると、基剤層の粘度が増大して、基剤層の不均一化、製造時の展延性や作業性の低下、使用時の使用感の低下、薬効成分等の経皮吸収性の低下、皮膚安全性の低下を生じる。
【0050】
本発明において、ポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体としては、シート状パック剤の製造時に、水に分散された水性エマルジョンの状態で配合されることが好ましい。前記水性エマルジョンとしては、水及びポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体の他、界面活性剤及び/又は保護コロイド剤をさらに含有するものであることが好ましく、前記界面活性剤及び保護コロイド剤としては、ポリ(オキシエチレン)ノニルフェニルエーテルが好ましい。そのため、本発明に係る基剤層としては、前記エマルジョンに由来する界面活性剤及び/又は保護コロイド剤をさらに含有していてもよい。前記界面活性剤及び/又は前記保護コロイド剤(好ましくは、ポリ(オキシエチレン)ノニルフェニルエーテル)をさらに含有する場合、その合計含有量としては、前記基剤層全体の質量を基準として、0.05〜0.3質量%であることが好ましい。
【0051】
〔その他成分〕
本発明に係る基剤層としては、本発明の効果を阻害しない範囲内で、ポリグリコール類及び多価アルコール類からなる群から選択される少なくとも1種(以下、場合により「ポリグリコール類及び/又は多価アルコール類」という)をさらに含有していてもよい。前記ポリグリコール類及び/又は多価アルコール類をさらに含有させることにより、前記水溶性高分子及び前記架橋剤の他、必要に応じて下記の保湿成分、美肌成分、防腐剤等の、分散・溶解剤又は可塑剤としての機能や、前記水の放出性や揮散性を促進させる機能が期待できる。
【0052】
本発明において、ポリグリコール類とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による重量平均分子量(ポリスチレン換算)が200以上のポリグリコールのことをいう。前記ポリグリコール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル構造を有するものであることが好ましく、重量平均分子量が200〜600のポリエチレングリコール、重量平均分子量が500〜3000のポリプロピレングリコールが特に好ましい。これらのポリグリコール類は、下記の低分子量の多価アルコールと比較して水酸基の割合が少ないために親水性が低く、水を除いた基剤層成分の臨界相対湿度を低下させるため、使用時により多くの水を外部に放出することができる。そのため、肌により潤いを与えると共に、水の揮散による気化熱によって顔の火照りや炎症を抑えたり心地よい清涼感を与えることができる。
【0053】
本発明において、多価アルコール類とは、分子量が200未満のポリオールのことをいう。前記多価アルコール類としては、1分子中に2〜3個の水酸基を持つ低分子量の多価アルコールが挙げられ、中でも、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、及び濃グリセリンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの多価アルコール類は、親水性が高く、水を除いた基剤層成分の臨界相対湿度を上昇させるため、使用時に水の放出や揮散をより抑制することができる。
【0054】
前記基剤層が前記ポリグリコール類及び/又は前記多価アルコール類をさらに含有する場合、その含有量(前記ポリグリコール類及び前記多価アルコール類のうちのいずれか1種を含有する場合にはその含有量、2種以上の混合物である場合にはそれらの合計含有量、以下同じ)は、前記基剤層全体の質量を基準として、5〜50質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。前記含有量が前記下限未満であると、基剤層の粘着力や凝集力の低下、保水性や保型性の低下、基剤層の不均一化、製造時の作業性の低下、使用時の使用感の低下、保湿効果の低下、薬効成分等の経皮吸収性の低下、油性成分のブリード等が生じやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、基剤層の粘着力、凝集力、及び保型性が低下しやすくなる傾向にある。これらのポリグリコール類及び/又は多価アルコール類と前記水との配合バランスを調整することによって、肌に対するより適度な保湿性や粘着性を制御することが可能である。
【0055】
また、本発明に係る基剤層には、本発明の効果を阻害しない範囲内で、シート状パック剤の用途に応じて、防腐剤、薬効成分、美肌成分、保湿成分、酸化防止剤、溶解剤、色素、香料、界面活性剤、紫外線吸収剤、無機充填剤、冷感付与成分、温感付与成分、及びpH調整剤等を適宜、適量含有させることができる。
【0056】
前記防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル(例えば、メチルパラべン、エチルパラベン、プロピルパラベン)、1,2−ペンタンジオール、安息香酸、安息香酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸、ソルビン酸塩、デヒドロ酢酸塩、4−イソプロピル−3−メチルフェノール、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、フェノール、ヒノキチオール、クレゾール、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4’−トリクロロカルバニド、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられ、これらのうちの1種のみであっても2種以上の混合物であってもよい。中でも、前記防腐剤としてはパラオキシ安息香酸エステルが好ましい。
【0057】
前記薬効成分としては、経皮吸収可能な薬物であれば特に限定されることなく、例えば、プレドニゾロン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、フルオシノロンアセトニド、吉草酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、酪酸クロベタゾン、コハク酸プレドニゾロン等のステロイド系抗炎症剤;サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、インドメタシン、ケトプロフェン、ジクロフェナク、イブプロフェン、フルルビプロフェン、フェルビナク、ケトロラク、ロキソプロフェン、スプロフェン、プラノプロフェン、チアプロフェン、フルフェナム酸、テニダップ、アスピリン、アクタリット、ミゾリビン、オキサプロジン、モフェゾラク、エトドラク、オーラノフィン、インドメタシンファネルシル等の非ステロイド系抗炎症剤及びそのエステル誘導体;トラニラスト、アゼラスチン、ケトチフェン、イブジラスト、オキサトミド、エメダスチン、エピナスチン等の抗アレルギー剤;ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、プロメタジン、トリペレナミン等の抗ヒスタミン剤;クロルプロマジン、ニトラゼパム、ジアゼパム、フェノバルビタール、レセルピン等の中枢神経作用薬が挙げられる。
【0058】
また、前記薬効成分としては、インシュリン、テストステロン、ノルエチステロン、メチルテストステロン、プロゲステロン、エストラジオール等のホルモン剤;クロニジン、レセルピン、硫酸グアネチジン、エホニジピン、アルプレノロール、ニフェジピン等の抗高血圧症剤;ジギトキシン、ジゴキシン等の強心剤;塩酸プロプラノロール、塩酸プロカインアミド、アジマリン、ピンドロール、塩酸ツロブテロ−ル等の抗不整脈用剤;ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、塩酸パパベリン、ニフェジピン、ジルチアゼム、ニコランジル等の冠血管拡張剤;リドカイン、プロカイン、塩酸プロカイン、ベンゾカイン、テトラカイン等の局所麻酔剤;モルヒネ、アスピリン、コデイン、アセトアニリド、アミノピリン等の鎮痛剤;チザニジン、エペリゾン、トルペリゾン、イナペリゾン、ダントロレン等の筋弛緩剤;アセトフェニルアミン、ニトロフラゾン、ペンタマイシン、ナフチオメート、ミコナゾール、オモコナゾール、クロトリマゾール、塩酸ブテナフィン等の抗真菌剤;5−フルオロウラシル、ブスルファン、アクチノマイシン、プレオマイシン、マイトマイシン等の抗悪性腫瘍剤;塩酸テロリジン、塩酸オキシブチニン等の尿失禁症剤;ニトラゼパム、メプロバメート等の抗てんかん剤;クロルゾキサゾン、レボドパ、アマンタジン、塩酸セレギリン、塩酸ラノラジン、塩酸ロピニロール等の抗パーキンソン剤;グラニセトロン、アザセトロン、オンダンセトロン、ラモセトロン等の制吐剤;オキシブチニン等の頻尿治療剤;ニフェジピン等のCa拮抗剤;フェンタニール、モルヒネ、イミビラミン等の向精神薬;ジフェニドール、ベタヒスチン等の抗めまい剤;ベンゾチアゼピン等の心臓・血管系薬剤;ケトチフェン、ツロブテロール、トラニラスト等の鎮咳去疲剤も挙げられる。
【0059】
さらに、前記薬効成分としては、ビンポセチン、ニセルゴリン、ニコランジル、マレイン酸クレンチアセム、塩酸ファスジル、塩酸ベニジピン、塩酸エホニジピン等の脳循環改善剤;ドコサヘキサエン酸、塩酸ビンコナート、フマル酸ネブラセタム等の脳血管性痴呆剤;塩酸ドネペジル、塩酸アミリジン、塩酸メマンチン等のアルツハイマー治療剤;ルーティイナイジングホルモン−リリージングホルモン、サイロトロビンリリージングホルモン等のポリペプチド系ホルモン剤;ポリサッカライド類、オーラノフィン、ロベンザリット等の免疫調節剤;ウルソデスオキシコール酸等の利胆剤;ヒドロフルメチアジド等の利尿剤;トルブタミド等の糖尿病用剤;コルヒチン等の痛風治療剤;ニコチン等の禁煙補助剤;ビタミン類;プロスタグランジン類;興奮覚醒剤;催眠鎮静剤;自律神経用剤;末梢血管拡張剤も挙げられる。
【0060】
また、前記薬効成分としては、塩酸ジフェンヒドラミン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、塩酸トリプロリジン、メキタジン、マレイン酸クロルフェニラミン、d−マレイン酸クロルフェニラミン、フマル酸クレマスチン、塩酸プロメタジン、トラニラスト、クロモグリク酸ナトリウム、ケトチフェン、アリルスルファターゼB、ブフェキサマック、ペンダザック、フルフェナム酸ブチル、イブプロフェン、インドメタシン、アスピリン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、ピロキシカム、2−ピリジンメチルメフェナム酸、5,6−デヒドロアラキドン酸、5,6−メタノ−LTA
4、エスクレチン、ユーパチリン、4−デメチルユーパチリン、カフェイン酸、ベノキサプロフェン、アルブチン、α−アルブチン、β−アルブチン(4−ヒドロキシフェニル−β−D−グルコピラノシド)等の美白作用を有する薬物;α−リポ酸、ユビデカレノン、ポリフェノール等の抗酸化作用を有する薬物も挙げられる。前記薬効成分としては、上記のうちの1種のみであっても2種以上の混合物であってもよい。
【0061】
前記美肌成分としては、アラントイン;グリチルリチン酸;グリチルリチン酸ジカリウム;パパイン酵素;L−アルギニン等のアミノ酸類;アルブチン;フラボノイド;コラーゲン;ヨーグルトエキス;レシチン;エラグ酸;コウジ酸;タンパク質;糖類;ホルモン類;水溶性プラセンタエキス等の胎盤抽出物;シルク或いはシルク抽出物;アロエ、ヘチマ及びカンゾウ等の各種生薬や和漢植物からの抽出成分;アシタバエキス、アスパラサスリエアリスエキス、アセンヤクエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アマチャヅルエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アルモンドエキス、アロエエキス、アンソッコウエキス、イザヨイバラエキス、イタドリエキス、イチョウエキス、イラクサエキス、イリス根エキス、ウーロン茶エキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、エイジツエキス、エゾウコギエキス、エチナシ葉エキス、エンドウエキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオアザミエキス、オオバナサルスベリエキス、オオムギエキス、オオムギ発酵エキス、オクラエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オノニスエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、オレンジフラワー水、海藻エキス、カキタンニン、カッコンエキス、カノコソウエキス、ガマエキス、カモミラエキス、カモミラ水、カラスムギエキス、カリンエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、カンゾウ抽出液、キイチゴエキス、ギンナンエキス、バナパ茶エキス、エンジュエキス、ソバエキス、ネロリエキス、モクレンエキス、セイヨウニワトコエキス、ハイビスカスエキス、コケモモエキス、タラエキス、グァバフェノン、クジン、ノゲイトウ、ムクナエキス、メロスリアエキス、ユリ球根エキス、ラズベリーエキス、ルムプヤン、グリーンティーエキス、アップルフェノン、トウキエキス、アプリコットエキス、ティートリーエキス、ピーチエキス、マカデミアオイル、アーモンドオイル、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、キョウニンエキス、クインスシードエキス、クチナシエキス、クマザサエキス、クミンエキス、クララエキス、クルミ殻エキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、クワ葉エキス、ケイケットウエキス、ケイヒエキス、ゲンチアナエキス、ゲンノショウコエキス、ケンポナシエキス、コーヒーエキス、紅茶エキス、コウホネエキス、ゴボウエキス、コムギ胚芽エキス、コメヌカエキス、コメヌカ発酵エキス、コンフリーエキス、サイシンエキス、サフランエキス、サボンソウエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ジュズダマエキス、ショウキョウエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、シラカバ樹液、スイカズラエキス、スギナエキス、ステビアエキス、セージエキス、セージ水、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウネズエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、ゼニアオイエキス、セロリエキス、センキュウエキス、センキュウ水センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、チャエキス、チャ実エキス、チョウジエキス、チョレイエキス、チンピエキス、ツバキエキス、ツボクサエキス、デュークエキス、テルミナリアエキス、テンチャエキス、トウガシエキス、トウガラシエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウキ水、冬虫夏草エキス、トウニネキス、トウヒエキス、トウモロコシエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、トルメンチラエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンイクエキス、ノバラエキス、バクガエキス、バクガ根エキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、蒸留ハッカ水、ハマナシエキス、ハマメリスエキス、ハマメリス抽出液、バラエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ヒノキ水、ビャクダンエキス、ビワ葉エキス、フキタンポポエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、ブドウ水、ブドウ葉エキス、ブナエキス、プルーンエキス、ヘイフラワーエキス、ヘチマエキス、ヘチマ水、ベニバナエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マツリカエキス、マリアアザミエキス、マロニエエキス、ムクロジエキス、ムラサキセンブリエキス、ムラヤコエンジーエキス、メリッサエキス、メリロートエキス、モモ葉エキス、モヤシエキス、ヤグルマギクエキス、ヤグルマキク水、ユーカリエキス、ユーカリ水、ユキノシタエキス、ユズエキス、ユリエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ヨモギ水、ラベンダーエキス、ラベンダー水、藍藻エキス、リンゴエキス、リンゴ水、レイシエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズマリーエキス、ローズマリー水、ローズ水、ローマカミツレエキス、ロッグウッドエキス、ワレモコウエキス、メマツヨイグサ種子エキス、月見草抽出物等の植物性抽出物;ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE及びその他のビタミン類;アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸リン酸ナトリウム、アスコルビン酸−2−グルコシド、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル(テトライソパルミチン酸アスコルビル)等のビタミンC誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種のみであっても2種以上の混合物であってもよい。
【0062】
前記保湿成分としては、サクシニルケフィラン水溶液、アセチルケフィラン水溶液、マレイルケフィラン水溶液、麦芽根エキス、エイジツエキス、オレンジエキス、オレンジ果汁、キイチゴエキス、キウイエキス、キューカンバーエキス、クチナシエキス、グレープフルーツエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウネズエキス、タイソウエキス、ナツメエキス、デュークエキス、トマトエキス、ブドウエキス、ヘチマエキス、ライム果汁、リンゴエキス、リンゴ果汁、レモンエキス、レモン果汁等が挙げられ、これらのうちの1種のみであっても2種以上の混合物であってもよい。なお、これらのうち、植物性抽出物は前記美肌成分としても用いることができ、果汁類は下記の香料としても用いることができる。
【0063】
前記酸化防止剤としては、アスコルビン酸、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドログアヤレチン酸、トコフェロール、酢酸トコフェロール、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられ、これらのうちの1種のみであっても2種以上の混合物であってもよい。
【0064】
前記溶解剤としては、例えば、ベンジルアルコール、ピロチオデカン、ハッカ油、ミリスチン酸イソプロピル、クロタミトン、N−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン類、高級アルコール類、アジピン酸ジエチル、アジピン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジ(2−ヘプチルウンデシル)、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル等の多塩基酸類が挙げられ、これらのうちの1種のみであっても2種以上の混合物であってもよい。
【0065】
前記色素としては、例えば、赤色2号(アマランス)、赤色3号(エリスロシン)、赤色102号(ニューコクシン)、赤色104号の(1)(フロキシンB)、赤色105号の(1)(ローズベンガル)、赤色106号(アシッドレッド)、黄色4号(タートラジン)、黄色5号(サンセットイエローFCF)、緑色3号(ファストグリーンFCF)、青色1号(ブリリアントブルーFCF)、青色2号(インジゴカルミン)等の法定色素が挙げられ、これらのうちの1種のみであっても2種以上の混合物であってもよい。
【0066】
前記界面活性剤としては、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルサルフェート塩、2−エチルヘキシルアルキル硫酸エステルナトリウム塩、ノルマルドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤;ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ポリオキシエチレンドデシルモノメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤;ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(30)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、グリセロールモノステアレート、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオクタデシルアミン等の非イオン界面活性剤が挙げられ、これらのうちの1種のみであっても2種以上の混合物であってもよい。
【0067】
前記紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エステル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、サリチル酸エステル、アントラニル酸メンチル、ウンベリフェロン、エスクリン、ケイ皮酸ベンジル、シノキサート、グアイアズレン、ウロカニン酸、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ジオキシベンゾン、オクタベンゾン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、スリソベンゾン、ベンゾレソルシノール、オクチルジメチルパラアミノベンゾエート、エチルヘキシルパラメトキシサイナメート等が挙げられ、これらのうちの1種のみであっても2種以上の混合物であってもよい。
【0068】
前記無機充填剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、含水シリカ、炭酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、ケイ酸マグネシウム、含水ケイ酸マグネシウム、ケイソウ土、無水ケイ酸、ペントナイト等が挙げられ、これらのうちの1種のみであっても2種以上の混合物であってもよい。
【0069】
前記冷感付与成分としては、テルペン系炭化水素化合物、メントール類縁化合物等を挙げることができ、具体的には、リモネン、テルピノレン、メンタン、テルピネン等のP−メンタン及びこれらから誘導される単環式モノテルペン系炭化水素化合物;l−メントール、d−メントール、dl−メントール、イソプレゴール、3,1−メトキシプロパン−1,2−ジオール、1−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(3−ニトロフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロキシピリミジン−2−オン、エチルメンタンカルボキサミド、p−メンタン−3,8−ジオール、3,8−ジヒドロキシ−p−メンタン−3−9−ジオール、トリアルキル置換シクロヘキサンカルボキシアマイド等が挙げられ、これらのうちの1種のみであっても2種以上の混合物であってもよい。
【0070】
前記温感付与成分としては、カプサイシン、カプサイシノイド、ジヒドロキシカプサイシン、カプサンチン等のカプサイシン類似体;カプシコシド、トウガラシエキス、トウガラシチンキ、トウガラシ末等のトウガラシ由来成分;ニコチン酸ベンジル;ニコチン酸β−ブトキシエチル:N−アシルワニルアミド:ノニル酸ワニルアミド等が挙げられ、これらのうちの1種のみであっても2種以上の混合物であってもよい。
【0071】
前記pH調整剤としては、酢酸、蟻酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、安息香酸、グリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、塩酸、硝酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン等が挙げられ、これらのうちの1種のみであっても2種以上の混合物であってもよい。前記基剤層のpHとしては、製造時の展延状態や展延可能な時間、皮膚刺激等の安全性、保湿効果、経皮吸収性、油性成分のブリード抑制の観点から、4〜8であることが好ましく、5〜7であることがより好ましい。
【0072】
[シート状パック剤の製造方法]
次いで、本発明のシート状パック剤の製造方法について説明する。本発明のシート状パック剤は、公知のシート状パック剤の製造方法を適宜採用することによって製造することができるが、特に均一な基剤層を備える本発明のシート状パック剤を得ることができる観点から、下記の本発明のシート状パック剤の製造方法:
支持体層及び基剤層を備えるシート状パック剤の製造方法であって、
多価アルコール脂肪酸エステル及び脂肪酸からなる群から選択される少なくとも1種と、デキストリン脂肪酸エステルと、を含有するオイルゲルを得る工程、
前記オイルゲル、ポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、及び水を混合してオイルゲル組成物を得る工程、
前記オイルゲル組成物と、水溶性高分子及び架橋剤と、を混合して混合組成物を得る工程、並びに、
前記水溶性高分子を架橋させて、前記水溶性高分子、前記水及び前記架橋剤を含有するハイドロゲルに前記オイルゲルが包接されたハイブリットゲルと、前記ポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体と、を含有する基剤層を得る工程
を含み、かつ、
前記基剤層における前記ポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体の含有量が1.77〜5.90質量%である、
製造方法によって得ることが好ましい。
【0073】
前記支持体層、前記基剤層、前記多価アルコール脂肪酸エステル、前記脂肪酸、前記デキストリン脂肪酸エステル、前記オイルゲル、前記ポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、前記水溶性高分子、前記水、前記架橋剤、前記ハイドロゲル、及び前記ハイブリットゲルとしては、それぞれ、本発明のシート状パック剤において述べたとおりである。
【0074】
本発明の製造方法において、前記オイルゲルを得る工程としては、前記多価アルコール脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸と、前記デキストリン脂肪酸エステルとを混合し、より具体的には、前記多価アルコール脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸を分散媒として、前記デキストリン脂肪酸エステルを分散させ、加温しながら均一になるまで撹拌した後、室温に戻して前記多価アルコール脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸と前記デキストリン脂肪酸エステルとから前記オイルゲルを形成させることが好ましい。このときの加温温度としては、60〜100℃であることが好ましい。かかる工程においては、前記多価アルコール脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸、並びに前記デキストリン脂肪酸エステル中の長鎖アルキル基の結晶化や、前記デキストリン脂肪酸エステル中の水酸基間の水素結合によって、前記オイルゲルが形成される。
【0075】
前記オイルゲル組成物を得る工程としては、先ず、前記ポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体及び水を含有するポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体エマルジョンを調製し、必要に応じて前記金属イオン封鎖剤及び/又は前記pH調整剤等をさらに添加した後、これと前記オイルゲルとを混合して、前記オイルゲル、前記ポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、及び前記水を含有するオイルゲル組成物を得ることが好ましい。
【0076】
前記ポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体エマルジョンとしては、水及びポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体の他、界面活性剤及び/又は保護コロイド剤をさらに含有する水性エマルジョンであることが好ましく、前記界面活性剤及び保護コロイド剤としては、前記ポリ(オキシエチレン)ノニルフェニルエーテルが好ましい。また、前記水性エマルジョンにおいては、前記ポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体の含有量が57〜61質量%であることが好ましい。また、前記界面活性剤及び/又は前記保護コロイド剤(好ましくは、ポリ(オキシエチレン)ノニルフェニルエーテル)をさらに含有する場合、その合計含有量としては、前記水性エマルジョンにおいて、2.0〜3.0質量%であることが好ましい。このようなポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体エマルジョンとしては、例えば、「ニカゾール TS−620(日本カーバイド工業株式会社製)」等の市販品を用いることができる。
【0077】
本発明の製造方法において、前記混合組成物を得る工程としては、前記オイルゲル組成物と、前記水溶性高分子及び前記架橋剤とを混合する。このとき、あらかじめ、前記水溶性高分子及び前記架橋剤と水とを混合し、当該水中に、前記水溶性高分子及び前記架橋剤を均一に分散・溶解させたハイドロゲル組成物を得てから、当該ハイドロゲル組成物と前記オイルゲル組成物とを混合してもよい。また、本発明の製造方法において、前記水としては、得られる基剤層に含有される全量を前記オイルゲル組成物を得る工程で一度に添加してもよいし、前記オイルゲル組成物を得る工程で一部を添加し、その残りを前記混合組成物を得る工程において添加してもよい。
【0078】
前記混合方法としては、例えば、前記オイルゲル組成物と、水溶性高分子、水及び架橋剤(又は前記ハイドロゲル組成物)とを撹拌して、均一になるまで分散又は溶解させて前記混合組成物を得ることが好ましい。前記撹拌においては、例えば、ヘンシェルミキサー等の高粘度用高速概搾機や、プラネタリー式ニーダー等の高粘度用低速魔搾機を用いることが好ましい。かかる工程においては、水素結合や疎水結合によって前記水溶性高分子と前記オイルゲルとの擬似架橋体が形成される。
【0079】
本発明の製造方法において、前記基剤層を得る工程としては、先ず、前記混合組成物中の前記水溶性高分子を前記架橋剤による経時反応型架橋で架橋させて前記水溶性高分子、前記水及び前記架橋剤を含有するハイドロゲルを形成させると共に、当該ハイドロゲルの3次元網目空間に前記オイルゲルを包接させ、前記ハイドロゲルに前記オイルゲルが包接されたハイブリットゲルと、前記ポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体と、を含有する基剤層組成物を得ることが好ましい。このときの架橋条件としては、前記混合組成物を、温度10〜50℃において、1〜30日間静置することが好ましい。
【0080】
前記基剤層を得る工程としては、次いで、前記基剤層組成物を前記支持体層の一方の面上に所定の厚みで塗布した後、必要に応じて所望の形状に裁断することにより、前記支持体層の一方の面上に配置された前記基剤層を得ることが好ましい。前記塗布においては、例えば、ドクターブレード式展膏機や、ロールコーター式の展膏機を用ることが好ましい。
【0081】
また、本発明のシート状パック剤が前記剥離ライナーをさらに備える場合、前記基剤層を得る工程においては、前記基剤層の前記支持体層と反対の面上に前記剥離ライナーを貼り合わせる工程をさらに含んでいてもよい。また、前記基剤層を得る工程としては、前記基剤層組成物を得た後、前記基剤層組成物を前記剥離ライナーの一方の面上に所定の厚みで塗布して基剤層を形成した後に、前記基剤層の前記剥離ライナーと反対の面上に前記支持体層を貼り合わせ、必要に応じて所望の形状に裁断することによって、前記支持体層と前記剥離ライナーとの間に配置された前記基剤層を得てもよい。
【0082】
さらに、前記基剤層を得る工程としては、先ず、前記混合組成物を前記支持体層(又は前記剥離ライナー)の一方の面上に所定の厚みで塗布した後、上記と同様の架橋条件により、前記水溶性高分子を前記架橋剤による経時反応型架橋で架橋させて、前記水溶性高分子、前記水及び前記架橋剤を含有するハイドロゲルを形成させると共に、当該ハイドロゲルの3次元網目空間に前記オイルゲルを包接させ、前記ハイドロゲルに前記オイルゲルが包接されたハイブリットゲルと、前記ポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体と、を含有する基剤層を得てもよい。このとき、前記剥離ライナーをさらに貼り合わせる場合(又は前記支持体層を貼り合わせる際)、当該貼り合わせは前記架橋前に行っても後に行ってもよい。
【0083】
また、本発明において、得られたシート状パック剤は、保存中の汚染防止、揮発性物質の蒸散等による効果の低減抑制等の観点から、使用時まで密封性の袋又は容器(例えば、アルミラミネート袋)に封入して包装体としてもよい。
【実施例】
【0084】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0085】
(実施例1)
先ず、多価アルコール脂肪酸エステル(トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル)20質量部及びデキストリン脂肪酸エステル(パルミチン酸デキストリン)2質量部を混合し、60〜100℃で溶解させた後、室温に戻してオイルゲルを形成させた。次いで、精製水(*1)43.45質量部に金属イオン封鎖剤0.35質量部、防腐剤0.2質量部、及びpH調整剤0.1質量部を溶解させ、これにポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体エマルジョン(ニカゾール TS−620(日本カーバイド工業株式会社製))3質量部(ポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体:1.77質量部)を混合した後、前記オイルゲルをさらに混合して均一に分散・溶解させてオイルゲル組成物を得た。
【0086】
次いで、前記オイルゲル組成物に、水溶性高分子(ポリアクリル酸部分中和物、中和度:50%(ナトリウム塩))6.5質量部、架橋剤4.4質量部(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム0.4質量部及び合成ケイ酸アルミニウム4.0質量部)、多価アルコール類10質量部、ポリグリコール類10質量部を添加して均一になるまで混合し、10〜50℃において7日間静置してハイドロゲルを形成させ、前記ハイドロゲルに前記オイルゲルが包接されたハイブリットゲルを含有する基剤層組成物を得た。
【0087】
得られた基剤層組成物を、剥離処理が施された剥離ライナー(ポリエチレンテレフタレートフィルム)の一方の面上に1000g/m
2となるように塗布(展延)して基剤層を形成し、その上に支持体層(ポリエステル不織布)を積層した後、顔の形になるように裁断して、支持体層/基剤層/剥離ライナーの順に積層されたシート状パック剤を得た。表1に、前記基剤層組成物の組成(基剤組成)を示す。なお、表1において、精製水(*1)の質量には、ポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体エマルジョンに含まれる水の質量は含まない(以下同じ)。
【0088】
(実施例2〜12、比較例1〜8)
基剤層組成物の組成(基剤組成)をそれぞれ下記の表1に示す組成となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、各シート状パック剤を得た。
【0089】
【表1】
【0090】
各実施例及び比較例において得られたシート状パック剤について、基剤層の均一性評価(製造適正評価)、基剤層の凝集力評価、基剤層の粘着力評価、基剤層の肌への付着性評価、剥離時痛み評価、並びに、使用時の使用感評価を、それぞれ以下に示す方法により実施した。下記の表2〜表3に、得られた結果をそれぞれ示す。
【0091】
<基剤層の均一性評価(製造適正評価)>
基剤層組成物の展延時の塗り易さ、並びに、得られた基剤層の目視による外観を、次の基準:
A:容易に展延することができ、得られた基剤層が極めて均一である
B:展延可能であるが、得られた基剤層にはややムラがある
C:展延することが困難であり、得られた基剤層が均一ではない
に従って評価した。
【0092】
<凝集力評価>
基剤層の均一性評価(製造適正評価)がAであったシート状パック剤について評価を実施した。基剤層から剥離ライナーを剥離し、剥離後の剥離ライナー表面に付着して残った基剤層の量を、目視によって、次の基準:
A:剥離ライナー表面に基剤層は全く付着していない
B:剥離ライナー表面に基剤層がわずかに付着している(10面積%未満)
C:基剤層が凝集破壊されており、剥離ライナー表面に基剤層が多く付着している(10面積%以上)
に従って評価した。
【0093】
<粘着力評価>
先ず、各シート状パック剤を25mm×90mmの矩形に切り抜き、サインカーブからなる傾斜台下の水平な底部に配置し、剥離ライナーを除去して基剤層を露出させた。次いで、前記傾斜台の傾斜面に10号鋼球(直径10/32インチ)を転がし、前記基剤層表面上でボールが停止するまでの距離(停止距離)を測定した。当該測定を3回繰り返し、得られた停止距離の平均値をそれぞれ算出して評価値(単位:mm)とした。また、基剤層表面上でボールが停止しなかったものについては、値を「90<(mm)」とした。なお、停止距離が短かいもの程、基剤層の粘着力に優れるものと認められる。
【0094】
<付着性評価>
前記粘着力評価において停止距離が90mm未満であったシート状パック剤について評価を実施した。6名の被験者について、1日にシート状パック剤をいずれか1枚、風呂上り洗顔後の顔に30分間貼付してもらい、肌への付着性を、それぞれ、次の基準:
5:貼付開始から30分後でも全くはがれない
4:貼付開始から30分後にはシート状パック剤の端部がはがれた
3:貼付開始から30分後にはシート状パック剤の面積の1/4以上1/2未満がはがれた
2:貼付開始から30分後にはシート状パック剤の面積の1/2以上3/4未満がはがれた
1:貼付開始から30分後にはシート状パック剤の3/4以上がはがれた
に従って評価した。得られた値の6人の平均値をそれぞれ算出して評価値とした。なお、評価が3.0以上で、シート状パック剤として許容されるものと認められる。
【0095】
<剥離時痛み評価>
前記粘着力評価において停止距離が90mm未満であったシート状パック剤について評価を実施した。6名の被験者について、1日にシート状パック剤をいずれか1枚、風呂上り洗顔後の顔に30分間貼付してもらい、肌から剥離する際の痛みを、それぞれ、次の基準:
5:痛みは全く感じない
4:痛みの有無について、どちらともいえない
3:ほんのわずかに痛みを感じる
2:わずかに痛みを感じる
1:痛みを感じる
に従って評価した。得られた値の6人の平均値をそれぞれ算出して評価値とした。なお、評価が3.0以上で、シート状パック剤として許容されるものと認められる。
【0096】
<使用感評価>
前記粘着力評価において停止距離が90mm未満であったシート状パック剤について評価を実施した。6名の被験者について、1日にシート状パック剤をいずれか1枚、風呂上り洗顔後の顔に30分間貼付してもらい、肌から剥離後の皮膚へのオイル成分の残り感(オイル成分の肌なじみ)を、それぞれ、次の基準:
5:オイル成分が肌になじんでおり、皮膚にオイル成分が残っていると感じる
4:オイル成分が肌になじんでおり、皮膚にオイル成分がやや残っていると感じる
3:皮膚へのオイル成分の残り感について、どちらともいえない
2:皮膚にオイル成分があまり残っていないと感じる
1:皮膚にオイル成分が残っていないと感じる
に従って評価させた。得られた値の6人の平均値をそれぞれ算出して評価値とした。なお、評価が3.0以上で、シート状パック剤として許容されるものと認められる。
【0097】
【表2】
【0098】
【表3】
【0099】
(実施例13)
多価アルコール脂肪酸エステルに代えて脂肪酸(オレイン酸)を用い、基剤層組成物の組成(基剤組成)を下記の表4に示す組成となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にしてシート状パック剤を得た。
【0100】
(実施例14)
デキストリン脂肪酸エステルとしてミリスチン酸デキストリンを用い、基剤層組成物の組成(基剤組成)を下記の表4に示す組成となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にしてシート状パック剤を得た。
【0101】
(実施例15)
デキストリン脂肪酸エステルとして(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリンを用い、基剤層組成物の組成(基剤組成)を下記の表4に示す組成となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にしてシート状パック剤を得た。
【0102】
(実施例16)
多価アルコール脂肪酸エステルに加えて脂肪酸(カプリン酸)を用い、基剤層組成物の組成(基剤組成)を下記の表4に示す組成となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にしてシート状パック剤を得た。
【0103】
実施例13〜16において得られたシート状パック剤について、基剤層の均一性評価、基剤層の凝集力評価、基剤層の粘着力評価、基剤層の肌への付着性評価、剥離時痛み評価、及び使用時の使用感評価(使用時の使用感評価については実施例13〜15)を実施した。なお、実施例16で得られたシート状パック剤において、基剤層の肌への付着性評価及び剥離時痛み評価については、該シート状パック剤を顔に代えて手の甲に貼付して各評価を実施した。下記の表4に、各基剤層組成物の組成(基剤組成)と共に得られた結果をそれぞれ示す。また、表4には、参照として実施例4で得られたシート状パック剤における各評価結果及び基剤組成も示す。
【0104】
【表4】
【0105】
表2〜表4に示した結果から明らかなように、基剤層に特定量のポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体を含有するシート状パック剤(実施例1〜16)においては、多価アルコール脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸が20質量%以上と比較的多く含有される場合であっても、基剤層の均一性、凝集力、粘着力、及び肌への付着性、並びに、使用時の使用感においていずれも優れており、かつ、剥離時の痛みが十分に軽減されることが確認された。
【0106】
(比較例9)
ポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体エマルジョンに代えて、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(オイドラギットEPO(エボニックインダストリーズAG製))を用い、基剤層組成物の組成(基剤組成)を下記の表5に示す組成となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にしてシート状パック剤を得た。
【0107】
(比較例10)
ポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体エマルジョンに代えて、メチルメタクリレート・ブチルメタクリレート共重合体(Plastoid B(エボニックインダストリーズAG製))を用い、基剤層組成物の組成(基剤組成)を下記の表5に示す組成となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にしてシート状パック剤を得た。
【0108】
比較例9〜10において得られたシート状パック剤について、前記基剤層の均一性評価(製造適正評価)を実施した。下記の表5に、各基剤層組成物の組成(基剤組成)と共に得られた結果をそれぞれ示す。また、表5には、参照として実施例10で得られたシート状パック剤における均一性評価結果及び基剤組成も示す。
【0109】
【表5】
【0110】
表5に示した結果から明らかなように、ポリアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体に代えて、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEやメチルメタクリレート・ブチルメタクリレート共重合体のように粘着性や成形性を付与するポリマーとして従来公知の他のポリマーを用いても(比較例9〜10)、多価アルコール脂肪酸エステルが比較的多く含有されると、基剤層の均一性に劣ることが確認された。