【解決手段】本発明に係る配管カバー20の継手構造2は、内側配管10と、内側配管10の外周に配され、内側配管10の長さ方向に継ぎ足されてなる複数の配管カバー20と、を備える配管1において、配管カバー20のうち第1配管カバー20aの端部24に継手部材30が取り付けられ、継手部材30の内側に、第1配管カバー20aと隣り合う第2配管カバー20bが、内側配管10の長さ方向に沿って相対移動自在に嵌め込まれていることを特徴とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような配管においては、例えば連続して延びる内側配管に対して、内側配管の長さ方向に複数の配管カバーを継ぎ足すことで、内側配管の全長に亘った配管カバーの被覆を実現する手法が多く採用されている。ところが、配管カバーを樹脂製にて構成した場合、内側配管を流通する冷媒等の影響による熱収縮が生じ易く、その収縮が原因で継ぎ足し部分において(隣り合う配管カバーの間において)隙間が生じると、内側配管が剥き出しとなり、結露発生ないし外観不良等の不具合が生じる場合がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、隣り合う配管カバーの間に熱収縮等によるズレが生じた場合であっても、結露発生や外観不良等の不具合が生じにくい配管カバーの継手構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の配管カバーの継手構造は、内側配管と、前記内側配管の外周に配され、前記内側配管の長さ方向に継ぎ足されてなる複数の配管カバーと、を備える配管において、前記配管カバーのうち第1配管カバーの端部に継手部材が取り付けられ、前記継手部材の内側に、前記第1配管カバーと隣り合う第2配管カバーが、前記内側配管の長さ方向に沿って相対移動自在に嵌め込まれていることを特徴とする。
【0007】
このような継手構造によると、第1配管カバーと第2配管カバーとの間において熱収縮等に基づくズレ(互いに管軸方向に離間し合うような変位)が生じた場合であっても、第2配管カバーと継手部材とが配管の長さ方向に沿って相対移動するため、少なくとも継手部材の内側に嵌め込まれた第2配管カバーの長さ分だけズレを解消することが可能となる。すなわち、継手部材の内側に嵌め込まれた第2配管カバーが、相対移動により継手部材の中から抜け出ることで、ズレにより生じ得る隙間(第1配管カバーと第2配管カバーとの間の隙間)に対して該抜け出した第2配管カバーの部分が被覆を行うことができるのである。その結果、配管カバーのズレに基づいて内側配管が剥き出しとなって結露が発生する事態や、剥き出しとなって外観不良を生じる等の不具合が生じにくいものとなっている。
【0008】
上記継手構造において、前記継手部材は筒状とされ、その筒軸方向に切断した形の半割体を組み合わせたものから構成することができる。
このような構成によると、内側配管の外周に配した第1配管カバーと第2配管カバーとの間に継手部材を好適に後付けすることが可能となる。すなわち、各半割体によって内側配管ないし第2配管カバーを挟むように被覆することで、第1配管カバーと第2配管カバーとの間に継手部材を後付けすることが可能となる。
【0009】
また、前記第2配管カバーは、カバー本体と、前記カバー本体の端部に取り付けられる接続部材とを備え、前記接続部材が、前記継手部材の内側に、前記内側配管の長さ方向に沿って相対移動自在に嵌め込まれているものとすることができる。
このような構成によると、カバー本体の端部に取り付けられた接続部材が継手構造を担い、すなわち、第1配管カバーと第2配管カバーとの間においてズレが生じた場合であっても、接続部材と継手部材とが配管の長さ方向に沿って相対移動するため、少なくとも継手部材の内側に嵌め込まれた接続部材の長さ分だけズレを解消することが可能となる。その結果、配管カバーのズレに基づいて内側配管が剥き出しとなって結露が発生する不具合や、剥き出しとなって外観不良を生じる等の不具合が生じにくいものとなる。
【0010】
また、前記接続部材が、管軸方向に切断した形の半割体を組み合わせたものから構成することができる。
このような構成によると、内側配管の外周に配した第1配管カバーとカバー本体との間に接続部材を好適に後付けすることが可能となる。すなわち、各半割体によって少なくとも内側配管を挟むように被覆することで、第1配管カバーとカバー本体との間に継手部材を後付けすることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、隣り合う配管カバーの間に熱収縮等によるズレが生じた場合であっても、結露発生や外観不良等の不具合が生じにくい配管カバーの継手構造を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
本発明に係る構成を具備する実施形態1について
図1ないし
図6によって説明する。
図1及び
図3に示すように、本実施形態に係る配管1は、エアコンディショナー(空調装置)に用いられる冷媒(例えばハイドロフルオロカーボン等)を例えば室内機と室外機との間で移送するための配管であって、その内部を冷媒が直に流通する内側配管10と、内側配管10の外周に配されて保温機能を備えた配管カバー20と、を主として備える構成とされている。
【0014】
内側配管10は、内部に冷媒が直に流通するため、耐久性の高い銅管等が用いられている。一方、配管カバー20は、熱伝導性の高い内側配管10を熱的に保護すべく保温性の高い樹脂製のもの、特には発泡樹脂製のものが用いられ、冷媒の熱が外部に移動することを防止ないし抑制するとともに、配管表面における結露発生を防止ないし抑制している。また、配管カバー20は、複数の配管カバーが内側配管10の長さ方向に継ぎ足されてなり、隣り合う配管カバー20a,20bは、継手部材30を含む継手構造2により継ぎ合わされている。
【0015】
配管カバー20のうち第1配管カバー20aの端部24には、継手部材30がシール材50を介して取り付けられている。継手部材30は、第1配管カバー20aの端部24と接する側の第1基端部31が、第1配管カバー20aと略同一の筒形状をなし、第1配管カバー20aと同様に内側配管10を被覆可能な内径を有するとともに、第1配管カバー20aと略同一の肉厚を有し、即ち第1配管カバー20aと略同一の外径を有するものとされている。また、継手部材30において、第1基端部31から第2配管カバー20b側に延びる第1接続部32は、第1基端部31と同一の外径を有する一方、その内径は第1基端部31よりも大きな内径とされており、その結果、継手部材30の第1接続部32は、内側配管10との間に隙間が形成される構成となっている。
【0016】
一方、配管カバー20のうち第2配管カバー20bは、カバー本体21と、カバー本体21の端部26にシール材51を介して取り付けられる接続部材40と、を備えて構成されている。接続部材40は、カバー本体21の端部26と接する側の第2基端部41が、カバー本体21と略同一の筒形状をなし、カバー本体21と同様に内側配管10を被覆可能な内径を有するとともに、カバー本体21と略同一の肉厚を有し、即ちカバー本体21と略同一の外径を有するものとされている。また、接続部材40において、第2基端部41から第1配管カバー20a側に延びる第2接続部42は、第2基端部41と同一の内径を有する一方、その外径は第2基端部41よりも小さい外径とされており、具体的には継手部材30の第1接続部32の内径よりも小さな外径とされている。つまり、
図3に示すように、接続部材40の第2接続部42は、内側配管10の外周を被覆する一方で、継手部材30の第1接続部32の内側に嵌め込み(つまり筒内部に挿入)可能な構成とされ、ここでは第2接続部42の全長(管軸方向における長さ)が第1接続部32の全長(管軸方向における長さ)と同じ若しくは第1接続部32の全長よりも短く構成されている。なお、接続部材40の第2接続部42と継手部材30の第1接続部32との間には、僅かなクリアランス16が形成されている。
【0017】
このような構成により、第1配管カバー20aと隣り合う第2配管カバー20bにおいて、該第2配管カバー20bを構成する接続部材40が、内側配管10の長さ方向に沿って相対移動自在に、継手部材30の内側に嵌め込まれることとなる(
図1、
図3)。なお、継手部材30および接続部材40は、それぞれ筒状であって、
図5及び
図6に示すように、その筒軸方向に切断した形の半割体を組み合わせたものからなる。接続部材40は、各半割体を内側配管10を被覆するように組み合わせてなり、必要に応じて分割部14を接着剤等により接着させてなる。また、継手部材30は、各半割体を接続部材40の第2接続部42に対してクリアランス16を設けた状態で被覆するように組み合わせてなり、必要に応じて分割部13を接着剤等により接着させてなる。
【0018】
ここで、内側配管10に対する配管カバー20の被覆ないし継手方法について説明する。内側配管10を所定位置に配置した後、第1配管カバー20aおよびカバー本体21を内側配管10の外周に被覆させる。ここで、第1配管カバー20aおよびカバー本体21は、所定間隔の隙間を空けて、具体的には継手部材30の全長(管軸方向における長さ)と、接続部材40における第2基端部41の長さ(管軸方向における長さ)とを足した値と同程度の隙間を空けて被覆させる。なお、この隙間には内側配管10が露出することとなる。
【0019】
その後、接続部材40の半割体を、上記隙間において露出した内側配管10を被覆するように組み合わせるとともに、第2基端部41の端面がカバー本体21の端部26における端面と接するように配し、シール材51により接続部材40とカバー本体21とを組み合わせて第2配管カバー20bとする。なお、ここでは第1配管カバー20aと第2配管カバー20bの接続部材40(詳しくは第2接続部42)との間には嵌合隙間が形成されており、該嵌合隙間において内側配管10が露出している。続いて、接続部材40の第2接続部42と上記嵌合隙間とを被覆するように、継手部材30の半割体を組み合わせるとともに、第1基端部31の端面が第1配管カバー20aの端部24における端面と接するように配し、シール材50により継手部材30と第1配管カバー20aとを組み合わせる。
【0020】
以上の方法により、内側配管10に対して配管カバー20が被覆され、継手部材30の内側に、第1配管カバー20aと隣り合う第2配管カバー20b(ここではカバー本体21に組み付けられた接続部材40)が、内側配管10の長さ方向に沿って相対移動自在に嵌め込まれてなる継手構造2が完成する。このような継手構造2によると、
図2及び
図4に示すように、例えば第1配管カバー20aと第2配管カバー20bとの間において熱収縮等に基づくズレ(互いに離間し合うような変位)が生じた場合であっても、第2配管カバー20b(ここでは接続部材40)と継手部材30とが配管1(内側配管10)の長さ方向に沿って相対移動し、具体的には第1接続部32に嵌め込まれた第2接続部42が、該第1接続部32から引き出されて離間する方向に移動するため、少なくとも継手部材30の内側に嵌め込まれた第2配管カバー20b(ここでは接続部材40の第2接続部42)の長さ分だけズレを解消することができる。その結果、配管カバー20のズレに基づいて内側配管10が剥き出しとなる事態が生じにくくなり、結露発生や外観不良等の不具合が生じにくいものとなっている。
【0021】
また、本実施形態では、継手部材30は筒状とされ、その筒軸方向に切断した形の半割体を組み合わせたものからなるため、内側配管10の外周に配した第1配管カバー20aと第2配管カバー20b(ここでは接続部材40)との間に継手部材30を好適に後付けすることができる。すなわち、各半割体によって内側配管10ないし第2配管カバー20b(ここでは接続部材40)を挟むように被覆することで、第1配管カバー20aと第2配管カバー20bとの間に継手部材30を後付けすることができるものとされている。
【0022】
また、本実施形態では、第2配管カバー20bは、カバー本体21と、カバー本体21の端部26に取り付けられる接続部材40とを備え、接続部材40が、継手部材30の内側に、内側配管10の長さ方向に沿って相対移動自在に嵌め込まれている。したがって、カバー本体10の端部26に取り付けられた接続部材40が継手構造2を担い、すなわち、第1配管カバー20aと第2配管カバー20bとの間においてズレ(互いに離間し合うような変位)が生じた場合であっても、接続部材40と継手部材30とが配管1(内側配管10)の長さ方向に沿って相対移動するため、少なくとも継手部材30の内側に嵌め込まれた接続部材40の長さ分だけズレを解消することが可能となる。その結果、配管カバー20のズレに基づいて内側配管10が剥き出しとなって結露が発生する事態や、外観不良を生じる等の不具合が生じにくいものとなっている。
【0023】
また、本実施形態では、接続部材40が、管軸方向に切断した形の半割体を組み合わせたものからなるため、内側配管10の外周に配した第1配管カバー20aとカバー本体21との間に接続部材40を好適に後付けすることができる。すなわち、各半割体によって少なくとも内側配管10を挟むように被覆することで、第1配管カバー20aとカバー本体21との間に継手部材を好適に後付けすることができるものとされている。
【0024】
なお、本実施形態においては、継手構造2を構成する継手部材30と接続部材40は、第1配管カバー20aや第2配管カバー20bとは異なる樹脂材料から構成するものとしても良い。特に第1接続部32と第2接続部42は、
図2及び
図4に示すように互いに離間する方向に変位した状態では、内側配管10を保護する厚みが第1配管カバー20aや第2配管カバー20bに比して薄いものとなるため、より断熱性の高い材料を採用するものとしても良い。また、第1接続部32と第2接続部42は、一方を他方に嵌め込んだ構成となっているため、より寸法安定性が望まれる場合があり、そのような場合には、第1配管カバー20aや第2配管カバー20bに比して熱膨張(熱収縮)が生じにくい材料を採用するものとしても良い。
【0025】
<実施形態2>
本発明に係る構成を具備する実施形態2について
図7及び
図8によって説明する。なお、実施形態1と同一の構成要素については同一符号を付して説明を省略するものとする。本実施形態2に係る配管1aは、その継手構造2aが実施形態1の継手構造2と異なり、具体的には継手部材300、及び第2配管カバー20cを構成する接続部材400が、実施形態1の継手部材30及び接続部材40よりも肉厚な構成となっている。
【0026】
継手部材300においては、第1配管カバー20aの端部24と接する側の第1基端部301が、第1配管カバー20aと同様に内側配管10を被覆可能な内径を有する一方、第1配管カバー20aよりも大きな厚みを有した筒状をなし、即ち第1配管カバー20aよりも大きな外径を有するものとされている。また、継手部材300において、第1基端部301から第2配管カバー20c側に延びる第1接続部302は、実施形態1の第1接続部32と同様、第1基端部301と同一の外径を有し、その内径が第1基端部31よりも大きな内径とされているが、実施形態1の第1接続部32よりも外径を大きくとった関係上、肉厚に構成されている。
【0027】
また、第2配管カバー20cの接続部材400は、カバー本体21の端部26と接する側の第2基端部401が、カバー本体21よりも大きな厚み(継手部材300の第1基端部301と同一の厚み)を有した筒状をなし、カバー本体21と同様に内側配管10を被覆可能な内径を有するものとされている。また、接続部材400において、第2基端部401から第1配管カバー20a側に延びる第2接続部402は、実施形態1の第2接続部42と同様、第2基端部401と同一の内径を有する一方、その外径は第2基端部401よりも小さい外径とされており、具体的には継手部材300の第1接続部302の内径よりも小さな外径とされているが、実施形態1に比して、第1接続部302の外径を大きくとった関係上、第2接続部402は実施形態1の第2接続部42よりも肉厚に構成されている。なお、シール材52,53は、厚さの関係上、図示の通り段差に沿って貼り合わされた構成となっている。
【0028】
以上のような実施形態2に具備された継手構造2aによれば、
図8に示すように、例えば第1配管カバー20aと第2配管カバー20cとの間において熱収縮等に基づくズレ(互いに離間し合うような変位)が生じた場合であっても、第2配管カバー20c(ここでは接続部材400)と継手部材300とが配管1a(内側配管10)の長さ方向に沿って相対移動し、具体的には第1接続部302に嵌め込まれた第2接続部402が、該第1接続部302から引き出されて離間する方向に移動するため、少なくとも継手部材300の内側に嵌め込まれた第2配管カバー20c(ここでは接続部材400の第2接続部402)の長さ分だけズレを解消することができる。その結果、配管カバー20のズレに基づいて内側配管10が剥き出しとなる事態が生じにくくなり、結露発生や外観不良等の不具合が生じにくいものとなるが、ここでは、第2接続部402を肉厚に構成しているため、このようなズレが生じた場合にあっても十分な保温機能を発現することが可能とされている。
【0029】
<実施形態3>
本発明に係る構成を具備する実施形態3について
図9及び
図10によって説明する。なお、実施形態1や実施形態2と同一の構成要素については同一符号を付して説明を省略するものとする。本実施形態3に係る配管1bは、その継手構造2bが実施形態1の継手構造2と異なり、具体的には継手部材310、及び第2配管カバー20dを構成する接続部材410が、実施形態1の継手部材30及び接続部材40よりも肉厚な構成となっており、継手部材310の第1接続部312の厚さは第1配管カバー20aの厚さと同一にて、接続部材410の第2接続部412の厚さは第2配管カバー20dのカバー本体21の厚さと同一にて構成されている。また、実施形態2の継手構造2aに比して、第1配管カバー20aと第1基端部311の厚みの違いに基づく段差を解消すべく第1基端部311にはテーパ形状が、同じくカバー本体21と第2基端部411との厚みの違いに基づく段差を解消すべく第2基端部411にもテーパ形状が、それぞれ付与されている。さらに、シール材54,55には補強用の樹脂ピン60が貫通して配され、継手部材310の第1接続部312には、第2接続部412が該第1接続部312の内部から抜け出る方向に相対移動した際に、第1接続部312と第2接続部412との外径の違いに基づく段差(ひいては該段差に基づいて構成される空間)を解消すべく筒状のカバー部材70が配されている。
【0030】
詳述すると、継手部材310においては、第1配管カバー20aの端部24と接する側の第1基端部311が、第1配管カバー20aと同様に内側配管10を被覆可能な内径を有する一方、第1配管カバー20aよりも大きな厚みを有した筒状をなし、即ち第1配管カバー20aよりも大きな外径を有するものとされている。そして、そのような外径の違いによる段差を解消すべく、第1基端部311には、第1配管カバー20aの端部24から第1基端部311の最大外径部の外周面まで傾斜してなる傾斜面311aによりテーパ形状が形成されている。
【0031】
また、継手部材310において、第1基端部311から第2配管カバー20d側に延びる第1接続部312は、第1基端部301の最大外径と同一の外径を有し、その内径が第1基端部311よりも大きな内径とされているが、実施形態1の第1接続部32よりも外径を大きくとった関係上、肉厚に構成されている。具体的には、第1接続部312の厚みは第1配管カバー20aの厚みと同一にて構成され、第1接続部312の内周には内側配管10との間に接続部材410の第2接続部412が挿入可能な構成となっている。なお、第1基端部311の傾斜面311aから第1配管カバー20aにかけて、第1配管カバー20aと継手部材310とを組み付けるためのシール材54が貼付されてなり、傾斜面311aと第1配管カバー20aの双方には、シール材54のシール性を補強するための樹脂ピン60がシール材54と第1基端部311及び第1配管カバー20aを貫通して配されている。
【0032】
一方、第2配管カバー20dの接続部材410は、カバー本体21の端部26と接する側の第2基端部411が、カバー本体21と同様に内側配管10を被覆可能な内径を有する一方、カバー本体21よりも大きな厚みを有した筒状をなし、即ちカバー本体21よりも大きな外径を有するものとされている。そして、そのような外径の違いによる段差を解消すべく、第2基端部411には、カバー本体21の端部26から第2基端部411の最大外径部の外周面まで傾斜してなる傾斜面411aによりテーパ形状が形成されている。
【0033】
また、接続部材410において、第2基端部411から第1配管カバー20a側に延びる第2接続部412は、実施形態1の第2接続部42と同様、第2基端部411と同一の内径を有する一方、その外径は第2基端部411よりも小さい外径とされており、具体的には継手部材310の第1接続部312の内径よりも小さな外径とされているが、実施形態1に比して、第1接続部312の外径を大きくとった関係上、第2接続部412は実施形態1の第2接続部42よりも肉厚に構成されている。ここでは、第2接続部412の厚みはカバー本体21の厚みと同一とされ、第1接続部312の内周に該第1接続部312との間にクリアランス16を有した形で挿入可能とされている。なお、第2基端部411の傾斜面411aからカバー本体21にかけて、カバー本体21と接続部材410とを組み付けるためのシール材55が貼付されてなり、傾斜面411aとカバー本体21の双方には、シール材55のシール性を補強するための樹脂ピン60がシール材55と第2基端部411及びカバー本体21を貫通して配されている。
【0034】
ところで、本実施形態3においては、第1接続部312の外周における第2配管カバー20d側の端部には、第2配管カバー20d側に延出する筒状のカバー部材70が配されている。カバー部材70は、
図9に示すように、第2接続部412が第1接続部312の内側に嵌め込まれた状態では、その先端がカバー本体21まで延出する一方、
図10に示すように、第2接続部412が第1接続部312の内側から抜け出る方向に相対移動した状態では、その相対移動した第2接続部412の外周を被覆する一方、その先端が第2基端部411に位置する状態となる。
【0035】
以上のような実施形態3に具備された継手構造2bによれば、
図10に示すように、例えば第1配管カバー20aと第2配管カバー20dとの間において熱収縮等に基づくズレ(互いに離間し合うような変位)が生じた場合であっても、第2配管カバー20d(ここでは接続部材410)と継手部材310とが配管1b(内側配管10)の長さ方向に沿って相対移動し、具体的には第1接続部312に嵌め込まれた第2接続部412が、該第1接続部312から引き出されて離間する方向に移動するため、少なくとも継手部材310の内側に嵌め込まれた第2配管カバー20d(ここでは接続部材410の第2接続部412)の長さ分だけズレを解消することができる。その結果、配管カバー20のズレに基づいて内側配管10が剥き出しとなる事態が生じにくくなり、結露発生や外観不良等の不具合が生じにくいものとなるが、ここでは、第2接続部412を肉厚に構成しているため、このようなズレが生じた場合にあっても十分な保温機能を発現することが可能とされている。また、本実施形態3では、第1接続部312の第2配管カバー20d側端部に、第2配管カバー20d側に延出する筒状のカバー部材70を配したため、第2接続部412が第1接続部312の内側から抜け出る方向に相対移動した状態では、第1接続部312と第2接続部412との外径の違いに基づく段差、ひいては該段差に基づいて構成される空間17をカバー部材70が被覆することとなり、断熱性が高められるとともに、外観不良をも解消している。
【0036】
<実施形態4>
本発明に係る構成を具備する実施形態4について
図11及び
図12によって説明する。なお、実施形態1と同一の構成要素については同一符号を付して説明を省略するものとする。本実施形態4に係る配管1cは、その継手構造2cが実施形態1の継手構造2と異なり、具体的には第2配管カバー20eは接続部材を備えず、発泡樹脂製のカバー本体のみで構成されている。
【0037】
詳述すると、
図11に示すように第1配管カバー20aにおける第2配管カバー20e側の端部に取り付けられた継手部材320は、その内側(内周)に第2配管カバー20eにおける第1配管カバー20a側の端部を嵌め込み可能な構成とされている。そして、
図12に示すように第1配管カバー20aと第2配管カバー20eとが熱収縮等に起因して互いに離間する方向に変位した場合には、嵌め込まれていた第2配管カバー20eの端部が内側配管10の長さ方向に沿って、継手部材320から抜け出る方向に相対移動可能な構成となっている。
【0038】
継手部材320においては、第1配管カバー20aの端部と接する側の第1基端部321が、基部321bと接続部321cにより構成されている。基部321bは、第1配管カバー20aと同様の筒形状をなし、内側配管10を被覆可能な内径を有する一方、第1配管カバー20aと同じ厚みを有し、即ち第1配管カバー20aと同じ外径を有するものとされている。また、接続部321cは、基部321bと同一の内径であって内側配管10を被覆可能な内径を有する一方、第1配管カバー20aよりも大きな厚みを有した筒状をなし、即ち第1配管カバー20aよりも大きな外径を有するものとされている。そして、そのような外径の違いによる段差を解消すべく、接続部321cには、基部321bから接続部321cの最大外径部の外周面まで傾斜してなる傾斜面321aによりテーパ形状が形成されている。
【0039】
また、継手部材320において、第1基端部321から第2配管カバー20e側に延びる第1接続部322は、第1基端部321の最大外径と同一の外径を有し、その内径が第1基端部321よりも大きな内径とされているが、実施形態1の第1接続部32よりも外径を大きくとった関係上、肉厚に構成されている。具体的には、第1接続部322の厚みは第1配管カバー20aの厚みと同一か若干薄肉にて構成され、第1接続部322の内周には内側配管10との間に第2配管カバー20eが挿入可能な構成となっている。なお、第1基端部321の基部321bから第1配管カバー20aにかけて、第1配管カバー20aと継手部材320とを組み付けるためのシール材56が貼付されている。
【0040】
以上のような実施形態4に具備された継手構造2cによれば、
図12に示すように、例えば第1配管カバー20aと第2配管カバー20eとの間において熱収縮等に基づくズレ(互いに離間し合うような変位)が生じた場合であっても、第2配管カバー20eと継手部材320とが配管1c(内側配管10)の長さ方向に沿って相対移動し、具体的には第1接続部322に嵌め込まれた第2配管カバー20eが、該第1接続部322から引き出されて離間する方向に移動するため、少なくとも継手部材320の内側に嵌め込まれた第2配管カバー20eの長さ分だけズレを解消することができる。その結果、配管カバー20のズレに基づいて内側配管10が剥き出しとなる事態が生じにくくなり、結露発生や外観不良等の不具合が生じにくいものとなる。
【0041】
<他の実施形態>
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば上記実施形態においては、本発明に係る継手構造を備えた配管として空調装置における冷媒配管を例示したが、水等の液体を移送する配管(例えば水道配管)等にも本発明に係る継手構造を適用可能である。
また、実施形態1においては、接続部材40を第2配管カバー20bの構成要素として発明を捉えているが、例えば該接続部材40と継手部材30とをセットで捉え、これら接続部材40と継手部材30により継手部品を構成し、該継手部品を市場に流通させることも可能である。