特開2018-40663(P2018-40663A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-40663(P2018-40663A)
(43)【公開日】2018年3月15日
(54)【発明の名称】レーダシステム
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/87 20060101AFI20180216BHJP
   H01Q 1/12 20060101ALI20180216BHJP
   H01Q 21/28 20060101ALI20180216BHJP
【FI】
   G01S13/87
   H01Q1/12 E
   H01Q21/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-174360(P2016-174360)
(22)【出願日】2016年9月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】富木 洋一
【テーマコード(参考)】
5J021
5J047
5J070
【Fターム(参考)】
5J021AA09
5J021DA05
5J021GA02
5J021HA04
5J047AA02
5J047BF10
5J070AA13
5J070AD05
5J070AG07
5J070AK06
5J070AK35
5J070BD01
5J070BH07
(57)【要約】
【課題】本開示は、同一周波数帯の複数のレーダ送信装置を備えるレーダシステムにおいて、レーダ送信装置を増やしても、除去されるスイープ数を増やさず、干渉を受けるスイープ数を増やさず、システムの配置の制約を高くせず、やり取りする情報量を増やさず、互いの干渉を抑圧することを目的とする。
【解決手段】本開示は、同一周波数帯の複数のレーダ送信装置2A、2B、2C、2Dと、複数のレーダ送信装置2A、2B、2C、2Dの間の干渉を抑圧するように、複数のレーダ送信装置2A、2B、2C、2Dの送信アンテナ方向及び/又は送信タイミングを制御するレーダ制御装置1と、を備えることを特徴とするレーダシステムRである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一周波数帯の複数のレーダ送信装置と、
前記複数のレーダ送信装置の間の干渉を抑圧するように、前記複数のレーダ送信装置を制御するレーダ制御装置と、
を備えることを特徴とするレーダシステム。
【請求項2】
前記レーダ制御装置は、前記複数のレーダ送信装置の送信アンテナ方向を制御することを特徴とする、請求項1に記載のレーダシステム。
【請求項3】
前記レーダ制御装置は、前記複数のレーダ送信装置のアンテナ回転速度が互いに異なる場合に、前記複数のレーダ送信装置から送信アンテナ方向の情報を収集し、前記複数のレーダ送信装置の間の干渉タイミングを予測し、前記干渉タイミングに関わる前記複数のレーダ送信装置の少なくともいずれかに対して、前記干渉タイミングにおいてレーダ送信を停止させることを特徴とする、請求項2に記載のレーダシステム。
【請求項4】
前記レーダ制御装置は、前記複数のレーダ送信装置のアンテナ回転速度が互いに異なる場合に、前記複数のレーダ送信装置から送信アンテナ方向の情報を収集し、前記複数のレーダ送信装置の間の干渉タイミングを予測し、前記干渉タイミングに関わる前記複数のレーダ送信装置の少なくともいずれかに対して、前記干渉タイミングが発生しないようにアンテナ回転速度を調整することを特徴とする、請求項2に記載のレーダシステム。
【請求項5】
前記レーダ制御装置は、前記複数のレーダ送信装置の送信タイミングを制御することを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のレーダシステム。
【請求項6】
前記レーダ制御装置は、前記複数のレーダ送信装置の基準クロック周期が互いに異なる場合に、前記複数のレーダ送信装置から送信タイミングの情報を収集し、前記複数のレーダ送信装置の間の干渉タイミングを予測し、前記干渉タイミングに関わる前記複数のレーダ送信装置の少なくともいずれかに対して、前記干渉タイミングにおいてレーダ送信を停止させることを特徴とする、請求項5に記載のレーダシステム。
【請求項7】
前記レーダ制御装置は、前記複数のレーダ送信装置の基準クロック周期が互いに異なる場合に、前記複数のレーダ送信装置から送信タイミングの情報を収集し、前記複数のレーダ送信装置の間の干渉タイミングを予測し、前記干渉タイミングに関わる前記複数のレーダ送信装置の少なくともいずれかに対して、前記干渉タイミングが発生しないように送信周期内クロック数を調整することを特徴とする、請求項5に記載のレーダシステム。
【請求項8】
前記複数のレーダ送信装置は、測位衛星装置からの時刻同期信号に基づいて、又は、前記レーダ制御装置と前記複数のレーダ送信装置の間の伝送遅延時間に関する補正がなされた、前記レーダ制御装置からの時刻同期信号に基づいて、前記レーダ制御装置と時刻同期を図ることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載のレーダシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、同一周波数帯の複数のレーダ送信装置を備えるレーダシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
同一周波数帯の複数のレーダ送信装置を用いて、同一覆域を探査することにより、ターゲットの探知性能の向上を見込める(例えば、特許文献1〜3を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−325130号公報
【特許文献2】特開平07−333328号公報
【特許文献3】特開平11−142503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、同一周波数帯の複数のレーダ送信装置において、互いの干渉が問題となる。そこで、以下に記載の第1から第4までの対策が講じられてきた。
【0005】
第1の対策として、干渉を受けたと判断したスイープを除去していた。しかし、レーダ送信装置が増えるにつれて、除去されるスイープ数が増えてしまう。
【0006】
第2の対策として、送信タイミングをランダムに変化させていた。しかし、レーダ送信装置が増えるにつれて、干渉を受けるスイープ数が増えてしまう。
【0007】
第3の対策として、他のレーダ送信装置の方向に電波を出さない、レーダ送信装置の間に電波の遮蔽物を置く、レーダ送信装置の間に一定の距離をとる、等の対策を講じてきた。しかし、レーダ送信装置が増えるにつれて、システムの配置の制約が高くなる。
【0008】
第4の対策として、特許文献1〜3に開示されているように、レーダ送信装置の間において、送信アンテナ方向又は送信タイミングについて、情報をやり取りしていた。しかし、レーダ送信装置が増えるにつれて、やり取りする情報量が増えてしまう。
【0009】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、同一周波数帯の複数のレーダ送信装置を備えるレーダシステムにおいて、レーダ送信装置を増やしても、除去されるスイープ数を増やさず、干渉を受けるスイープ数を増やさず、システムの配置の制約を高くせず、やり取りする情報量を増やさず、互いの干渉を抑圧することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、同一周波数帯の複数のレーダ送信装置の間の干渉を抑圧するように、同一周波数帯の複数のレーダ送信装置を中央制御することとした。
【0011】
具体的には、本開示は、同一周波数帯の複数のレーダ送信装置と、前記複数のレーダ送信装置の間の干渉を抑圧するように、前記複数のレーダ送信装置を制御するレーダ制御装置と、を備えることを特徴とするレーダシステムである。
【0012】
この構成によれば、分散制御ではなく中央制御を行うため、同一周波数帯の複数のレーダ送信装置を備えるレーダシステムにおいて、レーダ送信装置を増やしても、除去されるスイープ数を増やさず、干渉を受けるスイープ数を増やさず、システムの配置の制約を高くせず、やり取りする情報量を増やさず、互いの干渉を抑圧することができる。
【0013】
また、本開示は、前記レーダ制御装置は、前記複数のレーダ送信装置の送信アンテナ方向を制御することを特徴とするレーダシステムである。
【0014】
この構成によれば、一のレーダ送信装置の送信アンテナ方向が他のレーダ送信装置の送信アンテナ方向と対向することが回避されるため、互いの干渉を抑圧することができる。
【0015】
また、本開示は、前記レーダ制御装置は、前記複数のレーダ送信装置のアンテナ回転速度が互いに異なる場合に、前記複数のレーダ送信装置から送信アンテナ方向の情報を収集し、前記複数のレーダ送信装置の間の干渉タイミングを予測し、前記干渉タイミングに関わる前記複数のレーダ送信装置の少なくともいずれかに対して、前記干渉タイミングにおいてレーダ送信を停止させることを特徴とするレーダシステムである。
【0016】
複数のレーダ送信装置のアンテナ回転速度が互いに異なる場合には、最初に複数のレーダ送信装置の送信アンテナ方向が対向しないように中央制御されていても、次第にいくつかのレーダ送信装置の送信アンテナ方向が対向するようになることが起こり得る。この構成によれば、いくつかのレーダ送信装置の送信アンテナ方向が対向するタイミングを予測したうえで、予測したタイミングが到来したときには、それらのレーダ送信装置のレーダ送信を停止することにより、互いの干渉を抑圧することができる。
【0017】
また、本開示は、前記レーダ制御装置は、前記複数のレーダ送信装置のアンテナ回転速度が互いに異なる場合に、前記複数のレーダ送信装置から送信アンテナ方向の情報を収集し、前記複数のレーダ送信装置の間の干渉タイミングを予測し、前記干渉タイミングに関わる前記複数のレーダ送信装置の少なくともいずれかに対して、前記干渉タイミングが発生しないようにアンテナ回転速度を調整することを特徴とするレーダシステムである。
【0018】
複数のレーダ送信装置のアンテナ回転速度が互いに異なる場合には、最初に複数のレーダ送信装置の送信アンテナ方向が対向しないように中央制御されていても、次第にいくつかのレーダ送信装置の送信アンテナ方向が対向するようになることが起こり得る。この構成によれば、いくつかのレーダ送信装置の送信アンテナ方向が対向するタイミングを予測したうえで、予測したタイミングが回避されるように、それらのレーダ送信装置のアンテナ回転速度を調整することにより、互いの干渉を抑圧することができる。
【0019】
また、本開示は、前記レーダ制御装置は、前記複数のレーダ送信装置の送信タイミングを制御することを特徴とするレーダシステムである。
【0020】
この構成によれば、一のレーダ送信装置の送信タイミングが他のレーダ送信装置の受信タイミングと重複することが回避されるため、互いの干渉を抑圧することができる。
【0021】
また、本開示は、前記レーダ制御装置は、前記複数のレーダ送信装置の基準クロック周期が互いに異なる場合に、前記複数のレーダ送信装置から送信タイミングの情報を収集し、前記複数のレーダ送信装置の間の干渉タイミングを予測し、前記干渉タイミングに関わる前記複数のレーダ送信装置の少なくともいずれかに対して、前記干渉タイミングにおいてレーダ送信を停止させることを特徴とするレーダシステムである。
【0022】
複数のレーダ送信装置の基準クロック周期が互いに異なる場合には、最初に複数のレーダ送信装置の送受信タイミングが重複しないように中央制御されていても、次第にいくつかのレーダ送信装置の送受信タイミングが重複するようになることが起こり得る。この構成によれば、いくつかのレーダ送信装置の送受信タイミングが重複するタイミングを予測したうえで、予測したタイミングが到来したときには、それらのレーダ送信装置のレーダ送信を停止することにより、互いの干渉を抑圧することができる。
【0023】
また、本開示は、前記レーダ制御装置は、前記複数のレーダ送信装置の基準クロック周期が互いに異なる場合に、前記複数のレーダ送信装置から送信タイミングの情報を収集し、前記複数のレーダ送信装置の間の干渉タイミングを予測し、前記干渉タイミングに関わる前記複数のレーダ送信装置の少なくともいずれかに対して、前記干渉タイミングが発生しないように送信周期内クロック数を調整することを特徴とするレーダシステムである。
【0024】
複数のレーダ送信装置の基準クロック周期が互いに異なる場合には、最初に複数のレーダ送信装置の送受信タイミングが重複しないように中央制御されていても、次第にいくつかのレーダ送信装置の送受信タイミングが重複するようになることが起こり得る。この構成によれば、いくつかのレーダ送信装置の送受信タイミングが重複するタイミングを予測したうえで、予測したタイミングが回避されるように、それらのレーダ送信装置の送信周期内クロック数を調整することにより、互いの干渉を抑圧することができる。
【0025】
また、本開示は、前記複数のレーダ送信装置は、測位衛星装置からの時刻同期信号に基づいて、又は、前記レーダ制御装置と前記複数のレーダ送信装置の間の伝送遅延時間に関する補正がなされた、前記レーダ制御装置からの時刻同期信号に基づいて、前記レーダ制御装置と時刻同期を図ることを特徴とするレーダシステムである。
【0026】
この構成によれば、複数のレーダ送信装置は、互いにずれのない時刻同期信号に基づいて、レーダ制御装置による中央制御に従うため、互いの干渉をさらに確実に抑圧することができる。
【発明の効果】
【0027】
このように、本開示によれば、同一周波数帯の複数のレーダ送信装置を備えるレーダシステムにおいて、レーダ送信装置を増やしても、除去されるスイープ数を増やさず、干渉を受けるスイープ数を増やさず、システムの配置の制約を高くせず、やり取りする情報量を増やさず、互いの干渉を抑圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示のレーダシステムの構成を示すブロック図である。
図2】本開示の複数のレーダ送信装置の送信アンテナ方向の制御方法を示す図である。
図3】本開示の複数のレーダ送信装置の送信アンテナ方向の制御方法を示す図である。
図4】本開示の複数のレーダ送信装置の送信タイミングの制御方法を示す図である。
図5】本開示の複数のレーダ送信装置の送信タイミングの制御方法を示す図である。
図6】本開示の複数のレーダ送信装置の送信タイミングの制御方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0030】
本開示のレーダシステムの構成を図1に示す。レーダシステムRは、レーダ制御装置1及びレーダ送信装置2A、2B、2C、2Dから構成される。レーダ送信装置2A、2B、2C、2Dは、同一周波数帯の複数のレーダ送信装置である。レーダ制御装置1は、レーダ送信装置2A、2B、2C、2Dの間の干渉を抑圧するように、レーダ送信装置2A、2B、2C、2Dの送信アンテナ方向及び/又は送信タイミングを制御する。
【0031】
レーダ制御装置1は、送信アンテナ方向制御部11、送信タイミング制御部12及び時刻同期信号生成部13から構成される。送信アンテナ方向制御部11は、レーダ送信装置2A、2B、2C、2Dの送信アンテナ方向を制御する。送信タイミング制御部12は、レーダ送信装置2A、2B、2C、2Dの送信タイミングを制御する。
【0032】
このように、送信アンテナ方向制御部11及び送信タイミング制御部12は、分散制御ではなく中央制御を行うため、以下に記載の第1から第4までの効果を奏する。
【0033】
第1の効果として、干渉を受けたと判断したスイープを除去する必要がない。よって、同一周波数帯の複数のレーダ送信装置を備えるレーダシステムにおいて、レーダ送信装置を増やしても、除去されるスイープ数を増やさず、互いの干渉を抑圧することができる。
【0034】
第2の効果として、送信タイミングをランダムに変化させる必要がない。よって、同一周波数帯の複数のレーダ送信装置を備えるレーダシステムにおいて、レーダ送信装置を増やしても、干渉を受けるスイープ数を増やさず、互いの干渉を抑圧することができる。
【0035】
第3の効果として、他のレーダ送信装置の方向に電波を出さない、レーダ送信装置の間に電波の遮蔽物を置く、レーダ送信装置の間に一定の距離をとる、等の対策を講じる必要がない。つまり、レーダ送信装置の間の距離を近づけることができる。よって、同一周波数帯の複数のレーダ送信装置を備えるレーダシステムにおいて、レーダ送信装置を増やしても、システムの配置の制約を高くせず、互いの干渉を抑圧することができる。
【0036】
第4の効果として、レーダ送信装置の間において、送信アンテナ方向又は送信タイミングについて、情報をやり取りする必要がない。よって、同一周波数帯の複数のレーダ送信装置を備えるレーダシステムにおいて、レーダ送信装置を増やしても、やり取りする情報量を増やさず、互いの干渉を抑圧することができる。
【0037】
ここで、レーダ送信装置2A、2B、2C、2Dは、以下に記載の方法で取得した時刻同期信号に基づいて、レーダ制御装置1と時刻同期を図る。よって、レーダ送信装置2A、2B、2C、2Dは、互いにずれのない時刻同期信号に基づいて、レーダ制御装置1による中央制御に従うため、互いの干渉をさらに確実に抑圧することができる。
【0038】
例えば、レーダ送信装置2A、2B、2C、2Dは、測位衛星装置3から時刻同期信号を取得することができる。又は、レーダ送信装置2A、2B、2C、2Dは、時刻同期信号生成部13から時刻同期信号を取得することができる。ただし、レーダ制御装置1とレーダ送信装置2A、2B、2C、2Dの間の伝送遅延時間に関する補正が必要である。
【0039】
本開示の複数のレーダ送信装置の送信アンテナ方向の制御方法を図2、3に示す。ただし、一のレーダ送信装置の送信アンテナ方向が他のレーダ送信装置の送信アンテナ方向と対向することが回避されるならば、本開示は図2、3に示した具体例に限定されない。ここで、「送信アンテナ方向同士が対向すること」は、一の送信アンテナの正面方向が他の送信アンテナの正面方向と真正面に対向することのみならず、一の送信アンテナの指向性範囲が他の送信アンテナの指向性範囲と重複することも含んでいる。
【0040】
図2では、レーダ送信装置2A、2B、2C、2Dのアンテナ回転速度が互いに同一の場合を示す。送信アンテナ方向制御部11は、レーダ送信装置2A、2B、2C、2Dのある指定時刻における送信アンテナ方向の情報を、それぞれ、レーダ送信装置2A、2B、2C、2Dに対して送信アンテナ方向の制御信号として伝送する。
【0041】
図2では、レーダ送信装置2Aは、その指定時刻において、送信アンテナ方向を紙面上の右上方向に向け、紙面上の時計回り(アンテナ回転速度ω)に回す。レーダ送信装置2Bも、その指定時刻において、送信アンテナ方向を紙面上の右上方向に向け、紙面上の時計回り(アンテナ回転速度ω)に回す。レーダ送信装置2Cも、その指定時刻において、送信アンテナ方向を紙面上の右上方向に向け、紙面上の時計回り(アンテナ回転速度ω)に回す。レーダ送信装置2Dも、その指定時刻において、送信アンテナ方向を紙面上の右上方向に向け、紙面上の時計回り(アンテナ回転速度ω)に回す。
【0042】
図3では、レーダ送信装置2A、2B、2C、2Dのアンテナ回転速度が互いに異なる場合を示す。図3では、図2の発展系としているが、その他の発展系としてもよい。
【0043】
複数のレーダ送信装置のアンテナ回転速度が互いに異なる場合には、最初に複数のレーダ送信装置の送信アンテナ方向が対向しないように中央制御されていても、次第にいくつかのレーダ送信装置の送信アンテナ方向が対向するようになることが起こり得る。
【0044】
具体的には、図3の左欄に示したように、初期状態において、レーダ送信装置2A、2B、2C、2Dの間の干渉が発生していない。しかし、レーダ送信装置2A、2B、2C、2Dのアンテナ回転速度が互いに異なる。よって、図3の右上欄に示したように、時間経過につれて、レーダ送信装置2A、2Bの間の干渉が発生する可能性がある。
【0045】
そこで、第1の方法として、送信アンテナ方向制御部11は、複数のレーダ送信装置から送信アンテナ方向の情報を収集し、複数のレーダ送信装置の間の干渉タイミングを予測し、その干渉タイミングに関わる複数のレーダ送信装置の少なくともいずれかに対して、その干渉タイミングにおいてレーダ送信を停止させる。
【0046】
具体的には、図3の右上欄に示したように、送信アンテナ方向制御部11は、その干渉タイミングに関わるレーダ送信装置2A、2Bに対して、その干渉タイミングにおいてレーダ送信を停止させる。ここで、レーダ送信装置2A、2Bのアンテナ回転速度を、初期状態におけるω+Δω、ω+Δωから、時間経過につれて変化させるわけではない。
【0047】
そして、第2の方法として、送信アンテナ方向制御部11は、複数のレーダ送信装置から送信アンテナ方向の情報を収集し、複数のレーダ送信装置の間の干渉タイミングを予測し、その干渉タイミングに関わる複数のレーダ送信装置の少なくともいずれかに対して、その干渉タイミングが発生しないようにアンテナ回転速度を調整する。
【0048】
具体的には、図3の右下欄に示したように、送信アンテナ方向制御部11は、その干渉タイミングに関わるレーダ送信装置2A、2Bに対して、その干渉タイミングが発生しないようにアンテナ回転速度を調整する。つまり、レーダ送信装置2A、2Bのアンテナ回転速度を、初期状態におけるω+Δω、ω+Δωから、時間経過後におけるω+Δω’、ω+Δω’へと、変化させることにより、その干渉タイミング自体を回避する。
【0049】
本開示の複数のレーダ送信装置の送信タイミングの制御方法を図4〜6に示す。ただし、一のレーダ送信装置の送信タイミングが他のレーダ送信装置の受信タイミングと重複することが回避されるならば、本開示は図4〜6に示した具体例に限定されない。
【0050】
図4、5では、レーダ送信装置2A、2B、2C、2Dの基準クロック周期が互いに同一の場合を示す。送信タイミング制御部12は、レーダ送信装置2A、2B、2C、2Dのある指定時刻を基準とする送信タイミングの情報を、それぞれ、レーダ送信装置2A、2B、2C、2Dに対して送信タイミングの制御信号として伝送する。
【0051】
図4では、レーダ送信装置2Aは、その指定時刻を基準として、送信タイミングを送信周期(クロック数n、ただし、n≠n、n≠n、n≠n)で計る。レーダ送信装置2Bは、その指定時刻を基準として、送信タイミングを送信周期(クロック数n、ただし、n≠n、n≠n、n≠n)で計る。レーダ送信装置2Cは、その指定時刻を基準として、送信タイミングを送信周期(クロック数n、ただし、n≠n、n≠n、n≠n)で計る。レーダ送信装置2Dは、その指定時刻を基準として、送信タイミングを送信周期(クロック数n、ただし、n≠n、n≠n、n≠n)で計る。
【0052】
図5では、レーダ送信装置2Aは、その指定時刻から所定ずれ時間(クロック数m、ただし、m≠m、m≠m、m≠0)後を基準として、送信タイミングを送信周期(クロック数n)で計る。レーダ送信装置2Bは、その指定時刻から所定ずれ時間(クロック数m、ただし、m≠m、m≠m、m≠0)後を基準として、送信タイミングを送信周期(クロック数n)で計る。レーダ送信装置2Cは、その指定時刻から所定ずれ時間(クロック数m、ただし、m≠m、m≠m、m≠0)後を基準として、送信タイミングを送信周期(クロック数n)で計る。レーダ送信装置2Dは、その指定時刻を基準として、送信タイミングを送信周期(クロック数n)で計る。
【0053】
図6では、レーダ送信装置2A、2B、2C、2Dの基準クロック周期が互いに異なる場合を示す。図6では、図5の発展系としているが、図4の発展系としてもよい。
【0054】
複数のレーダ送信装置の基準クロック周期が互いに異なる場合には、最初に複数のレーダ送信装置の送受信タイミングが重複しないように中央制御されていても、次第にいくつかのレーダ送信装置の送受信タイミングが重複するようになることが起こり得る。
【0055】
具体的には、図6の左欄に示したように、初期状態において、レーダ送信装置2A、2B、2C、2Dの間の干渉が発生していない。しかし、レーダ送信装置2A、2B、2C、2Dの基準クロック周期が互いに異なる。よって、図6の右上欄に示したように、時間経過につれて、レーダ送信装置2A、2Bの間の干渉が発生する可能性がある。
【0056】
そこで、第1の方法として、送信タイミング制御部12は、複数のレーダ送信装置から送信タイミングの情報を収集し、複数のレーダ送信装置の間の干渉タイミングを予測し、その干渉タイミングに関わる複数のレーダ送信装置の少なくともいずれかに対して、その干渉タイミングにおいてレーダ送信を停止させる。
【0057】
具体的には、図6の右上欄に示したように、送信タイミング制御部12は、その干渉タイミングに関わるレーダ送信装置2A、2Bに対して、その干渉タイミングにおいてレーダ送信を停止させる。ここで、レーダ送信装置2A、2Bの送信周期内クロック数を、初期状態におけるnから、時間経過につれて変化させるわけではない。
【0058】
そして、第2の方法として、送信タイミング制御部12は、複数のレーダ送信装置から送信タイミングの情報を収集し、複数のレーダ送信装置の間の干渉タイミングを予測し、その干渉タイミングに関わる複数のレーダ送信装置の少なくともいずれかに対して、その干渉タイミングが発生しないように送信周期内クロック数を調整する。
【0059】
具体的には、図6の右下欄に示したように、送信タイミング制御部12は、その干渉タイミングに関わるレーダ送信装置2A、2Bに対して、その干渉タイミングが発生しないように送信周期内クロック数を調整する。つまり、レーダ送信装置2A、2Bの送信周期内クロック数を、初期状態におけるnから、時間経過後におけるn+Δn、n+Δnへと、変化させることにより、その干渉タイミング自体を回避する。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本開示のレーダシステムは、交通量計測等において、レーダ送信装置を増やしても、除去されるスイープ数を増やさず、干渉を受けるスイープ数を増やさず、システムの配置の制約を高くせず、やり取りする情報量を増やさず、互いの干渉を抑圧することができる。
【符号の説明】
【0061】
R:レーダシステム
1:レーダ制御装置
2A、2B、2C、2D:レーダ送信装置
3:測位衛星装置
11:送信アンテナ方向制御部
12:送信タイミング制御部
13:時刻同期信号生成部

図1
図2
図3
図4
図5
図6