【解決手段】硬貨Cの下面を案内する通路部21と、硬貨Cの外周面を通路幅方向両側で案内する一対の搬送ガイド22,23と、通路部21の下側で通路部21を透過した光を検出して硬貨Cを識別する硬貨識別部24と、を有し、一対の搬送ガイド22,23のうちの少なくともいずれか一方が通路幅方向に移動可能であり、一対の搬送ガイド22,23のそれぞれに一体的に固定され、光軸A3,A4上の光を鉛直下方に向けて配置側の搬送ガイドと通路部21上の硬貨Cとの間位置に照射する上部照明装置62,82を有する。
前記傾斜面は、前記導光部材における通路幅方向の前記通路部側の端部の上面であって先端に向かうにしたがって下側に位置するように傾斜することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の硬貨処理装置。
前記傾斜面は、角度が異なる複数の面部が全体として前記導光部材の内部側に向けて凹むように連設されて構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の硬貨処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係る硬貨処理装置を図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る硬貨処理装置は、硬貨の識別処理を行うものであり、より具体的には、金属製の硬貨を、表面の模様(刻印パターン)がプレス成形により形成された後の完成硬貨であるか、表面の模様がプレス成形により形成される前のブランク貨であるかを識別するものである。この硬貨処理装置は、例えば、硬貨を製造する製造ラインに設けられて完成硬貨中に混入したブランク貨を検出するものである。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る硬貨処理装置10は、硬貨Cを案内する搬送路20を有している。この搬送路20の硬貨搬送方向の上流側には硬貨Cを一枚ずつに分離して搬送路20に向けて繰り出す図示略の硬貨分離操出部が設けられている。また、この搬送路20の上側には、硬貨分離操出部から繰り出された硬貨Cを搬送路20上で下流側に向け移動させる図示略のフィードユニットが設けられている。
【0016】
搬送路20は、上面が水平に配置されて硬貨Cの下面を案内する通路部21と、通路部21の通路幅方向両側に配置されて硬貨Cの外周面を通路幅方向両側で案内する一対の搬送ガイド22,23と、通路部21の下側に配置されて通路部21上を移動する硬貨Cを識別する硬貨識別部24とを有している。
【0017】
一対の搬送ガイド22,23は、互いに平行をなして対向し硬貨Cの外周面を案内するガイド面22a,23aを有している。ガイド面22a,23aはいずれも通路部21から垂直に立ち上がる平坦面となっている。これらガイド面22a,23aを結ぶ方向が搬送路20の通路幅方向となっている。
【0018】
一対の搬送ガイド22,23のうちの一方の搬送ガイド22は通路部21に対して位置固定であり、他方の搬送ガイド23は、通路部21の通路幅を変更するように通路部21に対して通路幅方向に移動可能となっている。他方の搬送ガイド23は、そのガイド面23aを、搬送ガイド22のガイド面22aと常に平行させた状態のまま、そのガイド面23aと直交する方向に移動する。一対の搬送ガイド22,23は、搬送ガイド23が適宜移動されて通路部21に対し固定されることにより、搬送路20を硬貨Cを上流側から下流側に向けて一列状に案内する通路幅とする。
【0019】
硬貨識別部24は、
図2に示すように、透明板31と透明板31を上面上に支持するケース32とを有している。
図1に示すように、これら透明板31およびケース32は、上面が水平に配置されて通路部21の一部を構成している。硬貨識別部24は、透明板31を透過した光を検出して硬貨Cを識別する。透明板31は、硬貨搬送方向においてガイド面22a,23aの範囲内に配置されている。透明板31はガラス板からなっている。
【0020】
図2に示すように、硬貨識別部24は、ケース32にその下部開口を覆うように取り付けられる基板35と、ケース32内に配置されてケース32に支持されるロッドレンズ36および導光板37とを有している。基板35には、ラインセンサ38が取り付けられている。ラインセンサ38は、多数の受光セル39を有しており、これらの受光セル39がラインセンサ38の延在方向に直列状に並んでいる。ラインセンサ38は、通路部21の下側で通路幅方向に延在するように配置されている。基板35には、ラインセンサ38よりも硬貨搬送方向の上流側に、下部光源である上流側LED41が通路幅方向に並んで複数設けられており、ラインセンサ38よりも硬貨搬送方向の下流側に、下部光源である下流側LED42が通路幅方向に並んで複数設けられている。複数のLED41は、いずれも、
図3に示すように発光の理論光軸A1(以下、光軸A1と称す)が鉛直上方に向くように基板35に取り付けられている。複数のLED42も同様に、いずれも、発光の理論光軸A2(以下、光軸A2と称す)が鉛直上方に向くように基板35に取り付けられている。
【0021】
導光板37は、透明のアクリル樹脂からなっており、硬貨搬送方向上流側にあって上流側LED41の光を導光する上流側導光部45を有している。この上流側導光部45は、上流側LED41の鉛直上方へ向けた光軸A1上の光を反射させて屈曲させる反射面45aを有しており、反射面45aで反射した光軸A1上の光を硬貨搬送方向上流側から斜め上向きに透明板31上の硬貨Cの下面に照射するように導光する。反射面45aは、硬貨搬送方向下流側ほど上側に位置するように傾斜する平坦面となっている。
【0022】
また、導光板37は、硬貨搬送方向下流側にあって下流側LED42の光を導光する下流側導光部46を有している。この下流側導光部46は、下流側LED42の鉛直上方へ向けた光軸A2上の光を反射させて屈曲させる反射面46aを有しており、反射面46aで反射した光軸A2上の光を硬貨搬送方向上流側から斜め上向きに透明板31上の硬貨Cの下面に照射するように導光する。反射面46aは、硬貨搬送方向上流側ほど上側に位置するように傾斜する平坦面となっている。
【0023】
これら上流側導光部45および下流側導光部46は、上流側LED41の光軸A1上の光と下流側LED42の光軸A2上の光とを、透明板31の上面上の硬貨搬送方向同位置に向け導光し、透明板31の上面に接して移動する硬貨Cの下面の硬貨搬送方向同位置に向け照射する。これら上流側LED41、下流側LED42および導光板37が、透明板31の上面に接して移動する硬貨Cの下面に光を照射する下部照明装置48を構成している。
【0024】
図2に示すように、ロッドレンズ36は通路幅方向に長い形状をなしており、ラインセンサ38の鉛直上方にラインセンサ38と平行に設けられている。ロッドレンズ36は、
図3に示す導光板37の上流側導光部45で導光された上流側LED41の光の硬貨Cの下面からの反射光および下流側導光部46で導光された下流側LED42の光の硬貨Cの下面からの反射光をラインセンサ38に導光する。硬貨識別部24は、下部照明装置48からの光の硬貨Cの下面からの反射光をロッドレンズ36でラインセンサ38に導光し、この光をラインセンサ38で検出して硬貨Cの下面の模様を検出する模様検出作動を行う。
図2に示すように上流側LED41、下流側LED42およびラインセンサ38が設けられた基板35と、ロッドレンズ36および導光板37が設けられたケース32と、透明板31とは、予め一体的に組み立てられてユニット化されている。
【0025】
図1に示すように、固定側の搬送ガイド22には、複数の台座61を介して上部照明装置62が一体的に固定されている。上部照明装置62は、複数の台座61を介して搬送ガイド22に固定される基板63と、
図4に示すように基板63の下面に取り付けられて発光する上部光源であるLED64と、基板63の下面に取り付けられてLED64の光を導光する導光部材65とを有している。LED64は、硬貨搬送方向の位置を透明板31と合せており、理論光軸A3(以下、光軸A3と称す)を通路幅方向に配して通路幅方向の通路部21側に向け発光するように配置されている。つまり、LED64は、光軸A3を硬貨搬送方向と直交する水平方向に配置している。
【0026】
導光部材65は、透明のアクリル樹脂からなるプリズムである。導光部材65は、通路幅方向に沿ってLED64から通路部21側に延出する導光部71を有している。この導光部71は、LED64の通路部21側へ向けた通路幅方向に沿う光軸A3上の光を反射させて屈曲させる反射面71aを有している。導光部71は、反射面71aで反射したLED64の光軸A3上の光を鉛直下方に向けて配置側の搬送ガイド22と通路部21上の硬貨Cとの間位置に、ガイド面22aの近傍を通過するように照射する。つまり、導光部材65は、LED64からの発光をその光軸A3上の光が鉛直下方に向くように導光することになり、上部照明装置62は、光軸A3上の光を鉛直下方に向けて配置側の搬送ガイド22と通路部21上の硬貨Cとの間位置に照射する。
【0027】
反射面71aは、導光部材65の通路幅方向の通路部21側の端部の上面であり、先端(搬送ガイド23側)に向かうにしたがって下側に位置するように傾斜する傾斜面となっている。反射面71aは、
図5にも示すように、導光部材65の内部側に向けて凹む湾曲面となっている。反射面71aは、硬貨搬送方向の略全長にわたって一定の形状をなしている。
【0028】
図1に示すように、可動側の搬送ガイド23は、固定側の搬送ガイド22よりも高さが高くなっており、この搬送ガイド23には、透明板31と硬貨搬送方向の位置を合わせて下方に凹む凹部81が形成されている。可動側の搬送ガイド23には、この凹部81の位置に上部照明装置82が一体的に固定されている。上部照明装置82は、搬送ガイド23に固定される基板83と、
図4に示すように基板83の下面に取り付けられて発光する上部光源であるLED84と、基板83の下面に取り付けられてLED84の光を導光する導光部材85とを有している。LED84は、硬貨搬送方向の位置および高さをLED64と合せており、理論光軸A4(以下、光軸A4と称す)を通路幅方向に配して通路幅方向の通路部21側に向け発光するように配置されている。つまり、LED84は、光軸A4を硬貨搬送方向と直交する水平方向に配置しており、より具体的には光軸A4を光軸A3と同一直線上に配置している。
【0029】
導光部材85は、透明のアクリル樹脂からなるプリズムである。導光部材85は、通路幅方向に沿ってLED84から通路部21側に延出する導光部91を有している。この導光部91は、硬貨搬送方向の位置および高さを導光部71と合せている。この導光部91は、LED84の通路部21側へ向けた通路幅方向に沿う光軸A4上の光を反射させて屈曲させる反射面91aを有している。導光部91は、反射面91aで反射したLED84の光軸A4上の光を鉛直下方に向けて配置側の搬送ガイド23と通路部21上の硬貨Cとの間位置に、ガイド面23aの近傍を通過するように照射する。つまり、導光部材85は、LED84からの発光をその光軸A4上の光が鉛直下方に向くように導光することになり、上部照明装置82は、光軸A4上の光を鉛直下方に向けて配置側の搬送ガイド23と通路部21上の硬貨Cとの間位置に照射する。
【0030】
反射面91aは、導光部材85の通路幅方向の通路部21側の端部の上面であり、先端(搬送ガイド22側)に向かうにしたがって下側に位置するように傾斜する傾斜面となっている。反射面91aは、導光部材85の内部側に向けて凹む湾曲面となっている。反射面91aは、硬貨搬送方向の略全長にわたって一定の形状をなしている。
【0031】
ここで、上部照明装置62,82は、LED64,84が共通部品であり、導光部材65,85も共通部品となっている。
【0032】
硬貨識別部24は、上部照明装置62,82の照射光の硬貨Cによる影の長さをラインセンサ38で検出する影長検出作動を行って硬貨Cの直径を検出する。
【0033】
以上に述べた硬貨処理装置10では、例えば、所定の金種の硬貨のプレス成形時には、この対象金種の完成硬貨の外径に合わせて可動側の搬送ガイド23の通路幅方向の位置が調整されて、ガイド面22a,23a間の距離が設定される。ガイド面22a,23a間の距離は、対象金種の完成硬貨の外径よりも所定量大径となっている。なお、プレス成形前のブランク貨の外径は、完成硬貨の外径よりも所定量(0.2mm程度)小径となっているため、完成硬貨とともにガイド面22a,23a間を通過可能となっている。
【0034】
プレス成形後の硬貨Cは、硬貨分離操出部で一枚ずつに分離されて搬送路20に向けて繰り出され、このように搬送路20に繰り出された硬貨Cが、図示略のフィードユニットで下流側に向けて一列状に搬送される。このように搬送される硬貨Cは、硬貨識別部24の透明板31上を移動する。その際に、硬貨Cは、上部照明装置62,82の照射光を遮ることになり、その結果、ロッドレンズ36を介してラインセンサ38が検出する照射光には、硬貨Cの外径に応じた影が生じることになる。ラインセンサ38がこの硬貨Cの外径に応じた影を検出する影長検出作動を行って硬貨Cの直径を検出する。
【0035】
ここで、硬貨Cは、搬送ガイド22,23の両方から離れて移動する場合と、搬送ガイド22のガイド面22aに接触して移動する場合と、搬送ガイド23のガイド面23aに接触して移動する場合とがある。硬貨Cが搬送ガイド22,23の両方から離れて移動する場合には、硬貨Cの通路幅方向両側に照射光をラインセンサ38に向け透光させる隙間が生じるため、ラインセンサ38は、影を検出する部分とその両側の照射光を検出する部分とが存在することになる。この場合、硬貨識別部24は、ラインセンサ38で検出した影の両端位置間の距離の最大値に基づいて硬貨Cの直径を検出する。
【0036】
他方、硬貨Cが搬送ガイド22のガイド面22aに接触して移動する場合には、硬貨Cの通路幅方向の搬送ガイド22側に、照射光をラインセンサ38に向け透光させる隙間が生じている状態から生じない状態への移行が発生することになる。この移行時に、ラインセンサ38には、影を検出する部分とそのガイド面23a側の照射光を検出する部分とが存在することになり、ガイド面22a側の照射光を検出する部分は存在しないことになる。この場合、硬貨識別部24は、ラインセンサ38で検出した影のガイド面23a側の端位置から、搬送ガイド22のガイド面22aまでの距離の最大値に基づいて硬貨Cの直径を検出する。
【0037】
同様に、硬貨Cが搬送ガイド23のガイド面23aに接触して移動する場合には、硬貨Cの通路幅方向の搬送ガイド23側に、照射光をラインセンサ38に向け透光させる隙間が生じている状態から生じない状態への移行が発生することになる。この移行時に、ラインセンサ38には、影を検出する部分とそのガイド面22a側の照射光を検出する部分とが存在することになり、ガイド面23a側の照射光を検出する部分は存在しないことになる。この場合、硬貨識別部24は、ラインセンサ38で検出した影のガイド面22a側の端位置から、搬送ガイド23のガイド面23aまでの距離の最大値に基づいて硬貨Cの直径を検出する。
【0038】
硬貨識別部24は、上記した影長検出作動と並行して模様検出作動を行うことになるが、その際に、影長検出作動により検出した影の長さに基づいて、下部照明装置48による光の硬貨Cの下面からの反射光をラインセンサ38により検出する模様検出作動の開始および終了を判断する。模様検出作動ではラインセンサ38により検出した反射光により硬貨Cの下面に模様があるか否かを検出する。
【0039】
つまり、硬貨識別部24は、ラインセンサ38が硬貨Cの下面の硬貨搬送方向の中間所定範囲の反射光を検出するタイミングでラインセンサ38による模様検出作動を行わせることになるが、この中間所定範囲の反射光を検出するタイミングを、影長検出作動により検出した影の長さに基づいて制御する。
【0040】
具体的に、影長検出作動により検出した影の長さが、無い状態から徐々に長くなり、所定長さになると、ラインセンサ38の通路幅方向の内側所定範囲の反射光の取り込みを開始させる。この所定長さは、硬貨Cが、その硬貨搬送方向の中間所定範囲の搬送方向下流側の端部位置の反射光がラインセンサ38により検出される位置に達したと判定できる長さである。その後、ラインセンサ38のこの内側所定範囲の反射光の取り込みを継続し、影長検出作動により検出した影の長さが、徐々に短くなり、所定長さになると、ラインセンサ38の通路幅方向の内側所定範囲の反射光の取り込みを終了させる。この所定長さは、硬貨Cが、その硬貨搬送方向の中間所定範囲の搬送方向上流側の端部位置の反射光がラインセンサ38により検出される位置に達したと判定できる長さである。ここで、ラインセンサ38による影長検出作動に影響を及ぼすことがないように、下部照明装置48は、硬貨Cの通路幅方向の内側所定範囲のみに光を照射する。
【0041】
そして、硬貨識別部24は、影長検出作動により検出した影の長さおよび模様検出作動により検出した模様の有無により、検出した硬貨Cが対象金種のブランク貨であるか、対象金種の完成硬貨であるか、対象金種以外のブランク貨であるか、対象金種以外の完成硬貨であるか、を判定する。
【0042】
つまり、影長検出作動により検出した影の長さから、検出した硬貨Cが対象金種のブランク貨であると判定でき、かつ模様検出作動によりこの硬貨Cの下面に模様を検出できなかった場合には、この硬貨Cが対象金種のブランク貨であると判定する。
【0043】
また、影長検出作動により検出した影の長さから、検出した硬貨Cが対象金種の完成硬貨であると判定でき、かつ模様検出作動によりこの硬貨Cの下面に模様を検出できた場合には、この硬貨Cが対象金種の完成硬貨あると判定する。
【0044】
また、影長検出作動により検出した影の長さから、検出した硬貨Cが対象金種のブランク貨であると判定できず、かつ模様検出作動によりこの硬貨Cの下面に模様を検出できなかった場合には、検出した硬貨Cが対象金種以外のブランク貨であると判定する。
【0045】
また、影長検出作動により検出した影の長さから、検出した硬貨Cが対象金種の完成硬貨であると判定できず、かつ模様検出作動によりこの硬貨Cの下面に模様を検出できた場合には、検出した硬貨Cが対象金種以外の完成硬貨であると判定する。
【0046】
硬貨識別部24は、対象金種の完成硬貨あると判定した硬貨C以外の硬貨Cを下流側の図示略のリジェクト部で通路部21から排除して、対象金種の完成硬貨あると判定した硬貨Cと分離する。
【0047】
以上に述べた本実施形態によれば、一対の搬送ガイド22,23のそれぞれに一体的に固定され、光軸A3,A4上の光を鉛直下方に向けて配置側の搬送ガイドと通路部21上の硬貨Cとの間位置に照射する上部照明装置62,82を有するため、一方の搬送ガイド23を通路幅方向に移動させて通路幅を可変としても、常に搬送ガイド22,23と通路部21上の硬貨Cとの間位置に向けて光を照射することができる。したがって、通路幅を可変とし上側から光を照射する場合であっても、硬貨Cに良好に光を照射することができる。しかも、搬送ガイド23に一体的に上部照明装置82を配置するため、搬送ガイド23を通路幅方向に移動させれば、上部照明装置82も自動的に通路幅方向に移動することになる。したがって、上部照明装置82を通路幅方向に移動させる専用の機構が不要となり、低コスト化、省スペース化が図れる。
【0048】
また、上部照明装置62,82は、LED64,84の光軸A3,A4上の光をガイド面22a,23aの近傍を通過するように鉛直下方に照射するため、乱反射を抑制でき、硬貨Cとガイド面22a,23aとの距離が狭くなっても光量を確保でき、ラインセンサ38で良好に影の端部を検出することができる。
【0049】
また、安価かつコンパクトなラインセンサ38で上部照明装置62,82の照射光の硬貨Cによる影の長さを検出する影長検出作動を行って硬貨Cの直径を検出するため、低コスト化、省スペース化を図りつつ、硬貨Cの直径を検出して硬貨Cを識別することができる。
【0050】
また、下部照明装置48が硬貨Cの下面に光を照射すると、上部照明装置62,82の光で硬貨Cの直径を検出するラインセンサ38が、下部照明装置48からの光の硬貨Cからの反射光を検出して硬貨Cの下面の模様を検出する模様検出作動を行うことになる。よって、上部照明装置62,82で硬貨Cの直径の検出に合せた光を照射し、下部照明装置48で硬貨Cの模様の検出に合せた光を照射し、それぞれの光を、共通のラインセンサ38で検出して硬貨Cの直径と硬貨Cの下面の模様とを検出することができる。したがって、低コスト化、省スペース化を図りつつ、検出項目に合った検出を行うことができる。
【0051】
また、ラインセンサ38が上部照明装置62,82の照射光の硬貨Cによる影の長さを検出する影長検出作動により検出した影の長さに基づいて、模様検出作動の開始および終了を判断するため、良好なタイミングで模様検出作動の開始および終了を判断することができる。模様検出作動の開始および終了を判断するための専用のタイミングセンサが不要となり、低コスト化、省スペース化が図れる。
【0052】
また、硬貨識別部24は、硬貨Cがブランク貨であるか否かを識別するため、精密な識別を行わなくても済むことになる。よって、ラインセンサ38による影長検出作動および模様検出作動でも十分に識別を行うことができる。
【0053】
また、上部照明装置62,82は、LED64,84と、LED64,84の光軸A3,A4上の光が鉛直下方に向くように導光する導光部材65,85とを有するため、LED64,84のレイアウトの自由度が高くなる。
【0054】
また、通路幅方向に光軸A3,A4を配するようにLED64,84を配置し、LED64,84からの通路部21側に向けた発光を、導光部材65,85が通路幅方向の通路部21側の端部の先端に向かうにしたがって下側に位置するように傾斜する反射面71a,91aで鉛直下方に導光することになるため、上部照明装置62,82の小型化、簡素化が図れる。
【0055】
また、反射面71a,91aが、導光部材65,85の内部側に向けて凹む湾曲面であるため、
図6に反射面71aを例示するように、光の照射範囲を通路幅方向に拡げることができる。ここで、
図7に反射面71aを例示するように、反射面71a,91aを、角度が異なる複数の平坦な面部100を、全体として導光部材65,85の内部側に向けて凹むように連設して形成しても良い。この場合も光の照射範囲を通路幅方向に拡げることができる。
【0056】
以上においては、搬送ガイド22,23のうちの一方の搬送ガイド23のみを通路幅方向に移動可能としたが、他方の搬送ガイド22のみを通路幅方向に移動可能としても良く、搬送ガイド22,23の両方を通路幅方向に移動可能としても良い。つまり、搬送ガイド22,23のうちの少なくともいずれか一方が通路幅方向に移動可能であれば良い。
【0057】
硬貨処理装置は、硬貨の下面を案内する通路部と、硬貨の外周面を通路幅方向両側で案内する一対の搬送ガイドと、前記通路部の下側で該通路部を透過した光を検出して硬貨を識別する硬貨識別部と、を有する硬貨処理装置であって、前記一対の搬送ガイドのうちの少なくともいずれか一方が通路幅方向に移動可能であり、前記一対の搬送ガイドのそれぞれに一体的に固定され、光軸上の光を鉛直下方に向けて配置側の前記搬送ガイドと前記通路部上の硬貨との間位置に照射する上部照明装置を有することを特徴とする。
【0058】
一対の搬送ガイドのそれぞれに一体的に固定され、光軸上の光を鉛直下方に向けて配置側の搬送ガイドと通路部上の硬貨との間位置に照射する上部照明装置を有するため、一対の搬送ガイドのうちの少なくともいずれか一方を通路幅方向に移動させて通路幅を可変としても、常に搬送ガイドと通路部上の硬貨との間位置に向けて光を照射することができる。したがって、通路幅を可変とし上側から光を照射する場合であっても、硬貨に良好に光を照射することができる。しかも、一対の搬送ガイドのそれぞれに一体的に上部照明装置を配置するため、搬送ガイドを通路幅方向に移動させれば、上部照明装置も自動的に通路幅方向に移動することになる。したがって、上部照明装置を通路幅方向に移動させる専用の機構が不要となり、低コスト化、省スペース化が図れる。
【0059】
前記硬貨識別部は、前記通路部の下側で通路幅方向に延在するラインセンサを有し、前記上部照明装置の照射光の硬貨による影の長さを前記ラインセンサで検出する影長検出作動を行って硬貨の直径を検出することを特徴とする。
【0060】
安価かつコンパクトなラインセンサで上部照明装置の照射光の硬貨による影の長さを検出する影長検出作動を行って硬貨の直径を検出するため、低コスト化、省スペース化を図りつつ、硬貨の直径を検出して硬貨を識別することができる。
【0061】
前記硬貨識別部は、硬貨の下面に光を照射する下部照明装置を有し、該下部照明装置からの光の硬貨からの反射光を前記ラインセンサで検出して硬貨下面の模様を検出する模様検出作動を行うことを特徴とする。
【0062】
下部照明装置が硬貨の下面に光を照射すると、上部照明装置の光で硬貨の直径を検出するラインセンサが、下部照明装置からの光の硬貨からの反射光を検出して硬貨下面の模様を検出する模様検出作動を行うことになる。よって、上部照明装置で硬貨の直径の検出に合せた光を照射し、下部照明装置で硬貨の模様の検出に合せた光を照射し、それぞれの光を、共通のラインセンサで検出して硬貨の直径と硬貨下面の模様とを検出することができる。したがって、低コスト化、省スペース化を図りつつ、検出項目に合った検出を行うことができる。
【0063】
前記硬貨識別部は、前記影長検出作動により検出した影の長さに基づいて、前記模様検出作動の開始および終了を判断することを特徴とする。
【0064】
ラインセンサが上部照明装置の照射光の硬貨による影の長さを検出する影長検出作動により検出した影の長さに基づいて、模様検出作動の開始および終了を判断するため、良好なタイミングで模様検出作動の開始および終了を判断することができる。よって、模様検出作動の開始および終了を判断するための専用のタイミングセンサが不要となり、低コスト化、省スペース化が図れる。
【0065】
前記硬貨識別部は、硬貨がブランク貨であるか否かを識別することを特徴とする。
【0066】
硬貨識別部は、硬貨がブランク貨であるか否かを識別するため、精密な識別を行わなくても済むことになる。よって、ラインセンサによる影長検出作動および模様検出作動でも十分に識別を行うことができる。
【0067】
前記上部照明装置は、光源と該光源の光軸上の光が鉛直下方に向くように導光する導光部材とを有することを特徴とする。
【0068】
上部照明装置は、光源と光源の光軸上の光が鉛直下方に向くように導光する導光部材とを有するため、光源のレイアウトの自由度が高くなる。
【0069】
前記光源が、通路幅方向に光軸を配して通路幅方向の前記通路部側に向け発光することになり、前記導光部材が、通路幅方向の前記通路部側の端部の上面が先端に向かうにしたがって下側に位置するように傾斜する傾斜面を有することを特徴とする。
【0070】
通路幅方向に光軸を配するように光源を配置し、この光源からの通路部側に向けた発光を、導光部材が、通路幅方向の通路部側の端部にあって先端に向かうにしたがって下側に位置するように傾斜する傾斜面で鉛直下方に導光することになるため、上部照明装置の小型化、簡素化が図れる。
【0071】
前記傾斜面は、前記導光部材の内部側に向けて凹む湾曲面であることを特徴とする。
【0072】
傾斜面が、導光部材の内部側に向けて凹む湾曲面であるため、光の照射範囲を通路幅方向に拡げることができる。
【0073】
前記傾斜面は、角度が異なる複数の面部が全体として前記導光部材の内部側に向けて凹むように連設されて構成されていることを特徴とする。
【0074】
傾斜面は、角度が異なる複数の面部が全体として導光部材の内部側に向けて凹むように連設されて構成されているため、光の照射範囲を通路幅方向に拡げることができる。