【実施例】
【0063】
<比較例1>
金属磁性粉末として、クロム4wt%、シリコン4wt%、カーボン0.5wt%、残部は鉄とする組成を備え、平均粒子径(D
50)が12μmの水アトマイズ粉末を用意した。ここで平均粒子径は、MicrotracSRA150(HORIBA製作所社製)を用いて測定した。また、バインダ樹脂として熱硬化性のエポキシ樹脂を用意した。
次に、バインダ樹脂を溶媒(トルエン)に加え十分に撹拌混合して樹脂溶液とした後、この樹脂溶液に金属磁性粉末を加え、混合しながらトルエンを蒸発し、混合物を混練造粒し、ふるいを通して整粒し造粒粉末とした。ここでトルエンに加えるバインダ樹脂の量は、バインダ樹脂の重量/(バインダ樹脂の重量+金属磁性粉末の重量)×100の計算値が4wt%となる量とした。
次に、この造粒粉末を金型を用いて2ton/cm
2の圧力で成形し、外径10mm−厚さ1mmのディスク状の成形体を作製した。
次に、この成形体を恒温槽で150℃−30分間、熱硬化処理を行い、サンプルとした。
【0064】
<実施例1−1〜1−8、比較例1−1〜1−2>
金属磁性粉末として、クロム4wt%、シリコン4wt%、カーボン0.5wt%、残部は鉄とする組成を備え、平均粒子径(D
50)が12μmの水アトマイズ粉末を用意した。ここで平均粒子径は、MicrotracSRA150(HORIBA製作所社製)を用いて測定した。また、バインダ樹脂として熱硬化性のエポキシ樹脂を用意した。さらに、有機金属石鹸としてマグネシウムステアレート(融点:140℃)を用意した。
次に、バインダ樹脂および有機金属石鹸をトルエンに加え十分に撹拌混合して樹脂溶液とした後、この樹脂溶液に金属磁性粉末を加え、混合しながらトルエンを蒸発し、混合物を混練造粒し、ふるいを通して整粒し造粒粉末とした。ここでトルエンに加えるバインダ樹脂の量は、バインダ樹脂の重量/(バインダ樹脂の重量+金属磁性粉末の重量)×100の計算値が4wt%となる量とした。また、トルエンに加える有機金属石鹸の量は、有機金属石鹸の重量/(有機金属石鹸の重量+金属磁性粉末の重量+バインダ樹脂の重量)×100の計算値が0.01wt%、0.02wt%、0.05wt%、0.10wt%、0.20wt%、0.50wt%、1.00wt%、1.50wt%、1.80wt%、2.00wt%の各々となる量とした。
次に、この造粒粉末を金型を用いて2ton/cm
2の圧力で成形し、外径10mm−厚さ1mmのディスク状の成形体を作製した。
次に、この成形体を恒温槽で150℃−30分間、熱硬化処理を行い、サンプルとした。
【0065】
<実施例2>
金属磁性粉末として、クロム4wt%、シリコン4wt%、カーボン0.5wt%、残部は鉄とする組成を備え、平均粒子径(D
50)が12μmの水アトマイズ粉末を用意した。ここで平均粒子径は、MicrotracSRA150(HORIBA製作所社製)を用いて測定した。また、バインダ樹脂として熱硬化性のエポキシ樹脂を用意した。さらに、有機金属石鹸としてマグネシウムステアレート(融点:140℃)を用意した。
次に、金属磁性粉末に有機金属石鹸を添加しV型混合機で30min混合した。ここで金属磁性粉末に加える有機金属石鹸の量は、有機金属石鹸の重量/(有機金属石鹸の重量+金属磁性粉末の重量+バインダ樹脂の重量)×100の計算値が0.50wt%となる量とした。
次に、金属磁性粉末に有機金属石鹸を添加し混合したものに、バインダ樹脂および少量のトルエンを加え、十分に撹拌混合して混合混錬し造粒し、ふるいを通して整粒し造粒粉末とした。ここでバインダ樹脂の量は、バインダ樹脂の重量/(バインダ樹脂の重量+金属磁性粉末の重量)×100の計算値が4wt%となる量とした。
次に、この造粒粉末を金型を用いて2ton/cm
2の圧力で成形し、外径10mm−厚さ1mmのディスク状の成形体を作製した。
次に、この成形体を恒温槽で150℃−30分間、熱硬化処理を行い、サンプルとした。
【0066】
<実施例3>
金属磁性粉末として、クロム4wt%、シリコン4wt%、カーボン0.5wt%、残部は鉄とする組成を備え、平均粒子径(D
50)が12μmの水アトマイズ粉末を用意した。ここで平均粒子径は、MicrotracSRA150(HORIBA製作所社製)を用いて測定した。また、バインダ樹脂として熱硬化性のエポキシ樹脂を用意した。さらに、有機金属石鹸としてマグネシウムステアレート(融点:140℃)を用意した。
次に、金属磁性粉末にバインダ樹脂および少量のトルエンを加え、十分に撹拌混合して混合混錬し造粒し、ふるいを通して整粒し造粒粉末とした。ここでバインダ樹脂の量は、バインダ樹脂の重量/(バインダ樹脂の重量+金属磁性粉末の重量)×100の計算値が4wt%となる量とした。
次に、この造粒粉末に有機金属石鹸を添加しV型混合機で30min混合した。ここで造粒粉末に加える有機金属石鹸の量は、有機金属石鹸の重量/(有機金属石鹸の重量+金属磁性粉末の重量+バインダ樹脂の重量)×100の計算値が0.50wt%となる量とした。
次に、この造粒粉末を金型を用いて2ton/cm
2の圧力で成形し、外径10mm−厚さ1mmのディスク状の成形体を作製した。
次に、この成形体を恒温槽で150℃−30分間、熱硬化処理を行い、サンプルとした。
【0067】
<比較例4−1、実施例4−1>
金属磁性粉末として、クロム4wt%、シリコン4wt%、カーボン0.5wt%、残部は鉄とする組成を備え、平均粒子径(D
50)が12μmの水アトマイズ粉末を用意した。ここで平均粒子径は、MicrotracSRA150(HORIBA製作所社製)を用いて測定した。また、バインダ樹脂として熱硬化性のエポキシ樹脂を用意した。さらに、有機金属石鹸としてカルシウムステアレート(融点:160℃)を用意した。
次に、バインダ樹脂および有機金属石鹸をトルエンに加え十分に撹拌混合して樹脂溶液とした後、この樹脂溶液に金属磁性粉末を加え、混合しながらトルエンを蒸発し、混合物を混練造粒し、ふるいを通して整粒し造粒粉末とした。ここでトルエンに加えるバインダ樹脂の量は、バインダ樹脂の重量/(バインダ樹脂の重量+金属磁性粉末の重量)×100の計算値が4wt%となる量とした。また、トルエンに加える有機金属石鹸の量は、有機金属石鹸の重量/(有機金属石鹸の重量+金属磁性粉末の重量+バインダ樹脂の重量)×100の計算値が0.50wt%となる量とした。
次に、この造粒粉末を金型を用いて2ton/cm
2の圧力で成形し、外径10mm−厚さ1mmのディスク状の成形体を作製した。
次に、この成形体を恒温槽で150℃−30分間、熱硬化処理を行い、サンプルとした(比較例4−1)。また、これとは別に、この成形体を恒温槽で180℃−30分間、熱硬化処理を行い、サンプルとした(実施例4−1)。
【0068】
<比較例5−1、実施例5−1>
金属磁性粉末として、クロム4wt%、シリコン4wt%、カーボン0.5wt%、残部は鉄とする組成を備え、平均粒子径(D
50)が12μmの水アトマイズ粉末を用意した。ここで平均粒子径は、MicrotracSRA150(HORIBA製作所社製)を用いて測定した。また、バインダ樹脂として熱硬化性のエポキシ樹脂を用意した。さらに、有機金属石鹸としてカルシウムラウレート(融点:155℃)を用意した。
次に、バインダ樹脂および有機金属石鹸をトルエンに加え十分に撹拌混合して樹脂溶液とした後、この樹脂溶液に金属磁性粉末を加え、混合しながらトルエンを蒸発し、混合物を混練造粒し、ふるいを通して整粒し造粒粉末とした。ここでトルエンに加えるバインダ樹脂の量は、バインダ樹脂の重量/(バインダ樹脂の重量+金属磁性粉末の重量)×100の計算値が4wt%となる量とした。また、トルエンに加える有機金属石鹸の量は、有機金属石鹸の重量×(有機金属石鹸の重量+金属磁性粉末の重量+バインダ樹脂の重量)×100の計算値が0.50wt%となる量とした。
次に、この造粒粉末を金型を用いて2ton/cm
2の圧力で成形し、外径10mm−厚さ1mmのディスク状の成形体を作製した。
次に、この成形体を恒温槽で150℃−30分間、熱硬化処理を行い、サンプルとした(比較例5−1)。また、これとは別に、この成形体を恒温槽で180℃−30分間、熱硬化処理を行い、サンプルとした(実施例5−1)。
【0069】
<比較例6−1、実施例6−1>
金属磁性粉末として、クロム4wt%、シリコン4wt%、カーボン0.5wt%、残部は鉄とする組成を備え、平均粒子径(D
50)が12μmの水アトマイズ粉末を用意した。ここで平均粒子径は、MicrotracSRA150(HORIBA製作所社製)を用いて測定した。また、バインダ樹脂として熱硬化性のエポキシ樹脂を用意した。さらに、有機金属石鹸としてアルミニウムステアレート(融点:165℃)を用意した。
次に、バインダ樹脂および有機金属石鹸をトルエンに加え十分に撹拌混合して樹脂溶液とした後、この樹脂溶液に金属磁性粉末を加え、混合しながらトルエンを蒸発し、混合物を混練造粒し、ふるいを通して整粒し造粒粉末とした。ここでトルエンに加えるバインダ樹脂の量は、バインダ樹脂の重量/(バインダ樹脂の重量+金属磁性粉末の重量)×100の計算値が4wt%となる量とした。また、トルエンに加える有機金属石鹸の量は、有機金属石鹸の重量/(有機金属石鹸の重量+金属磁性粉末の重量+バインダ樹脂の重量)×100の計算値が0.50wt%となる量とした。
次に、この造粒粉末を金型を用いて2ton/cm
2の圧力で成形し、外径10mm−厚さ1mmのディスク状の成形体を作製した。
次に、この成形体を恒温槽で150℃−30分間、熱硬化処理を行い、サンプルとした(比較例6−1)。また、これとは別に、この成形体を恒温槽で180℃−30分間、熱硬化処理を行い、サンプルとした(実施例6−1)。
【0070】
<実施例7>
金属磁性粉末として、クロム4wt%、シリコン4wt%、カーボン0.5wt%、残部は鉄とする組成を備え、平均粒子径(D
50)が12μmの水アトマイズ粉末を用意した。ここで平均粒子径は、MicrotracSRA150(HORIBA製作所社製)を用いて測定した。また、バインダ樹脂として熱硬化性のエポキシ樹脂を用意した。さらに、有機金属石鹸として12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム(融点:145℃)を用意した。
次に、バインダ樹脂および有機金属石鹸をトルエンに加え十分に撹拌混合して樹脂溶液とした後、この樹脂溶液に金属磁性粉末を加え、混合しながらトルエンを蒸発し、混合物を混練造粒し、ふるいを通して整粒し造粒粉末とした。ここでトルエンに加えるバインダ樹脂の量は、バインダ樹脂の重量/(バインダ樹脂の重量+金属磁性粉末の重量)×100の計算値が4wt%となる量とした。また、トルエンに加える有機金属石鹸の量は、有機金属石鹸の重量/(有機金属石鹸の重量+金属磁性粉末の重量+バインダ樹脂の重量)×100の計算値が0.50wt%となる量とした。
次に、この造粒粉末を金型を用いて2ton/cm
2の圧力で成形し、外径10mm−厚さ1mmのディスク状の成形体を作製した。
次に、この成形体を恒温槽で150℃−30分間、熱硬化処理を行い、サンプルとした。
【0071】
<実施例8>
金属磁性粉末として、クロム4wt%、シリコン4wt%、カーボン0.5wt%、残部は鉄とする組成を備え、平均粒子径(D
50)が12μmの水アトマイズ粉末を用意した。ここで平均粒子径は、MicrotracSRA150(HORIBA製作所社製)を用いて測定した。また、バインダ樹脂として熱硬化性のエポキシ樹脂を用意した。さらに、有機金属石鹸としてジンクステアレート(融点:120℃)を用意した。
次に、バインダ樹脂および有機金属石鹸をトルエンに加え十分に撹拌混合して樹脂溶液とした後、この樹脂溶液に金属磁性粉末を加え、混合しながらトルエンを蒸発し、混合物を混練造粒し、ふるいを通して整粒し造粒粉末とした。ここでトルエンに加えるバインダ樹脂の量は、バインダ樹脂の重量/(バインダ樹脂の重量+金属磁性粉末の重量)×100の計算値が4wt%となる量とした。また、トルエンに加える有機金属石鹸の量は、有機金属石鹸の重量/(有機金属石鹸の重量+金属磁性粉末の重量+バインダ樹脂の重量)×100の計算値が0.50wt%となる量とした。
次に、この造粒粉末を金型を用いて2ton/cm
2の圧力で成形し、外径10mm−厚さ1mmのディスク状の成形体を作製した。
次に、この成形体を恒温槽で150℃−30分間、熱硬化処理を行い、サンプルとした。
【0072】
<実施例9>
金属磁性粉末として、クロム4wt%、シリコン4wt%、カーボン0.5wt%、残部は鉄とする組成を備え、平均粒子径(D
50)が12μmの水アトマイズ粉末を用意した。ここで平均粒子径は、MicrotracSRA150(HORIBA製作所社製)を用いて測定した。また、バインダ樹脂として熱硬化性のエポキシ樹脂を用意した。さらに、有機金属石鹸としてカルシウムベヘネート(ベヘン酸Ca、融点:145℃)を用意した。
次に、バインダ樹脂および有機金属石鹸をトルエンに加え十分に撹拌混合して樹脂溶液とした後、この樹脂溶液に金属磁性粉末を加え、混合しながらトルエンを蒸発し、混合物を混練造粒し、ふるいを通して整粒し造粒粉末とした。ここでトルエンに加えるバインダ樹脂の量は、バインダ樹脂の重量/(バインダ樹脂の重量+金属磁性粉末の重量)×100の計算値が4wt%となる量とした。また、トルエンに加える有機金属石鹸の量は、有機金属石鹸の重量/(有機金属石鹸の重量+金属磁性粉末の重量+バインダ樹脂の重量)×100の計算値が0.50wt%となる量とした。
次に、この造粒粉末を金型を用いて2ton/cm
2の圧力で成形し、外径10mm−厚さ1mmのディスク状の成形体を作製した。
次に、この成形体を恒温槽で150℃−30分間、熱硬化処理を行い、サンプルとした。
【0073】
<実施例10>
金属磁性粉末として、クロム4wt%、シリコン4wt%、カーボン0.5wt%、残部は鉄とする組成を備え、平均粒子径(D
50)が12μmの水アトマイズ粉末を用意した。ここで平均粒子径は、MicrotracSRA150(HORIBA製作所社製)を用いて測定した。また、バインダ樹脂として熱硬化性のエポキシ樹脂を用意した。さらに、有機金属石鹸としてカルシウムオクチコサネート(モンタン酸Ca、融点:135℃)を用意した。
次に、バインダ樹脂および有機金属石鹸をトルエンに加え十分に撹拌混合して樹脂溶液とした後、この樹脂溶液に金属磁性粉末を加え、混合しながらトルエンを蒸発し、混合物を混練造粒し、ふるいを通して整粒し造粒粉末とした。ここでトルエンに加えるバインダ樹脂の量は、バインダ樹脂の重量/(バインダ樹脂の重量+金属磁性粉末の重量)×100の計算値が4wt%となる量とした。また、トルエンに加える有機金属石鹸の量は、有機金属石鹸の重量/(有機金属石鹸の重量+金属磁性粉末の重量+バインダ樹脂の重量)×100の計算値が0.50wt%となる量とした。
次に、この造粒粉末を金型を用いて2ton/cm
2の圧力で成形し、外径10mm−厚さ1mmのディスク状の成形体を作製した。
次に、この成形体を恒温槽で150℃−30分間、熱硬化処理を行い、サンプルとした。
【0074】
<比較例2>
金属磁性粉末として、クロム4wt%、シリコン4wt%、カーボン0.5wt%、残部は鉄とする組成を備え、平均粒子径(D
50)が12μmの水アトマイズ粉末を用意した。ここで平均粒子径は、MicrotracSRA150(HORIBA製作所社製)を用いて測定した。また、バインダ樹脂として熱硬化性のエポキシ樹脂を用意した。さらに、有機金属石鹸としてバリウムステアレート(融点:220℃)を用意した。
次に、バインダ樹脂および有機金属石鹸をトルエンに加え十分に撹拌混合して樹脂溶液とした後、この樹脂溶液に金属磁性粉末を加え、混合しながらトルエンを蒸発し、混合物を混練造粒し、ふるいを通して整粒し造粒粉末とした。ここでトルエンに加えるバインダ樹脂の量は、バインダ樹脂の重量/(バインダ樹脂の重量+金属磁性粉末の重量)×100の計算値が4wt%となる量とした。また、トルエンに加える有機金属石鹸の量は、有機金属石鹸の重量/(有機金属石鹸の重量+金属磁性粉末の重量+バインダ樹脂の重量)×100の計算値が0.50wt%となる量とした。
次に、この造粒粉末を金型を用いて2ton/cm
2の圧力で成形し、外径10mm−厚さ1mmのディスク状の成形体を作製した。
次に、この成形体を恒温槽で150℃−30分間、熱硬化処理を行い、サンプルとした。
【0075】
<比較例3>
金属磁性粉末として、クロム4wt%、シリコン4wt%、カーボン0.5wt%、残部は鉄とする組成を備え、平均粒子径(D
50)が12μmの水アトマイズ粉末を用意した。ここで平均粒子径は、MicrotracSRA150(HORIBA製作所社製)を用いて測定した。また、バインダ樹脂として熱硬化性のシリコン樹脂を用意した。
次に、バインダ樹脂をトルエンに加え十分に撹拌混合して樹脂溶液とした後、この樹脂溶液に金属磁性粉末を加え、混合しながらトルエンを蒸発し、混合物を混練造粒し、ふるいを通して整粒し造粒粉末とした。ここでトルエンに加えるバインダ樹脂の量は、バインダ樹脂の重量/(バインダ樹脂の重量+金属磁性粉末の重量)×100の計算値が4wt%となる量とした。
次に、この造粒粉末を金型を用いて3ton/cm
2の圧力で成形し、外径10mm−厚さ1mmのディスク状の成形体を作製した。
次に、この成形体を恒温槽で200℃−30分間、熱硬化処理を行い、サンプルとした。
【0076】
<実施例11−1〜11−8、比較例11−1〜11−2>
金属磁性粉末として、クロム4wt%、シリコン4wt%、カーボン0.5wt%、残部は鉄とする組成を備え、平均粒子径(D
50)が12μmの水アトマイズ粉末を用意した。ここで平均粒子径は、MicrotracSRA150(HORIBA製作所社製)を用いて測定した。また、バインダ樹脂として熱硬化性のシリコン樹脂を用意した。さらに、有機金属石鹸としてアルミニウムステアレート(融点:165℃)を用意した。
次に、バインダ樹脂および有機金属石鹸をトルエンに加え十分に撹拌混合して樹脂溶液とした後、この樹脂溶液に金属磁性粉末を加え、混合しながらトルエンを蒸発し、混合物を混練造粒し、ふるいを通して整粒し造粒粉末とした。ここでトルエンに加えるバインダ樹脂の量は、バインダ樹脂の重量/(バインダ樹脂の重量+金属磁性粉末の重量)×100の計算値が4wt%となる量とした。また、トルエンに加える有機金属石鹸の量は、有機金属石鹸の重量/(有機金属石鹸の重量+金属磁性粉末の重量+バインダ樹脂の重量)×100の計算値が0.01wt%、0.02wt%、0.05wt%、0.10wt%、0.20wt%、0.50wt%、1.00wt%、1.50wt%、1.80wt%、2.00wt%の各々となる量とした。
次に、この造粒粉末を金型を用いて3ton/cm
2の圧力で成形し、外径10mm−厚さ1mmのディスク状の成形体を作製した。
次に、この成形体を恒温槽で200℃−30分間、熱硬化処理を行い、サンプルとした。
【0077】
<比較例4>
金属磁性粉末として、クロム4wt%、シリコン4wt%、カーボン0.5wt%、残部は鉄とする組成を備え、平均粒子径(D
50)が12μmの水アトマイズ粉末を用意した。ここで平均粒子径は、MicrotracSRA150(HORIBA製作所社製)を用いて測定した。また、バインダ樹脂として熱硬化性のシリコン樹脂を用意した。さらに、有機金属石鹸としてバリウムステアレート(融点:220℃)を用意した。
次に、バインダ樹脂および有機金属石鹸をトルエンに加え十分に撹拌混合して樹脂溶液とした後、この樹脂溶液に金属磁性粉末を加え、混合しながらトルエンを蒸発し、混合物を混練造粒し、ふるいを通して整粒し造粒粉末とした。ここでトルエンに加えるバインダ樹脂の量は、バインダ樹脂の重量/(バインダ樹脂の重量+金属磁性粉末の重量)×100の計算値が4wt%となる量とした。また、トルエンに加える有機金属石鹸の量は、有機金属石鹸の重量/(有機金属石鹸の重量+金属磁性粉末の重量+バインダ樹脂の重量)×100の計算値が0.50wt%となる量とした。
次に、この造粒粉末を金型を用いて3ton/cm
2の圧力で成形し、外径10mm−厚さ1mmのディスク状の成形体を作製した。
次に、この成形体を恒温槽で200℃−30分間、熱硬化処理を行い、サンプルとした。
【0078】
<実施例12>
金属磁性粉末として、クロム4wt%、シリコン4wt%、カーボン0.5wt%、残部は鉄とする組成を備え、平均粒子径(D
50)が12μmの水アトマイズ粉末を用意した。ここで平均粒子径は、MicrotracSRA150(HORIBA製作所社製)を用いて測定した。また、バインダ樹脂として常温で流動性を備える熱硬化性のエポキシ樹脂を用意した。さらに、有機金属石鹸としてカルシウムステアレート(融点:160℃)を用意した。
次に、金属磁性粉末に有機金属石鹸を添加しV型混合機で30min混合した。ここで金属磁性粉末に加える有機金属石鹸の量は、有機金属石鹸の重量/(有機金属石鹸の重量+金属磁性粉末の重量)×100の計算値が0.50wt%となる量とした。
次に、金属磁性粉末に有機金属石鹸を添加し混合したものにバインダ樹脂を加え、十分に混錬し、粘土状の複合磁性材料を作成した。ここでバインダ樹脂の量は、バインダ樹脂の重量/(バインダ樹脂の重量+金属磁性粉末の重量+バインダ樹脂の重量)×100の計算値が7wt%となる量とした。
次に、この粘土状の複合磁性材料を金型に注型し、外径10mm−厚さ1mmのディスク状の成形体を作製した。
次に、この成形体を恒温槽で180℃−30分間、熱硬化処理を行い、サンプルとした。
【0079】
<実施例13>
金属磁性粉末として、クロム4wt%、シリコン4wt%、カーボン0.5wt%、残部は鉄とする組成を備え、平均粒子径(D
50)が12μmの水アトマイズ粉末を用意した。ここで平均粒子径は、MicrotracSRA150(HORIBA製作所社製)を用いて測定した。また、バインダ樹脂として熱硬化性のエポキシ樹脂を用意した。さらに、有機金属石鹸としてアルミニウムステアレート(融点:165℃)を用意した。
次に、バインダ樹脂および有機金属石鹸をDEP(フタル酸ジエチル)に加え十分に撹拌混合して樹脂溶液とした後、この樹脂溶液に金属磁性粉末を加え、十分に混錬し、粘土状の複合磁性材料を作製した。ここでバインダ樹脂の量は、バインダ樹脂の重量/(バインダ樹脂の重量+金属磁性粉末の重量)×100の計算値が4wt%となる量とした。また、有機金属石鹸の量は、有機金属石鹸の重量/(有機金属石鹸の重量+金属磁性粉末の重量+バインダ樹脂の重量)×100の計算値が0.50wt%となる量とした。さらに、DEPの量は、DEPの重量/(DEPの重量+金属磁性粉末の重量+バインダ樹脂の重量)×100の計算値が2.0wt%となる量とした。
次に、この粘土状の複合磁性材料を金型に注型し、外径10mm−厚さ1mmのディスク状の成形体を作製した。
次に、この成形体を恒温槽で180℃−30分間、熱硬化処理を行い、サンプルとした。
【0080】
<実施例14>
金属磁性粉末として、クロム4wt%、シリコン4wt%、カーボン0.5wt%、残部は鉄とする組成を備え、平均粒子径(D
50)が12μmの水アトマイズ粉末を用意した。ここで平均粒子径は、MicrotracSRA150(HORIBA製作所社製)を用いて測定した。また、バインダ樹脂として熱硬化性のエポキシ樹脂を用意した。さらに、有機金属石鹸としてアルミニウムステアレート(融点:165℃)を用意した。
次に、バインダ樹脂および有機金属石鹸をトルエンに加え十分に撹拌混合して樹脂溶液とした後、この樹脂溶液に金属磁性粉末を加え、十分に混錬し、スラリー状の複合磁性材料を作製した。ここでバインダ樹脂の量は、バインダ樹脂の重量/(バインダ樹脂の重量+金属磁性粉末の重量)×100の計算値が4wt%となる量とした。また、有機金属石鹸の量は、有機金属石鹸の重量/(有機金属石鹸の重量+金属磁性粉末の重量+バインダ樹脂の重量)×100の計算値が0.50wt%となる量とした。さらに、トルエンの量は、トルエンの重量/(トルエンの重量+金属磁性粉末の重量+バインダ樹脂の重量)×100の計算値が5.0wt%となる量とした。
次に、このスラリー状の複合磁性材料を金型に流し込んで注型し、50℃に加熱してトルエンを乾燥し、金型から取り出して、外径10mm−厚さ1mmのディスク状の成形体を作製した。
次に、この成形体を恒温槽で180℃−30分間、熱硬化処理を行い、サンプルとした。
【0081】
<塩水噴霧試験>
上記の実施例および比較例の各々において作製したディスク状のサンプルを、塩水噴霧試験(JIS−Z2371、35℃−24Hr)に供し、錆の発生を観察した。そして、錆面積を求めた。
結果を第1表に示す。なお、第1表では、錆の発生がサンプル面積の2%未満の場合を◎、2%以上5%未満の場合を○、5%以上の場合を×とし、◎と○を効果有り(良好)、×を不良と判断した。
【0082】
<複合材料の強度測定>
上記実施例および比較例で作製した造粒粉末状の複合磁性材料(実施例1〜実施例11および比較例)、粘土状の複合磁性材料(実施例12、13)またはスラリー状の複合磁性材料(実施例14)について、次に記す方法によって、コイルと共に成型した後、上記の実施例および比較例の各々において行った場合と同様の条件(温度および時間等)にて熱硬化処理を行うことで、電子部品としての製品形状に加工した。そして得られた製品形状のサンプルについて強度測定を行った。以下に具体的に説明する。
【0083】
初めに、
図1に示す要領で、0.3mm径の被覆導線を用いて内径3.6mm、高さ3.6mm、14.5ターンのコイルを作製し、このコイルを、部品の外部電極となるSnメッキされた銅フレーム(フープ)に固定し、半製品とした。そして、この半製品のコイル部分とフープの電極部分とを金型の内部にセットした。
そして、実施例1〜実施例11および比較例の場合は、この金型内へ必要量の造粒粉末状の複合磁性材料を入れた後、コイルと共に造粒粉末状の複合磁性材料を2ton/cm
2または3ton/cm
2の圧力で加圧成型した。また、実施例12、13の場合は、この金型内へ必要量の粘土状の複合磁性材料を注型した後、コイルと共に粘土状の複合磁性材料を1kg/cm
2の圧力で加圧成型した。さらに、実施例14の場合は、この金型内へスラリー状の複合磁性材料を流し込んで注型し、その後、トルエンを乾燥させた。
次に、実施例1〜14および比較例の各々について、実施例および比較例の各々において行った場合と同様の条件(温度および時間等)にて熱硬化処理を行った。その後、電極となる部分を残して余分なフープを切断除去し、成形体から伸びる電極を曲げ加工して外部電極を形成した。そして、このフープの曲げ加工時に成形体がフープを支えきれずに、かけたり割れたりするか否かを確認することで強度測定を行った。
結果を第1表に示す。なお、第1表では、フープの曲げ加工ができた場合を◎、フープの曲げ加工はできたが、成形体に小さなクラックが発生した場合を○、成形体が大きく欠けたり割れたりして正常にフープの曲げ加工ができなかったものを強度不足と判断して×と表した。
【0084】
【表1】
【0085】
第1表に示すように、比較例1は有機金属石鹸を含まないため、防錆(塩水噴霧試験の結果、錆発生)が×となった。
比較例1−1は有機金属石鹸の添加量が少ないため、防錆が×となった。
比較例1−10は有機金属石鹸の添加量が多く、複合材料の強度不足のため、×となった。
比較例4−1では、添加した有機金属石鹸の融点(160℃)が熱硬化温度(150℃)以上だったため、熱硬化時に有機金属石鹸が融解せず、金属粉末のバインダ樹脂でコーティングされていない部分をコーティングすることができなかった。そのために防錆が×となった。
比較例5−1では、添加した有機金属石鹸の融点(155℃)が熱硬化温度(150℃)以上だったため、熱硬化時に有機金属石鹸が融解せず、金属粉末のバインダ樹脂でコーティングされていない部分をコーティングすることができなかった。そのために防錆が×となった。
比較例6−1では、添加した有機金属石鹸の融点(165℃)が熱硬化温度(150℃)以上だったため、熱硬化時に有機金属石鹸が融解せず、金属粉末のバインダ樹脂でコーティングされていない部分をコーティングすることができなかった。そのために防錆が×となった。
比較例2では、添加した有機金属石鹸の融点(220℃)がエポキシ樹脂の熱硬化温度(180℃)以上であったため、熱硬化時に有機金属石鹸が融解せず、金属粉末のバインダ樹脂でコーティングされていない部分をコーティングすることができなかった。そのために防錆が×となった。
比較例3は比較例1と同様に有機金属石鹸を含まないため、防錆(塩水噴霧試験の結果、錆発生)が×となった。
比較例4では比較例2と同様に、添加した有機金属石鹸の融点(220℃)がシリコン樹脂の熱硬化温度(200℃)以上であったため、熱硬化時に有機金属石鹸が融解せず、金属粉末のバインダ樹脂でコーティングされていない部分をコーティングすることができなかった。そのために防錆が×となった。