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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-42504(P2018-42504A)
(43)【公開日】2018年3月22日
(54)【発明の名称】緑葉の加工物
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/00 20160101AFI20180223BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20180223BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20180223BHJP
   A61P 1/12 20060101ALI20180223BHJP
   A61K 36/8998 20060101ALI20180223BHJP
   A23L 33/10 20160101ALN20180223BHJP
【FI】
   A23L19/00 Z
   A61P3/04
   A61P3/10
   A61P1/12
   A61K36/8998
   A23L33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-179986(P2016-179986)
(22)【出願日】2016年9月14日
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】友澤 寛
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敬
(72)【発明者】
【氏名】森川 琢海
(72)【発明者】
【氏名】北村 整一
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
【テーマコード(参考)】
4B016
4B018
4C088
【Fターム(参考)】
4B016LC08
4B016LE02
4B016LG16
4B016LP13
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018MD49
4B018MD61
4B018ME01
4B018ME04
4B018ME11
4C088AB73
4C088AC05
4C088BA07
4C088CA11
4C088NA14
4C088ZA70
4C088ZA73
4C088ZC35
(57)【要約】
【課題】
本発明の課題は、緑葉の加工物であって、優れた血糖値上昇抑制作用、整腸作用、ダイエット作用を有する加工物を提供することにある。
【解決手段】
本発明によれば、12質量%水溶液の3mmザーンカップ測定における流出時間が13秒以上かつ、10質量%水溶液の6mmザーンカップ測定における流出時間が7秒以下の緑葉の加工物は優れた血糖値上昇抑制効果、整腸効果及びダイエット効果を示し、消費者の健康増進に利用できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑葉の加工物であって、前記加工物の12質量%水溶液の3mmザーンカップ測定における流出時間が13秒以上かつ、10質量%水溶液の6mmザーンカップ測定における流出時間が7秒以下であることを特徴とする、緑葉の加工物。
【請求項2】
緑葉の加工物であって、前記加工物の内部摩擦角が29°以上であることを特徴とする、緑葉の加工物。
【請求項3】
緑葉の加工物であって、前記加工物の単軸崩壊応力が27.5kPa以下であることを特徴とする、緑葉の加工物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑葉の加工物に関する。
【背景技術】
【0002】
緑色植物の緑葉は、様々な栄養成分を含むことが知られており、健康食品の素材として利用されている。緑葉は、粉末化を経由して、粉末状、顆粒状又は錠剤状などの固状形態、あるいは液状形態で提供される。特に、大麦の茎及び/又は葉(以下「茎葉」ともいう)を含む飲食用組成物は、大麦の茎葉のビタミン類、ミネラル類、食物繊維、アミノ酸、葉緑素、SOD酵素等を容易に摂取可能であり、例えば青汁等の健康食品の素材として利用されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−155437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、優れた血糖値上昇抑制作用、整腸作用、ダイエット作用を有する緑葉の加工物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題について鋭意研究したところ、驚くべきことに、12質量%水溶液の3mmザーンカップ測定における流出時間が13秒以上かつ、10質量%水溶液の6mmザーンカップ測定における流出時間が7秒以下である緑葉の加工物は、3mmザーンカップ測定における流出時間が13秒未満又は6mmザーンカップ測定における流出時間が7秒より長い緑葉の加工物と比較して、優れた血糖値上昇抑制作用、整腸作用及びダイエット作用を有することを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
また、本発明者らは、上記課題について鋭意研究したところ、驚くべきことに、内部摩擦角が29°以上である緑葉の加工物は、内部摩擦角が29°未満の緑葉の加工物と比較して、優れた血糖値上昇抑制作用、整腸作用及びダイエット作用を有することを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
また、本発明者らは、上記課題について鋭意研究したところ、驚くべきことに、単軸崩壊応力が27.5kPa以下である緑葉の加工物は、単軸崩壊応力が27.5kPaより大きい緑葉の加工物と比較して、優れた血糖値上昇抑制作用、整腸作用及びダイエット作用を有することを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]緑葉の加工物であって、前記加工物の12質量%水溶液の3mmザーンカップ測定における流出時間が13秒以上かつ、10質量%水溶液の6mmザーンカップ測定における流出時間が7秒以下であることを特徴とする、緑葉の加工物。
[2]緑葉の加工物であって、前記加工物の内部摩擦角が29°以上であることを特徴とする、緑葉の加工物。
[3]緑葉の加工物であって、前記加工物の単軸崩壊応力が27.5kPa以下であることを特徴とする、緑葉の加工物。
[4]緑葉が大麦、ヨモギ、アシタバ、ボタンボウフウ、ケール、甘藷から選ばれる1種又は2種以上の茎及び/又は葉であることを特徴とする、[1]〜[3]に記載の緑葉の加工物。
[5]緑葉がイネ科植物の茎及び/又は葉であることを特徴とする、[1]〜[3]に記載の緑葉の加工物。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の緑葉の加工物を含有することを特徴とする飲食用組成物。
[7][1]〜[5]のいずれかに記載の緑葉の加工物を含有することを特徴とする血糖値上昇抑制剤。
[8][1]〜[5]のいずれかに記載の緑葉の加工物を含有することを特徴とする整腸剤。
[9][1]〜[5]のいずれかに記載の緑葉の加工物を含有することを特徴とする抗肥満剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、12質量%水溶液の3mmザーンカップ測定における流出時間が13秒以上かつ、10質量%水溶液の6mmザーンカップ測定における流出時間が7秒以下である緑葉の加工物は優れた血糖値上昇抑制効果、整腸効果及びダイエット効果を示し、健康増進を目的とする飲食品に利用できる。
【0010】
また、本発明によれば、内部摩擦角が29°以上の緑葉の加工物は優れた血糖値上昇抑制効果、整腸効果及びダイエット効果を示し、健康増進を目的とする飲食品に利用できる。
【0011】
また、本発明によれば、単軸崩壊応力が27.5kPa以下の緑葉の加工物は優れた血糖値上昇抑制効果、整腸効果及びダイエット効果を示し、健康増進を目的とする飲食品に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】コントロール、試料A〜Fにおける血糖値の変化値を表す
図2】コントロール、試料A〜Fにおける糞便個数を表す
図3】コントロール、試料A〜Fにおける体重変化値を表す
図4】コントロール、試料G〜Jにおける血糖値の変化値を表す
図5】コントロール、試料G〜Jにおける糞便個数を表す
図6】コントロール、試料G〜Jにおける体重変化値を表す
図7】コントロール、試料K〜Nにおける血糖値の変化値を表す
図8】コントロール、試料K〜Nにおける糞便個数を表す
図9】コントロール、試料K〜Nにおける体重変化値を表す
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明の緑葉とは、緑色植物の茎及び/又は葉(以下、茎葉とも言う)のことである。本発明の緑葉は、葉緑素を有し、経口摂取できるものであれば特に限定されない。緑色植物としては、例えば、大麦、小麦、えん麦、ライ麦といった麦類、イネ、あわ、笹、ひえ、きび、とうもろこし、ソルガム、さとうきびのようなイネ科植物;ヨモギのようなキク科植物;アシタバ、パセリ、セロリ、ボタンボウフウのようなセリ科植物;クワなどのクワ科植物;ドクダミのようなドクダミ科植物;シソのようなシソ科植物;小松菜、ケール、キャベツ、ブロッコリーのようなアブラナ科植物;アスパラガスのようなユリ科植物;モロヘイヤのようなシナノキ科植物;甘藷のようなヒルガオ科植物などが挙げられ、好ましくはイネ科植物、キク科植物、セリ科植物、クワ科植物、アブラナ科植物、ヒルガオ科植物であり、より好ましくはイネ科植物である。また、緑色植物の種類としては、大麦、ヨモギ、アシタバ、ボタンボウフウ、ケール、甘藷が好ましく、より好ましくは大麦である。本発明においては、これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0015】
本発明で用いる緑葉の加工物としては、例えば、緑葉の乾燥粉末、緑葉の粉砕物及びその乾燥粉末(以下、粉砕物の乾燥粉末のことを「粉砕末」ともいう)、緑葉の細片化物及びその乾燥粉末(以下、細片化物の乾燥粉末のことを「細片化末」ともいう)、緑葉の搾汁及びその乾燥粉末(以下、搾汁の乾燥粉末のことを「搾汁末」ともいう)、緑葉のエキス及びその乾燥粉末(以下、エキスの乾燥粉末のことを「エキス末」ともいう)などが挙げられる。本発明においては、粉砕末、細片化末、搾汁末、エキス末が好ましく、粉砕末、搾汁末がより好ましく、粉砕末が特に好ましい。
【0016】
緑葉の粉砕物及びその乾燥粉末(粉砕末)を得る方法は特に限定されないが、例えば、乾燥処理や粉砕処理を組み合わせた方法等、従来公知の方法で行うことができる。乾燥処理や粉砕処理はいずれを先に行ってもよいが、乾燥処理を先に行うことが好ましい。粉砕物及び粉砕末を得る際には、上述の方法に、さらに必要に応じてブランチング処理、殺菌処理などの処理を組み合わせてもよい。また、粉砕処理を行う回数は1回でも、2回以上でもよいが、粗粉砕処理を行った後に、より細かく粉砕する微粉砕処理を行うことが好ましい。
【0017】
乾燥処理は特に限定されないが、例えば、熱風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、凍結乾燥などの当業者に公知の任意の方法により行うことができる。加熱による乾燥は、例えば、40℃〜140℃、好ましくは80℃〜130℃にて加温により緑葉が変色しない温度及び時間で行うことができる。乾燥処理を行うことにより、緑葉の水分含量を目的の量に調整することができ、例えば10%以下、好ましくは5%以下とすることができる。
【0018】
粉砕処理は特に限定されないが、例えば、クラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などの粉砕用の機器や器具などを用いて、当業者が通常使用する任意の方法により粉砕する処理が挙げられる。粉砕された緑葉は、必要に応じて篩にかけられ、例えば、30〜250メッシュを通過するものを緑葉の粉砕末として用いることが好ましい。粒径が250メッシュ通過のもの以下とすることで、加工時に緑葉の粉末がより取り扱いやすくなり、粒径が30メッシュ通過以上のものとすることで、緑葉の粉末と他の素材との均一な混合が容易になる。
【0019】
ブランチング処理とは、緑葉の緑色を鮮やかに保つための処理であり、その方法としては、例えば熱水処理や蒸煮処理などが挙げられる。乾燥処理及び粉砕処理に追加してブランチング処理を行う場合、ブランチング処理は乾燥処理の前に行われることが好ましい。
【0020】
熱水処理の方法は特に限定されないが、例えば、80〜100℃、好ましくは90〜100℃の熱水又は水蒸気中で、緑葉を60〜180秒間、好ましくは90〜120秒間処理する方法などが挙げられる。また、熱水処理に際して、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩や炭酸水素ナトリウムなどの炭酸水素塩を用いることが好ましく、これらを熱水に溶解することにより、緑葉の緑色をより鮮やかにすることができる。
【0021】
蒸煮処理の方法は特に限定されないが、例えば、常圧又は加圧下において、緑葉を水蒸気により蒸煮する処理と冷却する処理とを繰り返す間歇的蒸煮処理等が挙げられる。間歇的蒸煮処理において、水蒸気により蒸煮する時間は、例えば、10〜50秒間、好ましくは20〜40秒間である。蒸煮処理後の冷却処理は直ちに行われることが好ましい。冷却方法は特に限定されないが、冷水への浸漬、冷蔵、冷風による冷却、温風による気化冷却、温風と冷風とを組み合わせた気化冷却などが用いられる。このうち温風と冷風とを組み合わせた気化冷却が好ましい。このような冷却処理は、緑葉の品温が、60℃以下、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下となるように行われる。また、ビタミン、ミネラル、葉緑素などの栄養成分に富んだ緑葉の粉末を製造するためには、間歇的蒸煮処理を2〜5回繰り返すことが好ましい。
【0022】
殺菌処理の方法は特に限定されないが、例えば、温度、圧力、電磁波、薬剤などを用いて物理的又は化学的に微生物を殺滅させる処理等、従来公知の方法で行うことができる。乾燥処理及び粉砕処理に追加して殺菌処理を行う場合、殺菌処理は、乾燥処理の後か、粉砕処理の前又は後に行われることが好ましい。
【0023】
具体的な粉砕末の製造方法としては、例えば、緑葉を切断した後、ブランチング処理を行い、次いで水分含量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥し、その後粉砕する方法が挙げられる(特開2004−000210号公報を参照)。この他にも、例えば、緑葉を切断した後、ブランチング処理を行い、次いで揉捻し、その後、乾燥し、粉砕する方法(特開2002−065204号公報を参照);緑葉を乾燥し、粗粉砕した後、110℃以上で加熱し、さらに微粉砕する方法(特開2003−033151号公報を参照)などが挙げられる。
【0024】
緑葉を細片化する方法は特に限定されないが、例えば、スライス、破砕、細断などの当業者が植物体を細片化する際に通常使用する方法を用いることができる。細片化の一例として、スラリー化してもよい。スラリー化は、緑葉をミキサー、ジューサー、ブレンダー、マスコロイダーなどにかけ、緑葉をどろどろした粥状(液体と固体との懸濁液)にすることにより行う。このようにスラリー化することにより、緑葉は、細片の80質量%以上が、好ましくは平均径1mm以下、より好ましくは0.5mm以下、さらに好ましくは0.1mm以下、なおさらに好ましくは0.05mm以下となるように細片化され、流動性を有するようになる。細片化物は凍結乾燥や熱風乾燥などの処理を行い、乾燥粉末(細片化末)とすることもできる。緑葉の細片化末は、必要に応じて篩にかけられ、例えば、10〜250メッシュを通過するものを用いることが好ましい。
【0025】
緑葉の搾汁液を得る方法は特に限定されないが、例えば、緑葉又はその細片化物を圧搾する方法、緑葉の細片化物を遠心やろ過する方法などを挙げることができる。具体的な搾汁液の製造方法の例としては、ミキサー、ジューサーなどの機械的破砕手段によって搾汁し、必要に応じて、篩別、濾過などの手段によって粗固形分を除去することにより搾汁液を得る方法が挙げられる。より具体的には、特開平08−245408号公報、特開平09−047252号公報、特開平5−7471号公報、特開平4−341153号公報などに記載の方法が挙げられ、これらの公知の方法を当業者が適宜選択して実施できる。搾汁液は、必要に応じて濃縮してもよいし、凍結乾燥や熱風乾燥、噴霧乾燥などの処理を行い、乾燥粉末(搾汁末)とすることもできる。緑葉の搾汁末は、必要に応じて篩にかけられ、例えば、10〜250メッシュを通過するものを用いることが好ましい。
【0026】
緑葉のエキスを得る方法は特に限定されないが、例えば、緑葉又はその細片化物に、エタノール、水、含水エタノールなどの当業者が通常用いる抽出溶媒を加え、必要に応じて撹拌や加温して抽出する方法などを挙げることができる。エキスは、必要に応じて濃縮してもよいし、凍結乾燥や熱風乾燥、噴霧乾燥などの処理を行い、乾燥粉末(エキス末)とすることもできる。緑葉のエキス末は、必要に応じて篩にかけられ、例えば、10〜250メッシュを通過するものを用いることが好ましい。
【0027】
[緑葉加工物1]
本発明の緑葉の加工物の第1の態様(以下、「緑葉加工物1」とも言う。)は、12質量%水溶液の3mmザーンカップ測定における流出時間が13秒以上かつ、10質量%水溶液の6mmザーンカップ測定における流出時間が7秒以下であることを特徴とするものである。
【0028】
ザーンカップとは、液体の粘度測定に用いられる計測器である。底部に一定の大きさの穴が開いたカップに被験物質を入れ、その流出時間を測定することで、粘度を測定することができる。本願発明においては、緑葉加工物1の嗜好性の良さ、例えば喉越しの良さや開封時の緑葉粉末の飛散のしにくさの他、優れた血糖値上昇抑制作用、整腸作用、ダイエット作用の点から、12質量%水溶液の3mmザーンカップ測定における流出時間が13秒以上であり、かつ、10質量%水溶液の6mmザーンカップ測定における流出時間が7秒以下、好ましくは6秒以下、より好ましくは5秒以下である緑葉加工物1を用いることができる。なお、本発明の緑葉加工物1は、上述の方法にて得ることができる。
【0029】
[緑葉加工物2]
本発明の緑葉の加工物の第2の態様(以下、「緑葉加工物2」とも言う。)は、内部摩擦角が29°以上であることを特徴とするものである。
【0030】
内部摩擦角とは、粉体の滑りやすさを表すパラメータであり、市販されている粉体層せん断力測定装置、例えばナノシーズ社製NS−S300型やNS−S500型、シメックス社製パウダーレオメーターFT−4により測定することができる。本発明における内部摩擦角は、緑葉加工物2の嗜好性の良さ、例えば喉越しの良さや開封時の緑葉粉末の飛散のしにくさの他、優れた血糖値上昇抑制作用、整腸作用、ダイエット作用の点から29°以上が好ましく、より好ましくは29.5°である。また、80°以下が好ましく、より好ましくは70°以下である。なお、本発明の緑葉加工物2は、上述の方法にて得ることができる。
【0031】
[緑葉加工物3]
本発明の緑葉の加工物の第3の態様(以下、「緑葉加工物3」とも言う。)は、単軸崩壊応力が27.5kPa以下であることを特徴とするものである。
【0032】
単軸崩壊応力とは、粒子間の付着力を意味し、単軸崩壊応力が大きいほど粒子間の付着力が大きくなる。単軸崩壊応力は、市販の測定装置を用いて測定することができ、例えば、粉体層せん断力測定装置(ナノシーズ社製;NS-S500型)が使用できる。本発明において、単軸崩壊応力は緑葉加工物3の嗜好性の良さ、例えば喉越しの良さや舌触りの良さ、開封時の緑葉粉末の飛散のしにくさの他、優れた血糖値上昇抑制作用、整腸作用、ダイエット作用の点から27.5kPa以下が好ましく、より好ましくは27kPa以下であり、特に好ましくは26.5kPa以下である。また、1kPa以上、好ましくは3kPa以上である。なお、本発明の緑葉加工物3は、上述の方法にて得ることができる。
【0033】
本発明の緑葉の加工物は、飲食などの経口摂取に適した任意の形態とすることができる。具体的な形態としては、例えば、粉末状、粒状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、液状、飴状、ペースト状、クリーム状、ハードカプセルやソフトカプセルのようなカプセル状、カプレット状、タブレット状、ゲル状、ゼリー状、グミ状、ウエハース状、ビスケット状、クッキー状、ケーキ状、チュアブル状、シロップ状、スティック状などの各形態が挙げられる。本発明の緑葉の加工物は、粉末状、粒状、顆粒状が好ましく、特に、水などと混合し、溶解したり懸濁させたりして使用する粉末飲料とすることにより、安定性にも優れるとともに、カプセルや錠剤等と異なり1度に多くの加工物を摂取することができるので好ましい。また、水だけでなく、牛乳、豆乳、果汁飲料、乳清飲料、清涼飲料、ヨーグルト、ホットケーキミックスなどに添加して使用してもよい。また、機能性食品、栄養機能表示食品、特定保健用食品として用いても良いことは言うまでもない。
【0034】
本発明の緑葉の加工物を飲食などの経口摂取に適した任意の形態とする場合、緑葉は葉緑素を含み、経口摂取できるものを使用することができる。また、本発明の緑葉の加工物を飲食などの経口摂取に適した任意の形態とする場合は、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンEなどのビタミン類;ゼラチン、コラーゲンペプチド、植物由来タンパク質などのタンパク質;難消化性デキストリン、ペクチン、アルギン酸、グアーガム、グアーガム加水分解物、グルコマンナン、ガラクトマンナン、ポリデキストロース、カラギーナンなどの水溶性食物繊維;ラクチュロース、パラチノース、パラチノースオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ラフィノース、キシロオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、トレハロース、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖、ビートオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、スクロース、ラクトース、マルトース及びシクロデキストリンなどのオリゴ糖;カルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラル類;N−アセチルグルコサミン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸などのムコ多糖類;乳、発酵乳、脱脂粉乳などの乳製品;豆乳、豆乳粉末などの豆乳製品;レモン、リンゴ、明日葉、ケール、甘藷、甘藷茎葉、じゃがいも、ニンジン、カボチャ、ニガウリ、トマト、グリーンピース、モロヘイヤ、スピルリナ、抹茶などの植物又は植物加工品;乳酸菌、納豆菌、酪酸菌、麹菌、酵母などの微生物などが挙げられる。さらに必要に応じて通常食品分野で用いられる、デキストリン、ブドウ糖、乳糖、ショ糖、麦芽糖(マルトース)、果糖、エリスリトール、トレハロース、マルチトール、キシリトール、でんぷんなどの糖類;ステビア、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテーム、ソーマチン、還元麦芽糖などの甘味料;クエン酸、乳酸、グルコン酸、リンゴ酸などの酸味料;酸化チタンなどの着色料;アラビアガム、キサンタンガムなどの増粘剤;シェラックなどの光沢剤;タルク、二酸化ケイ素、セルロース、ステアリン酸カルシウムなどの製造用剤などを配合することもできる。その他の成分としては、これら以外にも、種々の賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料などを挙げることができる。その他の成分の含有量は適宜選択することができる。
【0035】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
【実施例】
【0036】
[製造例1]大麦茎葉の粉砕末試料の作製
原料として、出穂前に刈り取った大麦の茎葉を用いた。これを水洗いし、付着した泥などを除去し、5〜10cm程度の大きさに切断する前処理を行った。前処理した茎葉を、90〜100℃の熱湯で90秒間〜120秒間、1回のみブランチング処理し、その後、冷水で冷却した。続いて、得られた茎葉を、水分量が5質量%以下となるまで、乾燥機中で、20分間〜180分間、80℃〜130℃の温風にて乾燥させた。乾燥した茎葉を約1mmの大きさに粉砕処理した。得られた大麦の茎葉を、ザーンカップによる流出時間が異なる結果となるように、さらに粉砕処理し、大麦茎葉の粉砕末A〜F(以下、「被験物質A〜F」とも言う)を得た。得られた大麦茎葉の粉砕末は、評価例1によりその物性を評価した後に各試験に使用した。
【0037】
[評価例1]ザーンカップによる流出時間の測定
(1)3mmザーンカップ測定
ビーカーに被験物質A〜Fを計り取り、被験物質の濃度が12%になるように水を加えた。各被験物質溶液をメイセイ社製 ザーンカップ(No.3;オリフィス径約3mm)へ、穴を指でふさぎながら一杯になるまで注いだ。指を離して穴を解放し、流出直後(指を離した直後)から、被験物質が全て流出するまでの時間を測定した。評価結果を表1に示す。
【0038】
(2)6mmザーンカップ測定
ビーカーに被験物質A〜Fを計り取り、被験物質の濃度が10質量%になるように水を加え、被験物質を調整した。各被験物質溶液をメイセイ社製 ザーンカップ(No.6;オリフィス径約6mm)へ、穴を指でふさぎながら一杯になるまで注いだ。指を離して穴を解放し、被験物質の流出直後(指を離した直後)から流出完了までの時間を測定した。評価結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
[試験例1]
8〜19週齢の雄性KK−Ayマウス(2型糖尿病を自然発症し、肥満や高血糖を発現するモデルマウス)を、馴化期間あるいは休止期間を設けた後、血糖値および体重値が均一となるように群分けした。各試験群に、MF粉末飼料(オリエンタル酵母工業株式会社製)、又はMF粉末飼料98質量%と被験物質A〜Fがそれぞれ2質量%となるように混合したものを4日間自由摂取させた(表2 参照)。
【0041】
【表2】
【0042】
各試験群に対して、血糖値測定試験、整腸効果確認試験及び体重測定試験を行った。具体的には、以下のとおりである。尚、各試験において、MF粉末飼料群をコントロールとした。
【0043】
(血糖値測定試験)
群分け時(試験0日目)及び試験3日目に、約1時間の絶食後、尾静脈より採血を行い、血糖値(mg/dL)を測定した。測定には、小型血糖値測定器(グルテストエース;株式会社三和化学研究所)を用いた。
【0044】
図1に、血糖値の測定結果(変化値)を示す。試料C〜Fを摂取したマウスの血糖値は、試料A,Bを摂取したマウスと比較して低いものであった。すなわち、大麦茎葉の粉砕末の12質量%水溶液の3mmザーンカップ測定における流出時間が13秒以上かつ、10質量%水溶液の6mmザーンカップ測定における流出時間が7秒以下の場合において、優れた血糖値の低下がみられた。
【0045】
(整腸効果確認試験)
試験4日目〜5日目の24時間分の糞便の個数を測定した。具体的には、試験4日目の測定前に糞便を除去し、測定開始から24時間後に回収した糞便の個数を測定した。
【0046】
図2に、糞便個数の測定結果を示す。試料C〜Fを摂取したマウスの糞便個数は、試料A,Bを摂取したマウスと比較して多いものであった。すなわち、12質量%水溶液の3mmザーンカップ測定における流出が13秒以上かつ、10質量%水溶液の6mmザーンカップ測定における流出が7秒以下の場合において、優れた整腸効果が確認された。
【0047】
(ダイエット試験)
群分け時(試験0日目)及び試験4日目に電子天秤にて体重を測定した。
【0048】
図3に、体重の測定結果(変化値)を示す。試料A,Bを摂取したマウスの体重は大幅に増加したが、試料C〜Fを摂取したマウスの体重は、ほとんど変化がないか、又は減少傾向であった。すなわち、12質量%水溶液の3mmザーンカップ測定における流出が13秒以上かつ、10質量%水溶液の6mmザーンカップ測定における流出が7秒以下の場合において、優れたダイエット効果が確認された。
【0049】
[製造例2]大麦茎葉の粉砕末試料の作製
原料として、出穂前に刈り取った大麦の茎葉を用いた。これを水洗いし、付着した泥などを除去し、5〜10cm程度の大きさに切断する前処理を行った。前処理した茎葉を、90〜100℃の熱湯で90秒間〜120秒間、1回のみブランチング処理し、その後、冷水で冷却した。続いて、得られた茎葉を、水分量が5質量%以下となるまで、乾燥機中で、20分間〜180分間、80℃〜130℃の温風にて乾燥させた。乾燥した茎葉を約1mmの大きさに粉砕処理した。得られた大麦の茎葉を、内部摩擦角が異なる結果となるように、さらに粉砕処理し、大麦茎葉の粉砕末G〜J(以下、「被験物質G〜J」とも言う)を得た。得られた大麦茎葉の粉砕末は、評価例2によりその物性を評価した後に各試験に使用した。
【0050】
[評価例2]内部摩擦角の測定
粉体層せん断力測定装置(ナノシーズ社製;NS-S500型)にて測定を行った。被験物質15gをせん断セル内(内径43mm)に充填し、粉体層上面を平坦にした後、押し込み目標荷重(200N)を押し込み制御の条件として、粉体間のせん断試験を行った。目標荷重にて押し込みし、横摺り(せん断)開始後、せん断が定常状態に達してから、粉体層の体積を徐々に増加させ、垂直荷重が0になった時点で、測定を停止した(下部セル直動法:PYL 綱川法)。粉体層の応力緩和後の垂直応力を横軸に、装置から算出される粉体層の最大せん断応力を縦軸にプロットして、被験物質ごとに直線回帰式を算出し、その角度を内部摩擦角として、粒子の表面抵抗値の比較を行った。評価結果を表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】
[試験例2]
8〜19週齢の雄性KK−Ayマウス(2型糖尿病を自然発症し、肥満や高血糖を発現するモデルマウス)を、馴化期間あるいは休止期間を設けた後、血糖値および体重値が均一となるように群分けした。各試験群に、MF粉末飼料(オリエンタル酵母工業株式会社製)、又はMF粉末飼料98質量%と被験物質G〜Jがそれぞれ2質量%となるように混合したものを4日間自由摂取させた(表4参照)。
【0053】
【表4】
【0054】
各試験群に対して、血糖値測定試験、整腸効果確認試験及び体重測定試験を行った。具体的には、以下のとおりである。尚、各試験において、MF粉末飼料群をコントロールとした。
【0055】
(血糖値測定試験)
群分け時(試験0日目)及び試験3日目に、約1時間の絶食後、尾静脈より採血を行い、血糖値(mg/dL)を測定した。測定には、小型血糖値測定器(グルテストエース;株式会社三和化学研究所)を用いた。
【0056】
図4に、血糖値の測定結果(変化値)を示す。試料H〜Jを摂取したマウスの血糖値は、試料Gを摂取したマウスと比較して低いものであった。すなわち、大麦茎葉の粉砕末の内部摩擦角が29°以上の場合において、優れた血糖値の低下がみられた。
【0057】
(整腸効果確認試験)
試験4日目〜5日目の24時間分の糞便の個数を測定した。具体的には、試験4日目の測定前に糞便を除去し、測定開始から24時間後に回収した糞便の個数を測定した。
【0058】
図5に、糞便個数の測定結果を示す。試料H〜Jを摂取したマウスの糞便個数は、試料Gを摂取したマウスと比較して多いものであった。すなわち、内部摩擦角が29°以上の場合において、優れた整腸効果が確認された。
【0059】
(ダイエット試験)
群分け時(試験0日目)及び試験4日目に電子天秤にて体重を測定した。
【0060】
図6に、体重の測定結果(変化値)を示す。試料Gを摂取したマウスの体重は大幅に増加したが、試料H〜Jを摂取したマウスの体重は、ほとんど変化がないか、又は減少傾向であった。すなわち、内部摩擦角が29°以上の場合において、優れたダイエット効果が確認された。
【0061】
[製造例3]大麦茎葉の粉砕末試料の作製
原料として、出穂前に刈り取った大麦の茎葉を用いた。これを水洗いし、付着した泥などを除去し、5〜10cm程度の大きさに切断する前処理を行った。前処理した茎葉を、90〜100℃の熱湯で90秒間〜120秒間、1回のみブランチング処理し、その後、冷水で冷却した。続いて、得られた茎葉を、水分量が5質量%以下となるまで、乾燥機中で、20分間〜180分間、80℃〜130℃の温風にて乾燥させた。乾燥した茎葉を約1mmの大きさに粉砕処理した。得られた大麦の茎葉を、単軸崩壊応力が異なる結果となるように、さらに粉砕処理し、大麦茎葉の粉砕末K〜N(以下、「被験物質K〜N」とも言う)を得た。得られた大麦茎葉の粉砕末は、評価例2によりその物性を評価した後に各試験に使用した。
【0062】
[評価例3]単軸崩壊応力の測定
粉体層せん断力測定装置(ナノシーズ社製;NS-S500型)にて測定を行った。被験物質15gをせん断セル内(内径43mm)に充填し、粉体層上面を平坦にした後、押し込み目標荷重(200N)を押し込み制御の条件として、粉体間のせん断試験を行った。目標荷重にて押し込みし、横摺り(せん断)開始後、せん断が定常状態に達してから、粉体層の体積を徐々に増加させ、垂直荷重が0になった時点で、測定を停止した(下部セル直動法:PYL 綱川法)。評価結果を表3に示す。
【0063】
【表5】
【0064】
[試験例2]
8〜19週齢の雄性KK−Ayマウス(2型糖尿病を自然発症し、肥満や高血糖を発現するモデルマウス)を、馴化期間あるいは休止期間を設けた後、血糖値および体重値が均一となるように群分けした。各試験群に、MF粉末飼料(オリエンタル酵母工業株式会社製)、又はMF粉末飼料98質量%と被験物質K〜Nがそれぞれ2質量%となるように混合したものを4日間自由摂取させた(表6参照)。
【0065】
【表6】
【0066】
各試験群に対して、血糖値測定試験、整腸効果確認試験及び体重測定試験を行った。具体的には、以下のとおりである。尚、各試験において、MF粉末飼料群をコントロールとした。
【0067】
(血糖値測定試験)
群分け時(試験0日目)及び試験3日目に、約1時間の絶食後、尾静脈より採血を行い、血糖値(mg/dL)を測定した。測定には、小型血糖値測定器(グルテストエース;株式会社三和化学研究所)を用いた。
【0068】
図7に、血糖値の測定結果(変化値)を示す。試料L〜Nを摂取したマウスの血糖値は、試料Kを摂取したマウスと比較して低いものであった。すなわち、大麦茎葉の粉砕末の単軸崩壊応力が27.5kPa以下の場合において、優れた血糖値の低下がみられた。
【0069】
(整腸効果確認試験)
試験4日目〜5日目の24時間分の糞便の個数を測定した。具体的には、試験4日目の測定前に糞便を除去し、測定開始から24時間後に回収した糞便の個数を測定した。
【0070】
図8に、糞便個数の測定結果を示す。試料L〜Nを摂取したマウスの糞便個数は、試料Kを摂取したマウスと比較して多いものであった。すなわち、単軸崩壊応力が27.5kPa以下の場合において、優れた整腸効果が確認された。
【0071】
(ダイエット試験)
群分け時(試験0日目)及び試験4日目に電子天秤にて体重を測定した。
【0072】
図9に、体重の測定結果(変化値)を示す。試料Kを摂取したマウスの体重は大幅に増加したが、試料L〜Nを摂取したマウスの体重は、ほとんど変化がないか、又は減少傾向であった。すなわち、単軸崩壊応力が27.5kPa以下の場合において、優れたダイエット効果が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明によれば、本発明の緑葉の加工物は、優れた血糖値上昇抑制効果、整腸効果及びダイエット効果を示し、消費者の健康増進に利用できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9