【実施例】
【0036】
[製造例1]大麦茎葉の粉砕末試料の作製
原料として、出穂前に刈り取った大麦の茎葉を用いた。これを水洗いし、付着した泥などを除去し、5〜10cm程度の大きさに切断する前処理を行った。前処理した茎葉を、90〜100℃の熱湯で90秒間〜120秒間、1回のみブランチング処理し、その後、冷水で冷却した。続いて、得られた茎葉を、水分量が5質量%以下となるまで、乾燥機中で、20分間〜180分間、80℃〜130℃の温風にて乾燥させた。乾燥した茎葉を約1mmの大きさに粉砕処理した。得られた大麦の茎葉を、ザーンカップによる流出時間が異なる結果となるように、さらに粉砕処理し、大麦茎葉の粉砕末A〜F(以下、「被験物質A〜F」とも言う)を得た。得られた大麦茎葉の粉砕末は、評価例1によりその物性を評価した後に各試験に使用した。
【0037】
[評価例1]ザーンカップによる流出時間の測定
(1)3mmザーンカップ測定
ビーカーに被験物質A〜Fを計り取り、被験物質の濃度が12%になるように水を加えた。各被験物質溶液をメイセイ社製 ザーンカップ(No.3;オリフィス径約3mm)へ、穴を指でふさぎながら一杯になるまで注いだ。指を離して穴を解放し、流出直後(指を離した直後)から、被験物質が全て流出するまでの時間を測定した。評価結果を表1に示す。
【0038】
(2)6mmザーンカップ測定
ビーカーに被験物質A〜Fを計り取り、被験物質の濃度が10質量%になるように水を加え、被験物質を調整した。各被験物質溶液をメイセイ社製 ザーンカップ(No.6;オリフィス径約6mm)へ、穴を指でふさぎながら一杯になるまで注いだ。指を離して穴を解放し、被験物質の流出直後(指を離した直後)から流出完了までの時間を測定した。評価結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
[試験例1]
8〜19週齢の雄性KK−Ayマウス(2型糖尿病を自然発症し、肥満や高血糖を発現するモデルマウス)を、馴化期間あるいは休止期間を設けた後、血糖値および体重値が均一となるように群分けした。各試験群に、MF粉末飼料(オリエンタル酵母工業株式会社製)、又はMF粉末飼料98質量%と被験物質A〜Fがそれぞれ2質量%となるように混合したものを4日間自由摂取させた(表2 参照)。
【0041】
【表2】
【0042】
各試験群に対して、血糖値測定試験、整腸効果確認試験及び体重測定試験を行った。具体的には、以下のとおりである。尚、各試験において、MF粉末飼料群をコントロールとした。
【0043】
(血糖値測定試験)
群分け時(試験0日目)及び試験3日目に、約1時間の絶食後、尾静脈より採血を行い、血糖値(mg/dL)を測定した。測定には、小型血糖値測定器(グルテストエース;株式会社三和化学研究所)を用いた。
【0044】
図1に、血糖値の測定結果(変化値)を示す。試料C〜Fを摂取したマウスの血糖値は、試料A,Bを摂取したマウスと比較して低いものであった。すなわち、大麦茎葉の粉砕末の12質量%水溶液の3mmザーンカップ測定における流出時間が13秒以上かつ、10質量%水溶液の6mmザーンカップ測定における流出時間が7秒以下の場合において、優れた血糖値の低下がみられた。
【0045】
(整腸効果確認試験)
試験4日目〜5日目の24時間分の糞便の個数を測定した。具体的には、試験4日目の測定前に糞便を除去し、測定開始から24時間後に回収した糞便の個数を測定した。
【0046】
図2に、糞便個数の測定結果を示す。試料C〜Fを摂取したマウスの糞便個数は、試料A,Bを摂取したマウスと比較して多いものであった。すなわち、12質量%水溶液の3mmザーンカップ測定における流出が13秒以上かつ、10質量%水溶液の6mmザーンカップ測定における流出が7秒以下の場合において、優れた整腸効果が確認された。
【0047】
(ダイエット試験)
群分け時(試験0日目)及び試験4日目に電子天秤にて体重を測定した。
【0048】
図3に、体重の測定結果(変化値)を示す。試料A,Bを摂取したマウスの体重は大幅に増加したが、試料C〜Fを摂取したマウスの体重は、ほとんど変化がないか、又は減少傾向であった。すなわち、12質量%水溶液の3mmザーンカップ測定における流出が13秒以上かつ、10質量%水溶液の6mmザーンカップ測定における流出が7秒以下の場合において、優れたダイエット効果が確認された。
【0049】
[製造例2]大麦茎葉の粉砕末試料の作製
原料として、出穂前に刈り取った大麦の茎葉を用いた。これを水洗いし、付着した泥などを除去し、5〜10cm程度の大きさに切断する前処理を行った。前処理した茎葉を、90〜100℃の熱湯で90秒間〜120秒間、1回のみブランチング処理し、その後、冷水で冷却した。続いて、得られた茎葉を、水分量が5質量%以下となるまで、乾燥機中で、20分間〜180分間、80℃〜130℃の温風にて乾燥させた。乾燥した茎葉を約1mmの大きさに粉砕処理した。得られた大麦の茎葉を、内部摩擦角が異なる結果となるように、さらに粉砕処理し、大麦茎葉の粉砕末G〜J(以下、「被験物質G〜J」とも言う)を得た。得られた大麦茎葉の粉砕末は、評価例2によりその物性を評価した後に各試験に使用した。
【0050】
[評価例2]内部摩擦角の測定
粉体層せん断力測定装置(ナノシーズ社製;NS-S500型)にて測定を行った。被験物質15gをせん断セル内(内径43mm)に充填し、粉体層上面を平坦にした後、押し込み目標荷重(200N)を押し込み制御の条件として、粉体間のせん断試験を行った。目標荷重にて押し込みし、横摺り(せん断)開始後、せん断が定常状態に達してから、粉体層の体積を徐々に増加させ、垂直荷重が0になった時点で、測定を停止した(下部セル直動法:PYL 綱川法)。粉体層の応力緩和後の垂直応力を横軸に、装置から算出される粉体層の最大せん断応力を縦軸にプロットして、被験物質ごとに直線回帰式を算出し、その角度を内部摩擦角として、粒子の表面抵抗値の比較を行った。評価結果を表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】
[試験例2]
8〜19週齢の雄性KK−Ayマウス(2型糖尿病を自然発症し、肥満や高血糖を発現するモデルマウス)を、馴化期間あるいは休止期間を設けた後、血糖値および体重値が均一となるように群分けした。各試験群に、MF粉末飼料(オリエンタル酵母工業株式会社製)、又はMF粉末飼料98質量%と被験物質G〜Jがそれぞれ2質量%となるように混合したものを4日間自由摂取させた(表4参照)。
【0053】
【表4】
【0054】
各試験群に対して、血糖値測定試験、整腸効果確認試験及び体重測定試験を行った。具体的には、以下のとおりである。尚、各試験において、MF粉末飼料群をコントロールとした。
【0055】
(血糖値測定試験)
群分け時(試験0日目)及び試験3日目に、約1時間の絶食後、尾静脈より採血を行い、血糖値(mg/dL)を測定した。測定には、小型血糖値測定器(グルテストエース;株式会社三和化学研究所)を用いた。
【0056】
図4に、血糖値の測定結果(変化値)を示す。試料H〜Jを摂取したマウスの血糖値は、試料Gを摂取したマウスと比較して低いものであった。すなわち、大麦茎葉の粉砕末の内部摩擦角が29°以上の場合において、優れた血糖値の低下がみられた。
【0057】
(整腸効果確認試験)
試験4日目〜5日目の24時間分の糞便の個数を測定した。具体的には、試験4日目の測定前に糞便を除去し、測定開始から24時間後に回収した糞便の個数を測定した。
【0058】
図5に、糞便個数の測定結果を示す。試料H〜Jを摂取したマウスの糞便個数は、試料Gを摂取したマウスと比較して多いものであった。すなわち、内部摩擦角が29°以上の場合において、優れた整腸効果が確認された。
【0059】
(ダイエット試験)
群分け時(試験0日目)及び試験4日目に電子天秤にて体重を測定した。
【0060】
図6に、体重の測定結果(変化値)を示す。試料Gを摂取したマウスの体重は大幅に増加したが、試料H〜Jを摂取したマウスの体重は、ほとんど変化がないか、又は減少傾向であった。すなわち、内部摩擦角が29°以上の場合において、優れたダイエット効果が確認された。
【0061】
[製造例3]大麦茎葉の粉砕末試料の作製
原料として、出穂前に刈り取った大麦の茎葉を用いた。これを水洗いし、付着した泥などを除去し、5〜10cm程度の大きさに切断する前処理を行った。前処理した茎葉を、90〜100℃の熱湯で90秒間〜120秒間、1回のみブランチング処理し、その後、冷水で冷却した。続いて、得られた茎葉を、水分量が5質量%以下となるまで、乾燥機中で、20分間〜180分間、80℃〜130℃の温風にて乾燥させた。乾燥した茎葉を約1mmの大きさに粉砕処理した。得られた大麦の茎葉を、単軸崩壊応力が異なる結果となるように、さらに粉砕処理し、大麦茎葉の粉砕末K〜N(以下、「被験物質K〜N」とも言う)を得た。得られた大麦茎葉の粉砕末は、評価例2によりその物性を評価した後に各試験に使用した。
【0062】
[評価例3]単軸崩壊応力の測定
粉体層せん断力測定装置(ナノシーズ社製;NS-S500型)にて測定を行った。被験物質15gをせん断セル内(内径43mm)に充填し、粉体層上面を平坦にした後、押し込み目標荷重(200N)を押し込み制御の条件として、粉体間のせん断試験を行った。目標荷重にて押し込みし、横摺り(せん断)開始後、せん断が定常状態に達してから、粉体層の体積を徐々に増加させ、垂直荷重が0になった時点で、測定を停止した(下部セル直動法:PYL 綱川法)。評価結果を表3に示す。
【0063】
【表5】
【0064】
[試験例2]
8〜19週齢の雄性KK−Ayマウス(2型糖尿病を自然発症し、肥満や高血糖を発現するモデルマウス)を、馴化期間あるいは休止期間を設けた後、血糖値および体重値が均一となるように群分けした。各試験群に、MF粉末飼料(オリエンタル酵母工業株式会社製)、又はMF粉末飼料98質量%と被験物質K〜Nがそれぞれ2質量%となるように混合したものを4日間自由摂取させた(表6参照)。
【0065】
【表6】
【0066】
各試験群に対して、血糖値測定試験、整腸効果確認試験及び体重測定試験を行った。具体的には、以下のとおりである。尚、各試験において、MF粉末飼料群をコントロールとした。
【0067】
(血糖値測定試験)
群分け時(試験0日目)及び試験3日目に、約1時間の絶食後、尾静脈より採血を行い、血糖値(mg/dL)を測定した。測定には、小型血糖値測定器(グルテストエース;株式会社三和化学研究所)を用いた。
【0068】
図7に、血糖値の測定結果(変化値)を示す。試料L〜Nを摂取したマウスの血糖値は、試料Kを摂取したマウスと比較して低いものであった。すなわち、大麦茎葉の粉砕末の単軸崩壊応力が27.5kPa以下の場合において、優れた血糖値の低下がみられた。
【0069】
(整腸効果確認試験)
試験4日目〜5日目の24時間分の糞便の個数を測定した。具体的には、試験4日目の測定前に糞便を除去し、測定開始から24時間後に回収した糞便の個数を測定した。
【0070】
図8に、糞便個数の測定結果を示す。試料L〜Nを摂取したマウスの糞便個数は、試料Kを摂取したマウスと比較して多いものであった。すなわち、単軸崩壊応力が27.5kPa以下の場合において、優れた整腸効果が確認された。
【0071】
(ダイエット試験)
群分け時(試験0日目)及び試験4日目に電子天秤にて体重を測定した。
【0072】
図9に、体重の測定結果(変化値)を示す。試料Kを摂取したマウスの体重は大幅に増加したが、試料L〜Nを摂取したマウスの体重は、ほとんど変化がないか、又は減少傾向であった。すなわち、単軸崩壊応力が27.5kPa以下の場合において、優れたダイエット効果が確認された。