【解決手段】(a)式(1)の多価アルコールのアルキレンオキサイド(AO)付加物又は式(2)で表されるポリAOモノアルキルエーテルから選択される化合物を1〜30質量%、(b)リバーステトロニック型ブロックポリマーを11〜80質量%、及び、(c)水を10〜50質量%含む自動洗浄機用洗浄剤組成物。
前記リバーステトロニック型ブロックポリマー中のオキシエチレン基(EO)とオキシプロピレン基(PO)のモル比(EO/PO)が1/0.5〜1/10である請求項1〜6のいずれかに記載の自動洗浄機用洗浄剤組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動洗浄機は、高温(例えば、40〜70℃)の洗浄液を噴射して食器等の汚れを落とすタイプのものが主流であるが、自動洗浄機の立ち上げ(運転開始)時には、洗浄液の水温は室温程度の低温である場合が多い。このように洗浄液の温度が低い場合(低温時)には、自動洗浄機用洗浄剤組成物に含まれる界面活性剤等の成分が泡立ち易い。また、洗浄液の泡立ちは、洗浄剤組成物に含まれる界面活性剤等の成分に起因するだけでなく、食器等に付着した汚れ(食品残渣等)から持ち込まれる物質によっても発生する。例えば、油汚れ、タンパク質汚れ、デンプン汚れ等の食品由来の汚れによって、泡立ちが引き起こされる。特に激しい泡立ちを引き起こすのはタンパク質汚れであり、代表的なものとして卵汚れが挙げられる。特許文献1〜3の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物は、このような低温時の泡立ちや、汚れに起因する泡立ちの抑制効果をより向上させる改善の余地があった。
また、業務用自動洗浄機では、通常家庭用自動洗浄機よりも高圧の水流で洗浄を行うため泡立ちも多く、より高い抑泡性が必要とされる。特許文献1〜3の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物は、業務用自動洗浄機で使用する場合に抑泡性が不充分であり、抑泡性をより高める改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、低温時の泡立ち及び汚れに起因する泡立ちを抑制することができ、業務用自動洗浄機に使用した場合にも泡立ちを抑制することができる自動洗浄機用洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の自動洗浄機用洗浄剤組成物は、(a)下記一般式(1)で表される多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物及び下記一般式(2)で表されるポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を合計で1〜30質量%、(b)リバーステトロニック型ブロックポリマーを11〜80質量%、及び、(c)水を10〜50質量%含むことを特徴とする。
【0008】
【化1】
【0009】
(式中、R
1は、炭素数2〜20の2〜8価の多価アルコールから全部の水酸基を除いた残基を表し、A
1Oは、同一又は異なって、炭素数3又は4のオキシアルキレン基を表し、nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、2〜1000の数であり、mは、2〜8の整数を表し、m個の〔−O―(A
1O)n−H〕は同一であってもよく、異なっていてもよい。)
【0010】
【化2】
【0011】
(式中、R
2は、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基を表し、A
2Oは、同一又は異なって、炭素数3又は4のオキシアルキレン基を表し、tは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、2〜100の数である。)
【0012】
本明細書中、洗浄剤組成物の各成分の含量(質量%)は、特に断らない場合には洗浄剤組成物に対する純分の含量である。
【0013】
本発明の自動洗浄機用洗浄剤組成物(以下、単に本発明の洗浄剤組成物ともいう)は、(a)一般式(1)で表される多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物及び一般式(2)で表されるポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物(以下、成分(a)ともいう)を合計で1〜30質量%、(b)リバーステトロニック型ブロックポリマー(以下、成分(b)ともいう)を11〜80質量%、及び、(c)水(以下、成分(c)ともいう)を10〜50質量%含む。本発明の洗浄剤組成物は、成分(a)及び(b)を上記量含むことにより、優れた抑泡性を発揮することができるものである。このため、低温時及び食品残渣等の汚れの存在下において優れた抑泡性を発揮することができ、例えば自動洗浄機による食器等の洗浄において、洗浄機の立ち上げ時に洗浄液が低温であっても、低温〜洗浄温度の温度範囲において、洗浄液の泡立ちを抑制することができる。また、洗浄剤組成物を業務用自動洗浄機で使用する場合でも、泡立ちを抑制することができる。また、本発明の洗浄剤組成物は、成分(a)及び成分(b)を上記量含むことにより、洗浄力が高いものである。さらに、本発明の洗浄剤組成物は、成分(c)を上記量含むことにより、引火性が低く、安全性が高いものである。
洗浄液とは、自動洗浄機用洗浄剤組成物を水で希釈した又は水に溶解させた洗浄剤水溶液を意味する。
【0014】
本発明における低温時とは、例えば、洗浄液温度が40℃未満の場合が挙げられ、好ましくは洗浄液温度が10〜30℃、より好ましくは洗浄液温度が10〜20℃の場合である。本発明の洗浄剤組成物は、このような低温時において優れた抑泡性を発揮することができる。
【0015】
本発明においては、上記一般式(2)において、R
2が炭素数3〜15のアルキル基を表し、上記A
2Oがオキシプロピレン基を表し、tが、2〜60の数であることが好ましい。上記ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルが、このような化合物であると、低温時の抑泡性がより向上する。
【0016】
上記一般式(2)で表される化合物は、ポリオキシプロピレントリデシルエーテルであることがより好ましい。ポリオキシプロピレントリデシルエーテルを含むと、低温時の抑泡性が更に向上する。
【0017】
本発明においては、上記一般式(1)において、R
1が炭素数2〜10の2価又は3価の脂肪族アルコールから全部の水酸基を除いた残基を表し、A
1Oがオキシプロピレン基を表し、nが2〜250の数であり、mが2又は3の整数を表すことが好ましい。上記多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物がこのような化合物であると、低温時の抑泡性がより向上する。
【0018】
本発明の洗浄剤組成物は、さらに、(d)2又は3価の多価アルコールを5〜50質量%含むことが好ましい。
洗浄剤組成物が(d)2又は3価の多価アルコールを上記量含有すると、洗浄剤組成物の安定性が向上し、保管時等に成分の分離や沈殿が生じず、洗浄剤組成物の外観が透明となるため好ましい。
【0019】
本発明の洗浄剤組成物は、さらに、(e)オキシエチレン基を有する下記一般式(3)で表されるポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル、(f)プルロニック型ブロックポリマー、(g)リバースプルロニック型ブロックポリマー及び(h)テトロニック型ブロックポリマーからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を合計で5〜50質量%含むことが好ましい。
【0020】
【化3】
(式中、R
3は、炭素数10〜16のアルキル基又はアルケニル基を表し、A
3Oは、同一又は異なって、オキシエチレン基を必須とする炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、sは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、10〜200の数である。)
上記(e)〜(h)の少なくとも1種を合計で上記量含有すると、洗浄力がより向上するため好ましい。
【0021】
本発明においては、上記リバーステトロニック型ブロックポリマー中のオキシエチレン基(EO)とオキシプロピレン基(PO)のモル比(EO/PO)が1/0.5〜1/10であることが好ましい。オキシエチレン基(EO)とオキシプロピレン基(PO)のモル比(EO/PO)が上記範囲であるリバーステトロニック型ブロックポリマーを含むと、汚れ存在下での抑泡性がより向上する。
本発明の自動洗浄機用洗浄剤組成物は、自動食器洗浄機用又はコンテナ洗浄機用の洗浄剤組成物として好適である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、低温時の泡立ち及び汚れに起因する泡立ちを抑制することができ、業務用自動洗浄機に使用した場合にも泡立ちを抑制することができる自動洗浄機用洗浄剤組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0024】
本発明の自動洗浄機用洗浄剤組成物は、(a)下記一般式(1)で表される多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物及び下記一般式(2)で表されるポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を合計で1〜30質量%、(b)リバーステトロニック型ブロックポリマーを11〜80質量%、及び、(c)水を10〜50質量%含むことを特徴とする。
【0026】
(式中、R
1は、炭素数2〜20の2〜8価の多価アルコールから全部の水酸基を除いた残基を表し、A
1Oは、同一又は異なって、炭素数3又は4のオキシアルキレン基を表し、nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、2〜1000の数であり、mは、2〜8の整数を表し、m個の〔−O―(A
1O)n−H〕は同一であってもよく、異なっていてもよい。)
【0028】
(式中、R
2は、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基を表し、A
2Oは、同一又は異なって、炭素数3又は4のオキシアルキレン基を表し、tは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、2〜100の数である。)
【0029】
成分(a)は、上記一般式(1)で表される多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物及び上記一般式(2)で表されるポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。成分(a)として、これらの化合物を1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。成分(a)を上記量含むことにより、優れた抑泡性を発揮することができる。特に低温時の抑泡性が向上し、自動洗浄機の立ち上がり時の泡立ちを抑制することができる。また、洗浄剤組成物を業務用自動洗浄機に使用した場合にも泡立ちを抑制することができる。
【0030】
上記一般式(1)におけるR
1は、炭素数2〜20の2〜8価の多価アルコールから全部の水酸基を除いた残基を表す。炭素数2〜20の2〜8価の多価アルコールとして、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,4−ブタンジオール等の2価のアルコール;グリセロール(グリセリン)、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、2,3,4−ヘキサントリオール、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、1,3,5−シクロヘキサントリオール、ペンタメチルグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価のアルコール;テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリン等の4価のアルコール;アラビトール、ガラクトース、キシリトール、グルコース、フルクトース、マンノース、アロース、グロース、イドース、タロース等の5価のアルコール;ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、イノシトール等の6価のアルコール;ペルセイトールの7価のアルコール;スクロース、マルトース、ラクトース等の8価のアルコール等の多価の脂肪族アルコール等が挙げられる。中でも、炭素数2〜20の2〜6価の多価アルコールが好ましく、炭素数2〜10の2〜6価の多価アルコールがより好ましく、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、グリセロール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等がさらに好ましく、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、グリセロール、ソルビトールが特に好ましい。また、本発明においては、上記多価アルコールとして炭素数2〜10の2価又は3価の脂肪族アルコールがさらに好ましく、炭素数2〜4の2価の脂肪族アルコールがさらにより好ましく、エチレングリコール、1,2−プロパンジオールが特に好ましい。
【0031】
A
1Oで表される炭素数3又は4のオキシアルキレン基は、オキシプロピレン基、オキシブチレン基である。A
1Oは、オキシプロピレン基を含むことが好ましく、全オキシアルキレン基中のオキシプロピレン基の割合は、50モル%以上であることが好ましく、80モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上がさらに好ましい。特に好ましくは、A
1Oはオキシプロピレン基である。
A
1Oとしてオキシプロピレン基及びオキシブチレン基を有する場合、これらの付加形式は、ランダム状でもよく、ブロック状でもよい。
【0032】
一般式(1)において、nは、好ましくは2〜250であり、より好ましくは2〜200であり、より好ましくは2〜100、さらに好ましくは10〜100、特に好ましくは15〜100、最も好ましくは15〜70である。
mは、好ましくは2〜6であり、より好ましくは2又は3であり、さらに好ましくは2である。
また、一般式(1)で表される多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物は、1分子あたりのオキシアルキレン基の平均付加モル数(n×m)が、10〜300であることが好ましく、より好ましくは40〜150であり、さらに好ましくは40〜100である。
【0033】
一般式(1)で表される多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の質量平均分子量は、250〜40000であることが好ましく、500〜10000であることがより好ましい。
質量平均分子量は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を展開溶媒とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーでポリエチレングリコール(PEG)を標準物質として求められる。
【0034】
成分(a)における多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の好ましい態様の一例は、一般式(1)において、R
1が炭素数2〜10の2価又は3価の脂肪族アルコールから全部の水酸基を除いた残基を表し、A
1Oがオキシプロピレン基を表し、nが2〜250の数であり、mが2又は3の整数を表すことであり、より好ましくは、R
1が、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール又はグリセロールから全部の水酸基を除いた残基を表し、A
1Oが、オキシプロピレン基を表し、nが、10〜200(好ましくは、15〜100)の数であり、mが、2又は3を表す化合物である。この場合、2又は3個の〔−O―(A
1O)n−H〕は同一であってもよく、異なっていてもよい。
また、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物として、一般式(1)において、R
1が、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール又はソルビトール(好ましくはソルビトール)から全部の水酸基を除いた残基を表し、A
1Oが、オキシプロピレン基を表し、nが、5〜50(好ましくは、8〜30)の数であり、mが、3、4又は6を表す化合物も好ましい。この場合、m個の〔−O―(A
1O)n−H〕は同一であってもよく、異なっていてもよい。
多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物としてこのような化合物を含むと、低温時の抑泡性がより向上し、自動洗浄機の立ち上がり時の泡立ちをより充分に抑制することができる。
【0035】
本発明における成分(a)は、一般式(2)で表されるポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルであることが好ましい。
【0036】
上記一般式(2)におけるR
2は、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基を表し、A
2Oは、同一又は異なって、炭素数3又は4のオキシアルキレン基を表し、tは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、2〜100の数である。
【0037】
一般式(2)において、R
2は、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基である。本発明におけるポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルは、一般式(2)において、R
2が、炭素数1〜20のアルキル基を表すポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルであることが好ましい。洗浄剤組成物がこのような化合物を含むと、低温時の抑泡性がより向上し、自動洗浄機の立ち上がり時の泡立ちをより充分に抑制することができる。
【0038】
炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、s−ヘキシル基、t−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、s−ヘプチル基、t−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、s−オクチル基、t−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルへキシル基、3−エチルへキシル基、n−ノニル基、s−ノニル基、t−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、s−デシル基、t−デシル基、イソデシル基、n−ウンデシル基、s−ウンデシル基、t−ウンデシル基、イソウンデシル基、n−ドデシル基、s−ドデシル基、t−ドデシル基、イソドデシル基、n−トリデシル基、s−トリデシル基、t−トリデシル基、イソトリデシル基、n−テトラデシル基、s−テトラデシル基、t−テトラデシル基、イソテトラデシル基、n−ペンタデシル基、s−ペンタデシル基、t−ペンタデシル基、イソペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、s−ヘキサデシル基、t−ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、s−ヘプタデシル基、t−ヘプタデシル基、イソヘプタデシル基、n−オクタデシル基、s−オクタデシル基、t−オクタデシル基、イソオクタデシル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基が挙げられる。中でも、炭素数3〜15のアルキル基が好ましく、炭素数4〜15のアルキル基がより好ましく、炭素数12〜15のアルキル基がさらに好ましく、炭素数13のアルキル基が特に好ましい。また、アルキル基は、分岐鎖アルキル基が好ましい。
【0039】
炭素数2〜20のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基等の直鎖又は分岐鎖アルケニル基が挙げられる。中でも、炭素数4〜15のアルケニル基が好ましく、例えば、2−ブテニル基、3−ブテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基が好ましく、炭素数5〜15のアルケニル基がより好ましく、トリデセニル基が特に好ましい。
【0040】
A
2Oで表される炭素数3又は4のオキシアルキレン基は、オキシプロピレン基、オキシブチレン基である。A
2Oは、オキシプロピレン基を含むことが好ましく、全オキシアルキレン基中のオキシプロピレン基の割合は、50モル%以上であることが好ましく、80モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上がさらに好ましい。特に好ましくは、A
2Oはオキシプロピレン基である。
A
2Oとしてオキシプロピレン基及びオキシブチレン基を有する場合、これらの付加形式は、ランダム状でもよく、ブロック状でもよい。
tは、好ましくは2〜60であり、より好ましくは2〜55、さらに好ましくは2〜10である。
【0041】
一般式(2)で表されるポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルの質量平均分子量は、150〜5000であることが好ましく、250〜4000であることがより好ましい。
上記質量平均分子量は、DMFを展開溶媒とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーでPEGを標準物質として求められる。
【0042】
一般式(2)の好ましい態様の一例として、R
2が炭素数3〜15のアルキル基を表し、A
2Oがオキシプロピレン基を表し、tが、2〜60の数であることが挙げられる。より好ましくは、一般式(2)において、R
2が炭素数4〜15(より好ましくは炭素数12〜15)のアルキル基を表し、A
2Oがオキシプロピレン基を表し、tが、2〜60の数である。ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルがこのような化合物であると、低温時の抑泡性がより向上する。
【0043】
本発明においては、上記一般式(2)で表されるポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルが、R
2が炭素数12〜15のアルキル基であるポリオキシプロピレンモノアルキルエーテルであることが好ましく、ポリオキシプロピレントリデシルエーテルであることが特に好ましい。ポリオキシプロピレントリデシルエーテルを含有すると、低温時の抑泡性が特に良好であるため好ましい。R
2が炭素数12〜15のアルキル基であるポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル(好ましくはポリオキシプロピレントリデシルエーテル)は、好ましくはオキシプロピレン基の平均付加モル数(t)が2〜50(より好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜8)である。
【0044】
本発明の洗浄剤組成物は、成分(a)を1〜30質量%含有する。成分(a)の含量は、好ましくは1〜20質量%であり、より好ましく1〜10質量%である。成分(a)の含量が上記範囲であると、低温時の抑泡性が特に良好となる。成分(a)に2種以上の化合物が含まれる場合、上記含量は、それらの合計として定める。
【0045】
本発明における成分(b)は、リバーステトロニック型ブロックポリマーである。リバーステトロニック型ブロックポリマーは、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。成分(b)を上記量含むことにより、優れた抑泡性を発揮することができる。特に、汚れ存在下での抑泡性が向上し、洗浄液中に汚れが多量に存在する場合でも泡立ちを抑制することができる。また、洗浄剤組成物を業務用自動洗浄機に使用した場合にも泡立ちを抑制することができる。さらに、成分(b)を上記量含むことにより、高い洗浄力を発揮することができる。
【0046】
リバーステトロニック型ブロックポリマーの質量平均分子量は、好ましくは1000〜6000であり、より好ましくは3000〜5000である。質量平均分子量が上記範囲であると、汚れ存在下での抑泡性がより向上する。
上記質量平均分子量は、DMFを展開溶媒とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーでPEGを標準物質として求められる。
【0047】
上記リバーステトロニック型ブロックポリマー中のオキシエチレン基(EO)とオキシプロピレン基(PO)のモル比(EO/PO)は1/0.5〜1/10であることが好ましく、1/0.5〜1/5であることがより好ましく、1/1〜1/3であることがさらに好ましい。EO/POのモル比が上記割合であるリバーステトロニック型ブロックポリマーを含むと、汚れ存在下での抑泡性がより向上する。
【0048】
本発明の洗浄剤組成物は、成分(b)を11〜80質量%含有する。成分(b)の含量は、好ましくは30〜70質量%であり、より好ましく40〜70質量%である。成分(b)の含量が上記範囲であると、汚れ存在下での抑泡性がより向上する。また、洗浄力がより向上する。成分(b)に2種以上の化合物が含まれる場合、上記含量は、それらの合計として定める。
【0049】
本発明の洗浄剤組成物は、成分(c)として水を10〜50質量%含有する。成分(c)をこの量含有する本発明の洗浄剤組成物は、通常液体(液体洗浄剤組成物)である。成分(c)を上記量含むことにより、本発明の洗浄剤組成物は、引火等の危険性がなく安全なものである。
【0050】
成分(c)の水としては、水道水、軟水、イオン交換水、純水、精製水、工業用水等が挙げられる。これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、成分(c)の水は、洗浄剤組成物を構成する各成分に由来する結晶水や水溶液の形で含まれる水と外から加えられる水との総和である。
成分(c)の含量は、好ましくは10〜40質量%であり、より好ましく15〜35質量%である。
【0051】
本発明の洗浄剤組成物は、本発明の効果を損なわない限り、成分(a)〜(c)以外の成分を含んでもよい。
例えば、さらに、(d)2又は3価の多価アルコール(以下、成分(d)ともいう)を5〜50質量%含むことが好ましい。また、さらに、(e)オキシエチレン基を有する下記一般式(3)で表されるポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル(以下、成分(e)ともいう)、(f)プルロニック型ブロックポリマー(以下、成分(f)ともいう)、(g)リバースプルロニック型ブロックポリマー(以下、成分(g)ともいう)及び(h)テトロニック型ブロックポリマー(以下、成分(h)ともいう)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を合計で5〜50質量%含むことが好ましい。
【0053】
(式中、R
3は、炭素数10〜16のアルキル基又はアルケニル基を表し、A
3Oは、同一又は異なって、オキシエチレン基を必須とする炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、sは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、10〜200の数である。)
【0054】
本発明の洗浄剤組成物が成分(d)を5〜50質量%含有すると、洗浄剤組成物の安定性がより向上し、外観が透明となるため好ましい。また、洗浄力が向上する点から、洗浄剤組成物は成分(e)〜(h)の少なくとも1種を含有し、これらの合計含量が5〜50質量%であることが好ましい。成分(e)〜(h)からなる群より選択される少なくとも1種を含有する場合、その合計含量は、5〜45質量%がより好ましく、5〜40質量%がさらに好ましく、10〜40質量%がさらにより好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。また、洗浄剤組成物は、例えば、成分(e)〜(h)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を合計で5〜30質量%含むことも好ましい。成分(d)〜(h)は、それぞれ1種用いてもよく、2種以上用いてもよい。
【0055】
成分(d)としては、炭素数2〜15の2又は3価の多価アルコールが好ましく、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール等の2価のアルコール;グリセロール、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、2,3,4−ヘキサントリオール、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、1,3,5−シクロヘキサントリオール、ペンタメチルグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価のアルコール等の2又は3価の脂肪族アルコール等が挙げられる。中でも、炭素数3〜10の2又は3価の多価アルコールが好ましく、炭素数3〜7の2価の脂肪族アルコールがより好ましく、炭素数4〜6の2価の脂肪族アルコールがさらに好ましく、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ジプロピレングリコール等が特に好ましい。
【0056】
本発明の洗浄剤組成物が成分(d)を含む場合、その含量は、好ましくは5〜40質量%であり、より好ましくは5〜30質量%である。成分(d)に2種以上の化合物が含まれる場合、上記含量は、それらの合計として定める。
【0057】
一般式(3)における、R
3は、炭素数10〜16のアルキル基又はアルケニル基を表すが、好ましくは炭素数10〜16のアルキル基を表す。
炭素数10〜16のアルキル基としては、n−デシル基、s−デシル基、t−デシル基、イソデシル基、n−ウンデシル基、s−ウンデシル基、t−ウンデシル基、イソウンデシル基、n−ドデシル基、s−ドデシル基、t−ドデシル基、イソドデシル基、n−トリデシル基、s−トリデシル基、t−トリデシル基、イソトリデシル基、n−テトラデシル基、s−テトラデシル基、t−テトラデシル基、イソテトラデシル基、n−ペンタデシル基、s−ペンタデシル基、t−ペンタデシル基、イソペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、s−ヘキサデシル基、t−ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基が挙げられる。中でも、炭素数12〜15のアルキル基がより好ましく、s−ドデシル基、s−テトラデシル基等がさらに好ましい。
【0058】
炭素数10〜16のアルケニル基としては、例えば、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基等が挙げられる。中でも、炭素数12〜15のアルケニル基がより好ましく、ドデセニル基、テトラデセニル基等がさらに好ましい。
【0059】
A
3Oは、オキシエチレン基を必須とし、オキシプロピレン基及び/又はオキシブチレン基を含んでもよいが、50モル%以上がオキシエチレン基であることが好ましく、より好ましくは60〜90モル%がオキシエチレン基である。
sは、好ましくは、10〜50であり、より好ましくは10〜30である。
【0060】
成分(e)として使用される一般式(3)で表される化合物として、オキシエチレン基の平均付加モル数が5〜15であるポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル等が好ましい。
【0061】
本発明の洗浄剤組成物が成分(e)を含む場合、その含量は、好ましくは5〜40質量%であり、より好ましくは5〜20質量%である。成分(e)に2種以上の化合物が含まれる場合、上記含量は、それらの合計として定める。
【0062】
成分(f)として使用されるプルロニック型ブロックポリマーは、オキシエチレン基(EO)とオキシプロピレン基(PO)のモル比(EO/PO)が1/0.5〜1/15であることが好ましく、1/2〜1/12であることがより好ましく、1/4〜1/9がさらに好ましい。EO/POのモル比が上記割合であるプルロニック型ブロックポリマーを含むと、洗浄剤組成物の洗浄力がより向上する。
プルロニック型ブロックポリマーは、好ましくは質量平均分子量が1000〜5000、より好ましくは2000〜4000である。質量平均分子量が上記範囲であると、洗浄剤組成物の洗浄力がより向上する。
【0063】
本発明の洗浄剤組成物が成分(f)を含む場合、その含量は、好ましくは5〜40質量%であり、より好ましくは5〜20質量%である。成分(f)に2種以上の化合物が含まれる場合、上記含量は、それらの合計として定める。
【0064】
成分(g)として使用されるリバースプルロニック型ブロックポリマーは、オキシエチレン基(EO)とオキシプロピレン基(PO)のモル比(EO/PO)が1/10〜1/2であることが好ましく、1/6〜1/2であることがより好ましい。EO/POのモル比が上記割合であるリバースプルロニック型ブロックポリマーを含むと、洗浄剤組成物の洗浄力がより向上する。
リバースプルロニック型ブロックポリマーの質量平均分子量は、好ましくは1000〜6000であり、より好ましくは2000〜5000である。質量平均分子量が上記範囲であると、洗浄剤組成物の洗浄力がより向上する。
【0065】
本発明の洗浄剤組成物が成分(g)を含む場合、その含量は、好ましくは5〜40質量%であり、より好ましくは5〜20質量%であり、さらに好ましくは5〜10質量%である。成分(g)に2種以上の化合物が含まれる場合、上記含量は、それらの合計として定める。
【0066】
成分(h)として使用されるテトロニック型ブロックポリマーは、EOとPOのモル比(EO/PO)が1/0.5〜1/15であることが好ましく、1/2〜1/12であることがより好ましく、1/4〜1/9がさらに好ましい。
テトロニック型ブロックポリマーの質量平均分子量は、好ましくは1000〜6000であり、より好ましくは1500〜4000である。
上記質量平均分子量は、DMFを展開溶媒とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーでPEGを標準物質として求められる。
【0067】
本発明の洗浄剤組成物が成分(h)を含む場合、その含量は、好ましくは5〜40質量%であり、より好ましくは5〜20質量%である。成分(h)に2種以上の化合物が含まれる場合、上記含量は、それらの合計として定める。
成分(e)〜(h)の中でも、洗浄力が高いことから、成分(e)及び成分(g)が好ましく、洗浄力の点から、成分(e)を含むことがより好ましい。
【0068】
本発明の洗浄剤組成物は、本発明の効果を損なわない限り、上述した成分(a)〜(c)及び所望により配合される成分(d)〜(h)以外の成分を含んでいてもよく、例えば、無機塩、成分(a)、(b)及び(e)〜(h)以外の界面活性剤(以下、その他の界面活性剤という)、香料、色素、酵素等の1種又は2種以上を含んでもよい。中でも、無機塩、酵素の1種又は2種以上を含むことが好ましい。
【0069】
無機塩としては、例えば、水酸化カリウム(苛性カリ)、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、ケイ酸塩が好ましい。洗浄剤組成物が無機塩を含有すると、洗浄力が向上する。
【0070】
ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸ナトリウム(メタケイ酸ナトリウム、セスキケイ酸ナトリウム、オルソケイ酸ナトリウム、ケイ酸ソーダ1号、ケイ酸ソーダ2号、ケイ酸ソーダ3号、ケイ酸ソーダ4号)、ケイ酸カリウム(メタケイ酸カリウム、セスキケイ酸カリウム、オルソケイ酸カリウム)等のケイ酸のアルカリ金属塩が挙げられる。
洗浄剤組成物が無機塩を含有する場合、その含量は、0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。無機塩に2種以上の化合物が含まれる場合、上記含量は、それらの合計として定める。
【0071】
その他の界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤等を使用することができ、好ましくは非イオン界面活性剤である。非イオン界面活性剤として、例えば、ポリオキシアルキレンジアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、ポリオキシエチレンメチルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン等が挙げられる。
【0072】
洗浄剤組成物がその他の界面活性剤を含有する場合、その含量は、洗浄剤組成物に対して20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下がより好ましく、実質的にその他の界面活性剤を含有しないことが特に好ましい。
【0073】
本発明の洗浄剤組成物は、上記の成分以外に、必要に応じて、成分(a)及び成分(b)以外の他の消泡剤(例えば、シリコーン系消泡剤等)を含有してもよいが、成分(a)及び成分(b)を含有することにより優れた抑泡性を発揮することから、他の消泡剤の含量は、5質量%以下が好ましく、実質的に他の消泡剤を含有しないことが好ましい。
【0074】
本発明の洗浄剤組成物の製造方法は特に限定されず、成分(a)〜(c)及び所望により配合される他の成分を混合又は撹拌等することにより製造することができる。各成分を混合する順番、混合又は撹拌の方法等は特に限定されない。
【0075】
本発明の自動洗浄機用洗浄剤組成物が使用される自動洗浄機は特に限定されないが、例えば、スプレー式自動洗浄機等が挙げられる。スプレー式自動洗浄機として、例えば、自動食器洗浄機、コンテナ洗浄機等が挙げられる。コンテナとして、食品等の運搬に使用されるプラスチック製コンテナが挙げられる。中でも、本発明の洗浄剤組成物は、自動食器洗浄機用又はコンテナ洗浄機用の洗浄剤組成物として好適に使用され、自動食器洗浄機用洗浄剤組成物としてより好適に使用される。
本発明の洗浄剤組成物は、業務用又は家庭用の自動洗浄機用として好適に使用されるが、業務用自動洗浄機用としてより好適であり、業務用の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物として特に好適である。
【0076】
本発明の洗浄剤組成物を含む洗浄液により、自動洗浄機を用いて、食器、コンテナ等の被洗浄物を洗浄することができる。洗浄液としては、通常、本発明の洗浄剤組成物を水道水等の水に溶解させた洗浄液、又は、該洗浄剤組成物を水で適宜希釈した洗浄液を使用する。洗浄液中の本発明の洗浄剤組成物の濃度は、被洗浄物の状態等に応じて適宜設定することができる。例えば、洗浄液中の本発明の洗浄剤組成物の濃度は、0.01〜0.1質量%が好ましく、0.01〜0.05質量%がより好ましい。本発明の洗浄剤組成物を上記濃度含む洗浄液は、優れた洗浄力及び抑泡性を発揮することができる。
【0077】
本発明の洗浄剤組成物は、抑泡性が高く、洗浄液中に少量(例えば、0.01〜0.05質量%)配合することによって、自動洗浄機による食器等の洗浄において、泡立ちを抑制することができるものである。また、本発明の洗浄剤組成物は、該洗浄剤組成物以外の自動洗浄機用洗浄剤組成物(以下、自動洗浄機用洗剤ともいう)と併用した場合でも、優れた抑泡性を発揮することができるものである。このため本発明の洗浄剤組成物は、自動洗浄機用洗剤(主洗浄剤組成物)の使用時に添加して使用される補助洗浄剤組成物としても好適に使用される。このように自動洗浄機用洗剤と併用される本発明の洗浄剤組成物は、本発明の好ましい実施態様の一例である。
【0078】
自動洗浄機用洗剤の使用時に、本発明の洗浄剤組成物を補助洗浄剤組成物として添加することにより、充分な抑泡性を補足することができる。このため、自動洗浄機用洗剤の使用時に、低温時及び食品残渣等の汚れの存在下において泡立ちを充分に抑制することができる。また、自動洗浄機用洗剤を業務用自動洗浄機で使用する場合でも、泡立ちを充分に抑制することができる。
【0079】
本発明の洗浄剤組成物を補助洗浄剤組成物として使用する場合、本発明の洗浄剤組成物と併用される自動洗浄機用洗剤は特に限定されないが、例えば、アルカリ剤を含むことが好ましく、アルカリ剤として、例えば、上記の無機塩(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等)1種又は2種以上を含むことがより好ましい。本発明の洗浄剤組成物の好ましい実施態様の一例は、アルカリ剤を含む自動洗浄機用洗剤の使用時に、該自動洗浄機用洗剤に添加する補助洗浄剤組成物である。アルカリ剤の含量は、自動洗浄機用洗剤中に好ましくは5〜85質量%であり、より好ましくは10〜50質量%である。アルカリ剤に2種以上の化合物が含まれる場合、上記含量は、それらの合計として定める。
自動洗浄機用洗剤は、キレート剤、可溶化剤、漂白剤、腐食防止剤、除菌剤、酵素等の1種又は2種以上を含有していてもよい。また、質量平均分子量3000〜300000の高分子分散剤を含有してもよい。自動洗浄機用洗剤の剤形は、液体、固体(粉末、顆粒(粒状)、錠剤、タブレット、フレーク又はブロック等)のいずれでもよい。
【0080】
本発明の洗浄剤組成物を補助洗浄剤組成物として使用する場合の使用量は、自動洗浄機用洗剤100質量部に対して、本発明の洗浄剤組成物を1〜40質量部使用することが好ましく、5〜20質量部使用することがより好ましい。使用量が上記範囲であると、自動洗浄機用洗剤による洗浄力と、本発明の洗浄剤組成物による抑泡性とを充分に発揮させることができる。
また、自動洗浄機用洗剤と本発明の洗浄剤組成物とは、使用時まで分離されていることが好ましい。
【0081】
本発明の洗浄剤組成物を補助洗浄剤組成物として、自動洗浄機用洗剤と併用する場合には、本発明の洗浄剤組成物及び自動洗浄機用洗剤を含む洗浄液により、自動洗浄機を用いて、食器等の被洗浄物を洗浄することができる。補助洗浄剤組成物として使用する場合、洗浄液中の本発明の洗浄剤組成物の濃度は、自動洗浄機用洗剤の種類や被洗浄物の状態等に応じて適宜設定することができる。例えば、補助洗浄剤組成物として使用する場合、洗浄液中の本発明の洗浄剤組成物の濃度は、0.01〜0.1質量%が好ましく、0.01〜0.05質量%がより好ましい。本発明の洗浄剤組成物は、上記濃度範囲において、優れた抑泡性を発揮することができる。
【実施例】
【0082】
以下、本発明をより具体的に説明する実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0083】
<実施例1〜22>
表1に示す成分を、表1に示す割合となるように配合し、混合することにより実施例1〜22の各洗浄剤組成物を製造した。洗浄剤組成物は、いずれも液体状であった。表1中の数値は、洗浄剤組成物に対する各成分の純分の割合(質量%)である。
【0084】
<比較例1〜4>
表2に示す成分を、表2に示す割合となるように配合し、混合することにより比較例1〜4の各洗浄剤組成物を製造した。洗浄剤組成物は、いずれも液体状であった。表2中の数値は、洗浄剤組成物に対する各成分の純分の割合(質量%)である。
【0085】
実施例1〜22及び比較例1〜4で製造した洗浄剤組成物について、以下の方法で外観、洗浄力及び抑泡性の評価を行った。
【0086】
<外観>
25℃における洗浄剤組成物(溶液)の状態を目視にて評価した。
(評価基準)
○:透明
×:白濁又は分離
【0087】
<洗浄力>
(1)汚垢の調製
汚垢の調製:90gの精製水に小麦粉を10g、卵黄を70g、ラードを35g及び牛脂を35g、加えてよく撹拌して溶解させた。得られた混合物を汚垢とした。この汚垢1gを、プラスチック製の容器(弁当箱)の内側全面に塗り広げ、室温で乾燥させたものを洗浄試験用試料とした。
(2)洗浄試験
各洗浄剤組成物を自動食器洗浄機(ホシザキ電機社製 JW650)に投入し、被洗浄食器として、洗浄試験用試料(プラスチック製容器)1個を、口部を下向きにしてラック上にセットした。洗浄動作を1分間行い、続いて、80±4℃のすすぎ湯水によるすすぎ洗いを22秒間行なった。食器洗浄性の評価は、目視で食器を観察することにより行い、汚垢が落ちているか否か及び汚垢が落ちているとすればその程度を確認することにより判定した。洗浄剤組成物の投入量は、自動食器洗浄機内の水量に対して洗浄剤組成物の濃度が0.01質量%になるようにした。
(評価)
○:汚垢の除去面積が80%以上
△:汚垢の除去面積が50%以上80%未満
×:汚垢の除去面積が50%未満
【0088】
<抑泡性>
(1)20℃の抑泡性
自動洗浄機を立ち上げる(稼働させる)際に、湯ではなく水で稼働させた場合の抑泡性を評価するため、20℃における抑泡性を評価した。
各洗浄剤組成物を自動食器洗浄機(ホバート社製、業務用ラックコンベア式食器洗浄機C44B)に17g投入して、水温20℃で2分間洗浄動作を行い(自動食器洗浄機内の水量に対して洗浄剤組成物の濃度が0.02質量%)、洗浄停止から30秒後における液面からの泡の高さ(mm)を定規を用いて測定した。
(2)汚れ存在下での抑泡性
汚れ存在下での抑泡性を評価するため、鶏卵を洗浄液に投入して、抑泡性の評価を行った。
洗浄剤組成物17g及び鶏卵(全卵の卵液)45gを自動食器洗浄機(ホバート社製、業務用ラックコンベア式食器洗浄機C44B)に投入して、水温50℃で2分間洗浄動作を行い、洗浄停止から30秒後における液面からの泡の高さ(mm)を定規を用いて測定した。
(評価)
◎:洗浄機を停止して30秒後の泡高が30mm未満
○:洗浄機を停止して30秒後の泡高が30mm以上50mm未満
△:洗浄機を停止して30秒後の泡高が50mm以上100mm未満
×:洗浄機を停止して30秒後の泡高が100mm以上
【0089】
上記の洗浄力及び抑泡性の試験において、実施例又は比較例で調製した各洗浄剤組成物に加えて、アルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)を含むアルカリ自動食器洗浄機用洗浄剤組成物(製品名リキッドPH、(株)ニイタカ製)を使用して評価を行った。
実施例又は比較例で調製した各洗浄剤組成物に加えて、上記のアルカリ自動食器洗浄機用洗浄剤組成物(アルカリ洗浄剤)を、自動食器洗浄機内の水量に対して0.1質量%となるように使用した以外は、上記の洗浄力及び抑泡性の試験と同じ方法及び評価基準で評価を行った。
【0090】
実施例及び比較例で製造した各洗浄剤組成物の組成並びに評価結果を表1〜2に示した。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
表1〜2中に記載した化合物等は、以下の通りである。
成分(a)
アルキレンオキサイド付加物(1):グリセロールのプロピレンオキサイド(PO)付加物である、ポリオキシプロピレントリオール(質量平均分子量4000)
アルキレンオキサイド付加物(2):ソルビトールPO付加物(質量平均分子量5500)
アルキレンオキサイド付加物(3):ポリプロピレングリコール(質量平均分子量4000)
ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル(1):ポリオキシプロピレントリデシルエーテル(質量平均分子量430)
ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル(2):ポリオキシプロピレンエチルヘキシルエーテル(質量平均分子量1300)
ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル(3):ポリオキシプロピレンブチルエーテル(質量平均分子量1900)
ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル(4):ポリオキシプロピレンテトラデシルエーテル(質量平均分子量445)
ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル(5):ポリオキシプロピレンペンタデシルエーテル(質量平均分子量400)
【0094】
成分(b)
リバーステトロニック型ブロックポリマー(1):質量平均分子量が4000
リバーステトロニック型ブロックポリマー(2):質量平均分子量が5000
【0095】
成分(e)
ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル:質量平均分子量が900、一般式(3)において、R
3がs−ドデシル基であり、A
3Oがオキシエチレン基(EO)及びオキシプロピレン基(PO)であり、EO/POのモル比が3/1である化合物
成分(f)
プルロニック型ブロックポリマー:質量平均分子量が2700、EO/POのモル比が2/8
成分(g)
リバースプルロニック型ブロックポリマー:質量平均分子量が4000、EO/POのモル比が1/3
成分(h)
テトロニック型ブロックポリマー:質量平均分子量が2500、EO/POのモル比が1/7
【0096】
表1〜2から、実施例1〜22の洗浄剤組成物は、業務用自動洗浄機において、低温時及び汚れ存在下において高い抑泡性を示した。さらに、実施例1〜22の洗浄剤組成物は、洗浄力に優れるものであった。