【解決手段】パルプ繊維層と合成繊維層とを積層して一体化してあると共に、凹凸パターンを有している複合型不織布CWebの製造方法であって、前記パルプ繊維層と前記合成繊維層との一体化を促進して積層体TWebを得る水流交絡工程5と、前記水流交絡工程の後に前記積層体を乾燥する乾燥工程7とを少なくとも含み、前記水流交絡工程と前記乾燥工程との間に、湿潤状態にある前記積層体TWebに前記凹凸パターンを付与するエンボス処理工程6が更に設定されており、前記乾燥工程7では非圧縮状態で前記積層体を乾燥する。
前記エンボス処理部は、前記凹凸パターンに対応する凹凸が形成されている版を表面に有している第1の回転体と、表面に弾性体を有し前記第1の回転体に圧接されて回転可能である第2の回転体とを含んでいる、ことを特徴とする請求項5に記載の複合型不織布の製造装置。
前記第1の回転体は凹凸パターンを彫刻した金属ロールまたは予め凹凸パターンが設定してある無端状ワイヤであり、前記第2の回転体はゴムロールまたはゴムベルトである、ことを特徴とする請求項6に記載の複合型不織布の製造装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワイパーとして採用される不織布は、十分な嵩高を確保して製造することが望まれる。ここでの嵩高とは、バルキー(あるいは、バルク)性とも称されるもので、製品としての不織布が十分な質感を備えており、風合や感触において消費者に好印象を与えることができるという仕上り条件の1つである。また、一般に嵩高な不織布は表面積も大きいので吸液性にも優れる。
従来にあって、水流交絡後であり湿潤状態にあるウエブはシリンダドライヤを用いて加熱乾燥されるのが一般的であった。ところが、シリンダドライヤによる乾燥は、面圧が高くなるので製造後の不織布の厚みが減少すると共に、嵩高も減少することになった。
上記のような乾燥後の嵩高減少に対処するため、製造後のウエブ原反にエンボス装置で凹凸パターンを付与することにより嵩高改善がされる場合があった。ところが、ここで実施されるエンボス処理は、所定の領域を加圧しつつ加熱して凹凸パターンを付与するものであり、合成繊維層を含む不織布の場合、繊維の一部が溶融、固化して凹凸パターンが固定される。このようなエンボス処理には時間を要し、また溶融固化した部分が硬くなり、風合いや強度が低下するという問題があった。また、エンボス装置における加熱が不足した場合に、凹凸パターンが消えてしまうという問題もあった。
更に、上記のようなエンボス装置は、不織布製造装置とは別に、独立した設備となるので製造コストが増加することも問題となる。
【0005】
よって、本発明の目的は、パルプ繊維と合成繊維とからなる複合型の不織布に、簡易かつ効果的に凹凸パターンを付与できる製造方法を提供することにある。また、その方法を実施する製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、パルプ繊維層と合成繊維層とを積層して一体化してあると共に、凹凸パターンを有している複合型不織布の製造方法であって、
前記パルプ繊維層と前記合成繊維層との一体化を促進して積層体を得る水流交絡工程と、前記水流交絡工程の後に前記積層体を乾燥する乾燥工程とを少なくとも含み、
前記水流交絡工程と前記乾燥工程との間に、湿潤状態にある前記積層体に前記凹凸パターンを付与するエンボス処理工程が更に設定されており、
前記乾燥工程では非圧縮状態で前記積層体を乾燥する、ことを特徴とする複合型不織布の製造方法により達成できる。
【0007】
そして、前記エンボス処理工程では、非加熱の状態で、前記積層体への前記凹凸パターン付与の処理を実行することができる。
また、前記エンボス処理工程では、前記積層体を挟持して、搾水すると共に前記凹凸パターンの付与をすることが好ましい。
【0008】
上記目的は、パルプ繊維層と合成繊維層とを積層して一体化してあると共に、凹凸パターンを有している複合型不織布を製造するための製造装置であって、
前記パルプ繊維層と前記合成繊維層との一体化を促進して積層体を得る水流交絡部と、前記水流交絡部より下流で前記積層体を乾燥する乾燥部とを少なくとも備えており、
前記水流交絡部と前記乾燥部との間に、湿潤状態にある前記積層体に前記凹凸パターンを付与するエンボス処理部が更に配置されており、
前記乾燥部は、前記積層体を乾燥する非圧縮型のドライヤを含む、ことを特徴とする複合型不織布の製造装置により達成できる。
【0009】
そして、前記エンボス処理部は、非加熱の状態で、前記積層体への凹凸パターン付与をする処理部とすることができる。
【0010】
また、前記エンボス処理部は、前記凹凸パターンに対応する凹凸が形成されている版を表面に有している第1の回転体と、表面に弾性体を有し前記第1の回転体に圧接されて回転可能である第2の回転体とを含む構成とすることができる。
【0011】
そして、前記第1の回転体は凹凸パターンを彫刻した金属ロールまたは予め凹凸パターンが設定してある無端状ワイヤであり、前記第2の回転体はゴムロールまたはゴムベルトとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の製造方法によると、簡易な構成でパルプ繊維と合成繊維とからなる複合型の不織布に、凹凸パターンを付与することができ、これにより嵩高で、全体的に風合や感触が均一であり、吸液性にも優れたワイパーを提供できる。
また、本発明の製造方法或いは製造装置によると、製造効率及び設備の両面から製造コストを抑えて、凹凸パターンを有する複合型の不織布を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について説明する。以下では、凹凸パターンが付与されている、複合型の不織布を製造する方法を実施するのに好適な製造装置を、図を参照して説明する。
【0015】
図1に示す複合型不織布の製造装置1は、上流側にパルプエアレイド部としてのエアレイド装置2、合成繊維層供給部としての合成繊維ウエブ供給装置3、そして積層形成部としてのサクション装置4が配設されている。サクション装置4はエアレイド装置2の下側に対向するように配置されている。
搬送方向TDで、これらの装置2、3、4より下流には、上流側から順に、水流交絡部としての水流噴射(ウオータジェット)装置5、脱水・乾燥部として乾燥装置7が配置されている。上記乾燥装置7の下流には連続して製造される複合型の不織布CWebを巻き取るための巻取装置8が更に設けてある。
【0016】
上記エアレイド装置2は、繊維同士が密集しシート状となっている原料パルプRPをパルプ繊維に解繊(開繊、とも称される)する解繊機21や、図示しない送風機を備えて解繊されたパルプ繊維FPをエアレイドホッパ23へと搬送するダクト22などを有している。エアレイドホッパ23は、その内部において、解繊されたパルプ繊維FPが分散しながら降下し、下面に設定した積層位置24に徐々に積み上がるように設計してある。
上記積層位置24の下側にはサクション装置4が対向配備してある。より詳細には、サクション装置4は装置本体41の上面にサクション部42を有しており、サクション部42が上記パルプ繊維FPに吸引力(負圧)を作用させるべく積層位置24に対して設定してある。
【0017】
また、サクション装置4の周囲にはウエブ搬送用の搬送ワイヤ43が配設してある。搬送ワイヤ43は、積層位置24においてパルプ繊維FPが載置可能で、これを下流側に搬送するように配置されている。ただし、パルプ繊維FPは直接、搬送ワイヤ43上に載置されない。これについては、後述の説明で明らかとなる。
搬送ワイヤ43はサクション部42の吸引力が、反対側(上側)に及ぶような目開き形態(メッシュ)で形成されている。
【0018】
なお、上記原料パルプRPとしては従来の公知のパルプを採用することができる。例えば、木材パルプを採用する場合には、材種としてラジアータパイン、スラッシュパイン、サザンパイン、スプルース、ダグラスファー等のNBKPが好ましく、解繊性や歩留まり等を考慮して適宜に選定すればよい。
さらに、原料パルプRPは、例示のようにロールパルプの形態で供給される場合が多いので、上記解繊装置21としてハンマーミルやディスクミル型等を採用するのが好ましい。ここでの解繊処理は、必要に応じて一段或いは複数段としてもよい。
また、上記原料パルプRPと共に、コットン等の天然繊維や、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成繊維を追加配合するようにしてもよい。このような配合を採用する際には、別途エアレイドヘッドを追加してウエブ層を重ねるか、開繊したパルプを風送するダクトに別の繊維を混合する風送ラインを追加すればよい。
【0019】
上記エアレイド装置2の下側で、サクション装置4よりも上流側に、合成繊維ウエブ供給装置3が配置してある。この合成繊維ウエブ供給装置3には、予め準備された合成繊維ウエブSWがロール状とされてセットされている。合成繊維ウエブ供給装置3から合成繊維ウエブSWが引出され、上述した搬送ワイヤ43に乗って上記積層位置24へと搬送されるようになっている。
上記合成繊維ウエブSWとしては、スパンボンド法により形成された連続フィラメントのウエブを用いるのが好ましい。そして、ここでの合成繊維としては、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等から選択するのが好ましい。
【0020】
積層位置24に位置した、合成繊維ウエブSWの上に、前述したパルプ繊維FPが載置される(積み重ねられる)こととなり、合成繊維ウエブSWは搬送ワイヤ43上を下流側へ搬送される。
その際に、積層位置24ではサクション装置4のサクション部42による吸引力が搬送ワイヤ43を通過し、その上の合成繊維ウエブSWおよびパルプ繊維FPに作用する。よって、上記積層位置24を経て下流側に移動した積層状態のウエブは下側の合成繊維層(合成繊維ウエブSW)と、その上に載置されたパルプ繊維層(パルプウエブ)とが積層された状態の予備的積層体PWebとなる。
【0021】
上記した予備的積層体PWebは、サクション装置4の吸引力によって、吸引圧縮されたことにより積層状態が維持されている。このとき上側のパルプ繊維層はパルプ繊維FPが密にされた状態ではある。しかし、このまま予備的積層体PWebを下流側の水流噴射装置5内に搬送投入すると、水流(ウオータジェット)によってパルプ繊維FPの一部が舞い上がるおそれがある。
そこで、本製造装置1では、予備的積層体PWebを上下から挟んで合成繊維ウエブSW上でのパルプ繊維FPの載置状態を安定化させる為の挟持ローラ28、そして水流噴射装置5の上流側にパルプ繊維FPに飛散防止用に水分を付与するプレウエット装置30が配備してある。プレウエット装置30は、好適には、予備的積層体PWebの上方からウオータミストを吹き付ける噴霧ノズル31と予備的積層体PWebの下側(すなわち、合成繊維ウエブSWの下面)から吸引力を印加するサクション装置32とを含んで構成されている。
【0022】
上記挟持ローラ28とプレウエット装置30とは、水流噴射装置5内における水流交絡処理の円滑な実行のための前処理部と理解することができる。
図1に示した前処理部は、好適構成例であり、挟持ローラ28を省略した構成とすることも可能である。
【0023】
水流噴射装置5は、前処理部28、30の処理を受けた予備的積層体PWebに高圧のウオータジェットを吹き付けることによりパルプ繊維同士の交絡を促進する。これにより上側に位置するパルプ繊維層と下側に位置する合成繊維層との一体化が促進される。
図1で例示的に示している水流噴射装置5は、搬送方向TDに沿って多段(
図1では例示しているのは4段)に水流噴射ノズル51が配置されている。第1段目の水流噴射ノズルを低圧で吹き付ける事により、上述したプレウエット装置30の代用としてもよい。
図1では、搬送方向TDに対して直角な方向(装置1の幅方向)におけるノズルの様子は図示していないが、幅方向においても複数の水流噴射ノズルが配置してある。
【0024】
上記水流交絡処理をする際の水圧は、パルプ繊維層(ウエブ)と合成繊維層(ウエブ)の坪量を勘案して設定するのが望ましい。例えば、1〜30MPaの範囲において選択するのが好ましい。
【0025】
そして、上記水流噴射ノズル51と対向するように、サクション装置52が配設してある。水流噴射ノズル51から出る高圧のウオータジェットを上側に位置しているパルプウエブに吹き付けつつ、下側に位置している合成繊維層の下側にサクション装置52の吸引力を作用させる。水流噴射ノズル51とサクション装置52との協働作用によって、パルプウエブのパルプ繊維が下側の合成繊維ウエブの繊維に入り込んだ状態や、合成繊維ウエブを貫通して反対側にまで至った状態などが形成されると推定される。その作用により2つの層の一体化が促進される。
【0026】
水流噴射装置5にも、搬送ワイヤ55が配設してある。搬送ワイヤ55は前処理部28、30の下流で予備的積層体PWebを受けて、水流噴射装置5内へと搬送する。搬送ワイヤ55は水流噴射装置5の水流噴射ノズル51とサクション装置52との間を、上流側から下流に向かって通過するように配設されている。
よって、搬送ワイヤ55上を搬送される予備的積層体PWebは、搬送方向TDで下流に向かう程に、より多くの水流交絡処理を受けることになり、水流噴射装置5を出るときには上側のパルプ繊維層と下側の合成繊維ウエブとの十分な交絡処理が実現される。
水流噴射装置5を出た直後にあっては、ウエブはウエット状態であり、乾燥前にあってはパルプ繊維同士の結合は十分に確立されてはいない。
【0027】
図1に示す複合型不織布の製造装置1では、上記水流噴射装置5、下流側に位置する乾燥装置7との間に、更にエンボス装置6が配備されている。
このエンボス装置6は、水流噴射装置5によって水流交絡処理された直後で、湿潤状態(ウエット)にある積層体TWebに凹凸パターンを付与するためのエンボス処理部となる。
このエンボス装置6は加熱装置を有しておらず、よって非加熱の状態で、積層体TWebへの凹凸パターン付与の処理を実行する。エンボス装置6は、積層体TWebを挟持しながら下流側の乾燥装置7に向けて搬送するように設定されており、その際に挟持圧に基づいて搾水をすると共に、積層体TWebに凹凸パターン付与をする。
【0028】
具体的には、エンボス装置6内には、積層体TWebを挟むようにして、上下に第1の回転体61と第2の回転体62とが配置されている。ここで、第1の回転体61は、積層体TWebに付与する凹凸パターンに対応する凹凸を有する版を表面に有している。そして、第2の回転体62は表面に弾性体を有し、第1の回転体に圧接されて回転可能に設定してある。
なお、ワイパーとなる複合型不織布では、パルプ繊維層が主な拭取り面となる。そのため、上側に位置しているパルプ繊維層に凹凸パターンを付与するのが好ましい。よって、凹凸パターンの版を有する第1の回転体61は上側に配置されている。
上記第1の回転体61、第2の回転体62については特に限定はないが、例えば、第1の回転体61としては凹凸パターンを彫刻した金属ロールまたは予め凹凸パターンが設定してある無端状ワイヤを採用することができる。また、第2の回転体62としてはゴムロールまたはゴムベルトとするができる。
図1では、第1の回転体61は凹凸パターンが設定してある無端状ワイヤであり、第2の回転体62はゴムベルトである場合を例示している。
【0029】
上述した第1の回転体61と第2の回転体62として、凹凸パターンが設定してある無端状ワイヤ、凹凸パターンが設定してあるパターンロール、またゴムロール、ゴムベルトから選択することが可能である。そして、これらを適宜に組合せることで、種々のエンボス装置6を設計することが可能である
【0030】
図2は、エンボス装置6内に配置される、第1の回転体61と第2の回転体62とについて、他の組合せ例について具体的に示した図である。
図2(a)で示す例は、凹凸パターンが設定してある無端状ワイヤ611と、その内部に配置されるバキュームロール612とによる複合的構造として、上側の第1の回転体61が構成されている。そして、下側の第2の回転体62としてゴムロール621が採用されている。
バキュームロール612は、無端状ワイヤ611の背面側(内側)に接して回転する多孔質材で形成してあるリング状部材612aとサクション部612bとを備えている。サクション部612bはゴムロール621に対向して配置されており、所定の吸引力を作用させる。
ゴムロール621は、積層体TWeb(ここでは図示を省略している)を挟むように、無端状ワイヤ611側に所定圧で押圧されている。
図2(a)で示す構成例では、積層体TWebから積極的に搾水する搾水手段としてバキュームロール612が付加的に配備されている。よって、このような構成によれば、パルプ繊維層に凹凸パターンをより確実に付与できる。
【0031】
図2(b)は、上側の第1の回転体61としてパターンロール613を採用した場合の構造例を示している。パターンロール613として凹凸パターンを彫刻した金属ロールを採用することができる。そして、多数の貫通孔が形成してある無端状の多孔質ゴムベルト621と、その内部に配置されるバキュームロール622とで、第2の回転体62が構成されている。バキュームロール622は、多孔質ゴムベルト621の背面側に接して回転する多孔質材で形成してあるリング状部材622aとサクション部622bとを備えている。このような構成でもパルプ繊維層に凹凸パターンをより確実に付与できる。
【0032】
図2(c)は、
図2(b)の変形例であり、上側のパターンロール613と接して回転するリング状部材として形成してある多孔質ゴムロール625aと、その内部に配置したサクション部625bとによりバキュームロール625を構成して、これを第2の回転体62とした場合の構造例を示している。この例によると第2の回転体62側の構造を簡素化することができる。このような構成でもパルプ繊維層に凹凸パターンを確実に付与できる。
なお、
図2(b)、(c)に示す例では、多孔質ゴムベルト621或いは多孔質ゴムロール625としたが、これらをフェルト材によって形成したフェルトベルト或いはフェルトロールとしてもよい。
【0033】
上記で詳述した第1の回転体61と第2の回転体62とにより、非加熱状態で凹凸パターンを積層体TWeb上に転写することができる。ただし、このままでは、積層体TWebへ付与された凹凸パターンは不安定な状態にある。
そこで、
図1で示すように、エンボス装置6の下流側には積層体TWebの乾燥を行って、凹凸パターンを固定化しつつ、複合型不織布の製造を完了するための乾燥装置7が配備してある。ここで採用される乾燥装置7は非圧縮型のドライヤである。非圧縮型のドライヤは、エンボス装置6により積層体TWebに付与された凹凸パターンやウエブの厚みが、乾燥時に減少するのを抑制する。非圧縮型のドライヤとしては、好適にエアスルードライヤを採用することができる。
図1で、エアスルードライヤの回転可能なドライヤ本体71は筒状体であり、その周表面には多数の貫通孔が設けてあり、図示しない熱源で加熱された熱風がドライヤ本体71の外周から中心部側に向かって吸い込む構成である。
よって、乾燥に際しては積層体TWebの表面に圧力が加わらないので、凹凸パターン等の減少を防止できる。積層体TWebが乾燥装置7から出るときには十分に乾燥されて繊維同士の結合も完了し、凹凸パターンを有しており、全体的に風合や感触が均一で、吸液性にも優れた製品となる複合型の不織布CWebが得られる。このように連続的に製造される複合型の不織布CWebは巻取装置8のローラ81に巻取られて一連の工程が完了する。
【0034】
図1で説明した複合型不織布の製造装置1は、非加熱式のエンボス装置6を、水流噴射装置5と乾燥装置7との間に挿入するという新規な発想で、不織布に凹凸パターンを付与する。従来においては、不織布製造装置でウエブ原反を製造して一旦、ロールに巻取る。その後に、そのロールから原反を引出してエンボス装置に掛けるという工程で不織布に凹凸パターンが付与されていた。特に、従来にあっては、不織布の製造工程中にエンボス加工を施すというような着想がないので、別途、エンボス装置を準備していた。よって、凹凸パターンを有する不織布の最終製品を製造するまでに、多くの時間とコストを要した。
これに対して、
図1に示した製造装置1では、エンボス装置6がこの製造装置1の中に配置されている、いわゆるオンマシン型であるので、従来と比較して、設備の簡素化および製造の高速化が可能であるので製造コストを大幅に抑制できる。
【0035】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することができることは言うまでもない。