【解決手段】液体が流れる導管30を挟んで対向配置され、超音波を送受信可能な一対の超音波センサヘッド1であって、一対の超音波センサヘッド1の一方10は、導管30に面する第1の振動面111を備え、一対の超音波センサヘッドの他方20は、導管30に面する第2の振動面211を備え、液体の流れ方向について、第2の振動面211の幅は、第1の振動面111の幅よりも小さく、第1の振動面111及び第2の振動面211のいずれか一方が超音波の送信面として用いられ、他方が超音波の受信面として用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一対の超音波センサヘッドの実施形態について
図1A〜
図1Dを参照して説明する。
一対の超音波センサヘッド1は、第1のセンサヘッド10と、第2のセンサヘッド20と、を含んで構成され、導管30を挟んで対向して配置される。
【0015】
第1のセンサヘッド10は、第1の振動面111が形成された超音波伝達体110と、電気信号と振動とを変換する超音波振動子120と、を備える。
第2のセンサヘッド20は、第2の振動面211が形成された超音波伝達体210と、電気信号と振動とを変換する超音波振動子220と、を備える。
【0016】
超音波伝達体110及び210は、超音波振動子(120、220)と振動面(111、211)との間で超音波を伝達する。超音波伝達体110,210は、アクリル、硬質ポリ塩化ビニル、変性ポリフェニレンエーテル等の樹脂により形成される。本実施形態では、超音波伝達体110,210は、アクリル樹脂により形成される。
また、超音波伝達体110及び210は、単に超音波を伝達するだけでなく、例えば後述の第1実施形態及び第2実施形態で説明するように、振動面を凹曲面状又は凸曲面状とすることで、超音波を集束又は拡散させる音響レンズとして機能させることも可能である。
【0017】
第1の振動面111及び第2の振動面211は、それぞれ導管30の側面に面するように超音波伝達体110及び210に形成されており、導管30に接触して超音波を伝達する。第1の振動面111は、
図1Cに示すように円形に形成され、第2の振動面211は、
図1Dに示すように矩形状に形成される。
【0018】
図1C及び
図1Dに示すように、液体の流れ方向(y方向)について、第2の振動面211の幅w2は、第1の振動面111の幅w1よりも小さく形成される。具体的には幅w1に対する幅w2の割合は、0.1〜0.7程度であることが望ましい。割合が0.1より大きいと、第2の振動面211の面積が大きくなって超音波の送受信の強度が大きくなり、受信電圧が安定しやすいため好ましい。また、割合が0.7より小さいと、幅w2が小さくなって微小気泡を検出可能な感度を得られるため好ましい。
また、第1のセンサヘッド10及び第2のセンサヘッド20を対向して配置する際に、液体の流れ方向(y方向)について、送信面及び受信面のいずれか一方が広いので、精密な位置合わせを行わなくても、確実に送受信が可能となる。
【0019】
図1B〜
図1Dに示すように、液体の流れ方向(y方向)及び超音波の送信方向(x方向)に垂直なz方向について、一例として、第1の振動面111の幅h1及び第2の振動面211の幅h2は同等の大きさを有するように構成した。
その幅h1及び幅h2について、粘性が小さい液体中の気泡を検出する場合は、可撓性を有する導管30が第1の振動面111及び第2の振動面211で挟まれた状態において、少なくとも導管30のz方向の内径と同等の幅であることが望ましい。このように構成すれば、超音波はz方向について導管30内の大部分を透過するので、気泡の検出漏れを少なくできる。
また、粘性の大きい液体中の気泡は、導管30の中央部を通りやすくなる。よって、粘性の大きい液体中の気泡を検出する場合は、導管30の中央部を超音波が透過するように、幅h1及び幅h2は、少なくとも導管30の内径の半分程度の大きさとすればよい。ただし、実用的には、安全性を再優先し、幅h1及び幅h2は、導管30のz方向の内径と同等の幅とすることが好ましい。
【0020】
超音波振動子120及び220としては、円板状の圧電素子が用いられ、その両面にそれぞれ不図示の電極が取り付けられており、入力された電気信号を機械的振動に変換し、また、伝達された機械的振動を電気信号に変換して出力することができる。超音波振動子120及び220は、超音波伝達体110及び210の内部にそれぞれ埋め込まれて配置される。圧電素子の材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛等の圧電セラミックス、酸化亜鉛等の圧電薄膜、フッ化ビニリデン等の圧電高分子膜等が適用可能である。本実施形態では、圧電素子の材料としてチタン酸ジルコン酸鉛を用い、電極として銀と白金を用いた。
【0021】
導管30は、軟質塩化ビニル(PVC)、シリコン(Si)等の可撓性のチューブで形成され、例えば、医療用のチューブとしては、外径が5.5〜6.5mm、内径が3.5〜4.5mmのもの等が用いられる。
【0022】
以上、説明した一対の超音波センサヘッド1を構成する第1のセンサヘッド10及び第2のセンサヘッド20は、超音波検出器の送信ヘッド及び受信ヘッドとしてそれぞれ用いることができる。
次に、第1のセンサヘッドを送信ヘッドとして用い、第2のセンサヘッドを受信ヘッドとして用いる構成を第1実施形態において説明し、第2のセンサヘッドを送信ヘッドとして用い、第1のセンサヘッドを受信ヘッドとして用いる構成を第2実施形態において説明する。
【0023】
<第1実施形態>
図2を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図2Aは、導管を挟んで対向配置される一対の超音波センサヘッド1Aを示し、
図2Bは、
図2AのY−Y断面図である。
【0024】
一対の超音波センサヘッド1Aは、送信ヘッドとしての第1のセンサヘッド10Aと、受信ヘッドとしての第2のセンサヘッド20Aと、を含んで構成され、導管30としてのチューブ(外径5.5mm、内径3.5mm)を挟んで対向して配置される。
【0025】
第1のセンサヘッド10Aは、送信面となる第1の振動面111Aが形成された超音波伝達体110Aと、電気信号と振動とを変換する超音波振動子120と、を備える。
第2のセンサヘッド20Aは、受信面となる第2の振動面211Aが形成された超音波伝達体210Aと、電気信号と振動とを変換する超音波振動子220と、を備える。
超音波伝達体110A及び210Aは、それぞれの振動面の形状が異なる以外は、超音波伝達体110及び210と同様に構成される。
【0026】
第1の振動面111Aは、
図2Bに示すように超音波伝達体110Aに凹曲面状に形成され、x方向から見た投影面は、直径6.9mm(=h1A=w1A)の円形である。より詳しく述べると、第1の振動面111Aは、液体の流れ方向(y方向)に垂直な面で切った断面形状が導管30の側面に沿うように凹曲線状に形成される。このように構成することで、導管30の側面と第1の振動面111Aとの密着性が向上するので、導管30内の液体に効率良く超音波を伝達することができる。
また、導管30の側面と第1の振動面111Aとの接触面積を大きくできるので、導管30内の液体に効率良く超音波を伝達することができるとともに超音波の指向性が向上する。さらに、凹曲面状に形成された第1の振動面111Aにおけるレンズ効果により超音波が集束しやすくなる。よって、超音波の送信強度を向上させることができる。
【0027】
第2の振動面211Aは、
図2A及び
図2Bに示すように、超音波伝達体210Aに凸曲面状に形成され、−x方向から見た投影面は、幅w2A=1.4mm、幅h2A=6.9mmの矩形状である。より詳しく述べると、第2の振動面211Aは、
図2Aに示すように、超音波の送受信方向(x方向)及び液体の流れ方向(y方向)に平行な面(xy平面)で切った断面形状が可撓性を備える導管30の側面に対して凸曲線状に形成される。このように構成することで、導管30の側面と第2の振動面211Aとの密着性が向上するので、液体を透過した超音波を効率良く伝達することができる。よって、受信強度を向上させることができる。
【0028】
また、液体の流れ方向(y方向)について、第2の振動面211A(受信面)の幅w2Aが小さいので、受信面における微小気泡の投影面に占める割合が増加する。よって、液体を透過する超音波が微小気泡で反射して受信面に到達する超音波が減衰する割合が大きくなり、微小気泡を高感度で検出できる。
【0029】
第1実施形態に係る一対の超音波センサヘッド1Aによれば、以下のような効果が奏される。
【0030】
(1)液体の流れ方向(y方向)について、第2の振動面211A(受信面)の幅w2Aは、第1の振動面111A(送信面)の幅w1Aよりも小さい。このように構成することで、第1のセンサヘッド10A(送信ヘッド)及び第2のセンサヘッド20A(受信ヘッド)を対向して配置する際に、液体の流れ方向(y方向)について、送信面が広いので、送信面と受信面との精密な位置合わせを行わなくても、送信波が受信面を外れないように送受信が可能となる。よって、超音波の送受信の強度を強くすることができ、超音波検出器に一対の超音波センサヘッド1Aを適用したときに受信ヘッドからの受信電圧が安定する。
【0031】
(2)液体の流れ方向(y方向)について第2の振動面211A(受信面)の幅w2Aが小さいので、受信面における微小気泡の投影面に占める割合が大きい。よって、液体を透過する超音波が微小気泡で反射して受信面に到達する超音波が減衰する割合が大きいので、微小気泡を高感度で検出できる。
【0032】
(3)第1の振動面111A(送信面)は、液体の流れ方向(y方向)に垂直な面で切った断面形状が導管30の側面に沿うように凹曲線状に形成される。このように構成することで、導管30の側面と送信面との密着性が向上し、さらに両者の接触面積を大きくできるので、導管30内の液体に効率良く超音波を伝達することができる。また、送信面が大きいため超音波の指向性が向上する。また、送信面が凹曲面状に形成されるので、そのレンズ効果により超音波が集束し、さらに指向性が向上する。よって、超音波の送信強度を上げることができ、超音波検出器における出力電圧が安定する。
【0033】
(4)導管30が可撓性を備えており、第2の振動面211A(受信面)は、超音波の送受信方向(x方向)及び液体の流れ方向(y方向)に平行な面(xy平面)で切った断面形状が凸曲線状に形成される。このように構成することで、導管30の側面と受信面との密着性が向上するので、液体を透過した超音波を効率良く伝達することができる。よって、受信強度を上げることができ、超音波検出器における出力電圧が安定する。
また、液体の流れ方向(y方向)についての受信面の幅w2Aが小さいので、受信面における微小気泡の投影面に占める割合が増加する。よって、液体を透過する超音波が微小気泡で反射して受信面に到達する超音波が減衰する割合が大きくなり、微小気泡を高感度で検出できる。
【0034】
<第2実施形態>
図3及び
図4を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図1及び
図2と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図3Aは、導管を挟んで対向配置される一対の超音波センサヘッド1Bを示し、
図3Bは、
図3AのY−Y断面図である。
【0035】
一対の超音波センサヘッド1Bは、送信ヘッドとしての第2のセンサヘッド20B(20A)と、受信ヘッドとしての第1のセンサヘッド10B(10A)と、を含んで構成され、導管30としてのチューブ(外径5.5mm、内径3.5mm)を挟んで対向して配置される。
【0036】
第2実施形態においては、第1実施形態で送信ヘッドとして用いた第1のセンサヘッド10Aを受信ヘッド(第1のセンサヘッド10B)として用い、第1実施形態で受信ヘッドとして用いた第2のセンサヘッド20Aを送信ヘッド(第2のセンサヘッド20B)として用いた点で、第1の実施形態と異なる。各振動面の形状等は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0037】
第2の振動面211B(211A)は、
図3A及び
図3Bに示すように、超音波伝達体210B(210A)に凸曲面状に形成される。より詳しく述べると、第2の振動面211B(211A)は、
図3Aに示すように、超音波の送受信方向(x方向)及び液体の流れ方向(y方向)に平行な面(xy平面)で切った断面形状が可撓性を備える導管30の側面に対して凸曲線状に形成される。このように構成することで、導管30の側面と第2の振動面211B(211A)との密着性が向上するので、導管30内の液体に効率良く超音波を伝達することができる。よって、送信強度を上げることができる。
【0038】
第1の振動面111B(111A)は、
図3Bに示すように超音波伝達体110Bに凹曲面状に形成される。より詳しく述べると、第1の振動面111B(111A)は、液体の流れ方向(y方向)に垂直な面で切った断面形状が導管30の側面に沿うように凹曲線状に形成される。このように構成することで、導管30の側面と第1の振動面111B(111A)との密着性が向上するので、導管30内の液体を透過した超音波を効率良く伝達することができる。よって、受信強度を上げることができる。
【0039】
第2実施形態において、微小気泡を高感度に検出する仕組みについて、
図4を参照して説明する。
図4Aは、第2の振動面211B(送信面)からの送信波の指向性が高い場合の微小気泡の投影面を説明する図であり、
図4Bは、第2の振動面211B(送信面)からの送信波の指向性が低い場合の微小気泡の投影面を説明する図である。
【0040】
図4Aに示すように、送信面から送信される超音波が指向性の高いものである場合、受信面の一部分(斜線部分P
A)において、送信波を受信する。このような場合、受信面全体における微小気泡の投影面は、割合が極僅かであると考えられるが、受信面において送信波を受ける斜線部分P
Aに関しては、微小気泡の投影面が占める割合は、検出可能な程度に大きいと言える。よって、液体を透過する超音波が微小気泡で反射すると、受信面のうち送信波を受ける斜線部分P
Aに到達する超音波が減衰する割合が大きくなるので、微小気泡を高感度で検出できる。
【0041】
送信面から送信される超音波が指向性の低いものである場合、例えば、送信面の幅w2
Bが小さいことに起因して送信波の指向性が低下する場合や、送信面が凸曲面状に形成されるので、そのレンズ効果により超音波が拡散しやすくなる場合が考えられる。
図4Bに示すように、送信面から送信される超音波が指向性の低いものである場合、受信面の大部分(斜線部分P
B)において、送信波を受信する。受信面は、送信面よりも液体の流れ方向(y方向)についての幅が広いため、液体を透過した超音波は、y方向に沿って拡散しても受信面うち斜線部分P
Bにおいて受信が可能である。また、微小気泡が存在する場合、受信面において微小気泡は超音波の拡散に伴ってy方向に拡大して投影される。よって、液体を透過する超音波が微小気泡で反射すると、受信面のうち送信波を受ける斜線部分P
Bに到達するy方向に拡散した超音波が減衰する割合が大きくなるので、微小気泡を高感度で検出できる。
【0042】
第2実施形態に係る一対の超音波センサヘッド1Bによれば、以下のような効果が奏される。
【0043】
(5)液体の流れ方向(y方向)について、第1の振動面111B(受信面)の幅w1Bは、第2の振動面211B(送信面)の幅w2Bよりも小さい。このように構成することで、第2のセンサヘッド20B(送信ヘッド)及び第1のセンサヘッド10B(受信ヘッド)を対向して配置する際に、液体の流れ方向(y方向)について、受信面が広いので、送信面と受信面との精密な位置合わせを行わなくても、送信波が受信面を外れないように送受信が可能となる。よって、超音波の送受信の強度を強くすることができ、超音波検出器に一対の超音波センサヘッド1Bを適用したときに受信ヘッドからの受信電圧が安定する。
【0044】
(6)第1の振動面111B(受信面)は、液体の流れ方向(y方向)に垂直な面で切った断面形状が導管30の側面に沿うように凹曲線状に形成される。このように構成することで、導管30の側面と送信面との密着性が向上するため、導管30内の液体を透過した超音波を効率良く伝達することができる。よって、超音波の受信強度を上げることができ、超音波検出器における出力電圧が安定する。
【0045】
(7)導管30が可撓性を備えており、第2の振動面211B(送信面)は、超音波の送受信方向(x方向)及び液体の流れ方向(y方向)に平行な面(xy平面)で切った断面形状が凸曲線状に形成される。このように構成することで、導管30の側面と受信面との密着性が向上するので、導管30内の液体に効率良く超音波を伝達することができる。よって、送信強度を上げることができ、気泡検出器における出力電圧が安定する。
【0046】
(8)液体の流れ方向(y方向)について、第1の振動面111B(受信面)の幅w1Bは、第2の振動面211(送信面)の幅w2Bよりも小さい。このように構成することで、送信面からの送信される超音波の指向性が高い場合には、液体を透過する超音波が微小気泡で反射すると、受信面のうち送信波を受ける一部分(斜線部分P
A)に到達する超音波が減衰する割合が大きくなるので、微小気泡を高感度で検出できる。
また、超音波の指向性が低い場合には、液体を透過する超音波が微小気泡で反射すると、受信面のうち送信波を受ける大部分(斜線部分P
B)に到達するy方向に拡散した超音波が減衰する割合が大きくなるので、微小気泡を高感度で検出できる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。
上述の第1実施形態及び第2実施形態で説明した一対の超音波センサヘッド、及び従来技術の構成に対応する超音波センサヘッドを用いて、気泡検出実験を行った。気泡検出実験は、不図示の血液透析装置を用いて行った。
【0048】
[実施例1]
血液透析装置は、導管30として可撓性を有するチューブと、第1実施形態で説明した超音波センサヘッド1Aを有する超音波検出器と、を含んで構成される。チューブは、外径が5.5mm、内径が3.5mmの可撓性を有する塩化ビニル製のものを用意した。血液や薬液の代わりとして、チューブ内に体液と同程度の温度に加温された約36℃の水を250mL/分の流速で流した。
チューブを挟持するように一対の超音波センサヘッド1Aを対向配置して取り付けた。チューブ内に水を流した状態でマイクロシリンジを用いて0.3μLの微小気泡(気泡の直径約0.83mm)を単発注入し、血液透析装置にて、気泡の検知率と電圧の変化を確認する気泡検出実験を行った。これを30回繰り返して、気泡検知率及び電圧の安定性を評価した。
【0049】
[実施例2]
超音波センサヘッドとして、第2実施形態で説明した一対の超音波センサヘッド1Bを用いて、実施例1と同様に気泡検出実験を行った。
【0050】
[比較例1]
超音波センサヘッドとして、第1実施形態で説明した第1のセンサヘッド10Aの2つで構成される一対の超音波センサヘッドを用いて、実施例1と同様に気泡検出実験を行った。
【0051】
[比較例2]
超音波センサヘッドとして、第1実施形態で説明した第2のセンサヘッド20Aの2つで構成される一対の超音波センサヘッドを用いて、実施例1と同様に気泡検出実験を行った。
実施例1、2、及び比較例1、2の実験結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
表1に示すように、比較例1に比べて実施例1及び2は、気泡検知率が大幅に向上した。なお、本実施例における気泡検出実験は、粘性の小さい水を用いて行ったため、気泡検知率が93%及び87%となったが、水に比べて粘性の大きい輸液に用いる液体や血液においては、微小気泡はチューブの中央部を通過しやすいため、検知率は100%になると推測される。
また比較例2に比べて、実施例1及び2は、受信電圧変化が±0.1Vで安定した結果となったので、本発明の一対の超音波センサヘッドを備える超音波検出器は、誤検知の発生を抑制できる。よって、誤検知を発生させないために必要なハードウェアにおける複雑な回路設計や、ソフトウェアにおけるアルゴリズムの工夫等を行わなくてもよく、超音波検出器の構成を簡易化できる。
【0054】
以上、本発明の一対の超音波センサヘッド1及び超音波検出器の好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、実施形態における第1の振動面111について、一例として円形状のものを示したが、楕円状や矩形状としてもよい。
【0055】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、第1の振動面を、超音波伝達体に凹曲面状に形成したが、これに限らない。即ち、
図5A及び
図5Bに示すように、第1の振動面111Cを、超音波伝達体110Cに凸曲面状に形成してもよい。
また、第1実施形態では、第2の振動面を、超音波伝達体に凸曲面状に形成したが、これに限らない。即ち、
図5A及び
図5Bに示すように、第2の振動面211Cを、超音波伝達体210Cに平面状(直線状)に形成してもよい。
【0056】
また、第1及び第2実施形態では、超音波センサヘッドが振動面で導管と接触して超音波と伝達する接触式による構成を示したが、非接触式の超音波センサヘッドにも本発明の概念は適用可能である。
【0057】
また、第1及び第2実施形態では、導管として可撓性を備えるチューブを一例として示したがこれに限らない。導管としては、医療用や工業用の樹脂製のチューブに限らず金属チューブ、配管等にも本発明の概念は適用可能である。
【0058】
また、本発明の超音波センサヘッドを備える超音波検出器を適用可能な一例として、血液透析装置を示したが、これに限らない。気泡の存在が問題となる血液回路や輸液回路に接続される医療機器等に適用可能であり、また、医療分野以外においても、気泡を検出する必要がある分野に広く適用可能である。