【解決手段】本発明の実施形態に係る光検出器は、複数の受光素子と、選択部と、出力部とを、備える。複数の受光素子は、受光領域の異なる複数の受光素子であって、それぞれが、受光領域で受光した光を電気信号に変換する。選択部は、複数の受光素子の中から、測定光の受光領域を形成する受光素子を選択する。出力部は、測定光の受光に応じて、前記選択部で選択された受光素子それぞれが出力する電気信号に基づく信号を出力する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0009】
(第1実施形態)
本実施形態に係る光検出器は、並列に並ぶ受光素子の中から、予備照射した測定光を受光している受光素子を選択することで、測定に用いる受光領域と、測定対象物に反射された測定光の入射領域とを、一致させようとしたものである。より詳しく、以下に説明する。
【0010】
図1に基づいて、測定に使用するセル12の選択について説明する。
図1は、第1実施形態に係る光検出器1が有する画素10の構成例を示す図である。
図1(a)は、長方形のセルを示す図であり、
図1(b)は、正方形のセル示す図である。光検出器1は、被測定物体により反射された測定光を受光領域で、光学系を介して検出する。光検出器1は、測定光を投光する投光器と組み合わせて使用される。この測定光は、微弱なレーザー光である。光検出器1は、例えば100um〜1mmの幅で縦長の形状をしている。
【0011】
光の往復時間は、光検出器1から被測定物体までの距離が長いほど長くなる。このため、投光器が光を出射したタイミングと反射された測定光が光検出器1で検出されたタイミングとの時間差を用いて、距離を測定できる。
【0012】
画素10は、測定対象から反射された測定光を検出する。この画素10は、複数のセル12を備えている。セル12は、画素10の基本構成である。このセル12の受光領域は、
図1(a)中に示す長方形の領域である。あるいは、
図1(b)中に示す正方形の領域である。セル12の幅は、10〜30um程度である。このように、ここでのセル12は、並列に配置されている。また、セル12は、受光領域に衝突した光子(フォトン)に応じて、電気信号を出力する。
【0013】
光検出器1では、測定光の測定に入る前に、投光器が照射する測定光との調整が行われる。この調整は、例えば暗室内で、光検出器1から予め定められた距離に配置される基準対象物に、測定光を予備照射して行われる。
図1中の楕円で示す領域が、予備照射した測定光の入射領域である。光学系を介して入射した測定光の入射領域は、光学系が変動しない限り、固定されている。
【0014】
一方で、環境光などはあらゆる方向から光検出器1に入射してくる。このため、環境光は、全てのセル12の受光領域に入射する可能性がある。
【0015】
そこで、光検出器1は、
図1の入射領域と重なる受光領域を有するセル12を選択する。すなわち、光検出器1は、基準対象物から反射された測定光を検出したセル12を、測定に用いるセル2として選択する。
図1(a)では、左端から2番目のセル12が選択されている。これにより、環境光を信号として誤検出する可能性を低減させている。なお、
図1(b)に示す様に、セル12を複数選択してもよい。ここで、中央の画素10では、”Y”で示したセルが選択されている。或いは、単一のセル12を選択してもよい。
【0016】
次に
図2に基づいて、第1実施形態に係る画素10が有するセル12の構成例を説明する。
図2は、電流がアナログ加算される画素10の構成を示す図である。この画素10は、受光領域の異なる複数のセル12を有している。セル12は、受光素子14と、抵抗16と、選択部18とを、備えて構成されている。これら複数のセル12は、並列に接続されている。
【0017】
受光素子14は、受光領域に衝突した光子(フォトン)に応じて、電気信号を出力する。この電気信号は、例えば電流である。受光素子14は、例えばフォトダイオードである。本実施形態で用いるフォトダイオードは、アバランシェフォトダイオード(APD:Avalanche Photo Diode、以下、APD14と呼ぶ場合がある)である。
【0018】
APD14は、アバランシェ増倍と呼ばれる現象を利用して受光感度を上昇させた受光素子である。ここでは、APD14をガイガーモードで使用する。ガイガーモードは、APD14への印可電圧を降伏電圧付近とするモードであり、ガイガー放電により1万倍を超える大きな利得が得られる。また、ガイガーモードでは、APD14に光子が入射すると一定のガイガー放電が起こる。
【0019】
ガイガーモードで使用されるAPD14は、一般に単一光子アバランシェフォトダイオード(SPAD: Single-Photon Avalanche Diode、以下SPADと呼ぶ)とよばれ、例えば200nm〜1200nmまでの波長の光に感度を有する。すなわち、APD14は、可視光から近赤外光まで感度を有する。
【0020】
抵抗16は、APD14に直列に接続されている。この抵抗16は、例えばクエンチ抵抗であり、APD14のガイガー放電を停止させる。すなわち、ガイガー放電時に抵抗16に電流が流れることにより、APD14に印可されている電圧が絶縁破壊電圧以下に降下する。これにより、APD14のガイガー放電が停止する。なお、ガイガー放電が停止したAPD14は、不感時間(一
般に約数n〜100n秒)が経過した後に再びガイガーモードで動作する。
【0021】
選択部18は、測定に使用するセル12を選択する。選択部18は、例えばゲートトランジスタである。選択部18の詳細な構成は、
図3乃至
図6に基づいて後述する。なお、選択部18をセル12の外に配置して、一つの選択部18で複数のセル12の中から測定に使用するセルを選択するように構成してもよい。
【0022】
加算部13は、複数のセル12が接続された結線部である。この加算部13は、選択部18で選択されたセル12が出力する電気信号をアナログ加算する。これらのことから分かるように、選択部18で選択された複数の受光素子14に同時に光子が入射した場合、複数の受光素子14が出力した電気信号は、加算部13でアナログ加算され、画素10から出力される。このアナログ加算された電気信号を測定することで、画素10の受光領域、すなわち光検出器1の受光領域に入射した光子の数を検出可能である。
【0023】
なお、光検出器1は、
図1(b)に示す通り、複数の画素10で構成してもよい。或いは、光検出器1を、
図1(a)に示す通り、単一の画素10で構成してもよい。
【0024】
次に、
図3乃至6に基づいて、受光素子14を選択する選択部の構成例について説明する。まず、
図3に基づき、選択部20を溶断することで受光素子14を選択する構成例を説明する。
図3は、選択部20にヒューズを用いた構成の一例を示す図である。
図2と同等の構成には同一の番号を付して説明を省略する。
【0025】
画素10が備えるセル12は、受光素子14と、抵抗16と、選択部20とを、有している。選択部20は、受光素子14に直列接続されている。選択部20は、加熱されると溶断する。この選択部20は、例えばヒューズである。
【0026】
溶断された選択部20に接続される受光素子14には印可電圧がかからず、電気信号を出力しない。このように、使用しない受光素子14の選択部20を溶断することで、光の検出に用いる受光素子14が選択される。この場合、受光素子14の選択は、最初の調整時にのみ可能である。
【0027】
次に、
図4に基づき、画素10の出力に用いる受光素子14を電気的に選択する構成例を説明する。
図4は、選択部24にゲートトランジスタを用いた構成図である。
図2と同等の構成には同一の番号を付して説明を省略する。
【0028】
画素10が備えるセル12は、受光素子14と、抵抗16と、設定部22と、選択部24とを、有している。設定部22は、選択部24に接続されている。設定部22は、例えばレジスタであり、入力信号に基づき、選択部24に選択を示す選択信号を出力する。また、設定部22は、入力信号を保持可能であり、入力信号を保持する場合、選択信号を継続的に出力する。
【0029】
選択部24は、例えばゲートトランジスタであり、受光素子14に直列接続されている。選択部24は、設定部22に接続され、設定部22からの選択信号に応じて受光素子14を導通状態にする。一方で、選択信号が入力されていない選択部24は遮断状態である。これにより、画素10の出力に用いる受光素子14を選択可能である。
【0030】
これから分かるように、
図4に示す画素10は、画素10の出力に用いる受光素子14を電気的に選択可能である。すなわち、設定部22が入力信号を保持することにより、画素10の出力に用いる選択部24の導通状態を維持する。一方で、設定部22に入力信号が保持されていない場合には、選択部24は、遮断状態を維持する。このように、画素10の出力に用いる受光素子14を動的に選択することが可能である。
【0031】
次に、
図5に基づき論理回路により受光素子14を選択する例を説明する。
図5は、Dフリップフロップにより受光素子14を選択する構成の一例を示す図である。
図2と同等の構成には同一の番号を付して説明を省略する。
【0032】
画素10は、複数のセル12と加算部26とを、有する。加算部26は、入力されたデジタル信号を加算する。セル12は、受光素子14と、抵抗16と、バッファ28と、設定部30と、遅延素子31と、選択部32とを、有している。バッファ28は、直列に接続した2個のインバータを有している。バッファ28の一端は、受光素子14と抵抗16との間に接続され、他端は、選択部32に接続されている。
【0033】
設定部30は、選択部32に接続されている。設定部30は、例えばレジスタであり、入力信号に基づき接続される選択部32に選択を示す論理値を出力する。また、設定部30は、入力信号を保持可能である。この場合、選択を示す論理値を継続的に出力可能である。
【0034】
選択部32は、加算部26とバッファ28と設定部30と遅延素子31とに接続されている。選択部32は、例えばDフリップフロップであり、設定部30とから選択を示す論理値が入力されると、バッファ28から入力されたデジタル信号を加算部26に出力する。
【0035】
これから分かるように、選択部32に、設定部30とから選択を示す論理値が入力されることにより、デジタル信号が加算部26で加算される。このように、設定部30が入力信号を保持することにより、バッファ28から出力されるデジタル信号の加算部26への出力状態を、遅延素子31の遅延時間だけ維持する。一方で、入力信号が設定部30に保持されていない場合には、バッファ28から出力されるデジタル信号は加算部26へ出力されない。このように、画素10の出力に用いる受光素子14を動的に選択することが可能である。
【0036】
次に、
図6に基づき、環境光の測定も可能な画素10の構成を説明する。
図6は、環境光の測定も可能な画素10の構成を示す図である。ここでの環境光は、測定光以外の光を意味する。例えば昼間の測定であれば、環境光は、主に太陽光である。すなわち、
図6に示す画素10は、受光素子14と、抵抗16と、第1選択部34と、第2選択部36と、設定部38とを、備えて構成されている。
図2と同等の構成には同一の番号を付して説明を省略する。
【0037】
第1選択部34は、抵抗16と通常の画素における加算部との間に直列接続されている。また、第1選択部34は、例えばゲートトランジスタであり、設定部38に接続され、設定部38からの選択信号に応じて受光素子14を導通状態にする。一方で、選択信号が入力されていない第1選択部34は遮断状態である。これにより、通常の画素の出力に用いる受光素子14を選択可能である。
【0038】
第2選択部36は、抵抗16と、環境光画素の加算部との間に直列接続されている。また、第2選択部36は、例えばゲートトランジスタであり、設定部38に接続され、設定部38からの選択信号に応じて受光素子14を導通状態にする。一方で、選択信号が入力されていない第2選択部36は遮断状態である。これにより、環境光画素の出力に用いる受光素子14を選択可能である。
【0039】
設定部38は、例えばレジスタであり、第1選択部34と第2選択部36とに接続されている。設定部38は、入力信号に基づき第1選択部34に選択を示す選択信号を出力する。一方で、第1選択部34に出力される信号は、反転して第2選択部36に出力される。すなわち、入力信号が設定部38に保持されない場合、第2選択部36に選択を示す選択信号が出力される。
【0040】
これから分かるように、設定部38は、第1選択部34を導通状態にする場合に、第2選択部36を遮断状態にする。逆に、第1選択部34を遮断状態にする場合に、第2選択部36を導通状態にする。
【0041】
このように、
図6に示す画素10は、設定部38に入力信号が保持されると、受光素子14の出力は、通常の画素10の加算部に出力される。一方で、レジスタ38に入力信号が保持されないと、受光素子14の出力は、環境光画素10の加算部に出力される。なお、本実施形態において、加算部13、26が測定光の受光に応じて、選択部で選択された受光素子それぞれが出力する電気信号に基づく信号を出力する出力部に対応する。
【0042】
以上のように本実施形態に係る光検出器1は、選択部18、20、24、32、34、36が受光領域の異なる複数の受光素子14の中から、測定に用いる受光素子14を選択することとした。これにより、測定光の入射領域と、光検出器1が測定に用いる受光領域とを一致するように重ねることが可能である。このため、光検出器1が測定に用いる受光領域に、環境光が入射することを低減できる。
【0043】
また、設定部22、30、38が、複数の受光素子14の中から測定に用いる受光素子14の設定を変更することとした。これにより、測定光の入射位置が変更されても、測定光の入射領域と、光検出器1が測定に用いる受光領域とを一致するように重ねることが可能である。
【0044】
(変形例)
図7に基づいて、受光領域がマトリクス状に配置される画素10の構成例を説明する。
図7は、複数の受光素子14がマトリクス状に配置された画素10の構成図である。
図1(a)に示す受光領域は並列に配置されているのに対し
図7に示す受光領域はマトリクス状に配置されていることで相違する。
【0045】
画素10は、受光素子部40と、フロントエンド部42と、Dフリップフロップ32と、加算部26とを、有している。受光素子部40は、受光領域の異なる複数の受光素子14を有している。ここでは、1行あたり8個の受光素子14が配列されている。なお、ここでの受光素子14には、不図示の抵抗が直列に接続されている。
【0046】
フロントエンド部42は、複数の受光素子14それぞれに対応するバッファ28を有している。すなわち、48個の受光素子14と、48個のバッファ28とは、1対1に対応している。
【0047】
バッファ28は、一端が受光素子14の端部に接続され、他端がDフリップフロップ32に接続されている。これにより、各バッファ28は、対応する受光素子14の出力に応じた電気信号を整形してデジタル信号として出力する。ここでの電気信号は、例えば電圧である。また、1行あたり8個の受光素子14の出力が8重化して出力される。
【0048】
Dフリップフロップ32は、一端がバッファ28に接続され、他端が加算部26に接続されている。このDフリップフロップ32は、48重化されており、48個のDフリップフロップ32と、48個のバッファ28とは、1対1に対応している。
【0049】
加算部26は、48個の多重化されたDフリップフロップ32のそれぞれの出力を加算する。これらのことから分かるように、複数の受光素子14に同時に光子が入射した場合、複数の受光素子14が出力する電気信号に応じたデジタル信号は加算され、画素10から加算値として出力される。この加算値に基づき、画素10の受光領域、すなわち光検出器1の受光領域に入射した光子の数を検出可能である。
【0050】
(第2実施形態)
本実施形態に係る光検出器は、画素の端部に長方形セルを配置することで、画素の端部も測定光の検出に用いようとしたものである。
【0051】
図8乃至12に基づいて、一方向の幅が他方向の幅よりも絞られた測定光を用いる場合の受光素子14の受光領域を説明する。この受光領域は、上述した
図2乃至
図7で示した受光素子14の受光領域の一例である。
【0052】
上述のように、ノイズとなる環境光の受光を極力少なくするために、画素10の入射領域の一方向については視野角を絞る必要がある。この場合、視野角を絞った一方向にのみ、精度の高い調整が求められる。ここでの視野角とは、画素10における入射領域の範囲を、受光光学系の角度で表したものである。セルは、その受光領域の全体が、入射領域と出来るだけ一致する様に、選択される。
【0053】
図8乃至12に基づいて、一方の幅が絞られた測定光を用いる場合の受光素子14の受光領域を説明する。
図8は、水平方向の幅が垂直方向よりも絞られた測定光を用いる場合の受光領域の配置を示す図である。ここで、各四角形の領域は、外側の四角形outが1つのセル12の範囲を示している。内側の四角形inがセル12の受光領域、すなわちこのセルが有する受光素子14の受光領域を示している。
【0054】
また、
図8乃至12において、正方形セルを120で、長方形セルを122で示している。また、ここでは、正方形セルの一部と長方形セルの一部に番号を付している。
【0055】
例えば、
図8の中央部の150umの幅の画素10領域を、一辺が30umの正方形セル120で実現した場合、5個のセル12が横に配置される。また、例えば一辺が25umの正方形セル120ならば、6個のセルが横に配置される。
【0056】
ここで、四角形outで示すセルの全領域が受光領域として機能する訳ではなく、四角形inで示す領域がセンサの受光領域として機能する。この外側の四角形outと内側の四角形inとの面積比を開口率と呼ぶ。同じ面積の正方形セルと長方形セルが有った場合、正方形セルの方が開口率は高い。
【0057】
例えば水平方向に絞った測定光を用いる場合、セルの受光領域全体の視野角は、測定光に合わせ、水平方向の視野角が垂直方向の視野角よりも絞られる。その場合、等方性の受光光学系、あるいは異方性の強くない受光光学系を想定すると、前記入射領域も水平方向の長さが垂直方向のそれより長くなる。通常、等方性の光学系が用いられ、また、異方性の強い光学系は高価あるいはサイズが大きくなる。従って、一般に、水平方向の長さが垂直方向のそれより長くなる入射領域となる。その入射領域に、セルの受光領域全体をより精度良く一致させるためには、
図8の122に示した様な、水平方向に狭い受光領域が、望ましい。更に、受光領域を長方形にして、縦に長くすることにより、開口部の面積を正方形セルと同等に維持可能である。
【0058】
各セルの開口部の面積、すなわちセルの受光領域の面積は、揃っていることが望ましい。面積が揃っている場合は、画素10の出力、すなわち前記加算部の出力は、受光量が少ない場合に、受光するフォトンの数、すなわち光の照射量に比例し、そのためのセンサとして使用できる。面積が揃っていない場合は、光の照射量に比例しないため、センサとして使用できない。
【0059】
一般に、入射領域は画素10の概ね中央に位置することが期待され、中央部に位置するセルは、選択すべき場合が多い。一方、画素10の左右に位置する端部領域に位置するセルは、製品個々における光学系の設置具合により、選択すべき場合と、そうでない場合がある。従って、中央部には、開口率の高い正方形セル120を配置し、端部領域には、より精度良く調整可能な長方形セル122を配置している。
【0060】
また、画素10の端部には、正方形セル120を配置する幅がとれない場合がある。この場合にも、画素10の端部領域を有効に活用するため、端部領域のセルの受光領域を長方形にすることが望ましい。
【0061】
一般的には、正方形セル120と長方形セル122の面積を同等にするためには、Z=(2XY−4X+1)/(Y−2X)なる式を演算すればよい。ここで、Zは、正方形セル120の一辺の幅に対する長方形セル122の横幅の比率を示し、Xは、正方形セル120の一辺の幅に対する額縁の幅の比率を示し、Yは、正方形セル120の一辺の幅に対する長方形セル122の縦幅の比率を示している。なお、Yは、整数であることが望ましい。
【0062】
これは、(1−2X)(1−2X)=(Y−2X)(Z−2X)なる式を、長方形セル122の横幅の比率Zについて解いたものである。左辺は、正方形セル120の受光領域を示している。また、右辺は、縦の長さが正方形セル120のY倍、幅が正方形セル120のZ倍の長方形セル122の受光領域を示している。例えば、正方形セル120の一辺の幅に対する額縁の幅の比率Xが1/6の場合、正方形セル120の一辺の幅に対する長方形セル122の縦幅の比率Yが3、正方形セル120の一辺の幅に対する長方形セル122の横幅の比率Zが1/2であると、両者の開口率が等しくなる。この場合、長方形セル122の縦横比は6である。
【0063】
また、例えば額縁の幅の比率Xが0.1、縦幅の比率Yが2の場合、横幅の比率Zが1/1.8≒0.56となる。この場合、縦横比は、3.6である。
【0064】
またさらに、額縁の幅の比率Xが0.3、縦幅の比率Yが2の場合、横幅の比率Zが1/1.4≒0.71となる。この場合、縦横比は、2.8である。
【0065】
図9は、長方形セル122の縦横比の表を示す図である。ここでは、左端の行が額縁の幅の比率X、上端の列が縦幅の比率Yを示す。この
図9に示すように、縦横比は、(Y−2X)Y/(2XY−4X+1)なる式で計算され、0≦X≦0.5、Y≧2(整数)、ならば縦横比が2以上となる。なお、前述の通り、各セル12の受光領域の面積を揃えると、受光素子14の出力が、統計的に光の照射の強さに比例する関係になる。このため、本実施形態では、各セル12の受光領域の面積は揃えられている。
【0066】
なお、一方向の位置調整の調整幅をより拡大させたい場合には、全セルを長方形セル122で構成してもよい。或いは、長方形セル122の割合を増やしてもよい。また、例えば、正方形セル120の一辺の幅が例えば20umで、なおかつ位置調整を10umで行いたい場合がある。このような場合、一辺の幅が例えば10umの長方形セル122を調整用セルに用いることで位置調整の精度を上げることが可能である。
【0067】
図10は、右端に長方形セル122を構成した例を示す図である。例えば端部面積が小さい場合には、一方の端部にのみ長方形セル122を構成してもよい。
図10では、長方形セル122を2列に配置しているが、長方形セル122を一列に配置してもよい。
【0068】
図11は、長方形セル122をずらして構成した例を示す図である。例えば測定光が傾いて照射される場合、長方形セル122をずらして構成する。これにより、精度よく調整可能である。
【0069】
図12は、左右の端部と上下の端部に長方形セル122を構成した例を示す図である。このような構成をとることで、水平方向と垂直方向の両方に幅を絞った測定光、あるいは、2種類の測定光の測定が可能である。後者の場合、すなわち、水平方向の幅を垂直方向の幅よりも絞った測定光、及び垂直方向の幅を水平方向の幅よりも絞った測定光のいずれも測定可能である。
【0070】
以上説明したように、本実施形態に係る光検出器1は、画素10の端部に長方形セル122を配置することとした。これにより、入射領域に、セルの受光領域全体をより精度良く一致させることが出来る。重ねて、各セルの開口部の面積、すなわちセルの受光領域の面積を揃えることが出来、光の照射量をセンシングすることが可能になる。
【0071】
(第3実施形態)
本実施形態に係る距離測定装置は、光検出器の受光領域に照射される測定光に基づいて、画素の出力に用いる受光素子を自動的に選択しようとしたものである。
【0072】
図13に基づき、測定に用いる受光素子14を選択可能な距離測定装置100を説明する。
図13は、アナログ加算をする場合の距離測定装置100の構成を示す構成図である。この
図13に示すように、距離測定装置100は、画素10と、判定部48とを、備えて構成される。ここでの画素10は、例えば
図4で説明した画素10の例である。
図4で説明した構成と同等の構成には同一の番号を付して説明を省略する。
【0073】
再び
図13に示すように、画素10は、設定部22と、複数のセル50と、加算部13とを備えて構成されている。セル50は、選択部24と、受光部52とを有している。受光部52は、
図4に示す受光素子14と、抵抗16とを有している。再び
図13に戻り、判定部48は、加算部13から出力される電気信号の大きさの大小関係を判定し、画素10の出力に用いるセル50、すなわち受光素子14を選択する。
【0074】
ここで、複数のセル50には、設定処理を行う順序を示す通し番号が予め設定されている。画素10の受光領域上の測定光の範囲は連続している。このため、測定光の範囲が、連続的になるようにセル50の番号が設定されている。例えば、最も右に位置するセル50をセル1とし、その左隣をセル2、という様に右から左に番号を付けてもよい。
【0075】
次に、設定処理の一例を説明する。ここでは、設定用の測定光が暗室の中で照射されている状態で、N個のセル50の中からM個(M≦N)のセル50を選択する場合について説明する。
【0076】
まず、設定部22は、設定処理の開始信号を判定部48から受け、セル50の番号1からMの選択部24に選択を示す信号を出力する。また、判定部48は、判定値の初期値として0を記憶する。続いて、測定光を照射し、加算部13は、選択されたセル50の出力を加算する。さらに続いて、判定部48は、加算部13の出力値が、判定値より大きい場合は1を、そうでない場合に0を出力する。また、判定部48は、加算部13の出力値が、判定値より大きい場合、判定値を加算部13の出力値に置き換えると共に、その際のセル50の通し番号を記憶する。
【0077】
次に、設定部22は、判定部48の指示に従い、セル50の番号2からM+1の選択部24に選択を示す信号を出力する。続いて、測定光を同一条件で照射し、加算部13は、選択されたセル50の出力を加算する。上述と同様に、判定部48は、加算部13の出力値が、判定値より大きい場合は1を、そうでない場合に0を出力する。また、判定部48は、加算部13の出力値が、判定値より大きい場合、判定値を加算部13の出力値に置き換える。
【0078】
このような処理を、セル50の番号がN−M+1からNになるまで繰り返す。そして、最終的に、判定部48に記憶されるセル50の通し番号に対応するセル50(通し番号から通し番号+M−1のセル50)を、測定時に用いる。
【0079】
これらのことから分かる様に、加算値の出力値が最大値を示すM個のセル50が選択される。この場合、セル50の通し番号はセル50の連続性を考慮して設定されているので、連続した受光領域を設定可能である。
【0080】
図14は、デジタル加算をする場合の距離測定装置100の構成を示す構成図である。ここでの画素10は、例えば
図5で説明した画素10の例である。ここでの、受光部56は、
図5に示す受光素子14と、抵抗16と、バッファ28とを有している。
図5で説明した構成と同等の構成には同一の番号を付して説明を省略する。
【0081】
再び
図14に戻り、判定部48は、加算部26から出力される電気信号の大きさの大小関係を判定し、画素10の出力に用いるセル54を選択する。この処理は、
図13で説明した処理と同様であるので、ここでの説明を省略する。
【0082】
以上説明したように、本実施形態に係る距離測定装置100は、判定部48が、組み合わせを変えたM個のセル50、54のそれぞれの加算値の大小関係を判定し、最大値を示した組み合わせのセル50、54を選択することとした。これにより、光検出器1において測定光の測定に用いる受光領域と、対象物から反射された測定光の入射領域との重なりをより一致させることが可能である。
【0083】
(第4実施形態)
本実施形態では、光検出器の各セルの出力値に基づく半値幅、又は1/e
2値幅の中心部に位置するセルの受光素子を、画素の出力に用いる受光素子として選択しようとしたものである。
【0084】
構成は
図13と同等であるので、構成の説明は省略する。ここでは、測定光の水平方向の幅が、垂直方向の幅よりも絞られている場合について、
図13及び
図15を参照にしつつ説明する。
【0085】
図15は、セル50の位置と出力値の関係を示す図である。横軸はセル50の通し番号を現し、縦軸は通し番号に対応する加算値の出力値を現表している(通し番号から通し番号+M−1のセル50の出力値の加算値を表している)。
図15(a)は、半値幅と、半値幅の中心部のセル50とを示している。
図15(b)は、1/e
2値幅と、1/e
2値幅の中心部のセル50とを示している。
図15(c)は、測定光の状態が
図15(a)よりも悪い場合の処理結果例を示している。
【0086】
まず、
図13と
図15(a)とを参照にしつつ、半値幅の中心部のセル50の受光素子を選択する処理の流れを説明する。ここでは、セル50の中から画素10の出力に用いるセル50を選択する場合について説明する。
【0087】
本実施形態では、判定部48は、2つの動作モードを有す。第1の動作モードでは、第3実施形態と同じく、判定部48は、判定値の初期値として0を記憶する。さらに、第3実施形態と同じく、判定部48は、加算部13の出力値が、判定値より大きい場合は1を、そうでない場合に0を出力する。また、判定部48は、加算部13の出力値が、判定値より大きい場合、判定値を加算部13の出力値に置き換えると共に、その際のセル50の通し番号を記憶する。第2の動作モードでは、判定値の初期値として、直前の値の半分の値を記憶する。さらに、判定部48は、加算部13の出力値が、判定値より大きい場合は1を、そうでない場合に0を出力する。但し、加算部13の出力値が、判定値より大きい場合に、第1のモードと異なり、判定値を変更しない。また、初めて1の出力をした場合のセル50の通し番号と、最後に1を出力した場合のセルの通し番号を記憶する。前者を第1の通し番号、後者を第2の通し番号と呼ぶ。
【0088】
まず、判定部48を第1のモードに設定して、第3実施形態と同じく、設定処理を行う。この場合、第3実施形態と同じく、加算値が最大値を示した組合せのセル50が選択され、判定値にはこの最大値が記憶されている。続いて、判定部48を第2のモードに設定して、設定処理を行う。この場合、まず、判定値の初期値として、先の最大値の半分の値、すなわち半値が記憶され、この判定値は設定処理の間に変更されることは無い。設定処理の後、第1の通し番号と第2の通し番号には、加算値が初めて半値を超えた場合の通し番号(
図15(a)の2の横軸値、N1とする)と、加算値が最後に半値を超えた場合の通し番号(
図15(a)の3の横軸値、N2とする)が記憶される。最後に、第1の通し番号と第2の通し番号の加算平均(例えば、(N1+N2)/2の小数点以下切り捨て値)を求め、その通し番号と通し番号+M−1のセル50を選択する。この選択は、いわゆる半値全幅の場合に該当する。
【0089】
半値幅を用いてセル50を選択すると、例えば測定光と画素10の受光領域の距離が測定系の焦点からずれ、測定光がぼけている場合にも、セル50の選択精度の低下が抑制可能である。例えば、
図16(c)の場合、ぼけにより、山のピークが扁平になり、鮮明でない。第3実施形態の場合は、最大値をとる場合のセルが選択され、山に対して右寄りとなる可能性がある。本実施形態の場合は、山のほぼ中央に該当する、セル選択がなされる。
【0090】
(変形例)
次に、
図13と
図15(b)とを参照にしつつ、1/e2値幅の中心部のセル50を選択する処理の流れを説明する。
図14(b)に示すように、セル50の出力値の1/e2値幅を求め、1/e2値幅の中心部のセル50を選択する。
【0091】
先の実施例では、第2の動作モードにて、判定値の初期値として、直前の値の半分の値を記憶した。本変形例では、第2の動作モードにて、判定値の初期値として、直前の値の1/e2値を記憶する。
【0092】
より具体的には、まず、判定部48を第1のモードに設定して、第3実施形態と同じく、設定処理を行う。この場合、第3実施形態と同じく、加算値が最大値を示した組合せのセル50が選択され、判定値にはこの最大値が記憶されている。続いて、判定部48を第2のモードに設定して、設定処理を行う。この場合、まず、判定値の初期値として、先の最大値の1/e2の値、すなわち1/e2値が記憶され、この判定値は設定処理の間に変更されることは無い。設定処理の後、第1の通し番号と第2の通し番号には、加算値が初めて1/e2値を超えた場合の通し番号(
図15(a)の2の横軸値、N1とする)と、加算値が最後に1/e2値を超えた場合の通し番号(
図15(a)の3の横軸値、N2とする)が記憶される。最後に、第1の通し番号と第2の通し番号の加算平均(例えば、(N1+N2)/2の小数点以下切り捨て値)を求め、その通し番号と通し番号+M−1のセル50を選択する。
【0093】
例えば、
図16(c)の場合、ぼけにより、山のピークが扁平になり、鮮明でない。第3実施形態の場合は、最大値をとる場合のセルが選択され、山に対して右寄りとなる可能性がある。本実施形態の場合は、山のほぼ中央に該当する、セル選択がなされる。
【0094】
以上説明したように、本実施形態に係る距離測定装置100は、判定部48が、各行毎に、光検出器1の各セル50の出力値に基づく半値幅、又は1/e
2値幅の中心部に位置するセル50を選択することとした。これにより、対象物から反射された測定光の入射領域のほぼ中心部に位置するセル50、すなわち受光素子14を選択可能である。また、測定光がぼけている場合にも、セル50の選択精度の低下が抑制される。
【0095】
(第5実施形態)
本実施形態に係る受光素子の選択は、選択される受光素子の数Mが可変であることで第3実施形態と相違する。以下に、第3実施形態と相違する部分を説明する。構成は
図13と同等であるので、構成の説明は省略する。
【0096】
判定部48は、セル50、すなわち受光素子14の選択数を1〜Nまで変更して第3実施形態と同等の処理を行う。この場合、判定値には、最大値の代わりに、加算部13で得られる加算値をセル50の選択数で除算した平均受光量が用いられる。これにより、セル50当りの平均受光量が大きくなる様にセル50が選択される。
【0097】
この方法では、信号の他に、ノイズとなる環境光が一様に受光される場合、よりS/Nが高い組み合わせが得られる。つまり、耐環境光性能が向上するように、セル50の選択を行うことが可能である。なお、セル50における選択数の下限値を設けない場合には、最大値近傍のセル50に選択が集中する場合があるので、セル50における選択数の下限値を予め定めておいてもよい。
【0098】
また、環境光が少ない場合は、セル50の選択数の下限値を上げることで、よりS/Nを改善可能である。そこで、この場合には、環境光が一様に受光される場合の設定より、規定の数だけ選択するセル50数を増やしてもよい。あるいは、受光量の総計が飽和するまでセル50数を増やす様に、セル50を選択してもよい。
【0099】
以上説明したように、本実施形態では、判定部48で選択するセル50、すなわち受光素子14の選択数を可変にすることとした。これにより、平均受光量の多くなるセル50、すなわち受光素子14の組み合わせを選択することが可能である。
【0100】
(第6実施形態)
本実施形態は、画素の左側の受光領域と右側の受光領域とに分けられたセル、すなわち受光素子をそれぞれ並行して選択することで処理速度を向上しようとしたものである。以下に、第3実施形態と相違する部分を説明する。
【0101】
図16に基づいて、画素10の左側の受光領域と右側の受光領域に分けセル50を選択する場合について説明する。
図16は、アナログ加算をする場合の第6実施形態に係る距離測定装置100の構成図を示している。この
図16に示すように、設定部22が画素10の左側の受光領域と右側の受光領域とに分けられたセル50、すなわち受光素子14を選択することで第3実施形態と相違する。
【0102】
セル50の数が固定的な場合、設定部は、右側の領域と左側の領域とについて同期して選択を一方向に(右又は左に)シフトさせる。例えば、右側にシフトさせる場合には、左側の受光領域では左端のセル50から順に選択され、右側の受光領域では中央部のセル50から順に選択される。
【0103】
一方、セル50の数が可変の場合は、右側の領域と左側の領域を逆方向に選択する。これにより、出力が増大あるいは減少の一方向に変化し、判断性能の向上が可能である。
【0104】
図17は、デジタル加算をする場合の第6実施形態に係る距離測定装置100の構成図を示している。
図17は、
図16と同様の処理を行うので、その処理の説明を省略する。
【0105】
以上説明したように、本実施形態では、画素10の左側の受光領域と右側の受光領域に分けセル50、43を選択することとした。これにより処理速度を上げることが可能である。
【0106】
(第7実施形態)
本実施形態は、設定用の測定光を投光器から複数回照射することで、セル、すなわち受光素子の選択精度より向上させようとしたものである。
【0107】
図18に基づいて、測定光を複数回照射する場合の調整用セル58の選択を説明する。
図18は、第7実施形態に係る距離測定装置100の構成図である。この
図18に示すように、第7実施形態に係る距離測定装置100は、光検出器1と、計測回路2と、パルス発信器3と、投光器4とを、備えて構成される。
【0108】
光検出器1は、測定光に応じた信号を出力する。すなわち、光検出器1は、画素10と、増幅部62とを有している。画素10は、加算部13と、設定部22と、選択部24と、複数の調整用セル58と、複数の固定セル60とを、有している。
図13で示した光検出器1とは、画素10が複数の固定セル60及び増幅部62を有することで相違する。
図12で示した光検出器1と同等の構成には同一の番号を付して説明を省略する。
【0109】
調整用セル58は、測定時に選択して使用されるセルである。すなわち、測定時に使用されるセル、すなわち受光素子が、これらの中から選択される。
【0110】
固定セル60は、予め測定用に選択されたセルである。これらの固定セル60は、常に測定に用いられる。
【0111】
加算部13は、選択された調整用セル58それぞれの出力電流と、固定セル60それぞれの出力電流をアナログ加算する。増幅部62は、加算部13の出力を増幅する。
【0112】
計測回路部2は、パルス発信器3を制御すると共に、測定に用いるセルを調整用セル58の中から選択する。より具体的には、計測回路部2は、判定部48と、増幅部64と、アナログデジタル変換部(ADC)66と、積算器68と、を備えて構成される。
【0113】
判定部48は、積算器68から出力される信号値の大小関係を判定し、調整用セル58の中から画素10の出力に用いるセルを選択する。この判定部48は、CPU70及びメモリ72で構成されている。
【0114】
増幅部64は、光検出器1から入力された電気信号を増幅する。アナログデジタル変換部66は、増幅部64の出力信号をデジタル値に変換する。積算器68は、アナログデジタル変換部66が出力するデジタル値を加算する。
【0115】
パルス発信器3は、判定部48の制御に従い、パルスを投光器4に出力する。投光器4は、パルス発信器3からの入力に応じてレーザー光を出射する。
【0116】
次に、調整用セル58の選択動作の一例を説明する。ここでは、設定用の測定光が暗室の中で照射されている状態で、N個の調整用セル58の中からM個(M≦N)のセルを選択する場合について説明する。
【0117】
第3実施形態では、選択対象のM個のセル50に測定光を1回照射した。これに対し、本実施形態では選択対象のM個の調整用セル58に測定光を複数回照射する。これにより、複数回分の出力信号が積算されることで、第3実施形態と相違する。
【0118】
より具体的には、まず、設定部22は、調整用セル58の番号1からMの選択部30に選択を示す信号を出力する。積算器68は、選択部24が調整用セル58を新たに選択すると、積算値を0にする。
【0119】
続いて、加算部13は、測定光の照射に応じて、選択された調整用セル58及び固定セル60のそれぞれが出力する電気信号を加算する。さらに続いて、積算器68は、増幅部64で増幅され、アナログデジタル変換部66でデジタル信号に変換されたデジタル信号を積算する。このような測定光の照射及び処理をJ回行う。Jは、予め定められた2以上の整数である。すなわち、積算器68には、番号1からMのセル12の出力信号に応じたデジタル信号が、J回分積算される。そして、判定部48は、J回分の測定が終了した際の積算器68の積算値と、選択された調整用セル58の通し番号とを関連づけて記憶する。
【0120】
次に、選択部24の選択を、調整用セル58の番号2からM+1のレジスタ22に変更し上述と同様の処理を行う。このような処理を、調整用セル58の番号がN−M+1からNになるまで繰り返す。そして、判定部48は、記憶された積算値の中の最大値を選択し、この最大値に関連づけられた調整用セル58の通し番号に対応するセルを測定時に用いる。本実施形態では、J回分の測定結果を積算あるいは平均化することにより、ノイズの影響が低減され、調整用セル58の選択精度をより向上可能である。
【0121】
以上説明したように、本実施形態に係る距離測定装置100は、判定部48が、組み合わせを変えたM個の調整用セル58のそれぞれにJ回の測定光を照射することで得た積算値の大小関係を判定し、積算値が最大値を示した組み合わせの調整用セル58を選択することとした。これにより、ノイズの影響が低減され、光検出器1において測定光の測定に用いる受光領域と、対象物から反射された測定光の入射領域との位置関係をより高精度に調整可能である。